新書

『人は見た目が9割』|言葉は7%しか伝わらない

こんにちは。あさよるです。長年ヘアカラーをしていたんですが、数年前にカラーをやめて黒い髪にしたところ、しばらくやたらと人に絡まれる機会が増えて困っていた。明るい色に染めていた頃はそんなことなかったのに、「髪色が変わると世界が変わるのか」となかなかショックだった。

それから時間が経ち、着る服や持ち物も一通り新しく入れ替わったら、また元のように知らない人に絡まれることはなくなった。明るい髪色から黒髪への切り替え途中、服装と髪形がちぐはぐだった頃に起こっていた現象ではないかと思っている。以前と変わったのは、小まめに美容室へ行くことと、襟のある服か、ハリのある服を着るようにしたことか。

「見た目で判断されるのね」と実感した経験だった。

人を見た目で判断するんがいいのか悪いのかわからないけど、パッと一目見た印象は確かにある。話しかけやすそうな人や、木難しそうな人。「第一印象を悪く持たれた」なぁと伝わってくることもある。いいのか悪いのかわからないけど、見た目が人間関係を左右しているのは、みんなが実感していることだろう。

言語7%、非言語93%

「人は見た目が9割と言いますし」と、よく引用されていたり、そういう言い回しが使われれているのを見聞きする。その元ネタ(?)になった新書『人は見た目が9割』は、読んでみると、想像していた内容と違っていた。

『人は見た目が9割』の著者は演劇の演出家で、演技でその役柄をそれらしく見せる「人の見た目」について精通している。本書でも、演劇で使われる「その人らしさ」のつくり方をもとに、「見た目」によって印象が変わり、台詞の意味が変わってくる様子が伝わる。

わたしたちは日々、人々とコミュニケーションを取り続けているが、「言葉」が伝える情報量はたった7パーセントしかない。残りの93パーセントは言葉以外の、非言語コミュニケーションによって情報が伝わっている。

本書では、顔の特徴(髭など)、アクション、仕草、目を見て話すこと、色やにおい、間・タイミング、距離感、マナー・行儀作法、顔色などなど、それらを「見た目」としてまとめられている。確かに、「見た目」が9割あると言われると納得できる。

役柄の説得力を増す「見た目」

『人は見た目が9割』って、もっとビジネス書や自己啓発本っぽくて、辛辣なことを書いてあるのかと思っていたのに、全然想像と中身が違った。芝居を長くやっているからこそ、人は人をどう見るか、どう見られているかについて研究がなされている。

お芝居はまさに「人の見た目」を最大限に利用しながら、現実には存在しない人物に肉付けし、立体的に作り上げる。そのためのノウハウとしての「非言語コミュニケーション」についての言及は、切り口が面白かった。

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人は見た目が9割

竹内一郎/新潮社/2005年

目次情報

はじめに

第1話 人は見た目で判断する

アクションは口よりも 言葉は七%しか伝えない 信頼できる行動 顔の形と性格の関係 髭はコンプレックスの表れ ソファーの隙間はなぜ気持ちいいか第2話 仕草の法則

自分の席から離れない上司 早口で声が高い人 なぜか百姓は東北弁 似たもの夫婦の心理学 頷き過ぎにご用心 オーバーアクションは薄っぺらい 足を大きく開く男 緊張のサイン サクラは三人以上必要

第3章 女の嘘が見破れない理由

「目を見て話す」のは何秒か 女の嘘はばれにくい 勘が鋭い女性とは 潤んだ瞳に注意 髪型の意図 可愛い女の子になる方法

第4章 マンガの伝達力

マンガの技法に学ぶ 構図のインパクト 内面を背景で表現する 読者に語りかける 絵で音を表現する コマのマジック タチキリ、見せゴマ

第5章 日本人は無口なおしゃべり

国境を越えるノンバーバル行動 二種類のノンバーバル・コミュニケーション 「語らぬ」文化 「わからせぬ」文化 「いたわる」文化 「ひかえる」文化 「修める」文化 「ささやかな」文化 「流れる」文化

第6章 色と匂いに出でにけり

色の力 マンガはなぜモノクロか 色のメッセージ 騒色公害 目立つ色、目立たない色 赤い公衆電話が消えた理由 荷物を軽くする色 色のイメージ 化粧が生む自信 日本のメイクは美を追求しない 匂いの力 匂いのない恋

