フェミニズム

『専業主婦は2億円損をする』|「移住」「フリー」のカードを!

こんにちは。あさよるです。『専業主婦は2億円損をする』というタイトルのインパクトで手に取ってしまいました。誰もがわかっちゃいるけど、誰もが口にしない、誰もが具体的に計算しない現実を、アケスケに語る内容です。10代、20代のこれから社会に出る、これから結婚する主に女性に向けて書かれた本です。もちろん、10代20代の男性にとっても、生き方、働き方について当てはまります。

一旦、専業主婦になってキャリアが途切れてしまうと、その後は非正規でしか就労が難しいので、結果的に貧困に陥りやすいという話です。だから、どうすればいいのか……。本書を一冊読み通してやっと「そうか」と結論に達します。

そういえば、あさよるがいつも見てる女性ユーチューバーさんが妊娠の報告なさる動画で「つわりが辛く退職した。しばらくニートをする」とお話されていてビビったのだ。そうか、もう今の20代の感覚だと専業主婦は「ニート」なのか、と。ちなみに、あさよるの友人も「結婚したがニートはしない」と言っていた。あさよるの考えが古いのかもしれない……。

幸福な人生設計

まず、幸福な、理想的な人生のお話から。あくまで「理想」の状態ですからねっ!(と前置きしてから始めるw)

年収800万円が幸せのピーク

人間は年収800万円くらいが「幸福」を感じるピークだそうです。少なすぎると、お金のことで悩まされ幸福を感じにくいし、それ以上になると、感覚がマヒして「幸福」度が横ばいになります。だから、とりあえずの目標として、年収800万円を設定してみましょう。

これくらいお金があると、お金を気にせず好きなことができます。

ちなみに面白いことに、アメリカでも年収7万5000ドルくらいが幸福度のピークらしいです。日本円にしてだいたい800万円くらいなので、社会が変わっても「満足できて、マヒしない」程度が同じなのかもしれません。

二人合わせて1500万円

800万円は一人が満足できる値なので、既婚の子育て世帯で年収1500万円を目標と設定しましょう。当たり前ですが、女性が専業主婦の場合、男性が一人で1500万円稼いでこないといけません。ですから、年収の高い男性は女性からモテます。二人が「人並みの幸せ」を得るためのお値段です。

現実のセカイ……

はい、言葉が出ませんねっ。次、現実の世界です。そりゃ800万ほしいよ! 1500万捕まえたいよ! できないから困ってるんじゃないか!

非正規、低所得が増えるばかり

現実世界は、説明するまでもありませんが、非正規雇用が広がり、低所得層が増えるばかりです。貧困に直面する家庭も少なくありません。世代間格差が拡大して、若者のワーキングプアも珍しくありません。

そこそこ同士で結婚してる

辛い現実の中、しかし今でも結婚する夫婦はいます。先ほど挙げた「二人で年収1500万円」に全く満ちていなくても、低所得でも、それなりに二人は出会って、それなりに家庭を持ってる人はいます。女性も「理想は理想」だと分かってますから、理想と違う相手でも納得しています。年収が低くても、相手が素敵な人であれば、パートナーに選ぶ女性は大勢います。

