科学・テクノロジー

『AIとBIはいかに人間を変えるのか』|人類の新ステージ?

こんにちは。あさよるです。連休中に西洋音楽史の本を読みまして、「音楽」って普遍的で大昔から変わらないものだとばかり感じていましたが、今私たちが馴染んでいる「音楽」は意外と新しいものなんだと知りました。西洋ではかつて音楽は神様の世界のもので、禁欲的。今の私たちにとっては「全然楽しくない」感じです。ポピュラー音楽に至っては、20世紀、第一次大戦が終わってからのもの。もっと言えば、我々が慣れ親しんでいるのは「録音音楽」です。レコードとプレイヤーで楽しむことを「音楽」と呼ぶのは、歴史の中ではかなり特殊な環境です。

西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)

今当たり前すぎて疑うこともない価値も、意外と新しいもので、歴史が浅いものってあるんですね。「不変」だと「信じていた」というのは、もう信仰です。「ああ、私は近代を信仰しているのか」と気づき愕然としました(;’∀’)

今回紹介するのは『AIとBIはいかに人間を変えるのか』という、これから訪れる「人類の新しいステージ」を考える内容の本です。現在、先進国は軒並み伸び悩み、成長できずにもがいています。景気対策を打っても国内の格差は広がるばかりで、国の中が貧しくなっています。現状を打破するためには、今の社会の形を根本から変える必要があるのではないか? そこで注目されているのがBI(ベーシックインカム)です。

また、AI・人工知能の技術的な進歩により、人間の働き方の変化が期待されています。また、男女同権により女性の社会進出も進んでいます。後進国だった国々は経済発展しています。インターネット網は地球を包み込み、インフラのない土地にも等しく知識や教育が行き渡っています。世界は変わっています。さて「人類の次のステージ」はどのようなものなのでしょうか。

AI、BIとは

AI・人工知能もBI(ベーシックインカム)も、どちらも近年よく見聞きする言葉です。AIとBIについて触れつつ、このAIとBIが合わさって、もたらされる「未来」を考えます。

AI・人工知能とは

まずAI・人工知能とは。1930年代コンピュータの登場した当時からAIの登場が構想されていました。しかし二度ののAIブームは合ったものの、AIの冬の時代も長く、順風満帆とは言えませんでした。2012年にGoogleが「ネコを判断できるAI」を開発し、一躍有名となりました。その頃から「ディープラーニング」によるAIの進歩が注目され、現在は第三次AIブームといったところでしょうか。

近年、AIが飛躍的に進歩したのは、ビッグデータが扱えるようになったことと、インターネットの普及により膨大な数の写真や映像、データがインターネットにアップロードされるようになったことが影響しています。

今後、AIの進歩により、人間の仕事がAIに取って代わられると話題です。一方で、AIの進歩によって新たに生まれる仕事もあるでしょう。今の子どもたちの半分以上は将来、今は存在していない職業に就くと考えられており、感覚的にもなっとくできます。

コンピュータが人間の仕事の多くを引き受けるなら、人間はより「人間らしい」活動に集中することができます。

BI(ベーシックインカム)とは

BI(ベーシックインカム)は、経済成長が軒並み頭打ちしている先進国の、現状打破策として注目されています。先進国では、かつてのような経済成長が起こらず、経済対策を打っても国内の貧富の差が拡大してしまうジレンマに陥ってます。

BIは「健康で文化的な最低限の生活を営む」ために国民全員に現金で与えられる基礎的(Basic)給付(Income)で、政治学では“生存権所得”とも言われている。このBIは、様々な社会保障制度を一元化できる上に、給付漏れが起こらず、受給者にも理解しやすいシンプルな制度であることが評価されている。

p.104

BI(ベーシックインカム)は実験的に導入される例も登場し、貧しい人たちが前向きに人生設計を考え、豊かに生きようとし始めるなど良い結果があり、期待されています。

BI(ベーシックインカム)の良いところは「シンプル」。本書では、全ての国民に月8万円を現金で給付することが想定されています。すると、年金制度や健康保険、生活保護などの社会保障が一元化され、ムダなコストも削減できます。なにより、ややこしい手続きが不要になることで、役人の数を減らすことができます。

