投資・金融・会社経営

『0円で生きる』|わたしが格差社会の中で、今やること

『『0円で生きる: 小さくても豊かな経済の作り方』』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。デジカメを買おうとお金を貯めてたのですが、ヘヤカツの効果で「エアコンを買い替えよう」という英断をし、またお金がなくなってしまいました。今のところカメラを使うことがないので、また貯めよう。

今回手に取った『0円で生きる』のは、あさよるのような金欠な人に節約のコツを教える本だと思って手に取ったのですが、もっとマジメで、且つ、もっと面白い本でした。「お金がない」という直面する目先の問題を取り上げるのではなく、格差の広がる社会の中で「私たち個人はどのような活動をすればよいのか」という具体的な行動を示すものです。本書はとても実践的ですし、社会問題について机上の空論を述べる物ではありません。今すぐ、誰もが始められる「世界を変えるための活動」を促す本です。

お金がなくても機嫌よく生きる

本書『0円で生きる』はタイトルの通り、「お金を使う」以外のやり方で、豊かになるための手段を紹介するものです。本書は「お金を稼ぐ」ことに反対しているわけではありませんが「それ以外のやり方」があってもいいし、むしろ我々は昔からあげたりもらったり、貸したり借りたりして生きてきました。お金だけが絶対的な価値になった時代は、とても特殊な時代だったのかもしれません。

そして、現在若い世代を中心に、一人に一つ物を所有することに価値を見出さない人たちが増えています。アメリカでは「ミレニアム世代」と呼ばれ、社会問題になっているようです。自動車メーカーは、一家に一台、一人に一台自動車が売れるほうが儲かります。村に一台しかなかった電話が、一家に一台、部屋に一台、一人に一台と普及していくことが、国内需要を増やす時代がありました。

しかし、今では自動車メーカーまでもカーシェアリングを推奨しているし、時代はすでに変わり始めています。かつては、中古品はダサくて新品に憧れました。しかし今、古着や古本、リサイクルショップやフリーマーケットで買い物をすることに抵抗がない人がたくさんいます。

本書『0円で生きる』では、あげる・もらう、貸す・借りるのみならず、お金をかけずに、お金以外の価値によって活動をしている人や団体、サービスを紹介します。

本書では無料でできる様々なことを紹介している。貰ったり、共有したり、ゴミを拾ったり、行政サービスを利用したり、自然界から採ってきたり、無料でできることは、よく見てみれば身のまわりに溢れかえっている。(中略)

ここに書いてあるのはあくまでも、贈与や共有にもとづいた無料の生活圏を社会のなかに広げるための方法だ。実際には企業がくれる無料サービスを狙ったほうが、手に入るものは多いかもしれない。けれどもこの本には、その代わりに大きな夢がある。
そんな社会になれば、例えば貯金がない人、稼ぐのが苦手な人でも、別の形で貸しを作っておけば、困った時にお金がなくても、借りのある人が助けてくれるだろう。お返しがお金ではなく、何か得意な作業でもいいのなら、お金のない人も欲しい物を手に入れることができる。

p.3-5

本書はあくまで、無料の生活圏に注目するための案内です。実際に「お得情報」をお探しの方は、もっと広い目で探した方が良いでしょう。

お金の価値が絶対的に強い世界では、お金のない人は貧しく不幸せに生きることになります。すなわち、高年収の職業に就けるか否かが、幸不幸を分けてしまっていることになります。社会の中で一番お金を稼ぎ、お金をたくさん持って、大きな力を持ているのは、企業です。企業は政府に献金し、政府は法人税を下げたりします。そして我々は、大企業に雇ってもらい、終身雇用されたいと望んでいます。格差社会が広がった今日の日本では、昭和期よりも「終身雇用」を望む人が増えています。

お金があれば幸せ、お金がなければ不幸せ。大企業の正社員になれたら幸せ、なれなかったら不幸せ。そして格差の広がる現代日本では、お金がなく、大企業の正社員になれない人が増えています。とても息苦しいですね。

お金がない人が多いという貧困の問題への対策としては、二つの方向がある。ひとつには、賃金を上げさせ行政の支援を増やし、もっとお金が貰える社会にする方向だ。もちろんこれは必要だ。けれども、同時に社会のお金への依存度を下げることもまた大事なのだ。そして本書が取る立場は後者だ。

p.6-7

前置きが長くなりました。格差社会が広がり、お金による幸福を得られない人が増えています。その対策として、まずは、国や行政は支援を増やしお金を貰える社会にすること。これは、国や行政という大きな視点での対策。そして本書『0円で生きる』では、お金の依存度を減らし幸福度を増す、個人や小さなグループが取り組める、小さな目線の対策です。「今、自分はどうするのか」とう具体的な行動の参考になるでしょう。

お金以外のやり方

さて本書『0円で生きる』は、具体的にお金を使わずに活動している人や団体を取材したり、著者の鶴見済さんご自身が体験してみたりと、昔からある方法を試したり、実際に運営されているサービスが紹介されています。

もらう・あげる

まず、お金を使わないやり方は、人に無料でもらう、人に無料であげる方法。一番ありふれている方法です。お祝いやお見舞い、門出にプレゼントを渡すコミュニケーションも存在します。

SNSで自分のいらないものや、欲しいものを日ごろから知らせておいたり、カンパを集める人もいます。不用品を出品するサイトを使って、自分の不用品を他人にあげたり、人からもらうこともできます。これはやや面倒くさいのですが「使える物を捨てるより、誰かにあげたい」という心理と相まって、なかなかよいサービスのようです。

要らないものを放出する「0円ショップ」というのも、実際に存在しています。みんなが不用品を持ち寄って出品します。欲しいものがある人は、持ち帰ります。店舗のテナント料はカンパで賄っているそうです。同じものをあげたりもらったりして、大勢で物を貸し借りしているイメージです。路上や、空きスペースで開催されていることもあります。