自由・自己実現・愛情友情……どれか2つ

本書では人生のパターンを8つに分類して説明されていました。

まず、生きる力を3つに分類します。

  • 社会的資本→絆・・・愛情・友情
  • 人的資本→働く力・・・自己実現
  • 金融資本→お金・・・自由

この3つの要素の組み合わせで、人生のパターンを分けます。

人生の8パターン

1.プア充

  • ○社会的資本→絆・・・愛情・友情
  • ×人的資本→働く力・・・自己実現
  • ×金融資本→お金・・・自由

お金はないけど仲間がいるパリピ系。友だちとの絆で成り立っている。

2.ソロ充

  • ×社会的資本→絆・・・愛情・友情
  • ○人的資本→働く力・・・自己実現
  • ×金融資本→お金・・・自由

仕事はできてお金もあるけど、恋人も仲間もいない。都会で単身世帯。

3.裕福な引きこもり

  • ×社会的資本→絆・・・愛情・友情
  • ×人的資本→働く力・・・自己実現
  • ○金融資本→お金・・・自由

裕福な引きこもり。友だちはいないけどお金はある。孤独な高齢世帯によくある。

4.リア充

  • ○社会的資本→絆・・・愛情・友情
  • ○人的資本→働く力・・・自己実現
  • ×金融資本→お金・・・自由

仕事もバリバリやって、友達も恋人もいる。育ちの良いリア充は、学生時代のネットワークも使える。

5.ソロリッチ

  • ×社会的資本→絆・・・愛情・友情
  • ○人的資本→働く力・・・自己実現
  • ○金融資本→お金・・・自由

高収入のまま一人でいると、お金も貯まり金融資本と人的資本が上がってソロリッチになる。社会的に成功するとカネに人が集まってくるので、人間関係が煩わしくなる。

6.幸福な専業主婦

  • ○社会的資本→絆・・・愛情・友情
  • ×人的資本→働く力・・・自己実現
  • ○金融資本→お金・・・自由

仕事はしてないけど、お金も友達もいる。大企業を定年退職後、ボランティアに勤しんでいるイメージ。あと、夫が裕福な専業主婦。

7.貧困

  • ×社会的資本→絆・・・愛情・友情
  • ×人的資本→働く力・・・自己実現
  • ×金融資本→お金・・・自由

社会的資本、人的資本、金融資本の三つともない状態。貯金ゼロで助けてくれる家族も友達もいない。日本で若年層に現在増えている。

8.超充

  • ○社会的資本→絆・・・愛情・友情
  • ○人的資本→働く力・・・自己実現
  • ○金融資本→お金・・・自由

リア充の上位互換。マジヤバイ。一人で超充になるのは難しい。だけど、夫婦二人で力を合わせれば超充に近づけるかもしれない……というのが、本書『専業主婦は2億円損をする』のテーマです(`・ω・́)ゝビシッ

超充になろうず!

本書のテーマ「超充になろう」という目標がやっとここで登場します。たった一人で社会的資本、人的資本、金融資本の3要素を満たすのは難しいことです。だからこそ、パートナーと一緒に力を合わせましょう。そのためには、女性が家で「ニート」していては手が届きません。

女性の場合、結婚や妊娠のタイミングで退職し、一時的に専業主婦になる場合が多いのです。しかし、ここでキャリアが途切れてしまい、再就職の際は非正規雇用にしかなれず、年齢を重ねた女性が低所得になっています。所得を維持したまま、結婚、子育てをし、「超充」になるための「戦略」が必要です。

社会が変わるには時間がかかる

とまあ、現代日本の雇用形態や社会問題をザーッと見てきましたが、「そんなこと言われてもどうしようもない」話ばかりです。社会はすぐには変わりません。今の社会システムがおかしいと誰もがわかっていても、社会全体がガラリと変わるには何十年と時間がかかるでしょう。

Facebook社の女性COO、シェリル・サンドバーグさんは著書『LEAN IN』の中で、女性の他のリーダーたちに、勇気をもってリーダシップを発揮するよう励ましています(当ブログでも紹介しました)。

あさよるもこの本を読みましたが、かなりショックでした。それは、アメリカの、ベンチャーの、世界的大企業の、COOになるくらい優秀な人でさえ、「女性である」ことに引け目を感じたり、「女性である」ことで困難に直面していたからです。こんなスゴイ人でも、「女性だから」苦労しているのに、吹けば飛ぶような あさよるなんて、どうにもならんじゃないか!

