生物・バイオテクノロジー

『生き物はどのように土にかえるのか』|死から命へ続いてく

『生き物はどのように土にかえるのか』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。あさよるは子ども時代、ザリガニやカブトムシ、カナブン、カエルなんかの「虫」を飼っていました。時が来ると死んでしまって、お墓を作って埋めた経験もあります。子どもの頃から「生き物は死ぬと土になる」と知識として知ってはいましたが、実際にどのように土にかえってゆくのかを知りませんでした。……というか、正確には「見たことはある」けれども、あまり直視したくないものですので(色んな意味で)、薄っすらと遠目でしか見たことがないというのがホントのところ。

『生き物はどのように土にかえるのか』は、子どもの頃に知識として頭には入っていた事柄を、誰にでも分かるように易しく解説された良書です。本書が想定する読者は中学生以上。大人もぜひ読んで欲しいです。

生き物が食べられ分解され消えてゆくまで

本書では、生き物の「死後の世界」を紹介するものです。「生き物は死ぬと土にかえる」と言いますが、どうやって土へかえってゆくのか、どれくらいの時間をかけて土にかえるのか、知っている人は少ないでしょう。「死」は縁起の悪い話として、遠ざけて語られない節があります。しかし、生きるというのは死に向かうことですから、死と正面から向き合うことは生と向き合うことと同義でしょう。

本書は大きく3つの章からなっています。一つ目は動物が死んだあと、どのように分解され、土にかえってゆくのか。ゾウとクジラの死体が分化されてゆく過程が取り上げられます。二つ目は落ち葉が分解され土にかえってゆくまでの課程です。3つめは、「分解」に注目します。

動物の死体が腐って食べられ、分解されてゆく過程を扱っているので、「むごい」とか「グロい」と感じる人や案じる時もあるでしょうから、そのときのコンディションに合わせてどうぞ。だけど、動物は死んでも、その死体が次の命を産み繋ぎ、次々と命が数珠つなぎのように連なっている様子は、目の当たりにするととても感動します。日本では残念ながら(?)人は火葬されますが、それでも大気に熱となって放出され、それは他の生命に影響を及ぼすでしょう。自分もその大きな循環の一部なんだと知ると、なんだか安心できて、本書『生き物はどのように土にかえるのか』を読んでよかったと思いました。

壊れ、食べられ、腐り、なくなってゆく

生き物が死ぬと、まず細部が自ら酵素を出して壊れてゆくそうです。そうこうしている間に「分解者」がやってきます。地上で哺乳類が死ぬと、他の哺乳類や鳥類が肉を食べ、虫たちが集まります。この虫たちの仕事が重要で、虫が来ないようにネットの中に死体を入れておいても、なかなか分解が進まないそうです。身体はバラバラに持ち去られ、体液は地面へ染み込みます。氷に覆われた地域では、動物の亡骸を栄養に植物が生えます。

クジラの死後もダイナミックです。クジラの死体は一度体内で発生するガスにより浮上しますが、そのあとは海の底に沈みます。光も届かないような深海では、クジラの死体がコロニーのように、その周りに分解者が集まります。海底に栄養を届けるんですね。

植物は意外にも、腐るまで時間がかかるそうです。樹齢1000年の木材は、1000年使えるなんて言われることもあるそうです。

落ち葉が降り積もって「腐葉土」を作りますが、葉っぱが分解されるまでの期間は条件によって異なりますが、何十年とかかると紹介されています。

あらゆる生き物は壊れ、食べられ、分解され、いずれなくなってゆきます。その過程で他の生き物の栄養となり、次の命から命へとバトンタッチは見事です。

生き物の〈死〉には、すごく馴染みがある

『生き物はどのように土にかえるのか』挿絵イラスト

生き物の〈死〉は、とても身近に存在しています。哲学的なことを言っているのではなくて、食べ物はみんな動物の死体ですし、衣類も、家具・調度品にも生き物の死体が使われます。例えば「発酵食品」は、大豆や小麦粉を発酵させて(腐らせて)加工します。

「死」という言葉には暗く重たい印象がありますが、我々は日ごろから生き物の死をカラッと明るく、屈託なく扱っています。

自分が死ぬことを考えるととても恐ろしいことだと思いますが、すべての生き物は別の生き物を活かすための糧になるんだと知ると、自分の身体も、他の生き物の〈何か〉になればいいなあと、のほほんと考えられるようになりました。

関連記事

続きを読む

『できない脳ほど自信過剰』|「自称・嘘つき」は本当に嘘つく正直者

『できない脳ほど自信過剰』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。池谷裕二さんの本が立て続けに面白かったので、またもや手に取ってしまいました。ちなみに、今まで読んだ中で一番面白かったのは『単純な脳、複雑な「私」』でした。

池谷裕二さんはヒトの脳の特徴や、人の行動・思考のクセについての本を複数出版されています。脳の話は、知れば知るほど不思議で、頭の中が「?」でいっぱいになってゆく面白さがたまりません。

今回手に取った『できない脳ほど自信過剰』は脳に関するコラム集で「ほうほう」と、「知らなかった!」と「やっぱりそうか!」の繰り返しの読書でした。

脳はやたら上から目線!?

本書『できない脳ほど自信過剰』は、ピリッと皮肉の効いたタイトルです。それは「能力が低い人ほど、自分の能力を客観的に判断できないから、自信過剰になりがち」というこの世の心理を端的に表してるからです—―(>_<→ グサッ

ドライバーに「あなたは車の運転が上手い方ですか」と質問すると、70%の人が「はい」と答えるそうです。20%の人が、自分を過剰に評価していることになります。こわいですね~……と、他人事のように言っておこう。サーセンサーセンm(__)m

これは、あなたの〈人が悪い〉わけではありません。ヒトの脳は、見えない相手、よくわからない相手を低く評価する〈クセ〉があるようです。

例えば「オーパーツ」という言葉があります。

オーパーツは、それらが発見された場所や時代とはまったくそぐわないと考えられる物品を指す。英語の「out-of-place artifacts」を略して「OOPARTS」とした語で、つまり「場違いな工芸品」という意味である。

オーパーツ – Wikipedia

オーパーツの代表であるナスカの地上絵は、航空技術が発達してから地上に絵が描かれていることが発見されました。航空機がなかった時代、古代人がこのような絵を描くことは不可能ですから、「宇宙人が描いたんだ」なんて話が登場します。……これ、現代人の「思い上がり」ですよね。「古代人は現代人よりも劣っているハズ」という先入観があって「劣等な古代人が高等なことができるわけがない」と考え、そこから「古代人にはムリだから、人知を超える存在が作ったんだ」→宇宙人、という発想に結びついてゆきます。しかし、古代人であれ、我々と同じホモサピエンスです。我々と同じことを古代人が考え、実行していてもおかしくありません。

また、人間以外の動物を低く見てしまうという傾向もあります。当然ですが、ヒトが得意なこともあれば、ネズミが得意なこともあり、哺乳類より虫のほうが長けていることもあります。なのに、ヒトは高等だと、つい考えています。

同じような話で、どうしても私たちは機械、ロボットを下に見てしまいます。ヒトの方が優秀であると思っているし、そうであって欲しいと願っているのかもしれません。

ヒトの脳は本来的に自信過剰にできていて、なかなか冷静に判断ができないようです。本書のタイトルは『できない脳ほど自信過剰』ですが、さながら「ヒトはやたらと上から目線だなあ」という感じ。

脳や人の行動に関するコラム集

紹介が遅れました。本書『できない脳ほど自信過剰』は、著者の池谷裕二さんが「週刊朝日」に連載されていたコラム集です。ですので、テーマは毎回違っていて、脳や人の行動に関するコラムが雑多に集まっている印象です。雑学や話のネタにどうぞ。

以下、あさよるが気になった、面白かった話を少し取り上げます。

  • 自己評価が伴わない

先に述べました、ヒトはどうやら自己評価が伴わない存在のようですw 〈自信過剰〉だけでなく、自己評価が低い人ほど、他人のユーモアに敏感だったりと、自己評価のできなさは〈自身過少〉にも働くようです。

面白いことに「自称ウソツキ」の人は、実際にウソツキだそうです。ということは、ウソツキほど正直者であるということ!?

  • 思い込みが強い

〈自信過剰〉と繋がりますが、ヒトの脳は思い込みが強いw 例えば、しつけは、厳しくするよりも、褒めて伸ばす方が効率的だそうです。しかし、やっぱり感覚的に「しかし厳しい方が効くんじゃないか」と思ってしまう自分もいます。

同じような話で〈我慢〉はするほど忍耐力が落ちてゆくという話に触れられています。たぶん、実際にそうなんだと思いますが、これもやはり体感としては「我慢した方が良いんじゃないか」と自分で思い込んでしまいそうです。

あと、ビジネス書にもよくありますが「おとり商品」に騙されてしまう話。松竹梅の3つの商品があった場合、買わせたいのは竹で、竹を買わすためのおとりとして松をメニューに加えると、みんなまんまと竹を買ってしまうというお話。これも、「自分でメニューを選んでいる」と思い込んでいるのに、実際には商売上手にノセられているのです。

  • 一目ぼれせよ!

