『14歳からのパレスチナ問題』|「宗教紛争でしょ」って納得してない?

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こんにちは。地図が好きなあさよるです。世界地図なんて見ていると、行ったことがない場所ばかりですが、聞いたことのある地名がたくさんあります。「パレスチナ」もよく見聞きはするけど、それは一体どこにあるの?なんでニュースになってるの?どんなところなの?旅行した人も少ないだろうし、「知っているけど知らない」代表格なんじゃないでしょうか。

本書『14歳からのパレスチナ問題』は、タイトルに魅かれて手に取りました。なんとなく知った気になっていましたが、実は全然知らなかったパレスチナ問題が、整理されて紹介されています。

写真や地図、注釈も多くてオススメです。

分かった気になってない?

ニュースでパレスチナ問題を耳にすことがありますが、一体何で揉めてるの?バチッと答えられるでしょうか。なんだか適当に「宗教問題だねぇ」とか「聖地の取り合いなんだよ」なんて、分かった風な答えをしちゃってません?

17世紀、東方を治めていたオスマン帝国が、ヨーロッパと力関係が逆転します。18世紀以降のオスマン帝国は防御ばかりとなりましや。19世紀になり、近代化に忙しいヨーロッパをかわそうとしますが、内乱は絶えず、オスマン帝国の遺産の奪いあいが始まります。

この120年間のパレスチナの土地支配を巡って各国の思惑に、もつれにもつれてゆく様子が刻々と詳細に説明されています。〈14歳からの〉と銘打たれているだけあり、中学までの社会科を押さえていれば理解できるであろう内容です。が、さらにそこから一歩踏み入って、より世界史が立体的で地続きであることがよくわかります。

解決できるの?

『14歳からのパレスチナ問題』を読むと、大昔からの問題ではなく、近代に入ってからアジアとヨーロッパの勢力が変化し、第一次大戦、第二次大戦を経て引くに引けない状況に陥っているんだと知りました。ナショナリズムとシオニズムの勃興が話をややこしくしているようです。

以外と最近のゴタゴタなんだと知ると、今ならなんとかして引き返せるのではないか?なんて思ってしまいます。一方通行な歴史や社会科の学習ではなく「どうすればいいのか」と読了後、思わず考えてしまうよう構成されています。

タイトルには〈14歳からの〉とありますが、14歳どころか、大人ほど読んでおきたい内容です。

14歳からのパレスチナ問題: これだけは知っておきたいパレスチナ・イスラエルの120年

目次情報

この本を読むみなさんへ
「パレスチナ人」ってどんな人?/3つの世界宗教の聖地/8つの「7」のつく年

第1章 イスラム帝国をパレスチナ――オスマン帝国の征服

「シリア・パレスチナ」/ミレット制/東方問題/土地制度/クリミア戦争

第2章 シオニズムと近代反ユダヤ主義――バーゼル会議

シオニズム運動/シオニズム運動の統一/「ユダヤ人」とはどのような人びとか/キリスト教徒の「敵」/近代反ユダヤ主義はなぜ生まれたのか

コラム ユダヤ人の国とヘルツル

第3章 大国のエゴイズム――バルフォア宣言発表

バルフォア宣言/遺産の奪いあい/イギリスのおかしな2つの約束/フサイン・マクマホン書簡/サイクス・ピコ協定/シオニスト計画にイギリスが力を貸す理由

第4章 失敗したイギリスのパレスチナ支配――「ピール委員会」報告書発表

パレスチナの「委任統治」にのりだしたイギリス/切り刻まれた委任統治領/破たんした委任統治/パレスチナ分割を提案したピール報告書/ナチスとアメリカ、イギリス/アラブ人社会の抵抗と敗北

第5章 冷戦のなかで生まれたイスラエル――国際連合のパレスチナ分割決議

冷たい戦争/ホロコーストから、ただ1つの希望/国連のパレスチナ分割決議/第一次中東戦争/アメリカとソビエトの動き/ソビエト政府の対応

コラム パレスチナ分割とトルーマン

第6章 「難民」から「パレスチナ人」へ――第三次中東戦争の意味

主人公となったパレスチナ人/6月戦争/国連安保理決議242号/アル・カラーメの闘い/アラブ人の「名誉」/栄誉となったゲリラ/民主的・非宗派的パレスチナ国家

第7章 タカとハトとラビ――イスラエルにタカ派リクード政権成立

「ユダヤ人の国」イスラエルの変化/タカとハト/修正主義者/「ハト」派の人びと/イフードの結成/「ラビ」

コラム イスラエルの政党

第8章 「石の革命」からオスロ合意へ――第一次インティファーダ始まる

新しい主役/インティファーダ/最前線にとび出した少年たち/人民委員会/石の革命/パレスチナ国家独立宣言/イスラエルとの交渉/オスロの秘密交渉

第9章 裏切られたオスロ合意――希望から幻滅へ

「原則の宣言」調印式/自治交渉の中断・遅れ/イスラエル右派政権の復活/泥沼にはまった自治交渉/労働党の政権復帰、首脳会談/キャンプ・デービッド首脳会議

第10章 平和への遠い道--オスロ合意体制の終わり

西側地区再占領/入植活動と分離壁/ガザ地区への新たな攻撃/ハマースの台頭とパレスチナ自治政府の分裂/不毛な交渉、「仲介者」アメリカの無責任/パレスチナ側の外交勢力

コラム ファタハとアラファート

第11章 パレスチナ問題のこれから――出口の見えない第三次インティファーダ

若者たちの絶望と抵抗/パレスチナはどこへ?

資料編

バルフォア宣言/マクマホンの紙/サイクス・ピコ協定/ピール報告書/マルコム・マクドナルドの白書/イスラエル独立宣言/国連総会決議181号(パレスチナ分割決議)/帰還法/国連安全保障理事会決議独立宣言(要旨)/パレスチナ国民評議会・政治宣言/ファタハノ七項目行動綱領/「暫定自治政府編成に関するパレスチナ-イスラエルによる原則の宣言」(オスロ合意)(1993年9月13日)/アラファート議長よりラビン首相あての書簡(1993年9月9日)/パレスチナ国民憲章/「カルテット」のロード・マップ(2003年4月正式提示)

あとがき

もっと知りたいとき参考になる20冊
パレスチナ問題を理解するための年表

奈良本 英佑(ならもと・えいすけ)

1941年生まれ。法政大学名誉教授。京都大学文学部史学科卒業。
1965年から80年まで毎日新聞社。
退職後、プリンストン大学院で中東史専攻、1984年修士課程修了。非常勤講師などを経て、1991年から2012年まで法政大学教員。現在に至る。
主な著書に『パレスチナの歴史』(明石書店)、翻訳書は、G.H.ジャンセン「シオニズム-イスラエルとアジア・ナショナリズム」(第三書館)、Y.ハルカビ「イスラエル・運命の刻」(第三書館)など。

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