本・図書館

『編集者という病』|過激すぎると「本」でしか読めない

こんにちは。あさよるです。ブログを書くって、自分で文章を書き、自分で編集し、自分でディレクションして、自分で記事を公開することなんですよね。一人編集部なわけです。何年書いてもブログのクオリティが上昇しないのも「全部ひとりでやってるからしゃーないな」ということにしておきましょうw

この「編集する」という作業が、あさよるにとって、よくわかっていないトコロです。そういえば昔、仕事で「編集の勉強をせよ」と言われたこともありましたが、あまり気ノリせず、結局やらず仕舞い。「編集」と呼ばれる仕事をしている人の様子を見ていても、あまり「良い」とは思えず、モヤモヤとしたまま今に至ってしまいました。

そして、先日読んだ編集者の見城徹さん『読書という荒野』がとても印象的で、他の本も読んでみようと手に取ったのが『編集者という病』でした。『読書という荒野』でも、編集という仕事について書かれていましたが、『編集者という病』では、もっとダイレクトにこれまで編集してきた本の話が満載でした。

編集するということ

角川書店を経て幻冬舎を立ち上げ、数々のベストセラーを出してきた編集者・見城徹さんが、ご自身の仕事を振り返る。仕事……といっても、それは私事とか仕事とかそんな話ではなく、全身全霊、すべての時間をかけて本を作る編集者の姿です。それはもう「仕事」の枠をとうに超えていて、「病」であるというタイトルです。

尾崎豊に小説を書かせ、世に送り出し続けたエピソードは、「公私混同」とかそういう話じゃないですね。表現者とは魂を削ってそれを行う。編集者はそれを「本」という形にするため、表現者と向き合う。

あさよるは「編集」って、イマイチなにをする仕事なのかわかっていなかったのですが、その人の持っている「何か」をどう切り取り、どう見せ、どう形にしてゆくのかを決める大事な仕事なんですね。

出版当時話題になった、郷ひろみさんの『ダディ』では、ずっと友人だった郷ひろみさんが、妻から離婚を告げられ苦しんでいるという話を聞き、それを本にするよう持ちかけます。内容がセンセーショナルに扱われましたが、あくまで男女が出会って結婚し、子育てをし、離婚をするという、よくある話を、当事者が心情を吐露するのだと紹介されていました。そのとき、はらわたまで書き出すような、人間の光も影も詳らかに言葉にし、本にする。そのために編集をするのです。

出版はオワコンだから終わらない

よく「出版はオワコンだ」なんて言いますが、本書を読むと改めて「出版はオワコンなんだなぁ」と思うとともに「オワコンだからこそ、出版は終わらないんだろう」とも思います。

雑誌や書籍に書かれている内容は、本の形態に印刷され、綴じられているからこそ成立しています。で、ときどき、雑誌のコラムなんかがそのままWEBマガジンにWEB記事として掲載されたとき、炎上しちゃったりしています。メディアが変われば読者が変わり、文脈も変わるので、本・雑誌ではアリだけどWEBだとNGってのが少なからずあります。

雑誌や書籍のノリの記事がWEBで炎上しているのを見ると「オワコンだなぁ」と思うと同時に、だけど、だからこそ「WEBじゃ書けないこともあるんだなぁ」とも思うので、やっぱ紙の本・雑誌がなくなることもないのでしょう。誰でも無料で読めるWEB記事の良さもあるけど、読者を限定できないが故に、読者を想定しきれず、違う文脈で読まれてしまって、違う解釈をされることもあるでしょう。多くの人にあてはまる話だけをすると、毒にも薬にもならない話しかできないし、難しいところです。

で、本書『編集者という病』に書かれている中身って、結構ヤバいというかw、他人事として読むと「こんな熱い世界があるのかぁ~!!」と燃えるけれども、自分の身近にこんな魂かけて仕事する人がいるとヤだなと思う人も多いんじゃないでしょうか(苦笑)。特に、作家と公私混同を超えて、共依存関係のように、混ざり合い、本を作ってゆく様子なんて、一般社会には受け入れがたい世界観じゃないでしょうか。だけど、ギリギリで表現をし続ける作家の作品を「読みたい」という欲を止めることも難しい。

一般の良識、社会のモラルと、狂気の世界に生きる表現者の作品を受容することのせめぎ合いって、どちらを正しい/間違いと言い切れないから、なんとも言えませんね。これから私たちの社会は、それらをどうジャッジしてゆくのかを迫られているのかもしれません。

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『読書という荒野』|いくら読んでも満たされない読書欲

こんにちは。読書の秋がはかどっていない あさよるです。バテバテだった真夏よりは読書に時間をさけるようになってるんですが、なんだか日々が慌ただしくて本が読めていません>< 食欲の秋だったり、スポーツの秋だったりと、忙しいですからね。夏の間延期していたことがどっと押し寄せてきた感じです。

さて、今日読んだのは見城徹さんの『読書という荒野』です。見城さんは幻冬舎の社長で、数々のヒット作をつくった編集者でもあられます。

この「荒野」という響き、先日図書で『オオカミと野生のイヌ』という写真集を読みまして、荒野で一匹オオカミがジロリとこちらを見ているようなイメージが湧きました(図書館ではもっぱら動植物の写真集や図鑑を見るのが好きです)。

オオカミと野生のイヌ

実際にはオオカミは家族で生活するそうで、「一匹狼」とは親離れしてまだパートナーと出会う前の若い個体だけだそうで……って、オオカミの説明はいいやw

『読書という荒野』の表紙も、見城さんがジロリとこっちを見ておられて、最初は「これは一体なんの本なんだ」とドギマギとしてしまいましたw

無我夢中に読書する

『読書という荒野』は、幻冬舎の社長・見城徹さんが本を読みまくり、編集する理由の一端に触れることができます。

見城徹さんは子どもの頃からいじめに遭い、劣等感にさいなまれていた頃から、高校に入り一転リーダー的存在になり、その後進学のため上京し、そして編集者として〈暴れまわる〉様子が綴られています。

子ども時代のいじめの経験は読んでいても胸が痛いのですが、「死んでもいい」と決心し、いじめっ子に対峙したことで運命が変わり始める様子は、大人になった あさよるにも思うところがありました。そこまで人を追い詰めちゃダメだし、そして追い詰められた人はなんとしても生き延びます。その経験が、編集者としてのスキルに繋がっておられるんですね。

高校生になって、いじめがなくなって反対に自分の言葉で自分の考えを述べられる生徒になってゆく様子も、あさよるもこうありたいと思いました。体面を気にしたり、その場の雰囲気に呑まれるのではなく、自分で考えて自分の言葉で表明する。これも編集という言葉を扱う職業に繋がっています。

そして、編集者としてのご経験は、その高揚感と熱狂が羨ましすぎると感じました。この感じ、あさよるは赤塚不二夫さんのエッセイなんかを思い出す……トキワ壮の思い出のような。とんでもなく高揚した時間を一瞬でも過ごした人の話って、いつも羨ましく思います。あさよるにはそんな時間がなかったなぁ。

赤塚不二夫120% (小学館文庫)

編集者は「言葉」で作家にアプローチし、本を作りますから、言葉はとても大切なものです。そこに説得力や力を持たせるためには、嘘を言ったり口先だけの話をしていてはいけません。「編集者」というのも、これも一つの生き方なのだなぁと知りました。

思い出、思い入れのある本がある

あさよるにはちょっぴり劣等感がありまして……それは「人生を変えた一冊」的な、思い出の本、思い入れのある本が特にないということです。もちろん、その時々にハマったり大好きだった本はありますが、あくまでマイブーム的な感じで、「今の自分を作った本」みたいなね、そんな存在がないのです。

だから実は、読書体験や、自分の特別な本について語る人というのは、憧れの存在です。

『読書という荒野』にもそういう特別な本、特別な読書体験が語られていて、しかもただ読者としてではなく著者・作者と同じ時間を過ごしながら本を作っているんですね。羨ましい&憧れのW!

見城さんは小中学校ではいじめられて、読書がある種の居場所としても機能していたよう。これもあさよるにはない経験だったり……あさよるは一体、今まで何を読んできたんだろうかと頭が痛くなってきます(;’∀’)

みなさんも、特別な本、思い入れのある本、読書が逃げ場だったり居場所だったり、ただの情報源、物語に触れる以上の働きを感じられたことがありますか?

全然足りない、満たされない読書を

心を落ち着かせるために本を読むという人もいるそうです。あさよるは逆で、本を読むと興奮するし、刺激を求めて読書がやめられません。『読書という荒野』を読んでいると、同じく「興奮」「刺激」を追い求めていると感じました。だからこそ「羨ましい」「憧れる」とも思いました。

「読書という荒野」という言葉もいいですね。豊潤で実りの多い感じよりも、「荒野」でむさぼるように読む方が、読書っぽい。そう、いくら読んでも読んでも満たされない。まだまだ欲しい、全然足りない。だから荒野の中で孤独にただ我を忘れて本を読みまくる。読書ってそんなイメージです。

『読書という荒野』の表紙の、乱雑に本を積み重ねた感じとか、わかるわかる~って感じじゃないでしょうか。もちろん、読書する人って年間千冊単位で読むそうですし、あさよるも全然足元に及ばないんですけどね(;’∀’)

本を読む高揚感、興奮、読んでも読んでも満たされない、もっともっと欲しい気分が溢れ出ている本だったし、読んでいるだけで自分の読書欲が刺激されまくる本でした。

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『BOOK BAR』|本の中に友人を見つけることもある

こんにちは。あさよるです。みなさん「BOOK BAR」ってラジオ番組をご存知でしょうか。あさよるは今回、ラジオ番組が書籍化された『BOOK BAR』を手に取って知りました。毎週1時間、本を紹介する番組らしくって、ぜひ あさよるも聞きたい番組です。

で、本書『BOOK BAR』も想像以上に楽しく読める本でした。著者の杏さんと小倉眞一郎さんのお二人とも、ほんとに好きな本を紹介しあっていることが伝わって、本を読むってやっぱ楽しいことだよなぁと感じました。あさよるは乱読するタイプですが、本書で紹介されている本もジャンルも様々で、絶対一冊は気になる本が見つかるんじゃないかと思います。

杏ちゃん! 仲間やないか!(゚∀゚)人(゚∀゚)ナカーマ

『BOOK BAR』は杏さんと大倉眞一郎が本を紹介しあうラジオ番組が書籍にまとめられたもの。番組では1000冊にも及ぶ本が紹介されたそうですが、その中から厳選された本が紹介されています。

で、杏ちゃん! あなた! おまおれか! と叫ばずにはいられない。だって、一冊目に紹介されているのが池波正太郎の『幕末新選組』なんだもの! 杏さんは新選組が大好きで、新選組小説ならすべて揃っているという。ちなみに好きな新選組隊士は原田左之助らしいです。

んで、杏さんのWikipediaのページを見ますと、「趣味・特技・嗜好」はもう、「お前は俺か」と。自分のプロフィールかと思ったよ(その項目以外は何もかも違う)。「歴女」って言葉が流行語大賞に選ばれたとき、杏さんが受賞されたそうで、杏さんのそんな側面を知りませんでした。

吉村昭『大黒屋光太夫』を挙げちゃうところとかね。あさよるもこの本好きだった~。

「読書感」も共感!

途中、短いコラムが挟まれているんですが、そこで語られる読書感も自分に近く共感しました。

杏さんは「趣味は読書」という表現に違和感があり、「読書好き」くらいがちょうどいいと書かれていました。あさよるもこれは同じで、「読書って習慣のもんでしょ」と思っているから、「自分の趣味は読書だ」という言い回しが自分には当てはまってない気がしていました。だから「趣味が読書」な人と交流を持っても、なんだか申し訳ないような気持ちになってソワソワとしていたのです。

また、小倉さんは「活字中毒」について。『「私って活字中毒な人じゃないですか~」と寄ってこられると蹴飛ばしたくならない?』と本音を吐露しておきながらw、だけど活字の中毒症状について書かれています。確かに自分で自分を「活字中毒」なんて思わないし、そう称することにも違和感がありますが、だけど「活字中毒」としか言えない禁断症状が出てくるのも事実。「読む本がない」という手持無沙汰は慣れませんね。「活字中毒」とは認めなくないものの、どうしようもなく活字中毒である。

コラムは4つしか収録されていないのですが、共感しまくりでした。

読みたい本ザクザク

杏さんの歴女っぷり、とくに新選組好きに興奮してしまっていますが、『BOOK BAR』ではさまざまなジャンルの本が紹介されています。次読みたい本もいくつも見つかります。

「BOOKS BAR」ラジオ番組なのですが、この番組はあさよるの住む大阪でも聞けるんでしょうか……毎週、杏さんと小倉さんそれぞれが1冊ずつ本を紹介する形式になっているようで、すごい。あさよるもぜひ聞きたい番組です。

以下、自分メモ…φ(..)