恋愛結婚した夫婦より、お見合い結婚する方が離婚率が低いという話は聞いたことがあります。恋は盲目ですから、相手の欠点も見えなくなって結婚するのですが、恋が冷めてしまうと……というワケ。

しかし「一目ぼれ」で結婚するカップルは意外にも長続きするそうです。なんでも、「一目ぼれ」とは、その人の収入や職業、家柄や社会的な立場や、なにもかもを度外視して、パッと見て潜在的に「好印象」の相手だからです。次第に相手の欠点が見えてきても、そもそも「好印象」を抱いている相手だから、悪い部分には目をつぶることができるんだそう。これは意外。

  • 三途の川が!

死の直前〈三途の川〉が見えるという話は、オカルトではなく、ホントらしい。といっても「川が見える」のか分からないけれども、瀕死の状態から一命を取り留めた人の中に、臨死体験をする人は多く、現実よりもリアルに感じるそうです。実際に死にゆくマウスの脳派を調べると、死の直前に独特な脳の変化が起こるそうです。

ここから、あさよるの余談ですが、日本人は臨死体験で川辺で大切な人を見るそうですが、文化が変わると見えるものが変わるそうです。「川のほとりで」というのは、日本人の心象風景なのでしょうか。関係ないけど、日本人の子どもは昔(今も?)「川で拾ってきた」というのが定番です。「コウノトリが」「キャベツ畑の」の日本版ですね。どうでもいい話だな。

  • 気合でどうもならないことがある

体内で水分が不足すると記憶力が下がるそうです。特に子どもは、学校に登校してきた時点で水分不足になっているそうで、テスト前に水分を取らすといいらしい。大人も、小まめに水分を取って体調管理を密にした方が、能率が良いってことでことですね。「気合」「根性」ではどうにもならないことがある。

あと、よく寝た方が学習効率が上がるとか、散歩がいいとか、「いわずもがな」な話ですが、脳科学的に見ても、はやりそうであるという裏取りができた気分。

ちょっと発見、ちょっと反省

『できない脳ほど自信過剰』挿絵イラスト

本書『できない脳ほど自信過剰』はコラム集ですから、ちっちゃな面白い小ネタが詰まっています。一節ずつ小さな発見と、ちょこっと自分に反省しつつ、自分のことを棚に上げて楽しめる、好奇心を刺激するエンタメ本ってとことでしょうか。

脳の働きや、ヒトの認知って、意外と自分の体感・実感とは齟齬があるようで、知れば知るほど不思議な世界です。また、ネズミの生態や、虫の能力を知ると、ヒトの脳を知ることは「生命とは」を考えることになるようです。なにもヒトだけが特別な存在ではないんですね。わかっちゃいるけど、つい「特別」な感じに考えてしまいます。

よく、数学的な確率と、実感としての確率が乖離する話があります。23人集まれば、50%の確立で同じ誕生日の人がいる、とか、やっぱ実感として信じがたい。ヒトは感覚的に選択すると、分が悪い選択をしてしまいます。「わたし、間違えるんで」と開き直って対策を考えた方がよさ気。

池谷裕二さんの本はどれも面白かったので、また違う本も読んでみたいです(^^♪

関連記事

池谷裕二さんの本

脳科学の本

続きを読む

『なぜ蚊は人を襲うのか』|蚊と人と病原体の攻防戦

『なぜ蚊は人を襲うのか』挿絵イラスト

こんにちは。冬のうちに体力をつけたい あさよるです。冬は代謝が上がっているから、筋トレするにはもってこいなのよ。夏は体もバテてるから、それまでにシェイプアップしたいのです。夏の準備は冬のうちから始まっているワケですが、夏の「虫」問題もなんとかしたい。田舎に住んでるもので、窓に寄ってくる虫の対策に毎年悩まされています。ということで、今回は「蚊」。

以前、ゴキブリ退治の本を読みましたが(名著)、蚊は不快だけれども「かゆみ」以外の実害がないし殺虫剤でなんとかなるので優先度が下でした。しかし今日『なぜ蚊は人を襲うのか』を読んで、蚊の恐ろしさと、神秘と、そして「かゆみ」の重大さを知りました。蚊は怖い!

地球どこでも蚊が待っている

本書のタイトル『なぜ蚊は人を襲うのか』という問いの答えは「繁殖するため」ということは、皆さんもご存じのとおりです。動物の血をすう蚊は、産卵前のメスだけです。動物の血液をたっぷりと吸い、そのたんぱく源で卵を産みます。

そのメスの蚊にも「好み」があるようで、人の血を好むものや、動物や家畜が好きなものもいるそうです。日本の都市部に住んでいる蚊たちは、人間をエサにしていますから、散歩中の犬と一緒にいても人がターゲットにされやすいのだそうです。反対に、農村部へ行くと犬の方がよく刺されるなんてこともあるそうな。

日本の蚊は寒くなるといなくなりますが、極寒の地でも平気な蚊もいるそうです。熱と二酸化炭素を大量に吐き出す飛行機を蚊は生き物と間違えて寄ってくるそうで、飛行場の水たまりでは蚊が発生しやすく、しかもこの蚊!飛行機の車輪かなんかにくっついて、上空の極寒の環境でもへっちゃらで、遠くへ移動してしまうんだそうです。また、蚊は冬眠をして越冬もできるので、想像以上に手ごわい相手なのです。

蚊が害虫で困った存在なのは、「かゆい」という事実もさることながら、病気を媒体する恐ろしい存在であるからです。

蚊と伝染病

2014年、東京でテング熱を発症した患者が話題になりました。日本でもテング熱の患者は毎年いますが、彼らは旅行先でテング熱にかかり、気づかずに帰国し発症する例しかありませんでした。しかし、この患者は直近に旅行歴がなく、国内でテング熱に感染したのです。その後、同じ病原体に由来すると考えられる患者が兵庫県で確認され、再度話題となりました。東京で発生したテング熱が、兵庫県まで広がっていたのです。

蚊がマラリアを媒体していると知られるようになったのは1880年のことで、意外と最近。それまでは「悪い気」が伝わるなど、オカルトチックなことが信じられていました。それまでも、ボウフラが繁殖する水たまりをなくすとマラリアが減ると認識されていた地域もあったそうですが、具体的に病原体が蚊の体内から発見されたのでした。

日本でも『堤中納言物語』の「虫愛ずる姫」のお話の中で、も「蝶の鱗粉に触るとマラリアになる」と読める箇所があります。また、平清盛はマラリアで亡くなったと考えられているそうです。『源氏物語』でも高熱に見舞われる描写があったり、西郷隆盛の最期も、蚊の媒体によりフィラリア症を発症しており、逃げることができず自害に至ったと考えられています。歴史を動かす「蚊」の力。恐ろしい。

「かゆい」から逃れられる

現在でもマラリアによる死亡率は減少していますが、死亡者数は増えているそうです。感染する人の数が増えているということなんですね。

どうやら、日本で住んでいるわたしたちと、マラリアが蔓延するアフリカでは環境が違うようです。日本人は、蚊に咬まれるのを極度に嫌がり、蚊帳を張り、蚊取り線香を焚き、殺虫剤や虫よけスプレーを念入りに使います。それはただただ「刺されるとかゆい」からです。「かゆみ」という不快感から逃れるために最大限の対策をしているんですね。

蚊に刺された「かゆみ」の原因はアレルギーです。蚊の唾液をアレルゲンと認識し、かゆみを感じます。しかし、蚊に刺されまくると、蚊の唾液専門の抗体が生まれ、かゆみを感じなくなるそうです。アフリカの民家で寝ていると、1晩になんと200箇所も蚊に刺されるそうなのですが、かゆみを感じないから対処が後回しになってしまいます。

蚊は生き残るために人の血を吸い、人は生き残るためにアレルギー反応を起こして蚊から逃れます。しかし、あまりの大群で蚊に血を吸われると、かゆみを感じなくなり、蚊に血を吸われてもへっちゃらに……蚊は恐ろしいのです。

巷の都市伝説で「O型は蚊に刺されやすい」という話がありますが、これも科学的に「その通り」「いや、ちがう」と論争が絶えないそうです。もし、本当にO型が蚊に刺されやすいなら、人類の進化となんらかの関係していると考えられます。ヒトは蚊がたくさんいるアフリカを離れ、蚊のいなかった寒冷地へと移動していったのですから。

『なぜ蚊は人を襲うのか』挿絵イラスト

蚊もいろいろおりまして

蚊といっても種類がたくさんいるそうです。あさよるは「ヤブ蚊」と「イエ蚊」しか知りませんでしたが、田んぼの真ん中でブヲォォっと柱を作っているのも蚊の仲間だそうです。血を吸わないので、他の虫かと思っていました。

また「蚊に血くらいくれてやるけど、痒くするなよ」と怒っておりましたが、「かゆい」という不快感は人類の生き残り策なんですね。やはり蚊は遠ざける方法を苦心した方がよさそうです。最も有効なのは、水たまりにボウフラを沸かせないことです。正攻法です。

血吸い蚊でも、好みがあるという話は面白いですね。蚊の生態についても紹介されていて、知らないことばかりでした。蚊のメスは、たった一回だけオスと交尾すると何度も卵を産めるそうです。だからオスもチャンスが1度しかありません。また、交尾前のメスは動物の血に興味もないそうですが、交尾を1度すると俄然動物の血を欲するようになるそうです。どこのメンヘラ女子か!

