『暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり』|仮想通貨は必然だった

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『暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり』挿絵イラスト

こんにちは。ビットコイン持ってますかーっ!  あさよるはプロフィールにモナコインウォレットを載せてるのですが、ここ最近の仮想通貨の高騰により「なんかウォレットを載せてるのってどうなの?やらしくない?」と若干戸惑っていますw ネタ的なつもりだったんですが、ガチで値上がってますなあ。

ということで、念のためにここでもモナコインウォレットを載せておきます(なんやねん)。

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とまあ、冗談は置いておいて、ね、「仮想通貨」ってなんなのよ。話題になってるけど、変なモンじゃないの? なんか騙されそうでコワイ! と警戒している方はぜひ、本書『「ビットコイン」のからくり』を読んでみてください。ブルーバックスで、10代の人にもわかりやすいように噛み砕いて、ビットコイン、仮想通貨・暗号通貨、ひいては「通貨」「価値」についてわかりやすく解説なされています。

本書が出版されたのは2014年ですから、現在のビットコインバブル以前に書かれた書物です。ですから、価値の高騰やトレードのための本ではなく、仮想通貨・暗号通貨の考え方や、通貨とはなにかを掘り下げる内容です。「なんや、仮想通貨ってオモロイやん」と思い至るでしょう~。

ビットコインの登場は必然

ビットコインの是非云々ではなく「世界はビットコインの登場を待っていた」話から本書『「ビットコイン」のからくり』は始まります。インターネットの普及で「簡単決算」の必要性が高まりました。物を売る人も買う人も、決算は簡単にしたい。クレジットカードやデビットカード、SUICAなどの鉄道カードなど、簡単な決算方法が増えました。

ネットでは「振り込めない詐欺」という言葉があります。「振り込め詐欺」をモジった言葉で「良いコンテンツを楽しんだのに、その対価を払う先がない」状況を表しています。ネットでは世界中の人がたくさんのコンテンツを公開しています。もちろん玉石混交なのですが、中には素晴らしいコンテンツも含まれています。そんなコンテンツに出会ったとき、感謝や労いの気持ちを「投げ銭」したいのに、安全で簡単な決算方法がなかったのです。

仮想通貨・暗号通貨は、まず潜在的にニーズがあり、そこにビットコインが登場したんですね。ポイントは「安全」で「簡単」であること。なので、本書では「仮想通貨」ではなく「暗号通貨」という言葉で統一されています。ビットコインの情報は暗号化されており、匿名でかつ複製しにくい通貨だからです。

本書では仮想通貨・暗号通貨は「通貨」と呼べるのか?というギモンにも多方向から検証されています。が、どうやら「通貨」としか言えないみたい。むしろ、株式やTポイント、Amazonポイントなんかも、ポイントのまま買い物ができて、通貨とも言えます。

『暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり』挿絵イラスト

数学の勉強には価値がある!

本書『「ビットコイン」のからくり』のコンセプトはちょっと面白い。仮想通貨・暗号通貨を解説することだけが目的ではありません。本書はブルーバックスですので、中高生が読者として想定されています。ちょっと長いですが掻い摘んで引用します。

ビットコインの登場によって、いまや“暗号”や“ハッシュ”について考えることも、貨幣論にふくまれるようになりました。貨幣論は、はっきりと“数学”の応用分野のひとつになったのです。

(中略)

通貨はビジネス上の取引コストを節約します。これによって、通貨そのものが価値をもたらす働きをします。そして、暗号通貨のための数学・計算・プログラムは、通貨の機能を維持するために使われます。本当の意味で、数学や計算が新しい価値を生み出すのです。

(中略)

さて、高校や大学で学ぶ数学だけでなく、より基礎レベルの中学数学でさえ、「生活のうえではまったく役に立たない」との意見があり、悪名高い「ゆとり教育」では、本当はぜひ学んでおくべき教育内容のいくつかが中高の数学の教科書から消えました。その反省もあって、2014年度に高校3年生になった生徒たち以降は「脱ゆとり」のカリキュラムで学んでいます。

(中略)

中学校で学ぶ数学のなかで、いちばん役に立たないように思える内容として、「素数、素因数分解」があります。しかし、素数や因数分解は、ビットコインのような暗号通貨だけでなく、さまざまな情報の安全性を維持する技術の基礎となっています。(中略)
ビットコインについては「自己責任」が強調されています。本書でも強調しました。そして、中学レベルの素数や素因数分解の話がわかっていれば、ビットコインの暗号の考え方がわかりやすかったはずです。
大切なおカネの話で、新しいテクノロジーを自己責任で理解するには、数学が役に立つのです。情報化社会のなかで、数学が生活の役に立つ場面は、今後もっとふえるでしょう。

p.261-267

数学を勉強しても実社会で役立たないと評価がなされていて、実際に「ゆとり教育」以降では数学の内容がカットされています。しかし、新しいテクノロジーの時代を自己責任を負って生きるには、数学の知識が必要だと説いておられます。実際に本書『「ビットコイン」のからくり』を読み解くには、学校で習った数学の知識を必要とします。

