『心配学』|正しく心配するために

  • LINEで送る

「〈安全〉よりも〈安心〉が欲しい」みたいな言い回しがあるように、不安な気持ちが続くのはつらい。大丈夫と安心していたいものだ。本書『心配学』は、災害やテロ、事件、事故など心配事を、正しく心配するためのガイドラインになる良書だ。

〈適切に心配する〉ために、本書をおすすめします(^^♪

本書『心配学』では、本当に心配すべきことと、そこまで心配しなくてもいい事柄が紹介される。例えば、航空機事故やテロに巻き込まれて命を落とす確率よりも、交通事故に遭う確率のほうが高い。BSE騒動や、原発事故、喫煙のリスク、ギャンブルなど、心配なことが幅広く扱われている。

さらに、単に著者の考えを読むだけではなく、本書『心配学』では、リスクを自分で計算する方法も紹介されている。そのために必要なデータも、今では手軽にネットで集めることができう。わたしたちは既に、必要な情報へのアクセスが可能な環境にあるのだ。だから、自分で情報を集めてサクッとリスクを計算してしまって、〈適切に心配する〉ことが大事だ。

テレビでは、視聴者の気を引いて飽きさせない話題として、ショックな話題が扱われがちだし、過激な意見も大きく紹介されがちだ。もちろん、マイノリティな意見も大切なもの。自分はどう考え、どう判断するのかを、なんとなくテレビの論調やその場の雰囲気で決めるのではなく、きちんと自分の頭で考えるための準備として本書『心配学』は役立つと思う。

新書で軽く読めるし、読みやすいよう親しみやすい文体で書かれているのも良い。おすすめ(`・ω・´)b

心配学 「本当の確率」となぜずれる?

心配学~「本当の確率」となぜずれる?~ (光文社新書)
  • 島崎敢
  • 光文社新書
  • 2016年1月20日

目次情報

はじめに――テロリストが狙う「心配」

第一章 どうせいつかは死んじゃうのに、なぜ「心配」するのか?

わからないから心配になる/心配の源は「リスク」/リスクの定義/本当の確率/これぐらいだと思う確率/この章のまとめ

第二章 セレブと自分を比べて凹まない、ひとつの方法

危ないという情報が氾濫する理由/メディアとニュースの価値/天気予報が外れたら……/平均的年収、平均的身長/平均が心配を呼ぶ/平均で心配しないために……/サイレントマジョリティ/因果関係と相関関係/この世は「値」だらけ/巨大地震と鼻血/実験心理学の手段/「人災だ!」の心理/「政治家は悪いことをしてそうだ……」/「科学者はなんだか小難しい……」/定量的な評価が苦手/飛行機は落ちる。宝くじは当たる/性能が上がると心配が増える/なぜ科学者は歯切れが悪いのか/「絶対」といえない人たち/科学者の頭の中を覗いてみると/赤ちゃんとデートと試行錯誤/経験や知識が認知を歪める/ハイヒールと認知/いつも論理的な人なんていない/なぜ自分を論理的だと「勘違い」するのか/難民の男の子の遺体写真/井戸端会議が心配を加速させる/人類は怠け者エリート/人間とタラ、その生と死/この章のまとめ

第三章 ゴキブリに殺された人はいないのに、なぜこわい?

心配の中身を知れば……/命と株、失い方の違い/ゴキブリに殺された人はいない/結果の重大性の解釈/本当はこわいもの、本当はこわくないもの/喫煙はこんなにこわい/「ジュージャン」というギャンブル/宝くじ、競馬、パチンコの還元率/「ベネフィット」とは/「コスト」とは/リスクの過大評価と過小評価/過大評価のデメリット/風評被害の問題/妊娠とレントゲン/馴染みのない言葉に負けるな/お医者さんが感じているリスク/リスクをどう分配するか/ツケを払うタイミング/原発だって「ドンペリ持ってこーい!」感覚/「実は結構こわいんだ」を伝える場合/「次も大丈夫だろう」の危険性/同調行動/秋津駅~新秋津駅間のプチパニック/この章のまとめ

第四章 もっとも悲観的な情報が安心させてくれる

「ナッツ食べるな」「ナッツ食べろ」論争/本当の確率と科学的な確率/なぜリスク計算をすべきなのか/実際に計算してみよう/大雑把だけどできるだけ安全に/信頼できるウェブページの見分け方/ウィキペディアは信用できるか/学術論文とは何か/この章のまとめ

第五章 実践! 心配計算学講座

計算の実例/1 日本脳炎の予防接種は受けなくていい?/2 授乳中・妊娠中のアルコールは危険なの?/3 携帯電話を使うと脳腫瘍になるの?/4 BSEのリスクはどれくらいだったの?/5 シートベルトをしている助手席としていない後部座席、どっちが安全?/6 食品添加物はどれくらい摂るとヤバいの?/7 切り干し大根のカロリーを計算してみたけれど……/8 原子力発電所のリスクはどれくらい?/9 放射線が人体へ与える影響はどれくらい?/10 一〇〇ミリシーベルトって高いの? 低いの?/原発に関する私のスタンス/心配が先か、安全が先か/この章のまとめ

第六章 心配しすぎず、安心しすぎず生きるには

癌が目立つ国・日本/「CO2出していいじゃん」「出しちゃダメじゃん」の違い/危険感受性/危険回避のスキルを上げる/マニュアルの功罪/行動を事前に決めておく/あらかじめ仕入れられる情報は仕入れておく/できることは先にやっておく/「どうするか」を共有しておく/安心しすぎない/リスクの目標水準を変える/目標水準を変えるもの/話を聞いてもらう/この章のまとめ

おわりに――幸せな生き方
参考文献

島崎 敢(しまざき・かん)

一九七六年東京都生まれ。心理学者。小学校から高校まで一貫してストーブ係として、冬の教室のリスク管理に努める。静岡県立大学国際関係学部卒業後、大型トラック、トレーラー、タクシー運転手として生計を立てる。その後、早稲田大学大学院人間科学研究科博士過程単位取得満期退学。早稲田大学人間科学学術院助手を経て、現在は、国立研究開発法人・防災科学技術研究所特別研究員。運転免許は、牽引二種と大特二種以外は全て所持。趣味は料理と娘のヘアアレンジ(本格的)。心配性ではない。

  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

スポンサードリンク


コメントを残す

*