カンパの集め方も、従来の募金方式や、グッズを販売して購入代金を資金に充てるだけでなく、クラウドファンディングも盛んになっています。クラウドファンディングの内容も、社会的なものだけでなく、個人的な要望にもお金が集まっています。

シェア・共有する

「貸し借り」は太古の昔からある活動です。物々交換するためには、お互いの欲しい物と持っている物が合致しないと成立しません。ですから、大昔の人は「物々交換」という奇跡ではなく、「貸し借り」という現実的なやり取りをしていたのではないかと本書では考察されていました。

身近な貸し借りは、自宅で持ち寄りパーティー。部屋や食べ物をみんなでシェアしていると言えます。旅行やDIYに使う道具など、滅多に使わないものを貸し借りする人たちもいますし、それらをレンタルできるサービスもあります。

他人の家から家へ移り住む、いわゆる「居候生活」をする人もいます。ワールドワイドに、世界中の家から家へ宿泊させてもらう人もいます。彼らは、異国の話を話して聞かせることで、宿の提供者を持てなすことができます。

著者の鶴見済さんも、実際に6週間スイスの青年を自宅に泊めてみた経験を綴られています。最初は心配でしたが、意外と生活には支障はありませんでした。あまり細かにスケジュールを聞きだしたりせず、放っておくのがお互いに居心地がよさそうです。一方で、会話の中で、何気ない「場を和ますような言葉」を英語で話せなくて、気まずい思いもしたそうです。英語は流暢であることに越したことはなさそうですね。

空き部屋や空きスペースに泊めてもらう〈カウチサーフィン〉を利用した経験もありました。カウチ、使ってない椅子を使わせてあげるという人と、泊まりたい人をマッチングするサービスです。ベトナムでカウチサーフィンを利用して、カフェの営業外の時間、カフェの椅子で宿泊させてもらったそうです。一緒になったドイツ人の人と、語らい快適に睡眠。翌朝は、カフェの開店の手伝いをして宿を後にしたそうです。

〈airbnb〉(エアービーアンドビー)は、空き部屋を有料で貸し出せるサービスです。しかし、ホテルの空き室を一般の住宅として偽装して登録されていたり、安宿よりも高額だったり、本書のテーマとは外れた実情もあるようです。同じく、車の相乗りをマッチングする〈Uber〉(ウーバー)も、実情が現行のタクシーと大差ないと紹介されています。

「ヒッチハイク」も空席のシェアと言えます。長距離運転主も、話し相手を求めていることもあるそうで、居眠りせずに話しをすると、お互いに良いみたいです。また、日本はヒッチハイクしやすい国らしく、実際にやったことある方もいらっしゃるかも?

ゴミを拾う

0円で物を手に入れるのに適しているのは、ゴミを拾うこと。自治体によっては、業者による廃棄物の収集を禁止しているところもありますが、個人がゴミを拾う分には気にしなくてよさそうです。しかし、ゴミを拾う「マナー」については、しっかりと本書で念を押されています。マナーとして配慮すべきは

・広げたゴミ袋は必ず元に戻す
・敷地内のゴミや、回収車に入れられたゴミは取らない
・店員に気づかれないようにする。気づかれるならやめる
・野宿者が待っているところはやめる
・深夜は音も気をつける
・各家が、家の前にゴミを出す戸別収集している地域では、ゴミを拾わない

あくまで、匿名のゴミを、匿名で拾うことが前提のようです。

食品については、お店によっては拾う人のために、食べ物をきれいに分けられていたり、わざとゴミ捨て場の鍵を開けたままの場所もあるようです。気づいていないけれども、意外と「ゴミを拾う」「ゴミをあげる」という文化は根付いているのかもしれません。

また、富の再分配という点でも、ゴミを拾うというのは役割を果たしています。本来なら社会が支援すべき対象を、ゴミを提供することで賄っているとも考えられます。

『『0円で生きる: 小さくても豊かな経済の作り方』』挿絵イラスト

元手0円から稼ぐ

元手0円から、お金を稼ぐ方法も考えましょう。まず、フリーマーケットに出品してみるのが一番簡単です。フリマ会場によって〈売れ線〉があるようで、事前にリサーチしておきましょう。公共の場を使ったフリーマーケットは、なかなか審査が面倒で主宰するのは大変そうです。個人が自治体が主催する「○○市」「××祭り」「△△マルシェ」なんかに出品してみましょう。

食品を売るケータリングは、仕込みの時間も必要ですので、利益を上げるのは難しそうですが、食べ物を通じて人と知り合う仕事は、遣り甲斐も大きいそう。

日本では、路上で物を売る屋台の取り締まりが厳しいのですが、「移動屋台」はOKです。駅前で『ビッグイシュー』を立って販売しているのも、そのためです。軽トラは初期費用が必要ですが、自転車やリヤカーならかなり手ごろです。

カフェや飲食店の閉店時間を貸してもらったり、複数に人で店を持ちまわる「日替わり店長」をやっているお店もあります。自宅がある人は、家をお店にすることもできます。物を売ってもいいし、いらないもの市をすることもできます。但し、飲食店をする場合は、規制があるので準備が必要です。

助け合う・ボランティア

本書では〈二人以上でやることはすべて「助け合い」〉だと紹介されています。だから、二人で肩を叩いて、マッサージをしあうのも「助け合い」です。こう言われると「助け合い」や「ボランティア」がグッと身近な言葉に感じます。

料理をみんなで持ち寄るのも助け合いです。一人で食事を用意するより、コストを抑えてたくさんの品目が食べられます。「共同購入」も助け合いです。安くまとめ買いして、みんなで分けます。

