『皮膚は「心」を持っていた!』|好き嫌いも肌で感じてる?

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『皮膚は「心」を持っていた!』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。『皮膚は「心」を持ってた!』とタイトルがなんだか非科学的な感じがしますが、読んでみると結構普通でした。理系とか医学系の本は難しいので読むのが大変ですが、誰でも読めるように噛み砕かれた内容です。また、多くの人が共感ができるような話題が扱われています。

本書では皮膚の感覚、触覚という、四六時中感じているけど、あんまり意識することのない器官が取り上げられています。皮膚感覚が無意識にもたらす効果を知ると、自分の感じ方、考え方も変わるかも?

皮膚は露出した「第二の脳」

本書『皮膚は「心」を持っていた』というタイトルはややミスリードを誘うような、煽りタイトルですが、中身はまともです(だと思う)。皮膚は「第二の脳」と呼ばれるくらい、生き物が生きるために重要な器官らしいのです。身体の中で一番大きな器官でもあります。

脳がとても小さい昆虫も、触覚の感覚を使って俊敏に行動します。あるいは脳を持っていない単細胞生物のミドリムシだって、体の表面に触れる外界を察知して動き回っています。皮膚は脳が生まれるよりもずっと前から、生き物が活動するために使われていたんです。

また、皮膚は音を聞いています。音は空気の振動ですが、聴覚では感知できない周波数の空気の振動も、皮膚で感じることができるのです。また、目を閉じていても「色」を感じることもできます。色は光の波長の中の可視光線を「色」と感じているので、皮膚は光の波長の違いを感じるんですね。赤外線は温かく感じるし、紫外線を受けると「日焼け」をするのも、皮膚が「感じている」証拠でしょう。

肌の感覚で快不快を感じている

わたしたちは快/不快を肌感覚で感じていると言います。心地よさなんてまさに「心」で感じているように思いますが、皮膚感覚が重要らしいのです。同じシチュエーションでも、温かなカップを持ってるときと、冷たいグラスを持っているときで、相手への好感度に変化があるそうです。もちろん、手が温かいときは相手への好感度が高く、手が冷たいと相手への好感度が下がります。

心理学では、サルの赤ちゃんを使った実験が有名です。サルの赤ちゃんを母親から引き離し、ワイヤーで作ったミルクをくれるママの人形と、ミルクはくれないけど布でできたママの人形を用意しするろ、子ザルは布の人形に愛着を示すそうです。つまり、「エサをくれる存在」よりも「肌触りがいい存在」の方に愛着を持つということ。人間の子育に当てはめるなら、赤ちゃんは「母乳をくれる母親」ではなく「肌触りがいいもの」や「優しく体に触れてくれる人」に愛着を示すということ。だから、父親や祖父母、保育士など、母親じゃない人だって、赤ちゃんに安心や愛着を感じさせることができるのです。

柔らかいものに触れると心が和らぐのは、大人だって実感があるでしょう。スヌーピーが登場するマンガ『ピーナッツ』に登場するライナスは、いつもお気に入りの毛布を引きずっています。その様子から、触っているだけで心が落ち着くようなアイテムを「ライナスの毛布」と呼ばれています。子ども時代に「ライナスの毛布」があった人は多いだろうし、大人になったって「ライナスの毛布」がある人も実は多いんじゃないかなあと思います。ちなみに あさよるは、洗濯してクタクタになったタオル地が好きです。

また、悪いことをしたとき、悪口を言ったらな口を、悪口を手紙に書いたら手を、洗ったりゆすいで清潔にすると罪悪感が減るそうです。朝、熱いお湯を目覚めのシャワーであびると気分が切り替わって、気合が入ったりもします。

皮膚は「心」を持っているというのは、言い過ぎではなさそうです。

「触れる」を上手に使えたら

心許せる人に身体を触れられると「オキシトシン」というホルモンが分泌されるそうです。オキシトシンは「愛情ホルモン」「幸せホルモン」とも呼ばれ、幸せを感じたり、ストレスが軽減されます。疲れたとき、エステやマッサージに行きたくなるのも、「人に触れられる」という行為そのものが、ストレス軽減につながるからでしょう。また、エステやマッサージでは、施術している人も、施術されている人に同調してオキシトシンが分泌されるそうです。家族や恋人など、近しい人同士でも、身体が触れ合うような習慣があると良いですね。

