哲学・思想

『人生を変える「見る力」』|からだ全部で「見る」練習

『人生を変える「見る力」』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。すっかり涼しくなりまして、この季節になると何やら鼻がもやもや、目もショボショボと……そう、花粉症です(´;ω;`) 稲の花が咲いてるんですね~。で、花粉症の諸症状が出ると、もっと感覚野をスッキリさせてくれ! と切実に思いますw

今日読んだ『人生を変える 見る力』は、目の筋トレをし、また体幹トレーニングで体力アップし、集中力を高めよく目で見て観察する力をつけようと啓蒙されていました。なんとなくスッキリしない、集中できない、仕事が勉強が進まない、気分転換したい……などなど、モヤモヤ~っとしてしまうことがあれば、それは「見る力」が低下してるのかもしれません。

本書、結構切り口が面白いです(`・ω・´)b

脳トレだけじゃ足りない

今週『一流の頭脳』という本を紹介しました。簡単にまとめちゃうと「良い集中のためには運動が必要だ」という内容のものです。その本では、運動の中でも有酸素運動(できればジョギング、ウォーキングなら息が上がるくらいの負荷で)が推奨されていました。

今日読んだ『人生を変える 見る力』も、たぶん言わんとしていることは同じようなことなんでしょう(こっちの本の方が薄くて写真も多く誰でもが読みやすい)。本書では、集中して観察する「見る力」を高めることが、身体的、精神的な状態を良好にするとして、そのための簡単なトレーニングが紹介されています。

トレーニングは主に「体幹を鍛える」ことと「眼球を動かす筋肉を鍛える」の二つのです。どのトレーニングも、子どもからお年寄りまでできる簡単なものです。

トレーニングをすると、集中力が高まり、体力がつくと先のことを考えたり、相手のことを考える余裕もできます。それらを抽象化し、「見る力」と再設定されているのが面白いと思いました。

わたしたちは、ものを見ているようで、ろくに見ていない――つまりは「見えていない」ことがよくあります。本書では「リンゴをイメージする」という例が紹介されています。リンゴを頭の中で細部まで思い出します。質感、色、形、どこまでリアルに思い出せますか? リンゴの実物を知っている人は多いでしょうが、リンゴを「見ている」人は意外と少ないのかもしれません。

「いつものっている電車の色は?」「お気に入りの洋服の模様は?」「ベットカバーの柄は?」繰り返し目にしているはずのものでも、いざ思い出そうとすると、細部までリアルに思い浮かぶでしょうか。

「見る力」とは、体幹と眼球の筋肉を鍛えることで、体力と集中力を高め、それによって観察する力を高めます。

体全体で考えている

集中力を高める、仕事や勉強のパフォーマンスを上げるというと、いわゆる脳トレ的な頭の体操を思い浮かべてしまいますが、実際は肉体を鍛えることが集中力に繋がるんですね。あさよるも実感として、「あと何時間くらい勉強すれば満点取れる」とわかっていても、実際には「必要な時間、集中し続ける体力がない」から、結果的に勉強不足になる体験は何度もあります。

「体力が足りない」って結構、いろんなところで顔を出します。大人になれば年々、肉体は老いていくし、意識的に体力づくりが必要なんですね(;’∀’)

脳トレ的なゲームもだし、コンピューターゲームも、テレビも、たぶん読書も勉強も、いわゆる前頭葉を刺激するような事柄に没頭してしまいがちですが、もっと動物的な、そもそもの負荷に耐えられる肉体がないと、結局は途中で息切れしてしまうのでしょう。

本書で紹介されているトレーニングは、幼い子どもでもできるような簡単な動作です。胡坐をかいてグラングランと体を揺さぶったり、6~8センチの幅の「橋」から落ちないよに歩いたり(子どもの頃こういう遊びをしましたね)、あと眼球まわりの筋肉をきたえるために黒目を上下左右に動かしたり、両目のピントを合わせる運動とかね。

同じ子どもの遊び的要素だけど、脳トレ系の遊びとは違って、全身を使う遊びですね。

体を動かすのは気持ちいい

『人生を変える「見る力」』挿絵イラスト

難しく考えずにシンプルに、じーっと同じ態勢のまま何十分、何時間といるのは辛い。それよりノビーっ! とネコみたいに身体を伸ばせたら気持ちいい! それに尽きると思いますw 難しく考えずその快感を追えばいいのかななんて。

ジョギングもウォーキングも、習慣がなければしんどそうだし面倒くさそうなんですよね。だけど、実際にやるとむしろ気持ちがいい、みたいな。本書『見る力』も、難しいトレーニングでもなく、部屋の中でできるトレーニングなんですが、上手にできるようになれば身体がスッキリするんだろうと思います。

とりあえず、目のピントを合わすトレーニングをして、私は左目を使いがちなのがよくわかりました。目にも利き手と同じように利き目があると聞いたことがありますが、使う目が偏っていると疲れるし、ピントも合わないので「見えにくい」ということが起こるようです。

今、ほんとに視覚情報過多ですから「見る」も意識的にしておかないと、間違えや疲労の原因になるのかもと思いました。

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『「生きづらさ」について』|空気と貧困と右翼化

こんにちは。あさよるです。図書館の楽しみは普段手に取らないような本や、書店で平積みされていない本が目につくことです。本書『生きづらさについて』も、2008年出版の10年前の本で、書店では見つけられなかったであろう本でした。Kindle Unlimited版もアリ(2018/9現在)

本書を読むと、10年前のものとは思えないくらい今につながる話題を扱っています。生きづらい、貧困や、雇用問題、超不安定な社会問題はなにも解決されないまま、10年持ち越されたんだろうことがよくわかります。

若者の空気と貧困と右翼化

本書『「生きづらさ」について』は、国内の「生きづらさ」を扱います。中でも、若者たちの貧困と右傾化について度々触れられています。貧困と右傾化は、関連する話題です。

まず「若者たちの」と一口に言っても今の10代20代のみならず、現在40代の団塊ジュニア世代(氷河期世代)の問題も深刻です。著者の雨宮処凛さんと萱野稔人さんもそれぞれ1975年と1970年生まれの方なので、90年代に社会人になった世代であり、お二人ともフリーターを経験なさっています。

貧困とトラウマ

貧困に陥る人は、親からの虐待や、学校でのいじめ等を経験し、自分が生まれた社会から隔絶され「帰る場所がない」状態が前提にあると言います。虐待やいじめを受けて育った故に、自己肯定感が低く、貧困に陥っても「自分の責任」と思いつめ、誰にも助けを求められないままネットカフェ難民やマック難民(24時間営業のマクドナルドで夜を明かす人たち)になる人も多いそう。また、生まれ育った場所にトラウマがある場合、そこへ帰るわけにもいかず、どこへも行けない。

空気を読んで自殺する

著者の一人、雨宮処凛さんの場合は中学でいじめに遭い、その後自傷を繰り返しいわゆる「メンヘラ」化していた経験もあるそうだ。自傷をする人たちが集まり、自分はこんな自傷をした、こうやって死ぬつもりだと話をしている間に、だんだん周囲からも「もうすぐ死ぬのか」「まだ死なないのか」という〈空気〉になり、空気を読んで自殺するという人がいる話はショックでした。

現在、かつて以上にコミュニケーション能力が求められる時代が到来しています。それは子どもたちも同じです。コミュニティの中で上手くやれなければ、そこに存在することができない。不登校や引きこもり問題の背景には、高いコミュニケーション能力を持ち「空気を読み」、かつ、コミュニティの中で上手くやりぬける〈運〉の要素もあるようです。

右翼化する理由

雨宮さんはその後、上京し浪人生活を送るりますが、それもやめフリーターになった途端、自分が社会の中で何物でもなくなり不安な時間を過ごしたとそうです。そのとき、自分の居場所になったのが右翼グループだったそう。左翼グループとも接触したそうだけども、彼らの話は難しく仲間に入れる感じじゃなく、消去法的に右翼団体にいたと振り返られていました。

自分が辛い境遇にあっても、靖国神社へ行き、戦死した若い特攻隊員や軍人たちを思えば「自分の生きている時代の方がまだ良い」と考える、という話もあり、こんな心のより所としての靖国があるのかと驚きました。

また非正規で最低賃金で働く人たちにとって、外国人労働者は目に見える脅威に感じるそうです。良いことではありませんが、彼らは日本人より安い賃金で働かされていたり、「〇〇人を雇った方が安いしよく働く」と言われてしまうと、自分自身の「日本人であること」を理由で職を失うような感覚に陥ると語られていました。

実現しない自己実現と、承認されない承認欲求

わたしたちは自己実現をなし、他者から承認されることでアイデンティティが保たれています……ということになっています。だから、自己実現できなかったり、他者から認められないと、アイデンティティを保てなくなってしまいます。

もしかしたら、ただ「生きるか死ぬか」だけの世界ならば、そんなこと考えずに生きられるのかもしれないけれど、高度化した社会では「自分はどう生きるか」を考え、それに成功しないと幸福を感じられなくなっているのかもしれません。豊かだからこそ「どう生きるか」を考えられるはずなのに、そのせいで貧困に陥っていくのはあまりにも辛すぎます。

また、貧困から右翼化する例を紹介しましたが、最貧困層は右も左もないそうです。考えれば当たり前ですが、今日生きることに集中するのに、思想なんかない。

金持ち以外の全部

本書『「いきづらさ」について』で扱われるのは、「金持ち以外のすべて」の人々。今は仕事があり、住むところがあり、それなりに生活していても、この先のことが分かっている人なんていないでしょう。楽観的に考えられず、だからと言って備えるにもなにを備えてよいのかもわからず、ただ漠然と不安を感じている人は多いはずです。

子どもたちの話題も少しですが触れられていました。中学生たちが公園で集まって待ち合わせをしていると「不審な中学生が集まっている」と通報されてしまい、その後、出入りできなくなってしまったという話題です。「生きづらい」なぁと感じます。

本書では「戦争は希望」論争が紹介されています。団塊ジュニアの就職氷河期世代の男性が、地方都市でフリーターとしてコンビニの深夜アルバイトをしていて、昼間にショッピングセンターへ行くと「不審者に気を付けるように」とのアナウンスが流れている。そこで「自分のような存在が〈不審者〉なんだ」と思い至り、今の状態が「平和」ならば、戦争が起こって社会が流動化した方がいい。「フリーターにとって戦争は希望だ」という言説が話題になりました。今の社会の問題をすごく的確に表していると思いました。

本書は「生きづらさ」をテーマに著者二人の対談形式なので(一部質疑応答)、テーマが広いだけに話題はアチコチへ飛び一つの問題を掘り下げる物ではありません。「軽い読み物」と呼んで良いでしょう。しかし、ページを開くたびにショックが多かったです。

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『成功ではなく、幸福について語ろう』|他人を操れない自分を変えよう

