ファッション

「自分らしさ」ってなんだろう?『てつがくを着てまちを歩こう』

鷲田清一『てつがくを着てまちを歩こう』書影

この地球上に生きとし生ける生命は数あれど、衣装を身にまとって生きているのは人間だけです。「服を着る」というのは、人間の活動の中でも、とりわけ人間らしい、文化的な営みです。

その「服」を、流行りだから、トレンドだからと、ただ「みんなが着ているから着ている」ではいただけません。

本書が出版されたのは2000年。その前の90年代は、DCブランド主義の時代でした。誰でも彼でもシャネルやヴィトンの衣装に身を包み、ブランド物を集めるために人生を賭ける人さえたくさんいました。

ファッションってよく考えると、なんかヘン!

どうして、男性の服は女性も着るのに、なんで女性のスカートやリボンを男性がつけると「ヘン」なのでしょうか。

どうして女性はカラフルで鮮やかな服を好むのに、男性用の持ち物は地味なのでしょうか。

見た目で他人は「◯◯さんらしさ」を決めてきます。周りのイメージと、自分の自覚とがズレていて、苦悩することも多々あります。「らしさ」って、一体何でしょうか。

「自分らしさ」って、何でしょうか。

モードとファッション

フランス語のモード(Mode)は、英語ではファッション(Fashion)で、どちらも「流行」という意味です。流行の中でも、被服の流行ほどめまぐるしいジャンルはないので、被服の流行を指して「ファッション」と使われることが多いですね。「モード」は、パリコレを始め、コレクションで発表された最新のものを言います。

モードは身体を象徴化する

モードは、人間の身体的特徴を切り取ります。身体を切り刻み象徴化してゆきます。

19世紀に起こったモードの波は、今日の大衆の意識や概念すらも変えてゆきました。

本来、人間の身体は男女で違いますが、差は大きくありません。しかし、モードがその男女の性差を切り刻み、女性はより女性らしく、男性はより男性らしく象徴化されたのです。

現在の、女性らしいファッション、男性らしいファッションは、19世紀以降に起こった変化です。その間にも「洋服」が世界中に広まりましたから、この強調された性差のファッションも、世界へ広まったのです。

男性らしさ・女性らしさが象徴化されたファッション

男女の性の差別化は、さらに、「見る側と見られる側」という役割を生み出しました。女性はきらびやかに着飾る一方、男性からは色が抜き取られました。女性はカラフルな色やレースや装飾が好きで、男性はシンプルなものが好きというのは、19世紀以降に登場した価値観です。

たとえば、中世のヨーロッパ貴族の衣装は、男女ともレースや刺繍がふんだんに施され同じように豪華です。日本の中世もまた、武将たちはド派手な鎧に身を包みます。

ファッションは、社会の常識や概念すらもつくり上げるのです。

ファッションの持つ意味

服は不思議なもので、自分の一部のような感覚があります。無理やり服を着せられると悲しい気持ちになり、屈辱的でさえあります。まるで自分の皮膚のように感じられるのです。

服の上からでも、好きな人に触れられれば嬉しく、嫌な人に服を触れられると嫌な気持ちになります。

ファッションの持つ哲学

一方、ファッションは身にまとうことで、世界の仲間に入り、社会に参加ができる制服のような働いをしています。みんなと同じものが欲しい!みんなと同じ服が期待!と思うのです。しかし反対に、自分だけのものが欲しい!人とは違うカッコがしたい!と、真逆の気持ちを抱えているものです。ファッションにより、別の世界へゆける、「変身」の役割を果たしているのです。

「変身」と被服や化粧が大きく関わることは、宗教神事でも見受けられます。特別な面・マスクを着用したり、独特の化粧を施したり、特別な衣装を待とうのです。お寺のお坊さんは質素な身なりに草履を、神社の神主さんは清潔感あるカラーの水干を着ています。宗教とファッションも、大きく関係しあっているのです。

まさにファッションは「哲学」ですね。

社会の中での、自分らしさって?

