00 総記

『「脳を本気」にさせる究極の勉強法』|我慢、苦労は脳にいい?

こんにちは。勉強のはかどらない あさよるです。言い訳として、日々の業務に追われて時間が過ぎてしまいます。現実には、食事(おやつ含む)に時間を取りすぎで、YouTube見る時間が長すぎてタイムオーバーしています。はぁ。優先順位が「YouTube>勉強」になってんのよね。そりゃそうか。

なんとか意識改革をしたいと、脳医学者・瀧靖之さんの『「脳を本気」にさせる究極の勉強法』を手に取りました(`・ω・´)>

大人の勉強法

本書『「脳を本気」にさせる究極の勉強法』は、大人に勇気とやる気をくれる脳医学者の本です。もし、「勉強」というものが子どもだけのものだと思っていたり、歳を取れば「成長」できないと思っている人がいるなら、本書を読むべきです。「勉強」は今からできるし、「成長」は死ぬまで続けられるのです。

著者の瀧靖之さんの本は、以前あさよるネットでも紹介しました。こちらは、脳医学者が子育てや子どもの教育を語ったもの。脳には刺激が必要で、その刺激はワクワクや好奇心がそれを促すのです。

好奇心は大人の脳も刺激します。大人の脳も、ふだんから刺激を与えていれば成長し続けます。反対に、動かさなければ錆びてしまいます。「勉強する」っていうと嫌な気持ちになるなら「好奇心を刺激する」ならワクワクしますね。

『「賢い子」に育てる究極のコツ』|脳の成長は〈ワクワク〉!

真面目な、フツーの勉強法!?

本書を読んでいて、だんだんと疑惑が確信に変わってゆきました。

「あれ……これって……ガチなホントの勉強法なんじゃ……(;^ω^)(;^ω^)(;^ω^)」

  • 寝るベシ

まず、学習のために睡眠は必須です。脳は休めないと働かないし、眠ることで記憶が定着しやすくなります。むしろ、「眠りも学習の一部」と考えるべきですね。また、寝ると頭がすっきりするというのも科学的な話し出そうです。眠っているとき脳がキュッと収縮してすき間が出来、そこを脳髄が流れて入れ替わるんだそう。へぇ~。

  • 「しなければ」から「してしまう」に

手の空いた時間にソシャゲをするより、パパっと勉強をする方がいい。そのためには、常にいつでも勉強できるように備えておくのです。メモ帳を常に手元に置いておきましょう。くれぐれもスマホでメモしてはいけません。なぜなら、スマホの画面を開いたら他のアプリも触っちゃうでしょう?

そう、人の脳は「決断」をするのを避けます。だから、決断しなくても「やってしまう」環境づくりをすべきです。一旦開いたアプリを閉じ、スマホを触るのをやめるのは、決断しないといけませんから、大変です。勉強部屋や勉強机をもうけることも、机=勉強=嫌!になってしまうなら不要。むしろ、その辺で気楽にゆるっとやる方がいいのだ。本書ではこんな指南が。

・本棚はリビングに置く
・食卓の端に勉強道具を常備する
・資格試験のテキストは出しっ放しにしておく

p.84

そういやなんか、東大生は子どもの頃、台所のテーブルで勉強をしてたとかなんとか聞いたことある気がする。

  • 小さな積み重ねを続けるベシ

また、生き物は変化を嫌います。だから、ボーっとしてると、ずーっと今のまま。変化は起きません。自分の習慣や生活を変えたいなら、エネルギーを使って「決断」し「変化」をしないといけません。あまりに大きな変化は苦痛だから、日ごろから小さな積み重ねしかないのね……(;^ω^)

  • 脳は疲れる!だから

脳は使うと疲れるので、朝のほうが脳は元気。朝のアタマが冴えている感は、経験として多くの人が感じていることのようです。が、科学的にはよくわからないんだそう。んで、医学生の定番は、寝る前に暗記ものの勉強をすること。こっちはテッパンみたいね。

  • 夢を見るベシ

なにか目標を持って勉強するなら、その先を考えないとモチベーションが続きません。例えば、親が子に「医学部へ入学しなさい」と助言するよりも、「医者はこんなにすごい職業だ」とか「医者になるとこんなことができる」と、医学部へ入学した先の話をしないと、なんのために勉強しているのかわかりません。

