夢枕獏『陰陽師』

わたしが大好きすぎるシリーズが夢枕獏さんの『陰陽師』だ。最近定期的に新館も出ていて嬉しい限りである。久々に第一作目を読み返してみて、最近の巻とは雰囲気がかなり違っているんだなぁと再発見をした。

「陰陽師」シリーズの嬉しさは、いつも安倍晴明の屋敷の縁側で、晴明と源博雅がゆるゆると酒を飲んでいる。それだけで嬉しいのだ。そしていつもと同じように、困った妖の類の持ち込まれ、晴明と博雅が出かけてゆく。それだけのまんねりの物語だ。そうやって、二人がいつもと同じように、同じことを繰り返しているのがただ嬉しいのである。

と思っていたけれど、第一作目は、物語の世界観も丁寧に描写されていて、また登場人物たちも立体的に描き出されている。博雅のいい漢っぷりとかね。

平安時代は闇の時代であったとし、闇の中に人間も鬼も潜んでいたと書かれているが、その闇とは不思議とただただ恐ろしいだけのものではない。

ということで、ちょっくら過去作を順番に読み返してみたい。

関連記事

陰陽師シリーズ

続きを読む

『正直、服はめんどくさいけれどおしゃれに見せたい』|not無難のテッパンコーデ

「花より団子」と言いますが、わたしの場合は花より虫やカエルを追っかける娘時代を過ごしたもので、おしゃれには縁のない人生を送ってきた。それが30代に差し掛かり「こりゃいかん」とおしゃれに関する本を読みかじるようになった。最近なんて、ファッション誌を読んでから服を買いに行くもんね。

だけど、生粋のおしゃれっ子なわけじゃないから、いついつでもおしゃれに頑張っていられるわけじゃない。面倒くさいときは面倒くさいんじゃい! というワガママな要求に応えてくれる本を発見した。『正直、服はめんどくさいけれどおしゃれに見せたい』は、手は抜きたいけどマンネリにはなりたくないワガママなおしゃれをサポートする。

シンプルがいいけど、無難はいやだ

『正直、服はめんどくさいけれどおしゃれに見せたい』では、忙しくてお金がなくてもおしゃれがしたい。シンプルで派手じゃない服で着回しもしやすい服がいい。だけど、無難にもならないおしゃれがいい。そんなワガママに答えるおしゃれを提案する。

本書はイラストとマンガ多めに交えながらだから誰でも読みやすいし、ビジュアルで一目でわかるからうれしい。

プチプラでも胸を張れるおしゃれ

おしゃれって、突き詰めれば奥の深すぎる方面の話なんだろうけど、フツーに楽しみたい程度の我々にとってはそこまで労力もお金も使っていられない。「程々に楽しみたい」のが本音じゃなかろうか。

本書はしかもプチプラコーデが基本なのも嬉しい。とっておきのアイテムも持っておきたいけど、毎月毎月お給料の何割も突っ込み続けるほど情熱があるわけでもない。

ただ、人前に出ても恥ずかしくない格好でかつ、自分にちょっと自信が持てる服装でいられたらいいな。そんな願いをかなえるのに、よいガイドラインになるだろう。

こちらもおすすめ

働く女性が知っておくべき ビジネスファッションルール

ビジネスシーンでの服装の選び方を知りたいならこっち。女性が男性と同じように働くさい、意外と足を引っ張っているのは服装かも。

関連記事

続きを読む

『国宝の解剖図鑑』|ところで国宝って何?イラスト図鑑

国宝というとなんだかスゴそうな「箔」を感じるけれども、ところで国宝ってなんだろう。国宝はどうやって選ばれていて、どんなものが国宝に指定されているのだろうか。知っているようで知らない「国宝」のことをコンパクトに紹介するのが本書『国宝の解剖図鑑』だ。

本書『国宝の解剖図鑑』のポイントは充実のビジュアルだ。しかも写真ではなくイラストで解説されているから細かなとこまでよくわかる。写真は影になっている部分や細かな部分が潰れてしまったりするから、細部まで紹介するにはイラストが適している。個人的にわたしも絵を描く者として、「絵がめっちゃうまい」というのも注目だったw

