歴史

【内容/レビュー】歴史を紐解くこと―「日本史を暴く」

「歴史の発見」というのは、こうやってなされるのか!

歴史学者の磯田道史さんは、今日も日本中の古書店で古文書を漁り読み解いてゆく。

歴史とは、地道な作業で解明されていくのだな。

中公新書の『歴史を暴く』おもしろい!

磯田道史さんによる歴史の語り口ももちろん面白いが、歴史学者の日常を垣間見れるのも面白い。

「日本史を暴く」のおもしろどころ

磯田道史さんは『武士の家計簿』なんかでご存じの方も多いのだろうか。

当あさよるネットでは『天災から日本史を読みなおす』を紹介している。

こちらの記事も併せて読んでいただきたい。

『歴史を暴く』は新聞連載されていたそうで、短い話題がたくさん収録されている。

すべての話に触れるわけにはいかないから、面白かった話をピックアップしてみる。

信長は外国から学者を読んで宇宙の講座を開いてた

信長は宣教師から地球が丸いことを聞き、その解説を他の人にも聞かせた。

子どもにもその知識を教えようとしたという。

そんで、宣教師たちの教える宇宙論に、日本人たちはみんな満足したという。

新しい知識を自分のものだけにするのではなく、周りの人たちにも教えようとするのは、なんか信長っぽい気がする。

忍者って本当にいたんだ!

忍者についての話題も多い。

というか、忍者ってやっぱり本当にいたんだね。

潜入調査……つまりスパイ活動をして、そして見つかってしまったりもするようだ。

どんなお仕事も大変!

カブトムシに毒があると思われていた?

カブトムシがみんなの人気者になったのは江戸期以降だという。

それは、カブトムシ有毒説があったから……。

そのせいなのか、カブトムシの生態についても、あまり知られていなかったよう。

ちなみに、クワガタムシについても、あまり書物には登場していないというのは、不思議。

山に行けばたくさんいる虫なのに、あんまり見向きにされてなかったのかな?

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日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで

  • 磯田道史
  • 中央公論社
  • 2022/11/25

目次情報

  • 歴史には裏がある――まえがき
  • 第1章 戦国の怪物たち
  • 第2章 江戸の殿様・庶民・猫
  • 第3章 幕末維新の光と闇
  • 第4章 疫病と災害の歴史に学ぶ
  • 主要人名索引

『哲学用語図鑑』|ド忘れ&知ったかぶりから卒業!

こんにちは。先日『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』を読んで、自分の無知さを知ったあさよるです。

( ゚д゚)ハッ! これが無知の知……。

東洋人なのに東洋哲学をなんにも知らないんだな……と謎のショックを受けました。そして次に手に取ったのは『哲学用語図鑑』。帯には「21世紀を生き抜くための必修科目」とまで書いてあります。

そうなのか……哲学って、「ビジネスにも交渉にも役立つ」のか……。

哲学用語が飛び交いまくり!(;’∀’)

「哲学」ってなんだかよくわからなくても、意外と哲学ちっくなキーワードは普段の会話で飛び交っています。「フロイト的には~」とか「アドラー先生はねぇ」とかね。

なんとなく「そっすねww」とかヘラッと笑って相づちを打っているけれども、実は内心大焦り。「あれ……それなんだっけ???(;’∀’)(;’∀’)(;’∀’)」

わかってるんですよ、知ってるんです。前に本で調べたのに……wikiで読んだことあるのに……ただ“思い出せない”だけなんです!

これ、あるあるじゃないですか?

かわいいイラストがやたら分かりやすい

『哲学用語図鑑』はその名の通り、(西洋)哲学の用語図鑑。

哲学者簡単なプロフィールと、哲学用語の説明が、ほのぼのかわいいイラストで紹介されます。そう、この『哲学用語図鑑』は、文字よりイラストの面積の方が多い!

昆虫図鑑や植物図鑑を眺めるように、哲学を俯瞰する図鑑。(・∀・)イイネ!!