こんにちは。幸せ者な あさよるです。昔、抑圧されて「不幸せだ」と感じていた時期もあったのは確かですが、今は特に不満もなく、満たされているが時間がほとんどです。もちろん、どうしようもなくイライラしたり、腹が立ったり、イラついている時間もあるのですが……(苦笑)。あさよるは性格的には気が短くて「怒りん坊」です(;’∀’) 怒ってもいいことなんてないのにね~(他人事)。

本書『成功ではなく、幸福について語ろう』では、「成功」という量的に満たされることではなく、「幸福」という質に注目するよう促されます。「持たざる者」であることと「不幸に生きること」はイコールではないとわかります。現在、裕福でお金が余って余ってたまらない人は超レアな人で、多くの人は「持たざる者」でしょう。だからこそ「どう生きるのか」と質を問うことが、求められているのかも。

「嫌われる勇気」岸見一郎・人生相談

本書『成功ではなく、幸福について語ろう』は、ベストセラー『嫌われる勇気』の岸見一郎さんの著作です。岸見一郎さんはアドラー心理学を扱った著作をたくさん書かれています。本書『成功ではなく、幸福について語ろう』では、人々のお悩みに岸見一郎さんが答えるという形式を取りながら、合間に岸見さんのお考えや体験談が挟まれています。

寄せられる相談の多くは、家族や身近な人のこと。誰もが共感できる悩みもあるでしょう。

妹になんでも真似される姉、子育て、キャバクラで働いていてお客さんに貢がした過去を後ろめたく思う人。仕事先でのいじめ。婚活での行き詰まり。日常の諍いの種や、思わず口を出したくなるシーンなどなど、「そういう話あるよね~」って悩みが集まっています。

よそはよそ、うちはうち

『成功ではなく、幸福について語ろう』では、基本姿勢が「よそはよそ、うちはうち」とオカンがいいそうなセリフですね。「よそ」というのは、よそのお家の話ももちろんですが、家族であっても親子や夫婦も「他の人」であり、基本は、その人に判断を委ねます。

つまり「上手くいかない」「どうにかしたい」とフラストレーションがたまってしまう原因は、そもそも「他人のことをどうにかできるハズ」「他人をコントロールできるハズ」という前提を持ってしまっているからです。だけど、もちろんですが他人は他人、その人の生き方を決めるのはその人自身です。それは親や子であっても、夫婦であっても、自分とは違う人格を持った人間である以上、自分に責任を持つのは本人なのです。家族に口出ししたい気持ちはわかりますが、相手の責任を尊重するのも大切なことなんですね。

また「幸福」と「幸福感」の違い、「幸福」と「成功」の違いが紹介されていました。

お酒を飲んでほろ酔いでいい気持ちになるのは「幸福感」です。気持ちよくなっているだけで、幸福になっているわけではありません。ショッピングで憂さ晴らしをしたり、過食やギャンブルに走るのも同じかもしれませんね。

「幸福」と「成功」の違いはもっとわかりやすいものです。「幸福」は主観的なものですが、「成功」はノウハウであり他人の真似をすることができます。本書では、住む家や家具、子供の名前まで真似してくる妹に困っている人の話題が登場します。お姉さんとしてはなんでもかんでも真似されて辟易しているのでしょうが、妹さんにとってお姉さんを「真似」するのが成功につながるとわかっているのです。しかし、幸福は真似できません。

力が及ぶことと、及ばないこと

『成功ではなく、幸福について語ろう』を読むと、自分の影響力が及ぶ範囲と、自分ではどうにもならないことを理解することが、幸福につながるんじゃないかと思いました。他人の考えを変えることは誰にもできません。その人を変えられるのはその人だけです。だから、自分が「変えてやろう」と考える必要はありません。だけどもし、自分が相手を追い詰めたり、頑なにさせているなら、自分の行いを変えることはできます。

また、例えばパートナーが同じ過ちを繰り返してしまう場合、それに対して同じ対応をしてはいけません。なぜなら、前回の対応が良くなかったから繰り返し同じことが起こっているのですから、自分の対応がふさわしくなかったと考えます。あくまで、相手の行いを変えることはできません。できるのは自分のアプローチを変えることのみです。

できることと、できないこと。これを自覚して、自分のできることに責任を持ち、「正義」や「おせっかい」を相手に押し付けないことが、幸福につながるんだとうと思いました。

尊大になりがちな人に

多くの人は、多かれ少なかれ、優越感や他人への影響力を持ちたいと考える感情があるんじゃないかと思います。それらが原動力となって活動のパワーになっていると思う一方で、自分を蝕み、苦しめる現況にもなっているんじゃないかと思います。

もし、今の状況に押しつぶされそうになったり、どうしても我慢できない怒りや悲しみがあるのなら、「自分のすべきこと」と「自分にはどうにもならないこと」をきちんと分けて考えるのもいいでしょう。

これは「他人のせいにできない」ということでもあります。上手くいかないことを家族や職場の人のせいにできれば、どんなに気持ちが楽でしょう。しかし「他人に影響を与えられない」と考え、その立場に立つことで「自分のすべきこと」が炙り出されてしまいます。

幸福な生き方とは、自分の責任は自分で負う生き方なんですね。「責任」っていうと、嫌なネガティブな意味で使われることが多いけれども、自分で自分の生き方を選択することは、その分楽しくて面白くて良いこともたくさんあるでしょう。どっちの生き方が良いでしょう。自分で選ぶことができます(`・ω・´)b

岸見一郎さんの本

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『おおきく考えよう』|中身が入れ替わってもオリジナル?

『おおきく考えよう: 人生に役立つ哲学入門』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。こう毎日暑いとなんにも考えたくないですよね。ということで、ボーっとした頭であえて、頭がこんがらがるような哲学を扱った本を手に取ってみましたw といっても、本書は10代向けの本で、ページのほとんどはイラストで構成されています。

しかし、書いてある内容を理解しながら読むとなると、じっくり腰を落ち着かせて読まないと、前後の話がわからなくなるような読みごたえはありました。

「考える」ことはやめられない

本書『おおきく考えよう』はサブタイトル「人生に役立つ哲学入門」とあるように、はじめて哲学的な内容に触れる10代向けに書かれた本です。本と言っても、文字は少なくイラストが紙面のほとんどで、ビジュアルから「考え」をイメージできる工夫がなされています。

子ども時代の思考ってとことん具体的で、成長過程で抽象思考が身についていきます。大人に近づくステップとしてこの『おおきく考えよう』は役立つんじゃないでしょうか。

と言っても、大人が読んでも物足りなさはありません。というか、大人のほうがこんな本が好きかもね。

悩める若い人に語りかける

本書『おおきく考えよう』で問いかけられる哲学的話題は、「生きるってなんだろう」「社会ってなんだろう」「男と女って違うのかな」といった第一章「すべての生きもののなかで、いちばん幸せ」。

第二章「おなじ川に2度、入ることはできない」では、変わりゆくもののなかで「今、ここ」や「これ」「私」とはなんだろうと考えるきっかけに。哲学者ヘラクレイトスは「同じ川に2度、入ることはできない」と言いました。川はどんどん流れてゆきますから、さっき入った川の水は、次に川に入るときははるか河口へ流れ去っています。だから「同じ川には入れない」というワケ。同じような話で「ボートの板を1枚ずつ替えるとしよう。1枚のこらずべつの板と交換した場合、できあがったボートは、もとのボートと同じものかな?」とイラストが語りかけてきます。これは刻々と、新しい細胞が生まれ、死んで、細胞がすっかり入れ替わってしまっても「自分は自分」と言えるのか?という問いに繋がります。

『おおきく考えよう: 人生に役立つ哲学入門』挿絵イラスト

ちなみにこの、ボートの板をすべて入れ替えても、最初と同じボート言えるか」あるいは「新しく組み立てたボートは元の同じボートと言えるか」という問いは、日本建築に当てはまります。例えば、奈良にある法隆寺の五重塔は世界最古の木造建築と言われていますが、修繕が重ねられ、本当に法隆寺建立当時から使われているオリジナルの木材はほんの一部分だけです。新しい材木にほぼ入れ替わっている五重塔を「世界最古」と言えるのか?

あさよるは先日、京都の平等院へ連れてもらったのですが、最近、平等院が修繕されてキレイになったんですよね。ほぉ~と眺めながら「これは〈新築〉に見えるなぁ~」なんて思ったりw 日本人的感覚だと〈リフォーム〉は、新築ではないから、「昔からここにあるもの」なんですね。これは、日本人的な感覚と、西洋哲学的考えの違いの例としてよく挙げられる話ですね。

『おおきく考えよう:人生に役立つ哲学入門』イメージ画像

話は戻って、第3章では、物事の本質を見ること。第4章は空想、創造の幅を広げること。第5章では、人生の意味について尋ねられます。

答えのない問に耐えられる?

本書『おおきく考えよう』は、疑問や考え方を提示されますが、答えらしい答えはなにもありません。そもそも答えのない問いだからです。もし、予め正解が想定された問題ばかりに慣れているのなら、最初から答えの存在しない問いは苦痛に感じるかもしれません。

「本書は10代向けで、若い人にオススメ!」と言いつつ、当のあさよる自身、10代の頃は本書を読めなかっただろうと思いますw まるで言葉遊びをして、からかわれているような気になったろうと思うから(苦笑)。

本書はイラストが大半で、絵本のような作りですが、意外と読み解ける子どもは少ないのでしょう。大人受けする本だと思います。その上で、本書に挑戦する10代の人がいるといいなぁと思います(`・ω・´)b

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『モヤモヤするあの人』|読むほど常識がゲシュタルト崩壊

『モヤモヤするあの人』挿絵イラスト

この本めっちゃモヤモヤするー!!/(^o^)\

やばい、読み始める前のモヤモヤのない世界に帰りたいww こんにちは、あさよるです。ああ、そんな大したこと書いてある本ではないハズなのに、なんだかすごくナンセンスでおかしな話が展開されている気もする本に遭遇してしまった~。サクッと簡単に読めるコラム集で、一つ一つの話はそう、そんな大それた話をしてるワケじゃないのに、読了後なんか「生きるとは」みたいな、でっかいことを考えてしまったww

それにしても、あさよるにとっては知らなかった常識をたくさん仕入れることができたので良い読書でした。

追記(2017/07/24)

著者の宮崎智之さんからメッセージいただきました(^^♪

これはアリ?ナシ? あの人は一体何?