さて、国宝というのはなんだろうか。本書によると

「重要文化財のうち、世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるもの」(p.8)

だそうだ。2018年現在重要文化財の数が1万3千件を超えており、国宝の数は1110件。つまり重文の1割未満の数しかない。かなり希少な感じがする……。

わたしもいくつか国宝を見たことがあるけれども、国宝は「これは国宝だな」という雰囲気がある、と思っている。そんな気がしているだけとは言わないで。特に陶磁器なんかだと、展示の仕方も違っているのかもしれないけれども、「やっぱ国宝はちゃいまんなぁ」なんてわかったようなことを考えていたりする。照明とか違ったりするのかな。

ちなみに、国宝がいちばん多いのは東京都だけど、国宝の約半分は近畿にあるらしい。わたしも近畿に住んでいるのからなのか、本書に掲載されている国宝のうち、半分くらいは見たことがあるものだった。

これまであまり「国宝だから」と注目して物を見ることがなかったけれども、『国宝の解剖図鑑』を読んだからには、国宝巡りをしてみても楽しいかもなんて思ったり。

関連記事

続きを読む

特別展「フェルメール展」@大阪市立博物館

フェルメール展

2019年4月18日(木)に大阪市立美術館で開催中の「フェルメール展」へ。先日、奈良国の「藤田美術館展」の経験から、見たいものを絞って回ることに。目当てはもちろんフェルメール。大混雑を予想していたけど、平日の午後で中混雑くらいだった。少し待てば最前列で見たいものが見れる感じ。土日は大変なのかも。

以下覚書を羅列するだけの感想。

  • フェルメールの絵はガラスが張ってあって、照明の反射で見にくかったのがやや残念。
  • 第2章のパウルス・モレールセ「ヴィーナスと鳩」。ヴィーナスの肌がピンク色で、あどけなくてかわいい。そしてぽろりしている。
  • レンブラント周辺の画家による「洗礼者ヨハネの斬首」は、斬首された身体が残酷過ぎるから切り取られているらしいが、それでも生々しくてこわい。切り取られているからこそ、そこが強調されているような。一体、元々はなにが描かれていたんだ。
  • 第4章のヤン・ウェーニクス「野ウサギと狩の獲物」。野ウサギのモフモフ感が超細密に完全再現されている。ここまで描くか! 釘付け。細かく見ると毛の一本一本まで描いてあるのよね。フワフワで触れそうだ。横にウズラもあって、本物みたい(語彙力)。名人。
  • フェルメール「マルタとマリアの家のキリスト」「取り持ち女」は大きな絵。タッチもみんながよく知っているフェルメールとはちょっと違う。
  • 「手紙を書く女」が好きだった。
  • 「手紙を書く女」「リュートを調弦する女」「恋文」は小さい。これは最前列でまじまじ見たい。平日に行けて良かった(ちょっと待てば見れた)。
  • 事前に「芸術新潮」の特集を読んでいて、より面白く見れた。ただ美しい絵ではなく、当時の流行の世俗的な画題が使われている。展示内容もそれに沿っていた。静物画のコーナーが楽しい。

芸術新潮 2018年 10 月号

以上。混んでいたし、次の予定が詰まっていたのでかなりの駆け足の駆け足で。チャンスがあればもう一度見て回りたい。土日はどんな感じなんだろう……。

関連記事

フェルメール展
続きを読む

特別展「国宝の殿堂 藤田美術館展」@奈良国立博物館

2019年4月14日(日)に奈良国立博物館で開催中の「藤田美術館展」へ行ってきた覚書のようなもの。奈良へ行く用事があったので、閉館ギリギリの時間にヒョイと飛び込んだのでありました。

まず、ポスターも看板も、曜変天目茶碗一色だからさ、それしかないかと思ってたの。入り口もこんな感じだし↓

飛び込んでビックリ。見ごたえありすぎる展示でやんの!