第7章 良い間、悪い間、抜けてる間

タイミングは伝える 間の伝達力 相手に想像させる 観客は交流したい 「読み聞かせ」のコツ マンガにおける間 沈黙に耐える

第8章 トイレの距離、恋愛の距離

心理的距離は八種類 敵は真正面に座る 男子トイレの法則 リーダーの座席の 遠距離恋愛の法則

第9話 舞台は人生だ

外見は人格さえも変える 没個人になるということ 恐怖の表現する 相性のつくり方 暑いとき、人は興奮する

第10章 行儀作法もメッセージ

マナーというノンバーバル行動 応接室への案内 車の座席

第11章 顔色をうかがおう

表情の研究 笑いの伝えるもの 微笑みの持つ重層構造 男女の顔の違い 加齢の特徴 ポーズが伝える感情

あとがき 主要な参考文献

竹内 一郎(たけうち・いちろう)

一九五六(昭和三十一)年福岡県・久留米市生まれ。横浜国大卒。博士(比較社会学文化、九大)。九州大谷短大助教授などを経て著述業。『戯曲 星に願いを』で、文化庁舞台芸術創作奨励賞佳作、『哲也 雀聖と呼ばれた男』で講談社漫画賞を受賞(筆名/さい ふうめい)。

『他人を攻撃せずにはいられない人』|支配欲と全能感の共依存

『他人を攻撃せずにはいられない人』なんともインパクトのあるタイトルです。“他人を攻撃せずにはいられない人”は、自分の失敗や落ち度さえも、他人に責任転嫁し、攻撃のネタにする。なにを言っても理屈にもならない理屈で、相手を責め、相手の自尊心や自信をそいでゆきます。

“他人を攻撃せずにはいられない人”のターゲットにされると、以下のようなことが起こります。

1 急に気力がなくなることがある
2 しばしば、罪悪感にさいなまれたり、不信感が募ったりする
3 突然、もうダメだと自信をなくすことがある
4 ときどき、エネルギーがなくなったように感じる
5 反論や反撃をしても、ムダだと思う
6 あの人は、何かにつけて私をけなすので、落ち込む
7 あの人の感情を動かしたり、考えを変えさせたりすることはできないと思う
8 あの人のやっていることは、言っていることと随分違うように感じる
9 あの人の言うことには、曖昧さがあり、どう受け止めたらいいのか困惑する
10 あの人がいると、心身の不調を感じることが多い
(中略)
その場合、一人で悩んでいないで、他の誰かに相談して、助言や助けを求めたほうがいい。自分自身が渦中にいると見えにくいことでも、外から第三者として観察している人にははっきり見えることがあるからである。

『他人を攻撃せずにはいられない人』p.61-62

さらに、職場に“他人を攻撃せずにはいられない人”がいると、職場の雰囲気が悪くなります。揉め事や不和が増え、病気や事故が増加します。沈滞ムードが蔓延し、全員が疲弊してしまいます。

こんな状況では、どんどん売り上げや成績も落ちてゆきます。すると、“他人を攻撃せずにはいられない人”はその責任を更に他人に擦り付けます。「お前が悪い」「お前が無能だから」と、更に煽り立てるのです。するとますます雰囲気が悪くなり……と、負の連鎖が始まります。

待ちかまえるのは、破滅

“他人を攻撃せずにはいられない人”は、あることないこと難癖をつけて、人を糾弾し、委縮させ、思いのままに他人を動かそうとします。嫌がらせを繰り返し、脅し、人を意のままに動かす「全能感」を感じています。他者を「支配」したい。それは破滅的な欲求です。そんなこと繰り返していれば、人望を失い、優秀な人から去ってゆきます。待ちかまえているのは「破滅」。

しかし、「破滅」へ突き進もうとも、“他人を攻撃せずにはいられない”。その心理ってなんだ?

