こんにちは。あさよるです。橘玲さんの本が面白かったので、続けて読んでみます。橘玲さんの本はタイトルが煽り気味で、タイトルからじゃ内容が読めないですねw 今まで読んだ中で本書『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』が一番、中身がさっぱりわからないタイトルでした。
結論を見ると「なんだ、そんなことか」というありきたりなオチに行きつくのですが、そこへたどり着くまでの理屈が本書です。結論だけを言うのは簡単ですが、その理由を述べるのは大変。
最後まで結論の見えない本だったので、やや苛立ちながら、だけどスイスイ読みやすい文体で、面白かったです。
ニッチな仕事の見つけ方
橘玲さんの『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』は、めちゃ超大雑把に言っちゃえば「ニッチな仕事を見つけよう」という内容です。
毎度、橘玲さんの本はタイトルが煽り気味なので、タイトルから本書の結論がなかなか見えませんね。実際読みながらも、最終章に辿り着くまで「え……この本は何の話をしてるんだ……」と行く先のわからないミステリーツアーに連れ出されているような気分でした(;’∀’)(;’∀’)
社会が大きく変化し続け、価値や人とのつながりもダイナミックに変動する時代、生き残るには「ニッチな仕事を見つけましょう」と言うのは簡単ですが、「なぜニッチな仕事をすべきなのか」という理由を丁寧に解説するのが本書です。
端的に言えば「幸せに生きるため」。そのためには自分だけの、特別な仕事をすべきなのです。そして自分だけの特別な仕事は、変化の時代の中でも、自分の道を指すものとなるでしょう。で、じゃあ、どんな仕事が自分の特別な仕事かと言いますと、それは「好きなこと」を仕事にすることです。
……結論だけ抜き出して紹介すると「くだらねー」と思っちゃいます、よね? しかし、その結論に至るまでの理屈を述べると一冊の本になっちゃった! という。
能力はそんなに上がらない
わたしたちは持って生まれた遺伝的な要素と、後天的に見に着けた環境要因を半分半分持っているそうです。だから、遺伝的に決定されてしまっていることも結構あるし、一方で後天的にどうとでもなることも結構あるのです。
「親の心子知らず」と言いますが、親のしつけや教育よりも、その人が属しているコミュニティで多くのことを学びます。自分の子ども時代を思い出すとよくわかるんじゃないでしょうか。友だちとの遊びの中で多くのことを良いことも悪いことも学びました。
だから、頑張ったからって何か特殊能力が身につきません。半分は遺伝なんですから。だけど、早々捨てたもんじゃない。もう半分は環境で変わるんだから。
世界は変えられないけど、自分は変えられる
世界を変えるような大きな力を持っている人は稀です。多くの人は、自分の家族や友人すら変えられません。だけど、自分の認識は変えられます。涙が出たとき、花粉症で涙が出たと思うのか、悲しくて涙が出たと思うのかは、自分の考え次第……カモ。
簡単に支配されちゃう
わたしたちは結構簡単に支配されちゃうようです。普段自分では絶対にしないようなことも、人に指示されると簡単にやっちゃうこともあります。有名な心理学実験では、スイッチを押すと電流が流れる椅子に人を座らせ、被験者にどんどん強い電流を流すよう指示してゆきます。椅子に座った人が悲鳴を上げても、「実験だから」と言われるとスイッチを押しちゃう人が多発しました。
人は意外にも、自分の意志よりも、周りの環境や相手との関係性で、簡単に人の言うことを聞いちゃうみたいです。
誰のものでもない、自分の幸福見つける
わたしたちは、どんなに頑張ったからって適性のない事柄は伸びないようで、自分に向いたことをやった方が現実的なようです。生まれ持った要素は変わらないけれども、環境要因で変わる要素もたくさんあります。他人や世界は変えられないけれど、自分自身を変えることはある程度できるのです。
わたしたちは気をつけないと簡単に人に支配されちゃいます。自分の幸福を考えるとき、人に操られず自分基準で考え、行動できると良いですね。自分の運命を自分で決定できることは、幸福感に影響します。
どんな世界・業界でもスターがいて、ごくごく限られた一部の人だけがスポットライトを浴びています。だけど、それ以外にもその業界に従事する人がいて、それなりにやっていたりします。分かりやすいのは、CDやiTunesで曲が売れてテレビに出まくる人もいますが、インディーズでCDをリリースしてライブハウスで活動している人もいます。どちらもそれぞれの生き方で、どちらが良い/悪いものでもありません。
同じようにわたしたちも、その業界のスーパースターにならないかもしれないけれど、好きなことをやって、ニッチなニーズに応えることができます。ちなみに、「自分の好きなこと」というのは、必ずそのジャンルが存在すると本書に書かれていて、なるほどと納得しました。自分が「わたしはこれが好きだ」と言語化できている以上、その概念が存在する分野なんですよね。
で、スーパースターにはならないかもだけど、好きでニッチなことをやることが、激動の今を生き残る戦略になるだろうと結ばれています。
元気が出る? イラっとする?
本書『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』の「好きなことをやる」という結論に、励まされて元気が出る人もいれば、「そんな上手くいくわけない」と苛立つ人もいるんじゃないかと思います。あさよるは前者です。「好きなことをやればいいんだ」というのは福音に思えます。
というか、能動的に「自分がすべきこと」を考えてやっている限り、面倒で嫌いな仕事を含んでいたとしても、それでも大きくとらえれば「自分のために好きでやってる仕事」と考えられます。だってクビにされたら困るんだもん。自分のために、自分の都合で仕事をしていて、他人に無理やりやらされているわけではないんです。で、どうせやるなら、一から十まで嫌なことをやるよりは、多少なりとも好きな瞬間がある仕事をやるのがいいなぁと思います。
ただ、あさよるも、本書は最終章に辿り着くまで結構イライラしながら読みました(苦笑)。だって、タイトルからじゃ内容がわからなかったし、「結局何を言ってるんだ!」とw 読み終えてから、目次を読み返し、全体の構成を俯瞰すると「なるほど」と。最後までオチがわからないって、小説じゃないんだから! とツッコみたい気持ちもありますw
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