確かに、あさよるも英語の勉強したいのですが全く手つかずなのは、「英語を勉強してどうするか」が全くないからなのね。数学の復習もしてるのですが、こっちは「数学復習しなきゃ化学の計算式が微妙だ」と思ってるからで、化学が必要なのは、栄養学を勉強して体調管理につなげたい。そして「メリハリボディが欲しい!」これが数学の問題を解く原動力なのですなw

  • 苦手と不慣れはちゃうで

ちなみに、何ごとも最初は慣れないから上手くいかないものです。でも、「不慣れ」と「苦手」は違います。うまくできない、わからないストレスは、続けている内になくなってゆきます。時間をかけて見極めましょう。

コツコツ頑張りましょう^^

子どもはある程度、他の子と競争することで経験値が上がってゆくようです。しかし、大人は競争するよりも「好きなこと」「得意なこと」にどっぷりとハマることの方が、ずっと学習効率は良いみたい。大人の勉強って「とっておき」でやめられまへんなぁ( *´艸`)

先に、受験生に「医学部へ行け」じゃなく「医者はすごい」という話をすべきだと紹介しました。それは、大人の学習に当てはめると、「私はなぜ勉強をするのか」と突き詰めて考え続けることで、その先に「マジでしたいこと」があるはずです。それを強く意識する。そのために「なんで勉強するの?」の問いをやめてはいけません。

そもそも、好きでやってるんだし、そんな自問自答苦じゃないよね。

で、「予習」をしよう。予め知ってるコトしか頭に入ってこないし、予習しないとメモもろくにとれない。自分の明日のために「予習」しておく、って、なんか充実してる感じよね。

続きを読む

『東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方』|頭のいい人の頭の中

こんにちは。ぼけーっと週末を過ごしちゃう あさよるです。頭のいい人って、休んでるときも頭がいいんだよな~と思うと悲しくなってきちゃった(苦笑)。本書『東大物理学者が「考える力」の鍛え方』の著者はもう、なにがどうなっても“カシコ”だし、カシコの著者が「考える力」に鍛え方があるというのならば、それは知りたいと思いましたw

先に言っときます。これ、真面目なヤツです。楽に手抜きする方法は紹介されています。〈考える力〉を正攻法で身につけたいならぜひ。地味で地道な話なのですが、結局コレが一番近道なのかも。

「考える力」とは

「頭の良さ」とはなんでしょうか。受験では「たった一つの答えを見つける力」が評価対象ですが、それは「頭の良さ」の一部であって全体ではありません。大学生になって、あるいは就活が始まって、院生になって、他の「頭の良さ」を求められるようになり、混乱してしまう場合も多いんだとか。

繰り返しになりますが、大学受験までは「たった一つの答えを見つける力」だけが評価対象になることが多く、優秀な人ほどそれに特化した思考を身につけています。しかし、大学や社会では「一つの答え」が存在しない問題が提示されたり、問題すらなく自分で「問題を見つける力」が必要になります。

著者・上田正仁さんは物理学者で東京大学の教授であり、学生たちに「考える力」を身につけさすための教育を本書で紹介されています。学業成績を効率よく上げる「マニュアル力」も、「考える力」を身につけるための基礎力になります。必要な力であり、これを否定しているわけではありませんが、使える場が限られているのです。「考える力」はアイデアを生むために不可欠な「創造力」です。

上田正仁先生によると、「考える力」とは3つの要素があります。それは「問題を見つける力」「解く力」「諦めない人間力」の三要素。簡単に見てみましょう。

  • 「問題を見つける力」

問題を見つける力は実社会で重要な力。にもかかわらず、受験勉強ではスッポリ抜け落ちている部分でもあります。大学生や社会人になったとき途方に暮れてしまうのもわかります。大学でも、本格的に「問題を見つける力」が必要になるのは博士課程からといいますから、かなりレアな能力でもあるんですね。

まず、日ごろからの疑問を大切にする習慣を身につける。一方通行な講義に慣れてしまっていますが、「対話」を心がけましょう。

「問題を見つける力」を身につける極意は、人との対話、そして、自分との対話の積み重ねを通じて問題意識を煮詰めていくことなのです。

p.47

普段無意識に考えていることを意識下に置き、一つずつ問題を炙り出してゆきます。考えて「わからない」ことこそが重要です。「わからない」は大抵「事実を知らない」「答えがわからない」「何がわからないのかわからない」の三つです。中で「何がわからないかわからない」はパターンも多く曲者で、わからないことを明確にしてゆきましょう。「何がわからないか」がクリアになれば、問題や課題がハッキリします。

