
こんにちは。ユーチューバー になりたかった あさよるです。2年程前「ユーチューバー」という職業を知ってマジで憧れていて、大人たちにバカにされ、当時幼稚園児だった甥だけが同じ夢を持った仲間でした。結局、具体的に段取りを考えると「顔出し声出しで毎日更新は肉体的にキツイなあ」「ブログの方が気楽だなあ」と、ブロガーに甘んじておりますw
さて『YouTubeで食べていく』は、ユーチューバーであり、国内初の動画レビューを始めたジェット☆ダイスケさんの著書です。
YouTubeで食べれるのか
結論を先に言います。タイトルの『YouTubeで食べていく』のは、とても難しそうです。確かに日本でもユーチューバーとして生計を立てている人がいますが、ごくごくわずか。主に、YouTubeのパートナーシップに参加して、動画の再生回数に合わせた報酬が支払われるそうですが、そんなに景気のいい話ではないみたい。
本書は2014年に出版されたものなので、現在までの間にも変化があり、マネタイズはより難しくなっているなんて聞きますわねぇ。
ユーチューバーには本職がある?
本書『YouTubeで食べていく』では、実際にユーチューバーたちにインタビューをされています。
まず、ご存知HIKAKINさんは、10代のころからボイスパーカッションの動画を動画投稿サイトにアップロードして活動しており、上京し会社員をしながらYouTubeに動画投稿をしていました。その後「HikakinTV」というチャンネルにて、商品レビューを始めて、現代の爆発的人気につながりました。
シバターさんは、YouTube上でもヒール役で、炎上狙いの過激な動画で知られています。10代の頃から動画サイトに投稿しており、本職はプロレスラーです。
劇団スカッシュは4人組の劇団で、劇場へお客を呼び込むためYouTubeで動画の投稿を始めましたが、その後、活動の場を劇場からYouTubeに移しました。
それぞれ、職業「ユーチューバー」でありながら本職は別にあり、元々「芸のある」人が、YouTubeに活路を見い出しているようです。もっと言うと、YouTubeがなくても生きていける人が「YouTubeを選んだ」というニュアンスでしょうか。子どもたちが「ユーチューバーを目指す」のとは、ちょっと違うのかも。
『YouTubeで食べていく』の著書、ジェット☆ダイスケさんも、大学で映像を学び、映像関連のお仕事をなさっていた方ですが、YouTube上での活動はカメラの商品レビューが中心です。
本職で評価されるのは難しい?
一方で、YouTubeを使って、本職の評価へつなげるのは難しようです。例えばHIKAKINさんは大人気ですが、彼がボイスパーカッションのミュージシャンとして評価されているかというと、疑問です。プロレスラーのシバターさんは、動画の再生回数が伸びても、なかなかプロレス会場への集客に繋げられないと語っています。劇団スカッシュも劇場への集客ではなく、拠点をYouTubeに移してしまいました。
動画の再生回数を増やすことと、本来の目的とのミスマッチが起こっているようです。
有名になる、その先は?
ジェット☆ダイスケさんは、子どもたちがユーチューバーに憧れることも、冷静な言葉で語っています。子どもたちは安直に「ユーチューバーになりたい」と言うが、「なぜユーチューバーになりたいか」という問いには「有名になりたい」と答えるだけで、「有名になるその先の話」がありません。
まあ、昔の「野球選手になりたい」と同じなのですが、野球選手とユーチューバーの違いは、「YouTubeには動画を投稿できてしまう」ということでしょう。
本書のテーマでいうと、子どもたちがひとかどの人物になったとき、「〈手段として〉動画をインターネット上に投稿する」というのが現実的でしょうか。
YouTubeは永遠……ではない?
『YouTubeで食べていく』では、YouTube以外の動画配信サイトが紹介されています。その中で、2014年出版の本書にて紹介されている「Vine」は2017年にサービス修了してしまいました。そう、ネット上のサービスは移り変わりが目まぐるしい。すでに2000年ごろのネット界隈を懐かしむ「インターネット老人会」という言葉もありまして、20年も経たない間にすっかり世界が様変わりしています。あんなに人気だった、あんなにみんなを虜にした、あんなに特別だったサービスが、影も形もないのはもう慣れっこです。
ということで、本書では具体的に書かれていますが、「いつまでもあると思うなYouTube」というのは、インターネット老人たちは知っている……。
あと、子どもたちの知らないユーチューバーの話でいうと、「HIKAKINさんは〈将来の夢:ユーチューバー〉」ではなかった。別のものを目指して「今はYouTubeを舞台にしている」のだろう。「YouTubeのサービスが終わったらどうするの?」という問いは、インターネット老人ならではの質問だろうかw
関連本
- 『第五の権力――Googleには見えている未来』|すでに始まった未来の話
- 未来のクリエーターへ!身近だけど知らない『映像制作D.I.Y』
- 『撮ってはいけない』|それLINEに載せて大丈夫?
- ビッグデータ入門 分析から価値を引き出すデータサイエンスの時代へ
- 『トコトンやさしい人工知能の本』|目覚まし前にエアコンつけといて
- 『暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり』|仮想通貨は必然だった
- 『「仮想通貨」の衝撃』|もうみんな使っている仮想通貨って何?