時間がなくてかなり駆け足にしか見れなかったのが残念なのでありました。これから行かれる方は時間に余裕をもってぜひ! 2019年6月9日(日)までです。

ボリュームありすぎて嬉しい誤算。時間が足りない!

入ってすぐにあった“白縁油滴天目鉢”と“菊花天目茶碗”が落ち着いた感じで好きだった。中にお茶が入った感じがイメージできる。織部好みな器もあってよかった。

今回の主役、曜変天目茶碗は、最初は正直「なんか写真のようが良かったかも」と思ったんですよ。だけどいざまじまじと眺めていると目が離せない。照明のきらめきなのか、器が光っているのか、いろんな角度から見たくなる。もっとそばに寄れるなら顔にくっつけて見たい。なにせ閉館直前時間で空いてたので、2回列に並んで最前列で拝見いたしました。

驚いたのは、メインは第1章の初っ端にあって、その後9章まで展示が続いていることだ。

2章「墨蹟と古筆」、3章「物語絵と肖像」はゆっくり見れず。

4章「仏像」は数は少ないけど見ごたえありあり。“地蔵菩薩立像”は快慶作だったのね……(出品一覧を見て)。“阿弥陀如来立像”も小さいけど良き(*´ω`*)

5章「尊像と羅漢」もザっと見れただけだった><

6章「壮厳と法具」は厨子がかわいい。特に、シカのいる“春日厨子”(だったかな)がキュート。わたしは厨子を見るのが好きだなぁ。蒔絵の入った箱やなんかもたくさん展示してったのに駆け足で。

7章「仏典」、8章「面と装束」、9章「多彩な美の殿堂」もボリュームがありすぎ。この時点で閉館5分前くらい。2回ダーッと歩き回ってタイムオーバー!

見たいものだけ見るのも乙かも

“古瀬戸肩衝茶入”を見ながら家族にヲタ語りをしているお父さんがいた。奥さんも興味を持って聞いているし、息子くんも小さいのにパパの話を聞いているみたいだった。横で眺めているだけで朗らかだ。私もそばでずっと話を聞いていたかったけれども、いかんせん時間がなく泣く泣く立ち去る。それにしても、あんな入り口の入り口で、あんなに語ってて時間大丈夫なの?なんて余計な心配を。第1章の「茶碗と茶道具」だけに絞って見るのかな。私も時間がないなら見るところを限定するのも賢いやり方かも……と思いつつ、やっぱどうせなら全部見たいよねとも思うなど。

あいにくの雨。奈良公園に行くときはいつも雨か雨上がりな気がする。


関連記事

続きを読む

『夢の燈影』|新選組短編集

久々に新選組小説。6つの話が収録された短編集。近藤、土方、沖田の超メジャーな主人公ではなく、他の隊士たちにスポットが当たっているので「新選組無名録」と副題がついているのかな。小松エメルさんはこのあと『総司の夢』『歳三の剣』と新選組モノの小説を出されております。こちらも順次読みます<(_ _)>

  • 今回の『夢の燈影』の一つの目のお話「信心」は、井上源三郎が主人公。鳥羽伏見の戦いの最中、銃弾に倒れた井上が、多摩時代からの思い出を思い出す。
  • 「夢告げ」は蟻通勘吾(ありどおし かんご)が主人公。蟻通の従兄弟で同じく新選組隊士だった七五三之進(しめのしん)が隊から行方をくらまし、間者だったのではないかと噂されている。その七五三之進が、蟻通の夢枕に立ち、何かを訴えてくる。
  • 「流れ木」は谷三十郎の弟で、近藤勇の養子になった周平のお話。
  • 「寄越人」は新選組の勘定方でもある酒井兵庫が主人公。隊の規律に背き切腹になった隊士の遺体の埋葬に立ち会うのが彼の仕事だ。
  • 「家路」は監察の山崎丞の話。伊東甲子太郎率いる御陵衛士を見張っていると、原田左之助の姿を見かける。
  • 「姿絵」は新政府軍に降伏するまで隊に居続けた中島登の物語。