すごく近くにいる生き物なのに、「蚊」のことなんにも知りませんでした。

関連記事

続きを読む

『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』|研究者はやめられない

『鳥類学者だからって、鶏が好きだと思うなよ。』 メジロのイラスト - クリップスタジオ(クリスタ)

こんにちは。鳥が好きな あさよるです。自分でも鳥が好きだと知らなかったのですが、気が付くと鳥をモチーフにした絵本を数冊作っていました。気づかんかった~。鳥の、モリモリっとした羽根の付け根の筋肉とか、背中が超タイプ♥ 博物館なんかで鳥の標本見るのも好きだなぁ~(*´ω`*)

↓このイラストは、お絵かきソフトの「CLIP STUDIO(通称・クリスタ)」のお試し版で描いてみたヤツ。やはり真っ先に鳥を描いておる……ちなみにこれはメジロです。

『鳥類学者だからって、鶏が好きだと思うなよ。』 メジロのイラスト - クリップスタジオ(クリスタ)

研究は命がけ

あなたは「命をかける」ような仕事をしたことがあるだろうか。多くの人は、さすがに命まではかけないだろう。しかし、鳥類学者は違う。鳥類学者は命がけの職業なのだ。小笠原諸島では天敵がおらず、無人島では人もいないから怖いものはない。安心して夜間観察ができると思いきや、耳の穴に蛾がホールインワン!今にも鼓膜を引きちぎり、脳内を蛾がはい回る恐怖に怯えた経験なんて、なかなかない。研究は命がけなのだ。

あさよるは以下の一文を読んで戦慄した。

外来生物は調査器具の様々な場所に潜んでいる。ウェストポーチの隅、靴の裏、マジックテープの隙間、フィールドワークを常をする研究者の道具は、外来種の宝庫でもある。

p.56

外来生物がウェストポーチや靴の裏、マジックテープの隙間に潜んでいる!?これって、つまり、我々普通の生活をしていても、カバンの隅やマジックテープの隙間や靴の裏に生物が潜んでいるというということではないか? ちなみに、あさよるネットでも紹介した『ゴキブリ取扱説明書』でも書かれていた。部屋に出没する虫は、自分が持ち込んでいるってことかい……・゚・(ノД\lll)・゚・

まんじゅう怖い的な?

『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』というタイトルは「まんじゅう怖い」的な意味だと思いきや、読んでいると「鳥好き」と言ってもペットを可愛がったり、愛でることが好きというよりは、やはり学者、研究対象としての鳥なのですな。また、「研究する」ってこと自体が、とんでもなく楽しそうだ!

こんなに学者、研究者が楽しそうだと知っていれば、あさよるも学者になったのに! もっと勉強したのに! という、ぜひ子育て中の親御さんや、子どもと関わる仕事をしている人、あと、中学生くらいの生徒たちも読むと夢が広がると思うぞ。

まじめな内容なんですよ

ちょっと面白おかしく紹介してしまいましたが、いたって真面目な内容なんですよ。「鳥類学者」という日本に1200人しかいない希少種の生態を紹介しつつ、どんなふうに「研究」がなされているのか、研究者がなにを気をつけているのかなど、一般人には未知の「鳥類学者」という存在に迫ります。そこで、先にも書いたように「研究者」になりたかった!と思うのです。

あさよるも、植物学の先生の授業を履修した時、先生が尋常じゃなく傷だらけでズタズタなのが服の上から見て取れて、「ど、どんな冒険をしてきたんだ!」と一瞬で虜になりました。あさよるには“そういう未来”は来なかったな~。

関連本

『ゴキブリ取扱説明書』/青木皐

『本当に困っている人のためのゴキブリ取扱説明書』を読んだよ

『バッタを倒しにアフリカへ』/前野ウルド浩太郎

『バッタを倒しにアフリカへ』|人類のため、バッタに食べられたい

『わたしのクマ研究』/小池伸介

『わたしのクマ研究』|クマ研究でドングリを数える

『アヘン王国潜入記』/高野秀行

『アヘン王国潜入記』|のどかな山間のアヘン栽培日記

続きを読む

『わたしのクマ研究』|クマ研究でドングリを数える

こんにちは。自由研究を時たましたくなる あさよるです。本書『わたしのクマ研究』は図書館で、小学生向けの本だなで見つけた本です。著者がクマの研究を始めた経緯や、研究方法などが易しく書かれています。自由研究の資料や、お手本になる本です。

〈研究〉ってどうするの?

著者の小池伸介さんが、クマ研究を始めた経緯から。最初はクマに興味があったわけではなく、子どもの頃から昆虫が好きな昆虫少年だった小池さん。高校生の頃、「森の回廊」が富士山麓に作られるとニュースで知り、興味を持ちます。「森の回廊」とは、別々に分断されている森と森の間に、新たに森を作って繋ぐ計画です。森で生きる生きものが移動して生きるスペースを広げられます。小池さんは、森にすむ生き物について知りたいと思い、東京農工大学へ進学しました。

大学では、神奈川県の森やシカの調査の手伝いをしていると、先生のつながりで、クマの調査プロジェクトに参加するよう依頼されました。このプロジェクトこそ、小池さんが興味をもった「森の回廊」を作るための、クマの調査だったのです。

思わぬところでクマ調査を始めた小池さんは、クマの生息地を歩き回り、足跡や糞をあつめて、クマの生態を調べます。クマを捕まえて、GPSで行動を調べたり、エサのドングリの分布も調査します。

『わたしのクマ研究』を読んでわかること

本書『わたしのクマ研究』では、クマの研究にあたって、森全体を調査している様子がうかがえます。研究者は、クマのことを知っているだけでなく、山のこと、植物のこと、木の実のこと、科学的な測定方法も知っていなければなりません。調査のための道具もオリジナルで手作りするので、お裁縫や大工仕事もできないといけません。

クマは一頭ずつ性格が違う

クマを捕まえるとき、ドラム缶を二つ繋いだ特性の罠の中に、ハチミツを仕込んで待つそうです。クマを傷つけないように、麻酔銃で眠らせてから調査をします。このとき、クマの性格が一頭一頭違っていて、罠の中で怒っているクマもいれば、怯えて縮こまっているクマもいます。

クマは単独で生活しますから、他のクマとの関わりがなく、それぞれ個性的なのかもしれません。一頭一頭個性が違うって、人間みたいですね。

クマのメニューは豊富!

クマはいろんなものを食べます、ドングリなどの木の実や、木の皮、シカなどの他の動物も食べますし、アリやサナギも食べるそうです。ヒグマが、川を登るサケを取って食べている様子が有名ですが、サケをたくさん食べるのは体が大きなオスで、メスはあんまり食べないそうです。

足尾のクマは、若いクマほど葉やアリを食べています。歳を取るほどシカを摂って食べる個体が増えます。また、初夏の頃にシカをたくさん食べます。この頃にシカが出産の時期で、捕まえやすい小ジカが増えるからだと考えらえられます。

ドングリは豊作の年と不作の年がある

ドングリは年によってたくさん実をつける年と、不作の年があります。この理由は不明ですが、有力説として豊作と不作を繰り返すことで、より多くの子孫を残そうとしているのではないか、と考えられています。

たとえばある山で毎年同じように一〇〇個のドングリが樹木に結実しているとした場合、その山には一〇〇個のドングリを食べられるだけのネズミが生息することができることになる。するとその場合、毎年一〇〇個のドングリはネズミにすべて食べつくされて、植物は子孫を残せないことになってしまうかもしれない。
そんな状況を避けるために、植物のほうは、ある年は五〇個、次の年は一〇〇個のドングリをつけつようにすることで、ある年は五〇個のドングリを食べられるネズミが生き残り、次の年を迎えることになる。さらに次の年は二〇〇個のドングリが存在したとしても、山には五〇個のドングリを食べる分のネズミしかいないため、単純に一五〇個のドングリはネズミに食べられずに残ることができて、それらのドングリは発芽する機会を得られるようになる。

p.48-49

毎年ドングリの数を変えることで、ドングリの捕食者の数をコントロールしているのではないか?ということですね。ドングリ恐るべし。

毎年あさよるを悩ます「花粉」も「今年は多い/少ない」って予報がありますが、こういうこと?

