岡田斗司夫

『あなたを天才にするスマートノート』|手取り足取りノート術

『あなたを天才にするスマートノート』挿絵イラスト

こんにちは。5行日記を書いている あさよるです。今日の出来事5行と、体温、起床/就寝時間、明日の予定をノートに毎日書きだします。振り返りと明日の段取りをメモすることで、安心して頭の中を空っぽにしてお布団に入れます。この5行日記の習慣はなんとなく10代の頃からあったのですが、岡田斗司夫さんの『あなたを天才にするスマートノート』を読んで、意識し始めた気がします。

また、ノートの見開きの右ページに頭の中にある発想を書く。反対の左ページには、右ページを反映させて、図解や要点のまとめ、面白いことなど、ノートの上で展開してゆきます。この〈スマートノート〉の左ページと右ページを使い分けるやり方も、しばらく実践していました(その内、オリジナルな使い方に変化していってしまいましたが……)

久々に『あなたを天才にするスマートノート』を読み返して、〈スマートノート〉の趣旨を再確認し、本書内で述べられているように「確かに、他のノート術とは違うなあ」と思う。何が違うって、「オモロイ人」になるためのノート術なのだ!

「面白い人」になるためのノート術

そう、本書『あなたを天才にするスマートノート』は、仕事の能率化とか、ライフログとか、体調管理とか、そんなノート術ではないのです。ズバリ!「面白い人」になるためのノート術なのです。ここでは〈面白い人〉が〈天才〉とされています。そして〈天才〉とは、以下のように定義付けられています。

  • 発想力
  • 表現力
  • 論理力

この3つの要素をすべて持っている人=天才

一つでも欠けては「天才」とは呼べません。2つを持っている人は著名人にたくさんいます。しかし、3つとも持っている人は滅多にいない。まさに「天才」です。

そして、「発想力」「表現力」「論理力」を持ち合わせている人物は、それは魅力的な人物に決まっています。魅力あふれる、面白みの溢れる人物に近づくためのツールとしての〈スマートノート〉なのです。

※本書内では〈面白い〉という言葉が「interesting」と「fun」の両方の意味で使われ混在していますが、このブログエントリーでは〈面白い〉を「interesting」の意味で使います。

『あなたを天才にするスマートノート』挿絵イラスト

ネタ帳としてのノート術

本書『あなたを天才にするスマートノート』で推奨されるノートの使い方はさながら「ネタ帳」です。岡田斗司夫さんは本書出版当時は大学で客員教授をなさっておられ、さらにニコ生放送でもご活躍です。毎度、聴衆を惹きつける「ネタ帳」として、ノートが使われています。

自分が「面白い」「気になる」「気がかり」な物事をノートの見開き右側のページに書き出します。一旦、頭の中のモヤモヤをノートに「見える化」し、そしてノートの左側のページで、ノート上で考えを展開してゆくのです。

ノートでネタを繰れ!

ノート上にキャラクターを設定し、キャラに会話させて発想を膨らましてゆく方法も紹介されていて、まるでノートを使って一人でネタを繰っているようです。実際、岡田斗司夫さんは人の前でお話をするお仕事をされているので、岡田さん流の「ネタの繰り方」なのでしょう。これ、師匠から弟子へ伝授される〈秘伝〉的な方法を、公開されてるって解釈でおk?

面白いのは、客観的な情報でさえも、ノートに書きだし、自分流に展開してゆくことです。客観を主体化してゆくと言いますか。自分が師匠に選んだ人のメルマガを〈写経〉したり、気になったことを書き出し、自分流に〈解釈〉してゆく過程がノートの左右のページでパッと見てわかるんですね。

「お金」ではなく「幸せ」を

さて、そもそもどうして 天才=〈面白い人〉を目指すのか。それは「より幸せに生きる」ための活動です。一般的なノート術の本では、仕事の能率化のものが主で、ビジネスに役立て、報酬を上げるような〈実用的な〉ノート術が一般的です。