財源として、まず国の社会保障をシンプル化することで浮いたお金を財源に回します。また税率を引き上げ、国の収益を増やします。本書では消費税を18%に引き上げても、毎月8万円ベーシックインカムを受け取る額の方が多く、貧しい世帯にもダメージはないと計算されています。

BI(ベーシックインカム)の導入を阻んでいるのは官僚たちです。ベーシックインカムが導入されると、社会保障に関わる官僚たちの仕事がなくなってしまいますから、「ベーシックインカム的」な制度は遠ざけられています。

より「人間らしい」活動を

AIの到来により、コンピュータが人間の代わりに働く未来では、人間は「より人間らしい」仕事に集中することができます。

またBI(ベーシックインカム)導入後の未来では、「死なないために働く」という労働から解放され、人々は「豊かに生きるために働く」ようになります。今、嫌々やりたくない仕事をしている人も、ベーシックインカムが導入されれば今の仕事にこだわる必要はなくなり、豊かに生きるための人生設計を考え始めるでしょう。それはつまり「より人間らしい」人生を生きようとすることです。

AIとBIの未来は「より人間らしい」世界がやってくると想定されます。これは、かつて農業革命や産業革命によって人類が「進化」したように、AIとBIが人類を「新たなステージ」へと導くものではないか?と考えられます。

「豊かに生きる」ことができますか?

はてさて、AIとBIの未来は明るい!みたいな感じがしますが、問題は命が保証され、お金も保証されたとき、ハッと気が付くのです。「豊かに生きる」ことってどんなこと? もしAIが面倒な仕事を引き受け、BIで最低限の生活の保障がなされているとして、あなたはどう生きますか?

今、「楽しむ」という言葉が乱用されているように感じます。スポーツ選手も、「試合を楽しみます」ってインタビューで答えていますし、学校の勉強も「楽しんで学ぶことが良いこと」のように語られます。プライベートな時間はまるで「楽しくないと生きている意味がない」くらいの勢いで、ライブやレジャーや、食事やショッピングなどの予定を詰め込んでいる人がたくさんいます。

みんな身づくろいも小奇麗で、清潔感のある爽やかな人ばかりになりましたね。

もしかしてすでに私たちの社会は「死なないように生きる」時代は終わり、「楽しく生きなければならない」という価値が到来しているのではないでしょうか。しかもそれは強迫観念的に執着して。AIとBIによって人類が新しいステージへ進んだなら、私たちは今以上に「豊かに生きる」ことこそが「人間らしさ」であり、「お金の価値ではない豊かさを生きなければならない」時代が到来するとも考えられます。

BIは単に「働かなくていい」「怠け者が増える」政策ではなくて、もしかして「結構キツい」時代が来るのかもしれません。今はほら、連休に海外旅行へ行ったInstagramドーン! 彼氏にプレゼント貰ったドヤァ。ママにバーキン買ってもらったFacebook投稿いいね! なんかをしてるだけで満足できるけど、「新しい時代」はそれじゃ豊かじゃない。「お金の豊かさじゃない豊かさ」をアピールできないといけない。

新しい時代は。「センス」とか「才能」とか「オシャレ」とか「ステキ」とか「可愛い」「美形」とか、そういう価値が重要になるんじゃないのかな? 「ダサイ奴」は生きにくい時代になってしまうのだ。はてさて、「ステキ」に生きられるように、生涯邁進し続けなければならない人生、〈楽勝〉な人と〈ムリゲー〉な人に、パッカリ分かれるんじゃないかしら。

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ハッカーにあなたは利用されている?『サイバー犯罪入門』

こんにちは。あさよるです。あさよるは自宅のネットワークを構築したいのですが、よくわからなくて頭を悩ませております。接続が不安定なのも困っていますし、セキュリティが弱いので、なんとかしたいのですが、なにがなんやらなのです。ちゃんと勉強しなきゃなあということで、とりあえず簡単に読めそうな『サイバー犯罪入門』を手に取りました。

本書はサイバー犯罪について啓蒙する内容で、読了後、あさよるもしっかり啓蒙されて「ネットワークのセキュリティちゃんと設定しなきゃ!」と焦り始めています(苦笑)。内容も、多くの人に理解できる文章で書かれており、「すでにもう被害に遭ってるかもしれない」サイバー犯罪につて意識を高める良書でした。