〈調べ方〉も自分で考える

ドングリの実の数を調べる方法が複数紹介されていました。正確に数えたいなら、ドングリの木を切って、一個一個手で数えれば良いですが、これは現実的ではありません。枝についているドングリを人間が一本ずつ数えていく方法。木の下に袋をセットして置き、面積に対し落ちてきたドングリの数から、全体の量を割り出すやり方。

クマの個体識別方法も、ツキノワグマの模様で判断したり、体毛や糞から個体を割り出すやり方があるそうです。クマの首にGPSをつけて、追跡調査もします。

学校の勉強って、すでに答えや調べ方が用意されている問題に取り組むものばかりです。しかし、こうやって研究の現場では、答えもなく、調べ方もないところから、自分で答えや調べ方を模索しないといけません。そもそも最初の「問い」自体を、自ら設定するのです。

クマの種類は8種類しかない!

あさよるが本書『わたしのクマ研究』を読んでびっくりしたのは、「クマの種類は8種類しかない」ってことだった。8種類のメンバーを紹介するぜ!

  1. ホッキョクグマ
  2. ヒグマ
  3. ナマケグマ
  4. メガネグマ
  5. アメリカクロクマ
  6. ツキノワグマ
  7. ジャイアントパンダ

えー!このほとんどって動物園でいるよね!「他のクマも見たいなぁ」と思ってたけれども、そもそもクマの種類自体が少なかったのか。

で、思い浮かんだのはこの本。でん!

去年から話題の『サピエンス全史』である。内容はザックリいうと、この宇宙が誕生し、地球が生まれ、地を這うもの海をゆくもの空を飛ぶものが現れ、やつらの足音が聞こえてから、現在までの記憶を、たった2冊のハードカバーで語ろうという「ムチャしやがって…」本である。あさよるも読んだけど、ブログでまだ紹介してません(;’∀’)

で、『サピエンス全史』であって、「ホモ・サピエンス全史」でなところがポイントです。本書では我々〈ヒト〉だけではなく、かつて地上に存在した他のサピエンスたちの歴史を含んでいます。

でで、我々ホモ・サピエンスには、かつて兄弟たちがいたのです。しかし現在地上に残ったサピエンスは私たちのみ。種が生き残るには多様性が不可欠です。神ならざる我々は未来を予見することができず、ただひたすら「数打ちゃ当たる」的に可能性を増やしておくしかありません。

「クマは8種類しかいない」と知り、真っ先に「え、ヤバイやん、絶滅するやん」と脳裏をよぎったのですが、「サピエンスは1種類しかいない」んすよねー。

関連本

『お父さんが教える 自由研究の書きかた』/赤木かん子

『お父さんが教える 自由研究の書きかた』|これで「知った顔」で教えよう

『ゾウの時間 ネズミの時間』/本川達雄

『ゾウの時間 ネズミの時間』|車輪を持つ生きものがいないのはなぜ?

続きを読む

『バッタを倒しにアフリカへ』|人類のため、バッタに食べられたい

こんにちは。流行りものに目がないあさよるです。『バッタを倒しにアフリカへ』話題になってたじゃないですか。読むしかないですよね。それにしてもタイトルが謎だし、写真も謎だし、どう見てもふざけているようにしか見えないのですが、著者は何者!?

タイトルの意味も、緑色の出で立ちも、本書を読めば意味が分かるのですが、その意味が予想の斜め上行き過ぎているw オモロー

昆虫学者のアフリカ滞在記

本書『バッタを倒しにアフリカへ』は著者、前野ウルド浩太郎さんのエッセイです。前野さんはファーブル昆虫記を読み、ファーブルに憧れ、昆虫の研究をはじめ、バッタを追ってアフリカはモーリタニアへやってきた。ミッションはバッタの駆除。「神の罰」とも呼ばれるバッタの大発生を防ぐのだ。しかし、干ばつが続きバッタが発生せず、代わりにゴミムシダマシと、キュートすぎるハリネズミとの生活が始まった。

大人の事情も絡んでくる。研究費と生活費が保証された2年が過ぎようとし、もうすぐ無収入になる……日本へ帰るか?バッタを追うか? 一時帰国であちこちで講演をし、京都大学の白眉プロジェクトへエントリーをするのだった。京大総長とのやりとりは、読んでいて思わず目頭があつくなるものだ。はたして、彼は無事に予算を手に入れるのだろうか……ドキドキ、という展開です。

 私はバッタアレルギーのため、バッタに触られるとじんましんが出てひどい痒みに襲われる。そんなの普段の生活には支障はなさそうだが、あろうことかバッタを研究しているため、死活問題となっている。こんな奇病を患ったのも、14年間にわたりひたすらバッタを触り続けたのが原因だろう。
全身バッタまみれになったら、あまりの痒さで命を落としかねない。それでも自主的にバッタの群れに突撃したがるのは、自暴自棄になったからではない。

子どものころからの夢「バッタに食べられたい」を叶えるためなのだ。

p.3-4

ちょ、ちょっと情報量が多すぎてわからない。バッタアレルギー?そんなアレルギーあるの? 本書によれば、バッタが腕をテクテクと歩くと、その足跡にじんましんができるらしい。そんな話初めて聞いた。そしてなによりこの一文だ。「バッタに食べられたい?」?? どうやらバッタが大発生している様子を見学していた人の、緑色の服にバッタが群がり、服を食べてしまったという話が昔、科学雑誌に載っていたそうだ。それが羨ましくて「バッタに食べられたい」ということらしい。

大発生するバッタを前に、成すすべもない人類。その先陣を切って、全身緑のタイツで立ちはだかる男。それが著者なのだった。

冒険記、体験記はオモシロイ

本書はタイトルからどんな本なのか推測しづらく、読んでいても話の終着点はなんなんだ?とハラハラと読み進めました。前半はアフリカでの異国の文化や動植物のレポートが続き、旅行記のような楽しさが、そして後半は日本の研究者の微妙な立場や、日本でアフリカでの様子を講演や雑誌連載など忙しく駆け回る様子もまた、ドタバタで面白い。

学術的な話は置いといて、本書は命懸けの研究者の奮闘を知れる本だと思います。砂漠でサソリに刺されていたし……。学者、研究者って、屋内で青白い蛍光灯の下、机上の空論を並べているにあらず。

おもしろかったデス(^^)v

関連本

『アヘン王国潜入記』/高野秀行

ミャンマーにある「ゴールデントライアングル」と呼ばれる地域に、「アヘン王国」が存在する。

著者が実際に文明から離れた村に潜伏したレポート。

『アヘン王国潜入記』|のどかな山間のアヘン栽培日記

『巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災』/永幡嘉之

津波の塩害により、自然がどう破壊されているのか。

大量の写真で見てゆきます。

『巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災』|塩害による変化

『うんこがへんないきもの』/早川いくを

タイトルそのまんま。へんな生きものや、へんな習性。

『うんこがへんないきもの』|生きることは食べること。食べることは…

『LIFE<ライフ> 人間が知らない生き方』/麻生羽呂,篠原かをり

マンガとコラムで、動物から人生訓を学ぶ。

『LIFE 人間が知らない生き方』|動物は知っている、生き方を

『生きものの飼いかた』/松橋利光

こんなの飼えるの?どうやって飼うの?

そして、スーパーで買ってきた食材も、飼えるのだ。

『生きものの飼いかた』|カッコいい生きものカタログ!しかも飼える!

『ちっちゃな科学 – 好奇心がおおきくなる読書&教育論』/かこさとし,福岡伸一

ワクワク、ドキドキはどこからくるの?

好奇心を大きく育てるために。

『ちっちゃな科学 – 好奇心がおおきくなる読書&教育論』|好奇心はどこから来るの?

続きを読む

『ゾウの時間 ネズミの時間』|車輪を持つ生きものがいないのはなぜ?

こんにちは。生物の話が好きな あさよるです。今日読んだのは『ゾウの時間ネズミの時間』。Amazonランキングでタイトルを見つけて、めっちゃ気になっていました。種類は違えどみな〈生きもの〉。生き物ですから形が違っても棲み処が違っても、同じような性質を持っているのに驚きでした。

生物のフシギな話

本書『ゾウの時間ネズミの時間』はタイトルのゾウとネズミの時間の話題から始まって、生物に関する科学的なコラム集と言ったところ。空いた時間にページをめくると次の瞬間、知的好奇心がかきたてられる読書です。

「ゾウの時間ネズミの時間」とは、みなさんもゾウもネズミも一生のうち心臓の鼓動する回数が大体同じという話を聞いたことがある方は多いかも。

体が大きい動物は長生きをしますが、小さな動物は寿命が短い。小さな動物はすぐに死んでしまいますが、体が小さいから隠れやすい。そしてどんどん繁殖するから進化も起こりやすい。大きな動物は体が大きいから外敵に襲われないが、進化の袋小路に入った状態だそう。

面白いのは、天敵のいない島では、ゾウは体が小さくなり、ネズミは体が大きくなる。これは、ゾウは体を大きくしなくても生き延びれるから無理をせず小柄になってゆく。一方ネズミも隠れなくていいから体が大きいものが生き残ってゆく。結果、巨体な動物はおらず、小さな動物もいなくなる。これを、島国である日本人に当てはめているのも面白い。日本は島国なので、飛びぬけた天才もいないけれども、市井の人たちもそこそこ頭がいい。大きいものもいないが、小さいものもいないってこと。

移動コストについての章が あさよる的に面白かった。どうして車輪を持つ生物はいないのか? 車輪は移動効率が良いけれども、インフラ整備があってこそ。タイヤはガタガタの道や段差、穴があったらお手上げなのです。車輪は移動コストが断トツ低いのですが、そのためのインフラ整備が莫大だそう。

こんな感じで、様々な生物が登場します。哺乳類だけでなく、昆虫や植物や魚や。

ヒトも生物であると実感!