文は平易で、歴史小説を読み慣れてない人にもとっつきやすいと思う。そして、新選組について知らない人も、楽しく読めるんじゃないだろうか。今回登場する彼らの顛末を知ると、もっと奥行きを感じるかも。

わたしは山崎丞の「家路」が好きかな。どの話も登場人物たちに人情味があって、相反する気持ちを抱えていたり、情があったりして、ハートウォーミングな雰囲気が共通してるのよね。わたしは、冷酷非道な新選組も大好きなんですが、こううキャラクターもいいかもしれませんなぁ。

関連記事

続きを読む

『極上の孤独』|「幸せ」も多様化している

ベストセラーになっている『極上の孤独』を読んでみた。本書は著者の下重暁子さんによる「孤独」をテーマにしたエッセイ。元アナウンサーで現作家。華やかな経歴をされている方だけれども、独身。現在、孤独=悪のような風潮が当たり前になりつつある世間に対して、真反対の世界観を提示してる。

わたしも一人でいるのが好きだし、孤独でいたいと思っている。だから本書のタイトルからして気に入った。

ポイントは、孤独を愛しているからと言って、孤立しているわけじゃない。下重さんだって、未練が残った恋をしたり、人恋しさや、LINEの既読/未読スルーに苛立ったりしておられる。孤独を好んでいても、人と人の関わりの中生きていて、その中でいろんな感情が沸き上がるのは当然だ。冷淡な心で生きているわけじゃない。

だけど、誰もかれも人と常に繋がれる時代になったからこそ、一人で気楽に、孤高に生きる生き方を選んだっていいじゃないか。それは、一般に言われるような淋しさに満ちた人生なわけじゃない。

多様な生き方をする人の中には、孤独に最期を迎える人もいるだろうし、一般で言われるような「幸せ」を持たずに生きる人もいるだろう。だけど、それが不幸せだとは限らない。自分の居心地の良いように生きればいいんだなぁと思う。

関連記事

続きを読む

『「運がいい人」は何をやっているのか』|上手に割り切ってこう

こんにちは。あさよるです。さて、スピリチュアル本です。わたしね、最近スピリチュアル方面に興味があって……なんて、このブログ始めた頃(2015年)はまさか、自分がこんなことを言い出すだなんて予想だにしなかったのだけど……(苦笑)。興味があるのは、「一体何を言わんとしているのか」「なぜそれが必要とされているのか」ってあたりだろうか。

なるほどと思ったのは、自分とそりが合わない人は「波長が合わない」としている。わたしも数年前、部屋の断捨離と並行して、人間関係の断捨離というものを決行した。いやぁ、こうして文字にするとかなりキツイ文言だけれども、一緒にいても自分にプラスのない相手(つまりマイナスしかない相手)はもう会わなくてもいいだろうと割り切って、さくさくアドレス帳から消去しまくったんですよ。その時に「この人はあんなところが気に入らない」とか「あの人はわたしにあんなひどいことを言ったから嫌いだ」とか、負の感情がなかったとは言わない。あった。いっぱいあったよ。でね、連絡先を消去したところで、そのモヤモヤは数年経っても胸の中に残っていて、それはそれでしんどいのよね。だから、人を悪く思って、わだかまりを心の中に残すよりは「波長が合わないから距離を置くんだ」と考えたほうが、長期的に見ていいんだろうと思う。

あるいは、縁を断ち切りたい相手がいるなら、護符をもって、塩を体にもみ込んで、さらに塩を入れた風呂に何日も入るそうだ。そうして、悪いものを追い払うんだって。これも、これくらいキョーレツなことを自分自身にしないと、縁なんて切れないということじゃないか。人間って悩ましいもので、憎しみや嫌悪なんかの悪い感情は強い感情だから、逆にその相手にこだわってしまって、ズルズルと泥沼にハマってしまうことが多々ある。自分の意志で相手との関係を断ち切れるならいいけれども、そうでないならキョーレツなおまじないを自分自身にかけ続けることで、自分の気持ちを納めていくしかないんじゃないのかなぁ。