まさに昆虫図鑑よろしく、索引も充実していることと、イラストがユーモアたっぷりに、その哲学者や哲学用語の特徴や性質が一目瞭然なんです。

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出典:哲学用語図鑑 | 田中正人, 斎藤哲也 |本 | 通販 | Amazon

ね、かわいいでしょ!そして、特徴やポイントがパット見てわかる。なんとなくキャラクターたちの服装や出で立ちも時代に合わせて変わってゆくのが面白いんです。

「図鑑」ですからね、種類がパッと見分けられて、その特徴がザッとつかめる。これは良いなぁ(・∀・)

知ったかぶりからの卒業

『哲学用語図鑑』。A5版で厚さ2.5cmくらい。

表紙も中身も全体的に白が基調の、古代ギリシアの大理石彫刻のようなデザイン。表紙は何気にローマン体で哲学者の名前もズラリと並び、雰囲気出てますw

そう、なんかこの『哲学用語図鑑』、装丁もオシャレなんです。そこも気に入りました。そこそこボリュームがあって値段もそこそこ(1,800円+税)なので、デザインがオシャレってのも大事な事実v

常に携帯するにはちょっと重い&大きいので、据え置き用として。気になったときサッと手に取れる場所に配置して起きたい。

文章量は少なめですから、一から哲学について知りたい方は他の書籍を。『哲学用語図鑑』は、知ってるけど思い出せない時、大まかな流れを掴みたい時なんかに、役立ちます。

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『偽善のすすめ』を読んだよ

明治以降大量に輸入された外来語を日本語に翻訳した偉人達のイメージをコピックで描いたイラスト

『偽善のすすめ』では中学生の豪太くんと亜美ちゃんが、謎のイタリア人パオロと「偽善」について話し合います。
例えば「偽善者」と言えば、強欲で見栄っ張りで、下心のある腹黒い人物をイメージします。しかし一方「やらない善よりやる偽善」と、考えてみるとなんだかよくわからない言い回しを使って、偽善を肯定しようともします。

「偽善」の良し悪しを語るには、まずは「偽善」とはなんなのか、定義を考えねばなりません。
しかし、「偽善」という言葉が明治以降の日本に登場して以来、時代時代で意味が変わっているようなのです。

ある時は極悪の象徴「偽善」。ある時は行為を持って「偽善」が使われていました。
言葉にも山あり谷ありの歴史があるのですね。

言葉の歴史って大切?

最近登場した言葉もたくさんある

ある物事について考えるとき、その言葉の歴史をまずは振り返ってみても良いかもしれません。
「自由」や「愛」「社会」「都市」といった、今では当たり前に使われる言葉も、明治以降、外国から文化や学問、思想がどっと流入されたときに、生まれた新しい言葉です。「偽善」もどうやらこの仲間みたいですね。

当然ですが、西洋からこれらの概念が流入してくる以前には、日本語にそれにあたる言葉はありませんでした。
概念や考え方自体が日本人は持っていなかったということです。

理屈よりも気持ちが大事?

しかし、言葉の意味や定義など、理屈ばかりに凝り固まってしまうのはいかがなものでしょうか。
大切なのは「気持ち」で、その時その時の気持ちをしっかりと表現することが大切です。

いちいち言葉について考えこんでしまっていては、なにも表現できません。
心のままにのびのびと話すことも大切です。

言葉はなぜ必要なんだろう?

「愛」は「かなし」?「love」?

例えば、「愛」という字は、日本でも古くから使われていました。
「かなし」という日本語があてられ、「可愛い」とか「愛しい」の意味です。
どちらの言葉にも「愛」が使われていますね。

この「愛」の漢字に英語の「love」という意味がくっついたのが明治以降のお話。
ですので、日本語の「愛」という言葉について考えるときは、日本の古来からの言葉「かなし」という意味と、英語で言うところの「love」という意味と、二つを分けて考えなければなりません。
ごちゃごちゃにしてしまうと意味がわからなくなってしまい、「かなし」についても「love」についても、どちらの言葉も味わえなくなってしまいます。

言葉は思想や価値観に大きな影響を及ぼすものだと思います。
その言葉の意味を見極め使いこなすためには、言葉の歴史や出現した時期や理由も踏まえておきたいです。

気持ちは大事。大事だから、丁寧に伝えたい

「気持ち」はとても大切で、理屈とは別に湧き起こる感情や考えを抑えこむ必要はありません。
そこで大切になのは「気持ち」そのものではなく、気持ちを「伝える」ことではないでしょうか。
気持ちを誰かに伝え共感したり、同情しあえることで、代え難いものになります。
そして、他者と気持ちを分かち合うときに必要な物が「言葉」です。
その言葉の意味を勘違いしていたり、曖昧な定義のまま使っていると、相手とすれ違いや行き違いを生む元になってしまいます。
他者と気持ちや考えを分かち合うためにこそ、言葉についても造詣を深める必要がありそうです。