番組DETA:毎週 土曜 22:00~22:54

あさよるが読みたいと思った本

  • 池波正太郎『幕末新選組』
  • ポール・デイヴィス『幸運な宇宙』
  • ヴィカス・スワラップ『ぼくと1ルピーの神様』
  • 半藤一利『幕末史』
  • ポール・オースター『幻影の書』
  • 野村みち『ある明治女性の世界一周日記』
  • ジェームス・ガーニー『ダイノトピア』
  • ダニエル・L・エレヴィット『ピダパン』
  • アレン・ネルソン『「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」』
  • 高野秀行『謎の独立国家ソマリランド』
  • 野々村馨『食う 寝る 坐る』
  • 高橋団吉『新幹線を走らせた男』
  • 栗原康『村に火をつけ、白痴になれ』

ついでに、あさよるも読んだことある本は

  • 池波正太郎『幕末新選組』
  • 森絵都『カラフル』
  • 半藤一利『幕末史』
  • 森薫『乙嫁語り』
  • 吉村昭『大黒屋光太夫』
  • 西岡常一『木に学べ』
  • 三島由紀夫『葉隠入門』

あたり。読みたい本をかぶってるのは、「また読みたい」ってことでw 昔に読んだ本は忘れちゃうので、ときどき同じ本を読み返したいですね。

本好きにあえて嬉しい!

今回『BOOK BAR』を読んで、すごく共感できたし、本を読む面白さが伝わって「ああ、仲間がいるんだなぁ」ととても嬉しい気持ちになりました。とくに杏さんは、あさよると同年代の方で、同じような情報に触れて、同じような趣味を持ってるんだなあと思うと、特別な気持ちになりました。

失礼ながら、あさよるはこれまで杏さんのことをあまり知らなかったので、本を通じて友だちができたような心強い気分です(「タイムスクープハンター」は見てましたよ!)。「新選組好き」という点では、多分あさよるより杏さんのほうが詳しいだろうから、ぜひ杏さんの案内で新選組本を読みたいなぁ。

あさよるはいわゆる「乱読」するタイプで、小説をたくさん読まれる方とはジャンルが違っているし、かといって実用書ばかり読むわけでもないし、好きな本を好きなときに好きなだけ読んでるだけなので、目的もなければ方向性もありません(苦笑)。だからあまり「同じような本の読み方をしてるな」って人に出会う機会が少なかったのですが、この「BOOK BAR」の企画はあさよるの読書傾向に近い気がしました。

本って単に情報をもたらすものや、感動を呼び起こすものだけでなく、本の中に友人を見つけることもできるのです。今回、なんだか新しい友人と出会ったようで、とても心強い気持ちになれました(`・ω・´)b

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『スマホ断食』|落ち着け!人とつながりすぎネット時代

『スマホ断食』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。あさよる家には中学生の頃Windows95がやってきて、高校生の頃から24時間ブロードバンドで常時ネット接続されるようになりました。10代の頃、朝まで友だちとチャットしてそのまま合流して遊びに繰り出したりね。ということで、あさよるは「ネット依存症」だと言われたらNOとは言えないでしょう。けど、ピークは越えていて、近場に出かけるときはモバイル端末を一切持っていないことの方が多いです。

スマホの登場によって、文字通り24時間ネットにつながりっぱなし、人とつながりっぱなしになった人も多いでしょう。寝る直前までLINEして、お布団の中でYouTubeを見て、朝一SNSチェックして。今日読んだ『スマホ断食』は、もはや当たり前になった習慣から、たまには脱却してみようとの誘いです。一人の時間、自分の思考に浸って、物思いにふける時間を取り戻しましょう。

「物思いにふける時間」を

本書『スマホ断食』は、スマホやパソコンから離れ〈ネット断ち〉の必要性を説く内容です。著者の藤原智美さんご自身が正月の三が日、パソコン、ケータイ、テレビ、ラジオもシャットアウトし、活字情報のみに触れる時間を作ったことで、「情報漬け」生活から距離を置きます。そこから、情報断ちを月に1回2回と増やしてゆき、とめどもないネット依存状態から脱した経験から始まります。

藤原智美さんは作家ですから、もちろんパソコンもネットも必需品です。しかし、そのパソコンやネットによって集中力が阻害されることにも触れられています。本書も決してスマホやネットを否定しているものではありませんが、「道具に使われている」状態を自覚し、脱出する重要性が紹介されています。

枕元にスマホを置いて眠るわたしたちは、24時間人とつながりっぱなしで「一人の時間」を失ってしまいました。現代の若い人は、スマホと一人部屋のいずれが欲しいか尋ねると、スマホを選ぶそうです。今の大人世代は、かつて「一人の時間」を過ごした経験を思い出してみてください。その時間は、自分の物思いにふけったり、ボーっとしたり、何かに集中したり、自分の思いを吐き出したり、なにかしらかの時間だったはずです。

時々思い出しては「一人の時間」を持つことは、意味がある活動ではないでしょうか。本書では、ネット依存によって起こっている弊害が紹介されています。

人とつながりすぎ時代

スマホを手にしたわたしたちは、24時間ネットにつながっています。スマホを操作する時間はケータイ時代の2倍になっているそうです。そして、その時間の多くはTwitterやFacebookのSNS、LINEなどに費やされます。それらは、単に暇つぶしではなく「向こう側に人がいる」のです。そう、現代は「人とつながりっぱなし時代」なのです。

そして、単に個人と個人がつながっているだけじゃない。情報に翻弄され、なにがなんだかわからなく、自我を失っていると言っても言い過ぎじゃないかも。

祭り・炎上に翻弄される

今やネット発の祭り・炎上がテレビや新聞等メディアをにぎわします。もうマスコミもネットを無視できないし、抑え込むこともできません。

今(2018年5月)アイドルタレントのわいせつ事件から派生して、セクハラ・パワハラの話題でタイムラインは持ちきりです。先月の4月には相撲の土俵の上で倒れた舞鶴市長に救命処置をした女性を、土俵から降りるようアナウンスしたことが炎上していました。その前にはFacebookの個人情報の取り扱いや、なにより今年は冬季オリンピックの年でした。遥か昔の話のようで忘れていた……。

あまりにも目まぐるしくトレンドが移り変わり、その都度なにがあったのかよくわからないまま、なんとなくの雰囲気に自分の気分も動かされています。その炎上や祭りの勢いを誰もコントロールできていませんし、「結局のところなんだったの?」ってことが多すぎます。

例えば「STAP細胞」の話題は、正直、多くの一般人は専門知識なんて持っていないし「結局あれはなんだったのか」分かってないんじゃないでしょうか。STAP細胞の騒動も、件の論文について指摘したのは専門のネットニュースサイトだったそうです。そこから、あれよあれよと一挙に大事件となり、亡くなった方もいましたが、多くの人には「結局あれはなんだったのか」わらかないまま。

また、2020年の東京オリンピックのロゴの盗作疑惑で賑わったこともありました。で、「あれは結局なんだったのか」って感じの人も多いんじゃないでしょうか。芋づる式に他の盗作を指摘する画像もネットで持て囃され、テレビでも放送されていました。

「自分の考え」を持つ時間がない

各話題の良し悪しの話は本題ではありません。ここで重要なのはトレンドに翻弄されることによる弊害です。結局なんなのかよくわからないニュースが多く、理解しないまま次々とトレンドが移ろってゆき、「自分の考え」を持つ時間なんてありません。「本当はなにがあったのか」を知る時間も、考える時間もありませんから、反射的に「快不快」や「好き嫌い」しか持てません。

いじめ自殺があると、いじめた生徒やその家族の名前、担任教諭の名前などが探り出され公開されます。そのとき「同姓同名の別人」がとばっちりでバッシングに遭うこともあります。少し考えれば「別人かも」という可能性が多いにあると分かりますが、もはや「祭り」になっている状態を誰もコントロールできません。

「いいね!」のために行動してしまう

SNSにどっぷり浸っていると、TwitterやFacebookで「いいね」されるための行動をとり始めます。「インスタ映え」はもはや伝統芸のようになり、加工された写真映えするかしないかで消費の動向が変わります。

市民マラソンがブームになってしばらく経ちますが、かつて「孤独」だったマラソンも、今や「SNSに投稿するため」にコスプレランナーも目立ちます。コスプレといえば、ハロウィンもいつの間にか定番のお祭りになっています。

出会った景色や出来事は「いいね」されるか否かで判断し、写真を撮って投稿して終わり。そのため、一瞬一瞬の風景や心模様に焦点を合わし「感じる」「考える」機会が減っているのかもしれません。

ネットネイティブ時代

すでにインターネットが普及したあとに生まれた「ネットネイティブ世代」は社会人になり始めています。彼らに見えている世界は、ネット以前の世代とは全く違うでしょう。そして、ネット以前に生まれた世代ですら、ネットの情報、SNSの人とのつながりにより翻弄され、かつて「ネットがなかった時代」とは全く違う時間を過ごしています。

新しい感覚と、従来の教育

ネットネイティブ世代にレポートを書かせると、平然とコピペでパッチワークされた文章を提出するそうです。それが彼らの「普通」なんですね。「著作権」という概念を持っていないかのようで、ネット上にある情報は無料で勝手に使っていいと考えているようにさえ見えます。

学校教育でもタブレットが導入されたり、黒板の代わりにタッチパネルのスクリーンが導入されている学校もあるそうです。事前に用意されたデータを映し出して授業は進みます。「黒板に注目」という決まり文句もそのうちなくなるのかもしれません。そんな教育では、そもそも「学校」自体が不要になるのかもしれません。実際に「MOOC」と呼ばれる、インターネットを使った教育も世界に普及しています。

一方で、アナログな授業を頑張っている先生もいるようです。小学生に辞書をひかせ、漢字をたくさん覚え、アナログの本で調べることを徹底して教え込んでいるのです。その教育を受けた子どもたちは、中学生になっても机の上にアナログの資料を並べ、自分で調べながら勉強することに抵抗がないようです。

人格がビックデータに集約されて……いいの?

ショッピングしてポイントカードを提示すれば、ポイントがどんどん溜まってラッキー! ……だと思っていますか? 企業はポイントカードで個人と買い物の傾向をひも付けし、よりピンポイントにセールスを行うために情報を集めています。ネットで買い物すればその買い物の傾向から、表示される広告が変わります。

自分という人格ではなく、自分が情報化されているようです。

著者の藤原智美さんは「智美」という名前の男性です。通っているフィットネスクラブで会員カードを提示すると、女性用のロッカーキーを渡されることが二回や三回じゃないそうです。目の前の男性からカードを受け取ったのに、パソコン画面に映される「智美」という名前だけで女性だと判断されているようです。

すでに、生身の肉体や人格よりも、情報・データの方が大きな意味を持つ時代は来ているのかも。

『スマホ断食』挿絵イラスト

みんな、おちつけ!

芸能人の不倫とかLINE流出とかセクハラとかブログ炎上とか、もう、とりあえず落ち着け! 実際に、当事者間で何があったのかなんて到底わたしたちにはわからないんです。芸能人のスキャンダルや下世話な話がオモシロイのはよーくわかりますが、冷静に考えてみると、これってとても恐ろしいことかもしれません。

そりゃ、芸能人のスキャンダルは「見世物見物」かもしれませんが、日々炎上している話題の中には、わたしたちと同じ〈一般人〉も多くいます。別に有名人でもタレント志望でもない人が、あるとき、ある瞬間に「見世物」にされるって、恐ろしくないっすか? 当人に過失もなく、事実とは違う言説が拡散されちゃうこともあります。そして、誤報は一気に拡散されるのに、訂正はあまり拡散されないというジレンマもあります。

まあ、とりあえず落ち着け! ちょっと深呼吸して、スマホとパソコンの電源を落として、まずは「落ち着く時間」を。そして「ゆっくり、自分の頭で考える時間」を。時にはアナログの紙の情報を集める習慣も。『スマホ断食』は、誰もがネット依存症の時代だから、意識的に取り入れてもよい習慣です。

ネットネイティブ世代が知ってること

あさよるの個人的な考えでは、ともあれ「ネットネイティブ世代」の言動は、これからの新しい時代の常識なんだろうと思います。ネット上にある情報をまるで著作権フリーであるかのような振る舞いも、昭和世代の あさよるには理解しがたい一方で、インターネットの世界は今後そんな世界を目指すのかもしれません。

また、教育のあり方が変わり、学校が不要になるんじゃないかというのも、半分はそうだろうと思い、半分はそんなことはないと思います。確かに、学習はインターネットを使って遠隔で可能だし、ニーズもあるし、今後も増えるだろうと思います。しかし「教育」とは、別に読み書きそろばんを教えるだけじゃなく、「○○らしい行動」や「こんなときどうする」といった、思想や立ち振る舞いを教える場でもあります。それが良いのか悪いのかわかりませんが、「学校教育がなくなる」というのは、ホントにあるのかな? と訝しむ。

あさよるも若い頃は、もっと的確にリアルな「今」を感じていましたが、もう年を取ってしまって「常識」が邪魔をして今が見えません。インターネットは、かつてなら接点のなかったような若い人の話を知ることができるのが、最大の利点だろうと思います。

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目次情報

プロローグ いまこそスマホ断食を

まず三日間の情報断食を始めた
個人が消滅した社会がやってくるのか
一匹のアリのように群れの一部になる
スマホ歩きは非人類的
スマホ利用時間はガラケーの二倍
人間の権利としての散歩
個人の時間を失いつつある
この本を読みながらスマホ断食を

第一章 私の思い出はスマホには収まらない

大量消費に背を向ける「シンプルライフ」
スティーブ・ジョブズもミニマリスト?
シンプルライフにならざるをえない理由
暮らしがデジタル情報に還元される
モノを捨ててスマホ中心の生活

第二章 データに分解された私を誰かが見ている

私が消えてデータだけ残る
私が誰かによって保管されている
ポイントカードの落とし穴
私の情報が統合されている
ネット空間で見られつづける私

第三章 ネット社会の匿名性

著作権などいらないという新しい世代
無神経で軽率さがあふれたネット世界
元少年Aという匿名のモンスター
匿名性が大手をふるうネット時代
ネット言葉で公共性は守られる?