あとね、人とのトラブルなんかでも、自分は悪くない!悪いのは相手だ! なんてときに「とりあえずこちらから謝る」というのは、潔癖な人ほどできないんじゃないだろうか。だけど、スピリチュアルな切り口だと、運気とかなんかそういうようなものを高めるための手段として、割り切ってできちゃえるのかもしれない。

オカルトな分野って、太古の昔から今に至るまでずっと人間社会の中に根付いていて、オカルトのない社会なんて成立しない。それなりに役割があるはずだから、毛嫌いするよりも、興味を持って観測してみたいと思っている次第。

関連記事

続きを読む

『心配学』|正しく心配するために

「〈安全〉よりも〈安心〉が欲しい」みたいな言い回しがあるように、不安な気持ちが続くのはつらい。大丈夫と安心していたいものだ。本書『心配学』は、災害やテロ、事件、事故など心配事を、正しく心配するためのガイドラインになる良書だ。

〈適切に心配する〉ために、本書をおすすめします(^^♪

本書『心配学』では、本当に心配すべきことと、そこまで心配しなくてもいい事柄が紹介される。例えば、航空機事故やテロに巻き込まれて命を落とす確率よりも、交通事故に遭う確率のほうが高い。BSE騒動や、原発事故、喫煙のリスク、ギャンブルなど、心配なことが幅広く扱われている。

さらに、単に著者の考えを読むだけではなく、本書『心配学』では、リスクを自分で計算する方法も紹介されている。そのために必要なデータも、今では手軽にネットで集めることができう。わたしたちは既に、必要な情報へのアクセスが可能な環境にあるのだ。だから、自分で情報を集めてサクッとリスクを計算してしまって、〈適切に心配する〉ことが大事だ。

テレビでは、視聴者の気を引いて飽きさせない話題として、ショックな話題が扱われがちだし、過激な意見も大きく紹介されがちだ。もちろん、マイノリティな意見も大切なもの。自分はどう考え、どう判断するのかを、なんとなくテレビの論調やその場の雰囲気で決めるのではなく、きちんと自分の頭で考えるための準備として本書『心配学』は役立つと思う。

新書で軽く読めるし、読みやすいよう親しみやすい文体で書かれているのも良い。おすすめ(`・ω・´)b

関連記事

続きを読む

『スケッチは3分』|メモ感覚で絵を描こう

山田雅夫さんのスケッチ論は「工学」からの切り口だ。アートやデザインから絵を描いている人にとっては刺激的だ。

山田雅夫さんといえば「15分スケッチ」のシリーズの著者だ。わたしも何冊か読んだ。本書はもっと短い、3分間でスケッチを完成させる。日記のように身近な記録を残すのにも最適な時間の長さだろう。メモ帳にちょちょっとメモを取るように、目に映った景色や人物、物も記録に残そう。

3分という短時間でのスケッチだから、細部まで精密に書き込むことが目的ではない。「そのものらしさ」の印象と、質感や雰囲気、気配なんかをササッと描いてゆく。このとき、写真には写りにくいデティールも、目視にて確認し、描いてゆく。記録として写真を撮るのは便利だけど(今はみんな高性能なスマホカメラを常に持ち歩いているし)、微妙や質感の違いや、細かな細工などは写真に収めにくい。カメラでは撮れない情報も、絵なら盛り込めるのだ。

本書『スケッチは3分』は、新書でさらっと描いてある本だけれど、前提となっている知識は膨大だ。本書を本当に読み解いてゆくには、結構勉強しないといけないんじゃないだろうか。ということで、絵を描き始めた初心者さんから、ベテランさんまで、それぞれのレベルに合わせて読み込める良い本だと思う。

あと、「写真に撮れば、絵なんて描く必要ないじゃん」と考えている人にも読んで欲しい。意外にも写真というのは、目で見えている像とは全く違うものが写っているものだ。そして、絵で描いた方が「そのものらしさ」を描きとれることもある。どっちが優れているわけでもなく、どちらも使いこなせるのが理想的だろう。