で、当然ですが「メモを取る」習慣が大事です。いつもポケットに筆記具を忍ばせて、どこでもメモを取れるように。情報も、ウィキペディアなんかを読んで「分かった気」になってもしかたありません。じっくりと読み込みます。

面白いのは「自分が理解した情報は捨てよ」との指南がなされている点でしょうか。通常は「知っていること」「分かっていること」が大事だと思ってしまいがちですが、ここでは「分からないこと」を探しているわけです。どんどん自分の理解したことを捨てていくと、ポッカリと「わらかないこと」が浮き彫りになるのです。

  • 「解く力」

「解く力」には学業成績を上げるのに必要な「マニュアル力」を使います。課題をパターン化し、解くための手順をしっかりと見定めます。創造的な問題には決まった答えが用意されていませんから、多角的に対策を立てアプローチしてゆきます。

基本的なプロセスは次のようになります。

・複雑な問題を類型化する

・要素に分解する

・各要素を1つ1つ解決する

・解決できなかった要素があった
(または各要素は解決できたが、最初の問題の解決にはつながらなかった)

・その問題解決のために足りない要素は何かを分析し、もう一度トライする

p.118

これの繰り返しです。

また、あえてと遠回りをすることも恐れてはなりません。優秀な人ほど最短距離で最適解を見つけてしまう故に、遠回りしないのかもしれません。

2005年にノーベル物理学賞を受賞したテオドール・W・ヘンシュ博士がよく使うスライドの1つに、ニワトリとひヒヨコが描かれている絵があります。ニワトリは柵の向こう側にあるエサを目ざとく見つけますが、柵にさえぎられてくちばしが届かず食べることができません。一方で、気ままに動き回るヒヨコは遠回りしながら、いつの間にかエサとは反対側の柵の切れ目から外に出てしまい、エサへと近づいているというものです。

p.122

ニワトリのように一直線に突き進もうとする行動を「ゴール・オリエンテッド」、ヒヨコのように好奇心のままに行動することを「キュリオシティ・ドリヴン」と言い、研究においては後者の重要性を説いています。

好奇心の赴くままに行動しよう!

  • 「諦めない力」

簡単に答えが出ない問題にこそ、大切な時間と頭脳を費やすだけの価値があるのです。自分の見つけた課題に時間をかけて取り組みましょう。このとき、やらないことを決めることで、やるべきことに集中する方法もあります。

原動力は先ほど述べた「好奇心」。好奇心に突き動かされているからこそ、続けられるエネルギーです。また、時には振出しに戻る勇気も必要です。

インスタントな〈答え〉を探しちゃう私たち

中学高校大学と受験や試験問題では〈答え〉を早く見つけるの力が試され続けました。その力ももちろん大切な力ではあるんだけども、〈創造する力〉を身につけるにはその先の「考える力」が必要だと知りました。〈創造する力〉とは、答えのない問題を見つける力です。まだ誰も答えを見つけていないことや、自分独自のやり方を見つけるのです。

ですから〈答え〉ではなく〈疑問〉を大切にする。そのために、自分の無意識化にあることも考える。

ついつい私たち、疑問に思ったことはその場でパッと検索しちゃったりして、適当に分かった気になるような答えを見つけて納得してしまいます。本当はなんにも分かっていないのに……(苦笑)。そうじゃなくって、自分の疑問に対し、好奇心を持って丁寧に取組んでゆきましょう。インスタントにそれっぽい回答が得られる現代だからこその悩みですね。

意外?泥臭く「考え続ける」姿

頭のいい人たちはさぞやスマートに思考していると思いきや、本書を読めば読むほど泥臭く、地道で地味な思考の連続であることを知りました。「思いついたことはメモする」とか「情報をよく読み込む」とか、突飛でもなんでもなく、巷で語られることです。「諦めない」なんてともすれば根性論に聞こえてしまうようなことです。

結局のところ、地道なことを黙々とやり続ける能力ことが「マニュアル力」、すなわち学業成績が良い人なのだろうし、さらにその先に研究や実社会で成果を残す人もやはり、真正面から実直に物事に取り組むことなのかもしれません。面倒くさがりな我々は、すぐにズルしたくなりますが、近道なんかなくって、延々と果てない道を歩き続けることだけがゴールへの近道なのかも。

そういう意味で、パッとやればポンッと結果が出るようなものを探している方にとっては、本書『東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方』は役に立たないものでしょう。だって、正攻法しか書いてないから。

続きを読む

『つながる図書館』|日本の〈新しい図書館〉模索中

こんにちは。図書館で育った……と言っても過言ではない あさよるです。幼い頃は毎日のように図書館へ通っていて、小学校に入学して「図書室を使っていい」と知ってから毎日休み時間のたびに図書室に通い詰めていました。10代の頃は「人と口を利きたくない」との中二的理由で本を読んでいましたw

先日、あさよるネットでも紹介した『未来をつくる図書館』を読んで、ニューヨークの図書館の在り方に心底驚きました。あさよるの図書館の利用法ってあくまで、図書館の一部なんだと知ったのです。

『未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告―』|すごすぎる図書館!