〈あなた〉が幸せになる戦略

社会を変えるのは無理です。だってサンドバーグさんでもムリなんだもん。だから、自分にできることはただ一つ。「自分が幸せになる」そのための戦略を練ることです。

二人合わせて1500万円

まず「人並みの幸福」のために世帯の年収1500万円欲しいと最初に紹介しました。女性が専業主婦になる場合、年に1600万円稼いでくる男性が必要です。しかし、そのような優秀な男性は、わざわざ専業主婦希望の女性と結婚する必要はありません。あと、優秀な人は頭が良く、好奇心も強いので、そんな男性の心を掴める女性も少ない(……痛いこと言うなあ!)。

だから、一人が1500万円稼いでくるのではなく、夫婦二人で1500万円に近づきましょう。そのために直面する問題が「子育て」です。

子育ては外注せよ

夫婦二人、力を合わせて1500万円を目指します。しかし、ここで立ちはだかるのは「子育て」という難関です。日本では、妻が夫を置いて働いていてもさほど注目されませんが、子どもを放ったまま働いていると周囲が一気に注目し「精神病院へ行け」とか「虐待だ」と認識されます。

ここで著者は、ある提言をします。それは「社会の中で子どもは育つ」ということ。これ関しては、同著者の『言ってはいけない』でも紹介されていました。大人は、親の影響を受けて子どもは育つと思っています。いいえ、「そうであってほしい」と願っているのかもしれません。しかし、親の心子知らずとはこのことで、子どもは「社会の中で」育ってゆきます。

例として、家族で外国へ移住し、親は外国語が喋れず、家庭では母国語のみで会話しています。しかし、子どもは社会に出てゆき、現地の友達関係の中で外国語を学びます。そして両親とは母国語で会話をしていても、そのうち母国語を忘れてしまいます。これは、幼児期の子どものほうが顕著で「学校で習うから」ではなく、「社会で学んだから」と言えます。

子どもは、大人が考えているよりもずっと社会的で、親の言いつけよりも、友人との関係性のなかで育ってゆきます。確かに、自分の子ども時代を思い返すと納得できます。

ここまで前置きをしてやっと本題。「子育ては外注してもいい」ということです。日本では、我が子を他人に預けて外に出てゆく母親は批判されます。しかし、世界的にみて、ベビーシッターを雇って子育てしている欧米、アジアの国はたくさんあります。母親が子育てを一人で引き受けるスタイルこそ、女性を「専業主婦」にさせる要因になっています。

ちなみに、意外にも、社会実験の結果、専業主婦が主流の国では出生率が低く、共働きの国ほど出生率が高いそうです。日本も、社会が「専業主婦」に子育てを任せている状態で、多くの世帯が貧困に陥り、その結果として少子化を招いているとも紹介されています。

海外に移住すれば解決

「子育ては外注せよ」ってったって、現状日本では子育て外注はバッシングの的です。じゃあ、どうすりゃいいの? ってこおとで、案その一。海外へ移住しましょう。アジアでは家政婦は当たり前の存在だそうです。アジアの他の国へ移住しましょう。

ま、実際移住するかは追々考えるとして「今の日本で子育ては難しい」「だったら移住しよう」って発想が頭の中にカードとしてあるのは良いんじゃないでしょうか。国内に残るにしても「移住する手もあるが、やはり国内に留まろう」と「決断」できるし。

「会社員」をやめれば解決

と言いつつ、突然移住って言われも困ります。そこで、「会社員」をやめるという生き方。「フリーエージェント戦略」です。フリーとして国内で働きましょう。会社員時代より収入が不安定になるかもしれませんが、時間に融通もつけやすくなります。夫婦二人ともフリーなら、子育ても、旅行もできるかもしれません。

フリーという生き方は、別に珍しい生き方ではありません。そもそも、街中の個人商店のおっちゃんおばちゃんたちはみんな個人事業主だし、工務店の親方は社長だし、タバコ屋のおばあちゃんもフリーです。そういう生き方をしている人は世間にたくさんいるし、現実的案な気がします。

誰も知ってるホントのこと

まとめます。今、女性の「専業主婦」という選択は「詰み」ます。特に、出産をきっかけに退職し、キャリアを失い、非正規としてしか社会復帰できなくなるのは、ツライ。それを支えられるだけの収入のある男性は少ないのです。だから、人生の選択肢として「海外移住」と「フリーエージェント戦略」というカードを持ちましょう。どちらも準備しておいてもよさそうな案です。特に「フリーエージェント戦略」は子育てを考えるなら、全然アリな気がします。