〈WWOOF〉(ウーフ)というサービスは、農場で手伝いをする代わりに、宿泊と食事が無料になるサービスです。国内にも、受け入れ先があるようです。「手伝い」というのは、昔からありふれた助け合いです。誰もが経験したこともあるでしょう。

行政からもらう・公共サービス

行政サービスを利用することもできます。多くの人が日常的に利用できる富の再分配は、まずは「図書館」。図書館は居場所としても機能し、コミュニティスペースとしても活用できます。公民館もホールや会議室を使えます。音楽のライブをする人もいます。スポーツ施設でスッキリ発散しても良いでしょう。

公園や霊園でくつろぐこともできます。国公立のキャンパスを公園のように使うこともできます(私大はその大学による)。お弁当持ってってもいいですね。大学の図書館利用もできます。

生活保護も私たちの権利です。職業訓練を受けることもできます。

自然界からもらう

自然にあるものを貰ってくることもできます。そういえば、先週ツクシをせっせと採っている人を眺めていて「春だなあ」とこっちまで堪能していました。もう今週には立派なスギナになっていました。

食べ物になる植物を育てている人は多いかも。薬味系は便利だし良いですね。うちはネギとミョウガが生えます。ハーブや、サラダにできるお野菜もどうそ。プランターでプチ家庭菜園くらいは、なさっている人もいるでしょう。

野山や川や海で採集できるものもあります。野草であるタンポポやハコベ、ヨモギなど。銀杏や桑、梅の実も街中でも落ちています。あさよるは大阪に住んでいるので、秋になると誰かれなしに銀杏をもらえますw

注意として、毒のあるものもあるから、慎重に!

また、自然は鑑賞するだけでも豊かさを感じられます。植物や鳥や魚を鑑賞してみましょう。

※デメリット・危険もある

本書で紹介される「0円で生きる」やり方を紹介しました。かなりいろんな方法が紹介されているのがわかります。お金の価値や仕事を否定しているわけでもなく、今の生活でも「豊かさ」は見い出せるし、幸せになれるんじゃないかという提案なのです。

しかし、これら紹介した事柄にも、それぞれデメリットもあります。宿泊先を紹介するサービスでは、レイプ事件も起こっており、手放しに安全とは言えません。事前にきっちり下調べすれば、あまり神経質になりすぎなくて良いとは紹介されていますが、安全のための確認は必要です。ヒッチハイクなんかも同様ですね。

また、助け合いは素晴らしいことですが、歴史の中では「ムラ社会」にて、約束を守らなかった人を半ばイジメる「村八分」もあったのも事実ですし、人と人とが関われば、煩わしい手間や人間関係が生まれます。

本書では、ネガティブな事柄も、実にフラットに紹介されています。

「ムラ社会」を超えた社会を

本書『0円で生きる』で目指される社会は、過去の「ムラ社会」的なものに戻ることではありません。むしろ、「ムラ社会」を超えて、新しい社会を構築すべきです。

村の中の助け合いの中で、義務を果たさないと人に制裁として「村八分」があったのは知られていて、明治以降、人権の立場から批判を浴びています。同様に、他の土地から引っ越してきた人を、村のメンバーとして認める「村入り」にも厳しい条件がありました。条件が果たせる人しか村の仲間になれないのです。現在では、あえて村入りせず「よそ者」で居続ける人も増えています。

現在の私たちにとって、助け合い、相互援助と聞くと、全時代の風習を連想し、ネガティブに捉えてしまいます。

助け合いといういささか古い習慣に人々を向かわせたいなら、そのいい面を伸ばすと同時に、厄介な面を是正していくことが不可欠だ。個と集団全体をいずれも尊重する、あらたな人間関係を模索するべきだろう。
現在の助け合いには、ボランティア活動のように一方的・慈善的な「テツダイ型」で、一時的、個人的なものが多い。ここには自らが助けてもらう権利はない代わりに、助ける義務も長期にわたる人間関係もない。これが全時代のマイナス面を踏まえた、新たな助け合いの形なのだろう。

p.159

「テツダイ」とは、返礼を期待せず一方的に支援することです。冠婚葬祭の手伝いや、災害時の支援としての手伝いもありました。「助け合い」は相互に、持ちつ持たれつの関係なので、義務を果たさない人がいると破綻してしまう関係性です。だから村八分をして阻止していました。しかし「テツダイ」はそもそも一方的なものなので、「一時的」「個人的」なものです。「テツダイ型」が新しい助け合いの形だとしています。

少ないお金でも充実して生きられる

本書『0円で生きる』で紹介する、お金以外のやり方で豊かに生きる〈やり方〉は、共感する人もいれば、「えー」と思う人もいるのでしょうか。あさよるの場合、共感……というか、あさよる自身も実践していることもあるし、お金以外の豊かさを持っている友人知人も身近にいるので、「何を今さら」という感じもあるかな。

そもそも あさよるは、お小遣いがなくてもまあ、プラっと図書館にでも行けばOKですし、窓越しにボーっと日がな一日外の景色を眺めているだけでも充実できるタイプの省エネ人間なので、今もお金はないけど充実はしています。また物欲も多い方ではないと思うし、「旅行へ行きたい」願望もないので、死なない程度にお金があれば良い人ですね(*’ω’*)>

氷河期世代以下の世代は「お金がないのが前提」で生きている人も少なくないでしょう。それぞれ、お金以外の価値を見出して、それぞれ豊かに生きている人もたくさんいるんだろうと思います。一方で、昔かたぎなお金や物質のみ豊かさを感じる人にとっては、とても生きにくい時代です。

「コミュ障」にはお金主義社会はハードモード

いわゆる自称「コミュ障」の、人間関係を構築するのが苦手な人は「ムラ社会的なコミュニティでは生きづらい」という話がありますが、あさよるは個人的には逆だと思っています。ムラ社会的な、ローカルな横のつながりが強いコミュニティでは、コミュ障であっても、与えられた役割さえ果たせば生きられます。