図書館は就職支援や起業支援もしていると『未来をつくる図書館』では紹介されていました。で、あさよるも地元の図書館をチェックしたところ、スペースは小さいですが就職支援、起業支援の情報があったー! ニューヨークの図書館ほどではないですが、地元の図書館も本の無料貸し出し以外の業務もしているようです。

そして今日読んだのは『つながる図書館』。これは日本の公共の図書館の取り組みを紹介したものです。日本でも図書館のありかたは大きく変化しているようで、全国で模索が続いている様子がわかりました。

全国の図書館の取り組み実例

本書『つながる図書館』は、実際に全国の図書館がどのような取り組みをしているのか、どのような立場に置かれているのかが紹介されています。図書館って自分が利用できる自分の街の図書館しか知らない方も多いはず。他の図書館の様子を知れるのは新鮮です。

ここでは『つながる図書館』で紹介されている実例の一部をちょろっと紹介します。

まず、最初に「武蔵野プレイス」という武蔵野市の図書館。こちら、写真で見てもめっちゃオシャレ。コンセプトは「市民の居場所」だそうで、広場や公園のようにカフェがあり、無線LANが使えて、ざわめきの中に図書スペースがあり、ギャラリースペースではコンサートが開かれることも。シーンと静まり返っていない雰囲気だから、子どもたちが多少ガヤガヤしても気になりません。ビジネスマンも子ども連れもみんなが一緒にいられる場なんです。それとは別に二十歳以上立ち入り禁止の、子どもたちだけのスペースがあって、ダンスやバンドの演奏ができるスタジオがあるというから羨ましい。「子どもたちの居場所」です。

鳥取市にある鳥取県立図書館では、入り口にたくさんのチラシが並んでおり、カウンターでは質問し辛い法律の悩みの回答などが、前もって置かれているんです。弁護士に相談すれば数万かかるところを、図書館であらかじめ問題の整理ができます。また、定期的に操業・融資の相談会や、中小企業判定士による相談や、特許相談会など実施されています。鳥取県立図書館ではビジネス支援として、農家や学校の先生や公務員を支えたり、若者の就職支援も力を入れています。そのために司書は専門の知識や人脈を持っていることが前提です。

課題解決型図書館へ

図書館の変化はが起こったのは、図書館の予算はどんどん削減される中、1999年「図書館館長は司書の資格を持っていなくてもよい」と法律が変更がなされ、次は図書館職員が「司書資格をもつ専門家でなくてもいい」と変更されるのでは?という現場の危機感が後押ししているそうです。

従来の貸出のみの業務は機械でもできますから、「司書でなければできないサービス」が模索され始めたのです。司書は専門知識を有しており、その図書館の蔵書にも精通している専門家です。図書館になくてはならない存在です。

神奈川県立図書館では、市立図書館と県立図書館という似た施設が二つもあるのは税金の無駄だとコストカットされた図書館です。横浜市にある県立図書館では貸出と閲覧の廃止。川崎市の県立図書館は廃館とされた。これは、横浜市民にとって市民図書館と県立図書館が並んであるので「二重行政」に見えてしまう。しかし、他の地域の住人からすれば、県立図書館は必要ではないのか?都市部とそれ以外での格差が広がってしまわないか? 非常時に果たす図書館の機能を考えると、簡単に「コストカット」してよいものだろうか。

従来の「利用者が欲しい本を探して借りる」という図書館のかたちから、新たな「課題を解決する」という専門家だからできるサービスへ移行しようとしている一方で、存続が問われ閉館になる図書館もあります。

賛否両論!武雄市図書館

武雄市図書館の話題はご存知の方も多いかも。TSUTAYAを運営するCCCが武雄市図書館の管理をしており、貸出カードは「Tポイントカード」で一日に一回利用すると3ポイントが貯まります。ここで、利用履歴の個人情報が守られないのではないかと懸念されています。図書館には「図書館の自由に関する宣言」というものがあり、「図書館は利用者の秘密を守る」としています。個人のプライバシーや匿名性が守られなければならないものなのです。