「ファッションってよくわからない」「流行をチェックしないと」「自分が気に入った服を着ればいいんでしょ」

そんな風にファッションを捉えている方は多いでしょう。ですが、「服を着る」という行為そのものが、どこまでも人間的で文化的な営みでしかない以上、そこに何らかの「文脈」や「考え方」「哲学」が存在します。

その哲学を共有しあうことで、仲間だと受け入れられたり、コミュニケーションが成り立つのです。「おしゃれを楽しむ」ってこういうことなんですね。

自分らしさの証明のために

と、難しく考え込むよりも、ファッションで大切なのは自分が着たいものを着るのではなく、それを見る人への気配りをすることだと著者は言います。

「自分らしさ」は肩肘張って演出するものでありません。他の誰かから「あなたを認める」「あなたの側にいたい」と言ってもらえることこそ、自分が自分である証明になるでしょう。

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普遍的な美しさを求めて『誰でも美しくなれる10の法則』

「誰でも美しくなれる」だとぉ!?

(゚Д゚)

ファッションは生き方・考え方を表す

意図しない非言語コミュニケーション

コミュニケーションは受信する側が、どう受け止めるかに委ねられています。

真面目に話を聞いているのに「ヘラヘラするな!」と怒られたり、たとえ心から詫びていても、相手が誠意を感じなけれれば謝ったことになりません。

コミュニケーションは、メッセージを発信する側の意図は一切関係ありません。メッセージを受け取った側の解釈に委ねられるのです。ですから、往々にして、発信者の意図に反したメッセージが相手に伝わってしまいます。

意図しないメッセージの発信は、言語によるコミュニケーションだけでなく、言葉を使わない、表情や、ボディーランゲージなどを用いる非言語コミュニケーションで起こっています。なにげない仕草やクセ、無意識の態度までメッセージとして伝わっているのです。

ファッションから発するメッセージ

服装もそうです。もちろん、色味や模様、肌の露出の程度や、デザインは、他人からよく見えます。陽気なバカンスのように見られたり、ちょっと気分が沈んで見えたり、やる気がななそうに見えたり……。身にまとう服も、情報をたっぷりと含んでいます。

街中ですれ違う見ず知らずの人であっても、仕事中の人なのか、オフの日のショッピングなのか、旅行者なのか、パッと見ただけでわかりますよね。更に、その服装を細かに観察すれば、どこへ行くのか、どんな用事なのかも、ある程度は察せられます。

日々、クローゼットから選びとり、身につける服装によって、周りの人へメッセージをバシバシ発信しているのです。意図する/しないに関係なく。

ファッションには生き方・考え方があらわれる

ぱっと見ただけで、その人の地位や職業まで想像できるように、服装には生き方や考え方まで表れます。

「服に思想なんて反映させてないよ!」と思っていても、他人は勝手にメッセージを受け取ってしまうのです。

このロックバンドのファンはこんな人だろう、とか、◯◯さんは可愛らしい雰囲気だからこのハンカチを気に入るだろう、とか、セレブはこんな料理を食べているに違いない、とか。知らず知らずイメージやその人“らしさ”を受信し解釈しています。

ファッションの記号をコントロールしよう!

服装には意図する/しないに関わらず、多分の情報が含まれており、他人はそれを思い思いに解釈します。しかし、服装は、ほかの非言語コミュニケーションよりも、コントロールしやすい部分があります。

ドレスコードが設定され、社会的にある程度、イメージやTPOが共通認識としてあるからです。

これは身につける服装一つで社会の中で「どう見られたいか」を表現できるということdす。そこには、存分に自分の生き方や考え方もにじみ出ます。

言語と同じく、記号化されているファッションだからこそできるメッセージなのです。

クローゼットの整理、してる?

ところで、クローゼットの中にはどんな衣装が詰まっていますか?