やられる側の「全能感」

“他人を攻撃せずにはいられない人”は、攻撃対象が決まっています。

ターゲットになる人は、おとなしく、「他者の欲求」を満たそうとする人です。人を満足させたい、人から評価されたい、認められたいとの願望につけ込まれるのです。

「他者の欲望」を満たそうとする傾向が強いのは、一体どんな人か?(中略)
1 愛情欲求が強く、相手を喜ばせたい、気に入られたいという願望が強い
2 承認欲求が強く、常に周囲から認められたいと望んでいる
3 依存欲求が強く、自立への不安を抱えている
4 不和や葛藤への恐怖が強く、対決や直面をできるだけ避けようとする
5 自分に自信がなく、なかなか断れない
6 いつも他人に合わせてしまうので、自分の意見を言うのは苦手である
7 自分が決め手責任を負うようなことになるよりも、他の誰かに決めてほしい

『他人を攻撃せずにはいられない人』p.161-162

自己の欲求を満たそうと“他人を攻撃せずにはいられない人”と、“他者の欲求を満たしたい被害者”が出会ったとき、攻撃はエスカレートし、破滅するまで止まりません。「自己の欲求を満たしたい人」 × 「他者の欲求を満たしたい人」の間で、ギブアンドテイクが成り立ってしまう悲惨な状態です。

「他者の欲求を満たしたい人」は、〈自分の影響力〉を過信しています。本当は、人を変えられるような大きな力を誰も持っていません。たとえ自分が我慢しようと、誠心誠意接しようと、“他人を攻撃せずにはいられない人”の人間性を変えることなんてできないのです。

なのに、不可能な幻想を持っている人がいる。彼らはが“他人を攻撃せずにはいられない人”にとって“良い鴨”になってしまいます。

もちろん、「他者の欲求を満たしたい欲求」は誰でも持っていて、持っていて当然のものです。大切なのは程度の問題。ですから尚更、見極めるのがややこしい。

起こっているのは「共依存」と同じ?

人を攻撃することで自己の欲求を満たす人。他者の欲求を満たすことで承認欲求が満たされる人。二人が出会ってしまうと、「共依存」のような関係に陥ってしまいます。お互いにとって、自分の欲求を満たすために必要な相手になってしまうのです。

本書内でも、例として家庭内のDVや虐待に触れられていました。アルコール中毒から抜け出せない人は、多くの場合、酒代を提供する出資者がいるそうです。親や配偶者が、言われるがままにお金を出してしまうことで、ますます依存症から抜け出せない、負の連鎖が起こってしまいます。

“他人を攻撃せずにはいられない人”も、ターゲットがそれを許すことで加速してしまいます。負の連鎖を断ち切ることが必要です。

他人を攻撃せずにいられない人に出会ったら

“他人を攻撃せずにはいられない人”からターゲットにされてしまったら、とにかく逃げる!これしかない!

「話せばわかる」「我慢すればいい」「いつか認めてくれる」なんて、幻想でしかありません。誰も、他人の人間性を変えてしまえるような影響力なんて持っていないのです。逃げましょう。

しかし、「逃げる」という行為に後ろめたさを感じる人もいるかもしれません。それは“他人を攻撃せずにはいられない人”は、ターゲットの罪悪感を煽るのが上手いからです。「あなたが逆らうから、夫婦仲が上手くいかないんだ」「お前の作った資料が悪いから失敗したんだ」。どんなことも他人のせいで、「お前が悪い」と責任転嫁をすします。

だけど、そんなの難癖!きっぱりと毅然とした態度を取って構いません。

付け込ませない対策を!

“他人を攻撃せずにはいられない人”、いますよね。そういう人。自分がその攻撃対象にさてはたまりません。その対処法を知るために、まずは“他人を攻撃せずにはいられない人”の特徴と、そして彼らのターゲットになる人の思考を観察する必要があります。

そして、どうやら、彼らのあいだにはなんとも歪なギブアンドテイクが成り立ってしまうという、悲劇が起こっているようです。しかも、その“芽”は誰もが持っています。「承認欲求」はみんなが持っているものですし、あるべきものです。

人の弱みに巧みに付け込む。“他人を攻撃せずにはいられない人”について、知っておくだけでも今後の対処法の幅が広がるように思います。

こちらもおすすめ!

http://asayoru.net/jikoai-1

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『龍の棲む日本』|国土をぐるっと囲む龍が守り、災いを呼ぶ

こんにちは。あさよるです。『龍の棲む日本』は以前からおススメされていた本。あさよるの最近の関心事、漢方とか、鍼灸、ツボとか、風水とか、そのへんのことをゆるっと時間をかけて拾っていたのですが、『龍の棲む日本』も一つ、新しい視点を得たような読書でした。

一冊の本が論文のような構成ですので、かいつまんで説明するのは難しいのですが、Interesting なんです。その熱やテンションが伝われば~!

