使われる人、使う人|『出世する人は人事評価を気にしない』

「卒業基準」「入学基準」

求められているものが変わってゆく!

働くってなんだろうね…

大企業に正社員として勤めていた友人が、この春から契約を変更して、アルバイト雇用になったんだとか。

事情も知らないし、こっちから尋ねる気もない。だけれども、びっくりと同時に心配にも思う。

ふと、仕事ってなんなのかなぁ。「会社」ってなんだろうと、思いました。

「出世」の基準を知れる

「出世」と一口に言っても、二つの出世の基準があるんです。

それが「卒業基準」と「入学基準」。

卒業出世とは

「卒業基準」とは、小学校を卒業したら中学へ、中学を卒業したら高校へと、キャリアアップしてゆきます。

ある一定仕事ができるようになったら、それは卒業。次のステージへ…てな具合。

一般社員(主任、係長ふくむ)は、半ばエスカレーターのようかもしれませんね。

入学基準とは

一方「入学基準」は大学入学に例えられています。

高校を卒業したら、自動的に大学に入学できるわけではなく、入試によって大学を振り分けられます。

卒業出世の内は順調に出世してきたのに、管理職への出世で足踏みしてしまう人もいます。

順調に「卒業基準」で出世しても、「入学基準」で足が止まる

一般社員の間は、上司の指示によく従う人が出世の対象です。

上司からも、同僚からも愛されるキャラクターで、同期より先にトントン拍子に出世してゆく人も多くいます。しかし、管理職への出世を前にして、ピタッと足が止まってしまう。

反対に、はねっかえりで上司も持て余していた人物が、先に管理職へ出世していったりします。

キザっぽいけど、感動…

『出世する人は人事評価を気にしない』では、随所随所に短編の物語が挟まります。

海外に飛ばされた同期が出世して帰ってきた。次は自分も管理職だと信じていたのに、昇進できなかった。

なぜ?

ちょっと「クサくてウザいなぁw」なんて思いつつ読んでいたのですが、どんどん読み進めてゆくうちに、最後にはこの短いストーリーにちょっぴり感動してしまいました。

「使われる人」から「使う人」へ

一般社員のころと、管理職では、求められているスキルが違います。

平たく言ってしまえば、一般社員は「使いやすい人」が望ましい。しかし、管理職になると「人を使う」能力が望まれます。

「動かされる人」と「動かす人」。「働かされる人」と「働かす人」と言ってもいいですね。

作中に登場した、伸び悩む社員は、ハイハイと上司の言うことを黙ってよく聞く「使いやすい人」でした。だから、「卒業基準」でとんとん拍子に出世した。

だけど、いざ管理職への出世は、上手くいかなかった。「使われる人」から「使う人」へのジョブチェンジをしなければならなかったからです。

一方で、昔っから跳ね返りの同期は、「使われる人」という意味では、扱い辛い。だけど、自分の意見をはっきり言い、自分の責任で行動する様子が、「入学基準」では評価されます。

出世の基準、ご存知ですか?

「卒業基準」と「入学基準」。どっちが優れているとか、そういうものではありません。

立場によって求められているものが違うので、その時々に必要なスキルが違うんです。

昇進、出世は気になるものですが、それがどのような基準で行われているのか、ご存知ですか?

本書『出世する人は人事評価を気にしない』を、一度は目に通しておかれることをおススメします(´∀`)bグッ

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出世する人は人事評価を気にしない

  • 平康慶浩
  • 日経BPマーケティング
  • 2014/10/1

目次情報

SCENE 0 子会社に飛ばされた同期が上司になった日

はじめに

第1章 評価が低いあの人が、なぜ出世するのか?
――「使う側」「使われる側」の壁

大失敗している人、敵をつくりやすい人が取締役になる不思議
会社生活の中で、“競争のルール”は2回変化する
目の前の仕事で結果を出しても、ある日昇進できなくなる
一般社員の間は「卒業基準」、課長からは「入学基準」
「職務主義」のもとでは、課長として優秀でも部長になれない
“働かないオジサン”を生み出した昭和の「職能主義」
海外に進出した日本企業が「職務主義」にスライドする理由
昨日と同じルールでは競えない時代
出世するほど頭も体力も使わなければいけない
「使われる側」で評価されるスキルと「使う側」に必要な能力は全くの別物
なぜ一流の経営者の多くが理想的リーダー像に当てはまらないのか
「パーツとして優秀な人」の限界
会社が決して教えない、人事評価の本当の意味

