『ゴジラ音楽と緊急地震速報~あの警報チャイムに込められた福祉工学のメッセージ~』

  • LINEで送る

緊急地震速報ってゴジラの音楽ってホント?

答えはNO。

だけど、もっと面白い制作秘話が!

シン・ゴジラが楽しみで^^

2016年夏話題の話題作『シン・ゴジラ』。見に行った人たちの感想を目に耳にするごとに「早く見たい!」と大興奮中です。近々映画館へ行きます(^^)/

すっかり頭の中が“ゴジラモード”になっているとき、SNSで『ゴジラ音楽と緊急地震速報』が紹介されているのを目にしました。

どうやら、あの緊急地震速報が作成されるまでのお話らしいのです。

wkwk

緊急地震速報は「ゴジラ」のテーマ音楽?

「チャランチャラン 緊急地震速報です。チャランチャラン」と、緊急地震速報がテレビから鳴り響く様子を何度も目にしました。あまり聞きたくはない音声ですが、なくてはならないものです。

その緊急地震速報が、ゴジラのテーマ音楽である!!とSNSで話題になりました。結論から言うと、これはデマです。

ですが、面白いのは、緊急地震速報とゴジラの音楽は、全く関係のないことではないんです。緊急地震速報を制作なさった伊福部達さんは、ゴジラのテーマを作曲なさった伊福部昭さんの甥にあたる人物。そして、緊急地震速報の製作にあたり、叔父である伊福部昭さんの楽曲をモチーフとして使用されました。

全然関係のなさそうな出来事が重なって、あの緊急地震速報が作成されてゆく様子が、『ゴジラ音楽と緊急地震速報』が紹介されています。

研究、開発というものは、一見して関連がなさそうなものごとが降り積もって、寄せ集まって、なされてゆくのだなぁと関心しました。

一人でも多くに聞こえるチャイムを!

緊急地震速報はその性質として、一人でも多くの人に「危険が近づいている」ことを知らしめなければなりません。

大人にも子どもにも緊急事態が理解でき、しかし冷静に行動に移すよう知らしめるのです。そして、一人でも多くの聴覚障害者にも届かねばなりません。

緊急地震速報のチャイム音に求められる条件として、以下の五項目を提案した。

(1)注意喚起させる音であること
(2)すぐに行動したくなるような音であること
(3)既存のいかなる警報音やチャイム音とも異なること
(4)極度に不快でも快適でもなく、あまり明るくも暗くもないこと
(5)できるだけ多くの聴覚障害者に聞こえること

『ゴジラ音楽と緊急地震速報』(伊福部達、2012)p.116

また、著作権や、公共性の高いもの故の配慮が必要です。短いチャイム音ですが、そのチャイムの持っている意味が重大ですから慎重に検証も繰り返されます。

バラバラの研究が、組み合わさって新たなものへ

『ゴジラ音楽と緊急地震速報』は緊急地震速報の制作秘話のようにも読めますし、一つの研究が実を結んでゆく様子を物語にのようにもたのしめます。また、伊福部達さんと伊福部昭さんの甥と伯父の絆の物語でもあります。

そして、アイヌ音楽の研究と、日本における西洋音楽との関わり。

「福祉工学」という、聴覚障害や視覚障害者が利用する道具の開発をめぐる、人間の五感に関する考察など、一見、緊急地震速報と関係のなさそうな話題が登場します。

しかし、バラバラであった研究と研究が、偶然やたまたまの人間関係によって結びつきあい、「緊急地震速報」という結晶となりました。研究というのは、一見して何が有益なのか、何がどんな展開を見せるのかなど分からないものだなぁと知りました。

福祉工学に興味津々!

また、「福祉工学」はまだまだ新しい分野で、今後の展開にとても期待を感じます。例えば、聴力の視力の低下は、年齢とともに誰にも起こりえますから、他人事ではないのです。

また、「気配」と呼ばれているものが、聴覚に由来するものであること。それは、魚が持っている能力であり、我々の祖先が海で住んでいた時代に持っていた能力であると推測されており、面白く思いました。

好奇心かきたてられる一冊です!

ゴジラ音楽と緊急地震速報~あの警報チャイムに込められた福祉工学のメッセージ~

目次情報

プロローグ:東日本大震災と緊急地震速報チャイム

第1章 ゴジラ音楽と映像音楽の四原則

映画『ゴジラ』の音楽設計
作曲家・伊福部昭と伊福部達教授
アイヌ音楽と伊福部昭

第2章 聴覚の不思議

座頭市と気配
「音が聞こえる」仕組み
エコー・ロケーション
叫び声のメカニズム
メロディーと心理の関係

第3章 音の福祉工学と聴覚の世界

医療工学と福祉工学
音のマスキング
指で聴く装置
盲牌の実験
音声タイプライタ
人工内耳プロジェクト
スタンフォード大学の人工聴覚研究室

第4章 伊福部達と蝋管再生プロジェクト

TV番組『ユーカラ 沈黙の80年』
流刑囚ピウスツキと樺太アイヌ
蝋管の発見と再生までの道のり
蝋管式蓄音機とは
再生プロジェクトの結成
損傷、結晶化、カビ……問題続出

第5章 チャイム音楽の制作――課題と検証

チャイム音に求められるもの
チャイムにメッセージ性を持たせる
最初の試作音
チャイム音としての機能を高める
音色を聞こえやすさの関係
聴覚障害者にも聞こえやすい音
チャイム音の比較実験
緊急地震速報チャイムの運用

第6章 福祉工学が秘める可能性

ヒューマン・インターフェース
九官鳥の研究から生まれた人工頭蓋
腹話術の謎に迫る
話速変換型補聴器
スクリーンリーダーとタクタイル・エイド
再び触知ボコーダ
触覚ジョグダイアル
音声同時字幕システム
バーチャル・リアリティ(VR)
介護用MHアクチュエーター
福祉ロボットの実現に向けて
ジェロンテクノロジー(高齢者支援技術)
福祉工学のビジネスへ
再びチャイム音に

エピローグ:チャイム音製作の三原則
監修者あとがき 伊福部達
索引

伊福部 達(いふくべ・とおる)

1946(昭和21)年北海道生まれ。北海道大学大学院工学研究科修士課程修了。スタンフォード大学客員助教授、北海道大学電子科学研究所教授、東京大学先端科学技術研究センター教授を経て、現在は北海道大学名誉教授、東京大学名誉教授、東京大学高齢社会総合研究機構特任研究員。専攻は生体工学、音響工学、福祉工学。工学博士。著書に『音声タイプライタの設計』(CQ出版/1984)、『音の福祉工学』(コロナ社/1997)、『人工現実感の評価』(編著/培風館/2000)、『福祉工学の挑戦』(中公新書/2004)、他がある。

筒井 信介(つつい・しんすけ)

1956(昭和31)年愛知県生まれ。大阪市立大学経済学部卒業。出版社勤務を経て(有)イデアを設立、現在にいたる。編集した書籍に『完本 管弦楽法』(伊福部昭著/音楽之友社/2006)、『誰も書かなかった作曲のタネあかし』(福田裕彦/ヤマハミュージックメディア/2007)他がある。

SNSでもご購読できます。

スポンサードリンク


コメント

コメントを残す

*