第四章 ネットでは「盗み」は知的作業なのか

ネットが書いた「STAP劇場」
ネットは二十一世紀のモンスターメディア
なぜ捏造が蔓延するのか
ネットのデジタル技術がモラルハザードを生む
不正の起源は二〇〇五年にある
デジタルな虚構が現実になる

第五章 自己愛が「祭り化」で加速する

仮装の若者に占拠された
ハロウィーンはコミュニティ喪失から生まれる
ネットが新しい祭りをつくる
仮装は自分を隠す小道具
現実の祭りもネットの素材にすぎない
見られたがりやの人々
ネットの仮想と現実が直結
人づきあいが嫌で祭りに出る?

第六章 「見られたい」という欲求

マラソンは孤独で哲学的なスポーツ
ネットで祭り化した市民マラソン
ネットで祭り化する日々
ただの歩行者が観光の目玉になる
広告トラックも祭り化を促進する
見物人が見物される祭り
盆踊りは仏教行事だった
渋谷スクランブル交差点の祭り化もはかなく終わる?

第七章 ネット動画とのつきあい方

ネット動画だからこそ残酷になる
ネットは世界の距離をなくす
動画が受け手の感情を翻弄する
エスカレートする動画表現
対抗できるのは書き言葉

第八章 ネットが人を委縮させる

肉声より強力なLINEの言葉
SNSは「私」を裸にする
冷めゆくネットユーザーの熱狂
スマホがあなたを覗いている

第九章 紙の本が思考を鍛える

黒板がなくなると学校もなくなる?
教育の効率化はデジタル化ではない
小学二年生で常用漢字をすべて覚える子供たち
ネットが言語能力を奪う?
紙の本が教えてくれる知性への謙虚さ

第十章 スマホから逃れて自分を取り戻す

ネットが集中力を奪う
ネット離脱で文章が噴きだしてくる
ネットに合わせえて思考が変わる
使っているつもりが「使われている」
「私」ではなく「皆」がネットのセオリー

あとがき 「物思いにふける」ということ

藤原 智美(ふじわら・ともみ)

一九五五年、福岡県生まれ。九二年、『運転士』で第一〇七回芥川賞受賞。
ノンフィクション作品にはベストセラー『「家をつくる」ということ』『暴走老人!』のほか、ネット社会の問題点を明らかにした『検索バカ』『ネットで「つながる」ことの耐えられない軽さ』がある。
http://tm-fujiwara.cocolog-nifty.com

『成功読書術』|ビジネス書としての名著から学べ

こんにちは。読む本に困る あさよるです。読書ブログを始めて、一日一冊ペースで本を読むようになって、最初に困ったのは「次に読む本を常にストックし続けること」でした。そのためには事前に「読みたい本リスト」を作っておく必要があります。本屋に行けばズラッと新刊本が並んでいるし、図書館には一生かかっても読み切れない蔵書があるし「読む本がない」という事態はないでしょうが、膨大な数の中から「選ぶ」という作業がコレ意外にもハード。

ブログを始めて「読書案内の本」というジャンルがあることを知りました。次に読むべき本、これくらいは読んでおくべき本を教えてくれる親切な本です。同じく、ブログを始めてから読みはじめた「ビジネス書」も、読むと結構面白い。今日はその、「ビジネス書」の「読書案内の本」の組み合わせの一冊です。

著者はAmazon.co.jpの立ち上げにも係わった土井英司さん。自らを「ビジネス書バカ」と称しておられる猛者です。

ビジネス名著30選!

本書『成功読書術』はビジネス書の名著30選が紹介された読書指南書です。「本が売れない」と叫ばれて久しいですが、本が売れないとはつまり、先人たちの教えが途絶えてしまうことです。これはいかんということで、過去の名著がラインナップされています。

書店では売れる新刊本を並べる傾向があるので、Amazonでは昔の本が売れる傾向があるそうです。「書店で探しても見つからないからネットで」てな具合ですね。新刊本を探すなら書店、名著を探すならネットとユーザーも使い分けをしているのかも。

著者の土井英司さんはご自身のことをと、本書の趣旨を紹介しておられます。

 私は、出版業界では、「ビジネス書フリーク」と呼ばれているようです。放っておくと年間100万円はビジネス書につぎ込むので、フリークというよりは、「ビジネス書バカ」と言ったほうがいいかもしれません。
本書は、その「ビジネス書バカ」が、これまでに出会った古今東西の名著の魅力と、その読み方をご紹介するものです。
全部で30冊、人生や仕事に役立つ名著を紹介しており、なかにはビジネス視点的で読み解くことがはばかれるような不朽の名作もあります。ただ「名著とはいつの世も人々の役に立つもの」との認識から、あえて現代的な読み方もさせていただきました。

p.6-7

「ビジネス書バカ」を自称する著者が、新旧の名著を解説する。しかも本来は「ビジネス書」に分類されないような書物まで、ビジネス書としての視点で読み解いてゆくという取り組みです。

また、ビジネス書を読んでも、実際に書いてあることを実践するのは人は5%くらいのもの。だから、成功のノウハウをすべて公開してしまっても大丈夫。本当にやる人がごく一握りだから、ビジネス書の著者は出し惜しみする必要はありません。なもんで、名著と呼ばれるビジネス書に書いてある通りにやれば、上手くいく見込みは高そうです。

30冊のラインナップを後ほどサクッと紹介します。

ビジネス書はオモシロイのだ

あさよるはビジネス書を手に取るようになったのは、実はこのブログを始めてからです。大ベストセラーになったビジネス書は読んだことがありましたが、そうでなければ特に興味もありませんでした。しかし、ビジネス書も読み始めると、これがまた面白い。もちろん玉石混淆ですが、人間の普遍的な活動や、人間心理、社会背景や思想の変遷など、学問としてでなく、実践としてビジネス書にまとめられているのです。

ビジネスだって、平たく言えば人と人との関わりです。人間関係を良好なものにし、相手のニーズを読み取り、自らの居住まいを正し、「どう生きてゆくのか」が説かれているんですね。これ、ブログを始めた一番の収穫が「ビジネス書を読むようになった」ことだと思います。

本書『成功読書術』は、ビジネス書の名著とタイトルと、内容の要約が詰まっています。本書を読んでいるだけでも「次読んでみたい本」の宝庫。ビジネスとして実践するのは当然として、「嗜みとしての読書」にも最適です。

ビジネス書30選

以下、本書で紹介される30冊のビジネス書をまとめています。

『人を動かす』デール・カーネギー

「人を動かす三原則」「人に好かれる六原則」「人を説得する十二原則」が紹介される。人の心をつかみ、人を動かすことで成功へと近づきます。『人を動かす』は当ブログでも紹介しました。

『人間性の心理学』A・H・マズロー

マズローの「欲求5段階説」は有名ですが、その中の「自己実現」の概念を理解している人は稀です。人の欲求について、戒めと深い理解をもたらします。

『影響力の武器』ロバート・B・チャルディーニ

「人の心の引き金を引く、承諾誘導のテクニック」が、心理学原理に基づき紹介されます。

『思考と行動における言語』S・I・ハヤカワ

私たちは「記号」で物事を判断し、理解している節があります。その「記号」を悪用した詐欺や傷害事件も存在します。シンボルや制服なんかがその例です。

『ホモ・ルーデンス』ホイジンガ

人とは、遊ぶサルである。遊び・遊戯の中から文化が生み出されたとするのが「ホモルーデンス」の考え方です。

『情報の文明学』梅棹忠夫

「農業の時代」「工業の時代」「精神産業の時代」と産業の時代を区切って説明した『情報の文学』は、アルビン・トフラーの『第三の波』よりも前に発表された書物です。発表当時は批判もあったようですが、今の視点でみるとどうでしょう。

『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル

悲惨な状況で生き残るために必要なのは「精神の自由と内面の豊かさ」である。

『私はどうして販売外交に成功したか』フランク・ベドガー

営業マンとしての心構え、考え方が紹介される。顧客の心をいかに導くか。そのための手段。

『風姿花伝』世阿弥

「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」。世阿弥の『風姿花伝』もビジネス書として読み解きます。「道」を極める求道者なら誰しもが当てはまる名著。

こちらもどうぞ↓

『君主論』マキャヴェリ

中世イタリアでは過激であると一時はローマ教皇の禁書目録にも入っていたんだとか。良心では認めたくはないが、納得せざるを得ない人間観が描かれる。

『ビジネスは人なり投資は価値なり』ロジャー・ローウェンスタイン

投資家目線の、企業経営のあるべき姿と本書のタイトル「ビジネスは人なり 投資は価値なり」の意味がわかるでしょう。

『相場師一代』是川銀蔵

「最後の相場師」と呼ばれた是川銀蔵、波乱に満ちた人生で巨額の富を手に入れました。真理を見通す洞察力に注目です。

『人生と財産』本多静六

40歳にして100億円余りの資産を築いた本田静六。本書のポイントは、財産を築くための心得、学問や仕事への姿勢、人生設計。

『人間における勝負の研究』米長邦雄

どんな道でも、道を究めた人はスゴイ。『人間における勝負の研究』の著者は「棋聖」米長邦雄。勝負の極意。

こちらもどうぞ↓

『もっと深く、もっと楽しく』中部銀次郎

アマチュアゴルフ界のレジェンド・中部銀次郎。ゴルフの心得、勝負の心得が書かれた本ですが、多くの人に当てはまる内容。

『世紀の相場師ジェシー・リバモア』リチャード・スミッテン

世界恐慌を予測し、ひとり大勝ちした伝説のジェシー・リバモアの投資論を綴った一冊。彼の壮絶な人生から学べ。

『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』ジェームズ・C・コリンズ

偉大な企業に共通し、飛躍したが持続しなかった企業になかった点を指摘する。真に偉大なリーダーとはなにか。

『プロフェッショナルマネージャー』ハロルド・ジェニーン アルヴィン・モスコー

経営は実行である。どんな理論も一気に問題を解決してくれることはない。失敗の意味ばかり考えるのではなく、成功の意味を考える。

『ブーメランの法則』ファーガル・クイン

社内教育用に作られた本書。顧客志向について説かれた名著。

『小倉昌男 経営学』小倉昌男

ヤマト運輸の元社長・小倉昌男が書き下ろしたケーススタディ本。儲からないと言われていた個人宅配に「宅急便」の市場を切り開いた。

あわせてどうそ↓

『経営に終わりはない』藤沢武夫

本田宗一郎の参謀・藤沢武夫の半生。カリスマのナンバー2の姿です。

『真実が人を動かす』ケン・アイバーソン

倒産寸前の製鉄所をアメリカでもトップクラスの優良メーカーに育て上げたアイバーソンが実践したマネージメントや評価や報酬など、人の心を動かす心得。

『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』キングスレイ・ウォード

ビジネスマンとして成功した父が、起業家を目指す息子にあてた手紙の形式。父が息子に教えること、それは「常識」。厳しいエールもあります。

『学問のすゝめ』福沢諭吉

言わずもがなの名著。「物事を疑って取捨を断ずる事」。これは経営でも同じ。

『アラン人生論集』串田孫一編

我々はどう生きるのか。短い表現方法でアランの人生論に触れましょう。

『道をひらく』松下幸之助

自分を道を生きるために、自然体で居続ける。素直で謙虚で、気配りを忘れない。どんな時代でも道をひらくための力です。

『経営者の条件』P・F・ドラッカー

「エグゼクティブの仕事は、成果をあげることができる」「成果をあげることは修得できる」、成果を上げるための努力をエグゼクティブがしない限り、成果はついてこない。

『7つの習慣』スティーブン・R・・コヴィー ジェームス・スキナー

私たちは、物事を必ず何らかのレンズ越しに見ている。そのレンズをはずし、依存から抜け出し自立する。そのための「7つの習慣」です。

『ザ・ゴール』エリヤフ・ゴールドラット

閉鎖寸前工場を3か月で再建する小説。登場人物の苦悩、目標達成する興奮。小説だからこその共感。

『古代への情熱』シュリーマン

トロイヤ遺跡を発見したシュリーマンは、苦難の中でも幼いころからの夢を忘れませんでした。その情熱に触れましょう。

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読書術の本

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『頭がよくなる必殺! 読書術』|スゴイ勇者になるために!

こんにちは。寒さに身も心もかじかむ あさよるです。こんな日は毛布にくるまって読書に限る。ということで、『頭がよくなる必殺!読書術』という、よくある自己啓発本っぽいタイトルですが、子ども向けの「読書論」を解く本を読みました。

子ども向けですが、内容自体は大人への読書指南と変わりません。文体が小学生向けになっているだけです。さすが教育学者の斎藤孝先生だけある。よくできた良い本でした。

ということで、以下ザックリと本書の内容をまとめました。

読書は錬金術だ!

読書とは錬金術なのだ。錬金術とは、その辺の石ころを金塊に変えてしまうヤツである。そう、その辺の石ころ人間が、本を読むと黄金人間になっちゃうってワケだ。カッコいいだろう?

ここで問題!

