20 歴史、世界史、文化史

批判?反論?トンデモ? 土偶を読むを読む!

当あさよるネットでも『土偶を読む』を紹介しました。

紹介するだけではなく、「2022年読んで面白かった本」というエントリーでもいの一番に紹介させていただきました。

面白かったんですよ。

しかし、「批判もあるよ」「反論もあるよ」ってのが込みの面白さだったんですよ。

ネットでちょっと検索すると反論も見つかるしね。

そして遂に!

「土偶を読む」への反論をまとめた「土偶を読むを読む」が出版されました。

これは読むっきゃない。

土偶は縄文人の食べ物を擬人化したもの? ちげーよ!

「土偶を読む」は、めっちゃ簡単に言うと、「土偶は縄文人の食べ物を擬人化したものだぜ!」って感じの内容。

一般的には、「土偶は女性の形をしている」「妊婦の姿をしているものも多い」というのが定説。

それを覆す内容だったんですよね。

その根拠は、「見たらわかるじゃん!」ってもの。

「土偶が女性に見える? それよか、栗に似てね?」

という話の持って行き方でした。

なので、その反論集「土偶を読むを読む」でも、写真を使い、見比べ、「ほら、食べ物の擬人化じゃないでしょ」と展開します。

そして、土偶がなぜ女性の姿をしているとされるのかを説明します。

うん、そう言われて土偶をよく見ると、やっぱり女性の姿をしているように見えるかも。

土偶研究の変遷も知れる

「土偶を読む」への反論は最初の第一章でおわり。

あとは、土偶研究の変遷や、土偶の研究をしている先生方のコラムなどが収録されていて、土偶を知る本としてとても充実している。

土偶研究の変遷をみてゆくと、現在の定説に至るまで、さまざまな考えが提唱されては覆されたりして、長い時間の積み重ねの結果なのだとわかる。

「土偶を読む」で土偶の形そのものが何か意味を持っているという考えも、すでに過去に語られていたことだとわかる。

ふむ。奥が深い。

うまいこと言う、気持ちのいい話にご用心

「土偶を読むを読む」を読むと、土偶について知られるのは勿論のこと、上手い話、気持ちのいい話というのにも注意する必要があることがわかる。

「土偶を読む」も、面白い本で、すらすらと楽しく最後まで読める本だ。

だけど、そうだからと言って、何もかもを鵜呑みにするのも違うのだ。

心惹かれるものだったら、だからこそ、反論は異論、時には批判も読んでいくべきなのかもしれない。

そうすることで、より幅広い視点を持てるかもしれないしね。

関連記事

土偶を読むを読む

  • 望月昭秀、小久保拓也、佐々木由香、山科哲、山田康弘、金子昭彦、菅豊、白鳥兄弟、松井実、吉田泰幸
  • 文学通信
  • 2023/4/28

目次情報

  • はじめに
  • 検証 土偶を読む
  • 「土偶とは何か」の研究史
  • interview 今、縄文研究は?
  • column 物語の語り手を絶対に信用するな。だが私たちは信用してしまう
  • 土偶は変化する
  • dialogue 植物と土偶を巡る考古対談
  • 考古学・人間学の関係史と『土偶を読む』
  • laboratory 実験:「ハート形土偶サトイモ説」
  • 知の「鑑定人」
  • おわりに

