日本の小説・文芸

夢枕獏『陰陽師』

わたしが大好きすぎるシリーズが夢枕獏さんの『陰陽師』だ。最近定期的に新館も出ていて嬉しい限りである。久々に第一作目を読み返してみて、最近の巻とは雰囲気がかなり違っているんだなぁと再発見をした。

「陰陽師」シリーズの嬉しさは、いつも安倍晴明の屋敷の縁側で、晴明と源博雅がゆるゆると酒を飲んでいる。それだけで嬉しいのだ。そしていつもと同じように、困った妖の類の持ち込まれ、晴明と博雅が出かけてゆく。それだけのまんねりの物語だ。そうやって、二人がいつもと同じように、同じことを繰り返しているのがただ嬉しいのである。

と思っていたけれど、第一作目は、物語の世界観も丁寧に描写されていて、また登場人物たちも立体的に描き出されている。博雅のいい漢っぷりとかね。

平安時代は闇の時代であったとし、闇の中に人間も鬼も潜んでいたと書かれているが、その闇とは不思議とただただ恐ろしいだけのものではない。

ということで、ちょっくら過去作を順番に読み返してみたい。

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陰陽師シリーズ

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『夢の燈影』|新選組短編集

久々に新選組小説。6つの話が収録された短編集。近藤、土方、沖田の超メジャーな主人公ではなく、他の隊士たちにスポットが当たっているので「新選組無名録」と副題がついているのかな。小松エメルさんはこのあと『総司の夢』『歳三の剣』と新選組モノの小説を出されております。こちらも順次読みます<(_ _)>

  • 今回の『夢の燈影』の一つの目のお話「信心」は、井上源三郎が主人公。鳥羽伏見の戦いの最中、銃弾に倒れた井上が、多摩時代からの思い出を思い出す。
  • 「夢告げ」は蟻通勘吾(ありどおし かんご)が主人公。蟻通の従兄弟で同じく新選組隊士だった七五三之進(しめのしん)が隊から行方をくらまし、間者だったのではないかと噂されている。その七五三之進が、蟻通の夢枕に立ち、何かを訴えてくる。
  • 「流れ木」は谷三十郎の弟で、近藤勇の養子になった周平のお話。
  • 「寄越人」は新選組の勘定方でもある酒井兵庫が主人公。隊の規律に背き切腹になった隊士の遺体の埋葬に立ち会うのが彼の仕事だ。
  • 「家路」は監察の山崎丞の話。伊東甲子太郎率いる御陵衛士を見張っていると、原田左之助の姿を見かける。
  • 「姿絵」は新政府軍に降伏するまで隊に居続けた中島登の物語。

文は平易で、歴史小説を読み慣れてない人にもとっつきやすいと思う。そして、新選組について知らない人も、楽しく読めるんじゃないだろうか。今回登場する彼らの顛末を知ると、もっと奥行きを感じるかも。

わたしは山崎丞の「家路」が好きかな。どの話も登場人物たちに人情味があって、相反する気持ちを抱えていたり、情があったりして、ハートウォーミングな雰囲気が共通してるのよね。わたしは、冷酷非道な新選組も大好きなんですが、こううキャラクターもいいかもしれませんなぁ。

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『新訳 メアリと魔女の花』|たった一夜の魔法もあるんだよ

こんにちは。話題を遅れて取り入れる あさよるです。見ましたか?『メアリと魔女の花』。あさよるはもちろんまだ見てませんw なんだか事態をよく呑み込めないまま公開が終わってしまいましたw

児童文学『小さな魔法のほうき』が『メアリと魔女の花』のタイトルでアニメ映画化された。アニメーションを手がけたのはスタジオジブリのOBたち、ということでおk? という程度の認識で、完全に乗り遅れてしまったーw

今さら予告編を見ています。ちなみにSEKAI NO OWARI のMVは公開時に見たな。

↑この映画の予告編にも出てくる本が、本書のデザインと同じなのね。

『メアリと魔女の花』あらすじ

『メアリと魔女の花』はこんなお話。

 夏休みに両親や兄弟と離れて、田舎の親戚の家にひとりで預けられた十歳の少女メアリは、年寄りしかいない家での生活に退屈しきっていた。それでもなんとかおもしろいことを探そうとしているうちに、小さな黒ネコ、ティブと出会い、ふしぎな力を持つ魔法の花「夜間飛行」とほうきを見つける。メアリはネコとほうき(魔女の話には付き物の三要素)に導かれるようにして、空を飛んで魔女のいるエンドア大学へ行き、やがて近所の少年ピーターとともに、思いもかけない大冒険に巻きこまれていく。

p.219-220

黒ネコと花とほうきを手に入れたメアリが、ほうきで空を飛びエンドア大学で魔法を学ぶことになる。しかし……というお話。黒ネコ、花、ほうきという「魔女モノ」の三種の神器と、ハリーポッターでもお馴染みの「魔法学校へ行く」という展開。ザ・魔法使いなお話。

こちらは映画『メアリと魔女の花』に伴い新訳で出版されたもののようですが、昔の『小さな魔法のほうき』をお読みになった方もおられるかも。

小学生から大人まで

本書は読んでみると小学校高学年以上が対象なのかな?という感じ。漢字にルビなし。お話自体はシンプルな筋書で、〈夏休みのたった一夜の大冒険〉という、何がどう転んでも胸がトキメク、子どもさんにも薦めやすい内容です。また、〈魔法使いモノ〉の定番の設定や道具が次々登場しますから、「一般教養としての魔法使いのお話」にもいいかもw 役に立たない知識ですが、そういう「お約束」をどれくらい知っているかって大事じゃないっすか。

映画を見た後に、「本でも読んでみない?」なんて持っていくのも良いやも。

で、大人のあさよるが読んでも楽しい。適度にドタバタ、適度にコミカル、適度にハラハラ。やっぱ魔法を使ったり魔法が解ける描写は胸がキュンとする。

風景や状況描写も丁寧で、土のにおいや湿った草原や、乾いた風が吹きぬける様子など、読んでいて気持ちよくなっちゃう。植物や動物の名前がたくさん登場したりね。

児童文学、イイネ!

