『図解 知識ゼロからの林業入門』|山の仕事って「謎」だった

こんにちは。乱読ばかりしている あさよるです。

半年ほど前に『照葉樹林文化』という本を読み、当ブログでも紹介しました。

この本で紹介されている内容が面白く、植物の分布によって、人間の文化や習慣が広がっているというのです。

日本人とよく似た習慣を持っている地域では、日本と同じような植物が分布し、よく似た食べ物を食べています。

植物学って、人類の文化を知ったり、歴史を知ることなんだ!これって博物学じゃん!と面白く思いました。

もっと、身の回りの植生や山や森のことを知りたいなぁ~と思っていたので、今回『知識ゼロからの林業入門』を見つけて、手に取りました。

学校で習った話から、今の話まで

『図解 知識ゼロからの林業入門』は、そのタイトルの通り、右も左もわからない あさよるが読んでも、最後まで楽しく興味深く読めました。

「林業」をキーワードに、林の成立や、山に手を入れることが、どういうことをしているのかを知れました。

小中学校で、林業について習った記憶がかすかにあります。その頃の知識を呼び起こされ、アップデートされたようです。

山、森林=大自然ってイメージで語られることが多いですが、実際に日本の山の多くは、誰かが管理してを入れている山です。

枝打ちをしたり、蔓を払ったり、結構、想像以上に大変な仕事なのですね……(いや、想像でも大変そうって思ってたけれども)。

キツくてキケンな仕事であることから、林業に携わる人が減っていることが、深刻な問題であることも知れました。

林業を始められるわけではない

実は、『図解 知識ゼロからの林業入門』というタイトルを見て、あさよるはてっきり「この本を読めば林業が始められるのか!」と思って手に取りましたw

職業紹介の本だと思ったのですねw

読んでみると、想像していた内容とは違っており、「林業」にまつわる界隈のお話を広く紹介する内容でした。

そういえば、表紙にも「育林」「加工」「流通」「歴史」「制度」「森の活用」と書かれています。

たぶん、これらの話題も深く掘りすすめれば、それぞれ一冊の専門書になる内容でしょう。それらを大きくまとめ、林業全般の話をしているのが本書『図解 知識ゼロからの林業入門』です。

お間違いのないように!(;’∀’)ww

図解や写真、表が多く理解しやすい

あさよるは林業に関する知識がありませんので『図解 知識ゼロからの林業入門』の「図解」の部分に救われました。

文章だけでなく、写真や表が多くてわかりやすい。

例えば、森林がどうやって形成されてゆくのかという話で、背の高い樹木が立ち並んでいると、地面に光が届かないので、ほかの植物は育ちません。しかし、一本樹が枯れてしまうと、その下の空間に光が届き新しい木が伸び始めます。

さらに、もっと大きな範囲で、土砂崩れでドカッと空間ができると、その部分で一気にほかの植物が増えてゆきます。そうやって、まだらに、モザイク状に森ができてゆく。

その過程が、簡単で的確な図解がなされていて、読んでいてワクワクしました。

謎の空間「山」を知れた

普段、住宅地で生活しているあさよるにとって、「山」って謎の空間です。

あさよるの生まれ育った地域は、山手の田舎ですが、どこも田畑として開墾されている地域で、「林業」というものは身近なものではありません。

親類の持ち物の「山」でタケノコ掘りをしたり、レジャーとして訪れることはありましたが、「山」を所持して何をしているのか知りませんでした。

そうか、林業かぁ~。

と、納得したと同時に、「山を持ってても管理が大変だ」という話も思い出しました。

現在、管理されず放置された山が増えたことで、新たな問題が起こり始めています。山でクマや害獣が繁殖し、人里に出てくるニュース、よく見ますね。

クマやサルが住んでいた地域は、人の住むエリアと遠く離れていたから出会うことはなかったのに、間にある「山」が放置され、動物が住む山になってしまった。

これも「林業」が遠ざけられた結果、すでに起こっている事実です。

あさよるも、「林業なんて知らない」「縁がなかった」なんて言っておらずに、もう少し知ってみたいなぁと思いました。

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図解 知識ゼロからの林業入門

  • 関岡東生
  • 家の光協会
  • 2016/10/26

目次情報

はじめに

第1章 いま林業が注目されるわけ

1 人と森林の多様で密接な関係
2 「森林国」日本
3 農業と林業
4 日本の林業地
5 林業の変化から見える人と自然の関わり
6 林業を担う人々
7 林家と家族林業経営体の現在
8 日本における林業の経済的位置
9 日本の木材輸入状況と自給率