〔問題〕本を読むと、どんな「いいこと」があるでしょうか?
みんな答えを読む前に、考えてみてください!
〔答え〕知らなかったことを知ることができる。知らない人の気持ちを感じ取ることができる。行ったことのない場所を想像することができる。その本を書いた人と一対一で会話している気持ちになれる。ひとりでも楽しい時間を過ごすことができる。友だちとの話題ができる……。

p.8-9

本を読むのはいいこと尽くめ。いいことしかないのかもしれない。損はないしコスパも最高だし、だから本を読もう!

まずは本を読むコツ!

  • 読書術その1 まずは十冊、読んでみようよ

本を読む技術を身にをつけましょう。スラスラ読める人は本を十冊以上読んでいます。

  • 読書術その2 大切なのはスピードだ!

内容は簡単なのでいいから、どんどん読もう。おすすめは『ズッコケ三人組』『三毛猫ホームズ』『かいぞくポケット』『はれときどきぶた』。読み切ったときの「読破感」を味わおう!

  • 読書術その3 自分だけの本棚を持とう!

読書好きは自慢の本棚を持っている。自分の本棚を用意して、読破した本をチラチラ見よう。そのたびに気持ちよくなるよ。

  • 読書術その4 新しい本をどうやってゲットするか

ズバリ「親に買ってもらう」! ソシャゲ課金させてくれないパパママも、本なら買ってくれるぞ。

  • 読書術その5 “チラ読み”で本を選ぼう

パパママとお出かけするときは、必ず本屋に寄ってもらう。本屋さんは何も買わなくても収穫がある。本屋さんで本を眺めているだけで本に詳しくなれるのだ! 「与えられる」のではなく「選ぶ」力が身につくぞ。

  • 読書術その6 “芋づる式”で本と出合おう!

本を読んだら、その本を書いた人を調べよう。同じ人の本を続けて読むと読みやすいぞ! ある本が面白かったら、同じジャンルの本をどんどん読んでもいい。作者やジャンルを芋づる式で読もう!

黄金人間になろう!

  • 錬金術その1 想像力をつけろ!

紙に文字が書いてあるだけなのに、本を読むと頭の中に映像が浮かんでくる。これが想像力だ! 動物は本を読んでも感動しない。本を読んで想像して、感動するのは人間だけだ。想像力がある人は、人の気持ちも想像できる。ジコチューにならずに済む、「人間らしい」力なんだ。

  • 錬金術その2 映画監督になりながら本を読む

他人が作った映画を見てハマってるだけじゃダメ。自分も頭の中で映画監督になれるんだ。本を読んでいるだけで映像が見えてくる。

  • 錬金術その3 読書で人生を十倍楽しもう

自分はこの世にたった一人しかいないけど、本を読むとほかのたくさんの人生が待ち受けている! 本を読むだけで人生が十倍にも二十倍にもなるのだ! これはかなりコスパよし。トクしかしない。

  • 錬金術その4 使える言葉を増やせ!

本を読む量は、言葉遣いでわかる! 本を読んで言葉をたくさん知ると、とっても気持ちがラクになる。自分の気持ちをうまく言葉にして伝えることができるからだ。会話の中に熟語や四文字熟語を取り入れると、かなり時短にもなるし、ちょっとカッコいいよね。

本を読むと頭がよくなる!

本を読むと、「文脈」がわかるようになる。

文脈について説明しよう。脈というのは“つながり”です。山脈という言葉を聞いたことがあるでしょう? 山と山のつながりを山脈といいます。同じように文と文のつながりを文脈といいます。
「前にこう言ったから、いま、この話をしている」
というのが文脈です。
そして、この文脈をキャッチして、わかる力が“文脈力”。その力のある人は、文脈力のある人。そして、じつは“頭がいい”というのは、文脈力があるということなんです。

p.67

文脈がわかるようになると、人の言葉を誤解することが少なくなります。文脈について説明するのはカンタンですが、大人でも文脈がわからない人はたくさんいます。本の場合はわからなくなったらページを読み返せばいいでトレーニングにぴったり。ガンバレ!

読書感想文対策も!

  • 必勝法その1 読んだら人に話す!

本を読んだら「聞いて!」といろんなひとに話そう。

  • 必勝法その2 “らくがき読書術”を使おう!

本を読むとき、本に色ペンで線を引きながら読もう! 斎藤孝先生は、絶対に大事なところは赤まあまあ大事なのは青おもしろいところは緑にしています。で、読書感想文で大事なのは、緑のおもしろいところ!読書後、緑のところを集めれば読書感想文ができたも同然なのです。 ※ただし、くれぐれも自分の本にしかしちゃだめだぞ!

  • 必勝法その3 本の文章を写そう!(引用)

一冊の長い本の中から、面白い部分を切り取れる力が大切だ! 本をちゃんと読んだって証拠にもなるしね。引用はプロもやっていいんだよ。

 最初は、自分がなにか気になるなと思うところ、ここではなにか一言、言ってみたいなと思うところを引用するのがいいでしょう。そうすると、
「~~(引用部分)~~とありますが、ぼくは……と思います」
というふうに文章を書くことができる。

p.96-67

以上、引用の仕方を引用してみた(^^♪

  • 必勝法その4 “名場面ベスト3”を見つけだせ!

自分で名場面だと思ったところベスト3を選んで、どうしてそこが名場面だと思ったのかを口に出して言ってみる。よかった理由があるはずだ! それを「キーワード」といいます。

  • 必勝法その5 “かど折り読書術”を使おう!

あとからキーワードを探しやすいように、本のページの角を折って印をつけておこう! 絶対引用するところはデッカク赤ペンかなんかで囲っておこう。だから本は買って読むのがおすすめだ!

  • 読書感想文の書き方 まとめ

大人になっても役立つ読書感想文の書き方がまとめられているのですが、これは本書を読む人のお楽しみってことにしておきます。先に挙げた必勝法1~5をまとめてあるだけなのですが、コンパクトにまとまっていて役立つでしょう~。

子ども向けを侮るなかれ!

本書『頭がよくなる必殺!読書術』の読了後の感想は……「ふつうにええ本やなあ」。子ども向けの内容ですが、書かれていることは大人にも当てはまります。日ごろから読書習慣がある人だって、読書がどんな風に人の成長に関わっているのか、簡単に説明するのは難しいはずです。また、文脈を扱う力も、意識しないと身につかないでしょう。

そして、秀逸なのは読書感想文必勝法です。めっちゃコンパクトで簡単に書かれているだけなんですが、これなら感想文を軽いノリで書きこなせそうです。あさよるネットでもこれまで、読書感想文の書き方の本を紹介していますが、どれも「読書感想文という特別なもの」という感じでしたが、本書ではブログ記事を書くようなノリです。

あさよるも読書ブログなどを運営していますので、斎藤孝先生のいう「読書感想文必勝法」は知らずに実践している部分が多かったです。

子ども向けだけれども、それだけに率直でマジメなことを、軽いノリで書いてある良書でした。

読書感想文の書き方の本

『ドラえもんの国語おもしろ攻略 読書感想文が書ける』/藤子 F不二雄

『すらすら作文が書ける』/方倉陽二

『読むことは生きること―読書感想文の書き方 中学生向き』/依田逸夫

『読書かんそう文のかき方 中学年向き』/依田逸夫

備忘録的個人メモ…φ(‘ω’)ノ

以下、『頭がよくなる必殺!読書術』に収録されていた斎藤孝先生のおすすめ本。みなさんは何冊読んだことがあるだろうか。

まずは、このあたりから読んでみよう

  • 『こくごであそぼ』/齋藤孝
  • 「大どろぼうホッチェンプロッツ」シリーズ/プロイスラー
  • 『きまぐれロボット』/星新一
  • 『フランダースの犬』/ウィーダ
  • 『あばれはっちゃく』/山中恒
  • 「イソップ」の童話/イソップ

一気に読めるものシリーズもの

  • 「はれときどきぶた」シリーズ/矢玉四郎
  • 「かいぞくポケット」シリーズ/寺村輝夫
  • 「クレヨン王国」シリーズ/福永令三
  • 「ムーミン」シリーズ/トーベ・ヤンソン
  • 「大草原の小さな家」シリーズ/ローラ・インガルス・ワイルダー

冒険もの・探偵もの

  • 「ドリトル先生」シリーズ/ヒュー・ロフティング
  • シュール・ヴェルヌのSF(『海底2万マイル』『十五少年漂流記』ほか)
  • 「ゲド戦記」シリーズ/アーシュラ・K.ル=グウィン
  • 『タイムマシン』/H.G.ウェルズ
  • 「シャーロック・ホームズ」シリーズ/コナン・ドイル
  • 「怪盗ルパン」シリーズ/モーリス・ルブラン
  • 「怪人二十面相」シリーズ/江戸川乱歩

日本の名作・世界の名作

  • 『坊ちゃん』/夏目漱石
  • 『走れメロス』/太宰治
  • 芥川龍之介の短編集(『蜘蛛の糸』『羅生門』『杜子春』など)
  • 宮沢賢治の童話(『セロひきのゴーシュ』『雨ニモ負ケズ』『銀河鉄道の夜』など)
  • 『わらしべ長者――日本民話選』/木下順二
  • 「ギルガメッシュ王」三部作/ルドミラ・ゼーマン
  • 『三銃士』『モンテ・クリスト伯(巌窟王)』/アレクサンドル・デュマ
  • 『レ・ミゼラブル(ああ無常)』/ビクトル・ユーゴ―

ファンタジーもの

  • 『星の王子さま』/サン=テグジュペリ
  • 『モモ』『はてしない物語』/ミヒャエル・エンデ
  • 『ピーターパン』/J.M.バリ

女の子のための必読図書

  • 「赤毛のアン」シリーズ/ルーシー・モード。モンゴメリー
  • 『秘密の花園』/フランシス・ホジソン・バーネット
  • 『アルプスの少女ハイジ』/ヨハンナ・スピリ
  • 『若草物語』/ルイザ・メイ・オルコット
  • 『あしながおじさん』/ジーン・ウェブスター

その他、ぜひ読んでほしいもの

  • 『いしぶみ――広島二中一年全滅の記録』/広島テレビ放送

関連本

『読書力』/齋藤孝

『ちっちゃな科学』/かこさとし,福岡伸一

『王様の勉強法』/荒俣宏,中谷彰宏

『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』/おおたとしまさ

『キミが勉強する理由』/藤原和博

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『死ぬほど読書』|読書はしないといけないの?

こんにちは。いつの間にか読書ブログをはじめていた あさよるです。当初はもっと雑多な話題を扱おうと思ってたのですが、すっかり本の話題のみにw ということで、やはり「本」や「読書」を扱う本が気になります。読書ブログが読書本の感想を書くという、ややこしい入れ子構造でございます。

本書『死ぬまで読書』の著者は元伊藤忠商事社長の丹羽宇一郎さんが、朝日新聞の投書に寄せられた読書に関する大学生の声に答えます。

なんのために本を読むの?

本書はこんな問いから始まります。

「読書はしないといけないの?」

これは、2017年3月8日の朝日新聞に掲載された大学生の投書です。大学生の読書時間が減っているという話題を受けて、読書が教養や新しい価値観に触れるなどの有用性を認めながらも、「だからと言って本を読まないのは良くないと言えるのかどうか」と問いかけけています。曰く、投稿者は読書習慣がなかったけれども大学受験で苦労したくらいで、大学生になってからは一般教養として書籍を読んでいるが、「糧になる」とは感じないそうです。それよりも、バイトや大学の勉強の方が大事だし、読書は趣味の範囲だろうと考えています。

本書『死ぬほど読書』は、この大学生の問へのアンサーです。なぜ本を読むのでしょうか。序章である「はじめに」にて、本を読む意味が端的に示されています。

 人は自由という価値観を求めて、長い間、闘ってきました。努力し、工夫し、発明して進歩してきた果てに、いまの自由な社会はあります。
それは人類史上、かつてないほど自由度の高い環境といっていいかもしれません。
しかし、「何でもあり」の世界は一見自由なようですが、自分の軸がなければ、じつはとても不自由です。それは前へ進むための羅針盤や地図がないのと同じだからです。それらがなければ、限られた狭いなかでしか動けません。
では、自分の軸を持つにはどうすればいいか?
それには本当の「知」を鍛えるしかありません。読書はそんな力を、この上もなくもたらしてくれるはずです。
すなわち、読書はあなたをまがいものではない、真に自由な世界へと導いてくれるものなのです。

p.7

本書でも、不要だと思うなら読まなくていいんじゃないと言いながらも、読書の楽しみや面白さを知ってしまうとやめられないと、読書がもたらす効用について広がってゆくのです。

読書好きなら語りたくなる!

この「読書はしないといけないの?」という問いに、みなさんはなんと答えますか? まずなにから話始めましょうか。本書では、まずは情報が溢れかえった現在、情報の取捨選択を自らがしなければなりません。事実として玉石混淆の中から、自分が必要な情報を探し出す能力が求められています。そのために兎に角も必要なのは「知識」であり、それを手っ取り早く身に着けられるのは「読書」です。

先の朝日新聞投稿欄の大学生は、自身の学業や将来の職業に必要な知識だけを身に着けようとしているんです。しかし、実際には毎日届くメールや、ヒットしたキュレーションサイトの記事や、SNSで飛び交う情報に私たちは晒されていて、怒涛の情報を一気に処理し続けねばなりません。「職業に必要な知識だけ」では足りないのです。

また、読書論は死生観にまで及びます。どう生きて、いずれ訪れる死とどう向き合うのか。必ず訪れるその瞬間を考えるとき、先人たちが残した記録に触れることができるのです。

読書好きなら語りたくなる!