ざっと、本書で触れられていた武雄市図書館をめぐる賛否を上げます。

いいところ

  • Tポイントがたまる
  • おしゃれな知的空間で、デートに来る人も多い
  • 「まちづくり」としての図書館である
  • 小さな温泉街である武雄市の「集客」になっている
  • 夜間まで開いている
  • 20代、30代の若い世代の利用者が増えた
  • 司書によるコレクション構築や資料の活用

懸念事項

  • 貸出履歴がTポイント管理者に提供される可能性
  • 嘱託の館長と、嘱託の司書が最長5年契約で働く(市の直営時代と同じ)
  • 図書館に併設した歴史資料館が常設でなくなった
  • 他にもTSUTAYA図書館ができれば「珍しさ」がなくなってしまう

まず、Tカードを利用することで、利用者にとってポイントが貯まるのは嬉しいですが、個人情報がどこまで守られているのか気になります。

武雄市図書館は市の集客施設として働いているのは良いことに思えますが、他の市町村もTSUTAYA図書館を導入すれば希少性がなくなります。それでもなお「まちづくり」の中心となれるのでしょうか。

デジタル図書館

「青空文庫」は著作権が切れた作品をネットで無料公開しているデジタル図書館です。ご利用になられた方も多いはず。公的なものではなく、ボランティアが手作業で作っています。

国立国会図書館もデジタル化に取り組んでいます。これまで東京近郊に住んでいないとなかなか国立国会図書館の資料に当たるのが難しかったのですが、デジタルアーカイブが世界を変えたと言ってもいいんじゃなかろうか。また、他の図書館でも同様の取り組みがなされています。

また、図書館横断検索「カーリル」の取り組みもあります。「カーリル」ではネットで図書館の蔵書を検索できるサービスですが、図書館内から検索される機会が増えたことで「カーリルタッチ」が開発されました。図書館の棚の前でスマホをかざすと「カーリルタッチ」が起動し国立国会図書館のデータベースにアクセスできるもので、実験的に導入されているそうです。

図書館がコミュニティをつくる

まだまだ図書館の実例が紹介されているのですが、全部拾えなくて残念です。あさよるが「いいな」と思ったのは、小さな図書館の取り組みでした。例えば既存の図書館以外に町中に本を置いてもらったり、あるいは小さな図書館を街中に設置しボランティアが代わる代わる管理しながら運営するもの。単に図書館機能を外に持ち出しただけでなく、それを管理するための地域のつながりが生まれているそうです。「なんとなく顔見知り」のコミュニティができることで、住人と街の接点になっているのは良さそう。

以前、あさよるネットで『図書館「超」活用術』を紹介したとき、「自治体によって図書館サービス違うから」と書いたのですが、ますます今後多様化していくのかもしれません。神奈川県のような例もあれば、あさよるが棲んでいる大阪府下の図書館はサービスがいい方なのだなぁとしみじみ。

『図書館「超」活用術』|書店、ネット、そして図書館。情報と「場」を使いこなそう

続きを読む

『世界を変えた10冊の本』|世界の読むべき本をわかりやすく解説

こんにちは。読書本には目がない あさよるです。「読書本」って変な言葉ですが、本を読むための本って感じでしょうか。本書『世界を変えた10冊の本』もそのタイトル通り、10冊の世界を変えた本を池上彰さんが紹介するもの。どの本も世界的超有名本で、一度は目を通しておきたいものばかりです。

世界を変えた10冊ラインナップ

本書で紹介される10冊の本は以下。

  • 『アンネの日記』
  • 『聖書』
  • 『コーラン』
  • 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
  • 『資本論』
  • 『イスラーム原理主義の「道しるべ」』
  • 『沈黙の春』
  • 『種の起源』
  • 『雇用、利子および貨幣の一般理論』
  • 『資本主義と自由』

読んだことはなくってもタイトルくらいは知っている本ズラリ。ここではザッと簡単に紹介しておきます。

書影は『世界を変えた10冊』の出典として挙げられているものです。

『アンネの日記』

第二次世界大戦時、ユダヤ人として収容され亡くなったアンネ・フランクが書き残した日記。アラブ諸国を除く国際社会がイスラエルの味方をするのは『アンネの日記』があるからだ、と紹介されています。なるほど、彼女が生き生きと〈普通の少女〉であればあるほど、彼女の運命は信じがたく、ユダヤ人弾圧がいかに惨たらしいものであったのかと感じます。「世界を変えた本」のトップバッターに相応しいものです。