当あさよるネットでは時折「児童文学ってイイネ!」という記事を書いております。これはあさよるネットの中の人が単に、思い出したように児童文学を読んでみては、「これは良いものだなぁ……」と唸っているだけなのですが。

過去にイイネ!と唸っていたのは『魔女の宅急便』と『精霊の守り人』でした。どちらも映像化されているのでご存知の方も多いでしょう。ぜひ原作でも読んでみてください。

『新装版 魔女の宅急便』(全6巻)|児童小説をあなどるなかれ!

『精霊の守り人』|守り人シリーズ第一作。謎、バトル、ファンタジー

あさよるは個人的に、読書ってジャンルをこだわらずにイロイロ雑多に読む方が、どんどん読書が楽しくなってゆくと思っているので、子ども時分に「児童文学ばっかり」になるのはオススメじゃないんです。だけど、あれもこれも色んな本や辞書や図鑑などなどを読む中で「児童文学も読む」のはgoodだと思います。こんなに名作もたくさんあるしね。

もちろん、大人も「大人向けの本ばっかり」じゃなくってたまには「子ども向け」「児童文学」を読んだっていいじゃないか!と、そういうスタンスで行こうと思いますw あまりたくさんを読んだことないので楽しみです。

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『小説 君の名は。』|アニメ映画を見たら、小説も

2016年大大大ヒットした『君の名は。』みなさんご覧になられましたか?ついに今週、2017年7月26日DVD&Blu-rayがリリースされて、ご自宅で鑑賞された方も多いはず。ええ、あさよるも……え~、あさよるも……実は、あさよるは映画も見に行かずじまいでした(;’∀’)チーン

で、DVD発売も知らなくって、SNSでみなさん話題しているのを見て知りました。折角なので『小説 君の名は』を取り出した次第です。映画見てない人間が言うのもなんですが、これ、映画『君の名は。』ファンの方は小説読んでも良いかと思われます。「映画見てないくせに言うなよ」と言われるとその通りなのですが、「読んでみて!」と言いたくなるくらい、すごく良かった!

ちなみに あさよるは特典ディスクがついてるのが欲しい……なぜならば、新海誠監督の絵コンテのビデオが全編収録されているそうで、めっちゃ見たい!今週、オープニングの絵コンテが期間限定でYouTubeにアップされていて、すでに何度も何度も繰り返し見ておりました。すごい!

新海誠さんの『小説 秒速5センチメートル』がよかった

そもそも、なんで『小説 君の名は。』を所持していたかというと、同じく新海誠さんの著書『小説 秒速5センチメートル』が良かったからです。この作品はあさよるネットでも紹介しました。映画『秒速5センチメートル』では語られなかった主人公の気持ちが描かれていて、共感というか、納得というか、「彼もいろいろあったんだなぁ」分かり、自分の気持ちの持って行き先が分かった感じでした。

『小説 秒速5センチメートル』|小説で映画を補完^^

映画だと、あの美しい世界と、どこか陰鬱で孤独な描写。そして鳥肌のラスト。完成され閉じられた世界だからこそ、視聴者である〈わたし〉がどこへ心を持って行って良いのか戸惑いを感じたのかもしれません。それが小説では、主人公に共感や〈わたし〉を重ね得るスペースが用意されていたと言いますか。「小説読んで良かったなぁ」としみじみ思ったのでした。

んじゃ、今話題の『君の名は。』も読むべ!と、積んでありました。

『小説 君の名は。』はこんな話

『君の名は。』のストーリーはもうご存知の方が多いでしょうが、一応ネタバレしない程度に紹介します。まず、Amazonの商品紹介にはこうあります。

山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。一方、東京で暮らす男子高校生・瀧も、山奥の町で自分が女子高校生になる夢を見る。やがて二人は夢の中で入れ替わっていることに気づくが―。出会うことのない二人の出逢いから、運命の歯車が動き出す。長編アニメーション『君の名は。』の、新海誠監督みずから執筆した原作小説。

小説 君の名は。 (角川文庫) | 新海 誠 |本 | 通販 | Amazon

高校生の三葉と瀧がある日、お互いの魂が入れ替わってしまう。それは時々、夢を見るように起こる。見知らぬ場所の見知らぬ異性に入れ替わる二人は、戸惑いつつお互いの日々を過ごし、次第に二人はメッセージを残し合い、情報を共有するようになってゆく。しかし、ある日を境に、二人の入れ替わりが終わってしまう。瀧は、入れ替わっていた三葉を探しに、記憶を頼りに旅に出る。そこで、思ってみない事実に出会ってしまう。それが、三葉と入れ替わらなくなった理由であることも悟る。

現在と過去が錯綜し、大宇宙を股にかけて、二人の結びつきを軸に物語が急激に動き始める様子は壮大!