〈日本図〉を読む

〈国土〉とはそもそも〈大地〉であり、そこで人間は歴史を生み出してきました。国語辞書的には、国の統治が及ぶ領土、土地、ふるさと、仏語と少なくとも4つの意味があるそうです。〈国土〉といえば地図帳の測量された地図であり、科学的に日本地図を完成させたのは伊能忠敬が知られています。

んじゃ、伊能忠敬の地図が作られる以前、日本人はどんな〈国土〉を見ていたの?てのが本書のテーマです。

資料として「大日本国地震之図」と「金沢文庫〈日本図〉」という地図がカラーで掲載されています。興味のある方はググってくだされ~。どっちも面白いし、「大日本国地震之図」は目で見て超カッコいい代物。真ん中に地図らしきものがあり、その周りを龍がグルっと囲み、自分の尻尾を自分で咥えているのです。「金沢文庫〈日本図〉」は地図の半分だけ残されていて、西国の国々の地名が記されておりその周りを何やら細長い鱗のあるものがグルっと這っています。龍の胴体で、きっと失われた東国の地図の報に頭と尻尾があり、パクっと咥えていると想像できます。

龍と国土と天災と蒙古

本書は、日本の国土をグルっと取り囲む龍の図を読み解いてゆくことで、日本が『龍の棲む日本』であることを確認してゆきます。龍とは龍穴を通じて地下で繋がっており、国土を守る一方で、地震や天変地異を引き起こす存在でもあります。

蒙古襲来時「悪風」を吹かせたのは龍の姿になって現れた諏訪大明神だったという。日本の危機を救った龍。龍の棲む「龍穴」は国内にたくさんあり、「龍」のつく地名も多い。

龍という概念が見えるかも

龍とか龍穴、地脈なんて言葉を聞いたことがありますが、『龍の棲む日本』を読んで、「龍」と呼ばれる〈なにか〉の存在がおぼろげながら感じられた気がします。なにか、とてつもなく大きな〈力〉がうごめいている。しかし目には見えない、認識できない、ってところでしょうか。

あさよる的には、一年以上かけて荒俣宏さんの『帝都物語』を読んでいたので、嬉しい内容でした。『帝都物語』は東京の街は平将門の怨念を封印するために設計された街であり、封印を解いて東京を破壊しようとする加藤が、封印を解き龍神を目覚めさせようと画策するスリリングでバトルありのファンタジー。まだ最終巻に到達していませんが、なかなか面白いのでオススメ。

もし、東洋版「マインクラフト」があったら……

『龍の棲む日本』を読んで和製「マインクラフト」を想像してみました。「マインクラフト」とは日本では「マイクラ」と略されて呼ばれるゲームで、世界のあらゆる構成物が立方体のブロックでできており、それらを採掘したり破壊したり燃やしたり組み立てたりして自然を開拓してゆくゲームです。

常々、世界観が西洋的だなぁと思っていたのですが、もし東洋版「マインクラフト」があったら、地面を掘っていたら龍穴が開いていて気脈が通っていたり、なにがのブロックに触れると全く違う場所で水が溢れたり、順番に杭を打っていくと大地が動いたりとか、そんなことが起こるのでしょうかw

オリジナル「マインクラフト」では、どうやら災害が起こらないみたいで、どんな建築をしても大丈夫。宙に浮いていてもOKだったりするので現実味がありませんが、災害の多い場所に住んでいる身からすると「積みあげたものが崩壊しない」という世界観は、異質に思えます。

こんな「もしも」の話を空想するにも『龍の棲む日本』は面白かったです。

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『西洋美術史入門』|旅支度するように美術鑑賞の用意をしよう

『西洋美術史入門』挿絵イラスト

こんにちは。旅行しない あさよるです。旅行の計画を立てている内にお腹いっぱいになっちゃって「もういいや~」とお流れになるのが定番。その代わりの楽しみとして、フラッと近場の美術展で満足しています。

はじめて美術館へ行ったとき、確か兵庫県立美術館のゴッホ展へ行ったのですが、なにがなんだかわからず驚愕しました。絵って、パッと見てスゴイ、圧倒される~って感動の連続だと思ってたのですが、想像と違ったんです。今思えば、予想以上に「情報量」が多くて驚いたんだと思います。ただ「パッと一目見て感動して終わり」ではなく、絵の一枚一枚に説明があって、またゴッホの作品以外にも書簡や文字の資料も展示されていました。