『聖書』

世界で最も読まれた書物『聖書』。

 中東に生まれたキリスト教が、やがてヨーロッパ世界に広がり、宣教師たちによってアフリカや南米にも拡大。ヨーロッパでの迫害から逃れたキリスト教徒は、アメリカに「神の国」を建設しようとしました。
一方、ヨーロッパのキリスト教徒たちは、「十字軍」によって中東遠征を繰り返し、イスラム教徒との対立を深めました。それは、キリスト教文明とイスラム文明の対立として、いまにつながってくる歴史です。

p.41-42

聖書の物語は今も多く引用されますし、今の世界を動かしています。

『コーラン』

ユダヤ教の経典『律法』をキリスト教徒は『旧約聖書』と呼び、新たに『新約聖書』を加え聖書にしました。さらにイスラム教はここに『コーラン』を加え経典にしました。イスラム教徒にとって『コーラン』が最も重要とされます。

日本ではイスラム教徒は少ないですし、文化や慣習がふしぎに見えるかもしれません。イスラムの行動規範や考え方等、池上彰さんが分かりやすく説明してくださるのは有難い。

『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

16世紀の宗教改革により、ローマ・カトリックからプロテスタントが生まれます。カトリックとプロテスタントでは経済活動において大きな違いがありました。

カトリックの教会の支配は穏やかで形式的なものだったが、プロテスタント支配は、「家庭内の私的な生活から職業的な公的な生のすべての領域にいたるまで、考えられるかぎりでもっとも広い範囲にわたって信徒の生活のすべてを規制するものであり、限りなく厄介で真剣な規律をともなうものだった」と指摘します。つまり、このプロテスタント支配によって、子どもたちは高度な教育を受けて社会の上層を目指すようにしつけられているのではないか、というわけです。

p.101

プロテスタント支配によって、資本主義の精神が登場するのです。19世紀半ばまで労働者は生活できるだけの収入があれば、それ以上働こうとしませんでした。それに対し、仕事のために人間は存在し、働くことは生きるために不可欠であるとの考えが「資本主義の精神」です。

現代のわたしたちはこの考えの上にいるんですね。

『資本論』

マルクスはかつて、資本主義がなぜ非人間的な経済体制になるかを説きました。マルクスの理論は、ロシア革命を引き起こし、やがて社会主義体制を採用する諸国が増大しました。マルクスの『資本論』は世界を変えたのです。
ところが、東西冷戦が終わり、ソ連の崩壊に代表されるように社会主義体制の限界が明らかになって以降、マルクスの主張はすっかり見捨てられてました。それが、リーマン・ショックをきっかけに、まるで預言者のように復活する。皮肉は話です。

p.123-124

労働量は藤堂の時間で測り、貨幣が資本になる。現在の我々が当たり前思っている体制も、新しい考え方なのですね。

『イスラーム原理主義の「道しるべ」』

『道標』は“オサマ・ビンラディンの教科書になった”ことから、世界を動かした10冊に選ばれています。

 イスラムこそが、健全な発展と進歩に欠かせない価値観を保有している。その理想が失われてしまったために、世界は墜落している。いまこそイスラムの理想に帰り、イスラムの原初を思い起こすことが必要だと主張します。(中略)

現代はイスラムの理想が失われてしまったのに、イスラム教徒たちは、自分たちの世界を「イスラームの世界」などと思いこんでいる。これを正さなければならない、というのです。となれば、イスラム世界の腐敗した体制を打倒することは「神の道」であり、正義の戦いである。つまり「ジハード」(聖戦)なのだ、ということになります。(中略)

世界中が無明社会だというのです。
無明社会は暗黒社会ですから、真のイスラム教徒は、無明社会をイスラム社会をイスラム社会にしなければならないのです。ここから、無明社会に対するジハードが必要だという理論が導き出されます。この対象として、日本も例外ではありません。(中略)

日本の私たちの信仰は、「邪神を祭るために、手のこんだ礼拝儀礼の体系を創案した」ものだというのです。彼が日本のことをどれだけ詳しく知っていたのか疑問ですが、彼によれば、日本もジハードの対象になってしまいます。

p.155.156.160

『道しるべ』に日本のことが書いてあるのは知りませんでした。日本はジハードの対象にならない保証はないということでしょうか。

『沈黙の春』

アメリカのペンシルバニア州に生まれたカーソンは、連邦政府の商務省漁業局で働きながらアメリカの雑誌「ニューヨーカー」に『沈黙の春』を連載し、単行本として出版されベストセラーになりました。