小説版は3種類ある

あさよるが今回読んだのは、角川文庫から出ている『小説 君の名は。』です。新海誠監督自ら書かれたもので、たぶんこれがスタンダード版でしょう。

これ↓

角川文庫以外に、2種類の『君の名は。』の小説があります。

『君の名は。 Another Side:Earthbound』 (角川スニーカー文庫)

スニーカー文庫から出版されているものは、アナザーサイド物語で、サブキャラたちのお話みたいですね。

これはぜひ読みたい!三葉のお父さんとお母さんの間にも何かあったようだし、おばあさんの思わせぶりなセリフも気になるし、テッシーのスーパーマンっぷりとかも気になっておりまして、触れられているといいなぁ~。

『君の名は。』 (角川つばさ文庫)

つばさ文庫は、子ども向けのもの。小学生の高学年くらい以上の人が対象ですね。物語は同じようなので、映画を見た子どもたちにプレゼント用にいいかもね。

感想のようなもの

ネタバレしないように、ということですので、フワッとしか紹介しておりませんがw、あさよるの感想を簡単にまとめました。

〈運命の人〉に出会うためには

まだ出会ったこともない二人。だけど二人はすでに想い合い、体の隅々の、その感覚まで知っています。だって、二人が入れ替わった記憶は忘れてしまっていても、入れ替わっている間の時間、互いの身体で生きていたのですから。

出会う前から想い合い赤い糸で結ばれた〈運命の人〉。それを実現するためには、これだけのエピソードを経ないとならぬのか!太陽系を股にかけた、千二百年の時を超えたスケールです。

『君の名は。』は、現在過去未来の時間を超え、離れ離れの距離を越え、そして地球よりももっと大きな力が作用しながら、三葉と瀧、二人の若者は出会うのです。壮大すぎ!

ハッピーエンド

映画『秒速5センチメートル』のレビューとか見ていると、「鬱エンド」なんて呼ばれていたり、バッドエンドであることに触れられていることが多い気がします。主人公の彼が、どんな気持ちで踏切を渡り切ったのかの解釈によりけりだろうけれども、「え~ここまで焦らしてそれ~」みたいな感じではあるw

そして、『秒速5センチメートル』がバッドエンドだったなら、『君の名は。』はみんなが望んだハッピーエンドでしょう。

新海誠監督の過去作も見たいね

前から、新海誠監督の他の作品も見たいなぁと思いつつ、まだ見てない。今回、このブログ記事を書くにあたり、『ほしのこえ』をぜひ見たい!と思いました。この作品は、新海誠監督がほぼ一人で制作した作品らしく、絶対見たい。

CMを見てずっと気になってるのは『星を追う子ども』。先に鑑賞した友人は「星を追えよ」と感想を漏らしていて、余計に気になって見たくなっている作品w

で、前作である『言の葉の庭』ですね。『君の名は。』を語る上で、前作くらいは見ておいて、盛り込みたいところ(映画すら見てないのにエントリーしてるけどねw)。

というか、『君の名は。』が見たいわ!

と、過去作見るのもいいけど、まず『君の名は。』を見たいっすw

小説版読了後の勢いでTSUTAYAへ走ろうかと思ったけど暑いし(苦笑)、配信ってめちゃ便利だなぁとしみじみ。

Amazonプライム版はこちら↓

追記(2018/07/04)

やっと映画版を見た感想のようなもの。

小説版の感想とほぼ同じ(苦笑)。というか、小説版とアニメ版に印象の違いがないのがすごい。アニメ見るの初めてだったのに、まるで過去に全編三鷹のような再現率だった。細かな描写がなされている点で、小説版もぜひ読んでほしいです。

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『トットチャンネル』|初代テレビの個性派女優・黒柳徹子の自伝

こんにちは。『トットてれび』見ました!

『トットてれび』は2016年4月~6月にNHKで放送されたテレビドラマです。〈トットちゃん〉こと黒柳徹子さんのエッセイを実写ドラマ化したもので、黒柳徹子さん役を満島ひかりさんが演じ、その熱演っぷりが話題になりました。

満島ひかりさんに黒柳徹子さんが憑依しているようで、「スゴイ」を通り越してむしろ「コワイ」域。他の役者さんも好演されており、音楽やダンスも織り込まれてとても楽しいドラマでした。

で、ドラマの話も語りたいところですが、ドラマの原作である黒柳徹子さんの『トットチャンネル』も読みました。

もしかしたら『窓ぎわのトットちゃん』を読んだことがある方も、その続編である『トットチャンネル』も是非ご一読を。

事実は小説よりもドラマチック

〈トットちゃん〉は黒柳徹子さんの愛称です。黒柳さんが幼い頃、周りの人から「テツコちゃん」と呼ばれるのを「トットちゃん」と聞き間違えて、自分のことを「トットちゃん」と呼んでいたのが、はじまりです。

本書『トットチャンネル』の主人公は〈トットちゃん〉。黒柳徹子さんの自伝でありながら〈トットちゃん〉というキャラクターが奔放に伸び伸びと振る舞っているようで、エッセイなのに物語を読んでいるようです。

そしてまた『トットチャンネル』で描かれる黒柳さんの経験も、この上なくドラマチックなのよね~!

テレビに入社する!