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偽善のすすめ 10代からの倫理学講座

偽善のすすめ: 10代からの倫理学講座
パオロ・マッツァリーノ
河出書房新社
(2014)

『説き語り日本書史』を読んだよ

書を書くのに必要な筆と硯、墨のイラストをコピックで描いたイメージ

私はこれまで、何度かお習字を習おうと、書道の先生の元へお願いに上がったことがあります。

一回目は、中学3年生の頃。
近所の書道の先生のところへ、しばらくの間通っていました。
硬筆と万年筆のペン習字を習っていたのですが、高校進学と共に時間が合わなくなり通えなくなりました。

二回目は二十代半ばの頃。
引っ越した先の近くの習字教室へ見学に行ったのですが、元気な子どもたちがたくさんいて、とてもフリーダムな雰囲気でした。
静かな時間帯を狙っての出席や、自宅で練習して添削をしてもらうなど、方法を提示して頂いたのですが、タイミングや諸々の条件が合わず結局断念。

三回目は、書道の先生のもとへ習字を教えて欲しいと頼みに行ったものの、新規で生徒を取っていないと断られてしまいました。

「書道」への憧れ

なかなかタイミングが合わず、未だに書道への憧れを引きずっています。
「書道」に触れてみたいと常々思うのです。
日常で役立つのはペン習字かもしれませんが、毛筆を習いたいなぁと思います。

「華道」「茶道」などと同じ「道」のつく習い事を一度してみたいんですね。
もちろん、華道や茶道も一度は触れてみたくはあるけれど……まだ始める勇気と言いますか、踏ん切りが全然ついていません。
いつかは触れられることがあるのかな。

彫って書いた「漢字」、筆で書いた「仮名」

『説き語り日本書史』を読みました。
日本の書は、中国の漢字文化に途中乗車し、途中下車した文化だ、という表現が面白かったです。

日本人は長らく文字を持っておらず、後に中国より漢字が輸入されます。
漢字は「甲骨文字」であり、もともとは動物の骨や亀の甲羅などに文字を彫っていたのです。
中国の書には「彫って書く」という文脈が継承されているようです。

しかし、日本に漢字が輸入された頃には、もう骨や甲羅に掘るのではなく、既に筆が用いられていたせいで、中国の書とは違う、独自の書が発展します。
筆の伸びやかで滑るような曲線が、後の時代に日本独自の仮名を生んだ、というのも、興味深く感じました。

漢字なくして日本語はあり得ない

本書の中でも指摘されていましたが、私たちが日頃使う日本語は、漢字の影響がとても色濃く残っているそうです。
確かに、普段何気なく使う「熟語」は、漢字ありきの言葉です。

私たちは無意識的にですが、漢字文化に則った言語と、日本独自の言語を、複数のレイヤーを重ねるように言葉を重ねて話しているようです。
これを、本書内では「漢和二重複線」と呼ばれていました。

かなり意識して話さないと、意味が複数に取れてしまうような事態もままあります。
言葉が曖昧になってしまうのも、この複数の文脈が入り乱れているせいなのかもしれません。

今後、言葉について調べてみるのも、有益かもしれないなぁと思いました。

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説き語り日本書史

説き語り日本書史
石川 九楊
新潮社
(2011)

『世界を変えた10冊の本』|世界の読むべき本をわかりやすく解説

こんにちは。読書本には目がない あさよるです。「読書本」って変な言葉ですが、本を読むための本って感じでしょうか。本書『世界を変えた10冊の本』もそのタイトル通り、10冊の世界を変えた本を池上彰さんが紹介するもの。どの本も世界的超有名本で、一度は目を通しておきたいものばかりです。

世界を変えた10冊ラインナップ

本書で紹介される10冊の本は以下。

  • 『アンネの日記』
  • 『聖書』
  • 『コーラン』
  • 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
  • 『資本論』
  • 『イスラーム原理主義の「道しるべ」』
  • 『沈黙の春』
  • 『種の起源』
  • 『雇用、利子および貨幣の一般理論』
  • 『資本主義と自由』