本書『死ぬほど読書』では、読書の有用性をとことん説きまくる戦法で、読書の必要を主張します。さて、みなさんならどんな切り口で「読書はしないといけないの?」という質問に答えますか?

「読まなくてもいいよ」というのも答えの一つです。読書が必要だと感じた時があれば、その時に本を読めばいいのです。あるいは、「好奇心を満たすため」の欲望渦巻く読書の世界を紹介したい人もいるでしょう。いいや、もっと内省的で自分よがりな読書があってもいいはずです。逆に、表現のための読書もあるだろうし、見栄やカッコつけの読書だって悪くはありません。

読書好きが集まると、読書談義になることがありますが、あれ、盛り上がるんですよね。メンバーによっては終始お互いに納得しまくりなこともあれば、自分と違う読書論を展開する人に感嘆したり、ヒートアップしちゃったりと、なかなか楽しい。本書もそんな、読書好きの心をくすぐる内容です。

読書家へ読書家のメッセージ

本書『死ぬほど読書』は、既に読書習慣があり、まとまった冊数を常に読んでいる人に向けて、読書家が読書論を展開する内容です。残念ながら、冒頭の「読書はしないといけないの?」と考えている人には届かない類の本であると思います。さらに、内輪で盛り上がるだでなく、読書の良さを知っている人は、やはり読書習慣の必要性を広めるべきなのでしょうか。

本書は単に、読書習慣のある人が、そうでない人へのマウンティングのための道具になってはいけません。冒頭の大学生の意見に耳を傾け考える必要があります。なぜなら、「考える」ための道具としての読書でもあるのですから。

てっきり読み始めは、軽く「イマドキのワカモノ」をディスりつつ「やっぱり昔ながらの読書よね~」なんて話になるのかと思いきや、結構「読書の効果」を考えさせられます。そして、「はたして自分は読書の効果を得ているのだろうか?」と不安にさえなりました。

関連本

『読書力』/齋藤孝

『王様の勉強法』/荒俣宏,中谷彰宏

『ちっちゃな科学』/かこさとし,福岡伸一

『読書をお金に換える技術』/千田琢哉

『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』

『キミが勉強する理由』/藤原和博

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『世界を変えた10冊の本』|世界の読むべき本をわかりやすく解説

こんにちは。読書本には目がない あさよるです。「読書本」って変な言葉ですが、本を読むための本って感じでしょうか。本書『世界を変えた10冊の本』もそのタイトル通り、10冊の世界を変えた本を池上彰さんが紹介するもの。どの本も世界的超有名本で、一度は目を通しておきたいものばかりです。

世界を変えた10冊ラインナップ

本書で紹介される10冊の本は以下。

  • 『アンネの日記』
  • 『聖書』
  • 『コーラン』
  • 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
  • 『資本論』
  • 『イスラーム原理主義の「道しるべ」』
  • 『沈黙の春』
  • 『種の起源』
  • 『雇用、利子および貨幣の一般理論』
  • 『資本主義と自由』

読んだことはなくってもタイトルくらいは知っている本ズラリ。ここではザッと簡単に紹介しておきます。

書影は『世界を変えた10冊』の出典として挙げられているものです。

『アンネの日記』

第二次世界大戦時、ユダヤ人として収容され亡くなったアンネ・フランクが書き残した日記。アラブ諸国を除く国際社会がイスラエルの味方をするのは『アンネの日記』があるからだ、と紹介されています。なるほど、彼女が生き生きと〈普通の少女〉であればあるほど、彼女の運命は信じがたく、ユダヤ人弾圧がいかに惨たらしいものであったのかと感じます。「世界を変えた本」のトップバッターに相応しいものです。

『聖書』

世界で最も読まれた書物『聖書』。

 中東に生まれたキリスト教が、やがてヨーロッパ世界に広がり、宣教師たちによってアフリカや南米にも拡大。ヨーロッパでの迫害から逃れたキリスト教徒は、アメリカに「神の国」を建設しようとしました。
一方、ヨーロッパのキリスト教徒たちは、「十字軍」によって中東遠征を繰り返し、イスラム教徒との対立を深めました。それは、キリスト教文明とイスラム文明の対立として、いまにつながってくる歴史です。

p.41-42

聖書の物語は今も多く引用されますし、今の世界を動かしています。

『コーラン』

ユダヤ教の経典『律法』をキリスト教徒は『旧約聖書』と呼び、新たに『新約聖書』を加え聖書にしました。さらにイスラム教はここに『コーラン』を加え経典にしました。イスラム教徒にとって『コーラン』が最も重要とされます。

日本ではイスラム教徒は少ないですし、文化や慣習がふしぎに見えるかもしれません。イスラムの行動規範や考え方等、池上彰さんが分かりやすく説明してくださるのは有難い。

『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

16世紀の宗教改革により、ローマ・カトリックからプロテスタントが生まれます。カトリックとプロテスタントでは経済活動において大きな違いがありました。

カトリックの教会の支配は穏やかで形式的なものだったが、プロテスタント支配は、「家庭内の私的な生活から職業的な公的な生のすべての領域にいたるまで、考えられるかぎりでもっとも広い範囲にわたって信徒の生活のすべてを規制するものであり、限りなく厄介で真剣な規律をともなうものだった」と指摘します。つまり、このプロテスタント支配によって、子どもたちは高度な教育を受けて社会の上層を目指すようにしつけられているのではないか、というわけです。

p.101

プロテスタント支配によって、資本主義の精神が登場するのです。19世紀半ばまで労働者は生活できるだけの収入があれば、それ以上働こうとしませんでした。それに対し、仕事のために人間は存在し、働くことは生きるために不可欠であるとの考えが「資本主義の精神」です。

現代のわたしたちはこの考えの上にいるんですね。

『資本論』

マルクスはかつて、資本主義がなぜ非人間的な経済体制になるかを説きました。マルクスの理論は、ロシア革命を引き起こし、やがて社会主義体制を採用する諸国が増大しました。マルクスの『資本論』は世界を変えたのです。
ところが、東西冷戦が終わり、ソ連の崩壊に代表されるように社会主義体制の限界が明らかになって以降、マルクスの主張はすっかり見捨てられてました。それが、リーマン・ショックをきっかけに、まるで預言者のように復活する。皮肉は話です。

p.123-124

労働量は藤堂の時間で測り、貨幣が資本になる。現在の我々が当たり前思っている体制も、新しい考え方なのですね。

『イスラーム原理主義の「道しるべ」』

『道標』は“オサマ・ビンラディンの教科書になった”ことから、世界を動かした10冊に選ばれています。

 イスラムこそが、健全な発展と進歩に欠かせない価値観を保有している。その理想が失われてしまったために、世界は墜落している。いまこそイスラムの理想に帰り、イスラムの原初を思い起こすことが必要だと主張します。(中略)

現代はイスラムの理想が失われてしまったのに、イスラム教徒たちは、自分たちの世界を「イスラームの世界」などと思いこんでいる。これを正さなければならない、というのです。となれば、イスラム世界の腐敗した体制を打倒することは「神の道」であり、正義の戦いである。つまり「ジハード」(聖戦)なのだ、ということになります。(中略)

世界中が無明社会だというのです。
無明社会は暗黒社会ですから、真のイスラム教徒は、無明社会をイスラム社会をイスラム社会にしなければならないのです。ここから、無明社会に対するジハードが必要だという理論が導き出されます。この対象として、日本も例外ではありません。(中略)

日本の私たちの信仰は、「邪神を祭るために、手のこんだ礼拝儀礼の体系を創案した」ものだというのです。彼が日本のことをどれだけ詳しく知っていたのか疑問ですが、彼によれば、日本もジハードの対象になってしまいます。

p.155.156.160

『道しるべ』に日本のことが書いてあるのは知りませんでした。日本はジハードの対象にならない保証はないということでしょうか。

『沈黙の春』

アメリカのペンシルバニア州に生まれたカーソンは、連邦政府の商務省漁業局で働きながらアメリカの雑誌「ニューヨーカー」に『沈黙の春』を連載し、単行本として出版されベストセラーになりました。

環境汚染という言葉がなかった時代、農薬により野鳥たちが死んでしまった例や、食物連鎖による毒物の蓄積メカニズムを広く世に知らしめたのが彼女だったのです。

現在では当たり前の環境問題も、当時はなにも知られていなかったところから、社会に浸透していったんですね。

『種の起源』

ガラパゴス諸島に上陸した経験から、生命の多様性への疑問を追求し1859年『種の起源』が世に登場します。当時は売れ行き上々だったそう。

彼の書は、「地球上の生き物は神が創造した」と信じるキリスト教徒からは批判を浴びましたが、多くの学者から支持され、その後の遺伝学、生物学の飛躍的な発展の基礎を築きました。

p.192

生物は神が創造したものか否か。現代でも議論になる事柄です。

『雇用、利子および貨幣の一般理論』

 景気が悪くなったら政府が公共事業などで支出を増やして経済を活性化させる。金利を下げて、企業の投資を活発化させる。
これらは、景気対策としての常識になっています。中学校の社会科で習う話です。しかし、かつては常識どころか、「とんでもない話」と考えられていたこともあります。それを世の中の常識にしてしまった本。それが、今回取り上げるジョン・メイナード・ケインズ『雇用、利子および貨幣の一般理論』という書物です。

p.213

1929年の世界恐慌の政府の対応を時代遅れだとし、ケインズは批判しました。本書では現代の日本社会が直面している問題を、ケインズがどう説いているのかが紹介されています。

『資本主義と自由』

フリードリヒマンは、自らの主張を一般に理解してもらうためのショック療法を用意しました。当時のアメリカで政府が行っていた事業のうち、「政府がやる理由はない」と考えた事業一四項目を列挙しているのです。(中略)

1 農産物の買い取り保証価格制度。
2 輸入関税または輸出制限。
3 農作物の作付け制限など。
4 家賃統制。物価・賃金統制。
5 最低賃金制度や価格上限統制。
6 銀行に対する詳細な規制など。
7 ラジオとテレビに対する規制。
8 現行の社会保障制度。
9 事業や職業に関する免許制度。
10 公営住宅、住宅建設の補助金。
11 平時の徴兵制。
12 国立公園。
13 営利目的の郵便事業の禁止。
14 公営の有料道路。

p.248-249

じっくり見て見ると「やめるとヤバイんじゃない?」と思う項目もありますが、彼よると大丈夫。というか逆に、国が制限をかけていることで貧しい人が苦しんだり、社会に不利益があると説いています。

未読本に色めき立ち、既読本に興味津々

池上彰さんが選ぶ「世界を変えた10冊の本」はいかがでしょう。あさよるは、タイトルは知っていても「読んだことない」とか「通読したことない」ものばっかりです。現代でも絶版になっていないどころか、流通している本ばかり。現在では電子書籍や、Kindle Unlimitedでも読めるっぽいのでありがたいです。読む本リストに加えておきますφ(..)メモメモ

「世界を変えた本」の中でも、現代のわたしたちの生活や常識そのものを作った本ばかりが紹介されていますから、興味がないわけがないラインナップです。

あさよる正直、この本「面白くなさそうだなぁ~」と思ってたのですが、嬉しい誤算で結構楽しく読めました。まだ読んだことない本は「読んでみよう」と色めきだち、既に読んだ本は「池上彰さんはどう紹介するんだろう」とwktk。

この手の本は他の人が紹介してもいいかもしれないけれども、内容的には「知っていて損ないぜ」って感じで、お馴染み池上彰さんの著者だし、人におすすめしやすい本だと思います。

あさよるネットで紹介した池上彰さんの本

『学び続ける力』/池上彰

『学び続ける力』を読んだよ

『伝える力』/池上彰

『伝える力』|子どもへニュースを伝える力

『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』/池上彰

『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』|社会、外交、世界を考える

『あした選挙へ行くまえに』/池上彰

『あした選挙へ行くまえに』|なにを投票するの?

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『つながる図書館』|日本の〈新しい図書館〉模索中

こんにちは。図書館で育った……と言っても過言ではない あさよるです。幼い頃は毎日のように図書館へ通っていて、小学校に入学して「図書室を使っていい」と知ってから毎日休み時間のたびに図書室に通い詰めていました。10代の頃は「人と口を利きたくない」との中二的理由で本を読んでいましたw

先日、あさよるネットでも紹介した『未来をつくる図書館』を読んで、ニューヨークの図書館の在り方に心底驚きました。あさよるの図書館の利用法ってあくまで、図書館の一部なんだと知ったのです。

『未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告―』|すごすぎる図書館!