服は、言語と同じコミュニケーションの道具です。生き様や思想を映し出すキャンバスなのです。すべての服はきっと、一度は手を取り、選択し、保存されているハズなのですが……。

自分の管理下を超えて、なにがなんだかわからないクローゼットになっていませんか?ちなみに、あさよるの衣装ケースはゴチャゴチャとカオスになっています(^_^;)

服は「第二の肌」であり、重要なコミュニケーションツールだと、『誰でも美しなくなれる10の法則』で思い知りました。道具は磨き上げ、適材適所で使ってこそ意味があります。

まずは、所持している道具の把握と整理、そしてメンテナンスをしましょう(^_^;)

自分のスタイル、それでいいの?

メンターを設定する

ファッションには文化や文脈がありますから、自ら独自に作り上げるというものでもありません(ファッションの革命児でなければ)。

流行のファッションを身にまとう人気モデルや人気タレントのマネをしたり、自分のファッションにも取り入れようと思うこともしばしばあります。

しかし、必要なのは流行のモデルではなく、ファッションメンターです。メンターとは、尊敬する先輩や師匠など、お手本になる人です。

もちろん、ファッションメンターは、服やアクセサリーだけでなく、生き方や考え方のお手本になる人です。意志を持ってファッションに身にまとうのです。

そのファッション、キツくない?

自分に全くに合わないファッションは、魅力を半減させてしまいます。

スリムな女性に憧れるからと言って、サイズの小さい服をムリヤリ着ると、一層太って見えます。サイズの大きな服を着れば、だらしなく見えたり、服の魅力も、自分の魅力も損なわれます。

いつまでも若々しくいたい願望は、誰しもありますが、しかしだからといって、10代や20代の若者ファッションをいつまでもし続けるわけにはいきません。

多くの人にとっての願望は、若者のコスプレをすることではなく、いつまでも魅力的で若々しくいることではないでしょうか。ムリのあるファッションで体型が悪く見えたり、若者と同じ服を着ることで、若い人と比較され、顔や首のシワやクスミが目立ってしまっては、元も子もありません。

服装だけじゃない!生き方・考え方を表すものもの

自分を磨く本・映画

ファッションには、生き方や考え方が如実にあらわれます。また、ファッションには文化や文脈が欠かせません。

それらは、小説を読んだり、映画を見たり、情緒的で文化的な活動によって学べます。

自分のスタイルをより明確にする物語を探しましょう。あるいは、たくさんの作品に触れてゆくうち、思っても居ないようなスタイルが、自分の中から登場するかもしれません。

旅行をする

見聞を広めるために、旅行に出る人も多いでしょう。

旅先で身につけるファッションやアクセサリーは、旅行前に事前にパッキングしたものたちです。自分の行動を予め予想し、その土地の文化や気候、ドレスコードを理解し、用意するところから、ファッションの考え方が反映されますね。

最低限必要なものを選り分ける行為は、なにやら哲学的に感じます。

姿勢よくまっすぐ立つ、美しく歩く

ファッションはとても大切ですが、それを身にまとう自分自身の姿勢にまで、気を配りましょう。

せっかく素晴らしい服を買っても、背中を丸め俯いていては、自信なさげに見えてしまいます。姿勢よく、まっすぐと立ちましょう。歩き方まで美しく気配りができているのか、無意識なのか。

まさに、そんな細部で生き様があらわれるのかもしれません。

誰でも美しくなれる?