まず、本書ではサイバー犯罪を行う人々を「ブラックハッカー」とし、「ハッカー」と呼ぶとき、この「ブラックハッカー」を指しています。ここでも本書に倣ってサイバー犯罪を行う「ハッカー」と呼ぶことにします。

まずはサイバー犯罪への意識を

本書『サイバー犯罪入門』は、サイバー犯罪への対策を講じるものではありません。なぜなら、そんなことをしてもあっという間に情報は古くなり、「使えない情報」になるからです。そこで、本書は「サイバー犯罪への意識を高める」ことが目的とされています。

まず知っておくべきは、誰もがサイバー犯罪の標的になりえること。そして、残念ながら今の日本はサイバー犯罪の対策はとても万全とは言えません。2020年の東京オリンピックに向けて、東京の街では公衆Wi-Fiの設置が急がれているようですが、それはサイバー犯罪を企てる人々にとっても都合のよい整備になるかもしれません。

わからないまま報道するマスコミ

サイバー犯罪がテレビや新聞のニュースになることもありますが、マスコミもサイバー犯罪について熟知しているとはいいがたく、よくわからないまま報道しているのが現状です。

 多くの報道内容を確認していくなかで、プレスリリースをインターネット翻訳しただけのような、どの角度から読んでも全く理解できない文章を多々見かけることとなった。用語が混同されていたり、製品名とプロトコルの名称が混同されていたり……というのが主な要因だと思われるが、残念なことに、大手報道機関の文章にも、そういった誤りが散見されたのである。
だが、これも仕方ないと言えなくもない。というのも、もはや、単に「ITに詳しいだけ」ではサイバー犯罪やセキュリティについて読み解き、説明をしていくことは難しい、というのが実情だからだ。

p.27

例として、自動車のハッキングについて理解するためには、

自動車に関する基礎的な知識、自動車のIT化に関する知識に加え、ハッキングに関する知識やネットワークに関する知識なども総合的に必要となる。そのため、いずれかの領域の専門家であったとしても、全体像を正確に理解することは容易ではない。(p.27-28)

その事件について理解すること自体に時間がかかり、またそれを一般に向けてわかりやすく説明することは難題です。報道がサイバー犯罪について正しく扱いきれていないのも納得です。

盗まれていも気づかない!?

本書では紹介されているサイバー犯罪の例が紹介されているのですが、印象的なのは被害者たちは「サイバー犯罪に巻き込まれていることに気づかない」とうことです。

預金残高が1億円以上ある銀行口座から、3%を上限にこっそり抜き取る手口が紹介されていました。

日本円換算でおよそ1億円以上の預金残高がある銀行口座から、最大で3%(1億円の預金残高がある場合、300万円)ずつを上限に、こっそりと抜き取ってしまうという方法を取った。しかも被害者のブラウザには「抜き取られる前の残高」が表示されるようにハッカーが細工した偽画面が表示されるため、すぐには被害に遭ったことに気付けない。

p.46

「3%だけ」というのが巧妙で、何かの拍子に少しだけ残高が減っていることに気付いたとしても、「何かの手数料を差し引かれたのか」程度にしか考えず、発覚に時間がかかります。

また、「マルウェア」と呼ばれる、不正にコンピュータやシステムをハッキングするためのソフトウエアが、自分のパソコンに侵入していたとしても、なかなかそれに気付かないそうです。また、ハッキングの対象はパソコンやスマホのみならず、冷蔵庫や自動車、街中の監視カメラがハッキングされているかもしれません。

サイバー犯罪において日本はとても魅力的

サイバー犯罪はもはやSF映画の世界のではなく、スパイ映画さながらのハッキングが日常で起こっています。ある人にとってはそれは寝耳に水のような話であり、別の人にとってはもはや常識かもしれません。サイバー犯罪に対してのリテラシーには人によってかなりの差があります。

残念ながら、日本は国も大企業もとてもサイバー犯罪への対策ができているとは言えません。ハッカーたちは強固なシステムを狙いません。彼らは、どこか〈弱い〉ところを探し当て、弱点を突いてシステムに侵入します。日本はサイバー犯罪への対策が広まっていないため、弱点だらけということです。

