『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』

ターミネーターの世界はやってくる?

というか、人工知能ってなんだ??

きっかけ

『人工知能は人間を超えるか』は、今話題の!ですね。

2015年3月に発表され、依然としてあちこちの読書系ブログさんや、読書メーターで話題になっているのを見て、あさよるも読みたいなぁ!と以前からチェックしていました(^^)/

まずは「人工知能」とは何か?

「人工知能とは」と初歩的な内容から紹介されており、あさよるのような不案内な人間には、『人工知能は人間を超えるか』の導入部分はありがたく、また興味深いものでした。

まず「人工知能」、まるで人間のような知能を持つコンピューターは、未だ登場していません。しかし、人間の脳が電気回路であり、電気信号により思考していることを考えると、同じく電気回路を用いるコンピューターが、知能を持たないということはありません。

人間が電気回路を使い、なんらかの「計算」をしている状態が「知能」なのであれば、それが再現できればコンピューターも知能を持つということですね。

鳥の羽ばたきと、飛行機

また、こんな例も紹介されていました。人類は鳥のように空を飛ぼうと、鳥と同じように羽を羽ばたかせた。しかし、実際に実現した「飛行機」は羽ばたかず、ジェットエンジンを使い、空気の上を滑空するものでした。「空を飛ぶ」を実現したとき、元のモデルになった鳥の羽ばたきとは全く違うものでした。

人工知能が実現するときも、このように起こるのかもしれません。

すなわち、人間の知能を再現しようと研究を始めたが、完成する人工知能は、人間の思考法とは違うけれども、別の方法で同じような知能が実現するかもしれないのです。

そう考えると……ますます人工知能って、どう思考するのか、どんな手順を踏み、「知能」を獲得するのか、好奇心が掻き立てられますね。

知識がないとやや難しいかも…

『人工知能は人間を超えるのか』はとても面白い本です。とってもオススメ。なのですが……。

どうやらAI、人工知能やコンピューターについて、最低限の知識は持っていないと、読み解いてゆくのは大変かもしれません。

これを書いている あさよる 自身が、とてもサッパリわからない分野であったので、人に聞いたり、調べながら読みました(^_^;)>

もちろん、少しネットで調べればヒットするものですから、手間はかかりますが、じっくり読めば問題ないでしょう。

文体も平易で読みやすい文章ですから、「ググればOK!」ってことで(^^)v

「ディープラーニング」でAIが進化する?

人工知能と聞くと、あさよるは人間と将棋を指すコンピューターを連想しました。コンピューターが勝ったとか、人間が勝ったとか、時折ニュースになりますからね。

現在、東大合格を目指す「東ロボくん」も日夜、着々と偏差値を上げ、日本中の大学の合格判定内に入ってきているそうです。一方で、「コンピューターって東大合格出来ないんだ~」「そういうの得意そうなのに~」と思いました(笑)。

よく思春期の頃、「私はコンピューターじゃないんだから、教科書通りにできないよ!」なんて思ったりしていましたが、実はコンピューターもできなかったんですね(苦笑)。というか、テキストの通り、先生の指示通り行動できるのは、「人間らしい」ことだったのかもしれないと思いましたw

ディープラーニング経験の数で勝負!

人工知能研究は、さまざまななアプローチがなされてきました。

問題に対し、最適の解を導き出そうとすると、すべての場合を考えねばならず時間がかかります。人間の場合、勘とか思いつきとか、「見たら分かる」とか、瞬時に判断できることが、すべての場合を考えるコンピューターにとっては、莫大な情報量なんです。

ですから、外れても良いから、手当たり次第チャレンジをして、「失敗する」という経験を積むことで、ハズレを引かない確率を上げてゆく方法があります。

また、人間にとってはひと目で分かる画像も、コンピューターにとっては見分けが難しい。写真に写っているネコを見分けるには、かなりの経験が必要です。さらに、ネコとライオンを見分けるとなると、至難の業。

ビッグデータを用い、たくさんの画像を処理し、ネコと、ネコじゃないものをどんどん判断し、たくさん失敗することでネコを見分ける精度を上げてゆく。このような方式を「ディープラーニング」と言うそうです。

本書『人工知能は人間を超えるのか』ではディープラーニングについてページを多く割かれていました。日本全国の天気の欠けた情報を与え、全国の天気予報の正解率を上げる話など、面白く読みました。

映画『ターミネーター』は実現しちゃうの!?

人工知能と聞くと、映画『ターミネーター』を連想してしまいます。

『ターミネーター』の舞台は2029年。コンピューターが人工知能を持ち、反乱を起こします。人類は絶滅の危機に立たされます。『ターミネーター4』では、人工知能のコンピューターたちが支配する未来の様子も描かれ、とてもコワイ……。

ねぇ!人工知能ってコワイものじゃないんですか!?