しかし、お金によって繋がっている社会では、孤立すれば終わりです。多くの仕事はチーム戦で、会社の中でみんなで集まって仕事をしています。だから、コミュニケーション能力の高い人はどんな職場でも求められ、たとえ特定の能力が高くてもコミュニケーション能力が低ければ、社会的に辛い立場に置かれる人が多いでしょう。

コミュ障ほど、実は助け合いの社会が必要じゃないのかなあと思っています。それは村八分のある社会よりも、「テツダイ」型の社会の方が、風通しも良いし、自分の能力で手伝うこともできます。

みんながそれぞれ持っている「優秀と言えるほど飛びぬけてるワケじゃないけど、得意なことや、苦にならないこと」を、積極的に使えたら「テツダイ」になり得るのかなあなんて思いました。とりあえず、あさよるは洗濯物を干したり畳んだりするのが大嫌いなので、誰かに手伝ってもらえるだけで人生が楽になるに違いない。代わりに、あさよるがなんかするから。

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『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』|型にハマった方が自由!?

『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』挿絵イラスト

こんにちは。整理が苦手なあさよるです。それは物の管理もそうですが、頭の中の思考の整理も苦手です。言葉にならないような衝動や、形のない「思いつき」があったとしても、それに言葉や形が適切に与えられない限り、なかなか運用ができません。

今回手に取った『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』は、頭の中の思考や、会議、本の内容など、とりとめもないものを紙に書き出すことで目に見えるようにし、他の人に伝えることを目的とした内容です。最終的にはプレゼンテーションの資料作りにも転用できるノウハウです。新社会人や学生向にオススメです。

誰でもできるシンプル思考術

本書『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』は、誰でもできる思考をシンプルにまとめる思考術の本です。ですから、新社会人や学生が読者の対象です。あるいは、新人や学生に思考術を教える立場の人にも役立ちます。

頭の中のゴチャゴチャを書き出す

本書ではまず、ゴチャゴチャとたくさん書き込んでいることと、深く思考することは関係がないことが示されます。もっと言えば、ゴチャゴチャ分かりにくいものよりも、シンプルで一目で見てわかるくらいそぎ落とされた思考の方が、鋭く、また他人にも伝わりやすいのです。学校教育では、ノートをびっしりと取る方が、ノート点が得られるのとは対照的です。

また、話の核である〈論点〉を自力で見つけ出さねばならないのも、学校での勉強とは違うところです。この論点を見つけ出す方法は「Sの付箋」という付箋を使った思考法が紹介されています。「Sの付箋」とは、付箋に5つの要素を記入して、問題や課題を整理します。

「Sの付箋」に記入する5つの要素

「誰の?」
お客さんや対象となるターゲットを記入します。要は「誰のため?」に今回の企画を立てるのか、問題解決を実施するのかその対象者の姿を明確にし、ここに記入します。

「何が?」
その対象者の現状をここに記入します。現状とは、「お客さんが今どんな悩みを抱えているのか?」、「お客さんが困っていること」、「お客さんがこうありたいと思っていること」など、お客さんの今満たされていないニーズやウォンツをここに記入します。

「どのようにして?」
お客さんの満たされない何がどのように解決されていくのか、解決策をここに記入します。

「どうなった?」
解決策が実行された結果、どんな未来が訪れるのか、理想の未来の姿をここに記入します。

「で、要は何がいいたいの?」
以上のことを踏まえて、「要は、結論は何か」を明確にします。今回の提案のコンセプト、メッセージは何か、ここに記入します。

p.31

「Sの付箋」に記入すると、3つのSが見えてきます。
その3つとは、

・「Solution(問題解決)」
・「Story(物語)」
・「Simpe(シンプル)」

です。
これをあらかじめ記入しておくことで、
お客さんの抱える問題がどのように解決「Solution(問題解決)」し、どのような理想の未来がやってくるのかが一連の物語「Story(物語)」として描き出されるので仕事の見通しが立ち、モノごとを「Simple(シンプル)」に整理できます。
Sの付箋を使って仕事をこんしていくことで、結果的にあらゆるモノごとは「Success(成功)」に導かれてゆくのです。

p.33-34

Sの付箋を使うことで、3つのS「Solution(問題解決)」「Story(物語)」「Simple(シンプル)」が導き出され、その結果「Success(成功)」に辿り着く一連の思考法を「Sの付箋」と呼ばれ本書で紹介されています。

『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』挿絵イラスト

紙の上でまとめる

本書『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』ではタイトル通り、「紙の上」に書き出し思考の交通整理をします。メモ術やノート術など、世に様々ありますが、本書ではポケットサイズのノートの見開き2ページを16分割したメモ推奨です。

16分割メモは、

メモ帳の「機動性」、ポストイットの「ブロック単位のメモ」、ノートの「作業性」の3つのいいとこ取りをしたもの(p43)

と紹介されています。漠然と、真っ白の紙にアイデアを書き出せと言われても困るもの。ある程度「枠」が用意されている方が、その枠を埋めてゆく作業として進められ、アイデアが出やすい環境になります。ここでは、3色ボールペンを使ったメモがオススメされています。

この見開き16分割ノート術は、ブロック単位でメモを取ってゆくので、パワーポイントの資料をまとめてゆくようにメモを発展させてゆけます。これは、逆に言うと、メモを取りながらパワポ資料の段取りができてしまうのです。

読書術にもノートは使える

資料となる書籍を読むときにもノートは使え、「キラー・リーディング」という名前で紹介されています。この場合は、ノートの見開き左ページを16分割し、右ページは1つの問と3つのキーワードを抜き出すために使います。