しかし、本書『あなたを天才にするスマートノート』は、さながら「エンタメのためのノート術」と言っても良いでしょう。お金で換算される価値ではなく、お金を超える「エンタメ」あるいは「コンテンツ」としてのノート術なのです。まさに「オタキングのノート術」って感じです。

オタク的趣味のある方、エンタメ愛好家は、ビジネスのためのノート術が使いにくいなら「オタキングのノート術」を試してみても良いかもしれません。

ノート術得とくまでの7段階

本書『あなたを天才にするスマートノート』は読者に「ノートやメモを取る習慣のない人」を想定しています。ですから、最初からノート術の核心に触れるのではなく、徐々に少しずつ「ノートを取る習慣を身につける訓練」から始まります。これは、岡田斗司夫さんのレコーディングダイエットを流行させた大ヒット作『いつまでもデブと思うなよ』でも、徐々にハードルを上げてゆく方法が踏襲されています。

ノート術を会得するまでのステップは7つに分けられ、以下のような内容です。

  1. 5行日記をつける
  2. 行動採点する
  3. 論理訓練を始める
  4. 他人に見せて話をする
  5. 脳内リンクが生成される
  6. 知識から教養、見識へ
  7. 世に出る

次の見出しで、以上の7段階を簡単に説明します。

スマートノート術を体得する7段階

5行日記をつける

まずは第一段階。大学ノートとボールペンを入手し、「毎日ノートをつける」という習慣付けを行います。難しいことは考えず、今日一日あったことを5つ、ノートに書くだけです。ウソは書きません。で、書いたら忘れましょう。大丈夫、ノートに書いてあるから忘れても平気なのです。

行動採点する

毎日5行日記を書く習慣がついたなら、次のステップへ。5行日記に、0~5点までの点数をつけ採点しましょう。これは「0か100か」の思考から脱却するためです。世の中には、0と100の間のものがたくさんあります。思考停止せず、きちんと自分の尺度で、自分の言葉で評価する能力を身につけましょう。

論理訓練を始める

第3段階から、一気にレベルが上がります。ノートの見開き2ページを丸々使って、ダイナミックに思考する訓練が始まるのです。と、難しいことを考えてもしんどいだけなので、まずは「1日2ページ書く」という認識でOK。ノートの右ページにいつもと同じように5行日記を書くことから始めましょう。すると、あとの余白が気になり始め、ノートの大きさに合わせ思考も大きく広がってゆきます。

ちなみに〈スマートノート〉術では、ノートは用途別に分けずに、1冊のノートにすべての情報を集約します。

他人に見せて話をする

頭の中の考えがノートに「見える化」され、さらにオリジナルな思考が展開するようになったら、いよいよノートに書き連ねた内容を他人に話をして聞かせましょう。ここで、ノートが別の使われ方をします。そう、ノートをホワイトボード代わりに「ノートに書きながら話す」というワザを繰り出しましょう。ノートの中に、他者の存在が入り込んでくるんです。胸熱。

脳内リンクが生成される

この段階まで来ると、同じことを何度もノートに書いたり、何度も同じことを考えたりしており、ある時ふと「わかった」という瞬間が訪れます。これは、何度も思考した結果です。この「分かった!」という快感と共に、考えをノートに数ページにも渡って書きまくってしまいましょう。この時のために、必要なのは「ムダ」なこと……正しく言うと、一見すると「ムダ」に思えることが、思考を重ねるうちに役割を果たすことがあるのです。「ムダ」を大事にしましょう。

知識から教養、見識へ

なんども思考を重ね、なんども人と話し合い、熟考を重ねた先にあるのは、「意見」や「仮説」です。頭の中の知識や考えのリンクが発達してゆくうちに「自分の考え」が生まれ、その結果「意見」を持ったり、「仮説」が立てられるようになります。さらにそこから「教養」を深め「見識」を得るためのノート術に発展してゆきます。

世に出る

そしていよいよ最終段階。自分の考え、自分の意見を持ち、教養を深めたなら、世に出ましょう。隠れていてはもったいない。あなたは既に〈天才〉なのです。

 せっかく「天才」になったんだから、デビューしましょうよ。
誰も知らないところで、1人で「天才」やってていはずないでしょ?

