湊かなえ・編『江戸川乱歩傑作選 鏡』

裏の裏の裏の……裏を読む!?

ミステリ初心者さん&江戸川乱歩ビギナーさんにぴったり。

手に取ったきっかけ

図書館の新着資料のコーナーに『江戸川乱歩傑作選 鏡』が並んでいるのを見つけ、手に取りました。

江戸川乱歩は、過去にほんの数冊読んだくらいで、ほとんど読んだことがありません。

ついでに、推理小説やミステリーもほとんど読まないので、いつもと違った趣向で面白いかなぁと、セレクトしました。

パラパラッと見てみると、江戸川乱歩初心者でも「タイトルだけは聞いたことあるぞ」という話ばかり収録されていたので、これはいいと思ったのでした。

推理の展開にびっくり(゚д゚)!トリックに気付いてニヤリ

小説は読むのに時間がかかるので、毎日寝る前に少しずつ読んでゆくことにしました。ちょうど2週間かけて読みきりました。

しかし、この読み方には困った点が……。

推理小説ですから、物語の中で人が死んだり襲われたりします。しかも真犯人がわからず、推理も二転三転するのです。結局、最後の最後まで本当の真相がわからないままだったり……。想像するだけで恐ろしい!

そう、寝る前に、薄暗い部屋の中で一人で読むのは、恐怖との戦いでした(あさよるは怖がり屋ですw)

二転三転する推理がおもしろ!

推理小説を読み慣れていないので、何もかもが新鮮です。

一つの物語の中で、事件の真相が暴かれるも、実は真犯人が別にいて、その手口が露見するのだけれども、実はそれはトリックで、実は犯人は別にいて……。

と、目まぐるしく推理がコロコロと何度も何度も覆されてゆくので、頭をフル回転させながら熱中して読みました。

真相が分かっちゃったヨロコビ!

話が決着するより先に、犯人やトリックに気付いちゃったときは鼻高々です。最後に真相が追求される場面では、どやぁ!(●`□´●)ってなもんです。

ちなみに、今回は「何物」がそうでした。

とある軍人の屋敷で、屋敷の一人息子が何者かに銃で打たれた!窓の外には足跡が。どうやら強盗のようだけども、盗まれたものは金のペンや小物ばかり。屋敷内にはもっと高価なものはあるのに、なんでそんなものを?そして犯人は?というもの。

物語の冒頭に、作者から読者への挑戦状とも取れるメッセージがあったので、「見破ってやるぞ!」と意気込んで読んだのが功を奏した感じ。そして、あの明智小五郎も登場してニンマリ。

「湖畔亭事件」は、真犯人はこの人だよね?と目星は立ててて、たぶん正解だったけれども、その真相や犯行の一部始終は想像と違っいました(´д`)トホホ…

ミステリーだって何度も読み返せるんだ!

編者はミステリー作家の湊かなえさんです。

10ページほどですが、湊かなえさんが江戸川乱歩作品について書かれていました。小学生の頃、江戸川乱歩に出会ったと書かれていたので、本当はそんなに怖がるような作品ではないのかもしれません(^_^;)

また、湊かなえさんも未だに分からない謎があるそうで、何度読み込んでも「???」な部分が残っているから、何年経っても熱心に読み返せるのでしょうね。

あさよるも、「心理実験」「人間椅子」は読んだことがありましたが、やっぱりまたドキドキして読みました。ミステリーって、1回読んだら飽きちゃうのかと思っていましたが、そうではなさそうです。

おすすめポイント

江戸川乱歩作品に触れたことがなくても、タイトルくらいは知っているような有名作品が収録されています。

数ある乱歩作品の中からセレクトされた7作品について、編者の湊かなえさんは、こう書かれています。

ミステリは好きだけど、幻想的でオドロオドロしい雰囲気は苦手だから、江戸川乱歩は敬遠しているという人に、乱歩作品の別の入口として読んでもらいたいと思いました。

『江戸川乱歩傑作選 鏡』p.419

エンタメっぽく、楽しく読める作品が多く収録されているので、これから乱歩を読むぞ!という方にもオススメです。

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江戸川乱歩傑作選 鏡

  • 江戸川乱歩(著)、湊かなえ(編)
  • 文藝春秋
  • 2016/2/10

目次情報

湖畔亭事件

何物

石榴

心理試験

赤い部屋

人間椅子

木馬は回る

随筆

迷路の魅力

凶器としての氷

プロバビリティーの犯罪

編者解説 熟成乱歩三〇年 湊かなえ

解題 新保博由之

編者紹介

湊 かなえ(みなと・かなえ)

広島県生まれ。2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。08年、同作を収録したデビュー作『告白』が刊行され、同年の「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第1位に選出、09年第6回本屋大賞を受賞。12年、「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。他の著書に『少女』『贖罪』『Nのために』『夜行観覧車』『往復書簡』『花の鎖』『境遇』『サファイア』『白ゆき姫殺人事件』『母性』『望郷』『高校入試』『豆の上で眠る』『山女日記』『物語のおわり』『絶唱』『リバース』『ユートピア』。

著者紹介

江戸川 乱歩(えどがわ・らんぽ)

1894(明治27)年-1965(昭和40)年。本名は平井太郎。1923(大正12)年『二銭銅貨』でデビュー。初代日本推理作家協会会長を務めるなど、日本探偵小説の第一人者として活躍した。

コメント

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