新書で軽く読める、だけど深く考えさせられる。そしてそれ以上に、すごく絵を描きたくなる! 良書でした(`・ω・´)b

関連記事

続きを読む

『「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる』|ブログで一攫千金

プロブロガーの立花岳志さんが、ブログを使ったマネタイズ方法を紹介する。ブログから飛び出しセミナーや書籍の出版、マスコミへの出演など、幅広い活動を狙う。これから起業したい人はもちろんだけど、会社員だって、今の状況を飛び出した人なら、誰もがマネできて参考になる考え方が紹介される。

ポイントは本書の冒頭で紹介される。今やSNSのアカウントに日常的に何かを投稿する人はたくさんいて普通だ。だけど、ただ身内向けにInstagramやFacebookに近況報告し「交流」しているだけの人が圧倒的多数だ。大事なのは、情報を「発信」することである。

おいしそうな食事の写真を投稿して「いいね!」集めをしても、それは「交流」。そうじゃなくて、どのお店のなんていうメニューがどんなふうに美味しかったのかと「発信」する。よく似ているけれども、やっていることは全然違う。ローカルな話題だって(むしろローカルだからこそ)、世界中の誰かにとっては有益な情報だったりする。つまり、情報発信というのは、きちんとすれば誰かの役に立つことだったりするかもしれない。自分の承認欲求を満たす「いいね!」集めから、どこかの誰かに役立つ情報を発信するのは、かなり違う話なのだ。

で、情報を発信するには、ブログが向いている。そして、そのブログをより多くの人に見てもらえるようにSNSを利用しましょうというのが、本書の入り口なのでありました。

ででで、わたしもブログをやっているけれども、お金とは縁がないんすよね~。本を出したいとも思わないし、テレビなんか絶対出たくないと思っているから、先の展開が起こらないのだろうか……。

ただ、お金の使い方を変えるのが大事だというのは、よくわかる。「安物買いの銭失い」という言葉もありましてね……。わたしもここ数年でかなり意識的にお金の使い方を変えてみた。といっも、入ってくる収入の量は変わってない。つまり、出ていくお金の額も変化してないのに、安物買いをしないだけで、QOLは爆上がりしている。ここでマジで収入が増えたら、どんなことが起こるんだろうなぁ~。

なんて、遠い目をして考えてみる。

著者によると、ブログはプロフィールページが重要らしいので(共感ポイントらしい)、近々自己紹介をバージョンアップさせてみようと思います(^^)>

関連記事

続きを読む

『交雑する人類』|ルーツは「混ざり合い」

2018年、遺伝学者のデイヴィッド・ライクさんが、地球上の人類の交雑の歴史を太古の昔から紐解いてゆく。現在、グローバリゼーションの時代が到来し、人々はワールドワイドに行き交うようになったけれども、人々の大移動はなにも最近始まったものじゃないらしい。人は文明が興るはるか昔から、二本の脚で移動し、ときに舟を操り、大規模に移動しまくっていたのだ。人はどうやら、移動したがる生き物みたい。

これまでの人類の文化的な視点だけではなく、「遺伝学」という科学の側面から人類の歴史を見てゆくことで、これまでの通説を裏付けたり、あるいはまったく違った歴史が見えてくる。

「交雑する」というのはとても重要で、人は、移動し、拡散し、そして先々の土地に対応し、そしてそれらの人々が交雑し続け、文明をつくり、今日に至っている。面白いのは、ネアンデルタール人やデニソワ人と呼ばれる、ホモサピエンスとは違う仲間たちの痕跡だ。かつて、他の仲間たちとも交雑しながら、寒さ耐性を手に入れたり、わたしたちは環境に適応する力を手に入れてきた。