環境汚染という言葉がなかった時代、農薬により野鳥たちが死んでしまった例や、食物連鎖による毒物の蓄積メカニズムを広く世に知らしめたのが彼女だったのです。

現在では当たり前の環境問題も、当時はなにも知られていなかったところから、社会に浸透していったんですね。

『種の起源』

ガラパゴス諸島に上陸した経験から、生命の多様性への疑問を追求し1859年『種の起源』が世に登場します。当時は売れ行き上々だったそう。

彼の書は、「地球上の生き物は神が創造した」と信じるキリスト教徒からは批判を浴びましたが、多くの学者から支持され、その後の遺伝学、生物学の飛躍的な発展の基礎を築きました。

p.192

生物は神が創造したものか否か。現代でも議論になる事柄です。

『雇用、利子および貨幣の一般理論』

 景気が悪くなったら政府が公共事業などで支出を増やして経済を活性化させる。金利を下げて、企業の投資を活発化させる。
これらは、景気対策としての常識になっています。中学校の社会科で習う話です。しかし、かつては常識どころか、「とんでもない話」と考えられていたこともあります。それを世の中の常識にしてしまった本。それが、今回取り上げるジョン・メイナード・ケインズ『雇用、利子および貨幣の一般理論』という書物です。

p.213

1929年の世界恐慌の政府の対応を時代遅れだとし、ケインズは批判しました。本書では現代の日本社会が直面している問題を、ケインズがどう説いているのかが紹介されています。

『資本主義と自由』

フリードリヒマンは、自らの主張を一般に理解してもらうためのショック療法を用意しました。当時のアメリカで政府が行っていた事業のうち、「政府がやる理由はない」と考えた事業一四項目を列挙しているのです。(中略)

1 農産物の買い取り保証価格制度。
2 輸入関税または輸出制限。
3 農作物の作付け制限など。
4 家賃統制。物価・賃金統制。
5 最低賃金制度や価格上限統制。
6 銀行に対する詳細な規制など。
7 ラジオとテレビに対する規制。
8 現行の社会保障制度。
9 事業や職業に関する免許制度。
10 公営住宅、住宅建設の補助金。
11 平時の徴兵制。
12 国立公園。
13 営利目的の郵便事業の禁止。
14 公営の有料道路。

p.248-249

じっくり見て見ると「やめるとヤバイんじゃない?」と思う項目もありますが、彼よると大丈夫。というか逆に、国が制限をかけていることで貧しい人が苦しんだり、社会に不利益があると説いています。

未読本に色めき立ち、既読本に興味津々

池上彰さんが選ぶ「世界を変えた10冊の本」はいかがでしょう。あさよるは、タイトルは知っていても「読んだことない」とか「通読したことない」ものばっかりです。現代でも絶版になっていないどころか、流通している本ばかり。現在では電子書籍や、Kindle Unlimitedでも読めるっぽいのでありがたいです。読む本リストに加えておきますφ(..)メモメモ

「世界を変えた本」の中でも、現代のわたしたちの生活や常識そのものを作った本ばかりが紹介されていますから、興味がないわけがないラインナップです。

あさよる正直、この本「面白くなさそうだなぁ~」と思ってたのですが、嬉しい誤算で結構楽しく読めました。まだ読んだことない本は「読んでみよう」と色めきだち、既に読んだ本は「池上彰さんはどう紹介するんだろう」とwktk。

この手の本は他の人が紹介してもいいかもしれないけれども、内容的には「知っていて損ないぜ」って感じで、お馴染み池上彰さんの著者だし、人におすすめしやすい本だと思います。

あさよるネットで紹介した池上彰さんの本

『学び続ける力』/池上彰

『学び続ける力』を読んだよ

『伝える力』/池上彰

『伝える力』|子どもへニュースを伝える力

『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』/池上彰

『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』|社会、外交、世界を考える

『あした選挙へ行くまえに』/池上彰

『あした選挙へ行くまえに』|なにを投票するの?