- 『「賢い子」に育てる究極のコツ』|脳の成長は〈ワクワク〉!
- 『弱いつながり 検索ワードを探す旅』|弱くて軽薄な憐れみを
YouTubeで食べていく~「動画投稿」という生き方~
目次情報
はじめに
第1章 どうやって動画でお金を稼ぐのか?
「YouTubeパートナープログラム」に参加して報酬を得る
動画上に現れる様々な広告
「チャンネル登録」にはどんな意味がある?
「アナリティクス」を最大限に活用する
90秒が分水嶺
いらない時間はバンバン切り捨てる
旧来型の映像制作で求められるもの
企画、撮影、編集、公開まで、まるっと一人で手がける
動画の第一印象はタイトルとサムネイル
顔がもたらす視認性の高さ
設定したテーマは徹底的に掘り下げる
【コラム1】低年齢ユーザーという課題第2章 ユーチューバーとは何者か?
動画は本当に稼げるのか?
インタビュー① HIKAKIN--日本で一番人気者
実家の階段とスーパーの社員寮で撮影
音楽系のYouTubeを成功させるには
日常を配信する「HikakinTV」を立ち上げる
エアロスミスとライブで共演
YouTube上での成功は21世紀のアメリカンドリームインタビュー② シバター――炎上狙いのヒールキャラ
動画デビューは高校時代
YouTube上で空いている席を死守し続けるインタビュー③ 劇団スカッシュ――新しいドラマの形を生み出した演劇集団
ITスキルゼロからの動画活用
「釣り劇団」の始まり
たった5分間のショート・ドラマ
冒頭の15秒で心をつかむ第3章 私とクリエイティブとネット動画
北陸地方はユーチューバーの排出地?
MSXでビデオ編集を初体験
マルチメディアとの出合い
ブロードバンド時代がやってきた
ネット史上画期的だったブログという仕組み
パーマリンクがもたらしたコミュニケーション
ブログの「読者」から、YouTubeの「視聴者」へシフト
iPhoneで撮ってすぐにアップする「撮って出し」のインパクト
【コラム2】 デジタルネイティブと承認欲求第4章 「動画置き場」から「人」主体のメディアへ
テロップで盛り上がりを共有するニコニコ生放送
YouTube Liveとハングアウト
コミュニケーションツールとしてブレイクした「ツイキャス」
6秒ショートムービー「Vine」の一人勝ち
テーマがなくても、つなぎ合わせるだけで日常生活がショートムービーになる
プロの作った映像を堪能できる「Vimeo」
これからはキュレーションサイトが面白くなる
動画の引用と著作権の問題
韓国クリエイター「Eat Your kimchi」
みんなの動画をつなぎ合わせるインタビュー④ MEGWIN--YouTubeに可能性を見い出した芸人
舞台での空白の時間に動画を流す
動画のアーカイブが「自分史」になる
タニタの出資で株式会社を設立
再生回数は「時価」のようなもの
動画で食っていける「仕組み」を次世代に渡すインタビュー⑤ アリケイタ――インターネット上のフレッシュな情報を紹介
様々なニュースをコンパクトにまとめる
動画作成時間を確保するため、ゴミ収取屋に第5章 動画サイトがビジネスのプラットフォームになる
企業の動画活用
インタビュー⑥ AppBank――YouTubeで新たな販路を開拓
社員は、ブログ記事も書くライターでもある
YouTubeチャンネルと店舗との連携
企業内で活躍するユーチューバー
テキストだけの戦略では、もはや時代遅れ企業によるバイラルマーケティング
コラボレーションCMで、企業との視聴者の間に橋をかける
お金をもらって商品の評価をするということ
巨大なビジネスプラットフォーム「VICE」
マルチチャンネルネットワーク
スタジオなど、動画制作の環境整備が求められる
ユーチューバーの芸能プロダクション設立第6章 まったり配信から始めよう
「稼げる」ことを目指していない人へ
インタビュー⑦ 飯塚敦――「カレー」キュレーターとして、まったり発信
iPhone一台からまったりスタート
コメントを承認制にするメリット
ブレイクすることは、バカに見つかるということセーフティネットとしての役割
新しい働き方の可能性おわりに
SFの領域に踏み込みつつある動画文化
クリエイターとしての意識はどう変えるべきか
新しい「つながり」コミュニケーションとしての動画
「何を撮る?」から「誰が撮る?」へ
愛場 大介(ジェット☆ダイスケ)(あいば・だいすけ)
1974年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。ビデオブロガー。2009年、アルファブロガーアワード受賞。ビデオアート系の映像作家としても受賞歴があり、国内外で作品を上映している。日本で最初の動画レビュアーとして知られ、創設以来YouTubeの発展に貢献。個人ブログ「ガジェット☆ダイスケドットコム」では、主にデジタル商品を動画と共に紹介している。2013年より、uuum(ウーム)株式会社の顧問を務める。
YouTubeチャンネルID:jetdaisuke
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