本書『ゾウの時間ネズミの時間』を読んでいると、他の人間も他の動物と同じように移動コストや、一つの細胞に必要なエネルギーや、運動効率の上にいるんだと実感。ヒトは地上の動物の中では大きい方で、体が大きいとその体を支えるだけでヘトヘトに疲れてしまいます。水の中をクルクルと泳ぎ回るイルカが羨ましい!

歩いたり走ったり生きているのも、実は生物学的に理由があるのね。面白かった。

続きを読む

『日本人の9割が知らない遺伝の真実』|測れる才能だけじゃない

こんにちは。自分に才能ってあるのかな?と不安な あさよるです。『日本人の9割が知らない遺伝の真実』は、話題の本っぽいことと、才能が発言するタイミングは?なんて帯に書いてあって、恐る恐る手に取りました。

あさよるは、煽り気味のタイトルから「どうせ炎上商法でしょ」「オカルトじゃないの?」なんて疑いながらページをめくり始めたのですが、2章目くらいまで読んでから「こ、これ……マジメなやつちゃうん?」と気づき、驚きましたw マジメなヤツなので、導入部が長いです。結論も、スッキリと読了感が良いわけでもありません。今、「遺伝についてこういう風に考えられてるんだなぁ」と知って、自分の思い込みや勘違いが多かったことにも気づきました。

勘違いされがちな〈遺伝〉の話

本書『日本人の9割が知らない遺伝の真実』のあとがきでは、本書が『言ってはいけない 残酷すぎる真実』のヒットにあやかった便乗本であることが告白されています。

『言ってはいけない 残酷すぎる真実』|親の言うことをきかない子

『言ってはいけない 残酷すぎる真実』は、遺伝にまつわるみんなの誤解を解く内容で、専門知識がなくても読める内容に書かれています。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』の著者は作家ですが、本書『日本人の9割が知らない遺伝の真実』は行動遺伝学、教育心理学の専門家です。

本書の冒頭でも、本書についてこう説明されています。

「知能は遺伝する」というと、「親がバカなら、勉強してもムダ」、「遺伝の影響は一生変わらない」、「才能は遺伝ですべて決まってしまう」――そう思い込んでしまう人がいますが、これらはすべて誤解です。
(中略)
行動遺伝学のもたらす知見とは、遺伝的な差異によって人を差別するためのものではありませんし、人の才能がすべて遺伝で決まるといっているのではありません。
私たちは、行動遺伝学が導き出した知見とどうやって付き合っていくべきなのか。本書ではそれを明らかにしていきます。

p.26

「知能は遺伝する」のですが、「親がバカなら、勉強してもムダ」ではありませんし、持って生まれた遺伝とは別の力も働きますから、生まれたときに一生が決定しているわけでもありません。また、現代日本の現状では、学歴と学力、そして生涯年収がリンクしているように感じますが、実際にはそれぞれ別の能力のハズです。現代の教育問題にまで幅広く話が展開してゆきます。

頭が良いのは遺伝?

本書の冒頭で、「かけっこ王国」のたとえ話がなされます。かけっこ王国ではかけっこが早い人たちは18歳になると一斉にかけっこ勝負をし、優秀な人たちはプロのランナーになったり、マラソンランナーや走り高跳びの選手に転向する人がいます。しかし、かけっこ上位10%に入るような超優秀な人は、スポーツの道に進まず、官僚や研究者、経営者になります。家柄やコネがなくても、かけっこの実力があればチャンスがあります。かけっこ王国では、かけっこの能力が高く評価されており、かけっこが苦手な人は好きな職業にも就きにくく、劣等感を受けて生きています。

かけっこ王国の話は、突拍子もなく非現実的な話に思えます。しかし、現代では「頭の良さ」が「かけっこ」に当たる尺度として働いています。頭のいい人は様々な職業に就くチャンスがあり、18歳のとき勉強ができなかった人は能力が低いとみなされ職業も選びにくく、劣等感を抱いて生きます。

そもそも「頭の良さ」は測れるの?

しかし、考えてみると、「頭の良さ」ってどういう能力なのでしょうか?そして、それはどうやって測れるものでしょうか?学力テストは、テストの成績を測ることはできますが、それがその人の能力を示しているとは限りません。

何を持ってして「知能」とするのかは、諸説あり、どの要素をどうやって測るのかもそれぞれ。結局のところ、「測れる知能」が知能とされ、測れない知能は測れないので評価対象になりません。

測れない才能の方が多い

当然ながら、測ることはできないけれども、他にない才能であるという事柄は存在します。本書では、例えば有名大学を出て道路工事の現場作業に従事する人は少ないけれども、土木の現場で必要な才能はあるはずだと考えます。怪我しないよう、安全に大きなものを運び、設置する一連の「勘」としか呼びようのない存在。それは、知能であり才能でしょうが、「測れない」から評価されません。どうように、測れないがゆえに評価されない、低く見られている才能がたくさんあるはずです。

「知能」とは、「測れる知能」のことであり、我々は「測れる知能」の分野が得意な人が評価され、社会の中でチャンスに恵まれます。一方で測れない知能を持っている人は、測れないが故に低く評価され、劣等感を持って生きる人も少なくありません。「どうせやってもムダ」「自分には才能がない」という思い込みほど、人の行動を制限するものはありません。

明快な答えがある話じゃない

本書『日本人の9割が知らない遺伝の真実』は、現在も研究中の内容を扱っている&これからの教育について扱っているので、明快な気持ちのいい答えが用意されたものではありません。もし、読了後のスッキリ感や感動が欲しいなら、別の書籍を。

反対に、知っているつもりでよく知らない〈遺伝〉のことや、教育、能力について、新しい発見や気づきがあるかもしれません。なぜだろう?どうしてだろう?って答えはないけれども考える指針はある。結論は「自分次第だ」と分かると、元気が出る人もいると思います(逆に、白けちゃう人もいるかもしれないケド)。

分かりやすい才能ばかりじゃない

子育てで、子どもの才能を伸ばしてやりたいと考えている方もいらっしゃいますね。子どものうちに才能の芽が出る子っていますが、それは「見つけやすい才能」だった時の話です。例えば、楽器の演奏が上手いとか、他の子より運動神経がいいとか、分かりやすい、見つけやすい才能です。見つけやすい才能を持っている人は、先ほどの「測れる才能」と同じく、分かりやすいので人に評価されやすいんですね。

しかし、子どもの頃に目立った才能がなかったからといって、その人の能力は決められません。大人になってから芽が出てくる時間のかかる才能もあります。地道に、社会の中で揉まれながら、少しずつ少しずつ磨かれていく才能もあります。あくまで、子どもの頃に見つかる才能は「見つけやすい才能」のみ。ほとんどの人は、時間をかけて才能を磨き手に入れていくんですね。

現在の教育は悪くない、でもベストでもない

現代日本の教育、小中の義務教育と、多くの人が進学する高等学校の教育を、著者は否定しません。多くの人が教育を受けられることに加え、多種多様な「部活」も用意されており、部活動の中で自分の才能を模索する人も少なくありません。教員の質が話題になることもありますが、一部レベルの低い教員はいるかもしれないが、概ね同じくらいの教員が用意されていることも評価しています。

しかし、今の教育がベストでもありません。繰り返しますが、現代の教育は「測れる知能」が評価され、それ以外の人は大きな劣等感を抱くシステムでもあります。本当は他の才能を持っている人が、劣等感から無気力になってしまっては、チャンスもなくなってしまいます。

多様性を見出す教育のかたち?