オキシトシンは女性のほうが分泌されやすいそうですが、オキシトシンは人の縄張り意識を高め、攻撃的にする効果もあります。子どもを産んだ母親は、オキシトシンにより幸せを感じる一方で、子どもを守るために「強くなる」んですね。

なもんで「触れる」というのは、上手に行えばストレス軽減し幸せを感じますし、下手に触れると不快感が増しイライラが募ります。好きな人に触られるのは気持ちいけど、満員電車の中で見ず知らずの他人と体を密着させるのはとても不快です。不快感を紛らすために、目をつむったり、スマホや本に目を落としたり、なるべく気を紛らす工夫をみなさんしています。

日本人はハグをしませんし、握手も滅多にしません。「触れない文化」を持っていると言っていいでしょう。「触れる」というのは上手に使えばコミュニケーションもスムーズになるし、自分自身のストレスも軽減されるなら、積極的に「触れる」関係を作っていきたいなあと思いました。もちろん、「お互いに親密だと思いあっている」間柄限定ですよ。

触れられることで「自分」を確認する

本書では、「触れる」ことは自己を形成するためにも重要だと紹介されていました。子どもの頃、人から「抱きしめらられる」ことで、安心と同時に「自分がここにいる」ことを感じるそうです。自分の存在を感じることは、自分と他人が別の存在であることを知ることでもあります。

本書では、幼少期に抱きしめられた経験が少なかったために、自分と自分以外の境界線が曖昧な人の例が登場します。自分の心に土足で上がり込んでくるような人を許してしまったり、断れずに相手の要求を呑んでしまったり、苦しい思いをした経験が紹介されています。世界と自分との境界線があやふやだから、自分の持ち物が否定されると、自分が否定されたように感じてしまったり、傷つかなくてもいいことで傷ついたり、拒絶してもいい場面で拒絶できなかったり、大人になってからも影を落としています。

人から「抱きしめられる」って経験は、想像以上に重要なものみたいです。もちろん先に紹介したように、「抱きしめる」存在は母親だけでなく、父親や祖父母、保育士など、どんな間柄の人でも同じです。子育てをするなら、母親以外の人にも抱きしめられ、安心できる経験を増やすよう努めると良いみたいです。

触れ合いは〈絆〉も〈束縛〉もつくる

スキンシップは夫婦・恋人同士や親子、仲間内の〈絆〉を深めるものなのですが、〈絆〉はお互いに〈束縛〉しあうものであることも忘れてはなりません。子どもは抱きしめることで安心を感じるのですが、思春期になっても、親が子ども扱いして身体に触れるのは、ご法度です。親離れをしようとし始める時期ですから、子ども扱いはやめましょう。しかし一方で、思春期とはいえど「甘えたい」という気持ちも同時に持っています。子どものように甘えさすのではなく、激励するように肩に触れるなど、スキンシップの方法を変えてゆきましょう。

欧米でも年月とともに、夫婦間のスキンシップは減っていくようです。なるべく同じベッドで寝たり、ソファに並んでくつろいだりと、同じ空間で、お互いに距離を縮めるような工夫を持った方がいいと紹介されています。

人に触れない文化だけど

『皮膚は「心」を持っていた!』挿絵イラスト

日本人はハグや握手をしない、スキンシップの少ない文化を持っています。そういえば あさよるも、人と触れ合うような経験って、電車の中で他人と密着する程度かもなあと考えて、「こりゃヤバイ」と感じました(;’∀’)

また、照れ臭くってスキンシップってなかなか取れなかったりするけども、恥ずかしがらずに「触れる」って大事なんだな。

まだ、肌の感覚って、見過ごしてしまいそうだけれども、自分の精神状態をつくるにも大きな役割を果たし得ていることも知りました。清潔を保つことや、気持ちのいい衣類を身につけること、座りやすい椅子を選んだり、「手ざわり」「肌ざわり」にもっと意識的にこだわってもよさそうです。

関連記事

皮膚は「心」を持っていた!