本書『モヤモヤするあの人』は、巷の「なんとなくモヤモヤする話」を集めた本です。著者の宮崎智之さんは「人間観察」が趣味という。

人間観察は、場所や時間を問わずに行われる。ある時は、カフェの隣の席で怪しげな勧誘をしている若い女性に目がいき、ある時は、バーで女性を口説こうとしている40代後半の小太りなおじさんに目がいく。おじさんは、弁護士事務所に勤務していると名乗っているけど、手相占いと称して女性の手に触ろうとするその行動は、法律的にセーフなのだろうか。
また、駅のホームで固く抱擁しながら海藻のように揺れている謎のカップルにも、ついつい目を奪われてしまう。大人なんだから終電を気にせずホテルにでも行けばいいと思うが、そうもいかないのだろう。もしかしたら不倫なのかもしれない。それにしても、この手のカップルに美男美女を見たことがないのは、なぜだろうか。
ビジネスシーンもモヤモヤの宝庫だ。スーツにリュックで営業先に行くことは失礼にあたるのか。大雪が降っても定時に出社しなければいけないのは、どうしてなのか。SNSで嫌いな上司から友達申請が来た場合、部下はどう対応すればいいのだろうか。

p.4-5

「とるにたらない話題」と称されているんだけれども、ああもう、こうやって指摘されちゃうと気になり始めて仕方ない。「終電間際の駅で〈海藻〉のように揺れているカップル」ってw 確かに彼らは何をやってるんだろう。別れを惜しんでいのだとしたら、二人はそれぞれの自宅に分かれ分かれ帰宅するのは決まっているということなのだろうか。言われてみればホテルでも行けよ、という気もする。

「スーツにリュックはアリか」というのも、言われるとすごく気になる。いるよね、リュック背負ってる人。通勤スタイルとしてはリュックは便利でいいと思うけど、あれでお客様の前に出るにはカジュアルすぎるような気がするなあ。通勤用と、勤務中用のカバンを2つ用意したらいいんじゃないかと思うけど……。

本書は大きく2つの章に分かれている。「これはアリかナシか」という二択と、「あの人は一体何なんだ」という問いである。

世界には我慢できることとできないことがある!

本書『モヤモヤするあの人』で取り上げられる話題をかいつまんで、あさよるの主観を交えて紹介してみる。主観が多めなのでご注意。この「モヤモヤ」は、なんとなく納得できないんだけれども、だけど相手を糾弾するほどのことでもない感じ、と言ってもいいかもしれない。

例えば、大きな災害や事件が起こると「不謹慎厨」が沸く。他人の発するツイートやブログ記事に対して「こんなときに不謹慎な!」と怒り始める人たちだ。まあでも、気持ちはわからなくはない。ショックの大きい出来事に出合うと、とてもヘラヘラする気になれないし、そんなときに浮かれたことをしている人と温度差を感じることもある。だけど、だからと言って「不謹慎だ」と憤るほどのことでもないと感じる。社会を揺るがすような出来事であればあるほど、その他の人は「いつもと同じ通りに生活をする」ことが「平穏」を取り戻すために必要な力だ。大変な時こそ「いつもと同じ通りに生活をする」べきなのかもしれない。

少なくともあさよるは、この二つの間で揺れ動く。「いつも通りに生活をする大切さ」もわかるし、だけど浮かれた話題に対しては気持ちをどこに持って行っていいかわからない。いや、浮かれた話題はまだいいけれど、あさよるが動揺してしまうのは「野次馬」的な言動を見聞きすることだ。わざわざ危険な場所に出向いて写真を撮って、それをインターネット上にアップロードすることになにか意味があるのだろうか。自分のツイートもバズると思ったのだろうか。

「モヤモヤ」はそんな、気持ちをどう持って行っていいのかわからないときに起こるんじゃないかと思う。

食べ物の相性は重大だ

本書で最もショッキングだった「モヤモヤ」は、「焼き鳥を串から外して食べる」という常識があるらしいことだった。しかも、ガブっと齧り付けずに串から外すのではなく、「みんなとシェアするため」に串から外すらしい。つまり、一本の串を複数人で分けて……食べる……だと……? そんなん、自分の食べたい串一本頼んだらええやん。

あさよるの世界軸にはそのような慣習がなかったため、とても戸惑っている。あさよる的には、串から外してバラバラにして冷めてしまった焼き鳥はおいしそうな気がしないんだけれども、どうなんだろう。

こういう、食べ物に関する相性はとても重大だ。あさよるも昔、とことん食べ物の好みが合わない人と一緒にいて、ほんとにとてもとても疲弊してしまった経験がある。「この時間帯にこれ食べるの?」って感覚も違うし、「食べ方」も違っていて、食事中の会話も弾まずただひたすら気まずい時間だった。これはかなり堪える。

焼き鳥の串外し問題も同様に、実はとても根が深い話ではないかと思う。ただもちろん、どちらが正しい/間違っているわけでもないし、他人に強要することでもない。ただ「モヤモヤ」するのみである。

『モヤモヤするあの人』挿絵イラスト

サプライズは良いこと!?

焼き鳥問題と同じくらい衝撃だったのは「サプライズ」に関する話題だ。サプライズって、あれだ、あの、「フラッシュモブ」とかいうやつだ。公園にデートに行くと突然公園にいた人たちが踊り始めて、彼が最後にプロポーズするとか、結婚式で出席者たちが踊り始めたりするやつだ。あんなの喜ぶ人がいるのかと訝しんでいたが、なんと本書によると、

ネットマーケティングが2015年3月に実施した調査によると、「恋人からサプライズされると嬉しい」と思っている男性は94%、女性は96%にのぼっている。(中略)予定調和を崩す意表をついた演出は刺激的で、胸ときめくもの――。世間の大多数が、そう考えているのである。(p.143-144)

男性94%、女性96%って、圧倒的多数じゃまいか! え!? みんなそんな感じだったの!? サプライズ嬉しいの!? あさよるが空気読めてないことに気づいてものすごくショックでしたorz

あさよる的には、言葉によって、これからの話も話し合える人がいいです……。「サプライズ」っていうけど、突拍子もなく告白やプロポーズしてるんじゃなくって、お互いにもう確信している状態で、最後の口頭の約束をしているんだと思うんだけどなぁ……違うのかなぁ(弱気)。

ちなみに、街中の広告用の大型ビジョンに、自分のメッセージを掲載してもらうのは、割と手の届く値段でできるらしい。サービスをまとめておられる方がいらしたので、リンクのせておきます。

イラつく人にイラつく

街中のモヤモヤの代表格は、電車の中でお年寄りに席を譲ってよいものか……という葛藤です。今の人はみんな若いですから、席を譲ると申し出ても断られてしまうどころか、小競り合いになることもあるそうです(反対に、席を譲らないことでモメることもあるそう)。あるいは、電車の中で赤ちゃんが泣き始めて……イラっとしてしまう。

本書では、著者の宮崎智之さんは「赤ちゃんの泣き声に苛立つ」というよりは「赤ちゃんの泣き声に苛立つ人に苛立ってしまう」と書かれていました。あさよるも同じで、別に赤ちゃんの声なんて気にならないんだけど、「イライラする人がいるんじゃないか」「文句を言う人がいたら嫌だなあ」「もし怒る人がいたら、私はどんな行動を取ればいいんだろう……」と、周りの大人たちへの警戒心でピリピリしてしまいます。

「イラつく人にイラつく」状態です。

これにちょっと似ているなぁと思うのは、電車の中で化粧をする女性。電車内で化粧をする行為への是非はともかく、その人がいることで周囲が緊張している感じがツライ……。

まさに「モヤモヤ」ですよね。一旦モメごとが起こったならば、自分はそれに適切に対応するしかないのですが、「モメてないけど、これからモメるかもしれない」という宙ぶらりんの緊張感がモヤモヤします。

化粧ってマナーだったの!?

電車の中で化粧はどうなの? って話題で登場した概念にも驚いた。それは「女性の化粧はマナー」だというもの。え、化粧ってマナーだったの? すっぴんはマナー違反ってこと……? あさよるは「社会人としての最低限の身だしなみ」は男女ともに求められていると思うし、さらに職業によってはより身だしなみに気を遣う職種もあるだろう。しかし、「それ以上に着飾ること」は個人の趣味だと思ってたよ……。ショッキンッ!

非リアとして生きる

「モヤモヤ」は、「リア充」たちに向ける非リアたちの眼差しにも感じます。いや、あさよるも非リアの一人ですから心が痛んだ話。リア充たちはこれでもかとSNSにリア充感満載の投稿をしまくってくる。しかも彼らの投稿が気に障るのは「非リアのために配慮されている」ところだと指摘されていた。つまり「花火大会楽しかった!また来年も行こうね」と写真付きで投稿するんだけれども、「誰と一緒に行ったのか」はボカされている。どうせカップルで行ったんだろうに、非リアに配慮して恋人の存在はぼやかされてるんですってよ! まったく! なんかものすごく言いがかりな気がするw

で、われわれ非リアたちは、「リア充」を心のどこかで見下している、とも紹介されている。センスが悪くて「パーリーピーポーウェーイww」みたいにラベルを張ることで、心を落ち着かせているのかもしれない。

これもまあ、モヤモヤする話ですな。

〇〇ヅラする人々

「彼氏面する男」というのが本書に登場します。別に恋人同士でもないのに、というか、そんなに親しいわけでもないのに、なぜだか彼氏のような振る舞いをする男がいるらしい。服装をチェックしたり、他の男性と話していると「嫉妬する」と告げられるんだって。なぜか女性に対して上から目線なのもポイントだ。

でもこれって、女性版の「彼女面する女」もいるよね。カップルでもないのになんか男性の世話をせっせと焼く人。ああ~、特に親しくもないのに「親友面」する人もいるやねw なんか突然ぶっちゃけ話をしろと迫られたり、「悩みならなんでも聞くから」となにも相談してないのに申し出てくださる人ね。

「意識高い系」だって、別に優秀なわけじゃないのにさも優秀な人間のように振舞ったり、特別な努力をしているわけでもないのに頑張ってる感を出して着たり、忙しいアピールとかね。

おもしろおかしく他人の姿を笑うこともできるけれども、「じゃあ、自分はいったいどうなんだ」って考えると、笑顔が引きつります(苦笑)。あさよるも、ついつい「〇〇ヅラ」してるのかもな~……と、やってるよなぁ~(;’∀’)(;’∀’)(;’∀’)

あさよるもまた、ある時は他人をモヤモヤさせているのだった。

あ~モヤモヤする

『モヤモヤするあの人』はいくら読んでもスッキリしません。わざわざモヤモヤの不快感に突っ込んでいくような本かもしれません。しかし……考えてみると、むしろ現代のわれわれは「スッキリとわかりやすい話」に慣れすぎていて、答えのない問を繰り返すストレスに耐えられなくなっているのではないでしょうか。池上彰さんの解説は確かにわかりやすいし、面白いけれども、やっぱりバラエティー番組として昇華されていて、あくまで「快楽」ですよね。「わかった気になって気持ちいい」んです。だけど、本当の大問題というのは、答えがないから問題であって、30分やそこら、アニメーションや模型を使って解説して答えがスッキリ見つかるわけではありません。