音楽大学の声楽家に通っていたトットちゃんは、ある日NHKの求人広告を見つけます。

「NHKでは、テレビジョンの放送を始めるにあたり、専属の俳優を募集します。プロの俳優である必要はありません。一年間、最高の先生をつけて養成し、採用者はNHKの専属にします。なお、採用は若干名……」

p.12

ウエイトレスや事務員募集の求人広告にNHKの求人があるのが面白いです。日本にテレビジョン…今のテレビ放送が始まろうとしていた時代です。テレビなんて見たことがない、それがどんなものなのか知らなかった時代の人にとって、テレビ局を志望するって、どんな感じだったのかな?

NHKの入社試験は、履歴書提出からトットちゃんはダメダメ。「ああ、落ちた」「これで最後」「もう終わった」と試験を一つ受ける度に落ち込むトットちゃんなのですが、そのダメダメさ=なにもない、無垢な状態が評価され、高倍率を潜り抜け採用されます。

しかし、テレビ放送が始まったばかりのテレビ局内はドッタバタ!テレビ番組の制作も、今では考えられないようなグダグダさだったようです(笑)。黒柳さん、今は「徹子の部屋」では〈芸人殺し〉と称されていますが、黒柳さんが潜り抜けてきたハプニングを知ると、あの堂々たる振る舞いが納得できました(笑)。

NHKにエントリーしてから、試験の様子、採用後の教育、テレビ放送開始直後の番組制作の様子など、細かく描かれており、とっても貴重なお話を知れました。歴史のなかのお話ですね。

小さな東京、すぐそこのお茶の間

『トットチャンネル』を読んでいて感じたのは大都会・東京のマス・メディアのお話ではなく、小さな東京という街の、生まれたばかりの小さな放送局、そんな感じ。

黒柳さんご自身が東京生まれ東京育ちの方だからなのかもしれません。当時の東京の街は今より規模が小さかったのかもしれません。

トットちゃんはとても、テレビジョンという国を挙げたプロジェクトに挑むような意気込みでもないし、飄々とフラフラと、時代の波に動かされながら、そして力強く波に乗って流れてゆきます。

ああ、とっても素敵。

小さな東京の街と、まるで、すぐそばにいるようなテレビ。遠く離れた異世界のお話ではなく、きちんと世間と地続きの世界なのです。

やっぱこの時代……憧れちゃう

『トットチャンネル』は昭和二十八年から始まります。戦後のこの時期を回想するエッセイは、新しい波が到来し、活気に満ち、どうしても「羨ましい」と思ってしまいます。

大橋鎭子さんのエッセイ『「暮しの手帖」とわたし』を読んだときもそうでした。物のない時代、何もない中から新しいことを始める力強さと共に、得も言え割れぬ羨ましさが……そして、それを含めて「憧れて」しまう自分もいます。

とと姉ちゃん・大橋鎮子さんのエッセイ『「暮しの手帖」とわたし』

黒柳徹子さんも大橋鎭子さんも、新しい時代の新しい仕事をした女性でしょう。あさよるは、今の時代をどう生きるのかなぁ~なんて。

更に、黒柳徹子さんの軽やかでキュートで知的な文体が、余計に高揚感やワクワクや戸惑いやいろんな気持ちがない交ぜになった空気を感じさせます。

トットちゃん、売れっ子テレビ役者になって連日引っ張りダコ。ついに過労で倒れ、ドクターストップが言い渡されたところで本書は終わります。続きの話、読みたいっ。

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『青鬼』|大人気ゲームなのよ!子どもたち大好きなのよ!

こんにちは。「青鬼」にハマりかけている あさよるです。

「青鬼」をご存知でしょうか?元々パソコン版のゲームで人気に火が付き、映画、アニメ、マンガ、ノベライズ化と、メディアミックスされ飛ぶ鳥を落とす勢いです。

2016年末にスマホゲーム「青鬼2」がリリースされ、2017年2月には劇場版アニメが公開されたばかりです。

マジ、まさに今!大人気なんすよ!!

きかっけはゲーム実況

あさよるが「青鬼」を知ったきかっけは、YouTubeのゲーム実況動画でした。たくさんの方がプレイされているんですが、「青鬼実況」と言えばヒカキンさんでしょ!

ヒカキンさんの魅力が光る実況動画で、いろんな意味で釘付けになりましたw

ちなみに、「青鬼」にハマっていると表現しましたが、肝心のゲームはプレイしていませんw だって、怖いし~。時間もかかるし~。

ゲームは実況動画で楽しんで、ノベライズ版を手に取りました(ちなみに映画版も見ました)。

青鬼ってこんな話

「青鬼」の概要から。

ゲーム版と小説版は主人公が違い、話の筋も違います。

ゲーム版のあらすじ

まずゲーム版「青鬼」は“オリジナル”ということで紹介しておきます。

「青鬼」は、とある館に入り込み閉じ込められてしまう「脱出ゲーム」。パズルを解きながら館から脱出を試みるのは従来の脱出ゲームと同じです。

そこに「青鬼」と呼ばれる真っ青で巨大な鬼が登場し、捕まるとゲームオーバー。青鬼と闘う術はなく、青鬼が現れると全力で逃げるのみ!

脱出ゲーム+鬼ごっこ要素が合体し、なんとなく おどろおどろしいビジュアルと相まって、やけに“恐い”。ホラーゲームです(ホラーといっても、子どもでもできるよ/たぶん)。

小説版のあらすじ

転校生のシュンは、化け物が現われると噂される<ジェイルハウス>の前で同級生らと出会い、不気味な洋館へと足を踏み入れてしまう。
響き渡る怪しげな物音。こちらを覗き込む血走った目玉。突如、転げ落ちる甲冑の頭部…。恐怖に駆られた中学生六人は、建物から逃げ出そうと玄関に向かうが、なぜか扉はびくとも動かない。

「ねえ、シュン君。もしかして私たち、ここに閉じ込められちゃったんじゃないの?」

脱出を試みる彼らに、この世のものとは思えぬ巨大な青い影が忍び寄る。未知なる生物か? あるいは、去年の暮れに事故死した元クラスメイト<直樹>の亡霊か? 青鬼に捕まれば殺される――

史上最悪の鬼ごっこが今ここに始まった!