まず「問い」を立てます。「問い」とは、その本を読んで自分が得たい目的を1つ明確化するのです。それをノートの右ページに書き込みましょう。続いて16の「キーワード」を書き出します。キーワードとは、問いを捕まえるためのアンテナです。本のページをペラペラとめくりながら、あらかじめキーワードを抜き出しておきます。

そこから読書がスタートします。すでに問いは立て、キーワードを抜き出すために軽く中身が頭にはいった状態で読みはじめるので、一気にザっと目を通す程度で大丈夫です。

これは、読書を楽しむための読書ではなく、「何時までに何冊の本を読まなけれなばない」といった、制限時間付きの資料読みに適しています。

この読書法は、最終的に本の内容を1分で他人に伝えるところまでレベルアップしてゆきます。まずは、「とりあえず15分」キラー・リーディングでの読書を試して慣れておくことを推奨されています。

会議に、プレゼンに

『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』では、頭の中の思考を吐き出すのみならず、交通整理しながら他者と話し合いを持つためにも使えます。すなわち、会議をもっと有益にするためにも使えるのです。「マッピング会議」を名づけられ、マップ、地図を描くように話し合いを進めます。

1 まん中にテーマ(問い)、
2 そこから軸となる論点があり、
3 論点ごとに議論が展開され、
4 結論(答え)が導かれる
5 Next Stop(対策・アクション)に落とし込む

という流れです。会議の参加者でなくても、この会議が何のテーマで、いくつ論点があり、それぞれどんな結論になったのかをひと目で把握できます。

p.114

まん中にテーマをどーんと書き、まずは右上に〈論点1〉、右下に〈論点2〉、左下に〈論点3〉、左上に〈Next Stop〉と、時計回りに話をした順番に書いてゆきます。だから、後から会議に参加しなかった人が見ても、どのような順番で会議が進んでいったのか分かるのです。

本書のノート術は、プレゼンテーションの「ストーリー」を作る際にも役立ちます。プレゼンストーリーは「何が?」「どのようにして?」「どうなった!」の3幕構成です。これらは、最初に紹介した「Sの付箋」で既に明確になっていることですから、あとは資料を用意するだけなんですね。

ロジカル3兄弟

本書でロジカルシンキングについて、「ロジカル3兄弟」に例えて紹介されています。長男の「1メッセージ」は、ズバリ一言で感想を言います。「2W1H」の次男は、What、Why、Howを使って「何を」「なぜ」「どうやって」と説明します。「3つの法則」を使う3男はなんでも「○○を勧める理由3つ」「△△が他と違う点3つ」と、なんでも3つにまとめて話します。この1・2・3の三兄弟を使って話をまとめましょう。

枠組みがある方が、のびのび考えられる

本書『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』では、頭の中にあるゴチャゴチャとした思考をスッキリ紙に書き出す方法や、欲しい情報を本の中から効率よく探し出す方法や、効率的な会議を進める方法など、ノート術に留まりません。

何もないところに、ただ漠然と「話しをせよ」「思考せよ」「アイデアを出せ」「問題を提示せよ」と言われても、焦点が定まらず論点がぼやけてしまいます。反対に、ある程度枠組みが用意されていて、それに当てはめながら話題を展開してゆく方が、視点がズレず、最後までテーマを把握して進められます。白紙で何もない状態の方が、自由でのびのびとやれるような気がしますが、実際は逆なんですね。しっかりと骨組みが用意されているからこそ、その枠を利用して自由に考えることができるのです。

そのためにはまず、適切な「枠組み」を用意しなくてはなりません。枠が間違っていては、そこに当てはめるテーマすべてがあらぬ方向へ進んでしまいます。本書『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』は、新社会人や学生など、これから自分で問題を見つけ、自分で思考を深める訓練を始める人に、入門書として良いと思います。実際に手を動かして、やってみましょう。

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『GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」』|才能がなくても大丈夫

こんにちは。あさよるです。ゴールデンウイークはいかがお過ごしでしたか? あさよるは、家財道具をフリマアプリ「メルカリ」に出品してみて、梱包作業に追われていました。これは「いらないもの」が突然「商品」になって面白いですね。

ゴールデンウイーク明けまして、5月は予定が詰まっているので「えいやっ」と元気が出るような本を読もうと『GRIT』を手に取りました。こちら、以前に同じ『GRIT』と同じタイトルの赤い本をブログで紹介したことがありますが、違う内容です。この「GRIT」という言葉は、他の本でも使われていることがあり、意味を再確認できました。また、あさよるのような凡庸な人間にとって「GRIT」の考え方はとても励まされるものでした。

「GRIT」とは

本書『GRIT』とは英語の「Guts」「Resilience」「Initiative」「Tenacity」の頭文字をとった言葉です。ぴったり合う日本語がないのですが、

Guts[度胸]

「Guts」は日本語で「度胸」。「困難に挑み、逆境にもたじろがない勇気」(p.21)と紹介されています。

度胸とは、みずからを危険にさらし、たとえ勝利が目の前に見えなくても、必ず勝つという意思を表明することだ。(p.21-22)

「大胆不敵」になるために必要な力です。

Resilience[復元力]

「Resilience」は日本語で「復元力」と当てられています。

高いレベルのグリットの持ち主は、失敗や障害や逆境にめげることなく意欲と集中力を維持できる。(中略)チャンスがある限り、世界の果てまでそれを追いかける原動力になる。(p.22-23)

世界的な成功者も、学校を落第したり、仕事をクビになったり、挫折を経験していることがあります。だけど、「立ち直った」のです。

Initiative[自発性]

「Initiative」は「自発性」と訳されます。

自発性とはまさしく、グリットを動かし、前へ進めるものだ。リーダーは率先してものごとに取り組む能力で評価されることが多い。(p.23)