本書には「誰でも美しくなれる」とタイトルにあります。

読んでみるとなるほど、誰かのマネをしてただ流行のファッションをしていては、似合う/似合わないの差がありますから、「誰もが美しく」というわけにはいきません。結局のところ、生まれ持った容姿の良い人のみが美しく見えます。

しかし、自分の生き方・考え方のスタイルをきちんと持ち、それに則った服を着て、自信や気配りが体全体からにじみ出ていたら……それは美しい人だと誰もが思うでしょう。

指先まで細やかな手入れがなされ、身のこなしの一つ一つが丁寧だったら……。

それらは、先天的に生まれ持ったものはありません。仮に今、美しい身のこなしを持っていなくても、将来もそうだとは限りません。

これ一冊でとはいかないけど……普遍的エッセンスが詰まっている

本書に書かれている内容は、たった一冊の知識ですべてまかなえるものではありません。練習が必要なこともありますし、新たに身につけるべき知識や技術もあります。

ですから、本書を読んだだけで「誰でも美しくなれる」とは言えませんが、本書をスタート地点にファッションについて考え行動するための指針には十分なり得ます。

国を超えて学べること

原書はアメリカで出版された書籍なので、アメリカのブームや社会背景が反映されています。しかし、どうやら美しくあることは、国を超えても同じなんだと思いました。

スタイルを持ち、自分の肉体を慈しみ、周りの人々への細やかな配慮を忘れません。

海外のファッション指南書だからこそ、国を超えても普遍的なエッセンスが浮き彫りになるのかもしれません。

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「お手本」がいない女性が読むべき『ビジネスファッションルール 武器としての服装術』

女性の社会進出は進んでいますが、ビジネスシーンにおいての女性のファッションが最適化されないままです。服装が適切でないばかりに、出世を逃している女性も多いといいます。

女性のビジネスファッションについて、適切な指導ができる人もオフィスにはいません。男性社員に対してなら、ネクタイの色や、シャツにアイロンをかけるよう指摘できても、対女性となると、ひょっとするとセクハラにもなりかねません。それになにより、「おかしい」とは分かっても、女性のビジネスファッションの“正解”を誰も知らないのです。

これからキャリアを重ねてゆこうとする女性にとって、よい指南書です。あるいは、「自分は大丈夫」と思っている人も、思っているのは自分だけだったりして。

追記(2018.4.12)

本書『ビジネスファッションルール 武器としての服装術』に加筆改題され増補版として『働く女性が知っておくべきビジネスファッションルール』というタイトルで2017年に出版されています。ブラッシュアップ版ですので。これから本書を手に取られる方は、増補版も検討してみてください。

ブログ記事でも消化しています。

「周りからどう見えるか」客観する

ファッションで大切なのは、TPO。そして、周りからどう見えているのかということです。それはビジネスファッションでも変わりません。

仕事は、着飾ってオシャレをするところではありません。あくまでも、「周りからどう見えるのか」と客観的視点が必要です。一緒に働く仲間からどう見られているでしょうか。部下からは慕われる服装でしょうか。それとも、怖がられる服装をしていませんか。上司からは、その服装で評価が得られるのか。

そして、お客様からは一体、どう見えているのでしょうか。信頼や堅実さが伝わりますか?あるいは、親しみやすさや快活さが表現されているでしょうか。それぞれの業務や職能に合わせた、必要なイメージがあります。

服装・ファッションは、コミュニケーションのツールなのです。それを独りよがりな「オシャレ」や「こだわり」で塗りつぶしていないでしょうか。

ビジネスシーンに女性の「お手本」がいない?

前時代では、社会は男性が主体でした。男性がビジネスシーンを動かし、そのユニフォームであるビジネススーツも、とても動きやすく改良され続けてきました。女性にとっては意外にも思えますが、男性のスーツはとてもアクティブに動きやすいんです。

一方、女性の社会進出が進んだのは近年です。未だエグゼクティブの女性は少数派で、多くの女性たちにとって自分の目指すべき「お手本」がいないままです。

女性のビジネスファッションが最適化されたいのも、お手本がいないからです。ファッション雑誌で特集されるお仕事コーデは、ほとんどの職能の女性にとって、真似をしてはいけないものです。かなり特殊な職場でしか許されないようなファッションがほとんどだからです。