「どうやら美術を鑑賞するには、なにやら事前知識が必要だぞ……」と、思い知った一日でした。知識って言っても、詳しい人に案内してもらったり、数をこなしているうちにちょっとずつ身につくでしょうが、やはり大人の遊びとしては、ガッツリやりたいじゃないですか! ということで、あさよるの中で「美術鑑賞のための下準備」は、折に触れて少しずつ進行中です。

絵はメディアだった

現在の日本で生まれ育った人は、小学校中学校と義務教育を受けていますから、文字の読み書きができて当然の社会で生きています。しかし、それは歴史の中で見ると異常な状態で、昔は文字が読めない人が大半でした。現在では書物に書き記せば他の人に情報が伝えられますが、文字が読めない人に情報を伝えるために用いられたのが「絵」でした。

教会の壁に絵が描いてあって、その絵の「絵解き」をして人々に信仰に基づく振る舞いを教えていたのです。昔の画家たちは、自分の好きな絵を描いていたわけではなく、教会や上流階級の貴族たちから「注文」されて絵を描いていました。ですから、発注者から受け取り拒否される絵画もありました。

現代の感覚だと「好きな絵を描く」「趣味で絵を描く」と考えてしまいがちですが、画家たちが思い思いに好きな絵を描くようになったのはとっても最近のお話です。多くの絵画は発注者の要望が反映されています。ですから、「なんでこの絵を注文したのか」という理由を知らなければ、今の感覚で絵画を見ても「何が書いてあるのかサッパリわからん」「何がいいのかわからない」ということになってしまいます。そこで、絵画について「学ぶ」必要が生じるのです。

絵を買う人には、欲しい理由がある

絵画を発注者がいて、受注して絵を描くのが画家だと紹介しました。その時代その時代で、描かれた絵、流行った画題には、発注者のニーズが反映されています。

例えば、ペストが流行した時代、まだウイルスが人から人へ感染していると分からず、特効薬もなかった時代です。人々は神からの罰だと解釈して当然です。そこで、聖セバスティアヌスの図像がたくさん描かれました。聖セバスティアヌス(聖セバスチャン)とは、キリスト教迫害により、殉教した人です。柱に括り付けられ、数々の矢を射られて死刑になりました。この「矢」がペストと重なります。ペストという罰を受けても、聖セバスティアヌスのように信仰を貫き続けなければ天国へ行けないと、当時の人々は考えたんですね。

絵を発注する人々は、自分が善行を重ねていることを神にアピールするために、絵画を発注しました。西洋では慈善活動や、社会的弱者を救済する文化があります。有名なミレーの「落穂拾い」では、貧しい人々が、収穫後の畑に落ちた地面に落ちた穂を拾っている様子が描かれます。

「神様へのアピール」って面白いですね。多くの日本人にとって、ただ知識もなく西洋絵画を見ていても「その発想はなかった」って感じじゃないでしょうか。

流行りを知ると社会背景が見える

先ほどのペストの例のように、その時代ごとに流行した画題があります。どんな絵が流行ったかを見てゆくことは、その時代の社会背景を読み取っていくことです。多くの人が文字を読めなかった時代、「絵」には今以上に「意味」が込められていました。西洋美術に触れることは、西洋の歴史に触れることなんですね。

ということは、「絵を見る」ためには勉強しなくちゃいけないなあと、新たな好奇心がうずきます( ´∀`)b

絵には「見方」があるのだ

『西洋美術史入門』挿絵イラスト

本書『西洋美術史入門』で大きな学びがあるならば、「絵画には見方がある」ということでしょう。もしかしたら、アート鑑賞を「自由に」「感じたままに」するものだと考えていた人にとっては、ビックリかもしれません。あさよるも以前は「自分がどう感じるかこそが大事だ」と思い込んでいました。

しかしこの「自由に」というのは、実はとても不自由だったりします。それは、旅行のツアーで「自由時間」という名の放置時間を、持て余してしまうのと同じです。いくら観光地だからって、右も左も分からない所に放り出されても、途方に暮れるばかり。結局、その辺をプラっと歩き回って、あとはカフェや休憩所で時間を潰すのがオチ。「自由に」というのは聞こえは良いですが、不案内な場所・事柄の場合は逆に「不自由」な結果になります。