読んだことはなくってもタイトルくらいは知っている本ズラリ。ここではザッと簡単に紹介しておきます。

書影は『世界を変えた10冊』の出典として挙げられているものです。

『アンネの日記』

第二次世界大戦時、ユダヤ人として収容され亡くなったアンネ・フランクが書き残した日記。アラブ諸国を除く国際社会がイスラエルの味方をするのは『アンネの日記』があるからだ、と紹介されています。なるほど、彼女が生き生きと〈普通の少女〉であればあるほど、彼女の運命は信じがたく、ユダヤ人弾圧がいかに惨たらしいものであったのかと感じます。「世界を変えた本」のトップバッターに相応しいものです。

『聖書』

世界で最も読まれた書物『聖書』。

 中東に生まれたキリスト教が、やがてヨーロッパ世界に広がり、宣教師たちによってアフリカや南米にも拡大。ヨーロッパでの迫害から逃れたキリスト教徒は、アメリカに「神の国」を建設しようとしました。
一方、ヨーロッパのキリスト教徒たちは、「十字軍」によって中東遠征を繰り返し、イスラム教徒との対立を深めました。それは、キリスト教文明とイスラム文明の対立として、いまにつながってくる歴史です。

p.41-42

聖書の物語は今も多く引用されますし、今の世界を動かしています。

『コーラン』

ユダヤ教の経典『律法』をキリスト教徒は『旧約聖書』と呼び、新たに『新約聖書』を加え聖書にしました。さらにイスラム教はここに『コーラン』を加え経典にしました。イスラム教徒にとって『コーラン』が最も重要とされます。

日本ではイスラム教徒は少ないですし、文化や慣習がふしぎに見えるかもしれません。イスラムの行動規範や考え方等、池上彰さんが分かりやすく説明してくださるのは有難い。

『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

16世紀の宗教改革により、ローマ・カトリックからプロテスタントが生まれます。カトリックとプロテスタントでは経済活動において大きな違いがありました。

カトリックの教会の支配は穏やかで形式的なものだったが、プロテスタント支配は、「家庭内の私的な生活から職業的な公的な生のすべての領域にいたるまで、考えられるかぎりでもっとも広い範囲にわたって信徒の生活のすべてを規制するものであり、限りなく厄介で真剣な規律をともなうものだった」と指摘します。つまり、このプロテスタント支配によって、子どもたちは高度な教育を受けて社会の上層を目指すようにしつけられているのではないか、というわけです。

p.101

プロテスタント支配によって、資本主義の精神が登場するのです。19世紀半ばまで労働者は生活できるだけの収入があれば、それ以上働こうとしませんでした。それに対し、仕事のために人間は存在し、働くことは生きるために不可欠であるとの考えが「資本主義の精神」です。

現代のわたしたちはこの考えの上にいるんですね。

『資本論』

マルクスはかつて、資本主義がなぜ非人間的な経済体制になるかを説きました。マルクスの理論は、ロシア革命を引き起こし、やがて社会主義体制を採用する諸国が増大しました。マルクスの『資本論』は世界を変えたのです。
ところが、東西冷戦が終わり、ソ連の崩壊に代表されるように社会主義体制の限界が明らかになって以降、マルクスの主張はすっかり見捨てられてました。それが、リーマン・ショックをきっかけに、まるで預言者のように復活する。皮肉は話です。

p.123-124

労働量は藤堂の時間で測り、貨幣が資本になる。現在の我々が当たり前思っている体制も、新しい考え方なのですね。

『イスラーム原理主義の「道しるべ」』

『道標』は“オサマ・ビンラディンの教科書になった”ことから、世界を動かした10冊に選ばれています。

 イスラムこそが、健全な発展と進歩に欠かせない価値観を保有している。その理想が失われてしまったために、世界は墜落している。いまこそイスラムの理想に帰り、イスラムの原初を思い起こすことが必要だと主張します。(中略)

現代はイスラムの理想が失われてしまったのに、イスラム教徒たちは、自分たちの世界を「イスラームの世界」などと思いこんでいる。これを正さなければならない、というのです。となれば、イスラム世界の腐敗した体制を打倒することは「神の道」であり、正義の戦いである。つまり「ジハード」(聖戦)なのだ、ということになります。(中略)

世界中が無明社会だというのです。
無明社会は暗黒社会ですから、真のイスラム教徒は、無明社会をイスラム社会をイスラム社会にしなければならないのです。ここから、無明社会に対するジハードが必要だという理論が導き出されます。この対象として、日本も例外ではありません。(中略)