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主人公は転校生でいじめられっ子のシュン。シュンは、いじめっ子・卓郎らクラスメイトたちが館に閉じ込められ、怪物に教われてしまうゲームを自作ていた。

卓郎はじめクラスメイトたちとシュンは〈ジェイルハウス〉と呼ばれる館に閉じ込められ、怪物にそこで怪物に襲われます。まるで、シュンが作ったゲームと同じことが実際に起こっているかのように……。

子どもらをビビらす仕掛け満載

小説版『青鬼』はパニックホラーって感じでしょうか。

対象年齢は結構低く、小学生高学年くらいは読者に想定されているでしょう。そういや子どもの頃、恐い本を隠れてコッソリ読んで夜が怖くなったもんだw ちなみに、その頃に植え付けられた“イメージ”は、未だに思い出すとかなり怖くて、うっかりするとトイレに行けなくなるw 『青鬼』も今の子らのトラウマ本になるであろう(・∀・)ニヤニヤ

文字ばかりの小説ではなく、途中“ヤな挿絵”もたくさんあり、冒頭にはマンガもある。そして……中盤に最大の“しかけ”があるのだ。最初にパラパラ見ていて「ヒャッ」と声が出たw

子どもらをビビらす仕掛けは入念ですぞ。

物語自体は、ゲームをプレイしていると世界観をイメージしやすいかも。

ゲーム「青鬼」クリア後に見ると……

あさよるはゲームプレイしてないのにナンですがw、この小説はゲームプレイ後に読むと結構笑えるポイントもあります。

「たけし」がガタガタ震えてクローゼットの住人になっていたり、ゲーム版の主人公「ひろし」が超人過ぎて逆に怖いところとかw

そして、あさよるが小説『青鬼』を読みたかった理由、「青鬼の正体」も明かされます。ゲームでは青鬼に捕まった人間は青鬼化してしまうのですが、小説では……おっと、ネタバレになっちゃうから伏せておきますw

〈ジェイルハウス〉周辺には、青い身体で目が異様に大きな生物が生息しており、これが気持ち悪んだ~!うげげ~

子ども向け……ですが、ファンなら読みたい

ズバリ!小説『青鬼』。正直、大人がホラーorファンタジー小説として読んでも物足りないでしょう。

恐さやグロさも、子どもが読めるように配慮されていますし(でも怖いよ)、子ども向けとして「ちゃんとしている」作品です。

ゲーム「青鬼」未プレイの方が、小説『青鬼』を読んでも世界観はわかりにくいだろうし、「まずはゲームプレイして!」としかw あるいは、「ヒカキンのゲーム実況見て!!」ww 子どもか!

いやマジでヒカキンさんの実況動画すごい、元々リスペクトしてたけど、更に尊敬度合いが上がったんですよ(どうでもええわぃ!ww)。

ごほんごほん。

ですから、小説『青鬼』は、ゲーム「青鬼」のファンの人。小説『青鬼』の著者・イラストレーターファンの方、ヒカキンファンの方wにおススメです。

YouTubeに夢中なお子さんたちも、みなさん知っている作品だろうと思います。「青鬼」シリーズ、触れてみてください。

青鬼のメディアミックス作品

ゲーム

青鬼 / Aooni

・青鬼2(App Store)(Google Play)

ガイドブック

小説版

マンガ版

青鬼 元始編 全4巻

ゲームブック

劇場版

劇場アニメ

映画「青鬼 THE ANIMATION」公式サイト

テレビアニメ編

アニメ「あおおに ~じ・あにめぇしょん~」公式サイト

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『超高速!参勤交代』|ドタバタハラハラエンタメ歴史小説!

こんにちは。深田恭子ちゃんにメロメロのあさよるです。

ディーンフジオカさんと共演してた『ダメな私に恋してください』をちょこっとだけ見てて、ディーンフジオカに惚れ惚れするはずが、深キョンちゃんにメロメロだったんですよ(すごくどうでもいい話っすなw)。

映画『超高速!参勤交代』でも、あまりに可愛いすぎる女の子が出てくるから、「誰!?」っと色めきだっていたら、深田恭子ちゃんだと!?

あさよるより ちょい年上のお姉さんのハズでしたが、絶対見えない!!

すごくどうでもいい導入ですがw、映画『超高速!参勤交代』は、ひたすらに深田恭子ちゃんが可愛い映画だったのですよ。

映画もまぁまぁ面白かったので、ちょいと小説版も読んでみようか!と。

ちなみに、原作“小説版”と映画の“ノベライズ版”があるようです。あさよるが読んだのは原作版です。

土橋章宏さんによる脚本・小説→映画化の順みたいですね。

↓こっちが映画のノベライズ版

ドタバタ、そしてチャンバラ!