自発性はなにも、企業や戦場だけに見受けられるとは限りません。本書では、サバンナに住む少年が、家族で飼っている牛をライオンに襲われた経験から、その悲劇をどう防げばよいのか考えます。あるとき、ライオンが揺らめく懐中電灯を恐れていることに気づき、ライトをつけたフェンスを作りました。ここからわかる教訓は

「敵に勝る知恵を使えば、相手より体が小さくても足が遅くても大丈夫」(p.23)

ということです。

Tenacity[執念]

最後の「Tenacity」は「執念」と訳されます。

執念とは、どんあことがあっても目標に集中し続ける能力だ。これはたぶんグリットにかかわる性質のなかで最も見分けがつきやすい。(中略)執念(粘り強さ)に必要なのは勤勉と決意である。(p.24)

GRITを身につけるべきワケ

「GRIT」の力について、後天的に学ぶ必要があります。それは、人は「潜在的な資質を褒められると、そのことに執着する」傾向があるからです。そして「努力によって身につけたスキルを褒められても、執着が少ない」そうです。それは裏を返せば、「努力によって身につけたスキルは諦めやすい」とも言えます。

本来的に我々は「GRIT」の力を持っていないということです。だから後天的に学ばねばならないし、また子どもたち、若い人たちに教えていかなくてはならりません。

本書ではたくさんの「GRIT」によって成功を掴んだ経験が紹介されているのですが、みな逆境の中、身近な人に「諦めないこと」や「働き続けること」を教えられ、それを愚直に守り続けた人ばかりです。または、負けん気やハッタリで大成功をおさめる人もいます。しかし彼らは、根拠のない自信家ではなく、「なんとかなる」と思えるまで努力をし続けていた人々であることも注目すべきです。

「GRIT」を身につけるのは、今すぐからも始められます。もし「どうせ」「自分なんて」と思っているなら、「度胸」「復元力」「自発性」「執念」を意識し始めましょう。

凡人だから励まされる・粘り強く続けるコト

本書『GRIT』は、特に何の素質もない凡人だからこそ、とても励まされるものです。天才でなくても「やり抜く力」によって、何者かになれるかもしれないんだから。

グリットが素晴らしいのは、自分でコントロールできるという点だ。育ったコミュニティ、通ったハイスクール、両親の貯金や資産、社内政治、経済状況などと違い、もっと一生懸命働き、もっと賢く、熱心に、長くがんばるという行為は自分で制御できる。人一倍才能豊かでなくても、頭の切れる人間でなくても、私たちの誰もがグリットを身につけることができるのだ。
潜在能力を発揮するのに必要な「度胸」「復元力」「自発性」「執念」を利用できれば、じつにたくさんの人が世界的な音楽家、ベストセラー作家、プロスポーツ選手になる可能性を秘めている。あなたもそうかもしれない。

p.25

もし、自分に才能もセンスもなく、環境も整っていたとしても、大きな挫折をしても、大丈夫。きっと今まさに道半ばの人ほど、GRITに励まされるし、GRITの重要性を身を持って知っているのでしょう。

「やり抜く」ことは誰でもできる

あさよるも、そろそろ三十代仲間で辺りを見回すと「やり抜く力」を持っている人しかいなくなっていることに気づきます。十代の頃、羨ましい才能を持っている人や、センスの良い人、環境に恵まれている人、それら全てを持ち合わせている人がたくさんいました。しかし、その多くの人たちは、道半ばで諦めてしまったり、店じまいをしてしまいました。

年齢を重ねても何かに邁進している人って、「才能」や「環境」は関係なくただ「継続している」だけの人だったりします。もちろん、才能があって且つ継続し続けている人もいます。でも、意外と若い頃は平凡で目立たなかったのに、いつまでも同じことを続けていて「ひとかど」の人物になっている人もたくさんいます。

本書『GRIT』は平凡で、特に秀でたこともなく、センスもなく、目立たない「その他大勢」を鼓舞します。また挫折を味わったり、今環境的に恵まれていなくても「大丈夫」。「ここから抜け出せる」と信じられると、とても未来が楽しみに思えます。

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『それをお金で買いますか』|私の〈心〉も見積もられてるの?

『それをお金で買いますか』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。以前、マンガ家の蛭子能収さんの『笑われる勇気』にて「人の心はお金じゃ買えないが、オレの心はお金で買えます!」と断言されており、逆にカッコイイとすっかり気に入ってしまいました。

しかしホントのトコロ、人の心はお金で買えるのか? あるいは「人の心をお金で買ってもいいのか」? 難問だと思いませんか? この問いは、「YES」と答える人と「NO」と答える人がパッカリ二つに分かれる問いだと思うのですが、いかがでしょう。

今回は、白熱授業でおなじみのサンデル先生の市場倫理のお話です。

「公平」「常識」「正しい」ってなんだろう?

本書『それをお金で買いますか』は、「白熱授業」でおなじみのマイケル・サンデル先生の「市場主義」について言及された書籍です。数多くの事例が次々と提示され、「これをお金で買うのはアリ?」と語りかけられます。

例えば「お金を払うと行列に並ばなくていい権利」が買えることが、日本でも大っぴらに周知されるようになりました。ユニバーサルスタジオジャパンでは、「ロイヤル・スタジオ・パス」というアトラクションの待ち時間が短縮されるチケットが販売されています。お金で行列に割り込むのはアリ? では別の例として、アメリカでは、お金を払うと医師の携帯電話の番号を教えてもらえるサービスが増えてるそうです。お金を払うと、医師と直通電話がつながり、通院の待ち時間も短縮できます。お金で順番に割り込むのはアリ?

