『縄文とケルト』|エンド・オブ・ユーラシアのよく似た遺跡

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イギリスの遺跡を見ながら

本書『縄文とケルト』は、まずイギリスの遺跡の数々を順に見てゆきます。一番有名どころはストーンヘンジでしょう。同様にイギリスには、石で作られたサークルや道のように見えるものがあるのをご存知の方も多いかも。あさよるは、UFOのなんか、宇宙人が作った遺跡だとかいうオカルト談義で知っていましたw

それにしてもイギリスにはたくさんの石を使った遺跡が残されているんですね。石が並んでいる遺跡だけではなく、すごく立体的に組みあがった遺跡もたくさん掲載されていて驚きました。一見すると岡の様で内部が屋が並んでいる遺跡の図を見ると、まるでホビットの家だ!と驚き。あれはフィクションではなく、イギリスにはあんな石造りの複雑な遺跡があるのね。

ユーラシアの端と端

巨石文化はイギリスにあるだけではなく、日本にもあります。奈良県にある石舞台古墳や茨城県の太刀割石等々、日本中にありますね。イギリスの石造りの家のような遺跡を見ていると、沖縄県の亀甲墓に似ているなぁと思いました。

著者・松本武彦さんは、イギリスの風景を見ているとどことなく日本の遺跡と似ていると感じたそうです。

遺跡の形や、それを残した社会の隔たった地域どうしで比べてみて、両者の共通点と相似点とをあぶり出し、相互の歴史的特性を明らかにする営みを「比較考古学」という。その実践の一つとして、冒頭に述べた日本とイギリス、つまりユーラシア大陸の東西両端で相似の位置を占める二地域の歴史の歩みがみせた共通点を明らかにすることを、本書の第一の目的としたい。

p-12

共通点を多くもつ二つの地域を比べることで、似通ってるところ、全く違うところがあぶりだされます。

〈ルーツが同じ〉ではない?

あさよるも勘違いして読んでいたのですが、決して「ケルトと縄文の文化が〈同じ〉だ」という主張ではありません。むしろ逆で「ケルトと縄文は違った文化を持っているにも関わらず、似ている点がたくさんある」。人は遠く隔たった地域に住んでいても、考えることは似ていたり、あるいは大陸で興った文化が少し遅れて島へ渡って来たのかもしれない。

縄文とケルトを見ることで、普遍的な、あるいはもっと大きな人類の営みが見えてくるのかもなぁと思います。あさよるは難しいことわからないですけど、壮大でワクワクする話でした。

縄文とケルト: 辺境の比較考古学

目次情報

はじめに

第一章 非文明の景観

1 旧石器時代から新石器時代へ

氷期の終わりと定住の始まり/人類史における環境要因/新石器「芸術」の発展/危機を乗り切る二つの道

2 世界遺産を訪ねて

遺跡の歩き方/エーヴベリー周辺の記念物群/さえないルックスの重要遺跡--ウィンドミル・ヒル/謎の遺跡/コーズウェイド・エンクロージャーの正体/遺跡の再利用/五六〇〇年前の石室/死者たちの会所/巨大な土木建造物/歩みと巡りのまつり/悪魔と新石器時代記念物/謎の大円丘/「非文明型」社会の本質

第二章 死者世界を旅する

1 ロング・バロウの世界

エヴベリーからの旅立ち/丘陵の石室墳/十字架形石室の好例/日本人考古学者の疑問

2 巨石と図文

ウェールズのパワー・スポット/巨石をめぐる論争/臨死体験と石室墳

3 北への旅

森と入江の石室墳/部族と石室墳/荒野の積石塚/死者の長屋/在地化した羨道墓/石室墳の二系統/放射性炭素革命

第三章 「先ケルト」から縄文へ

1 北辺の世界遺産

羨道墓発達の極致/世界遺産の羨道墓/正者の家と死者の家/真冬まつり/最北のストーン・サークル

2 往来と交流の舞台

メキシコ湾流が洗う島/洗いの象徴/新石器の航海者たち/南北交流の接点/ストーン・サークルと磨製石斧

3 太陽と季節のまつり

完成型としてのストーンヘンジ/ストーンヘンジの仕掛け/縄文の太陽

4 生と死の円環

北のサークルとヘンジ/盛土の貝塚/貝塚の本質/遺骸をめぐる儀礼/非文明の本質

第四章 ケルトの基層、弥生の原像

1 斧と文明

奇妙な積石塚/彫られた斧/斧のシンボル化/文明を開く斧/斧と剣の世界

2 原ケルトの登場

「ストーンヘンジの王」/個人と階層の演出/酒のきずな/鋳物師たちのネットワーク/原ケルトの広がり/集団から個人へ/文明への敷居

3 東方の「原ケルト」

東アジアの青銅器/個人を際立たせる墓/縄文から弥生

第五章 帝国の周縁で

1 弥生の国々

弥生時代の大集落/国々の発展/市民が守った出雲の国/近畿と東日本の国々/王の出現/王族の発展

2 ケルトの部族たち

ブリテン島の環濠集落/巨大環濠集落の内部/東の「国」と西と「部族」/環濠集落の変遷/「ムラからクニへ」そしてローマへ/ウェールズの石塁集落/スコットランドの石造住居/旅の終わりに

3 歴史の分かれ目

ケルトの繁栄と衰亡/「渡来人」とケルト/ケルトと騎馬民族/侵略説への批判/ブリテン島のローマ化/古墳と民族アイデンティティ/分岐の要因

おわりに
図版出典一覧
引用・参考文献

松本 武彦(まつもと・たけひこ)

1961年愛媛県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。岡山大学文学部教授を経て、現在、国立歴史民俗博物館教授。専攻は日本考古学。モノの分析をとおしてヒトの心の現象と進化を解明、科学としての歴史の再構築を目指している。2008年、『全日本の歴史1 列島創世記』(小学館)でサントリー学芸賞受賞。他の著書に『進化考古学の大冒険』『美の考古学』(新潮選書)、『古墳とはなにか』(角川選書)、『未盗掘古墳と天皇陵古墳』(小学館)などがある。

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