残念ながら日本の学校教育では、西洋美術について学びはしますが「鑑賞の仕方」までは時間が割かれていません。だから美術作品を「自由に」鑑賞せよとなると、どうしていいかわからないのかも。また、一部の美術・芸術ファン以外は、美術館も博物館も馴染みのない施設かもしれません。

美術鑑賞は、旅行のように、ワクワクと事前リサーチして、よりディープに浸りましょう。楽しみのための勉強っていいね。

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『暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり』|仮想通貨は必然だった

『暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり』挿絵イラスト

こんにちは。ビットコイン持ってますかーっ!  あさよるはプロフィールにモナコインウォレットを載せてるのですが、ここ最近の仮想通貨の高騰により「なんかウォレットを載せてるのってどうなの?やらしくない?」と若干戸惑っていますw ネタ的なつもりだったんですが、ガチで値上がってますなあ。

ということで、念のためにここでもモナコインウォレットを載せておきます(なんやねん)。

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とまあ、冗談は置いておいて、ね、「仮想通貨」ってなんなのよ。話題になってるけど、変なモンじゃないの? なんか騙されそうでコワイ! と警戒している方はぜひ、本書『「ビットコイン」のからくり』を読んでみてください。ブルーバックスで、10代の人にもわかりやすいように噛み砕いて、ビットコイン、仮想通貨・暗号通貨、ひいては「通貨」「価値」についてわかりやすく解説なされています。

本書が出版されたのは2014年ですから、現在のビットコインバブル以前に書かれた書物です。ですから、価値の高騰やトレードのための本ではなく、仮想通貨・暗号通貨の考え方や、通貨とはなにかを掘り下げる内容です。「なんや、仮想通貨ってオモロイやん」と思い至るでしょう~。

ビットコインの登場は必然

ビットコインの是非云々ではなく「世界はビットコインの登場を待っていた」話から本書『「ビットコイン」のからくり』は始まります。インターネットの普及で「簡単決算」の必要性が高まりました。物を売る人も買う人も、決算は簡単にしたい。クレジットカードやデビットカード、SUICAなどの鉄道カードなど、簡単な決算方法が増えました。

ネットでは「振り込めない詐欺」という言葉があります。「振り込め詐欺」をモジった言葉で「良いコンテンツを楽しんだのに、その対価を払う先がない」状況を表しています。ネットでは世界中の人がたくさんのコンテンツを公開しています。もちろん玉石混交なのですが、中には素晴らしいコンテンツも含まれています。そんなコンテンツに出会ったとき、感謝や労いの気持ちを「投げ銭」したいのに、安全で簡単な決算方法がなかったのです。

仮想通貨・暗号通貨は、まず潜在的にニーズがあり、そこにビットコインが登場したんですね。ポイントは「安全」で「簡単」であること。なので、本書では「仮想通貨」ではなく「暗号通貨」という言葉で統一されています。ビットコインの情報は暗号化されており、匿名でかつ複製しにくい通貨だからです。

本書では仮想通貨・暗号通貨は「通貨」と呼べるのか?というギモンにも多方向から検証されています。が、どうやら「通貨」としか言えないみたい。むしろ、株式やTポイント、Amazonポイントなんかも、ポイントのまま買い物ができて、通貨とも言えます。

『暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり』挿絵イラスト

数学の勉強には価値がある!

本書『「ビットコイン」のからくり』のコンセプトはちょっと面白い。仮想通貨・暗号通貨を解説することだけが目的ではありません。本書はブルーバックスですので、中高生が読者として想定されています。ちょっと長いですが掻い摘んで引用します。

ビットコインの登場によって、いまや“暗号”や“ハッシュ”について考えることも、貨幣論にふくまれるようになりました。貨幣論は、はっきりと“数学”の応用分野のひとつになったのです。

(中略)

通貨はビジネス上の取引コストを節約します。これによって、通貨そのものが価値をもたらす働きをします。そして、暗号通貨のための数学・計算・プログラムは、通貨の機能を維持するために使われます。本当の意味で、数学や計算が新しい価値を生み出すのです。

(中略)

さて、高校や大学で学ぶ数学だけでなく、より基礎レベルの中学数学でさえ、「生活のうえではまったく役に立たない」との意見があり、悪名高い「ゆとり教育」では、本当はぜひ学んでおくべき教育内容のいくつかが中高の数学の教科書から消えました。その反省もあって、2014年度に高校3年生になった生徒たち以降は「脱ゆとり」のカリキュラムで学んでいます。