『モヤモヤするあの人』は、なーんにも考えなくなっちゃった頭には、ある意味刺激的です。読めば読むほど「モヤモヤ」が増すんですから。だけど、ものすごーく大きな大問題を扱っているわけじゃなく、あくまで与太話の範疇。仲間内でダベリながらいいネタになるような話ばかりです。

あさよるは、自分の常識とは違う常識をいくつも発見しました。みなさんはどうでしょう~。

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『愛とためらいの哲学』|穏やかに心が満たされる恋のために

こんにちは。あさよるです。やっぱり「恋バナ」は面白いものです。老若男女関係ない話題だし、世代を超えて年長者の話が聞けるのも楽しいところです。今回手に取った『愛とためらいの哲学』も恋バナ本で、著者は『嫌われる勇気』の岸見一郎さん。岸見さんの本は数冊読みましたがどれも面白かったし、アドラー心理学の考え方も、あさよるは納得しやすく、すんなりと読むことができました。

「恋バナ」の小ネタに読んでもいいし、本当に恋に悩んでいる人や、これから恋したい人にもピッタリです。火傷するような恋だけじゃなくて、静かに心が満たされる恋もあることがわかります。

老若男女が知りたい「恋バナ」

本書『愛とためらいの哲学』の著者は『嫌われる勇気』がヒットした岸見一郎さんです。岸見一郎さんは哲学者であり、アドラー心理学の研究もなさっています。『嫌われる勇気』は、哲人と青年の対話形式でアドラー心理学について語る内容でした。アドラー心理学では過去に囚われず「今」だけに注目します。過去にトラウマや辛い経験を抱えていても、誰もが「今」幸せに生きることができるという考え方です。

本書『愛とためらいの哲学』も、アドラーの名言を交えながら、アドラー心理学的な「愛」や「恋」の話が展開されます。岸見一郎さんは講義で学生から恋について質問を受けることがたくさんあったそうです。恋の悩みは若者の多くが抱えている悩みなんですね。アドラーもまた、学生たちから恋について質問をされたそうです。写真のイメージとは違って、柔和で話しやすい教授だったそうです。

愛や恋は、どんな権力者であっても、「私を愛しなさい」と命令したところで、本当に自分を愛させることはできません。恋には思い通りにはいかないのです。

しかし、恋路だけが特別なわけではなく、人間関係とは、思い通りいかないものなのです。しかし、恋が特別なのは、嫉妬や執着心、独占欲が特定の人物に強く発動するところかもしれません。また、焦がれていたはずなのに、恋が実ってしまうと気持ちが冷めてしまう……なんてことも起こります。独占欲や、あるいは他の人との競争心を恋と勘違いすることがあります。友人や兄弟姉妹に対抗して、「もっと素晴らしい人を恋人にすることで〈勝ちたい〉」と考えちゃうヤツですね。

自分の自信のなさや、他人への嫉妬や対抗心、独占欲や依存によって、恋が難しく苦しいものとなっているのです。

穏やかに静かに、人を愛す

『愛とためらいの哲学』で語られる恋愛は、穏やかで静かな関係が、良い関係とされています。嫉妬せず、競争せず、お互いに愛される関係性です。この時、二人の間にある闇に注目するのではなく、良いところ、つまり光に目を向けることで、お互いに穏やかな状態でいられます。大人の二人の関係って感じですね。傷つけあったり、束縛し合ったり、依存しあったり、お互いに一緒にいて嫌なことばかりの「恋愛」よりも、一緒にいることで二人ともが穏やかでより充実して、気持ちが満たされて一緒に居られる方がずっといいなあなんて思いました。

また、岸見一郎さんはアドラーの考えをただ紹介するだけではなく、ときにはアドラーの言葉を否定したり、言葉を足したりして、ご自身の考えを語っておられます。それは、西洋人のアドラーの思想よりも、より日本人的な価値観に合うようローカライズされているとも感じました。

しかし、古今東西、老若男女、恋バナは尽きないようです。

幸せになる恋もある

みんなが好きな恋の話は「悲恋」ではないでしょうか。実らない恋や、破滅してゆく恋こそがロマンチックでなまめかしく、美しく感じます。一方でこの『愛とためらいの哲学』で語られる恋愛は、幸せで静かで、満ち足りたものです。だからあんまりロマンチックじゃないし、スリリングでは全くありません。物語の恋の話しか知らないなら、こんなに穏やかな恋愛があるのだと知るだけでも収穫かも。みなさんは、嵐に翻弄されるような恋と、穏やかで静かな日々が続く恋、どっちがご所望でしょうか。これは自分が何を求めているのか、今何が欲しいのかによって答えはさまざまでしょう。

恋を扱う本って、面白おかしく書き立てるものや、見当はずれなもの、一歩間違えはセクハラやパワハラになることを勧めるものなど、危ういものもたくさんありますが、『愛とためらいの哲学』は至ってまじめで、地味だけど、ジワジワっと憧れるような恋を扱った内容でした(^^♪

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『人は「死後の世界」をどう考えてきたか』|死んだら地底か来世なのか

『人は「死後の世界」をどう考えてきたか』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。あさよるは「前世」とか「来世」とか思想を持っておらず、その言葉自体をあまり使わないのですが、それでも慣用句のように「前世はよっぽど~」とか「このままじゃ来世は~」なんて言い回しをすることがあります(稀に)。

みなさんにもそれぞれ、ご自身の「世界観」がおありでしょう。それは、幼いころから慣れ親しんだ世界観、死生観もあるでしょうし、生きてきた中でハイブリッドな考えに至った部分もあるでしょう。みんな同じ道をゆく身ですから、多かれ少なかれ共感しながら生きているように思います。

『人は「死後の世界」をどう考えてきたか』は古今東西の人々の死生観をざっくり大まとめに紹介するものです。概要的内容ですが、古代ギリシア、古代エジプトから、キリスト教、仏教、イスラム教の世界三大宗教、そして日本人の死生観まで幅広く取り扱います。

面白く生々しく、そしてやっぱりちょっと怖い「死後の世界」を覗いてみましょう。

ズラリ世界の「死後の世界」

本書『人は「仕事の世界」をどのように考えて来たか』では、世界中の「死後の世界」観を一挙に紹介するものです。扱われているのはザッと「古代ギリシア・ローマの冥界」「古代オリエントの死後と終末」「キリスト教の地獄・煉獄・天国」「インドの輪廻転生」「大乗仏教と東アジアの来世」そして「現代の死後の世界」です。

冒頭では、現代の我々の「死後の世界」観の変化について触れられています。それは、日本人も今や「天国へ行く」という表現を使う人が増えたとう点です。天国というキリスト教的な世界観が普及しているのが見て取れます。

宮沢賢治の「来世」

かつて……宮沢賢治は妹をなくし、ノイローゼになっています。賢治の父は浄土真宗の信者でありましたが、浄土真宗の個人主義的な極楽浄土の世界観よりも、慈善活動を行うキリスト教や日蓮宗の方がリアルに感じていたようです。しかし、妹の死によって、日蓮宗的な来世観が賢治を苦しめます。

賢治が信じていた公式通りの輪廻観によれば、死者はみなバラバラの運命をたどる。身内どうしがまた再開できるといったものではないのだ。(中略)日蓮宗ではみんなが極楽浄土で会えるという立場を取らないから、どうしてもこの、バラバラの死後世界に耐える必要が出てくるのだ。(p.270)

そして、妹が「地獄へ向かったかもしれない」ことを思い、恐怖します。賢治は輪廻転生を信じ、地獄に落ちることを心配していますが、

そうした輪廻神話よりも法華経のパワーの方が優位に立つことを確信し、輪廻をめぐるノイローゼから解放されている。
つまり、賢治にとって、宗教のロジックは呪縛にも解放にもなっているのである。輪廻信仰は呪縛となっている。しかし法華経の信仰は救済となっているのだ。源信が描くような地獄堕ちの恐怖は、阿弥陀の救済によっても法華経の救済によっても無化され得るということらしい。

p.280

宮沢賢治の死や物語にある、「死」のイメージは、ダイレクトに彼のテーマでもあったのですね。あさよるは、ユニークな地獄絵図のなんかを見てると「地獄は愉快そうだなぁ」なんて気楽に考えていましたが、宮沢賢治ともなると突き詰めて考えるものなのですね。

世界の神話はなんとなく似ている

本書では古代ギリシアから日本の死後の世界まで広く紹介されるのですが、神話の世界はどことなくみんなよく似ています。太陽神がおり、地下に黄泉の世界があり、死んだ神様や人は黄泉へ行きます。ギリシア神話では、これを「冥界」と呼びます。

仏教には極楽浄土と地獄がありますが、キリスト教にも天国と煉獄があります。これらの元ネタになったであろうゾロアスター教や、エジプト人、ペルシャ人のオリエントの死後と終末の世界があります。

エジプト人は死後の世界に備えてミイラをせっせとつくっていただけでなく、死んで復活した神が冥界で死者を審判するという神話をもっていた。ゾロアスターの徒は神々も自然も善と悪の二つのカテゴリーに分け、個人の死後の審判と世界週末のときの審判の二重の審判の思想を持っていた。どちらの宗教の神話も、どこかしら聖書の神話に似ているのである。(p.65)

エジプトの神様は、太陽神ラーと、冥王オシリスが有名ですね。死ぬと冥界に行って、オシリスの審判を受けなければならないそうです。エジプトの閻魔様なのです。古代エジプト人にとって大事なのは、オシリスの楽園で永遠の生を受けることでした。

エジプト宗教とゾロアスター教を眺めると

「神の死と復活」「死後の審判」「天国(楽園)と地獄(破壊)」「神と悪魔の対立」「終末・救世主・死者の復活・審判」という、後世の一神教世界の道具立てによく似たものが概ね出揃っていた。(p.82)

エジプト宗教とゾロアスター教がユダヤ教、キリスト教、イスラム教にどう影響を及ぼしたかは不明で、なんともいえないそうですが、世界の死後の世界観は「だいたい似ている」のは分かります。

インドでは、輪廻思想が体系としてまとめられました。

インドといえば輪廻、輪廻といえばインドというぐらい、インド思想と輪廻思想は深く結びついている。全世界に転生の思想はあるが、それを厳格な体系としたのはインド人だたからである。ヒンドゥー教(紀元前二千年紀から)、仏教(前五世紀ごろから)、ジャイナ教(同)、シク教(後十五世紀ごろから)と、インド発の宗教はいくつかあるが、いずれも輪廻思想を世界観の根幹に置いている。(p.169)

輪廻信仰は近代になってから西洋にも広がり始めているそうです。

そのヒンドゥーから派生したのが仏教だとされます。

開祖の釈迦は解脱を目指すにあたって、婆羅門的伝統に距離を置いて独自路線を追求し、快楽でもない、苦行でもない、「中道」を行くという大きな指針を打ち立てた。ヒンドゥー教のヨーガ行者などはむしろ好んで派手な苦行を行う。文教の修業は相対的に穏やかなものだといわれている。(p.188)

世界の代表的な宗教が、絡まりながら流れになっている様子が面白かったです。

『人は「死後の世界」をどう考えてきたか』挿絵イラスト

さて、死後の世界は?