続きを読む

『もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら』|どんな顔していいかわからないの

こんにちは。混乱状態のあさよるです。何に混乱しているかって『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』を読んだせいですよ。本書は、ただのアホなネタ本のハズなんですよ。しかも出オチの。なのに、なんかこの本「スゴイ…」「見てしまったかもしれない」「アートかもしれない」と脳裏をよぎり、そのたび「違う」と打ち消すことでさらに混乱してゆく……これ、すごいかもしれない。

そう、それはキャンベルのスープ缶のように……w

『ぼくの哲学』|世界で一番おいしいのはマクドナルド

ぼくの哲学

ぼくの哲学

  • 作者:アンディ ウォーホル
  • 出版社:新潮社
  • 発売日: 1998-08-01

たぶん、想像したのであってる

本書『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』のタイトルを読んで「こんな感じかな?」と想像したのなら、たぶんだいたいあってるw 太宰にはじまり、村上春樹が焼きそばの作り方を書いたら、ドストエフスキーが、志賀直哉が、シェイクスピアが、グリム兄弟が書いたら……と延々続く。ただそれだけの本だw

初っ端から星野源が登場し、「アレッ」と思うと、小沢健二、尾崎豊、エレカシ宮本と続くだけではなく、ロッキンオンが焼きそばの作り方を書いたら、ポパイが、暮らしの手帖が書いたらと続く。文豪やないやんw

のみならず、ヒカキンとか、イケダハヤトとか、自己啓発本とか、利用者の声とか、文豪でもないし作家でもないし、明らかにネタ切れてるやんけー!ともう、目次を見ているだけで笑けてくるw

これはゲージュツかテツガクなのか?

で、読み始めるとですね、ニヤニヤが止まらない程度に「読書家なら一度は考えたころがありそうなネタ」であります。なのですが、読んでいる内にだんだんとなんだか胸がいっぱいになってくる。ちょっと待って……これどこまで続くの。無茶すんなよ……求人広告ってなによ……。

★誰でもできる簡単なお仕事です!★

1.カップ焼きそばの蓋を点線まで開ける
2.中に入っているかやくとソースを取り出す
3.沸騰したお湯を入れ、五分間待つ
4.湯切りをし、ソースをかけたら完成!

慣れたら簡単な作業なので、未経験でも問題ありません♪

◎自宅作業可
◎服装自由
◎髪型自由

最後まで作れた方には完成のお祝いとしてマヨネーズをプレゼント◎

p.112

こういうときどんな顔すればいいかわからないの……。

ページをめくるたびに混乱が大きくなり、ついにこのページにたどり着いてしまうのです。

もしカップ焼きそばの作り方を
ただそのまんま本に載せたら

p.176

・・・。こういうときどんなka…(以下略

ペヤング ソースやきそば
まるか食品

Big!

[調理方法]
①フタを(A)から(B)の線まではがし、ソース、かやく、ふりかけ・スパイスを取り出します。②かやくめんの上にあけ、熱湯を内側の線まで注ぎ、フタをします。3分後、(C)の湯切り口を矢印の方向にゆっくりはがします。④カップの「☆」の部分2ヶ所をしっかり持ち、ゆっくり傾けながら湯切り口よりお湯をすてます。⑤フタをすべてはがし、ソースをよく混ぜ合わせ、ふりかけ・スパイスをかけてお召し上がりください。
お湯の目安量 480ml

p.176

おわかりいただけるだろうか。ただ、〈文豪がカップ焼きそばの作り方を書いたら〉というネタ本を読んでいただけなのだ。しかしだ、唐突に、カップ焼きそばの作り方が始まるではないか。え、自分で何言ってるのかわかんない。

混乱の極みのまま読み進めると、ペヤング、UFO、一平ちゃん、俺の塩、etc…と続く。「サッポロ一番 オタフクソース焼きそば」って食べたことないなぁ。「ニュータッチ 仙台牛タン風味塩焼きそば」は存在すら知らなかった。って!最後!最後!

エーワン 焼きそば ミックスフード味 カップ(ベトナム)

(ベトナム)って!ww もう焼きそばのネタも切れとるやないか!

心と時間に余裕のある時に読みましょうw

本書、オススメか否かと聞かれると「時と場合による~」と答えます。もしあなたが子育て中なら、本書を読むより子どもと遊んでるほうがずっといいかもしれませんw きっと、洗濯物を畳む方がより有用な活動でしょうw

しかしまぁ、今すぐやるべき仕事もなくて、心にゆとりがあって、読む本がないなぁというこきは、この本をドウゾ!お気に召すかわわかりませんが、あさよるは好きですw大好きです。

ちなみに、紙の書籍で買うと、裏表紙が「もし手塚治虫が太宰治を描いたら…を田中圭一が描いたら」の絵で、全裸のおねいさんがポロリしてるイラストなので、ブックカバーつけてもらうのをオススメしますw

最後に。めっちゃカップ焼きそば食べたい。

続きを読む