育児放棄を減らすプロジェクトとして、薬物中毒者の女性が避妊手術や長期の避妊を行うと、現金を支払らう慈善団体があるそうです。薬物中毒者の子どもは生まれたときから薬物中毒で、その多くは虐待や育児放棄に遭います。だからあらかじめ、薬物中毒の女性を不妊にしておくことで、社会問題を解決しようとしています。このやり方はアリ? 中国の一人っ子政策では、都市部で二人目の子どもを産むと罰金になりました。それは「罰金を払えば二人目を産める」とも解釈できます。社会が、お金のあるなしで産める子どもの数を制限するのはあり? 別の例では、成績のよい子どもにお金をあげたり、資産家の子息はお金を払うと有名大学へ入学できるのはアリ? など、命の価値や、教育や環境のお金の話が取り上げられます。

ホントに「なんでも買える」のだろうか?

本書で度々「罰金」と「料金」の関係が登場します。ある託児所では子どもの迎えの時間に遅れて来る保護者がいることから、遅刻すると「罰金」を導入しました。それで遅刻は減ると考えたからでした。しかし実際には逆でした。罰金を導入後、遅刻をする親が増えたのです。それは、罰金導入前の保護者達は、迎えの時間が遅くなると保育士たちに対して「申し訳ない」と恐縮していたのですが、罰金導入後は「料金を払えば延滞できる」と考えるようになり、堂々と時間をオーバーするようになったのです。

「お金」を徴収することにより、「何か」が失われ、新たな「何か」が表れる良い例でしょう。

しかし、同じような例で、受け取り方の違う事例もあります。それはレンタルショップの延滞料金。かつて、映画のビデオテープをレンタルし、返却が遅れると客側が「申し訳ない」気持ちになっていたし、店側は「遅れやがって」という態度丸出しだったと本書では書かれています。日本の昔のレンタルビデオ屋も、なんとなく同じような雰囲気はあった気がします(みなさんはどうですか?)。しかし、考えるまでもなく我々は「客」であり、一日延滞するごとに料金もきっちり支払っているのですから、申し訳なく思う必要はありません。

託児所の例と、レンタルビデオ屋の例は、同じような話なのですが、なんとなく違う気がするのはなぜでしょう。

「タダ働き」させる方がヤル気が出るなら

『それをお金で買いますか』挿絵イラスト

本書の興味深い例は、ボランティアの話です。学生を3つのグループに分け、Aグループにはこの活動の素晴らしさだけを解きます。BとCには理念と、出来高制で報酬を支払いますが、BよりCの方が受け取れる割合を高く設定します。この3つのグループのうち、一番多くの成果を出したのは、Aでした。次いでCグループでしたが、Aの成果にははるか及びません。

わたしたちは、「お金を貰って働く」よりも「無償で働く」方が、よりヤル気が出てたくさん働いく場合があるようです。考えてみれば、「ボランティア」はなにか自分の良心を試されているような感覚も無きにしも非ずで、「手を抜くことは人間性に関わるような気持ち」があるような気がします。しかし「時給950円」と言われると、「950円分の仕事しかしなくていい」と感じます。そしてもっと多くの働きを求めらえると「じゃあ時給を増やせ」と思うだけで、期待に応えようとは思えません。

「タダほど高いものはない」と言いますが、実際に、報酬を与えるよりも、タダ働きさせる方が成果が上がるなら……。

この話は、自分が「働く側」なのか「働かせる側」なのかによって捉え方が180度変わります。

私たちは「やりがい搾取」を求めている?

本書の例では、核廃棄物の処分場になった町民に手当てを支給すると、それを拒否した住民が多数いました。それは、自分たちは社会のために意義のある働きをしているのに、お金を受け取ることで「賄賂で動いたことになってしまうから」と考える人が多かったようです。

ときにわたしたちは、お金を差し出されても、受け取るのを拒否することがあります。お金を受け取ることで、自分の矜持や信念が汚れてしまうと考える場合です。それは美しい話なのか、はたまた労働者のプライドすらも利用して、労働力を刈り取られているのか、どう考えればよいのでしょう。

立場によって志向が変わる

あさよる個人的には、本書を読んで「もらえるお金はもらっておこう」と思いました(苦笑)。それはつまり、自分の信念やプライド、美意識などとと、お金は別の話ではないかと思ったからです。詳しく言うと、市場では、消費者のそのような「プライド」さえも予め見積もられていて「足元を見られている」のだというのが、透けて見えた気がしたからです。

「みんなのため」に働くのは大切なことですが、それと「タダ働きをする」のは別の話です。消費を煽り、労働者を雇う側の人たちは、事前に彼らの「お金に換算できないこと」も織り込み済みなんだなあと知ったのでした。それなりの報酬を求めることは悪いことじゃないんだなあというのが、あさよるの本書『それをお金で買いますか』を読んだ感想でした。

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『ジョン・C・マクスウェル式 感情で人を動かす』|誰でもカリスマリーダーになれる

『ジョン・C・マクスウェル式 感情で人を動かす』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。あさよるは他人との距離感を測るのが苦手で、必要以上に距離を取ってしまうことがあります。「近づきすぎてしまうのではないか」という恐れが先立って、踏み込めないのです。その結果、良い関係を結べないこともあります。

本書『感情で人を動かす』は、リーダーシップを身につけるための方法が紹介されています。「リーダーシップ」も「カリスマ」も、後天的に身につけることができる要素だそうです。そして、「誰もが自分の人生のリーダーだ」という言葉が気に入りました。

リーダーシップは、全ての人が持っていても良い能力なのです。

リーダーとはどうあるべきか

本書『感情で人を動かす』はアメリカのリーダーシップ論の権威ジョン・C・マクスウェルから著者の豊福公平さんが直接学んだことが紹介されています。「リーダーシップなんて自分に関係ない」と考える人ほど、本書を読んでみてください。それは、誰もが自分が、自分の人生のリーダーだから。リーダーシップは誰もが持っていても良い能力です。