目次情報

はじめに

第一章 皮膚は「第二の脳」だった!?
肌に触れることは、心に触れること

怒りっぽいのは「性格」のせいではなかった!?
皮膚という「露出した脳」
頭が先か、体が先か。頭・心・体の関係
皮膚はもっとも原始的な感覚器
皮膚は“音”を聞いている
耳では聞こえない超音波や低周波もわかる
光や色も感知している皮膚
赤色のユニフォームで勝率が上がる!?
皮膚はこんなに頭がいい
目はごまかせても、皮膚はごまかせない
触覚としての指紋の役割
皮膚は記憶を宿している
触れられることからはじまる親子関係
胎児や赤ちゃんが感じるストレス

第2章 感情は「皮膚」でつくられる
イライラ、不安の理由は「肌」にある

判断の決め手は理性ではなく皮膚感覚!?
体が温まると、心も温
清潔にすることで罪悪感が軽減する
やわらかいものに触れると、心もやわらかくなる
世界中の子どもが持っている「ライナスの毛布」
硬い肌着でストレスホルモンが増加
赤ちゃんが求めているものは「食べ物」よりも「肌感覚」
虐待が子どもの肌感覚に与える影響
「痛いの痛いの飛んでいけ」で痛みが軽くなる理由
孤独は心だけでなく体にも悪い影響を与える
紙の本と電子書籍、記憶に残りやすいのは?
触覚の根っこは「命に触れる」こと
歳を重ねても触覚は衰えない

第3章 皮膚で「心を整える」方法があった!
この「触れ方」でポジティブに変わる

「触れる機会」が減りつつある現代人
皮膚が心地よさを感知するメカニズム
動物にも魚にもある「C触覚繊維」
「心地いい触れ方」の5つのポイント
こんな触れ方はやってはいけない
触れることで、言葉以上に思いが伝わる
「オキシトシン」というもうひとつの癒し
ストレスを軽くするスキンシップの秘密
セルフマッサージで心を整える
マッサージでポジティブな心に変わる

うつで悩んでいたクライアントが回復
体の不調だけでなく心も前向きに変化する
マッサージで過去のトラウマにアプローチ
母と子のコミュニケーションとしてのマッサージ

「触れる」ことで関係性がつくられる
マッサージをしている側にも変化が起こる
災害、医療、子育て、介護…「触れる」ことの可能性

第4章 「触れる力」が心を育てる
脳内物質「オキシトシン」の効果

夫婦の絆を強くする脳内物質
子育て中の妻のイライラはオキシトシンが原因!?
親子の愛情が深まり、子どもの情緒が安定する
1~2歳の子どもの脳はだっこで育つ
「触れない育児」が引き起こす悪影響
自閉症の子は脳のオキシトシンが少ない
ADHDの子どもも変わるタッチケア
触れられ方の好みは人それぞれ
「境界の感覚」を育むことの重要性
スキンシップが多い子どもは学力が高い
思春期の子どもの「触れ方」にはコツがある

第5章 「皮膚感覚」を活かす人づきあいのヒント
「心」に触れるコミュニケーション

触れていなくても、そばにいるだけで心が強くなる
相手を自分の一部のように感じるスペース
「距離が近すぎる」というストレス
添い寝するだけで自律神経が同調する
病気の人には「付き添う」だけでもプラスの効果が
「直接会わない」コミュニケーションのデメリット
触れるだけで、相手に感情が伝わる
相手のために触れる「慈愛の心」

山口 創(やまぐち・はじめ)

1967年、静岡県生まれ。早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。専攻は、健康心理学・身体心理学。現在、桜美林大学リベラルアーツ学群教授。臨床発達心理士。おもな著書に、『子どもの「脳」は肌にある』『子育てに効くマインドフルネス』(光文社)、『手の治療力』『人は皮膚から癒される』(草思社)などがある。

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