あらすじ

ときは享保20年(1735)初夏、改革の嵐吹き荒ぶ8代将軍吉宗の時代。わずか1万5000石の磐城湯長谷藩に隠し金山の嫌疑がかかり、幕府老中から「5日以内に参勤せねば、藩を取り潰す」と難題をふっかけられた。若殿様以下7名は東国一の忍びの力を借りつつ、陸前浜街道、水戸街道、さらには山野を踏み越え江戸城本丸へ急ぐ。軽量化のため竹光しか持たない一行を阻む公儀御庭番と百人番所の精鋭。湯長谷藩の運命や如何!?

超高速! 参勤交代 (講談社文庫) | 土橋章宏 | 日本の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

貧乏の弱小藩の殿様と家来たちが一致団結、野宿をしつつ、野を駆け山を駆け江戸を目指す!途中、江戸参勤を阻止すべく、幕府方から放たれた忍びも待ち伏せる。

話の筋はほんと、これだけなんです。

主な登場人物は、

  • 湯長谷藩の殿様・内藤政醇(まさあつ)
  • 政醇に雇われた忍者・雲隠段蔵
  • 道中、政醇が出合う飯盛り女・お咲
  • 幕府の老中。ヤなヤツ。人民をいたぶって遊ぶ松平信祝(のぶとき)

たぶん、この4人を覚えておけば大丈夫!(そうか?)

生き方を選べない3人

政醇、段蔵、お咲の三人は、過去に辛い経験を背負っている。そんな意味で似たもの同士だった彼らは、多くを語らずとも互いに信頼し、繋がってゆく。

んで、彼らの過去がやけに重い(苦笑)。政醇は乳母からひどい折檻を受けて育ち閉所恐怖症。明るく振る舞う様子が逆につらい。段蔵は仕事が上手くいかずアル中で妻と子に手を上げ離縁。今はアルコール断ちをしているが、その描写がつらい。お咲は口減らしで売られ、気が強く虐待を日常的に受けているよう。

……エンタメの中に潜んでいるから余計に、設定がつらい。

彼らは、物語を通じ、自らの置かれた立場や経験をどう受け入れ、どう乗り越えるんだろうか。あまり言うとネタバレになっちゃうけど、結果、三者三様の向き合い方をする。

政醇、段蔵、お咲は、身分も立場も性別も違い、だからこそそれぞれの運命に抗えない。

身分の高い貧乏藩の殿様として振る舞わねばならないし、段蔵は忍びとして任務を遂行するしかない。飯盛り女のお咲に、できることなんてほとんどない。

おお、これが「身分制」なのか……描かれているのは教科書で習った「参勤交代」だけではない。

やっぱチャンバラ、忍者vs忍者っしょ!

と言いつつ、やっぱり時代物で見たい(読みたい)のは、刀を振り回るチャンバラシーンでしょ!

政醇は居合の達人で、強いんだぜ!

そして雲隠段蔵が、江戸城の大勢のお庭番相手に大バトルは超カッコいい!段蔵は登場時、得体が知れずモヤモヤした感じなんだけど、話が進むごとに段蔵の過去が明かされ、そして段蔵は更に強くなってゆく~!

映画版も、大チャンバラシーンがあるんだけど、唐突感があって若干呆気にとられながら見ていました(苦笑)。小説の方がスムーズに話が進んでいく感じ。

映画→小説の順がいい、かな?

あさよるは先に映画を見て、後から小説を読みました。

もし人に薦めるなら、同様に映画→小説の順をお薦めします。

理由は、映画の内容は欠けているからです。端折ってあるせいで唐突に物語が展開したり、「今の何?」「その設定何!?」と疑問が多かった。

小説版を読むと「なぜそうなったのか」「なぜその設定が必要だったのか」わかります。(なんで江戸の街でバトルしてるの?とか、政醇とお咲の過去重いわ!とかw)

ですから小説を読んでから→映画を見ると、なんかイメージ映像みたいになるんじゃないかなぁ?と思います。

映画は映画で楽しい作品なので、存分に楽しんでから小説をじっくり味わう作戦が(・∀・)イイネ!!

“歴史小説”ってとっつきにくいなぁって人へ

「歴史小説」って、なんか難しそう、とっつきにくそうなイメージがある方は『超高速!参勤交代』を読めば、そんなイメージぶっ飛びます。

あさよるは学生時代、歴史小説にハマってそればっかり読んでいた口なのですがw、全然堅苦しくないし、難しくないし、ひたすら超カッコいい話ばっかりで、歴史の登場人物たちにお熱でした(苦笑)。

気楽な感じで、エンタメとして楽しんでも乙なものです。

その意味で『超高速!参勤交代』は終始ドタバタと慌ただしくコミカルで、だけどキメるとこはびしっとキメる。素晴らしくエンタメしてる作品でした。

勧善懲悪モノの要素もあり、スカーッとする読了感。どうぞ~

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『コンピュータが小説を書く日 』|ショートショートで星新一賞チャレンジ!

以前、『人工知能は人間を超えるか』という本を読み、人工知能、AIに少しだけ興味がわきました。

昨今、ニュースでもAIの話題はよく見聞きしますし、「コンピューターが人間の仕事を奪う」なんて言って、将来消滅してしまう職業の一覧など、話題になりますよね。

ほんとのところ、どうなのよ!?