日本の私たちの信仰は、「邪神を祭るために、手のこんだ礼拝儀礼の体系を創案した」ものだというのです。彼が日本のことをどれだけ詳しく知っていたのか疑問ですが、彼によれば、日本もジハードの対象になってしまいます。

p.155.156.160

『道しるべ』に日本のことが書いてあるのは知りませんでした。日本はジハードの対象にならない保証はないということでしょうか。

『沈黙の春』

アメリカのペンシルバニア州に生まれたカーソンは、連邦政府の商務省漁業局で働きながらアメリカの雑誌「ニューヨーカー」に『沈黙の春』を連載し、単行本として出版されベストセラーになりました。

環境汚染という言葉がなかった時代、農薬により野鳥たちが死んでしまった例や、食物連鎖による毒物の蓄積メカニズムを広く世に知らしめたのが彼女だったのです。

現在では当たり前の環境問題も、当時はなにも知られていなかったところから、社会に浸透していったんですね。

『種の起源』

ガラパゴス諸島に上陸した経験から、生命の多様性への疑問を追求し1859年『種の起源』が世に登場します。当時は売れ行き上々だったそう。

彼の書は、「地球上の生き物は神が創造した」と信じるキリスト教徒からは批判を浴びましたが、多くの学者から支持され、その後の遺伝学、生物学の飛躍的な発展の基礎を築きました。

p.192

生物は神が創造したものか否か。現代でも議論になる事柄です。

『雇用、利子および貨幣の一般理論』

 景気が悪くなったら政府が公共事業などで支出を増やして経済を活性化させる。金利を下げて、企業の投資を活発化させる。
これらは、景気対策としての常識になっています。中学校の社会科で習う話です。しかし、かつては常識どころか、「とんでもない話」と考えられていたこともあります。それを世の中の常識にしてしまった本。それが、今回取り上げるジョン・メイナード・ケインズ『雇用、利子および貨幣の一般理論』という書物です。

p.213

1929年の世界恐慌の政府の対応を時代遅れだとし、ケインズは批判しました。本書では現代の日本社会が直面している問題を、ケインズがどう説いているのかが紹介されています。

『資本主義と自由』

フリードリヒマンは、自らの主張を一般に理解してもらうためのショック療法を用意しました。当時のアメリカで政府が行っていた事業のうち、「政府がやる理由はない」と考えた事業一四項目を列挙しているのです。(中略)

1 農産物の買い取り保証価格制度。
2 輸入関税または輸出制限。
3 農作物の作付け制限など。
4 家賃統制。物価・賃金統制。
5 最低賃金制度や価格上限統制。
6 銀行に対する詳細な規制など。
7 ラジオとテレビに対する規制。
8 現行の社会保障制度。
9 事業や職業に関する免許制度。
10 公営住宅、住宅建設の補助金。
11 平時の徴兵制。
12 国立公園。
13 営利目的の郵便事業の禁止。
14 公営の有料道路。

p.248-249

じっくり見て見ると「やめるとヤバイんじゃない?」と思う項目もありますが、彼よると大丈夫。というか逆に、国が制限をかけていることで貧しい人が苦しんだり、社会に不利益があると説いています。

未読本に色めき立ち、既読本に興味津々

池上彰さんが選ぶ「世界を変えた10冊の本」はいかがでしょう。あさよるは、タイトルは知っていても「読んだことない」とか「通読したことない」ものばっかりです。現代でも絶版になっていないどころか、流通している本ばかり。現在では電子書籍や、Kindle Unlimitedでも読めるっぽいのでありがたいです。読む本リストに加えておきますφ(..)メモメモ

「世界を変えた本」の中でも、現代のわたしたちの生活や常識そのものを作った本ばかりが紹介されていますから、興味がないわけがないラインナップです。

あさよる正直、この本「面白くなさそうだなぁ~」と思ってたのですが、嬉しい誤算で結構楽しく読めました。まだ読んだことない本は「読んでみよう」と色めきだち、既に読んだ本は「池上彰さんはどう紹介するんだろう」とwktk。

この手の本は他の人が紹介してもいいかもしれないけれども、内容的には「知っていて損ないぜ」って感じで、お馴染み池上彰さんの著者だし、人におすすめしやすい本だと思います。

あさよるネットで紹介した池上彰さんの本

『学び続ける力』/池上彰

『学び続ける力』を読んだよ

『伝える力』/池上彰

『伝える力』|子どもへニュースを伝える力

『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』/池上彰

『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』|社会、外交、世界を考える

『あした選挙へ行くまえに』/池上彰

『あした選挙へ行くまえに』|なにを投票するの?

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