普段の会話の中でも「前世は~」とか「死んだら~」なんて言葉が飛び出します。死や死後の世界は「馴染み深い」とも言えるし、だけど宮沢賢治のように突き詰めて考えている人ばかりではないだろうと想像されます。あさよるは「考えても仕方のないことは考えない」ので、死んだ後のことに興味がありません。

……なーんて言いながら、一人でふと「今回の人生はツイてないな」なんて思うこともあります。また、小学生の甥が「俺はママのお腹を選んで生まれてきた」と話していて、「ほう、今はそんな教育がされているのか」なんて思いました。個人的には、その考え方は「どうなんだろう」とギモン(BADな環境にある子にも「そこを選んで生まれてきた」と言わすのだろうか。んで、反抗期を迎えたとき「パパとママを選んで生まれた」は全員にとっても苦行じゃないのかと/苦笑)。

生きている限り「死」のイメージはつきまといます。初めて「ピンピンコロリ」という文言を読んだときギョッとしましたがw、今や新たに出版される健康指南本は「ピンピンコロリ」を目標にしているものばかりで、何も感じなくなりました。高齢社会、人生100年時代というのは、こうもあっけらかんと死を語る時代なんですね。

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メンタリストDaiGo『1分間の心理革命。』|洗脳もモノは使いよう?

こんにちは。あさよるです。メンタリストDaiGoさんのYouTubeライブを時々視聴するので、続けてDaiGoさんの本を手に取ってみました。ニコ生放送をなさってるそうですが、あさよるはめっきりニコ動にログインしなくなってしまっております(;’∀’)

メンタリストDaiGoさんは、メンタリズムという人間の心理学や、行動のクセを利用したライフハックをたくさん発信なさっておられます。読書家の方で、ライブ配信でも、背景に膨大な蔵書が収蔵された書庫を背景にお話されていて、良いですなあ~。あさよるもあんな書庫のような部屋が欲しいです(*´ω`*)

人生相談にメンタリストDaiGoさんの一問一答

本書『1分間の心理革命。』は、メンタリストDaiGoさんが相談者からの話を受ける人生相談形式の内容です。1つの質問につき、1分で読める程度の短い回答が用意されています。といっても、“たった1分=内容が薄い”わけではなくて、全く同じ状況でも、解釈が変えると見えるものが変わるような、面白い回答です。

本書は全4章で、「【第1章】1分で自分を変える。」「【第2章】1分で対人関係を変える。」「【第3章】1分で仕事&勉強を変える。」「【第4章】1分で恋愛を変える。」と、今ある現状から、別の状態へ「変わりたい」と望んでいる人の質問が集められています。

「変わりたい」あなたへ

本書『1分間の心理革命。』は「革命」とあるように、天と地がひっくり返るような、視点の入れ替えがたった1分で読める程度……ページにして4ページほどでなされています。「変わりたい」と望む人は、目から鱗が落ちたなら、あとは行動したい。だからサクっと1分で読めるのも嬉しいところ。

自分を変えるには

第一章は、自分を変えたいという悩みに答えます。「夢中になっていたSNSがだんだんストレスになってきた」という相談には、「いっそ○○がない生活」をしてみようという提案が。意外と、電話の電源を切っても、時計を見ない日があっても、全然大丈夫だったりする……というか、ここでは、生活にメリハリがつくことで生産性が上がったというDaiGoさんの体験談を添えて。それにしても、本書では

若者がSNSに費やす時間は1日に5、6時間ともいわれているそうですが、いくらでも新しい事に挑戦できる青春時代の、膨大な時間をSNSに費やすなんて本当に本当にもったいない!(p.12-13)

とあって、確かに1日5、6時間ってとんでもなく膨大な時間に唖然としました。た、確かに あさよるも、若い頃はそれくらいSNSやTwitterやってた時代もあるかも……。この時間を自分の意志の下有効に使うだけでも、簡単に「変われる」と思う……(;’∀’)

アガリ症の克服には、失敗しても恥ずかしくないと思えるくらい恥ずかしいことを自分でやろう!という逆転の発想w あさよるもアガリ症の気があるので、度胸試しで、顔から火が出るような恥ずかしいことを、やってみると良い!?

ダイエットの話題。痩せるためには「○月×日までにどの水着で誰と海へ行く」等、具体的に予定を先に決めてしまうと、否が応でも間に合わせなければならないので有効。あえて理想の体型のサイズの洋服を用意して、それを着れるようになることを目標にしても良い。

アンチエイジングや「神頼み」したくなるような恐怖との対峙方法などが解説されます。

対人関係を変えたい

第2章は対人との関係を「変えたい」お悩み。本音が顔に出やすい人は、それを隠す方法はあるの? という問いには、一瞬でも顔に出てしまうのは人間の特性であると説明し、「本音とは別リアクションをさっと出せるように訓練する」という提案がなされています。ナルホド。

メールが素っ気なさすぎると注意された人には、人の心をつかむ「人たらし」になる訓練としてメール術を究めるように指導なされています。ほら、いるじゃん、メールやLINEの返信が遅いのなんのって文句を言って、ますます返事がウザくなる言動をする人。あれの逆バージョンです。思わずもっと返事をしたくなるような、相手の懐にスッと入り込む「人たらし」になれるテクを、メールで得とくしましょう。

芸能人と友達になりたい相談者には、「芸能人と出会ってもファンだとか、サインや写真をねだらないように」と注意がw そうした瞬間から「芸能人とファン」という関係性になってしまい、願望である「友達」にはなれません。それの応用編として、「サービスを提供する人とお客様」という関係性を上手に作ることで、仕事を呼ぶこともできます。

美人の親友に嫉妬して、合コンに呼ばない自分の小ささがイヤになるという悩みには、「嫉妬心は自分と同じかやや上の相手にしか湧かない」と前置きしてから、「美人」以外の物差しを持てば、引け目もなくなると紹介されます。この相談者さんの場合は、合コンの幹事をする方らしく、人を集めて場をセッティングする能力に自信を持つよう励まされています。あと、もし超完璧な人がいたとしても、その人は人間関係では浮いてしまう存在。凸凹があるからこそ、みんなと上手くやれるのです。

仕事や勉強の仕方を変えたい

第3章は、仕事や勉強の成果を上げたい人へ。TODOリストを作っている人は多いでしょうが、TODOリストは「忙しいからできなくても仕方がない」とネガティブな言い訳に使ってしまうこともあります。まずはTODOの項目の数を減らしましょう。「やらない」と決めて、やめてしまうことも必要です。

毎週金曜に飲みに誘われる上司がウザいという人には、ウザ上司を自分の思いのままに動かして、チャンスにしようという、メンタリストらしい提案が。飲み会の翌日はお礼のメールを出すのですが、その内容は事実3割、願望7割という非常に自分の都合の良いものにしておくこと。上司も酔っていたなら、テキトーに事実をねつ造してもいいし、シラフだったなら「私はこう受け取りました」と無理くり事実をねじ曲げる(笑)。人間とは不思議なもので実際とは異なる記憶であっても、相手に誘導されると、それに合わせた記憶を作ってしまうのです。

多い日には1日に30冊もの本を読むというDaiGoさんへの、読書法の質問も。DaiGoさんによると

①同ジャンルの本を5~6冊読む
②7~11%必要情報を獲得する

p.125

とまとめられています。また、感情的に読書をすると記憶に残りやすく、絵を描いてみたり、著者に話しかけるように読むことも記憶には有効だそうです。

恋愛を変えたい

最後は恋愛についての質問。まず、ずっと気になる友人に告白したいという人には、告白は晴れた日にすべきと提案されます。なんでも、

まず基本的に、告白は晴れた日にするべきです。雨の日よりも、晴れの日の方が人間は説得されやすいという研究結果があります。これは、仕事の営業も同じで、雨の日は闇雲に動かず、晴れの日に向けた準備に充てるのが賢明です。逆に、晴れの日にお客さんに会わずデスクワークをするのはもったいない!

それから告白は、夜や、暗い場所で行うのがベター。心理学的に有名な暗闇効果の力を借りましょう。アメリカの心理学者ケネス・J・カーゲンが、明るい部屋と暗い部屋、それぞれに、恋愛関係にない男女ペアを入れて実験したところ、明るい部屋では2人が次第に離れていったのに対し、暗い部屋では、なんと寄り添い始めました

p.136-137

決戦は晴れた日の夜ということですな。まとめとしては、

①晴れた日に②暗い場所で③右耳に④紫をつけて⑤デートは2回セット(p.139)

だそうです。

で、デートはベタに夜景がきれいな場所が良いそう。その理由は9つもあって、かなり効果的。ざっくり言うと、①視覚が制限されると聴覚がよく働き口説き言葉が届きやすい。②暗がりで薄明かりをジーっと見ていると人は暗示にかかりやすい。③暗闇では瞳孔が開くが、恋をしても瞳孔が開く。人の脳は、恋したから瞳孔が開いているのか、暗いから開いているのか判断できない。④オレンジ色の光が多い夜景は、心を感情的にする。⑤夜景が見える高いところは“吊り橋効果”発動。⑥海辺の夜景スポットを狙え!嗅覚にも訴えかけるのだ。⑦行き先を伏せて夜景スポットへ連れ出すことで、どこに行くのか不安になった後に、美しい景色を見ることになり感動する。⑧恋愛映画のラブシーンでは肘をつつくなど、軽くボディータッチを。⑨明るく会話していたのに、夜景を前に寡黙になって、ギャップ萌え! ということで「夜景デート」ベタ中のベタですが、ベタになるだけ間違いないということですね。

夫婦円満のコツや、浮気防止、カマかけテクも紹介されます。

困難からチャンスへ変える

本書は、人のお悩みにDaiGoさんがメンタリストとしての回答を提示するものです。どのQ&Aにも共通しているのは、ネガティブで憂鬱な話題を、視点を変えることでポジティブで絶好のチャンスに変えてしまうということです。先に紹介した例の中では、毎週飲みに誘ってくるウザい上司を、自分の都合の良いようにコントロールしてしまおうという提案はまさに(笑)。だけど、そういう「話の持って生き方」が上手い人って居ますよね。ちゃっかり、自分の都合を相手に飲ませたり、自分の居心地のいい関係性を上手に作る人がいます。そういうテクを使ってたのか……。

また、恋愛編も面白い……。DaiGoさんの恋愛本は以前に読んでブログでも紹介したんですが、なかなか納得してしまうんですよね~。夜景はテッパンであることや、欲しいプレゼントをもらう方法とか、プレゼンとをより効果的に渡す方法とかね。実践的なんですよ。ちょっとした工夫と配慮だけで、同じ行為でも人の感じ方は変わるのだ。

あさよる的、メンタリストDaiGoさんの面白いところ

あさよるが考えるに、メンタリストDaiGoさんの話の面白いところは「真新しいことを言わない」というところだと思っています。すでに広く知れ渡っていて、それなりに裏付けもある話を展開していくからこそ、手堅く人の心を動かせるんじゃないかしら。

同じような主旨の本は『夢をかなえるゾウ』でしょう。これは、ゾウの頭をした商売繁盛の神様「ガネーシャ」が、ビジネス書に絶対書いてあるような「常識」を主人公に聞かせて、その通りに行動させ成功へ導く物語です。ガネーシャは神様ですが、DaiGoさんは「メンタリスト」と名乗ることで、話に注目させておられます。

天才や超人でなくても、知識の量と実践で、人の心って上手に動かせるというのは、多くの人にとって励みになるんじゃないだろうかと思います。

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『論理的思考力を鍛える33の思考実験』|割り切れない話を理解できる?

