みうらじゅん『「ない仕事」の作り方』本屋大賞|ゆるキャラ、マイブーム…流行りを作る

みうらじゅんさんって何屋さんなの? と不思議だったんですが、本書『「ない仕事」の作り方』を読むとますますわからなくなりますねw すごい人なんだということだけわかりました。

「マイブーム」「ゆるキャラ」など、一時の流行りではなく、すっかり日本の文化の中に根付いた言葉や存在も、みうらじゅんさんが送り出したもの。

「なんかよくわからんけど、物好きの変な人なのかな?」と失礼ながら(ほんとに失礼)ぼんやり思っていたのですが、本書を読むに、すごいプロ意識の塊なんだということを知れました。

本屋大賞 超発掘本!

2020年の本屋大賞の「超発掘本!」に本書『「ない仕事」の作り方』は選ばれております。

今、このコロナ禍です。先行きを考えると、働き方や、仕事とは何かと考えざるをえません。そこで『「ない仕事」の作り方』です。

たぶんこれから、仕事を作る、というマインドが必要なんだろうなあ~なんて考えながら、本書を手に取ったのです。

ブームは「作る」

みうらさんのプロ意識を感じたのは、ブームは「作る」ということ。

まずは、自分の中でブームを作る。その対象が好きとかそんなんじゃなく、今までにない切り口のものを見つけたら、まずは自分がそれにハマって集めまくってみる。そこから始まるのです

たとえば「ゆるキャラ」は、「ゆるキャラ」という言葉が生まれるまでは、郷土の特産品とかをあしらった奇妙な「着ぐるみ」で、愛されてもいなかった。「ゆるキャラ」という切り口が生れて始めて、人々がそこに愛着を感じるようになったんですね。

趣味じゃなく、仕事

みうらじゅんさんはそんなマイブームを、趣味としてではなく仕事としてなさっているのが、すごいなあと思った次第。わたしは本業の仕事も、半分趣味みたいな感覚でやっちゃってるので、反省しました。

クリエイティブな仕事をしたいと思っている人、特に若い人には、本書は刺激的だと思います。

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「ない仕事」の作り方

  • みうらじゅん
  • 文春文庫
  • 2018/10/10

目次情報

まえがき すべては「マイブーム」から始める

第1章 ゼロから始まる仕事~ゆるキャラ

「ゆるキャラ」との出会い
「ゆるキャラ」と命名
自分洗脳と収集
雑誌に売り込む
イベントを仕掛ける
ブームとは「誤解」

第2章 「ない仕事」の仕事術

1 発見と「自分洗脳」

伝わっていないものを伝える~吉本新喜劇ギャグ100連発
ないものから探す~勝手に環境協会
自分を洗脳する~テングーとゴムヘビ
逆境を面白がる~地獄表
趣味は突き詰める~ブロンソンズ
人からの影響もうける~大島渚
好きなものが連鎖する~崖っぷち

2 ネーミングの重要性

ネーミングでマイナスにする~いやげ物
本質を突く~とんまつり
怒られること逆転する~らくがお
重い言葉をポップにする~親孝行プレイ
流行るものは略される~シベ超
意図しないものが流行る~DT

3 広めること伝わること

母親に向けて仕事をする~人生エロエロ
雑誌という広報誌~奥村チヨブーム
接待の重要性~VOW!
チームを組む~ザ・スライドショー
言い続けること~ディランがロック
暗黙の了解を破る~アイデン&ティティ

第3章 仕事を作るセンスの育み方

1 少年時代の「素養」が形になるまで

一人編集~怪獣スクラップ
自分塾の大切さ~DTF
デビューと初期作品~オレに言わせりゃTV
糸井重里さんとの出会い~見苦しいほど愛されたい
まだないことを描く~カルフォルニアの青いバカ

2 たどり着いた仕事の流儀

見合った方法で発表する~色即ぜねりぇいしょん
「私」で考えない~自分なくしのたび
不自然に生きる~グラビアン魂
安定していないふりをする~ロングヘアーという生き方
「空」に気づく~アウトドア般若心経
ぐっとくるものに出会う~シンス

第4章 子供の趣味と大人の仕事~仏像

仏像スクラップ
「見仏記」の開始
「大日本仏像連合」結成
「仏画ブーム」到来
「阿修羅展」という事件
仏像大使に任命

あとがき 本当の「ない仕事」~エロスクラップ

I don’t believe me.
みうらじゅんと糸井重里は、もともとなかった仕事をやっていた。 スペシャル対談 糸井重里×みうらじゅん

カセット騒動について話します。
悪い奴じゃなさそうだから。
おまえはもう、来なくていい。
「いちファン」からの電話
我々の祖先。
Don’t believe me

みうらじゅん

1958年京都市生まれ。武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。
依頼、漫画家、イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャンなどとして幅広く活躍・1997年、造語「マイブームが新語・流行語大賞受賞後に。2005年、日本映画評論家大賞功労賞受賞。2018年、仏教伝道文化賞沼田奨励賞受賞。興福寺「阿修羅ファンクラブ」の会長。著書に『アイデン&ティティ』、『マイ仏像』、『見仏記』シリーズ(いとうせいこうとの共著)、『人生エロエロ』など。音楽、映像作品も多数ある。

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