『せいめいのはなし』|「生命」をテーマのダベリはおもしろい

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こんにちは。中高生のころ、生物と科学の授業が苦手だったあさよるです。

物理や地学は好きだったんですけどね……(;’∀’)

大人になってから、苦手を理由に避けて通ってきた科目も、勉強しときゃあよかったなぁと、今になって思います。ちょっとずつ勉強していこう……。

そんな思惑もあり『せいめいのはなし』という本を見つけたら……読まないわけにはいかないでしょ!

「せいめい」とは何だ?自分とはなんだ?

本書は『せいめいのはなし』とひらがなのタイトルです。漢字で書けばもちろん「生命の話」なのでしょうが、あえてひらがな。

本書を読んでいくと、「生命」という熟語からイメージする内容からは、離れた話題もたくさん扱われているので、ひらがなが選ばれたのかなぁ?と推測します。

あるいは、カチッとカタチのある固まった「生命」ではなく、あやふやでとりとめもなく、形の見えない「せいめい」のおはなしです。

脱線多し!「生物」や「生命」のアレコレ

生命、生物の難しい話なの!?と構える必要はありません。

著者の福岡伸一さんが、哲学者で武道家の内田樹さん、作家の川上弘美さん、朝吹真理子さん、そして解剖学者の養老孟司さんの4人と、それぞれ対談をされる様子がまとめられています。

「せいめいのはなし」を中心に、4人それぞれの個性的な話に広がります。

時には「脱線しているのでは?」と思うような話題もあるように感じるかもしれません。しかし「せいめいのはなし」というテーマからは外れていないんですよね。

すごく幅の広い、だけどとても気になるテーマの対談集です。

時には哲学や物語のような話を使い、時には幼いころの経験や、素朴な疑問を用い「せいめいのはなし」は続きます。

“考え”のエッセンス。若い人へ

様々な人が、アレやコレや同じテーマで、てんでバラバラの話をしている様子って、ぜひ若い人にこそ刺激的なんじゃないかなぁと思います。

学校で習った生物の知識は、あくまでも果てしない学問のほんの入り口の入り口です。学校では理科とか国語、英語と科目を分けて教えられますが、実は突き詰めてゆくと同じことを言ってたり、同じルーツを持っている話だったりします。

思ってもみないモノとモノが関連していることに気づいた時のヨロコビや快感。そのエッセンスが詰まっている本だなぁと思いました。

カシコの駄弁りはオモシロイw

賢い人、教養のある人を「カシコ」というのは、方言なのでしょうか。『せいめいのはなし』を読んでしみじみと「カシコは駄弁りまでオモロイもんだなぁ」と思いました。

哲学者の内田樹さんとの対談では、細胞のような小さな世界は我々の世界と似ている。それは、我々が見たいものを見ているだけではないのか?鏡を見るように、自分の姿を見ているだけではないのか?と話が広がります。

作家の川上弘美さんは、大学では生物学を研究なさっており、対談では細胞の話に深まります。なんにでもなれる細胞が発見され、夢の細胞を人類は手に入れたかと思いきや、なんにでもなれる細胞は、放っておくと何ものにもなれない細胞です。

周りの細胞が「ここへお入り」と招き入れると、その形になる。へぇという話。

作家の朝吹真理子さんとは記憶にまつわるお話が展開されます。記憶というのは、細胞のどこかに刻み込まれ残っているのではなく、情報は消えてしまう。そこからフェルメールの話が登場したり、面白い。

そして解剖学者の養老孟司さんとのお話は、とても楽しく読めました。ご自身を「虫屋」と呼ぶ養老先生の虫のお話です。

虫を一目見ると、その虫がどの地域に生息する虫なのかなんとなくわかるそうです。「これは熱帯っぽいなぁ」とか「これは砂漠っぽいなぁ」とかいう風に。

それは、熱帯の虫は熱帯地域を連想させる模様や形をしているからだそう。ですが、実はこれは逆なんです。我々人間が、その地域に生息している虫や植物をモチーフに、文様や色彩の組み合わせを作っているんです。

人は、虫に見たいものを見ているというもの。

また、まるで木や葉のように擬態している虫も、「人間の目」で見ると「似ている」だけで、鳥の目ではどう見えているのかわかりません。虫同士でも、違った見え方をしているでしょう。

人間が「擬態」と呼んでいるものも、はたして虫はなぜそんな色や形をしているのかは「人の目」からはわからないんです。

てな感じで、四者四様の対談。最後には著者の福岡伸一さんの『「せいめいのはなし」をめぐって』という章もあり、もりだくさんです。

おもしろかったです。

せいめいのはなし

せいめいのはなし

せいめいのはなし

  • 作者:福岡 伸一
  • 出版社:新潮社
  • 発売日: 2012-04

目次情報

この本ができあがるまで

Ⅰ グルグル回る 内田樹さんと

今日はなにを話しましょうか ものを食べるのはなぜか 経済活動の本質 変わることで変わらない パスをいかに回すか グルグル回る 自分探し 科学者の自画像 『日本現況論』と花粉症 原因はわかりにくいもの 動的平衡の破綻

Ⅱ この世界を記述する 川上弘美さんと

物理現象としての「輪廻」 不可逆枝としての「時間」 この世界を記述するということ ガン細胞の永遠の孤独

Ⅲ 記憶はその都度つくられる 朝吹真理子さんと

記憶とは何か? 名づけるしかない寂しさ 「顕微鏡の父」の欲望 因果律は存在しない 崇高さと美の違い 真の生命的なあり方へ

Ⅳ 見えるもの、見えないもの 養老孟司さんと

「虫屋」のあこがれ 虫で世界を考える 偶然の結論 擬態ってなんのため? 鳥の目、トカゲの目 「かたち」を読む 形態と意識の関係 止まっているもの ピラミッドをなぜ作った? なにを見ているか 一瞬の平衡状態 なんでも言葉にすることが間違っている 言葉とは何か 「タモリ」の重要性 分けることとわかること 言葉は重いか軽いか 一人ひとりの価値 見えるもの、見えないもの

Ⅴ 「せいめいのはなし」をめぐって 福岡伸一

動的平衡の「拡張」について 動的平衡の具体例 建築家が興味を抱くこと 伊勢神宮の式年遷宮 ES細胞にバラ色の未来はあるか 内田さんの発信にたじろいだ ミトコンドリアの呼吸作用 ウニの研究で想像できること 生物学的センス ナードの女神、登場 記憶をめぐるものがたり 世界をどう見るか 虫屋という同じ穴のむじな 源流をさかのぼる人たち 文系と理系の橋渡し

四人の共通点――あとがきにかえて

福岡 伸一(ふくおか しんいち)

1959年東京生まれ。京都大学大学院博士課程修了。米ハーバード大学医学部フェロー、京都大学助教授などを経て、04年より青山学院大学教授。サントリー学芸賞を受賞した『生物と無生物のあいだ』ほか、『動的平衡』『動的平衡2』など、「生命とはなにか」をわかりやすく解説した著者多数。他に『ルリボシカミキリの青』『世界は分けてもわからない』『フェルメール 光の王国』『遺伝子はダメなあなたを愛してる』など。

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