「交雑する」という科学的事実の前では、人種や民族といったカテゴリーも、生物学的なものではなさそうだ。例えばインドの例では、「インド人」という民族があるというよりは、小さな集団が集まった一つの国という方が、実態に近いらしい。遺伝学的な視点は、人種や民族への差別をなくし、また病気の対策にもなると著者は考えている。しかし、西洋科学への不信感から研究に協力的ではない人々や、差別を助長すると判断され、研究が進まない例も紹介される。アメリカでは、ネイティブアメリカンの遺伝学的な研究は一筋縄ではいかないようだ。

わたしはアジア人だから、アジアでの研究が気になるところ。だけれども、アジアでは人が爆発的に増え、交雑がたくさん起こったところでもあるから、今後の研究の結果に期待! ということらしい。つまり、まだ研究は始まったばかりなのだ。遺伝学的な研究が進んでいるのはヨーロッパらしい。アフリカ大陸からユーラシア大陸へ移動してきた人類が、ヨーロッパ組とアジア組の二手に別れた。ヨーロッパ組はすぐに行き止まりに突き当たり、そこで交雑が起こったから、研究も進んでいる。まだまだあたらしい分野であろうことがわかる。

分厚い本だけれども、好奇心掻き立てられる本だ。10代の人にも、ちょっと背伸びして読んでもらいたいと思う。

関連記事

続きを読む

『だし噺』|北海道の昆布と、九州の鰹があわさって…

料理に欠かせない「だし」だけを語る一冊。昆布やだしを扱うお店を関西を中心に全国に展開する「神宗」の社長、 小山鐘平さんが鰹と昆布の合わせだしを語る。オタクと言えばオタクでマニアックな内容。だけど、日本料理といわず、日本人の家庭料理には絶対欠かせない「だし」の話だから多くの人に関係のあるお話。

昆布でだしをとるのは、こだわり出すと奥深すぎて家庭料理の枠をはみ出してしまう。だからわざわざドリッパーでだしが引ける製品まで開発しちゃった熱の入れよう。しかし、本書では完璧な100点満点のだしの取り方にこだわった内容だから、どうしても鰹と昆布のだしの難しさと、だからこそ著者の会社が開発した製品を使うことに終始してしまっている印象。正直言うと、70点、80点を目指しても上場じゃないかと思わなくもなかった。

わたしが知らなかったのは、「だし」と言えば昆布だと思っていたけれど、これは関西の食文化らしく、地域によって「だし」の主役は違うらしい。関東では鰹だしが「だし」だそうだ。最近流行っている「あごだし」は九州のだしで、北海道ではとろろ昆布をだしに使うらしい。 関東では昆布のなじみが薄い家庭も多いらしく、 「昆布の佃煮」をどうやって食べるのかと質問もよくあるそうだ。わたしは昆布の佃煮、好きよ。

なんで関西は鰹と昆布のだしかというと、北海道で取れた昆布と、九州で取れて加工された鰹節が、天下の台所・大阪に集結して作られるのが「合わせだし」だからだ。大阪の海鮮問屋は長年このルートを持っているし、食文化として大衆にも根付いている。わたしも「だし」と言えば、昆布と鰹しか知らないや。

この本、図書館でたまたま眼について何も考えずに読み始めた本だったけど、結構面白かった。とりあえず、顆粒のだしでなく、昆布からだしを取りたくなる。

関連記事

続きを読む

『体幹リセットダイエット』|モデル体形を手に入れる

まず結論。『体幹リセットダイエット』。これいい! 女性だけじゃなく、男性にもおすすめ。

もう何度も何度もブログで報告してるけど、ずっと石井直方先生の『スロトレ』を読んで実践してたんだけど、最近サボりがち&マンネリ期が続いていた。

いろいろ本は読んだけど、コレってのも出会えなかった。で、今回読んだ『体幹リセットダイエット』は書店でもよく見たし、図書館でも予約件数がえらいことになっていて、気になっていた。で、一度読んだんだけど、そのときは引っかかるものがなくスルーしちゃったんだけど、この度読み返してみて、「ほう、真面目なこと書いてるなぁ」と思い、そして実際に「モデル体幹筋」を鍛えるトレーニングをやってみて、「こりゃ効く!」と大喜びしているところ。