『京大芸人式日本史』ロザン菅ちゃんと歴史のポイント押さえよう

こんにちは。実は歴史が大の苦手なあさよるです。

なぜ「実は」とつけたかと言いますと、なぜだかよく、今風に言う「歴女」だと間違われます。

中高の教科でもボーっと話を聞いているだけなら歴史は面白くも感じますが、なにせテスト対策がとても苦手でした……。

京大芸人・ロザン宇治原……を真似る

『京大芸人式日本史』はこんな本。

ある日、新聞に載っていたセンター入試問題を解いてみたロザン菅ちゃん。学生時代、得意だと思っていた日本史の科目すら残念な結果に……。

早速、高学歴芸人の相方・ロザン宇治原に日本史の勉強の仕方を尋ねたところ、「歴史は物語のように理解すればいい」とアドバイスをもらった。

さっそく素直な菅ちゃんは、宇治原に物語のように日本史を語ってもらうことにした。さらに、菅ちゃんがタイムマシーンで昔々の世界へゆく物語をリクエストする菅ちゃん。

物語の中の菅ちゃんが、実際に日本史の中の歴史的人物に会いに行き、話を聞きながら歴史を理解できるようなできないような、話が続きます。

歴史好きさんはすでにやっている?

歴史が好きな人って、歴史を物語のように捉え、理解しているんじゃないのかなぁと思います。

ですから、すでに歴史の授業が得意だった人には珍しくない勉強法やも!?

さらに、『京大芸人式日本史』の内容って、あまりに駆け足ですので(一気に縄文時代から近代まで突っ走ります)、一度日本史を学んだ生徒じゃないとしんどいかもしれません。

歴史苦手なパパ・ママが先に読んでおいて、子どもに聞かせるor一度日本史を学んだ生徒向けです。

(関西の方なら、ロザン菅ちゃんもお馴染みで楽しく読めるでしょう^^)

これで勉強はできるようになるの!?

ここまでの話なら、よくある歴史ファンの駄弁りで結構な気がしますが、「京大芸人式」がポイントです。

教科書に出てくる、「覚えておくべき」キーワードが上手いこと網羅されています。

「口分田」とか「租庸調」とかさ、習いました。が、例えば戦国武将オタクや幕末ファンの集まりでは、これらのワードは登場しないように思います。

大人になってからの歴史ファンって、それぞれ専門に分かれてゆきますから、ザックリと広い範囲をいっぺんに俯瞰できるのは、学校で習う「日本史」の面白いところ。

もちろん、これ一冊でテスト対策になるような内容でもありませんが、習ったことを総括するには、まぁまぁいいんじゃないかしら。

京大スゲーの子どもたちへ

ズバリ『京大芸人式日本史』を読んでほしいのは子どもたち。と言っても、日本史を一巡している中学生といったところでしょうか。

著者の漫才師のロザン・菅広文さんをよくご存じの方なら楽しく読めるでしょう~。

あさよるは関西人なので、菅ちゃんはいつもテレビで見ていますし、親しみを持ってこの『京大芸人式日本史』を読めました^^

で、なにより菅ちゃんの相方、京大卒のクイズ王・宇治原による「覚えておくべきポイント」がまとまっているのも、なんかオモシロイ。冗談なのか、ガチなのかなんともビミョーで、くだらなさがオモシロイ本でした。

真面目な内容を求めている方には不向きですw あさよるはこのノリ、好きですw

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【内容/レビュー】歴史を紐解くこと―「日本史を暴く」

「歴史の発見」というのは、こうやってなされるのか!

歴史学者の磯田道史さんは、今日も日本中の古書店で古文書を漁り読み解いてゆく。

歴史とは、地道な作業で解明されていくのだな。

中公新書の『歴史を暴く』おもしろい!

磯田道史さんによる歴史の語り口ももちろん面白いが、歴史学者の日常を垣間見れるのも面白い。

「日本史を暴く」のおもしろどころ

磯田道史さんは『武士の家計簿』なんかでご存じの方も多いのだろうか。

当あさよるネットでは『天災から日本史を読みなおす』を紹介している。

こちらの記事も併せて読んでいただきたい。

『歴史を暴く』は新聞連載されていたそうで、短い話題がたくさん収録されている。

すべての話に触れるわけにはいかないから、面白かった話をピックアップしてみる。

信長は外国から学者を読んで宇宙の講座を開いてた

信長は宣教師から地球が丸いことを聞き、その解説を他の人にも聞かせた。

子どもにもその知識を教えようとしたという。

そんで、宣教師たちの教える宇宙論に、日本人たちはみんな満足したという。

新しい知識を自分のものだけにするのではなく、周りの人たちにも教えようとするのは、なんか信長っぽい気がする。

忍者って本当にいたんだ!