現在の教育がベストでないなら、どんな教育の形が望ましいのでしょうか。本書では、学校で従来の学習をするよりも、若いうちからインターンシップに出て、本物のプロに出会い、プロの仕事を体験してみることが提案されていました。どんどん、様々な分野に触れてゆく、その中で自分に合った仕事を見つけることもあるでしょうし、反対に「これは向いていない」と向き不向きを実感することもできます。

また、子どもの内は勉強して大人になった勉強しない社会ではなく、必要なときに勉強できる社会が必要です。MOOCや放送大学など、そのための取り組みもなされており、環境は整いつつあります。

あなたの才能を見つけるために

本書で苦笑いしちゃったのは、小中校と12年間もみっちり勉強してもみんな忘れてしまう、と、指摘されていたことです。……た、確かに(;’∀’) 子どもにどんどん学習をさせても、どうせ忘れてしまうんだから、リアル・キッザニアのように、どんどん社会の中で実際にプロの仕事に触れて、適性を見出してゆく方がいいんじゃないかってことですね。そして、学習は自分で、必要なもの・興味のあるものを選べばいい。ポイントは、年齢は関係ないってところでしょうか。必要とあらば、大人になっても、歳をとっても学ぶ。

本書を通しても読むと、どうやら「才能」というのは持って生まれた遺伝的なものが作用しているようです。しかし、その才能を掘り起こし磨き上げられるかどうかは、環境や行動が作用しています。自分で「なんとなく向いてるんじゃないか」と思うことをやってみるってのも、大事。やってみて、向いてるかもしれないし、やってみないとわからないんですね。あさよるも、いまいち自分の適性が自分で見出せていないんですが(;’∀’)、これからもじっくり時間をかけて、磨いたり揉まれたりしながら、目の前のことをやるしかないのね!と思いました。ヨシッ( ・ㅂ・)و ̑̑

本書を読むにあたって、こちらも併せて読むと分かりやすいかも。↓

『エピジェネティクス――新しい生命像をえがく』|「遺伝」だけじゃなかった!

続きを読む

『LIFE<ライフ> 人間が知らない生き方』|動物は知っている、生き方を

こんにちは。ペットを飼いたいあさよるです。ネコが飼いたいんですが、あさよる自身がネコアレルギーを持っておりまして、どうしたもんかなぁと悩んでいます。イヌでいいかな?とか、カメなら飼えるかな?と考えつつ……。

そういうわけもあるのかないのか、自然と生きものを扱った書籍にも手が伸びます。ちなみに本書は、動物ネタを扱った本なのに、ビジネス書なんですよね。イイネ!

動物の不思議な生態 マンガ+コラム

本書『LIFE』は、動物園・水族館で我々も見たことのある動物たちの不思議な生態を扱っています。1つの動物につきマンガ家の麻生羽呂さんが5ページのマンガ+生物オタクの篠原かをりさんのコラムが2ページ。マンガ+コラムを1セットに、サクサクと読み進められるのが楽しいのです。

特に、マンガがページ数少ないながらも、その動物を好きになる「キュン」っとしちゃう感じがイイ!

生物オタクと称されている篠原かをりさんは、あさよるは存じ上げなかったのですが著書も多く、テレビにも度々出演なさっている方だそう。またチェックしてみます……。

他者を見ながら、自分を見ている

本書は、動物たちのひたむきな生き方を通して、我々ヒトの生き方を考えるという趣き。

例えばペンギン。ある種のペンギンは氷の上から海へ飛び込むとき、先頭のペンギンが蹴り落される。海の中にシャチがいるかもしれないので、一羽落として確かめてみようというw 何事でも、群れの先頭に立つ者はリスクを伴う。しかし、トップバッターがいるからこそ、群れが守られているのも事実。我々ヒトも、恐れず先陣を切りチャレンジしよう!というもの。

……終始こんな感じでw

あさよるは話のオチとして、ヒトの生き方の話に着陸するのはアリかなと思いますが、さていかが?w他の動物の話って、好きな人は大好きだけど、興味ない人からすれば「で?」って話でw こういうアプローチもアリじゃん?とw

で、面白いのは、全く何もかもが異なる他の生物を観察していても、そこに自らを見いだしてしまうって、面白い話だなぁと思います。確かにあさよるも、「ハダカデバネズミ」の本を読んだ時は、ヒトの話に置き換えずにはおれませんでしたw

みんなよく知った動物たち

ここで取り上げられる動物は、みなさんもよくご存じのものがほとんどでしょう。ペンギン、ライオン、パンダ、ネコ、キリン、ミツバチ、ハダカデバネズミ、ラッコ、パピバラ、ゾウ、リス、イルカ、ウシ、タコ、ラーテル、ナマケモノ、ゴリラ、ダンゴムシ、イヌ、カンガルー。

知ってる!見たことある!だけど、どんな動物なのかあんまり知らない!

例えば、手話を覚えたゴリラに「ゴリラは死ぬとどこにいくの」と尋ねると「苦労のない穴にさようなら」と返したそう。ゾウは幼い頃「自分に鼻がある!」と気づいてしばらくは鼻が気持ち悪くしていて、だんだん大人に鼻遣いを教わってゆくとか、知能が高いのは人間ばかりじゃないんだなぁと思う。

小説『ジュラシック・パーク』の続編『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2』では、恐竜たちは現代の地球に蘇ったものの、種として生きるための〈教育〉をする大人がおらず、群れの統率が取れていない様子が描かれていました。動物って、生まれたままだと生きれない親や群れが〈教育〉によってその動物らしく生きれるのですね。

話のネタにどぞ^^

図鑑には載ってない、動物園の案内板にもたぶん載ってない生態が、もっと各動物のことが知りたくなったら、個別の本を探してみて~!

本書は、きっとこういう動物本が好きな方は知っている話が多いんじゃないかと思います。それよりも、普段は動物、生物にあまり興味がないなぁという人が、ビジネス本と間違えて、手に取っちゃえばいいのになぁ!と他人事なので思いましたw

軽い気持ちで読んで、マンガ&コラム楽しんでください。

続きを読む

『うんこがへんないきもの』|生きることは食べること。食べることは…

こんにちは。子どもの心が忘れられないあさよるです。

当あさよるネットでも、ちょくちょく動物や植物の本を紹介している気がします。子どもの頃から動植物や、宇宙や自然の本を読んでいました。

あと、まぁね~なんて言ったらいいんでしょうか。トイレの話、好きよねw

『うんこがへんないきもの』。見つけちゃったら、読むよねw

へんないきものがいるもんだ

『うんこがへんないきもの』は、糞を上手に利用しつくす生きものや、糞を巡る変な習性を持っている生きものが紹介されています。

名前もそのままのフンコロガシの話は熱かった。彼らは砂漠で糞を見つけると、丸く加工しコロコロと転がし運び去ります。動物の糞が砂漠での貴重な食料なのです。卵も、丸く固めた糞の中に産み付けます。生まれた幼虫は糞の中で育ち、サナギになり、成虫になると、雨に濡れて柔らかくなった糞から出てきて、再び糞を探すのです。

熱い!壮大!

一番最初に紹介される「ハイラックス」という哺乳類は、あさよるは知りませんでした。ハイラックスの群れは岩山に住んでいて、崖っぷちで糞をします。人間で想像すると、背筋がソワッとします。

洞窟の中のコウモリの糞に群がる動物たちの〈地獄〉の話は背筋が凍ります。どんなものなのかはここでは自粛します(苦笑)。が、家の軒にコウモリが巣を作って、虫が湧くという話を聞いたことがありますから、あのコウモリがン百万匹もいるとなると……(以下自粛)

誰が読む本?

『うんこがへんないきもの』は、扱われている内容は、是が非でも子どもに読んでほしいものなのですが、本の構成自体は大人向けです。しかも、こういう動物や生物の本を日ごろから読んでいる人向けというのではないように思います。

生物や動物を専門に学んでいるわけではないけど、面白いとっかかりを探している人向け?

特別、専門的な内容でもなく、面白おかしく楽しめる本ですね。

ネタ本的に楽しむべし

先に述べた通り、専門的な内容ではないので、楽しく読むのに適しています。

あまり深いことは考えず、「ほー」とか「へー」とか、ニヤニヤしながら読むのがお勧めかな。

“我々生物”が生きるということは「食べる」ことであり、「排泄」することです。生物の営みは面白い!という真理は、変わらないと思いました。

続きを読む

『生きものの飼いかた』|カッコいい生きものカタログ!しかも飼える!

こんにちは。ネコが飼いたい あさよるです。しかし、ネコアレルギーなんですよね……(´;ω;`)ウッ

ペット、いろいろ飼いました。一番長く飼ったのはネコ。これは元ノラで、勝手にうちに住み着いてしまった。あとウサギ。ウサギにしては長生きで10年くらい生きた。その他、小動物は、ザリガニとウズラのヒナから始まり、カブトムシ・クワガタムシを筆頭とした虫。あと、ハムスターが無限増殖しはじめてビビったこともあった。

今は、部屋に住んでいるトビグモを観察している程度なのですが、なんかペット飼いたいなぁと悶々としています。

〈生きもの〉への好奇心を!

『生きものの飼いかた』。これいい本だなぁ!と思います。だって、ページをめくるのが楽しいんだもん!

総カラーページで、写真もきれい。ペットのカタログのように配置されてるんだけど、そんじょそこらのペットじゃございません!全部カッコイイ生きものばかり!