『論理的思考力を鍛える33の思考実験』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。ネットで時々「思考実験」という言葉を目にするんですが、イマイチ意味がわからないまま今に至りました。いわゆる「ネット論壇」とか「ツイ民」とかが使っているイメージ……というか「ネット論壇」も「ツイ民」もよくわかりませんがw

ということで、「思考実験」に関する本をいくつか読んでみようと見繕った、最初の本がこちら『論理的思考を鍛える33の思考実験』でした。まず、本書はあさよるの求めているものとは(たぶん)違う、脳トレ的な、答えが複数ある問題や、パズルゲームのような内容でした。結果、とても楽しい本だったのでラッキーです。

『論理的思考を鍛える33の思考実験』では、サンデル先生の白熱教室でも話題になった「暴走トロッコと作業員」の命題や、パラドクス、不思議な確率の話など、興味惹かれる話題が33収められています。とりあえず、頭からっぽにして、読んでみましょう。

思考実験とは

まず、「思考実験」とはなんでしょうか。

 思考実験とは、実験と聞いて最初に思い浮かぶ理科の実験のように、道具やそれを扱う場所を必要とする実験ではありません。ある特定の条件の下で考えを深め、頭の中で推論を重ねながら自分なりの結論を導き出していく、思考による実験です。

(中略)

実験室はあなたの頭の中、実験道具はあなたの倫理観や今まで積み上げてきた知識や倫理的思考力、集中力や想像力といったところでしょうか。

p.2

何もなくても、知識や倫理、思考力で実験ができるというのは、言うのは簡単ですが、難しそうな話ですね。また、この思考実験は、ビジネスの場でも役立ちます。推論や多角的に物事を見つめ、結論を出すためには、論理的思考が試されます。

本書の著者・北村良子さんはパズル作家として、日々思考実験を重ねておられる方です。本書も、思考実験をしながら、脳を鍛えるゲーム「脳トレ」的に楽しみましょう。

思考実験にチャレンジ

本書で取り上げられる思考実験は全部で33。これら大雑把に4つに分けられています。一つ目は、答えのない倫理に関する問い。二つ目は矛盾やジレンマの話。三つ目は、感覚的には信じがたい確率の話。四つ目は不条理なお話。

ページをめくりながら一緒に考えられるよう、思考のポイントや考え方もまとめられています。また、賛成/反対意見とその理由も、公平に語られています。

答えのない問題に耐えられるか!?

小学校の問題のように、予め答えが用意されている問題ばかりではありません。そもそも答えなんて存在しない問いもあります。答えがない、だけど考えなけれなならない、このストレスにあなたは耐えられるでしょうか。

まずは、「暴走トロッコと作業員」の思考実験から始まります。これはサンデル教授の「ハーバード白熱教室」で有名になった思考実験です。暴走して止まらないトロッコの行き先に、5人の作業員がいて、このままでは5人全員が死んでしまいます。あなたは手元のハンドルでレールを切り替えることができるのですが、切り替えたレールの先には1人の作業員がいます。このまま放置すれば5人の作業員が、あなたが線路を切り替えれば5人は助かり1人の作業員が死にます。さて、あなたはどうしますか?

多くの人は、5人を助けるなら1人を犠牲にするのは仕方がないと答えるそうです。一方で、5人はトロッコに轢かれる運命だから自分は関与しないと答える人もいます。どちらが正しいわけでもなく、答えもない問いです。

同じような問いでも、条件が変わると答えが変わります。「暴走トロッコと作業員」の別バージョン。あなたは線路の上にかかる歩道橋の上に居ます。そこへ、暴走トロッコが走ってくるのが見えました。レールの先には5人の作業員がおり、このままでは5人全員が死んでしまいます。ふと、横を見ると、でっぷりと太り、重い荷物を背負った男性がいます。この男性を歩道橋の上から突き落とせば、トロッコが止まり、5人の作業員は助かります。さて、あなたはどうする。

これも、先ほどの「5人の命を助けるために1人の命を失っても仕方がない」と同じ話なのですが、多くの人は太った男性を突き落とさないと答えます。同じ状況下ですが、少し状況が変わっただけで答えが変わるのです。

このような「正しい答えはない」問いが8つ収録されています。

矛盾……

パラドックスのお話。有名なのは「アキレスと亀」のパラドックス。俊足のアキレスと、鈍足の亀が徒競走をします。アキレスは亀より足が速いのでハンディキャップとして亀より後にスタートします。

 スタート時、亀がいた場所をA地点とすると、アキレスがA地点にたどり着いたとき、亀は少し前のB地点にいます。次に、アキレスがB地点にたどり着いたとき、亀はさらに少しだけ前のC地点にいることは確実です。次にアキレスがC地点にたどり着いたときはどうでしょう。亀は少し前のD地点にいます。その次にアキレスがD地点にたどり着いたときはどうでしょうか。もちろん亀は少し前のE地点にいます。
これは永遠に続きます。つまり、アキレスは決して亀に追いつくことはできません。アキレスはいくら頑張っても、少し前に亀がいた地点に追いつくだけなのですから。

p.77

さて、ではどうしてアキレスは亀に追いつけないのでしょうか。まずは自分で考えてみてくださいね。

本書では以下のような説明がなされています。

 アキレスが亀に追いつけないのは、アキレスが亀に追いつくまでのアキレスと亀の関係を延々と細かく説明しているからです。

(中略)

つまり、アキレスが亀に追いつく瞬間が訪れる以前のシーンを細かく細かく考えているだけに過ぎないのです。
確かに、アキレスが亀を追いかけている状態であれば、どのシーンでもアキレスより亀が前にいますよね。
いくら俊足で知られるアキレスでも、亀に追いつく以前のシーンを延々と分解して検証されたのではたまったものではありません。追いつく以前に追いついているわけでがありませんから。

p.80-81

……納得できましたか? あさよるはイマイチ釈然としないままなんですがw 詳しい答えは他の本を当たってみてみましょう……。

釈然としない答え

3つ目は、確率のお話。数学的には正解なんだけど、感覚的には納得いかない!という話。

ルーレットで赤か黒かを当てるギャンブルで、7回連続赤が出ました。ギャンブラーは、もう7回連続で赤だから、次は黒だろうと黒に賭けましたが、結果は赤。8回連続で赤だから、次こそは黒だろうと黒に賭けますが、またもや赤が出ました。9回連続で赤だなんて、これは奇跡だ。だけど、こんな奇跡が続くわけない。だから、次は黒の方が出る確率が高いのではないかと考えました。さて、10回目で黒が出る確率は、赤よりも高い?

図に書くとこんな感じ

 1回目
 2回目
 3回目
 4回目
 5回目
 6回目
 7回目
 8回目
 9回目
○ 10回目は?

答えはもちろん1/2です。しかし、10回連続で赤が出るというのは、確かに奇跡のように感じます。10回連続赤の確率は1/1024だそうです。しかししかし、年がら年中ギャンブルが行われるカジノでは、1/1024なんて珍しくもないでしょう。わたしたちは、感覚的な確率と、実際の確立が違ってしまうことが多々あるのです。

ちなみに、ランダムに赤か黒が出るとき、どちらが珍しいと思いますか?

1回目
2回目
3回目
4回目
5回目
6回目
7回目
8回目
9回目
10回目

左の方がランダムな気がしますよね。だけど、どちらも確率は1/1024で同じです。なのに、左は普通の現象に見え、右は「奇跡」のように感じてしまうのです。

トランプゲームや、クジでも同じような心理状態が働きます。なんとなく、「こっちの方がすごそう」「こっちがよさそう」とわたちたちは思い込んでしまうのです。こういうところで負けちゃうのね~

不条理

最後は不条理な話。「来週抜き打ちテストがあります」と先生が宣言しました。そこであなたは考えます。

「もし、金曜日に抜き打ちテストがあった場合、木曜までにテストがなければ自動的にテストは金曜と決定する。これだと〈抜き打ち〉にならないから、金曜にはテストがないはずだ」

「すると、水曜までにテストがなかった場合、自動的にテストは木曜ということになる。これでは〈抜き打ち〉にはなならない。ということは、木曜にはテストはないはずだ」

「ということは、テストは水曜までということになるが、火曜にテストがなかった場合、自動的にテストは水曜と決まってしまう。これでは〈抜き打ち〉にならない。よって水曜にテストはないだろう」

「いやまてよ。テストが水曜にないということは、月曜か火曜にテストがあるわけだけど、月曜にテストがなかった場合、自動的に火曜日がテストになる。これじゃあ〈抜き打ち〉にならないから、火曜にはテストはないだろう」

「したがって、テストがあるなら月曜しかないわけだけど、これだと〈抜き打ち〉とは言えない。だから、月曜にテストはない」

「……ということは、来週抜き打ちテストはない!」

そう結論付けたあなたは、もちろんテスト勉強などせず登校しましたが、もちろん先生の言う通りある日抜き打ちテストが行われ、結果惨敗。なぜ!?

面白い話なので、長文になってしまいましたw 実際に〈抜き打ちテスト〉が行われたとき、あなたはとても驚くでしょう。だって「抜き打ちテストはない」はずなのに! ということで、結果的に先生の言う通り〈抜き打ち〉でテストがなされたと言えますw

パズルを解くように

『論理的思考力を鍛える33の思考実験』挿絵イラスト

本書は〈思考実験〉と難しそうな言葉が使われていますが、実際に読んでみると、まるでパズルを解くかのような感じです。よい回答を自分で考えられたり、当たったときは気持ちよいですし。

軽く脳トレしつつ、古代からあるパラドクスや、有名な思考実験の問題に触れながら、楽しく読み進められるので、非常にとっつきやすい本でした。あさよるも読みはじめる前は「難しかったらどうしよう」と身構えていましたが、面白い本でした。

倫理の話はよく話題に上るものですが、あさよるが興味惹かれたのは確率の話。確かに、中学高校で習った問題のハズですが、ちっとも思い出せない! それに、日常生活でも役立ちそうなのも確率の話です。こういう風にわたしたちは勘違いをして、ダマされるor賭けに負けるのか~ と、他人事ではありませんw

ブログで紹介した例は少しですが、本書『論理的思考を鍛える33の思考実験』は、33もの脳トレ的問題が詰まっています。サクっと、気分転換にどうぞ!