図書館は就職支援や起業支援もしていると『未来をつくる図書館』では紹介されていました。で、あさよるも地元の図書館をチェックしたところ、スペースは小さいですが就職支援、起業支援の情報があったー! ニューヨークの図書館ほどではないですが、地元の図書館も本の無料貸し出し以外の業務もしているようです。

そして今日読んだのは『つながる図書館』。これは日本の公共の図書館の取り組みを紹介したものです。日本でも図書館のありかたは大きく変化しているようで、全国で模索が続いている様子がわかりました。

全国の図書館の取り組み実例

本書『つながる図書館』は、実際に全国の図書館がどのような取り組みをしているのか、どのような立場に置かれているのかが紹介されています。図書館って自分が利用できる自分の街の図書館しか知らない方も多いはず。他の図書館の様子を知れるのは新鮮です。

ここでは『つながる図書館』で紹介されている実例の一部をちょろっと紹介します。

まず、最初に「武蔵野プレイス」という武蔵野市の図書館。こちら、写真で見てもめっちゃオシャレ。コンセプトは「市民の居場所」だそうで、広場や公園のようにカフェがあり、無線LANが使えて、ざわめきの中に図書スペースがあり、ギャラリースペースではコンサートが開かれることも。シーンと静まり返っていない雰囲気だから、子どもたちが多少ガヤガヤしても気になりません。ビジネスマンも子ども連れもみんなが一緒にいられる場なんです。それとは別に二十歳以上立ち入り禁止の、子どもたちだけのスペースがあって、ダンスやバンドの演奏ができるスタジオがあるというから羨ましい。「子どもたちの居場所」です。

鳥取市にある鳥取県立図書館では、入り口にたくさんのチラシが並んでおり、カウンターでは質問し辛い法律の悩みの回答などが、前もって置かれているんです。弁護士に相談すれば数万かかるところを、図書館であらかじめ問題の整理ができます。また、定期的に操業・融資の相談会や、中小企業判定士による相談や、特許相談会など実施されています。鳥取県立図書館ではビジネス支援として、農家や学校の先生や公務員を支えたり、若者の就職支援も力を入れています。そのために司書は専門の知識や人脈を持っていることが前提です。

課題解決型図書館へ

図書館の変化はが起こったのは、図書館の予算はどんどん削減される中、1999年「図書館館長は司書の資格を持っていなくてもよい」と法律が変更がなされ、次は図書館職員が「司書資格をもつ専門家でなくてもいい」と変更されるのでは?という現場の危機感が後押ししているそうです。

従来の貸出のみの業務は機械でもできますから、「司書でなければできないサービス」が模索され始めたのです。司書は専門知識を有しており、その図書館の蔵書にも精通している専門家です。図書館になくてはならない存在です。

神奈川県立図書館では、市立図書館と県立図書館という似た施設が二つもあるのは税金の無駄だとコストカットされた図書館です。横浜市にある県立図書館では貸出と閲覧の廃止。川崎市の県立図書館は廃館とされた。これは、横浜市民にとって市民図書館と県立図書館が並んであるので「二重行政」に見えてしまう。しかし、他の地域の住人からすれば、県立図書館は必要ではないのか?都市部とそれ以外での格差が広がってしまわないか? 非常時に果たす図書館の機能を考えると、簡単に「コストカット」してよいものだろうか。

従来の「利用者が欲しい本を探して借りる」という図書館のかたちから、新たな「課題を解決する」という専門家だからできるサービスへ移行しようとしている一方で、存続が問われ閉館になる図書館もあります。

賛否両論!武雄市図書館

武雄市図書館の話題はご存知の方も多いかも。TSUTAYAを運営するCCCが武雄市図書館の管理をしており、貸出カードは「Tポイントカード」で一日に一回利用すると3ポイントが貯まります。ここで、利用履歴の個人情報が守られないのではないかと懸念されています。図書館には「図書館の自由に関する宣言」というものがあり、「図書館は利用者の秘密を守る」としています。個人のプライバシーや匿名性が守られなければならないものなのです。

ざっと、本書で触れられていた武雄市図書館をめぐる賛否を上げます。

いいところ

  • Tポイントがたまる
  • おしゃれな知的空間で、デートに来る人も多い
  • 「まちづくり」としての図書館である
  • 小さな温泉街である武雄市の「集客」になっている
  • 夜間まで開いている
  • 20代、30代の若い世代の利用者が増えた
  • 司書によるコレクション構築や資料の活用

懸念事項

  • 貸出履歴がTポイント管理者に提供される可能性
  • 嘱託の館長と、嘱託の司書が最長5年契約で働く(市の直営時代と同じ)
  • 図書館に併設した歴史資料館が常設でなくなった
  • 他にもTSUTAYA図書館ができれば「珍しさ」がなくなってしまう

まず、Tカードを利用することで、利用者にとってポイントが貯まるのは嬉しいですが、個人情報がどこまで守られているのか気になります。

武雄市図書館は市の集客施設として働いているのは良いことに思えますが、他の市町村もTSUTAYA図書館を導入すれば希少性がなくなります。それでもなお「まちづくり」の中心となれるのでしょうか。

デジタル図書館

「青空文庫」は著作権が切れた作品をネットで無料公開しているデジタル図書館です。ご利用になられた方も多いはず。公的なものではなく、ボランティアが手作業で作っています。

国立国会図書館もデジタル化に取り組んでいます。これまで東京近郊に住んでいないとなかなか国立国会図書館の資料に当たるのが難しかったのですが、デジタルアーカイブが世界を変えたと言ってもいいんじゃなかろうか。また、他の図書館でも同様の取り組みがなされています。

また、図書館横断検索「カーリル」の取り組みもあります。「カーリル」ではネットで図書館の蔵書を検索できるサービスですが、図書館内から検索される機会が増えたことで「カーリルタッチ」が開発されました。図書館の棚の前でスマホをかざすと「カーリルタッチ」が起動し国立国会図書館のデータベースにアクセスできるもので、実験的に導入されているそうです。

図書館がコミュニティをつくる

まだまだ図書館の実例が紹介されているのですが、全部拾えなくて残念です。あさよるが「いいな」と思ったのは、小さな図書館の取り組みでした。例えば既存の図書館以外に町中に本を置いてもらったり、あるいは小さな図書館を街中に設置しボランティアが代わる代わる管理しながら運営するもの。単に図書館機能を外に持ち出しただけでなく、それを管理するための地域のつながりが生まれているそうです。「なんとなく顔見知り」のコミュニティができることで、住人と街の接点になっているのは良さそう。

以前、あさよるネットで『図書館「超」活用術』を紹介したとき、「自治体によって図書館サービス違うから」と書いたのですが、ますます今後多様化していくのかもしれません。神奈川県のような例もあれば、あさよるが棲んでいる大阪府下の図書館はサービスがいい方なのだなぁとしみじみ。

『図書館「超」活用術』|書店、ネット、そして図書館。情報と「場」を使いこなそう

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『未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告―』|すごすぎる図書館!

こんにちは。図書館の常連になりつつある あさよるです。こんな読書ブログを書いていますし、一応学生業もやっておるので、ちょこちょこと調べごとに足を運びます。今現在の図書館もすごく充実していて便利だし「世の中にはすごいものがあるなぁ」なんて感じ入っていたのですが、どうやら世界の図書館事情は違う!?

本書『未来をつくる図書館』は、もちろん図書館で見つけた本ですw 本書を読んで、図書館のイメージがガラリと変わりました。少し、図書館司書や学芸員の仕事についても知りたいなぁと、新たな興味も生まれました。

ニューヨークのすごい図書館を知る

本書『未来をつくる図書館』では、ニューヨークにある図書館を複数見てゆきます。これ、すごいんです!あさよるは日本の図書館しか知りませんから、マジぶったまげ~!!\(◎o◎)/ すごい、世界にはこんなすごい図書館があるんだー! っていうか、図書館の理念ってこういうのなの?マジすごいし。

ビジネスをスタートさせる場所

マンハッタンの五番街にあるのがニューヨーク公共図書館本館です。

 この本館にあたる人文社会科学図書館には、グーテンベルクの聖書やトーマス・ジェファーソン自筆の「アメリカ独立宣言」の草稿、コロンブスの手紙など歴史的価値のある資料をはじめ、膨大な数の写真、版画、地図なども収められている。図書館の全所蔵品は、五〇〇〇年前から現在までにわたる約五三〇〇万点。世界には約七〇〇〇の言語があると言われるが、そのうちの三〇〇〇言語で記録された資料を持つ。(中略)
この図書がユニークなのは世界有数のコレクションを誇りながらも、「敷居の低さ」でも世界一という点だ。使用目的はもとより、社会的地位や国籍など問われずに、誰もが無料でアクセスできる。

p.4-5

めっちゃすごい資料がたんまり所蔵されているのに、それを〈誰でも〉閲覧できるとな。それは、あさよるがフラッとニューヨークを散歩途中に、コロンブスの手紙が読めるってこと……すごー!

っと、この図書館ではネット環境やパソコンも使えるので、お金がない中でチャンスを掴もうとする人たちで毎日にぎわいます。ニューヨークを知的リーダーにするためには、図書館が不可欠です。誰もがそれぞれ、毎日学び続ける場としての図書館であり、自らを高めるため、自由に学べる場が必要です。

芸術、舞台を育ててゆく

ニューヨーク公共図書館は芸術も支えています。

演劇・音楽・舞踏などの檜舞台となる劇場が集まるリンカーン・センターには、舞台芸術の特化した研究図書館の舞台芸術図書館がある。ベートーベンやバッハ、モーツァルトの自筆の楽譜も所蔵し、ジャンルも、音楽、舞踏、演劇からミュージカルとさまざまだ。こうした幅広く実践的な資料は現役のプロの俳優、ダンサー、振付師などに活用されている。

p.10

ここでは、芸術に関する資料……とくに舞台芸術の資料が集まっています。本の形態をしたものだけでなく、舞台のセットや衣装、テープやビデオがたくさんあり、舞台芸術に関わる人や、アパレル関係の人も閲覧に訪れます。

生きているアーティストの情報や資料もどんどん蓄積されてゆき、年齢を経て考えや主張の変遷を折ったり、構想を知ることも可能です。

市民が必要な情報を提供する

メディア・センターには、デジタル資料もふんだんに蓄積され最先端です。また、情報を扱うための人と人のネットワークも重視されます。

地区会館では健康維持や治療のさい、最善の選択ができるよう資料が用意されています。また、就職やスキルアップも図書館がバックアップするんだそう。

お金がかかるんじゃないの?と思いますが、街が失業者を抱えるよりも、図書館を充実させて早く自立できる環境を整える方がリーズナブルと考えます。

図書館の仕事って?

日本では、図書館は本を読んだり、本を借りる施設です。しかし、ニューヨークの図書館は違う。図書館という〈場〉がチャンスを与える場になっています。ですから、そこに集まる人たちも、日本の利用者とは違っています。チャンスを求め、野望を持っている人や、医療や救急・緊急の情報を欲している人、インターネットの情報にアクセスしたい人などさまざま。日本の図書館の利用者もいろんな人がいるでしょうが、ここまで多様ではないでしょう。

ニューヨークの図書館は、利用者が読みたい本を勝手に読む場ではありません。チャンスを望む者には、インターネット環境やパソコン、新聞等、企業に必要な情報がどしどし提供されます。図書館で起業し、図書館で働いている人もいるそうです。主に芸術作品の保存、閲覧が可能な図書館では、所蔵されているのは本だけでなく、舞台セットや衣装の資料、音声やビデオテープなど、本の形態のものは半分より少ないそうです。そして、病気になったとき医療情報を得るためにも図書館は使われますし、緊急時の情報提供の場でもあります。

日本の「本を読む」「本を借りる」図書館とは全く趣が違います。

反対に言うと、日本では本を読まなくても医療にかかれるし、緊急時もなんとかなるとも言えます。失業しても死ぬわけじゃありません。日本の図書館サービスはニューヨークのものよりも低いかもしれないけど、それ以外の社会保障が充実しているともいえます。

失業対策や起業する人を全面サポートする図書館ってあるといいのになぁとは思いますが、ニューヨークとはそもそも社会が違うのかもしれません。また、成功した人たちが寄付をする文化があるのも、ニューヨークの図書館と日本の図書館の違いかなぁと思います。

図書館に求めるもの

ニューヨークのめっちゃスゴイ図書館を知ったなら、自ずと、日本の図書館はどうあるべきかを思案してしまいます。ニューヨークの開かれた図書館はすごいし、どんな人にでも必要な情報がもたらされる仕組みは「図書館のあるべきすがた!」って感じがします。日本の、どちらかといえば娯楽目的で使用され、「本をタダで読む・借りる」に特化した図書館は、ちょっといびつな感じもしました。一方で、日本とアメリカの社会福祉の違いを考えると、「図書館サービスは限られているかもしれないけど、それ以外の福祉は充実してるなぁ」とも考えられます。

あさよるは、もっと日本でもお金のある人が図書館に寄付をするような雰囲気があったらいいのになぁと思いました。また、学校を卒業してからもう一度勉強し直したい人や、お金がなくて進学ができない人への、学習の場があってもいいかなぁ。あと、もっとワイワイガヤガヤしてる図書館もあってもいいのに! 子どもたちが宿題やってる横で、大人も勉強したり、仕事してるような空間って、カッコいい気がする。

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『アレの名前大百科』|知ってるけど知らないアレ、なんだっけ?

こんにちは。雑学好きだった あさよるです。過去形です。若いころ、役にも立たない雑学収集を日課としていたのですが、大人になるずつ役立つ知識の方が必要になってしまって、なかなか雑多な知識に触れられません。あと、なんか記憶力もここ数年急激に落ちている気がするんだが……。

ということで、ゆるっと雑学本でもどうぞ。暑いし、気楽に読めるけれども、なかなか手ごわい雑学クイズです。

いつも使う「アレ」の名前

アレ!アレアレ!毎日使ってるアレの名前集。

一つ目は、食パンの袋の口を止めてるプラスチックの水色の四角いアレ。二つ目は、みかんの房に付いてる白い筋状のアレ。三つめは、視力検査で使うCの形したアレ。

さて、みなさんよく知っている、よく使っているアレ。アレの名前、ご存知?