これ、ぜひ小さい子どもと一緒に見たい。生きものがワクワクする存在であることだけではなくって、生きものを「飼う」って、ロマンなんだぜ!って。

実際に飼うとなると準備も必要だし、家族総出で取り組むことになるでしょうから、作戦会議が必要です。

そっか!これも〈生きもの〉

『生きものの飼いかた』で面白いのは、食用に飼ってくるアサリやサザエ、イセエビも飼える!ってところ。

別にペットショップへ行って、ガラスの向こうの動物を物色するだけがペット選びじゃない!そして、食べ物だって生きものであるってメッセージ。大人から子どもへ知らしめたいことです。

ちなみに、食べ方まで掲載されているのも面白いところ。〈命〉を考える時、もちろん大切に「育てる」ことも大切ですが、「食べる」こともまた、命の側面です。こういうの、説教臭くなくサラッと書いてあるのもいいなぁ!

ホントに飼うなら専門の本をw

『生きものの飼いかた』は「こんな動物がいるんだ!」「こんなの飼えるんだ!」って発見やもう、興奮とともに見入っちゃう本だと思うのですが、実際に何か飼うのならば、専門の飼育本を用意しましょう。

あくまで本書はカタログ的な、ワクワクを提供する内容です。

あと、ネコとかイヌとか、定番の生きものは載ってませんw これも面白い。

昭和世代のあさよるには、ヤゴやメダカ、チョウやカマキリなどの昆虫はとても〈ふつうじゃない〉生きものではなく、定番の生きものでした。これは、今と変わっているのかなぁと思いました。

パパママや、じぃじ、ばぁばの、昔買ってた生きものの話を織り交ぜながら、一緒に読むのも楽しいかな?うーんでも、これ、子どもが一人で没頭して夢中で見てほしいな!

続きを読む

『脳はなにげに不公平 パテカトルの万脳薬』|人間の脳・習性のトリビア

こんにちは。以前、池谷裕二さんの『脳には妙なクセがある』を読み、脳の特性って面白いんだなぁと知りました。

自分が“自分の意志である”と思っていることも、どうやらそうではなさそうだし、自分の考えってなんだ?自分ってなんだ?と混乱しちゃうくらい、ショッキングな読書体験でした。今回、また池谷裕二さんの『脳は何気に不公平』を見つけ、即、手に取りました。

脳は知らないことを知っている?『脳には妙なクセがある』

脳・身体にまつわるエトセトラ

『脳はなにげに不公平』は、脳や人間の身体・習性についての、たくさんのお話が紹介されています。

〈Ⅰ 幸運は伝染する〉では、日ごろ何となく感じていること。人の顔をパッと見ると、なんとなく性格が分かる。これは顔の位置を測ることで、コンピュータでも判断できることのようです。人は顔でその人の性格を判断している!?

また、完全にランダムで〈当たり〉を作っても、幸運な人と不運な人ができてしまうそうです。〈完全な公平〉に分配すると、貧富の差が現れてしまうふしぎ。

〈Ⅱ 人類2.0〉は、科学や遺伝子学の力の話。薬やドーピング、そしてDNAの話。

〈Ⅲ 脳の不思議な仕様〉では、脳が持っている特性の話。睡眠不足だと体重が増えるのはなぜ?なんて、気になる話題も。

〈Ⅳ 「心」を考える〉は、“人間らしさ”の話なのかな?

以上に挙げたように、スパッと完璧に話題が分かれているわけではないのですが、「脳」に由来する人間の習性や行動の雑学集ですね。

トリビア集的な楽しみを

脳科学の話題を一冊かけてじっくり解説する本ではありません。専門的な知識を深く知りたいなら他の本へ。それは先に紹介した『脳には妙なクセがある』も同じですね。専門知識を知るための本ではなく、とっつくにくいいイメージの脳科学に、親しみを感じるような構成です。また、「常識」と思い込んでいるようなことも、科学的に見ると捉え方をすると、意外な答があるかもしれません。

教養を深める系というよりは、トリビア集のように楽しくサクッと読むのがおすすめです。ただね、これをとっかかりに、次の読書に繋がる読書にしましょう。

これまでに紹介した“脳”に関する本

脳は知らないことを知っている?『脳には妙なクセがある』

『あなたの脳のしつけ方』|モテも運も努力も脳次第?

『脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方』

続きを読む

『エピジェネティクス――新しい生命像をえがく』|「遺伝」だけじゃなかった!

こんにちは。生物学の勉強がしたい あさよるです。そのために、化学の勉強からやりなおさなきゃいけないことに気づき、呆然としていますw

今回は、大阪大学大学院・生命機能研究科および医学系研究科教授の仲野徹さんの『エピジェネティクス』を選びました。

なんじゃそら!?と聞いたこともない言葉です。仲野先生がラジオ番組に出演されているのを聞き、本書を紹介なさっていたのです。お話も終始面白く楽しい時間でした。

PodcastやWEB上でも聞けるようなので、ご拝聴あれ。↓

ちなみに、以前あさよるネットでも紹介した『かぜの科学』も、番組中に仲野先生が紹介なさっていたので、興味を持ちました。

『かぜの科学:もっとも身近な病の生態』|温かくしてお布団で寝ましょう^^

「エピジェネティクス」ってなに?

まず、「エピジェネティクス」ってなによ?って話ですよね。詳しくは本書を読んでくださいとしか言えないんですが(笑)、ちょっと頑張って説明しようとしてみます。

と言いつつ、著者の仲野徹先生が中高生に向けた記事で、エピジェネティクスについてインタビューに答えておられました。

私たちのからだは、精子と卵子でつくられる受精卵が分化して、眼や腕や心臓などの細胞が形づくられていて、どんな細胞をつくるかは遺伝子によって決まります。どの細胞も基本的には同じ遺伝情報を持っているのに、それぞれ別々の細胞になるのはなぜか。それはそれぞれの細胞で使われる遺伝子と使われない遺伝子が決まっているからです。そして、それぞれの細胞には、使われる遺伝子と使われない遺伝子に、ある種の目印がついています。これが「エピジェネティクス制御」です。

―URL:第7回 | この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」 | 中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

この後も図解付きで説明が続きますので、ご参照ください。

最初の受精卵の細胞が分裂していく最中に、ある細胞は心臓に、ある細胞は消化器に、ある細胞は脳細胞に、と分化してゆき、身体を形作っています。

どの細胞も同じ遺伝子情報を持っていますが、別々の働きをするのは、遺伝情報が書かれた文字列に付箋をつけたり塗りつぶしたり、ON/OFFが切り替えられるからです。

この、遺伝子に目印をつけON/OFFを切り替える働きが「エピジェネティクス」です。

そして、父親と母親から半分ずつ受け継いだ遺伝子は不変ですが、「エピジェネティクス」は変化します。ですから、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児も、時間と共に遺伝子は同じですが「エピジェネティクス」が働くので別人のように変化してゆきます。

親から受け継いだ遺伝子は不変ですが、しかしその遺伝子の内、どの情報をONにするか。どのタイミングで、どれだけの働きをさせるか。変化します。

かつて生物は生まれながらの遺伝配列に左右されると考えられていましたが、後天的要素によっても変化が引き起こされるんです。

新書ながら、むずかしいよぅ><

本書『エピジェネティクス』は、最新の専門分野のお話を嚙み砕いて簡単に説明くださっているんだとうと思います。あとがきでは、高校生でも背伸びすれば読める内容を目指した、とあります。

しかしながら……あさよるには難しかったぁ……(;’∀’)> 正直、途中読み飛ばしちゃった部分もアチコチありました。

中高で習った理科の知識を総動員してお楽しみください。

「エピジェネティクス」という現象自体、最新のもので、今のところ全てを証明できるものではなさそう。今後の展開に超期待ってことですね。

wktk

「遺伝」とエピジェネティクス

これまで、持って生まれた遺伝子は変わりませんから、発病しやすい病気や体質等、生まれたときから決まっていると考えられていました。

しかし、エピジェネティクスの考えでは、遺伝子の情報だけでなく、どの情報を発現させるのかによって、その個体の持っている要素が変わってゆくと考えられています。

例えば、胎児の頃に栄養不足に陥った人は、生まれるころには通常の大きさで生まれ成長しますが、糖尿病や特定の病気にかかりやすいとデータにあるそうです。

そして興味深いのは、青年期に栄養状態が良かった人の、子や孫世代の寿命や体質に影響しているというデータもあるそうです。もちろん“遺伝子”には親の栄養状態は影響しませんから、エピジェネティクスが何らかの方法で受け継がれているように見えます。

ただ、全ての実験やデータの量はまちまちですから、全てが信頼できるデータとは限りません。が、エピジェネティクスが人間にも働いているかもしれない例として、面白いですね。

わたしたちもエピジェネティクスに動かされてる?

プレーリーハタネズミというネズミの生態が面白かったです。

プレーリーハタネズミの雄と雌は、つがいになると生涯連れ添い、片方が死んでも、もう片方は次の相手に興味を示しません。

この“つがいの絆”は、オキシトシンとバソプレッシンというホルモンが関係しています。

オキシトシンを雌のプレーリーハタネズミの脳室に注入すると、パートナー嗜好が生じます。雄のプレーリーハタネズミにはバソプレッシンを投与しても、同じようにパートナー嗜好が生じます。

「このネズミじゃなきゃダメっ!(///)」って感じ?