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『死ぬほど読書』|読書はしないといけないの?

こんにちは。いつの間にか読書ブログをはじめていた あさよるです。当初はもっと雑多な話題を扱おうと思ってたのですが、すっかり本の話題のみにw ということで、やはり「本」や「読書」を扱う本が気になります。読書ブログが読書本の感想を書くという、ややこしい入れ子構造でございます。

本書『死ぬまで読書』の著者は元伊藤忠商事社長の丹羽宇一郎さんが、朝日新聞の投書に寄せられた読書に関する大学生の声に答えます。

なんのために本を読むの?

本書はこんな問いから始まります。

「読書はしないといけないの?」

これは、2017年3月8日の朝日新聞に掲載された大学生の投書です。大学生の読書時間が減っているという話題を受けて、読書が教養や新しい価値観に触れるなどの有用性を認めながらも、「だからと言って本を読まないのは良くないと言えるのかどうか」と問いかけけています。曰く、投稿者は読書習慣がなかったけれども大学受験で苦労したくらいで、大学生になってからは一般教養として書籍を読んでいるが、「糧になる」とは感じないそうです。それよりも、バイトや大学の勉強の方が大事だし、読書は趣味の範囲だろうと考えています。

本書『死ぬほど読書』は、この大学生の問へのアンサーです。なぜ本を読むのでしょうか。序章である「はじめに」にて、本を読む意味が端的に示されています。

 人は自由という価値観を求めて、長い間、闘ってきました。努力し、工夫し、発明して進歩してきた果てに、いまの自由な社会はあります。
それは人類史上、かつてないほど自由度の高い環境といっていいかもしれません。
しかし、「何でもあり」の世界は一見自由なようですが、自分の軸がなければ、じつはとても不自由です。それは前へ進むための羅針盤や地図がないのと同じだからです。それらがなければ、限られた狭いなかでしか動けません。
では、自分の軸を持つにはどうすればいいか?
それには本当の「知」を鍛えるしかありません。読書はそんな力を、この上もなくもたらしてくれるはずです。
すなわち、読書はあなたをまがいものではない、真に自由な世界へと導いてくれるものなのです。

p.7

本書でも、不要だと思うなら読まなくていいんじゃないと言いながらも、読書の楽しみや面白さを知ってしまうとやめられないと、読書がもたらす効用について広がってゆくのです。

読書好きなら語りたくなる!

この「読書はしないといけないの?」という問いに、みなさんはなんと答えますか? まずなにから話始めましょうか。本書では、まずは情報が溢れかえった現在、情報の取捨選択を自らがしなければなりません。事実として玉石混淆の中から、自分が必要な情報を探し出す能力が求められています。そのために兎に角も必要なのは「知識」であり、それを手っ取り早く身に着けられるのは「読書」です。

先の朝日新聞投稿欄の大学生は、自身の学業や将来の職業に必要な知識だけを身に着けようとしているんです。しかし、実際には毎日届くメールや、ヒットしたキュレーションサイトの記事や、SNSで飛び交う情報に私たちは晒されていて、怒涛の情報を一気に処理し続けねばなりません。「職業に必要な知識だけ」では足りないのです。

また、読書論は死生観にまで及びます。どう生きて、いずれ訪れる死とどう向き合うのか。必ず訪れるその瞬間を考えるとき、先人たちが残した記録に触れることができるのです。

読書好きなら語りたくなる!

本書『死ぬほど読書』では、読書の有用性をとことん説きまくる戦法で、読書の必要を主張します。さて、みなさんならどんな切り口で「読書はしないといけないの?」という質問に答えますか?

「読まなくてもいいよ」というのも答えの一つです。読書が必要だと感じた時があれば、その時に本を読めばいいのです。あるいは、「好奇心を満たすため」の欲望渦巻く読書の世界を紹介したい人もいるでしょう。いいや、もっと内省的で自分よがりな読書があってもいいはずです。逆に、表現のための読書もあるだろうし、見栄やカッコつけの読書だって悪くはありません。

読書好きが集まると、読書談義になることがありますが、あれ、盛り上がるんですよね。メンバーによっては終始お互いに納得しまくりなこともあれば、自分と違う読書論を展開する人に感嘆したり、ヒートアップしちゃったりと、なかなか楽しい。本書もそんな、読書好きの心をくすぐる内容です。

読書家へ読書家のメッセージ

本書『死ぬほど読書』は、既に読書習慣があり、まとまった冊数を常に読んでいる人に向けて、読書家が読書論を展開する内容です。残念ながら、冒頭の「読書はしないといけないの?」と考えている人には届かない類の本であると思います。さらに、内輪で盛り上がるだでなく、読書の良さを知っている人は、やはり読書習慣の必要性を広めるべきなのでしょうか。

本書は単に、読書習慣のある人が、そうでない人へのマウンティングのための道具になってはいけません。冒頭の大学生の意見に耳を傾け考える必要があります。なぜなら、「考える」ための道具としての読書でもあるのですから。

てっきり読み始めは、軽く「イマドキのワカモノ」をディスりつつ「やっぱり昔ながらの読書よね~」なんて話になるのかと思いきや、結構「読書の効果」を考えさせられます。そして、「はたして自分は読書の効果を得ているのだろうか?」と不安にさえなりました。

関連本

『読書力』/齋藤孝

『王様の勉強法』/荒俣宏,中谷彰宏

『ちっちゃな科学』/かこさとし,福岡伸一

『読書をお金に換える技術』/千田琢哉

『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』

『キミが勉強する理由』/藤原和博

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『アイデア大全』|アイデアを生む知識の海へ

こんにちは。毎朝寒さに縮こまっている あさよるです。ページをめくる手も震えてしまうので、元気が出るような本を選んでみました。『アイデア大全』はブロガーの読書猿さんの著書で、見た目も黄色く、中のページも黄色いパワーを感じる本です。イラストや図解もたくさんあって、見てるだけで楽しい。

本を読むって「役に立つ」「勉強になる」よりも、もっとずっと「ワクワクする!」「好奇心刺激される!」って衝動が大事だと思うのですよ。『アイデア大全』はワクワクするし「もっと本が読みたい」と素直に思わされる本でした。

アイデア発想法のすべて

本書『アイデア大全』は、新しい考えを生み出すための発想法が網羅された本です。アイデアが必要なときって「これまでのやり方だとダメ」時ですから、本書はジャンルを超えて教養が深まるような内容になっています。ページをめくっているだけでも、これまでの自分の発想には上らなかった事柄に出会えます。

一つのアイデア発想法につき、アイデアの作り方のレシピ、例、レビューと構成されています。

また、ビジネス書や自己啓発書なんかを読んでいますと、いろんな発想法が紹介されていますが、「ほんまかいな」と眉唾してしまうことがあります。それは、バックボーンがきちんと触れられていなかったり、出典が記されてない故に頼りないんですよね。本書では、きっちりと出典やアイデア法が誕生した経緯も記されており「あの本で読んだアレはコレが元ネタだったんだ」と非常にスッキリする読書でした。

また、アイデアの出し方が分類されているのも、これまで見たことなかったカモ。

  • 自分に尋ねる
  • 偶然を読む
  • 問題を察知する
  • 問題を分析する
  • 課程を疑う
  • 視点を変える
  • 組み合わせる
  • 矛盾から考える
  • アナロジーで考える
  • パラフレーズする
  • 待ち受ける

まずは手に取る辞書的存在

本書『アイデア大全』はアイデア発想法を網羅的に扱ったものですから、一つ一つのアイデアの出し方をもっと知りたいなら、それぞれの専門書へと進みましょう。本書『アイデア大全』って、「もっと知りたい」「もっと読みたい」を刺激する本なんです。エッセンスやフックが散りばめられていているんです。本書を読んでアイデアを練るだけでなく、本書そのものが話のネタや教養・雑学になりうつのも面白い。

アイデア発想法が分類されて並んでいるので、「困ったときは『アイデア大全』」的位置づけでしょうか。kindle版で常にスマホで読める状態にしておくか、紙の本を机に並べておくか……悩ましい。

イラストや図解もたくさんあるし、ユーモアも盛り込まれていて、普段本を読まない人も手に取りやすいんじゃなかろうか。

アイデア史年表が楽しい

巻末に収録されている「アイデア史年表」も楽しい。人類のアイデアの軌跡なのだ。悠久の時の中で今に伝わる「考え方」「発想」ってのはスゴイよね。同じこと思いついた人はもっと後にも先にもいたんだろうけど、「残った」「残した」ってことも。

んで、このアイデア史は、あらゆるジャンルの古今東西の話題が盛り込まれてるんだけど、これだけ自分で調べ上げるのって……このアイデア史年表にあることだけでも、一つずつ「知りたい」のだ。

細かいとこまで好奇心刺激される本でした。

関連本

『パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史』/アダム・ハート=デイヴィス

『哲学用語図鑑』/田中正人

『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』/デビッド・アレン

『世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく』/渡辺健介

『IDEA HACKS!』/原尻淳一,小山龍介

『夢をかなえるゾウ』/水野敬也

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『哲学の使い方』|街角で、哲学をつかおう

こんにちは。あさよるです。以前、鷲田清一さんの『てつがくを着てまちを歩こう』を読み、それまでよくわからんかった「ファション」について興味を持つきかっけになりました。そして、被服をまとうことについて「哲学」するというのも、好奇心かきたてられました。

今回手に取った『哲学の使い方』でも、布を体にまとうように、「哲学」を身近に、肌感覚のあるものであるし、そうあるべきものだと書かれており、興奮冷めやらぬ読了となりました。

「自分らしさ」ってなんだろう?『てつがくを着てまちを歩こう』

〈ガクモン〉から使える哲学へ

本書のタイトル『哲学の使い方』とは、現在「哲学」と言えば大学の限られた学問としてのものであり、西洋哲学を並べて触れること指す状況への提言です。哲学とは、子どもでも年寄りでも、誰にとっても「使う」ものであるし、身近なモンダイを哲学してもいい。

哲学は「である調」の書物に書されるようになったのは最近で、古くは対話形式であったり、エッセイとして書かれたり、詩であったりもしました。だから現代の我々だって、「である調」の哲学をする必要はありません。

本書では一例として〈哲学カフェ〉が挙げられていました。街角で、普通の人たちが集まってテーマについて哲学する。年齢も職業もさまざま。孫くらい年の離れた人と対等に論議する。哲学専攻の学生なんかが進行役をするそうですが、交通整理と最後のまとめをする程度で、特に混乱もなく進むそうです。

哲学カフェについて知ると、ふしぎなことに気づきます。とうして実生活では孫ほど年の離れた人と論議にならないのだろう。どうして友達は同年代に限られているんだろう。どうして「知っていること」を改めて考えることがなかったんだろう。

日本では「哲学」は大学で、やっと触れるものですが、ヨーロッパでは子どもの内から学校で哲学の問いがなされるそうです。さらに日本では、日本の哲学と、西洋哲学の二階建てで、多くは〈西洋哲学の本を読む〉ことが「哲学」な感じがしています。我々は、もっと「哲学」してもいいのかもしれない!