(中略)

中学校で学ぶ数学のなかで、いちばん役に立たないように思える内容として、「素数、素因数分解」があります。しかし、素数や因数分解は、ビットコインのような暗号通貨だけでなく、さまざまな情報の安全性を維持する技術の基礎となっています。(中略)
ビットコインについては「自己責任」が強調されています。本書でも強調しました。そして、中学レベルの素数や素因数分解の話がわかっていれば、ビットコインの暗号の考え方がわかりやすかったはずです。
大切なおカネの話で、新しいテクノロジーを自己責任で理解するには、数学が役に立つのです。情報化社会のなかで、数学が生活の役に立つ場面は、今後もっとふえるでしょう。

p.261-267

数学を勉強しても実社会で役立たないと評価がなされていて、実際に「ゆとり教育」以降では数学の内容がカットされています。しかし、新しいテクノロジーの時代を自己責任を負って生きるには、数学の知識が必要だと説いておられます。実際に本書『「ビットコイン」のからくり』を読み解くには、学校で習った数学の知識を必要とします。

ビットコインの衝撃は、今後もなんども続くでしょう。本書ではビットコインの未来を、マイニングがすべて終わるより先に、他の仮想通貨が主流になるのではないかと予想されています。まだ仮想通貨・暗号通貨の歴史は始まったばかりですから、トレンドはめまぐるしく変化し続けると想定しても違和感はありません。

「暗号通貨」と呼んでいるように、ビットコインでは「ブロックチェーン」と呼ばれる暗号によって不正を防いでいます。この技術は、通貨以外の事柄にも転用され使用されるでしょう。例えば、電子書籍の中身の改ざんを防いだり、電子書籍サービスが終了しても、その電子書籍が自分のものだと証明して、保持し続けることができるかもしれません。

現在はビットコインを筆頭とする仮想通貨・暗号通貨の、価値の高騰ばかり注目されていますが、そもそも仮想通貨・暗号通貨に使われている技術が、今後もっと使われるようになるのなら、今の時点で仮想通貨について知っておいてもソンはない。

仮想通貨オモロー!

あさよるが仮想通貨について最初に人から教わったとき、その概念や思想が面白くってたまりませんでした。金本位制経済であり、金を採掘する(マイニングする)ことで世界の富は増えてゆき、あるときに採掘し尽くしてしまう。

「投げ銭」の手段としての仮想通貨の必要性を紹介しましたが、SNSでは「いいね」で称賛を送れます。しかし、「いいね」と仮想通貨の決定的な違いは、「いいね」はいくらでもできるけど、仮想通貨は自分が持っているだけの価値分しか贈れないことです。そう、上限があるから、仮想通貨は貴重で、価値を持ちます。「いいね」をクリックするのはタダだし、価値が生まれないのです。

仮想通貨・暗号通貨について考えるとき、まずは「通貨とは何か」を考えなければなりません。株券は通貨なのか? Tポイントは? SUICAは? Amazonポイントは? 中央銀行がなくても通貨になるの? 国家が発行しなくても通貨なの? あるいは、国家がなくなったらその国家の発行する通貨はどうなるの?

グローバルに世界が混ざり合う時代に、国家が発行する通貨は不便なものになるのかもしれません。日本の都市部で生活していると、至る所にコンビニATMがあるし、円を現金でやりとりするのも簡単です。しかし、ワールドワイドな規模で見ると、日本のような環境は特殊でしょう。そもそも日本でも、地域や職業によって通貨を分けたら良いのではないかという話があるそうです。地域や産業による経済格差を減らすためです。どうも「国家が一種類の通貨を発行する」と常識で思い込んでしまっていますが、このやり方は必ずしも効率的ではないようです。

また仮想通貨は「暗号」の技術であるのですから、国家も、テロリストでも、誰も情報を改ざんできません。国にとって不都合な情報が記された書物も焚書できないし、テロリストたちが世界の富を盗み出すこともできません。グローバルな時代の価値を守る手段としての暗号なのです。

仮想通貨・暗号通貨が話題になる今、そもそもの「通貨とは」「価値とは」をじっくり考えるに格好の時代なのかもしれません。ついでに、中学の数学の復習もしつつ(;’∀’)

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