天才の特徴は「強い主体性」です。
それは「この世界に対する責任感」「関わろうとする意志」という意味です。
強い主体性、すなわち「この世のことで自分に関係ないことなんかない」という、途方もない自我は、あなたに告げるはずです。
力は得た。
じゃあ、なにをしようか? と。

お供しますよ。
スマートノートは、いつでもあなたの味方です。

p.245-246

凡人だからできること

本書『あなたを天才にするスマートノート』の序盤で、著者の岡田斗司夫さんがご自身が「凡庸である」ことを悟ったエピソードに触れられます。岡田斗司夫さんは自身が「読書家である」と自負していましたが、大学のSF研究会に参加すると、自分よりすごい人がたくさん集っており、とても勝ち目がないと悟ります。

「自分は優秀ではない」と知ったから、次は「じゃあ、どうやって彼らと渡り合おうか」と考えた結果が「ノートを取る」という手段でした。必死に議事録を取る岡田さんの姿を、周りの人たちはバカにしていましたが、次第と一目置かれるようになります。

優秀な人たちは頭がいいから、ノートを取らなくても忘れません。それ故に話し合いの中で〈目に見える証拠〉がないため〈水掛け論〉になることもあったのです。そんなとき、メモを取っている岡田斗司夫さんの出番です。誰がどんな話をしたか過去の記録が残っているのです。ノートの強みを知ったのです。

岡田斗司夫さんのノート術は「自分が凡庸だ」と悟り、それを打開すべく奮闘した経験から始まります。ですから、本書も、普通の、凡人が、天才になるためのノート術なのです。経緯を知ると、事細かに「ノートを取る習慣付け」から丁寧に解説される理由もわかります。

ムダな思考をいっぱいしよう

本書『あなたを天才にするスマートノート』の趣旨で、あさよるが共感したのは「ムダなこと」を大事にしていることです。

スマートノートの考え方は違います。
もっと「ムダ」を重視している。
効率よく「能力」を伸ばそうとはしていない。

(中略)

私たちの脳は工場ではない。原料である知識や情報を搬入して、常に刺激を与えれば一定のアウトプットが得られる、そんな工場製品ではないからです。(中略)

私たちにできることは「開墾」「日当たりと水はけの配慮」「日々の手入れ」「害虫の駆除」、そして「収穫」だけなのです。

なにかを思いついたり、アイデアや企画が脳内で生まれる。それは「収穫」です。収穫には準備期間として種まきや成長が必要で、急かすこともスケジュールを守らせることもできません。
でも、私たちは「良き農夫」となることができる。収穫物が少しでも大きく素晴らしいものになるためにできることがある。
それがスマートノートなのです。

p.168.172-174

自分の考え、自分の意見を持つって、気長な農作業なのですね。インプットすると定量アウトプットされるような工場製品ではなく、一見するとムダに思えるような作業や時間を使い、豊かな土壌を耕さねばなりません。しかもスケールは「人生」という、えらい壮大なスケール。

「ムダ」が必要というのも、変な話に聞こえますが、「何が必要で、何が不要なのか、やってみないと選別できない」とも言えます。結果的に「あれは役立ったな」「あれは蛇足だったな」と振り返られるだけで、始める前は未来が予見できません。だから、いっぱい、ムダな、いらないことをたくさん考えよう!

ただ「ノートをとる」って作業なのに、なかなか大きな話に行き着きます。もし、学校で板書を写すしか経験がない人がいたら『あなたを天才にするスマートノート』は、ノートの書き方、メモの取り方を、最初の第一歩から教えてくれます。

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