リーダーは「感情」を操る

リーダーとは、社員を道具扱いせず、感情のある人間として扱います。感情によって人を動かします。

著者の豊福公平さんは外資系大手保険会社に入社前、消防士でした。消防士は命がけの仕事ですから、チームリーダーの指示は絶対です。些細なことまで注意され、厳しい指導を受けますが、家族のような信頼関係で結びつけられていました。しかし外資系に入社すると「成果を出せなかったら去らなければならない」やり方に戸惑ったといいます。リーダーシップやマネジメントにはさまざまな形があると学びながらも、「レスキュー隊型のリーダーシップを目指したい」と意思をはっきりと持ちます。

 成果、数字のみに着目するのではなく、人の「感情」を重視したリーダーシップ。それがマクスウェル式リーダーシップなのです(p.37)

まず、マクスウェルのいう原則に従い、

「相手を動かしたいなら、まず自分から動く」(p.39)

ことから始めました。

リーダーに必要な3つのC

『ジョン・C・マクスウェル式 感情で人を動かす』挿絵イラスト

 マクスウェルは、リーダーには「3つのC」が必要だといいます。
・competence(能力)
・connection(人脈)
・character(人格)
この3つの要素によって、リーダーはチームメンバーから信頼される、というのです。

(p.42)

みなさんにも既に持っている要素、まだ持っていない要素があるでしょう。

また、「ほめることは大事」と言われますが、マクスウェルによるとほめるよりも「激励」する、励ましてくれるリーダーに人はついて行くといいます。

「ほめる」とは、相手の良い点を指摘すること。そう、これも大切です。
それに対して「激励」は、いってみれば「相手の将来に希望を持たせる」ということです。(p.48)

「成長してもらいたい」という要素を伝えましょう。

よい質問をする

また、リーダーは積極的に相手の話を聞きます。人の話を聞くとは、人の頭の中を覗くことです。メンバーの気持ちを覗きましょう。メンバーの話を聞く面談を持ち、彼らのアイデンティティを知ります。それそがメンバーにとって最も大事な価値であるからです。

カリスマはつくれる

マクスウェルによると「カリスマ」と呼ばれる「人を引きつける力」は開発可能だといいます。まずは自分の人生を愛すこと。そして他人の人生も愛します。

「人の上に立つ人間は、自分の智慧や資源、機会を分かち合う」
このマクスウィルの教えにより、社内で頻繁に研修をおこなっています。
私が読んだ本、受講したセミナー、出会った人から受けた影響を、週1回の勉強会でメンバーにフィードバックするのです。
「自分を分かち合う」

(p.80)

自分の持っている知識や資源、機会はメンバーのものとし、メンバーに期待しましょう。

またリーダーには品性が必要です。「こんなリーダーは嫌だな」と思われるようなダサイのはやめましょう。衣服や持ち物まで気を配るのです。「人は見た目じゃない」と考える人は、こう考えを変えてみると分かります。「リーダーは相手=メンバーのもの」なのです。だから、メンバーのために、恥ずかしくない品性を身につけましょう。

カリスマの阻害要因

同時にカリスマを阻害するものも紹介されています。

①「プライド」
②「不安」
③「不機嫌さ」
④「完璧主義」
⑤「嘆き」

p.101

「プライド」とは優越感です。自分は他の人よりも上だと優越感に浸っている人に誰もついていきません。「不安」を持つリーダーは周囲をも不安にします。「不機嫌」なリーダーはとっつきにくい人になります。「完璧主義」は自他ともに認められないため、全体のモチベーションを下げます。「嘆き」はマイナス思考で、マイナス思考の人には近づきたくないと思われます。

自分が「カリスマ」でいることも、メンバーの「チームの目標達成のため」であることを忘れてはなりません。

「影響力」を身につける

カリスマのリーダーには影響力が備わっています。影響力とは「自信」と「ビジョン」です。また、マイナス要素を持ち込む人間はチームから遠ざけないといけません。愚痴をこぼすメンバーがいた場合、呼び出しをし個人面談を行うそうです。その際「改善案を持ってくること」が条件です。

そして小さな成功体験を積み上げてゆきます。

ときにリーダーは批判にさらされます。

 マクスウェルは、批判に対して次の10の視点を持つことを提言しています。
①「いい批判」と「中傷」を見分ける
② 深刻に受け止め過ぎない
③ 尊敬する人の批判にはじっくり耳を傾ける
④ 感情的にならない
⑤ 志を確認
⑥「休む時間」を取る
⑦「一人の批判」を「全体の意見」と勘違いしない
⑧ 時が解決してくれることを待つ
⑨ 同じ土俵で戦わない
⑩ 批判や失敗から学ぶ

(p.141-142)

いい批判と中傷を見分け、感情的にならず批判に耳を傾けましょう。マクスウェルはこれを、

「善を成そうとする人々は必ず批判にさらされる。逆に何の批判もないようなら、問題があると思った方がいい」(p.143)

と明言しています。批判を必要以上に怖れなくても良いんですね。

リーダーシップは誰もが身につけられる

本書『感情で人を動かす』では、リーダシップやカリスマ性は、生まれ持った素質ではなく、誰もが後天的に見に着くものだという前提で語られています。はてさて、しかしチームから支持され、感情によってチームを動かしてゆくリーダーに、自分はなれるのか? と考えると、途方もなくも思えますね(;’∀’)

ただし、一つ一つの要素をじっくりと見てゆくと「人の話を聞く」「人を励ます」「人を信じる」「自分の人生を愛す」「人の人生を愛す」など、素朴で実直な人物像であることがわかります。すべてを一度に行うのは難しいだろうけれど、一つずつなら「できるかも」と思えます。

あさよる的には「優越感に浸らない」「批判を恐れない」という二つの点を、自分にまずは取り入れたいと思いました。すぐに調子に乗っちゃうし、なのに人の目を気にしてビビってるからね(;’∀’)(;’∀’)

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