「モデル体幹筋」とは本書で名づけられていた言葉で、プロのモデルが活動するときに使っている筋肉を鍛えると、気になる部分がシェイプアップして、さらに垢抜けられるというもの。notモデルなわたしたちは、脚が太くなる筋肉ばかりを使っていて、締まりのない体形を作る努力ばかり日々しているそうだ。こりゃいかん。アイドルの女の子なんかが、どんどん垢抜けて特別な人になってゆくのは、こういう体の身のこなしが変化してゆくのもあるのかもね。

ちなみにわたくしは、太ももの前の筋肉が張っているのと、お尻が真っ平なのがずっと気になっていて……「モデル体幹筋」を鍛えるトレーニングをやってみて気に入ったのは、お尻の上の部分の筋肉を意識できるようになったから。まだ全然フォルムが変わるとかそんなレベルじゃないけど、意識を向けられるようになっただけで大進歩だ。

あと、このトレーニングをやると、腰や肩の張りが改善されて、いつもスッキリして気持ちいい。悩みである慢性の肩こりも楽になってる気もする。

関連記事

続きを読む

『 女子のための「手に職」図鑑』|産休・育休・仕事復帰しやすい仕事は

『女子のための「手に職」図鑑』はずばりタイトルのまま、これから自分の仕事について考え始める10代の人や学生に向けた職業図鑑だ。「女子のための」と但し書きがついているのは、多くの女性が直面する産休・育休の取りやすさや、仕事復帰のしやすさ、子育てとの両立のしやすさなども加味されている図鑑だ。

あくまでその職業と、必要な資格や女性の働きやすさがまとめられている「図鑑」なので、その業種に就くことが簡単か否かは省かれている。たとえば、小説家やマンガ家などの作家業には、誰もが望めば就けるとは限らないだろう。

個人的に気になったのが、その業種に就くためのステップも紹介されているんだけれど、その界隈の専門学校や大学を出て→その業界に就いて……と書かれているのは、ちょっと違和感もあった。もちろん、医師免許をはじめ、国家資格や免許が絶対必要な業種もあるけれども、先に挙げた作家なんかは、あまりそこに当てはまらないだろう。わたしも一応、美術系の学校の出身で、イラストレーターやデザイナー、マンガ家になりたいと相談されることもあるけれども、正直別にデザイン系の学校を出る必要はないと思っている。それよりも「売り込み方」や「ツテ」や「コネ」を最大限に利用するために、その方法を教えてくれる人と接触した方が手っ取り早い。

そう、この『女子のための「手に職」図鑑』は、「ツテ」とか「コネ」についてはあまり触れられていない。一応は「その業種に就いて修業期間を経て独立」みたいなスケジュールは書かれてあったりするんだけど、なんで修業期間が大事なのかは説明されてないのね。この本が「図鑑」だから、そういう構成になっているんだろうけども、若い人に伝えたいことってそういうことじゃないのかなぁと思ったので、一応ここで触れておくw

わたしも今、入院中でヒマだから、なんか資格でも取ろうかなぁなんて思っていて、とても参考になる本だった。簿記くらいは取っておいてもいいだろう。インテリアコーディネーターの勉強してもいいかなぁとおもいつつ、行政書士でも目指そうかとか、いろいろ考えてなかなか面白い読書だった。

コラムが充実している

ちょこっとだけコラムが間に挟まれているんだけど、これがコンパクトだけど、要点を押さえた良いコラムだったと思う。

自分の進路がわかならいなら、ショッピングセンターを歩いていてみて、どのお店で立ち止まり、なにに興味を持ったのかを振り返ってみるとか、わたしも人へのアドバイスで使えそうな例だった。

また、不採用通知を受け取ったときは、とか、就職したものの「自分に合ってない」と思った時の対処法とか、リアルに直面するであろう問題の対処法が短くまとめられている。これも、わたしも読んでよかった。

関連記事

続きを読む