まずは、ファッションルールの基本・無難を押さえる

『ビジネスファッションルール』では、女性のビジネスファッションの考え方やエピソードを交えつつ、具体的なファッションルールがイラストを交えてレクチャーされます。

基本的なビジネスファッションから始まり、アクセサリーの使い方。まずは「無難」を押さえましょう。基本あってこその応用です。

「平服」か「カクテルドレス」などのドレスコードは、ビジネスシーンでは何を求められているのでしょうか。

ジャケットを着用している女性は、残念ながら多くはありません。しかし、ジャケットを着ていない男性をどう思いますか。お客様の元へ訪問する際、ジャケットを着ていないと、失礼です。

男性のファッションを参考にする

女性のビジネスファッションを考える時、男性のファッションを参考にします。まず、やはりスーツが基本です。

たとえば、男性が派手なカラーのシャツを着ているとおかしく見えます。キラキラ光る宝石やアクセサリーをゴテゴテつけていると……なんか嫌です。

ビジネスの場では、性差は関係ないので、男性のドレスコードは女性にもそのまま当てはまります。女性の「お手本」が側に居ないとき、服装に迷ったら、男性はどんな服を着ているのか参考にするのです。

あくまでも、ファッションは、周りの人からどう見えるか、です。

男性だから、女性だからではなく、お客様から求められているイメージや、オフィスで必要な装いです。

オンとオフ。ファッションをダブルで楽しむ

おしゃれは、プライベートタイムに大いに楽しむものです。

本書で初めて、ビジネスシーンにふさわしい服装を知ったことで、ますますプライベートのオシャレまで楽しめるでしょう。

仕事モードとオフモードが完全にわけられることで、プライベートのおしゃれは、思い切り自分の趣味を開花させられるからです。身にまとうものを分けることで、緊張とリラックスの使い分けにも役立つでしょう。

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みんなと同じでいながら、みんなと違っていられる『ファッションの技法』

「おしゃれに見られたい」

誰もが持っている願望です。
だけど、見られたいって、一体「誰に」見られたいのでしょう?

その場その場の流行を追いかけることはバカバカしく感じる反面、流行がすごく気になって仕方ありません。「ファッションなんて興味がない、人は見た目じゃない!」と言いながら、デートの前には準備に余念がなかったり……。

ファッションが掴みどころがなく難解にさえ感じてしまうのは、クルクルと目まぐるしく変わる、人の心がそうさせているのです。

見られたい、けど、見られたくない。目立ちたい、けど、目立ちたくない。わかってほしい、けど、わかられたくない。

相反する気持ちが同時に存在する人の心が、ファッションに映しだされます。

『ファッションの技法』を読んで、Yes と No を同時に言う、ファッションの根本を知りました。

おしゃれするために、ファッションを知りたい

「おしゃれをしたい」という願望が以前からありました。

実は、「カワイイ」「カッコイイ」と思われたいとも内心願っていましたし、なにより「ダサい」と思われたくありません。

漠然と思っていたけれど、どうしていいのかわかりませんでした。

ファッション誌を買って読んでみたけれど、なにか釈然としません。この春のトレンドはわかりましたが、その、「トレンド」ってなんなの?そもそもの定義や文脈を知りたかったのです。

それに、そもそも、なんで「おしゃれをしたい」と思うのでしょうか。なぜ「ダサいのは嫌」なのでしょう。自分の胸のうちで湧き上がる気持ちを、知りたいと思いました。

ファッションに関する本を読んでわかったこと

ファッションを取り扱った書籍はたくさんあります。しかし、知りたい情報が網羅されている書籍はなかなか見つけられませんでした。

中高生向けの、ファッション入門編で知ったこと

はじめに手に取った『ファッション・ライフのはじめ方』は、中高生の男の子に向けて書かれた書籍でした。

もちろん、あさよるは中学生でも男性でもないので対象ではありませんが、たいへん勉強になりました。

服を着ておしゃれをするのは、人間だけです。ですから、服を着ておしゃれをするのは「人間らしい」行為だと気付きました。

そして人は、立場に見合ったファッションをしないといけません。先生なら先生らしく、医者は医者らしく、子供は子供らしい服を着ます。服装が立場を表す記号になっているということは、人間の社会性でしょう。服により、コミュニケーションを図っているのです。