本書は10代~20代前半の若年層に向けられた本です。女性向けに作られていますが、同年代の男性にとっても人生の戦略の参考になるのではないでしょうか。繰り返しますが、カードとして「海外移住」「フリーエージェント戦略」は持っておいてもよさそうです。そのカードを切るかどうかは、自分でいずれ決めるとして。

たぶん、ここに書いてあることは、多くの人は気づいているし、知っていることだろうと思います。社会はダイナミックに変化しています。自分の両親と同じような人生設計では生きられません。ましてや祖父母の代とは、あまりに違いすぎて同じ国に生きているのが信じられません(これが世代間格差か……)。

アケスケにズケズケと書かれていますが、まさにその通り。正論。

あさよるは、ぼんやり生きている人間なので、なーんにも人生設計していませんが「海外移住」と「フリーエージェント戦略」は、全然アリだと思いました。というか、むしろ、軌道修正するなら、そっち方向にしか舵を切れない気が……。

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『花森安治の青春』|「暮しの手帖」と戦争

2016年4月に始まったNHK『朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」』も終わってしまいました。あさよるも張り切って、ドラマ開始時に主人公のモデルになった大橋鎭子さんの随筆を読んだりしました。

ドラマは終わってしまいましたが、次に手にとったのは『花森安治の青春』。花森を主人公とした物語仕立てで、間に著者の馬場マコトさんのルポが挟まる構成です。

花森安治は思想家であり、広告マンであり、ジャーナリストやグラフィックデザイナー、編集者の顔を持ちます。

花森安治は10代の頃フェミニズムと出会います。母を思い、フェミニストとして生きようと思います。旧制高校時代には、校友会雑誌の編集を一人で手がけ、東京帝国大学へ進学後も、東京帝国大学新聞部に所属しました。

「ペンは剣よりも強し」を信じた花森青年も、大学卒業後召集され、中国とロシアの国境近くに出兵します。が、肺病のため帰国。帰国後は大政翼賛会の宣伝部に所属しました。

「贅沢は敵だ」「進め 一億火の玉だ!」「欲しがりません勝つまでは」など、あの有名な標語の採用に、花森安治も関わったそうです。敗戦後、大橋鎭子と出会い、「暮しの手帖」を創刊します。

ペンが剣になる「戦争」

雑誌「暮しの手帖」は戦後、皆が“暮らし”を大切にしなかったから戦争が始まったのだとし、暮らしを見つめ直すことがコンセプトです。ですので、反体制の思想のある雑誌です。

ですが、花森安治さんの半生を知り、とても意外というかなんというか……読み始めには大きな戸惑いも感じました。

「ペンは剣よりも強し」を地で行くはずの優秀な青年が、こうもあっけなく体制に呑みこまれ、戦地で銃を構え、人を撃つ。病気により本土へ帰ってきてからも、先輩に誘われ翼賛会で活躍をする。ペンが持っている大きな力を、戦争を躍動し、国を鼓舞する力に使うのです。

戦争というのは、一人の力では抗えない大きな蠢きなのだろうか。花森安治ほどの人でも、「流れ」から離れることはできないのか……ゾッとする読書体験でした。

大橋鎭子さんと出会い、『暮しの手帖』の創刊に際してのエネルギッシュさや、戦後の花森安治さんの活躍が爽快であればあるほど、戦時中の彼の様子が浮き彫りになるようでした。

広告とは、デザインが持っている力とは

『花森安治の青春』を、あさよるは文庫版で読みました。まぁまぁぶ厚めな文庫です。

どんなボリュームもある内容かとビビっていましたがw、思いの外読みやすい文体で、物語っぽく時系列に話が進んでゆくので、一気に読み切りました。

しかし先に上げたように、ショッキングというか、胸にズシンと重いものが残る読書でした。広告とは、編集とは、デザインとは何だろうと、答えのない問が降り掛かってきたようです。

広告やデザイン関連の仕事をしている人、目指している人は、花森安治の思想、生き方に触れてみることをすすめたい。あさよるも広告・デザイン系出身で、他人事と思えない内容だったからです。

サクッと読める上に、読み応えもある内容で、よい読書でした( ´∀`)bグッ!