パンの袋のアレは「クロージャー」と言って、特許をクイック。ロック社が独占しており、世界のアレは同じ社のもの。みかんのアレは「アルベド」って言うんだって。視力検査のアレは「ランドルド環」と言います。へぇ~知らんかった。こんな感じで、生卵の白いドロッとしたアレとか、歯医者で歯を削られるアレ、バッグの長さを調節するアレとか、良く知っているけれども名前をしらないアレやアレが106登場します。あなたはいくつ知っている!?

雑学本……マジで知らないとこだらけ

ただの雑学本と言われればそうなのですが、クイズ形式になっているので夢中になって呼んじゃいました。監修者であるみうらじゅんさんも、正解率は26/106。得意分野がそれぞれ違いますから、正解率と雑学度は比例しないでしょうが、なかなか楽しい。読了後、絶対に他人の「アレの名前知ってる?」と言いたくてたまらないでしょう。

それにしても、なんでこんな身近なものの名前も知らずに生きてこれたの!?と不思議に思うくらい、めっちゃよく知ってるアレのオンパレードです。

アレにもコレにも名前がある世界

さて、本書『アレの名前大百科』を読んで、つくづく「あらゆるものに名前があるのだ」と実感。工業製品の場合は当たり前ですが商品名があり、それを作ってる会社があります。部品の一つ一つにも名前があって、体の部位にも名前があります。

「名前がある」って、なんだかすごいなぁと感心した次第でありました。みうらじゅんさんの回答も苦し紛れのものや、ネタに走っているものに交じって、たまにツボな回答があっておかしいw でもね、マジで分からんし想像もつかないのよ!

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『読書力』|社会人力とは?教養とは?

こんにちは。本を読んでは感想をブログに書くようになってから、「読書術」とか「読書論」なんかが気になっている あさよるです。あさよるはボケーっと本を読んでいるだけなので、「なぜ読むのか」「どうして読むのか」なんて考えたことがなかったのに、この手の本を読むと背筋が伸びる思いです。

なんで読書しなくちゃいけないの?

本書『読書力』が素朴なギモン「なんで読書しないといけないの?」という問いに応える内容から始まります。著者の斎藤孝さんは、大学で講師をしている経験から、学生たちへ読書の習慣づけに取り組んでおられるそうです。そのとき、「なんで読書するの?」「読書を押し付けないでほしい」と思う学生もいるようで、彼らへのメッセージにもなっています。

読書好きさんの中にも、他人に対しても「絶対読書すべき!」って考えてらっしゃる方もおれば、反対に「別に読まなくてもいいよ」とか「どっちでもいいんじゃない?」と思ってる方もいるでしょう。実は、あさよるは 後者です……(;’∀’) 好きなら読めばいいけど、辛いなら読まなくてもいいじゃんって思ってました。しかし、本書『読書力』では、「読むべきだ」と強く主張します。それには理由があります。

ここでは、読書は自己形成の糧であり、コミュニケーションの基礎だからだと挙げられています。

文庫百冊・新書五十冊

本書『読書力』では、4年間で文庫100冊、新書50冊を読むことを目標にしています。巻末には読んでおきたい書籍のリストも掲載されていますから、この本からどんどん他の本へ読書が広がっていくよう構成されています。

「4年間で」というのは、学生へ向けてのメッセージだからでしょう。学生生活の間に、文庫100冊、新書50冊を読む習慣をつけましょう。

要約が話せるでOK!

「書を読む」といっても、どの程度読むと「読んだ」なの?というギモンもありますね。本書では一冊本を読んでみて、本の内容を要約して人に伝えられる程度でOKと紹介されています。

4年間で文庫と新書合わせて150冊を要約できる力。確かに、社会人になってからも必要な力になるでしょう。

若者へ向けての「読書論」

先ほども紹介しましたが、本書は若者、その中でも学生に向けての「読書論」「読書術」を説明するものです。著者・斎藤孝さんの教育者としての視点が色濃く出ているんではないかと思います。

本書を読まれる方も、ご自身が学生だったり、教育に関する職に就いてらっしゃる方、また子育て中の方は、当事者として読まれるでしょう。

反対に、それらに該当しない方にとっては、対象から外れてしまうので分かりにくいかもしれません。あさよるも、想定される読者から外れていますので、「確かに、20代の頃の自分に声をかけるなら」と仮定しながら読みました。

〈教養〉ってこんなこと?

本書で紹介される「読書力」を読んでいると、教養ってこういう力を言うのかも?と思いました。それは集中力と瀬極性。それを鍛えるための鍛錬としての読書という考え方に触れたからです。

本を読むって、楽しいときもあれば、しんどいときもあります。知らない知識に触れ続けて、どっと知識がなだれ込んでくる時って、結構つらい!体力的にね。その体力、集中力を養う方法の一つが読書です。そして、じっくりと腰を据えて耐えながら、手ごわい一冊を読み込んでいく鍛錬を積んだ者に与えられるもの。それが読書力であり、教養なのかもな~と感じたのです。

文庫百選

本書の巻末に「文庫百選」なる斎藤孝さんが選んだ100冊のタイトルが紹介されていました。おおっ!これ、あさよるも順番に読んでみよう!と、さっそくメモしておきます…φ(..)あさよるは20冊も読んでないかな~(;’∀’)

1 まずは気楽に本に慣れてみる

1 北杜夫『どくとるマンボウ青春期』
2 町田康『くっすん大黒』
3 椎名誠『哀愁の町に霧が降るのだ』

2 この関係性は、ほれぼれする

1 山本周五郎『さぶ』
2 スタインベック『ハツカネズミと人間』
3 スティーヴン・キング『スタンド・バイ・ミー』
4 幸田文『父・こんなこと』
5 サローヤン『パパ・ユーア クレイジー』
6 大江健三郎『新しい人よ眼ざめよ』
7 下村湖人『論語物語』
8 ドルトン・トランボ『ジョニーは戦場へ行った』

3 味のある人の話を聞く

1 宮本常一『忘れられた日本人』
2 宇野千代『生きて行く私』
3 白洲正子『白洲正子自伝』
4 野口晴哉『整体入門』
5 エッカーマン『ゲーテとの対話』
6 小林秀雄『考えるヒント』
7 福沢諭吉『福翁自伝』

4 道を極める熱い心

1 吉川英治『宮本武蔵』
2 志村ふくみ『色を奏でる』
3 ロマン・ロラン『ベートーヴェンの生涯』
4 棟方志功『板極道』
5 『ゴッホの手紙』
6 司馬遼太郎『世に棲む日日』
7 『宮沢賢治詩集』
8 栗田勇『道元の読み方』

5 ういういしい青春・向上心があるのは美しきことかな

1 藤原正彦『若き数学者のアメリカ』
2 アラン・シリトー『長距離走者の孤独』
3 浮谷東次郎『俺様の宝石さ』
4 藤沢周平『蝉しぐれ』
5 トーマス・マン『魔の山』
6 井上靖『天平の甍』
7 ヘッセ『デミアン』

6 つい声に出して読みたくなる歯ごたえのある名文

1 中島敦『山月記/李陵』
2 幸田露伴『五重塔』
3 樋口一葉『にごりえ/たけくらべ』
4 泉鏡花『高野聖/眉かくしの霊』
5 『歎異抄』
6 ニーチェ『ツァラトゥストラ』
7 川端康成『山の音』

7 厳しい現実と向き合う強さ

1 辺見庸『もの食う人びと』
2 島崎藤村『破戒』
3 井伏鱒二『黒い雨』
4 石牟礼道子『苦海浄土』
5 ジョージ・オーウェル『1984年』
6 梁石日『タクシー狂躁曲』
7 大岡昇平『野火』

8 死を前にして信じるものとは

1 三浦綾子『塩狩峠』
2 深沢七郎『楢山節考』
3 柳田邦男『犠牲(サクリファイス)』
4 遠藤周作『沈黙』
5 プラトン『ソクラテスの弁明/クリトン』

9 不思議な話

1 安部公房『砂の女』
2 芥川竜之介『地獄変/邪宗門/好色/藪の中』
3 夏目漱石『夢十夜』
4 蒲松齢『聊斎志異』
5 ソポクレス『オイディプス王・アンティゴネ』

10 学識があるのも楽しいもの

1 和辻哲郎『風土』
2 ルース・ベネディクト『菊と刀』
3 大野晋『日本語の年輪』
4 柳田國男『明治大正史 世相篇』
5 コンラート・ローレンツ『ソロモンの指環』
6 『ジンメル・コレクション』
7 山崎正和『不機嫌の時代』

11 強烈な個性に出会って器量を大きくする

1 シェイクスピア『マクベス』
2 坂口安吾『坂口安吾全集4「風と光と二十の私と」ほか』
3 パール・バック『大地』
4 シュテファン・ツワイク『ジョゼフ・フーシェ』
5 ゲーテ『ファウスト』
6 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
7 アゴタ・クリストフ『悪童日記』
8 塩野七生『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』

12 生き方の美学・スタイル

1 向田邦子『父の詫び状』
2 リチャード・バック『かもめのジョナサン』
3 藤原新也『インド放浪』
4 村上春樹『中国行きのスロウ・ボート』
5 マックス・ヴェーバー『職業としての政治』
6 九鬼周造『「いき」の構造』
7 石原吉郎『望郷と海』
8 サン・テグジュペリ『人間の土地』
9 須賀敦子『ヴェネツィアの宿』
10 谷崎潤一郎『陰翳礼讃』

13 はかないものには心が惹きつけられる

1 中勘助『銀の匙』
2 デュマ・フィス『椿姫』
3 チェーホフ『かもめ・ワーニャ伯父さん』
4 太宰治『斜陽』
5 ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』
6 トルストイ『アンナ・カレーニナ』

14 こんな私でも泣けました

1 高史明『生きることの意味・ある少年のおいたち』
2 宮本輝『泥の河・螢川・道頓堀川』
3 灰谷健次郎『太陽の子』
4 藤原てい『流れる星は生きている』
5 井村和清『飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ』
6 竹内敏晴『ことばが劈かれるとき』
7 林尹夫『わがいのち月明に燃ゆ』

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『乱読のセレンディピティ』|乱読で予想外の好奇心にであう!

こんにちは。なるだけいろんな本を読もうと心がけている あさよるです。だけど、〈乱読〉って言うほどバラエティに富んでいるわけでもないんですよね……たまに、「おんなじような本ばっかり読んでるなぁ」と自分で思います。

これからの読書をどうしようかと、読書術の本をチョイス!著者は『思考の整理学』の外山滋比古さんです。

『思考の整理学』を読んだよ

どんな本も読みこなす「力」

本書『乱読のセレンディピティ』は、タイトル通り〈乱読〉をテーマにしています。本の読み方で、「多読派」「精読派」なんてのがありますが、今回は「多読」のお話ですね。しかも、ただ本を読むだけじゃなく、さまざまなジャンルを〈乱読〉するのです。

どうやって読むか?それは、手あたり次第。もちろん、いつも良い本に出会うわけじゃないし、ハズレを引く日もあるでしょうw どんな本が良い本か?それを、自分で判断できるのが良い読者であると、紹介されています。自分で本の善し悪しを判断するためにも、乱読は必要なのかもしれません。乱読に必要な判断力を養うための乱読でもあるということ。

また、乱読をすると必然的に苦手なジャンル、知らない分野の本も読むことになるでしょう。よく知っている分野の本ならサササッと読めますが、知らない内容の本を読むのは時間もかかります。集中力が必要です。読書の「力」がつくのが、乱読の特徴なんですね。

「読んじゃダメ」も好奇心になる

書物をドサドサ与えられれば、読書家になるか。乱読家になるかといえば、そうとは限りません。例えば、子どもの頃、大人から「○○は見ちゃダメ」「××は取り上げます」と言われたら……いいえ、ダメと言われれば言われるほど見たくなっちゃうものです。読書生活にネガティブに働きそうな要因も、プラスに変えてゆきましょう。

読むべし、読まれるべからず

第4章の〈読むべし、読まれるべからず〉は、章のタイトルからして少し耳が痛い。

読書を神聖視する人がいる、例えば、昔は本や雑誌の上を跨いではならないと教えられた。なんとなく、本は神聖なもの、本はえらいものだと思っている。だから、本を読まないといけない、本を読まないのは恥ずかしいことだと思い込む。読書信仰を持つのは知的エリートだと思い込む。

しかし。本書は投げかける。読書はそれほどありがたいことではない。どれくらいのご利益があるのかもわからない。そして、本を闇雲に読んでいると、頭の近視が起こる。

 わけもわからず、むやみに本ばかり読んでいると、心眼は疲れ、ものをはっきり見きわめることが難しくなる。読書メタボリック症候群型近視になってしまう。頭の近視は、目の近視ほど不便ではないから、なかなかこれを治療しようとしない。
知識を身につけるには本を読むに限る。もっとも手軽で、労少なくして、効果は小さくない。読書は勉強のもっとも有力な方法になる。真面目な人は正直だから、読めば読むほど優秀な人間になれるように勘違いする。実際、博学多識にはなることができる。それと裏腹に、頭の中が空虚になるということを教えてくれるものがない。
頭が知識でいっぱいになれば、頭ははたらこうにも、はたらくどころではない。そのうちに、ものが見えない頭の近視がはじまる。
少しくらいの近視なら、頭の眼鏡で対応できる。頭の眼鏡は、もちろん、本で得た知識である。知識があれば、考えたりする面倒がない。それで読書は知識から信仰を生み、それが読書を支える。

p.50-51

本を読むのは手軽で、効果の大きな行為です。効率的なんですね。だからと言って、本ばっかり読んでいると、物を正しく見れなくなってゆく。あくまで、本で得た知識は他人からの借りものであることを忘れてはなりません。頭の働きは、自分で考えないといけない。ここを混同してはならないのです。

そしていずれ、本で読んだ知識か、自分で考えた思考か、どちらを選ぶのか二者択一を迫られるときがきます。その時、借り物の知識を選んでしまうのが、知識信仰だというワケです。

この第4章、最初から最後まで耳が痛いのです……。

どうして乱読するの?