社会性を持ち、社会を形成するのも「人間らしい」営みです。

やっぱり、ファッションと「人間らしさ」は切っても切り離せないんです。ということは、人間誰しもファッションに身を包んでいるということです。意識する/しないに関わらず。

ファッションは哲学だ

次に、良書に出会いました。

著者・鷲田清一氏の思想が存分ににじみ出ていながら、近代のモードを総ざらいしてゆく一冊。

著者の思想に満ちていることは、むしろ良いことです。ファッション自体が思想なのですから。そして著者もそれを促します。なんてったって、タイトルが『てつがくを着てまちを歩こう』なのだから。

コレクションで発表されるモードがしてきたこと。男性らしく、女性らしく、象徴化されてゆき、またそれらを破壊し、再構築され、延々と続いてゆきます。

女性の働き方に問いかける『ビジネスファッションルール』

『ビジネスファッションルール』は趣が変わります。

女性が社会進出を果たそうとする現代なのに、女性の間にビジネスファッションが行き渡っていないのです。立場に似合わない、不相応な服装をしている女性たちにレクチャーします。

キャリアアップを目指し「稼げるファッション」が紹介されます。

社会は大きく変わり、これまでにはなかった女性像がすでに打ち出されいることが分かります。これまでになかったからこそ、迷い間違えてしまうのです。

ファッションは女性の生き方を指し示します。

国境を超えて、普遍的な美しさ

さらに、アメリカのファッションアドバイザーの書籍に触れることで、国境を超えた普遍性を垣間見ました。

美しくあるということは、細部まで配慮が行き届いたことです。立ち姿、歩き姿一つとっても、美しくなれます。

肉体もまた、ファッションの一部

被服が「第二の肌」であるように、肉体もまた服の一部です。だって人間は、肉体そのものの形まで変えてしまいます。髪を切り、体毛を剃り、年がら年中ダイエットに明け暮れるのです。

肉体そのものを思いのままにカスタマイズしてしまう。それは日常です。

ですから、服は体の一部とも言えますし、体は服の一部でもあります。お化粧もせず、アクセサリーもつけず、裸になったからといって、はたしてそれは「その人らしさ」が表れたと言えるでしょうか。

裸になってしまえば、みんな同じです。むしろ、没個性になってしまいます。

どの著者の主張にも共通していること

これまで読んだ書籍には、三者三様の哲学がありました。考え方や目指すものも違います。

しかし、どこか共通している部分も多々あります。

それは、服は自分を表すということ。

「他人からどう見えるか」が大事なこと。

被服は「第二の肌」と呼ばれ、特別な意味合いがあること。

見せるために隠す、隠すために見せること。

女性らしさと男性らしさの違い。

そして山田登世子『ファッションの技法』に出会った

著者・山田登世子氏の、考えを読もうと思いました。口コミによると、服の機能やその歴史や、ファッションにまつわる話題が記載されていて、著者の思い入れやセンスが溢れている、とありました。どうやら、ファッションを語る上で思想が関係していることは、他の本を読んで知ったことです。

誘惑するのは女。ファッションは雄弁に語る

『ファッションの技法』では、女性を「誘惑するのは女」と定義します。アプローチは男女それぞれできますが、最終最後、Yes or No を出すのは女性です。

ファッションは雄弁に語ります。

しっかりと刺繍がほどこされ、たっぷりとレースがあしらわれた揃いの下着。足の先まで下着と同じ色のマニキュアが塗られていたら……。なんの言葉も、なんの仕草も必要ありません。その存在だけで「誘惑するのは女」なのです。

ファッションは、恋をするために必要です。

「おしゃれに見られたい」…って、誰に見られるの?