『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』

コンピュータは文章が読めない

コンピュータに小説を執筆させ、文芸賞・星新一賞受賞を目指す!名古屋大で人工知能のプロジェクトが始まりました。

まずは、星新一さんのショートショートを分析したり、自分たちで簡単な小説を執筆し、人はどうやって文章を作っているのか分解してゆきます。

意外なことに、コンピュータは小説を書くことよりも、小説を読むことが苦手なようです。「文脈を読む」とか、暗示を読み解くとか、ニュアンスや、人間が経験則で知っていることを理解するのがムズカシイよう。

例えば、気温が何度になったら暑い/寒いのかは、人間にとっては感覚的で説明不要の事柄も、コンピュータにはわかりません。

『コンピュータが小説を書く日』では、小説を書くための四苦八苦にページが割かれており、非常に興味深いのですが、文章を読む、理解するという、我々が何気なくやっている動作を、説明することは困難なのだと知りました。

まだまだ道半ば

名古屋大の佐藤先生のチームは、人工知能が東京大学合格を目指す「東ロボくん」の開発もしています。

人工知能に小説を執筆させる「作家ですのよグループ」と「東ロボグループ」は、どちらもまだまだ道半ば。

まさに今、なうで進行しているプロジェクトですから、『コンピュータが小説を書く日』を読んでいても、臨場感ありでワクワクします。

ただ、巷で語られるような「意思を持つロボット」「人類を凌駕するコンピュータ」みたいなイメージとはまだまだ程遠い様子。

テクノロジーを悪者に語られるときに使われる、コンピューターのテンプレって、フィクションの話なのね……。

文章を紡ぐって、どういうこと?

『コンピュータが小説を書く日』を通じて、普段自分がどうやって文章を紡いでいるんだろう?

どうやって文章を理解しているんだろう?

コンピュータにプログラムするためには、人間が人間らしい活動をどのように行っているのか、知る必要があります。人類が自らを研究対象としているんですね。

完成した小説(本書にも添付されています!)を星新一賞に応募すると、事務局から問い合わせが来ました。

1.最終的に文章を書いたのは、人間か、それともコンピューター(人工知能)か?
2.創作過程において、人工知能が果たした役割は?

どう答えればいいか、私は頭を抱えました。というのも、この質問には、いかようにも答えられるからです。

p.152

小説を出力したのはコンピュータであることは揺るぎない事実です。しかし、そのアルゴリズムを入力したのは人間です。

コンピュータが執筆したとも言えるし、アルゴリズムを人間が作ったとも言えます。

コンピュータープログラムは、無から有を作り出すことはできません。ですから、テキストを出力するためには、

・それをそのまま記憶しておくか、あるいは、
・より小さな部品から合成するか

のいずれの方法しかありません。

p.154

完成した小説を用意し、それをバラして置き換え可能な部品を用意し、文として成立するように条件付けをします。そして、部品をたくさん用意すれば、それらの組み合わせで膨大な物語を作れます。

これだと、コンピュータが小説を「書いた」とも言えるし、「書いていない」とも言えます。

細かな話は本書を読んでいただくとして、実際に文章を生成する様子が体感できるんですよ!

実際にweb上で文章を作成できます。面白いので、ぜひリンク先もご参照ください。

文章作成の様子は、YouTubeでもデモンストレーションが閲覧できます。

これらはたぶん、本書『コンピュータが小説を書く日』を読んでから見ると、胸が熱くなります。

外国語で小説を執筆できるか?

人工知能に小説を書かせるプロジェクト「作家ですのよ」。想像以上に大変なことっぽい。

こうやって、あさよるも毎日つらつらと文章を書いてネットに垂れ流しておりますが、それを「どうやってやっているのか?」を説明できぬ。

いったい、どうやって毎日ブログを書いているんだろう?そして、どうやって本を読んで文脈を理解しているんだろうか?

突然ですが、あさよるは外国語がからっきしダメです。日本語の能力は年々培われてゆきますから、相対的に外国語はますます苦手になってゆきます。

ニュアンスも読み取れないし、文化的背景もわからない。スラングや、暗に語られている含みや思考なんて絶対に読み取れません。

コンピュータは0と1のデジタルの言語を扱っています。彼らにとって、日本語で小説を書くことは、外国語で小説を執筆するのと同じです。

そりゃあ、細かなニュアンスを理解するには時間がかかるよなぁとしみじみ思いました。

(……ふぅ、あさよるも英語勉強しなきゃな)

『コンピュータが小説を書く日』を読んで、人工知能が物語を紡ぐ難しさに触れたのと同時に、なんか「これって、できるんじゃね!?」なんて、胸が高鳴りました。

あさよる、プログラミングやりたいなーと思いつつ、ずっと保留にし続けているのですが、マジでやりたい。楽しいだろうなぁ!ジタバタ。

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『小説 秒速5センチメートル』|小説で映画を補完^^

こんにちは。あまり映画や映像作品を見ない あさよるです。

「よっしゃ今年は映画にアニメ見まくったるで」と意気込んで挑まないと、あっという間に習慣がなくなってしまいます。昨年2016年は『真田丸』を熱心に見続けたので(週に5回以上見た)、今なら習慣付けができるかもしれん。

で、『君の名は。』ですよ。まだ見てないんですが(;’∀’)、いずれ観る。「まずは小説を読んでみようかなぁ」と(映画見れよ)、新海誠さんの本を探していて、『小説 秒速5センチメートル』をわが家に連れ帰ったのでありました。