第2章 森林と樹木を知る

1 世界の森林植生の分布と特徴
2 日本の森林植生の分布と特徴
3 変化する森林~植生遷移のしくみ~
4 森林が維持されるしくみ
5 森林土壌のしくみと循環機能
6 森林微生物の働き
7 「砂漠化」への取り組みと課題
8 管理が必要な人工林
9 樹木とは何か?
10 様々な樹木~針葉樹と広葉樹、常緑樹と落葉樹~
11 樹木の成長と年輪の関係
12 樹木の病気が社会に与える影響

コラム1 林業とスギ花粉症

第3章 林業を知る~樹木を育てる・収穫する~

1 伐期を迎えた日本の人工林
2 持続可能な木材生産
3 森林を測る~計画的な木材生産のために~
4 森林GISの利用方法とその利点
5 日本の林業における2つの生産過程
6 樹木を育てる①~苗木の生産~
7 樹木を育てる②~地拵えから植林まで~
8 樹木を育てる③~下刈りと蔓切り~
9 樹木を育てる④~間伐~
10 樹木を育てる⑤~枝打ち~
11 樹木を育てる⑥~気候風土に合わせた様々な工夫~
12 樹木を収穫する①~伐採・造材・集材~
13 樹木を収穫する②~丸太を測る~
14 樹木を収穫する③~木材輸送の昔と今~
15 林業機械化の歩み①~戦後から高度経済成長期~
16 林業機械化の歩み②~高性能林業機械の登場~
17 林業労働災害の現状

コラム2 人の手で植生遷移を早める

第4章 林産業を知る~木材を加工・消費する~

1 林業から林産業へのバトンタッチ
2 木材の強さの秘密
3 人々の生活を支える樹木~針葉樹と広葉樹の用途~
4 木材の様々なバリエーションと性質
5 木材流通のしくみと変化
6 丸太から製材品へ
7 製材工場の歩みと現在
8 木材の規格と木材認証制度
9 木造住宅のしくみと特徴

第5章 日本林業と林政の歩み

1 古代から近世~建築・エネルギー資源として不可欠な森林~
2 明治から終戦まで~殖産興業・戦争利用と保存のめばえ~
3 1945年~50年代~木材需要が逼迫した戦後復興期~
4 1960年代~高度経済成長期の木材輸入と拡大造林~
5 1970~90年代~木材需要・木材価格の低迷期~
6 2000年以降~多面的機能への期待~

コラム3 大径木を収穫する長伐期施業

第6章 木材だけではない森林からの恵み

1 NWFP(非木材林産物生産)とは何か?
2 キノコ生産の状況と多彩な利用法
3 森林性動物と人間社会との関係
4 増加傾向にある野生鳥獣による被害
5 狩猟免許制度のしくみと現状
6 森林のもつ癒し効果
7 「森の幼稚園」の教育効果
8 ドイツで確立した「森林美学」
9 生活を守る森林①~山地災害を防止する~
10 生活を守る森林②~海の脅威を防ぐ海岸林~
11 森の恵みを生かし、守り育てる人々

第7章 これからの林業の可能性と課題を知る

1 各地で進む木材のブランド化
2 木質バイオマスエネルギー
3 伝統工芸品から森林の価値を見つめ直す
4 林業の担い手を育てる行政支援
5 林業生産のこれからを考える①~林地集約~
6 林業生産のこれからを考える②~自伐型林業~
7 温暖化防止に向けた森林の果たす役割
8 環境・地域経済にやさしい木材の地産地消

おわりに

索引

関岡 東生(せきおか・はるお)

東京同業大学地域環境科学部森林総合科学科教授。専門は、森林政策学、森林教育学、森林文化論。1965年、東京都生まれ。1995年、東京農業大学大学院農学研究科林学専攻終了。博士(林学)。日本新林学会・日本環境教育学会・日本野外教育学会・日本農業教育学会・林業経済学会他に所属。著書(共著・監修含む)に、『日本の森林と林業』(大日本山林会2011年)、『森林づくりの四季1・2』(上毛新聞社 2011年)、『木力検定③』(海星社 2014年)、『新版 森林総合科学用語辞典』(東京農大出版会 2016年)など。

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