また別の欲求もあります

「人から認められたい」「おしゃれに見られたい」という願望です。あさよるが抱えている欲求ですね。

しかし、「見られたい」と言って、一体誰に見られるんでしょう。友人?恋人?知らない人?それとも自分?

答えは、それらすべて。

人の目が気になり、人からどう見えているのか気になることも、「社会」に属している実感です。誰もいなければ、完全に孤立していれば、そんな気遣いらないのですから。

だから、ファッションに身を包み「みんなと同じでいたい」のです。みんなと仲間でいたいのです。そのためにみんなと同じ流行、トレンドが必要です。

みんなと同じでいたい/みんなと違っていたい

だけど同時に、「人と違っていたい」とも思います。みんなの中に埋もれたくない、自分は自分であり、唯一の存在なのですから。

人に見られたい、だけど、人に見られたくない。

特別でいたい、だけど、特別になりたくない。

全く相反する気持ちを、誰しもが抱えています。変な気持ちだけれども、その気持ち、わかりますよね。

ファッションの明日は「わからない」

つまるところ本書を読んでも、ファッションについて結局なにもわかりません。たった一つだけ「ファッションはわからない」ということがわかります。

ファッションは軽薄です。

移ろいやすく、次から次へと止めどなく流れ続けます。

ファッション誌が「この春流行!」と書き、広告代理店がセンセーショナルな広告を打つ。テレビがそれを持て囃し、口コミが瞬く間に広まり「流行」する。

だけど、明日何が流行するかは、誰にもわかりません。「みんな」の「気分」が、流行を動かし続けるのです。

なんとも変な世界が、きちんと心に根ざしている

それが、社会に属しているということなのでしょう。みんなと同じファッションを追いかける。だけど、みんなと違っていたいから、自分流の、自分だけが知っているファッションに手を伸ばす。

そうやって「みんなと同じでいたい」だけど「みんなと違っていたい」と相反する気持ちが流行を作り上げ、瞬く間に廃れさせてゆく。

ファッションには中身がないし、実態がありません。

だけど、誰もが持っている思想があり、自分にはわかる文脈があるのです。

なんともまぁ、変な世界でありながら、ファッションに恋い焦がれる気持ちも、ひしひしと実感してしまう。自分にも、「人と同じでいたい」だけど「人と違っていたい」という感情が、きちんと根付いていることに気づきます。

みんなとは違う、同じファッションを追いかけるために

著者・山田登世子氏が大学でファッション論の講義をし、学生たちへの問いかけから、本書は生まれました。

ですから、著者のひとり語りにはならず、講義でのエピソードや、学生たちの考えも紹介されます。だから、知識が乏しくても、置いてけぼりにもならずに読み進めることが出来ました。

ファッションとは、ファッションについて語る時、語り手の思い入れ抜きには語れないらしいのです。その人のこだわりや思想がアリアリとにじみ出ます。

20年前の流行も、現在の流行も、本質は同じ

ファッション、モードは、いわゆる“若者ファッション”も否定しません。好みはあるでしょうが、それらもファッション・モードの文脈で読み取られるのです。

本書が出版されたのは1997年。もう20年近くも前です。

本書内で紹介される最新の流行は、もちろん20年前のものだから、10代20代の若い方には、ピンと来ない内容もあるでしょう。だけど、本質はそこではないので、ササッと読み飛ばしてしまえばOK。

大事なのは、流行の「見方」「捉え方」です。過去の流行したモノの固有名詞に、現在の流行のモノを当てはめても成立します。

これからも「みんなと同じ」ファッションを追い求めることでしょう。しかし、19世紀から続くモードの波を知っていれば、「みんなと違う」おしゃれになるでしょう。

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メンズ『最速でおしゃれに見せる方法』|興味がないなら攻略法を