忍者についての話題も多い。

というか、忍者ってやっぱり本当にいたんだね。

潜入調査……つまりスパイ活動をして、そして見つかってしまったりもするようだ。

どんなお仕事も大変!

カブトムシに毒があると思われていた?

カブトムシがみんなの人気者になったのは江戸期以降だという。

それは、カブトムシ有毒説があったから……。

そのせいなのか、カブトムシの生態についても、あまり知られていなかったよう。

ちなみに、クワガタムシについても、あまり書物には登場していないというのは、不思議。

山に行けばたくさんいる虫なのに、あんまり見向きにされてなかったのかな?

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日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで

  • 磯田道史
  • 中央公論社
  • 2022/11/25

目次情報

  • 歴史には裏がある――まえがき
  • 第1章 戦国の怪物たち
  • 第2章 江戸の殿様・庶民・猫
  • 第3章 幕末維新の光と闇
  • 第4章 疫病と災害の歴史に学ぶ
  • 主要人名索引

『幕末維新を動かした8人の外国人』|ペリー、プチャーチン、ハリス、グラバー……

こんにちは。常に“にわか歴女”の あさよるです。

今は毎週NHK大河ドラマ『真田丸』を見ているので、戦国時代好きのような顔しています。ですが、戦国武将とかほとんど知らないというw

その時々で気になるもの、好きなものが変わるので、常に“にわか”なんですよね(苦笑)。

幕末維新を、外国から動かした人たち

『幕末維新を動かした8人の外国人』は、タイトルそのままですね。

日本の歴史の中で、大きな働きをした外国人、ペリー、プチャーチン、ハリス、オールコック、ロッシュ、パークス、サトウ、グラバー。

名前はそれぞれ教科書に載っているレベルの有名人でありながら、彼らがどんな人物だったか知られていません。ペリーなんて日本人みんなが知っている人物なのに、彼がどんな人物で、なぜ日本へやってきたのか知りませんよね。

ちなみに、ペリーは捕鯨のため、日本を交通を開こうとやってきました。船の修理や遭難した時用や、そして貿易をするためです。交通の要所として港を開くよう徳川幕府に迫ったことが、明治維新を加速させました。

ペリーが日本の港を開くと、他の国々も日本と通商条約を結びにやってきます。鎖国政策はいつまでも続けていられません。

日本人からすると、次々やってきて勝手にズンズン入ってくる外国人のような感じがしますが、歴史の中の外国人だって、もちろん人生があるんです。

幕末・明治維新好きな方はご一読を~

本書『幕末維新を動かした8人の外国人』は、8人それぞれ1章ずつに分けて紹介されており、短編集な感じで読みやすい。

また、文章も平易で、物語のようにも読めなくもない構成です。学術書のように正確な記述というよりは、著者の気持ちや考えが色濃く出ているように感じました。と言っても、とくに偏った感じもしませんでした(あさよる的には)。

あさよるは、愛読しているマンガ『風雲児たち』で読んだことあるエピソードがたくさんあって嬉しかったですw

幕末や明治維新好きで、これから勉強していきたいなぁって方にオススメです。

たぶん、ディープな幕末ファンの方にとっては既にご存知な内容かも!?というか、すでに読んでおられるかも……。

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『イノベーターたちの日本史』|近代の日本をイノベーションしたサムライたち

こんにちは。幕末~近代史が好きな あさよるです。本書『イノベーターたちの日本史』はたまたま日本史・近代史の棚で見つけまして、次の瞬間手に取っていました。当初あさよるの予想では、戦後の本田宗一郎や松下幸之助やの伝記なのかと思って読み始めたのですが、内容が全く違って、面白い!近代の日本を動かした人々でありながら、あまり知られていないであろう人物が次々と紹介されています。昔も今も、スゴい人がいるもんだ!

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