【書評】稲垣栄洋『面白くて眠れなくなる植物学』|今すぐ誰かに話したい!

へぇ~ へぇ~ へぇ~

身近な植物、野菜、果物の超効率的な生き残り戦略!

『照葉樹林文化』を読んで、植物……気になるっ!

以前、当ブログに上山春平『照葉樹林文化』を読んだ感想を書きました。

植物の生息によって、人間の文化や生活が変わるというのです。人が生きるには植物は欠かせませんから、植物の分布によって文化が変わるのです。

植物と自分の持っている文化を交えて考えたことがなかったので、全く新しい視点を得た気分。

『照葉樹林文化』から派生して、これから読書をしたいなぁと思い、まずは植物のことを知らないと!と、まずは目についた『面白くて眠れなくなる植物学』を手に取りました。

ちなみに、この「面白くて眠れなくなる」シリーズは、他にも読んでいます。

難しい内容ではなく、ライトで楽しく読んで、へぇ~と感心するプチネタがたくさん詰まったシリーズです。

「へぇ~」植物、野菜、果物のトリビア集

本書『面白くて眠れなくなる植物学』で扱われる「植物」は、日本人がよく知っている植物たちばかりです。タンポポとか、サクラとか、アオイとか。

そして、バナナやリンゴ、ダイコンやニンジンと、よく知っている果物や野菜。

馴染みのある植物の話だからこそよく分かる上に、よく知っているはずの食べものたちのコト、実はなんにも知らないことが発覚するでしょう!

超効率的な、植物のしくみ

「植物」って、オーガニックな、ナチュラルな、イメージの代表として扱われるのと共に、スローライフな、非効率な象徴として扱われているように思うのですが、いかがでしょう。

もちろん、実際の植物たちは自然環境の中で熾烈な生き残り戦をしています。ですから、彼らは非常に効率的に生きています。

ちょっとこの時点で、一般に扱われる「植物」と、実際の生物としての「植物」の違いがわかります。

咲く、なる、生える、伸びる……植物の生き残り戦略

葉の形、葉の枚数、茎が伸びる方向、花びらの枚数……。これらは決してランダムではなく、きちんと決まっています。

彼らは何も、気分で成長しているのではなく、懸命な生き残り戦をしているのです。

また一説に、恐竜の絶滅理由に植物が関係しているというものがあります。恐竜が君臨していた長い年月の間に、植物も大きく進化しました。

古代の森には巨大な裸子植物が生えていました。しかし、恐竜の時代の終わりには、被子植物が登場し、森に花が咲くようになりました。この、裸子植物から被子植物へと、森の様相の変貌が起こったことにより、草食恐竜達の食べものがなくなっちゃったんですね……。

リンゴやイチゴの実のひみつなどなど、挙げればキリがないくらい、興味はつきません。

おいしい植物のはなし

「植物」として、おいしい食べものも登場します。

いつも食べているリンゴやバナナ、イチゴ、タマネギ、ニンジン……よーくよーく知っている、今朝も食べた野菜たち……だけど、あさよるは彼らのことをまだ知らない……。

トウモロコシのつぶつぶの色の違いとか、カイワレダイコンが成長すると何に鳴るか?とか、小学生の理科っぽい。だけど案外、大人になるまで知らなかったものもの。

ちょこっと読んで話のネタに

小さな区切りで章節が分けられているので、空いた時間にちょっとずつ読み進めるのに最適です。あさよるも、久々の病院の待ち時間に、つらつらと少しずつ読み進めていました^^

で、この本、読んで面白いんですが、なにより人に教えたくなるんですよ。ドヤァ!ってね、したくなるw

身近な植物、野菜のはなしは“使いやすい”

他人に植物トリビアを披露するにあたり、「みんながよく知っている植物」であることって、大事だと思うんです。そもそも、取ってつけた知識でドヤァするわけですから、ねぇ。質問されたりすると困るわけですww

ですから、馴染みのある植物ばかり登場するのは、人に話すにもいいなぁと思いました。

なにより、あさよる自身も、よく知っている植物の話は身近で面白かったです。

専門的な内容じゃないよう

不満というワケではありませんが、決して専門的な内容ではありません。義務教育を受けた大人なら、誰でもわかる内容です。

あさよるは、『照葉樹林文化』からの流れの本を探していたので、欲しかった内容とは違いました。が、これはこれで十分、楽しい。

“眠れなくなる”“話たくなる”植物のはなし

「面白くて眠れなくなる」というタイトルには偽りなし!さらに、人に「話したくなる」植物の話がたくさんです。

本を読むって、一人っきりの閉じた作業になりがちですが「人に言いたい!」「話したい!」って衝動はすごく大事だと思います。「本」がコミュニケーションの道具になるんですね。

『面白くて眠れなくなる植物学』、自己完結せず、外へ開いた読書ができる書籍。すごく良い本だと思います!

もっと専門的な内容が読みたいなら他の書籍に譲って、「話のネタに」といっそ割り切って読むのも面白いかも!?

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『面白くて眠れなくなる植物学』

  • 稲垣栄洋
  • PHP研究所
  • 2016/4/23

目次情報

はじめに

PartⅠ すごい植物の話

木はどこまで大きくなれるのか?
植物のダ・ヴィンチ・コード
花占いの必勝法
花は誰のために咲く
ちょうちょうはなぜ、菜の葉に止まるのか?
花の初恋物語
トリケラトプスの衰退と植物の進化
リンゴのヘタはどこにある?
日本タンポポ対西洋タンポポ
水戸黄門の印籠はフタバアオイ
紅葉はなぜ赤くなる?
植物の毒は私たちを魅了する
マツはなぜめでたいのか?

PartⅡ 面白くて眠れなくなる植物学

芽が出ない……
竹は木か草か?
ニンジンの上手な描き方
木が先か? 草が先か?
大根足はほめ言葉!?
植物が動かない理由
植物はなぜ緑色をしているのか?
植物の血液型は?
桜のジャージーは何桜?
種子のひみつ
メンデルの遺伝のはなし
カラフルなトウモロコシの謎

PartⅢ 読み出したらとまらない植物のはなし

赤ちょうちんは熟した果実!?
草原のものがたり
台所の植物学
カイワレ大根が育つとどうなる?
どうしてバナナにタネはないのか?
ねこじゃらしは高性能植物
泥棒の風呂敷は唐草模様
オスの木とメスの木
法隆寺の柱は生きている?
暮らしを支える植物繊維
植物の惑星――地球

おわりに

稲垣 栄洋(いながき・ひでひろ)

1968年静岡県生まれ。静岡大学農学部教授。農学博士、植物学者。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、現職。主な著書に『身近な雑草の愉快な生きかた』(ちくま文庫)、『植物の不思議な生き方』(朝日文庫)、『キャベツにだって花が咲く』(光文社新書)、『雑草は踏まれても諦めない』(中公新書ラクレ)、『散歩が楽しくなる雑草手帳』(東京書籍)、『弱者の戦略』(新潮選書)、『身近な花の知られざる生態』(PHPエディターズ・グループ)などがある。

コメント

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