映画の雰囲気そのままに^^

アニメ映画『秒速5センチメートル』は、数年前に見ました。

本書『小説 秒速5センチメートル』はあのアニメの抒情的な雰囲気がそのまま文章化されているようで、びっくり。

朴訥とした独白が、どんどん切なさを募らせてゆきます。

アニメ版のむせかえるように美しい風景も、小説になるとすんなりと受け入れられるから不思議だなぁと。

やっぱ映画で見たいよね

と言いつつ、やっぱ映画が見たいなぁと思いました。

あの彩度が高すぎる世界。世界が鮮やかすぎて、そこにある感情や言葉まで純度が高いまま、突き刺さってくるような。

あの感じね。

やっぱあれは、アニメで見たいなぁと。

主人公の心情が知れた

と言いつつ、小説版を読んでよかった。

アニメ版では語られていなかった主人公の心情や状況が描写されているんです。

あさよる、正直に言います。アニメ映画版を見た感想は「……うわっ」「ひくわ……」でした(苦笑)。

男性が見ると恋心をくすぐる切なく共感できる物語らしいですが、女性のあさよるは、ヒロインの明里(あかり)ちゃんの立場を想像してしまいます。すると、そのような感想が導き出されてしまうのです(;´・ω・)

しかし、『小説 秒速5センチメートル』では主人公の独白や状況描写が言葉にてなされているので、より主人公に共感しやすかったのかもしれません。

一応ネタバレは避けますが、第三話「秒速5センチメートル」で、大人になった主人公の物語が描かれます。

彼が何を思い、どんな生活をし、初恋の明里をなぜ想い続けるのか。主人公の言葉として語られていたのがよかった。

A chain of short stories about their distance

彼らを隔てる距離は、物理的に離れ離れになることであり、または一緒にいても心は遠く離れている。

物語中では、さまざまな距離や速度が語られます。

主人公・遠野貴樹は確かに、篠原明里と共にいて、心が通い合った時間がありました。

しかし、距離が彼らを引き裂いた。

とてもやりきれない物語ではあるけれども、青春時代が終わろうとするとき“時間”という隔たりが、彼を動かすのかなぁ、なんて。

マンガ版と小説『秒速5センチメートル one more side』というのもあるそうなので、そっちもよみたい。

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『家康、江戸を建てる』|地味ぃ~な天下取り!?

書評ブログや読書メーターでちらちらっと見かけて気になっていました。『家康、江戸を建てる』。

歴史小説です。

このブログで歴史小説ってまだ取り上げていないかも?夢枕獏さんの『陰陽師』のレビューはしましたが、あれは歴史小説のカテゴリーなのかな?

あさよるは一時期、歴史小説ばっかり読んでいた時期がありまして、結構好きですw

ちなみにこちら、岡田斗司夫さんが動画で紹介なさっていて、面白そうなので手に取りました↓

開拓すっぞ!

天正18年、小田原にて。相模、武蔵、上野、下野、上総、下総、安房、常陸の関八州。

豊臣秀吉から天下一の広大な土地を受け取った徳川家康。城は江戸とした。

当時の江戸は沼地で、将来、日本の都になるな土地ではなかった。

さて、家康は江戸を開拓に開拓する。

川を曲げ、山を切り開き、道を作る。

そして、日本全土に流通するにたる貨幣を作る。

都市に必ず必要な飲み水を確保する。

そして、徳川の天下を示す、ランドタワーを築く!

分厚い!けど、読める!

『家康、江戸を建てる』、分厚いです……w 単行本で約3センチ強くらい。

あさよるもビビってしまい、「しょ、正月に読もう……」と寝かせておりました。

で、年明け早々読み始めたのですが、これ、スラスラと一気に読める。三が日かけて読もうと思ってたのに、数時間で読み終えちゃいました。

ビビらなくてOKでしたww

歴史小説ですが、登場人物たちは現代の言葉を話していますし、堅苦しい雰囲気もありません。

サクッと楽しく、街づくりができる!

江戸を建てるプロフェッショナルたち

『家康、江戸を建てる』というタイトルですが、江戸を建てるのはその道のプロフェッショナルたちです。

「江戸城を建てたのは誰?」「大工さん!」というやつです。

第一話は、東京湾へ流れ込む川の流れを変えるお話。昔の江戸は一面の湿地帯で、とても人がたくさん住めるようなところではありませんでした。

大規模な土木工事によって、土地を手に入れないと日本一の城下町は作れない!

第二話は、日本の通貨を徳川が乗っ取ってしまおうというお話。精度の高い金の小判を作るプロジェクト。

第三話は、江戸の町に水道を通す。井戸を作っても飲み水が引けない江戸は、大都市になりえない。どこから水を引く?どうやって水を引く?と壮大なお話。

第四話は、江戸城の石垣をつくるお話。ただの石垣、されど石垣。巨石を江戸に運び込む。ただこれだけの話に思えるが、胸アツ展開なのです。

第五話は、いよいよ江戸城の天守を建築するのですが……ここでは秀忠が将軍として立派に振る舞っています。

「江戸を建てる」とは、江戸の街をつくることであり、またきちんと将軍家が代替わりすることです。

んで最後、なんかよく分からない感動で幕を閉じます。「あれ、これなん話だっけ?」って感じでw

地味ぃ~な天下取り、のお話

戦国武将が次の幕府を開く話です。

ですが、派手でドメスティックな“天下取り”の話ではなく、地味に土木工事、建設工事にいそしむお話なんです。

江戸版リアル・マインクラフトを想像すると、なんとワクワクしませんか!

ということで、結構面白かったです。サクッと読めるのも気持ちいい。

戦国武将や江戸時代の大名って、土木工事ばっかりやってるんですよね。そこを全面的に取り上げて、楽し気です。

登場するキャラクターたちも、みなどことなく愛らしいのも良い。

あさよる的には結構好きでした。

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