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『性の人類学―サルとヒトの接点を求めて』を読んだよ

風の谷のナウシカのイメージのメーヴェと巨神兵と虫(蟲)をコピックで描いたイラスト

風の谷のナウシカのイメージのメーヴェと巨神兵と虫(蟲)をコピックで描いたイラスト

平安時代後期に成立した『堤中納言物語』には、短編の物語が収められています。中でも有名な物語は『虫愛ずる姫君』のお話でしょう。
虫愛ずる姫君は、年頃になっても髪も整えず化粧もせず、虫を夢中になって育てています。姫の世話役の女性たちは怖がるのですが、毛虫が蛹になり蝶になる面白さを説きます。下男たちには、虫に由来するアダ名をつけています。風変わりだ、世間体が悪いと人に言われても、自然の中に存在する秩序や法則に魅了されているようです。虫愛ずる姫君の噂を聞いて、怖いもの知らずの美男子が姫の姿を見ようとやって来て彼女へ和歌を送ります。彼女も漢詩で返事をします。二人の関係がどうなるのか、という所でお話は終わってしまいます。短いお話です。

自然の心理を探求している虫愛ずる姫君は、『風の谷のナウシカ』の主人公ナウシカを連想させます。アニメ映画版とマンガ版では内容が異なっており、ナウシカのキャラクターもまた物語に沿って、両者で違ってゆきます。
ナウシカも虫愛ずる姫君同様、自然の真理や秩序に魅了されているお姫様ですが、虫愛ずる姫君は貴族の箱入り娘なのに対し、ナウシカはフィールドワークも活発に行いより研究者のように見えます。

アニメ映画版のナウシカは、一国の国王として怒り狂った王蟲の群れに身を投じ、国を守ります。
一方、マンガ版のナウシカは、腐海や文明の謎を追い求めてゆく内、人類の歴史の真実にたどり着きます。また、マンガ版のナウシカは怒りや母性のようなものを持ち、文明世界の破壊者となってゆきます。
腐海は混沌、文明は秩序ではなく、大自然こそが秩序です。虫愛ずる姫君も、毛虫が蝶になる自然に魅了されていました。

虫愛ずる姫君もナウシカもどちらも女性です。性というものもまた、曖昧でありながらも超自然的な存在です。にも関わらず、虫愛ずる姫君はあまり女性的な振る舞いには興味が無いようで、周りの人を困らせています。男性からのアプローチにも興味がなさそうです。
マンガ版ナウシカも、物語が進むにつれ、母性的な存在になってゆくのですが、なんだか女性性は失われてゆくようでした。それは、男性・女性という区分ではなく、人として、あるいはもっと抽象的に、生物として、自然の一部としての存在になってゆくのかもしれません。

研究者・探求者であるナウシカが女性であることは、とても重要なことなのかもしれません。
『性の人類学-サルとヒトの接点を求めて』によると、動物の生態研究に際し、研究者が男性か女性かによって、見えているものが違うそうなのです。例として、サルの繁殖行動について研究していると、男性はオスザルが交尾をした時点で繁殖成功と考えますが、女性研究者は交尾をし妊娠・出産を迎えて繁殖成功とします。あるいは、生まれた子が早死せず、大人になって次の子孫を残せる状態になって成功とします。この差だけでも、サルの群れの研究の結果、見えてくるものが大きく異なります。
特に、これまでの研究の場は、男性が多く、男性的な考えがまかり通っていましたから、女性やフェミニズム視点が加わることで、これまでとは違った視点や切り口が加わっているそうです。
特に生物学の世界では、様々な種のオスとメスの生態は、人間の男性と女性の立場や考えが反映されて解釈されていそうです。また、動物のオス・メスの振る舞いが、私たち人類の性差に大きな影響を与えるのも、興味深いです。

女性であるナウシカは、腐海でなにを見たのでしょうか。この物語の面白さ、あるいはややこしさは、作者が男性であることも考慮すべきことでしょう。
自然という秩序をを追い求めてゆくと、文明という混沌へ行きつく捻じれもまた、『風の谷のナウシカ』の世界を難解にし、深みをもたらしているでしょう。

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