二つのホルモンが両者に働くことで、プレーリーハタネズミ夫婦の絆が生じ、逆戻りしません。

エピジェネティクスは、一定方向にしか働きません。ボールがコロコロと坂道を転がることはあっても、坂を上り始めることがないのと同じです。

人間とネズミは違います。プレーリーハタネズミが持っている生態を、ヒトも持っているとは限りません。

だけど自分の行動や嗜好も、同様に何か原因があってボールが転がるように、エピジェネティクスが働いているのかもしれないと思うと……怖い気もしますし、面白いとも思います。

「生まれながらの遺伝子だけではない」という考えは、現代の多くの人にとっても興味深い事柄ではないでしょうか。

続きを読む

『寄生虫博士のおさらい生物学』|理科の知識が必要なワケ

こんにちは。生物学を勉強している あさよるです。

……化学、生物、苦手だったんですよね~(;’∀’)

しかし、生きる上でとても大事な知識なんだと、自分が歳を取るほど思うようになりました。

だって、医師の言うことを理解するにも、健康のためになにをするにも、理科の知識、化学、生物学が必要なんだもん( ノД`)

いい歳して、もう一回理科の勉強しようと重い腰を上げたところ、『おさらい生物学』というドンピシャのタイトルの本を見つけました。

著者は“寄生虫博士”の藤田紘一郎さん。以前に同著者の『脳はバカ、腸はかしこい』はとても面白く役立ったので、本書も間違いないと読み始めました。

( ´∀`)bグッ!

『脳はバカ、腸はかしこい』|脳はすぐに勘違い、間違っちゃう?

「生物」の授業をおもしろく!

本書の『おさらい生物学』の“ねらい”は、あとがきにて紹介されます。

 今、日本の高校や大学で行われている「生物学講義」はいかにもおもしろくない。生物をギザギザに切り込んでおいて、その断面だけを見せるからだろう。骨と皮だけの「身のない」生物学講義で学生をおもしろがらせたり、イメージを描かせたりするとはとうてい無理な話だと思うのだ。
(中略)
生物学は、自分自身の健康や広く環境問題を考えるための基礎知識でもある。本書はこれから生物学を学ぼうとする学生はもちろんのこと、現代に生きている一般の人たちにもぜひ読んでもらいたい内容になっていることを最後に強調したい。

p.298-299

生物学は現代を生きるに必要な知識であるにも関わらず、高校や大学の「生物学講義」も、中高の「理科の教科書」もおしろくない。

そこで、“寄生虫博士”が「おもしろい理科の教科書」を作ろうじゃないかと乗り出した。それが本書『おさらい生物学』なのです。

“生物学”だからね、むずかしいよね……

タイトル『おさらい生物学』ですから、内容のほとんどは中学高校の理科の時間に習った事柄ばかりです。

生物ってなに?細菌は?ウイルスは?プリオンは?生きものなの?クローン技術やDNA、ABOの血液型。知ってるようで、説明は難しいですよね。

ウイルスや細菌、アレルギーや がん、私たちが気になるのは自分の「健康」のこと。現在、アンチエイジングがトレンドですが、知っておきたいのは人間の体の機能です。

『おさらい生物学』は、生物学に関する話題の全般を扱いますから、範囲も広い。先に述べたように、確かに中高で習った内容ですから「知っている」ことなのですが……。

理科の科目が得意だった方はいざ知らず、あさよるのような人にとっては、なかなかに読むのはボリュームのある内容でした(;’∀’)>

「自分のこと」だから

あさよるは「生物」が苦手でした>< 苦手だからこそ、「しかし生物の知識が乏しいのはつらい……」と痛感していました。

それは、食品を選ぶ時にも、病院へかかったときにも、体の変化を感じたときにも、「理科で習った気がするが……」と思い出せない記憶に戸惑っておりました。

生物学って、生きてゆくために必要な知識であり、ズバリ「自分」を知るための手段でもあるのです。

我々はみな動物であり、生命であり、アミノ酸の塊なのです。

「自分」について考えるとき、「人間」について考えるとき、「いのち」について考えるとき、不可欠なのは「生物学」の知識です。

『おさらい生物学』はあくまで入門の入門書のような存在。この一冊の本から生物学にちょっと興味がわいたなら、少しだけ一歩踏み出しましょう。

著者の藤田紘一郎さんの他著書も楽しいです。

生物学をおさらいしよう

生物学を勉強したのは何年前ですか?

科学は年々進歩してゆきます。そして、記憶はだんだん薄れてゆきます(;’∀’)>

正直ね、面倒な本ですよ、『おさらいの生物学』。著者は「おもしろい理科の教科書」と仰りますが、教科書であることには変わりなく、勉強はワクワクするばかりでもありません。

でもね、生物学を通じて、自分のことを知る。生きることを知る。

それは、哲学や芸術や文学や道徳やなんやかんやと、他の学問とはまた違ったアプローチです。

著者の藤田紘一郎さんの語り口は軽妙で、著者自身が楽しんで書いておられるのが伝わってきます。挿絵もたくさん挿入され、“教科書にしては”かなり楽しい内容。

気楽な読書のともには……ちょっと読むの大変だけどね(by 生物学苦手マン)

続きを読む

『おなかの調子がよくなる本』|バナナが正解!?

こんばんは。お腹の調子が優れない あさよるです。

元々胃や腸は丈夫だったハズなのですが……やっぱ、これって老化!?

最近、おなかの調子に関する本に手が伸びがちです。

おなかのベストな状態がわかる!

あさよる的に、本書で最も大きな収穫は、便の“正解”が分かったことでした!

お食事中の方すみませんm(__)m

本書内では、「バナナ」が理想だとありました。色も黄色っぽく、やわらかいものです。

で、便秘の人って以外と少ない!?やっぱこれ、異常事態何だなぁと襟を正されました。もっと真面目に便秘解消に乗り出さねば……。

そして反対に、お腹が緩くて困っている人もいるようです。朝の通勤ラッシュ時は、どの駅もトイレがいっぱいだという話を読み驚きました。

みんなそれぞれ悩みは尽きないのですね……。

結局、王道しかないの!?

本書のサブタイトルは「自分でできる腸内フローラ改善法」です。腸内フローラとは、まるでお花畑のように数々の腸内細菌が分布しています。

この腸内フローラの状態がお腹の状態、そして体の状態に影響します。

腸内環境が良いと、セロトニンやホルモンの賛成が高く、脳にも良い影響を及ぼすそうです。

腸と脳!?って聞くと、少し前のあさよるだったら意外すぎて信じられなかったかもしれません。

たまたま、少し前にも、腸内フローラに関する書籍を読んだときも、同じようなことが書いてあったので、それが医学的な考え方なのかなぁと納得しました。

『やせる! 若返る! 病気を防ぐ! 腸内フローラ10の真実』

で、この『腸内フローラ10の真実』を読んだ時も感じたのは、結局のところ、楽で裏技的な腸内環境の整え方はないのね……ということです。

規則正しい生活やバランスの良い食事と、適度な運動。これマスト。

両書とも発酵食品、中でもヨーグルトが紹介されていました。腸内フローラのバランスはちょっとやそっとじゃ変わらないそうですが、継続して食品を変えてゆくことで変化があるようです。

あさよるも、この二冊の本を読んで、ヨーグルトと納豆を定期的に食べるよう心がけて始めました。

研究者ってどんな人?

本書『おなかの調子がよくなる本』では、著者が腸内環境研究者になったいきさつや、研究で学んだことなども記されています。

著者の福田真嗣さんは映画『ジュラシック・パーク』を見て、バイオテクノロジーに興味を持ったそうです。

明治大学農学部へ進み、そこで微生物研究と出会いました。

微生物の研究をするなんて特別な人のように思えますが、きっかけって些細なことなんだなぁと感じました。

あさよるも『ジュラシックパーク』に感動しましたが、バイオテクノロジーへ進むことはありませんでした。だけど、あさよるも、あさよるの興味のままにやってきました。

やってることは違いますが、興味を持つきっかけを知ると、「研究者」や「研究職」も身近に感じます。

こうやって、研究者の素顔が知れるってのも、良いなぁと思いました。

ヨーグルトスゴイ

本書を読んだ結論。

「ヨーグルトスゴイ」w

食べ物が自分の体を作っている飲みならず、食べ物は腸内細菌のフローラまで作っている。

また、清潔、除菌こそ正義!って風潮がある気がしますが(ですよね?)、腸内環境を考えると、清潔で除菌された世界が良いとは言い切れなさそうです。

もちろん、人間に害をなす菌もいますが、良い菌まで殺してしまっているんですね。だからと言って、どうすれば良いのかなぁという、新たな疑問と興味も湧いてきました。

続きを読む