こんにちは。おしゃれ勉強中の あさよるです。

服は大事だ! そう思うようになったのはつい最近。ずっと身につけるものに自分なりの「こだわり」はあったけれども、「服は大事だ」とは考えていなかった。わたしたちは、着ている服や、髪形や、アクセサリーなどなど、これらもコミュニケーションの道具なのだと気づいてから、「自分が好きなもの」ではなくて「相手に伝えたいこと」に重きを置くようになった。

わたしは女性なので、このブログでも女性向けのおしゃれ・ファッションの本はたくさん取り上げてきた。そこで気になっていたのは、男性のおしゃれだ。最近、テレビを見ていても、そこに映っている人の服装が気になる。それぞれのタレントさんの個性を出しつつ、番組全体の雰囲気に合った服が選ばれていたりして、プロの仕事を感じていた。

シルエットで雰囲気イケメンに

『最速でおしゃれに見せる方法』は、現役の洋服のバイヤーさんによるおしゃれの指南本だ。おしゃれに興味がない人ほど、この本を一冊熟読しておくといい。間違いない服の選び方を一つ知っておけば、時短だしコスパもいい。

シルエットにこだわること。そして、アメカジ(アメリカカジュアル)をやめること。この二つが、まずは初心者が取り組むことだ。アメカジは日本人がやると、スタイルが悪く見えがちだ。まずは、スタイルがよく見えるシルエットを意識する。アパレルのショップ店員さんなんかも、シルエットをかっこよくキメることで、雰囲気イケメンになっていると紹介されてた。

つい、物の質にこだわってしまう人が多いそうだけれども、優先順位はシルエットの方が上。

アクセサリー類は、時計と、スタイルを良く見せるストールがおすすめされている。「3首」と言って、首、手首、足首の3か所をおしゃれにキメるといいらしい。足首も、丈のあったパンツを選ぶか、ロールアップしてスッキリと見せる。

ちなみに、アメカジではオーバーサイズなパンツをダボっと着るから、野暮ったくなりがちだ。アメカジをおしゃれに着こなすのは上級者向けみたい。

理論重視。必須アイテムも網羅

本書はおしゃれの「理論」に比重が大きい本だ。まずは考え方をインストールしておけば、いずれ応用もしやすい。しかし、きちんと写真で実際のコーディネート例や、具体的なブランドや持っておきたいアイテムも、紹介されているから、とてもバランスの良い本に感じた。

おしゃれは大事だ

「見た目は大事」という話が本当なんだと痛感したのが、30代になって、ずっとしていたヘアカラーをやめたときだった。髪色を暗くし始めてから、やたらと人に絡まれる機会が増えたのだった。相手の年齢も性別も関係なく、初対面でなぜか上から目線な言葉が飛んでくる。 カラーをしていた頃は一度もなかったような事態だった。

その無礼な相手は、見た感じは大人しそうな普通の人で、人に喧嘩を売って歩いているタイプな人でもなさそうだ。髪が黒いだけで、普通の人に小バカにされるのかとゾッとした。髪を黒に戻して約3年以上経って、やっと黒髪も板についてきたのか、再びへんな人に絡まれることがなくなった。

人の見た目で態度を変えたりしたくないもんだけれども、実際に体のパーツの色が変わるだけでこんなに嫌な思いをし続けるのかとゲンナリ。ヘアカラーはある意味、わたしの結界になっていたのかもしれない。今は、髪は染めてないけれども、変わりに「身支度をきちんと整えておく」ことがその役割を果たしているんじゃないかと思う。「化粧はもともと魔除けだった」というのも、わかる。

たぶん、着る服、選ぶ服が変わると、世界が変わるじゃないだろうか。

おすすめ本

『てつがくを着てまちを歩こう』/ 鷲田清一

哲学者の鷲田清一が「ファッション」について考える。そう、服を着ることは
人間の人間らしい営みであり、「哲学」なのだ。おすすめ。

『ファッション・ライフのはじめ方』/高村是州

ヤングアダルト向けのファッション本。おしゃれの初心者に向けて、言葉の意味や、スタイルなど、基本中の基本から始まる。大人にもおすすめ。

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