ビットコインの衝撃は、今後もなんども続くでしょう。本書ではビットコインの未来を、マイニングがすべて終わるより先に、他の仮想通貨が主流になるのではないかと予想されています。まだ仮想通貨・暗号通貨の歴史は始まったばかりですから、トレンドはめまぐるしく変化し続けると想定しても違和感はありません。

「暗号通貨」と呼んでいるように、ビットコインでは「ブロックチェーン」と呼ばれる暗号によって不正を防いでいます。この技術は、通貨以外の事柄にも転用され使用されるでしょう。例えば、電子書籍の中身の改ざんを防いだり、電子書籍サービスが終了しても、その電子書籍が自分のものだと証明して、保持し続けることができるかもしれません。

現在はビットコインを筆頭とする仮想通貨・暗号通貨の、価値の高騰ばかり注目されていますが、そもそも仮想通貨・暗号通貨に使われている技術が、今後もっと使われるようになるのなら、今の時点で仮想通貨について知っておいてもソンはない。

仮想通貨オモロー!

あさよるが仮想通貨について最初に人から教わったとき、その概念や思想が面白くってたまりませんでした。金本位制経済であり、金を採掘する(マイニングする)ことで世界の富は増えてゆき、あるときに採掘し尽くしてしまう。

「投げ銭」の手段としての仮想通貨の必要性を紹介しましたが、SNSでは「いいね」で称賛を送れます。しかし、「いいね」と仮想通貨の決定的な違いは、「いいね」はいくらでもできるけど、仮想通貨は自分が持っているだけの価値分しか贈れないことです。そう、上限があるから、仮想通貨は貴重で、価値を持ちます。「いいね」をクリックするのはタダだし、価値が生まれないのです。

仮想通貨・暗号通貨について考えるとき、まずは「通貨とは何か」を考えなければなりません。株券は通貨なのか? Tポイントは? SUICAは? Amazonポイントは? 中央銀行がなくても通貨になるの? 国家が発行しなくても通貨なの? あるいは、国家がなくなったらその国家の発行する通貨はどうなるの?

グローバルに世界が混ざり合う時代に、国家が発行する通貨は不便なものになるのかもしれません。日本の都市部で生活していると、至る所にコンビニATMがあるし、円を現金でやりとりするのも簡単です。しかし、ワールドワイドな規模で見ると、日本のような環境は特殊でしょう。そもそも日本でも、地域や職業によって通貨を分けたら良いのではないかという話があるそうです。地域や産業による経済格差を減らすためです。どうも「国家が一種類の通貨を発行する」と常識で思い込んでしまっていますが、このやり方は必ずしも効率的ではないようです。

また仮想通貨は「暗号」の技術であるのですから、国家も、テロリストでも、誰も情報を改ざんできません。国にとって不都合な情報が記された書物も焚書できないし、テロリストたちが世界の富を盗み出すこともできません。グローバルな時代の価値を守る手段としての暗号なのです。

仮想通貨・暗号通貨が話題になる今、そもそもの「通貨とは」「価値とは」をじっくり考えるに格好の時代なのかもしれません。ついでに、中学の数学の復習もしつつ(;’∀’)

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暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり

目次情報

はじめに

第1章 ビットコインとはなにか? なぜ生まれたのか?
――ハッカーの遊びから生まれた“少額決算”の解決策

第2章 ビットコインは“通貨”として通用するか
――「世界で使える良貨」の条件

第3章 ビットコインを支える暗号技術
――コピーできても偽造できない通貨

第4章 ビットコインは通貨の未来をどう変えるか
――「国家破産に巻き込まれない通貨」の可能性

ビットコインのもおうひとつのインパクト
――数学の勉強には夢も実益もある

さくいん/巻末

対談コラム1 マウントゴックス事件の読み解き方
対談コラム2 「匿名性」についてとことん考えている
対談コラム3 “寿命”が次世代の進化を産む

吉本 佳生(よしもと・よしお)

一九六三年、三重県生まれ。エコノミスト・著述家。専門分野は生活経済、金融経済、国際金融。著書に『確立・統計でわかる「金融リスク」のからくり』(講談社ブルーバックス)、『金融工学の悪魔』(日本評論社)、『スタバではグランデを買え!』(ダイヤモンド社)など。NHK教育・総合テレビで放送された「出社が楽しい経済学」の出演・監修者。

西田 宗千佳(にしだ・むねちか)

一九七一年、福井県生まれ。ネットワーク、IT、先端技術分野の第一人者として活躍するフリージャーナリスト。著書に『顧客を売り場に直送する――ビッグデータがお金に変わる仕組み』(講談社)など。月に二回、毎号書き下ろしの短編電子書籍を販売する個人メディア「西田宗千佳のRandom Analysis」で新しいメディアの形を模索している。

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