乱読の良い所は、苦手な分野、知らないジャンルの本も読むからです。あらかじめ知識のある本は、ザーッと読み流すことができます。しかし、知らない分はの本は、単語にひっかかって、なかなか読むことができません。

知らない分野を読むには、能力が必要です。この読み方が身に付けば科学や哲学、宗教など、難しい本も読める力が身に付きます。読みやすい本ばかり読んでいると、いつまで経っても好きなジャンルしか読めない。文系だから、理系だからと読む本を選ぶ必要もない。

すると、知識の幅が広がってゆく。

思いがげないことに出会う

 セレンディピティ(serendipity) 思いがけないことを発見する能力。

p.82

専門的な読書は、専門以外の知識に出会うことは少なくなってゆきます。乱読家は、知らない知識にいつも触れていて、分からないことも多い。すると、あるとき化学反応のように、セレンディピティがやってくるのです。

知識を貯めこんでゆく読書から、乱読へ読み方を変えると、いつかセレンディピティによって全く違う考えと出会うのです。そして、この思ってもみない出会いは、新たな好奇心をかき立てます。

読書が知識の蓄積のためではなく、好奇心が新たな好奇心を生み出すものになるように。本の読み方や意識、少し変えてみようと思いました。

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『ちっちゃな科学 – 好奇心がおおきくなる読書&教育論』|好奇心はどこから来るの?

こんにちは。読書論や読書法的な本は気になる あさよるです。そんな本って、ブログを始めるまで特に気にならなかったのですが、毎日読書に関する記事を書くようになり、他の人の考えがめっちゃ気になります。

『ちっちゃな科学』は、内容をあまりチェックしないまま「読書論」ということで読み始めました。読んでみてビックリ!Σ(・ω・ノ)ノ!! あの「かこさとし」さんじゃないっすか!そして福岡伸一さんのコラム+対談集。すごい!

好奇心はどこから来る?

『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』の福岡伸一さんは、昆虫の標本づくりに熱中し、幼虫を育て、顕微鏡で小さな世界を覗いた経験を、興奮と共に書き記しておられます。子どもの頃の興奮が、大人になっても冷めやらない。

なにも、好奇心が刺激される〈自然〉とは限られた場所にしかないわけではありません。小さな自然はその辺にあるものです。

小さな好奇心。それを受け止めるのは小さな科学。

子どもたちは科学に夢中です。お空のお星さまや、海の底や、植木鉢の裏っ側や、風がどこから吹いてくるんだろうとか、科学科学!

誰だって一度は〈科学の子〉だったはず!

そして〈科学の子〉の心にヒットしちゃうのが、かこさとしさんの絵本です。

子育て&教育に関わっている人ならぜひ

『ちっちゃな科学』は読書と教育論を扱う内容です。子育てや教育に係る方なら読んでおいてソンはナシ!ぜひぜひ!

……と言いたいところですが、あさよるは本書、結構難しかったです。一般向けの教育系の本ってこんなレベルなのだろうか!?あさよる、子育てはしてないのでそっち系、全然分からないです。

可愛らしい表紙で、軽い気持ちで読み始めたら激マジメじゃん!ってヤツですな(-“”-)

もちろん、著者の福田伸一さんと かこさとしさんの対談もたくさんで、楽しい内容です。

文系、理系、どっちも必要!

福田伸一さんと かこさとしさんの対談で印象的だったのは「文系」「理系」と生徒を分けちゃう弊害についてでした。現在、文系学科と理系学科を卒業した人たちはピシッと別れちゃっている。業界によって、文系が多い業界、理系が多い業界に偏りがあり、国や自治体の体質まで決めてしまっている。

本当は、文系だって理系の知識が必要だし、理系学科へ進んでも文系の勉強をすべきだ、という話。

だから、子どもの頃から「あなたは文系」「あなたは理系ね」なんて決める必要はないし、両方をごちゃごちゃに学んでもいいんですね。

子どもに伝えるには、まず大人が

繰り返しますが本書は読書&教育論を扱う内容ですから、読者の対象は〈大人〉。大人が子どもの好奇心を刺激し、満たすには、大人側も少なからず勉強しないといけないんだとメッセージを強く感じました。

子ども向けの科学の本は年々減っているそうですが、その理由は明確で、親が買わなくなったのです。子どもの理科離れは、親が理科離れを起こしているからだとも考えられます。

繰り返しますが、例え文系に進んでも、理系の知識は必要です。なのに、科学の子になる前に、科学や理科に触れずに勉強を強いられるのはツライね(;’∀’) 大人の側が子どもの「なぜ?」「なんで?」に程よく答えつつ、逆にこっちから好奇心を刺激しちゃえるくらいのパワーがあればいいなぁと感じた。それにしても、子育てや教育というのは、他者のために学ぶのね。こりゃ大変だなぁと思う。

あさよるネットで紹介した福岡伸一さんの著書

『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』

『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』|生命とは、流れのなかの淀み

『せいめいのはなし』

『せいめいのはなし』|「生命」をテーマのダベリはおもしろい

『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』

『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』ソボクなギモン

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『人生論としての読書論』|生きるための知識、仕事のための知識、そして教養

ちょっと読み応えのある本がいいなぁと、『人生論としての読書論』を手に取りました。

本書『人生論としての読書論』は、10代の若者に向けられた内容です。そして10代の若者たちに向き合う教職員に向けられています。あるいは、将来教職に就きたい若者向けです。

「なーんだ、自分向けじゃないんだ」と思われた方もちょっと待って!確かに本書は若い人へ向けた本ではあるのですが、「本を読む」というのは誰にも共通する習慣です。よく、「読書は大事だ」と説かれますが、大人にとってなぜ読書は大事なんでしょうか?

どんな本を読めば「読書」になるのでしょうか。また、どうすれば本を読む習慣が身に付くのでしょうか。

どうして本を読むのか

読書習慣の話というのは巷でよく囁かれます。読書量と年収の関係とか、子育てと親の読書とか、本当なのかどうなのか分かりませんが、「読書が大切だ」と感じている人は多いでしょう。本書『人生論としての読書論』では、「なぜ読書が必要なのか」という理由を以下のように説明しています。

 書物というものは、これを客観的に言ったら、結局この無限に複雑多彩な現実界の反映であり、随って書物を読むということは、そうした無限に複雑な現実界の反映であり、随って書物を読むということは、そうした無限に複雑な現実界の一端について知るということである。
(中略)
われわれとしては人生はが、この現実の世界において行われ、徹頭徹尾それから離れられない以上、われわれとしては出来るだけ広くかつ深く、この現実の世界について知らねばなるまいが、しかし一人の人間で直接に知りうる範囲は、きわめて狭小と言わねばならぬ。
(中略)読書とはまた他の人々の経験を通じて、現実界の諸相を知ることであり、さらにはその意を極言すれば、読書とは幾多のすぐれた人々を使って、この無限に複雑な現実界の諸相を探知しようとする努力だともいえるであろう。

p.15-16

自分ひとりの人生の長さは、この世のすべてを知るにはあまりに短い。だから、自分だけの体験だけではなく、優れた人々の知識も使ってしまおう。そのために、読書をする、というのです。

ここでいう読書は、娯楽としての読書や、暇つぶしの読書を指しません。あさよるも読書っていうと時間つぶしに読んでいる感がそこはかとなくあるので、知識を深めるための「読書」ってできているのだろうか……と心配に……(;’∀’)>

さらに〈個人〉がすべき「読書」に言及すると、

1.一度しかない人生をどう生きるのか、人生論や宗教関係の読書
2.職業に必要な専門的な読書
3.1と2を中心に据え、できるだけ多くのことを知る、教養としての読書。

この3つの要素を目的とします。どう生きるのかは、自分のこと。どう働くのかは社会との関わり。この二つを中心に、教養をどこまでも広く求める。これが、個人が目指すべき「読書」であると紹介されます。

教師は読書をし、本を出版する

さらに、本書『人生論としての読書論』では、教師と、将来教師になりたい生徒に向けてのメッセージも込められています。それは「人に教える」ということを職業としていること、そして、教える相手が未来のある子どもや若者であることが理由です。

中でも全科目を担当する小学教諭に向けられています。

 教師としての資格は、挙げたら際限がないほどであろうが、おそらくそれは
(一)自分がつねに人生の講義の探究者であること
(二)次にはそれをつねに書物を通して探究しつつあること
(三)そして最後には、かくして与えられた人生の生き方を、幼い子らの心の中へ蒔いてやらずにはいられないほどに幼い声明を愛することだと言ってよいであろう。
しかるに教育界の現状をかえりみる時、このような第一及び第二の資格においてかけている人の、いかに少なからぬことであろうか。

p.48

本を読むことは教養を深めることだと言いましたが、そのために必要な知識を授ける教員が、教養が少なくてはいけないというのです。未来ある若者に、可能性という種を植え付けるために、「読書」は欠かせない習慣です。なのに、「読書」を指南すべき教師が読書をしなくていいわけがないというワケ。

そして、教師は生涯に数冊の本を出版せよとも述べられています。自分の教職の経験をまとめたものや、教育に関する考えをまとめるのです。これは「本を出版する」こと自体が目的なのではなく、「文章にまとめる」もっといえば「論文を書く」に近いニュアンスなのかな?と感じました。

今、教職に就く人はとても忙しいと聞きますが、確かに「経験を発表する」ことで、教育の場で何が起こっているのか外部に知らせられるのかもしれません。

どうやって本を読むのか

「本の読み方」も細かく紹介されているのが楽しいです。

まず、読書習慣がない人にとって、慣れるまで「読書」は結構ツライんですよね。あさよるも一時期読書する時間がなくて、再び読書習慣を取り戻すまでかなり大変でした(;’∀’) 「二度とあんなツライ思いをしたくない」って思いから、常に軽く読書し続けるようにしています。

で、『人生論としての読書論』では、最初は数ページずつ目標を立てて読もうと呼びかけられています。ポイントは「○分間読む」と時間で区切らないこと。時間で区切ると、本によってはほとんどページが進まないこともあります。時間がかかっても構わないので、目標のページ数を読む方が、集中力を身につけるに良さそうです。

多読か精読かという論争(?)もありますね。まぁ、多読派、精読派って、放っておいてもそうなるもので、「性分」と言いますか。本書では「天性の」と書かれていました。専門分野については丁寧に精読し、それ以外の分野は多読で知識の幅を増やす、と、使い分けできるのが望ましいようです。はい(;´∀`)

小さくても書斎を持つ

また「本をどこで読むか?」という問題があります。

それはズバリ「自宅に書斎を持ちなさい!」どーん!

と言っても、こじんまりとしたスペースでいいんです。そりゃあ欲を言えば広いスペースの壁一面にズラッと本棚が並び……とイメージがありますが、実際の住宅事情ではなかなか思うようにいかないでしょう。四畳半でも、三畳でも、広さはどんだけでもいいんです。

だけど「ここは書斎」「ここは本を読むところ」って物理的スペースを用意することが、質の高い読書に必要みたい。

あさよるも、一つの机の上で食べたり化粧したり遊んだりゲームしたり、いろんな使い方をするので、「本を読むためのスペース」があってもいいのかも!?と思いました。ちなみに、今の「本を読むスペース」はJR線の座席ですw

頭でっかちの読書をしない

読書の弊害は、知識ばっかり頭に入って、行動を伴わない状態に陥ること。すなわり、頭でっかちで身体感覚が伴わない状態。読書は感動を持ってなされるべきだともありました。「感動」というのもある意味で身体感覚です。

また、読書をすべき理由の中で、社会との関わり、社会の中での「仕事」のためというのが、中心に据えられていました。自分が得た知識は、自分だけのものにしていてはいけない。それは、自分の仕事としてアウトプットしなければならない事柄です。それは、本書を読むと、それぞれに与えられた〈使命〉のように感じました。

自分の頭の中にある知識は、誰かから教わったものです。あさよるもまた、誰かに知識を受け渡すことができるのでしょうか。

『人生論としての読書論』では、読書とは知識の蓄積を受け取ることであり、集合知を次の世代に引き継ぐことに、とてもとても重きを置いているように感じました。それが、とても誠実で真っすぐな気がしました。

本書内ではもっと細かく、読書の仕方や、働くことと読書、読書と実践など、詳しく書かれています。誰にも当てはまる内容だと思います。

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