SCENE 1 部長の懐刀と言われ続けてきたけれど

第2章 課長手前までは「できる人」が出世する
――組織における人事評価と昇進のルール

人事評価と昇進には、どんな相関関係があるのか
上位ポストになるほど評価と昇進判断はリンクしなくなっていく
昇進判断の典型的なプロセス
いわゆる「できる人」が出世するのは課長手前まで
管理職昇進で面接が重視されるようになってきている理由
昇進判断基準とは具体的にどのようなものなのか
昇進面接で面接官は何をチェックしているのか
「思い」ではなく「行動」に能力は表れる
なぜクレーム客に直接足を運んだ課長を昇進させなかったのか

SCENE 2 部下たちの会話

第3章 役員に上がるヒントは、ダイエットの本の中にある
――経営層に出世する人たち

管理職止まりの人と経営陣になる人は何が違うのか
“三羽ガラス”のうちなぜ企画部長が抜擢されたか
会社が順当でない時期には「卒業基準は重視されない」
二流デザイナーはなぜデザイン担当役員に抜擢されたのか
「マネージャー」と「リーダー」の職務の違い
経営層を選ぶ5つのアセスメント基準
品行方正タイプより、問題児タイプがときに昇進する理由
出世のための努力はダイエットに似ている
出世している人たちに共通する二つの行動パターン
つながりから生まれる価値に気づいているか
リストラ担当者はリストラ対象者とのつながりを深めた
取引先とのつながりをないがしろにする人の限界
経営層にみられる“自分自身に質問をする癖”
上に行く人たちは「どうすれば?」ではなく「なぜ?」で考えている
経営層になる人は、仕事とプライベートを区分しない
全力で働き続けることでストレスが減る
若き日の社長は「平日は家で食事しない」と恋人に宣言した
家族や友人との時間はビジネス上、会議やプレゼンと同じくらい重要である

SCENE 3 同期の助言

第4章 採用試験の本番は40歳から始まる
――課長ポストからキャリアの見直し

40歳からの10年間はなぜ重要なのか
トップまで行く人は、部長への昇進とほぼ同時期に役員になる
部長になれなった場合の40代からのキャリアの現実
課長時代の働き方がその後の会社人生を決定する
課長から部長に上がれる人は平均「2・7人に1人」
「10歳以上年下との競争」を生むタレントマネジメントの流れ
課長以上になれなかった場合も「出世」はできる
40歳は第二のキャリアの出発点

SCENE 4 役員との論争

第5章 飲みに行く相手にあなたの価値は表れる
――第二のキャリアを設計する

第二のスタートは人的資本の棚卸しから
自分を主人公として、ストーリーになる要素を洗い出してみる
専門性とつながりの「新しい使い道」を考える
ある人事課長のキャリアの棚卸しから新しい課が生まれた
「あなたの年収は、あなたの友人たちの平均年収に近い」を検証する
知人の平均年収は、あなたが所属する“チーム”の価値である
部下を引き連れて飲むよりも、話が合わない年上に混ざり込む
弱いつながりはビジネス上のセレンディピティをもたらす
今後10年間の間に幸運をもたらす“青い”つながり
社外に目を向けることで社内での価値が高まる

SCENE 5 周囲の変化

第6章 レースの外で、居場所を確保する方法
――組織内プロフェッショナルという生き残り方

社内プロフェッショナルになるという生き方
収益に貢献しない有名プロフェッショナル社員は会社で価値があるか
人事制度はプロフェッショナルをどう処遇するか
プロフェッショナルの処遇は今、変化しつつある
転職が身近になったことで専門性は認められやすくなった
上司が部下の専門性を評価できないケースも
プロして認められること≒人事評価で高い評価を取ること
プロフェッショナルとして成功するために、組織でどう動くか
優秀なプロフェッショナルこそつながりを大事にする
会社に専門性を認めさせるテクニック
「自分自身のためのポスト創出」が出世の道となる

SCENE 6 過去のつながり

第7章 「求められる人」であり続けるために
――会社の外にあるキャリア

バブル崩壊前まで、定年退職はハッピーなものだった
「雇用調整」になった定年制度
「定年は70歳、でも人生で一番の高収入は35歳時」という未来も
昇進とプロフェッショナル化の本当の意義
誰もが必ず「社外に出る」ことになる
旧友や家族こそがセーフティーネットとなる
最後に、人的資本についての本書での定義

SCENE 7 復帰した部長と真相

おわりに――「あしたの人事の話をしよう」

平康 慶浩(ひらやす・よしひろ)

人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所を経て、2012年よりセレクションアンドバリエーション株式会社代表取締役就任。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。大阪市特別参与(人事)。著書に『7日で作る新・人事考課』、『うっかり一生年収300万円の会社に入ってしまった君へ』がある。

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