哲学の使い方、入門

本書『哲学の使い方』は、きっと高校生くらいなら読めるはず。ちょっと背伸びした読書が楽しめると思います。

哲学ってムズカシイ、取っつきにくいものじゃなく、身の回りにあるものです。冒頭に紹介した「服を着る」ことや、ポスターのキャッチコピーにだって哲学できます。ソクラテスは街角で対話をすることで哲学をしました。あなたの近くでも、今日も哲学カフェが催されてるかも。一度覗いてみるのも面白いかも。

もちろん、大人が読んでも結構読み応えあります(;’∀’) 哲学勉強された方はどうかわかりませんが、あさよるは結構、読むだけでいっぱいいっぱいでしたよ。しかーし、鷲田清一さんの文体はやわらかで読みやすいのです。

あさよるネットで紹介した哲学の本

『哲学用語図鑑』/田中正人

『哲学用語図鑑』|ド忘れ&知ったかぶりから卒業!

『はじめての哲学』/石井郁男

『はじめての哲学』|西洋哲学の偉人くらい、知ってるよね?

『西洋哲学の10冊』/中川純男,杉山直樹,石川文康,村山達也,竹内綱史,関口浩,小島和男

『西洋哲学の10冊』を読んだよ

『ハーバードの人生が変わる東洋哲学──悩めるエリートを熱狂させた超人気講義』/マイケル・ピュエット,クリスティーン・グロス=ロー

『哲学用語図鑑』|ド忘れ&知ったかぶりから卒業!

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『チーズはどこへ消えた?』|冒険を楽しめ!パッと読んで燃える!

こんにちは。チーズを食べたいあさよるです。まさかそんな理由でこの本を選ぶなんて……というのは、結構ホントです。本書『チーズはどこへ消えた?』は1998年にアメリカで出版され大ベストセラーに。日本では2000年に訳書が出版されこちらもベストセラーになりました。あさよるも出版当時、本書を読まされた記憶がありますw

その時はイマイチ何が言いたいのか分からず、どう読んでいいのかさえピンとこず、持て余してしまったのを覚えています。今読むと、コンパクトでサクッと一気に読み切ることができ、メラメラッと力が湧いてくるよくできた本だなぁなんて思いました。ちょっと気分転換したいとき、パーッと発散したいときなんかにどうぞ。

小人とネズミの迷路でのお話

あらすじ

『チーズはどこへ消えた?』はこんなお話です。

ある日のシカゴに、かつてのクラスメイトが集まりました。それぞれ違った進路を歩んでいますが、それぞれが思いがけない変化に直面し、どう対処しようかと案じていました。中の一人が言います。

「ちょっと面白い物語を聞いて、すべてが変わったんだ」(p.14)

それは、ネズミのスニッフとカリーと、小人のヘムとホーの物語でした。

2匹と2人の物語

2匹と2人は迷路の中に住んでいます。迷路のところどころには様々なチーズが隠されています。彼らはチーズを見つけるべく、迷路内を散策し、チーズルームにたどり着きました。しかし、しばらくするとチーズを食べつくしてしまいます。ネズミたちは再び迷路へ飛び出しました。しかし小人たちは、チーズはどこへ消えた?と話し合い、しばらくそのまま待ち続けます。ある日、小人のホーは意を決してチーズルームから出てゆきました。ヘムを説得しましたが、彼はチーズルームに残ると言って聞きません。

ホーは迷路の中で少しのチーズのかけらを手に入れ、ヘムにチーズを見せ再度説得を試みますが「ここにあった“古いチーズ”が食べたい」と言って応じません。仕方なくホーは一人迷路を歩き回り、ついにこれまでに見たことのないチーズルームを発見します。

変化を拒み切り捨てらる運命

場面は元のシカゴのクラスメイトたちの談話に戻ります。彼らは立場はそれぞれ違っていても、変化に直面していました。変化を拒み、取り残され切り捨てられる人たちを見てきました。変化を嫌い、みんなの足を引っ張る人もいます。自らの経験を話し合うことで、新しいチーズを追い求めるビジョンを共有し合ったようです。

「チーズ」とは、「迷路」とは

本書で語られる「チーズ」や「迷路」とは、どんな意味合いがあるのでしょうか。

「チーズ」とは、私たちが人生で求めるもの、つまり、仕事、家族、財産、健康、精神安定……等々の象徴。

「迷路」とは、チーズを追い求める場所、つまり、会社、地域社会、家族……等々の象徴です。

この一見シンプルな物語には、状況の急激な変化にいかに対応すべきかを説く、深い内容がこめられているのです。

カバー

我々は「チーズ」すなわち仕事、家族、財産、健康、精神安定等々を追い求めています。それを実現するために会社、地域社会、家族等々という名前の「迷路」をさ迷っているのです。

かつて仕事があっても、そのうちなくなってしまうかもしれない。そのとき「チーズ(仕事)はどこへいった?」と、状況を把握せず行動を恐れて立ち止まっていてはいけないのです。家族も、健康も、精神安定も、そのうちなくなってしまうかもしれない。その時、行動しなくては。いえいえ、すでに「いつかなくなる」と分かっているのです。事前に行動し始めなければ。

変化しないといけない

一人、迷路に踏み出した小人のヘムは、恐怖と不安のチーズを探している内に、どんどんと考えが変わってゆきます。最初、チーズが返ってくるかもしれない、チーズがないのはおかしいと同じ部屋に居座り続けました。しかし、チーズもないのに行動しないのは安全ではなく、早く行動した方がいいと気づきます。そしてその考えを壁に書きつけました。

変化は起きる
チーズはつねにもっていかれ、消える

変化を予期せよ
チーズが消えることに備えよ

変化を察知せよ
つねにチーズの匂いをかいでいれば、古くなったのに気がつく

変化にすばやく適応せよ
古いチーズを早くあきらめればそれだけ早く新しいチーズを楽しむことができる

変わろう
チーズと一緒に前進しよう

変化を楽しもう!
冒険を十分に味わい、新しいチーズの味を楽しもう

進んですばやく変わり再びそれを楽しもう
チーズはつねにもっていかれる

p.68

〈変化する〉ことは恐ろしく忌々しい事柄だったのに、いつの間にか〈変化するから冒険ができる〉と、変化への考えがガラリと変わっています。そっか、変わってゆくってワクワクすることでした。いつの間にか、変わってしまうことが煩わしく、恐ろしく、避けるべき事だと思っていたのでしょうか。

今ある「チーズ」……すなわち仕事、家族、財産、健康、精神安定などなどは、いつかなくなってしまうものです。常にチーズを得続けるべく、冒険し続けないといけません。

なんか久々に読んで、以前よりかは著者が「何を言いたいのか」が分かった気がしますw これも変化ですかね。

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『高校生のための評論文キーワード100』|大人も理解しておきたい用語100!

こんにちは。ブログを書き始めてから、自分の文章力の低さを痛感し、慌てて文章を書くための本などを読み始めました。本書『高校生のための評論文キーワード100』も、高校生向けの新書ということで、初心者の あさよるも読んでおいて損はないだろうと、手に取りました。

評論文を読み解くために理解しておきたい用語100が紹介されており、高校の授業や大学受験のみならず、社会人ならこれくらいのボキャブラリーは欲しいなぁと思える内容で、汎用性も高いと感じました。ブログを書くにも役立ちそうです(^^♪

評論文の読解のために

本書『高校生のための評論文キーワード100』は、高校生が評論文を読み解くために必要な100の用語が収録されています。授業で必要だったり、大学入試に必要な評論文読解のためのものです。本書は、用語の説明が主で、まずは知っておかねば理解しにくい用語を押さえておこうという趣旨。

哲学用語が多いので、西洋哲学や西洋思想を押さえながらの説明が繰り返され「急がば回れ」的網羅の仕方だと紹介されています。

一つの用語につき見開き1ページで説明がなされ、【ポイント】【切り口】【展開】と三つの項目に分けて解説がなされます。【ポイント】はざっくりとした用語の説明、【切り口】では用語がどのような文脈で使われるのかを知ります。【展開】は、その用語が、ほかにどんな分野で使われているのか、どんな発展性があるのか見ます。

巻末には知っておきたい哲学者のプロフィールも簡単にまとめられています。

授業のため、受験のためはもちろんのこと、社会人になっても「これくらい知っておきたい」用語や用法ばかりで、汎用性の高い内容です。

辞書のように索引から引けるのもポイント。

丸暗記してもいいかも……

賢明なる高校生諸君なら、本書の内容は丸暗記してしまっても良いでしょう。それくらい、普段の会話や雑談の中で使われる言葉から、読書をするのに押さえておきたい用語ばかりです。意外と、「耳で聞いたことある」「知った気になっている」けれども、実は意味を知らない単語というのがザクザクあるもので、間違った意味で言葉を使っているばっかりに人とコミュニケーションが上手く取れないこともあります。はい、あさよるのことですw

「高校生諸君は~」なんて書きましたが、はい、本当は大人だってこれくらい丸っと頭に入っていてイイ加減なのかもしれません>< あさよるも、しばらくは本書を手もとに置いておきたいなぁと思いました。

辞書のように使えると紹介しましたが、辞書よりもずっと詳しく説明がなされています。読書として読み解いていっても楽しい内容です。高校生向けとあって、親近感わく文体で楽しい。

ブログ書くにも最適w

あさよるは(ほぼ)毎日ブログを書いている人ですので、「これはブログ書くのに必要な語彙力だな~」と感じ入りました。実際には平易な言葉を使うようにしていますが、それでも「読み解く」「思案する」って過程ではボキャブラリーがモノを言うんじゃなかろうかと。

どんな用語が紹介されているかについては、この記事の後半の目次情報をご参照くださいv

あと、言葉って用法容量を守って使用すれば、とても有益なものですが、下手をすると痛い目を見るものでもありますw たまにはちゃんと勉強しなきゃと思いました(;’∀’)

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『真夜中のディズニーで考えた働く幸せ』|情熱をカタチにするってコト

こんにちは。子どもの頃なりたかった職業は「ケーキ屋さん」のあさよるです。理由は……なんとなく。〈将来の夢〉が明確にある人がずっと羨ましい人生でした。今でも「楽しいことしたい」と、ゆるく夢見ています。

さて、今回は〈仕事〉と〈熱意〉を考える本に出会いました。働くってなんだろう?ってこと。そして、熱意を持って取り組むパワー。

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