著者・松尾豊さんのお答えはズバリ!「人工知能は人類を超えない」。

人間というのいうのは、知能だけの存在ではありません。「人間=知能+生命」なんです。そして、“生命であること”が人間を突き動かしています。生存のために、知能や本能を駆使し生き残ろうとするのです。

しかし、コンピューターには本能がない。もし、本能のようなプログラムが登場しても、生命を、肉体を持っていない。ここが、人間と人工知能の大きな違いなんです。

……ホットするような、ちょっとガッカリするような(苦笑)。

と言っても、人工知能の開発、まだまだ序の口っぽい!本書『人工知能は人間を超えるか』も、著書の考えが色濃く反映されているようなので、また違った方面からの研究、考えを持っている人の書籍も読んでみたく思いました。

とってもオススメ!

関連記事

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの

  • 松尾豊
  • KADOKAWA/中経出版
  • 2015/3/11

目次情報

はじめに 人工知能の春

序章 広がる人工知能――人工知能は人類を滅ぼすか

  • 人間を超え始めた人工知能
  • 自動車も変わる、ロボットも変わる
  • 超高速処理の破壊力
  • 人工知能はSF作家になれるか
  • 人工知能への研究投資も世界中で加速
  • 職を失う人間
  • 人類にとっての危機が到来する
  • この本の読み方

第1章 人工知能とは何か――専門家と世間のズレ

  • まだできていない人工知能
  • 基本テーゼ:人工知能は「できないわけがない」
  • 人工知能とは何か――専門家の整理
  • 人工知能とロボットの違い
  • 人工知能とは何か――世間の見方
  • アルバイト・一般社員・課長・マネージャー
  • 強いAIと弱いAI

第2章 「推論」と「探索」の時代――第1次AIブーム

  • ブームと冬の時代
  • 「人工知能」という言葉が誕生
  • 探索木で迷路を解く
  • ハノイの塔
  • ロボットの行動計画
  • 相手がいることで組み合わせが膨大に
  • チェスや将棋で人間に勝利を飾る
  • [秘訣1] よりよい特徴量が発見された
  • [秘訣2] モンテカルロ法で評価の仕組みを変える
  • 現実の問題を解けないジレンマ

第3章 「知識」を入れると賢くなる――第2次AIブーム

  • コンピューターと対話する
  • 専門家の代わりとなるエキスパートシステム
  • エキスパートシステムの課題
  • 知識を正しく記述するために:オントロジー研究
  • ヘビーウィエイト・オントロジーとライトウェイト・オントロジー
  • ワトソン
  • 機械翻訳の難しさ
  • フレーム問題
  • シンボルグラウンディング問題
  • 時代を先取りしすぎた「大五世代コンピューター」
  • そして第2次AIブームが終わった

第4章 「機械学習」の静かな広がり――第3次AIブーム①

  • データの増加と機械学習
  • 「学習する」とは「分ける」こと
  • 教師あり学習、教師なし学習
  • 「分け方」にもいろいろある
  • ニューラルネットワークで手書き文字を認識する
  • 「学習」には時間がかかるが「予想」は一瞬
  • 機械学習における難問
  • なぜいままで人工知能が実現しなかったのか

第5章 静寂を破る「ディープラーニング」――第3次AIブーム②

  • ディープラーニングが新時代を切り開く
  • 自己符号化器で入力と出力を同じにする
  • 日本全国の天気から地域をあぶりだす
  • 手書き文字における「情報量」
  • 何段もディープに掘り下げる
  • グーグルのネコ認識
  • 飛躍のカギは「頑健性」
  • 頑健性の高め方
  • 基本テーゼへの回帰

第6章 人工知能は人間を超えるか――ディープラーニングの先にあるもの

  • ディープラーニングからの技術進展
  • 人工知能は本能を持たない
  • コンピュータは創造性を持てるか
  • 知能の社会的意義
  • シンギュラリティは本当に起きるのか
  • 人工知能が人間を征服するとしたら
  • 万人のための人工知能

終章 変わりゆく世界――産業・社会への影響と戦略

  • 変わりゆくもの
  • 産業への波及効果
  • じわじわ広がる人工知能の影響
  • 近い将来なくなる職業と残る職業
  • 人工知能が生み出す新規事業
  • 人工知能の軍事
  • 「知識の転移」が産業構造を変える
  • 人工知能技術を独占される怖さ
  • 日本における人工知能発展の課題
  • 人材の厚みこそ逆転の切り札
  • 偉大な先人に感謝を込めて

おわりに まだ見ぬ人工知能に思いを馳せて

松野 豊(まつの・ゆたか)

東京大学大学院工学系研究科 准教授
1997年、東京大学工学部電子情報工学科卒業。2002年、同大学院博士課程修了。博士(工学)。同年より産業技術総合研究所研究員。2005年よりスタンフォード大学客員研究員。2007年より現職。シンガポール国立大学客員准教授、株式会社経営共創基盤(IGPI)顧問。専門分野は、人工知能、ウェブマイニング、ビッグデータ分析。
人工知能学会からは論文賞(2002年)、創立20周年記念事業賞(2006年)、現職イノベーション賞(2011年)、功労賞(2013年)の各賞を受賞。人工知能学会 学生編集委員、編集委員を経て、2010年から副編集長、2012年から編集委員長・理事。2014年より倫理委員長。日本トップクラスの人工知能研究員の一人。
共著者に『東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」』(KADOKAWA)がある。

コメント

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