たとえ大企業が、自分たちの持っている情報を守ろうと強固なセキュリティを作っても、その企業へ出入りする下請け企業のどこかに弱点があれば、そこからハッカーがシステムに侵入することも十分考えられます。

映画のような、建物を爆破したり、自動車をハッキングし遠隔操作することも、フィクションではなくなります。

「わたしは狙われない」はない。その理由

「ハッカーにとって日本は魅力的な市場である」と聞いても、「わたしのスマホorパソコンは大丈夫、だって大したデータが入ってないし」と考える人がいれば、それは間違いです。ハッカーは、あなたに興味がなくても、あなたの知り合いに興味があるかもしれません。あるいは、あなたの知り合いの知り合いの知り合いの……と、あなたを踏み台にして、他の人の情報を欲しがっていることがあります。

誰もが狙われる理由として「六次の隔たり(six Degrees Separation)」というものが紹介されていました。

「人は自分の知り合いを6人以上介すと、世界中の人々と間接的な知り合いになることができる」という仮説のことであり、知り合いの知り合いを6回たどれば世界中の人とつながることができるという。(中略)
試しに計算してみよう。
あなたの知り合い44人から、さらにそれぞれの知り合いの44人と言う具合にたどっていくことを数式に表すと「44人の6乗」となる。44人の6乗は、7,256,313,856人。すなわち世界の人口(国連による2013年の統計で約72億人)と同じくらいの人数がそこには存在することが分かる(ただしこの場合、理論上では、最初の44人と次の44人、そしてその先に繰り返している44人ずつはそれぞれが互いに重複してはならない)。
つまり、あなた自身が重要な情報を持っていなかったとしても、あなたの友人やそのまた友人を何人かたどってゆくことができれば、重要な情報を持った人物にたどり着ける可能性が極めて高いということだ。
もしあなたに情報的な「価値」がなかったとしても、あなたには「利用価値」があるのだ。

p.39-40

ハッカーはシステムの弱い部分から狙います。もしあなたが、サイバー犯罪へのリテラシーが極めて低いなら、ハッカーにとって「利用価値」があると判断されかねません。

正直、どうしていいかわからない……

本書『サイバー犯罪入門』を読んで、サイバー犯罪は他人事ではなく、自分も狙われるかもしれない……というか、すでに被害に遭っているのかもしれないと知り、冷や汗をかきました。何が恐ろしいって、「それを知ったところで、どう対策していいかわからない」というのが正直な感想だからです。

本書は先に述べたように、具体的な対策を指南するものではく、サイバー犯罪について啓蒙することが目的の本です。とても平易な表現を使い、多くの人が理解できる言葉や例を挙げながら、今、われわれが晒されているサイバー犯罪について紹介されています。セキュリティ、ハッキングについて右も左もわからない、全くの素人にとって、本書は良書でした。

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『図解でわかる 14歳から知っておきたいAI』|AI苦節60年…

『図解でわかる 14歳から知っておきたいAI』イメージ画像

こんにちは。あさよるです。近年、「AI」や「ディープラーニング」「人工知能」という言葉をよく見聞きしますが、正直なころ「それ、なに?」と何度も聞き返してしまう あさよるです。あさよるネットでも「AI」「ディープラーニング」「人工知能」を扱った書籍を紹介していますが、実はまだ頭の中で上手く整理されていなかったりする(;’∀’)>

ということで「14歳から」という、好奇心旺盛な中学生の夢が広がるようなAIの話が収録された『14歳から知っておきたいAI』を手に取りました。目次や索引も含めて全96ページの薄い本ですが、内容は濃い。

『図解でわかる 14歳から知っておきたいAI』イメージ画像

図解でわかる 14歳から知っておきたいAI | インフォビジュアル研究所 |本 | 通販 | Amazon

全ページカラーで、図解に多くの紙面が割かれています。本書のカラーの図解は、情報量が多く、読み込む面白さがあります。テキストと図解とを突き合わせて理解を深めましょう。学習の助けになるでしょう~。

あと30年でAIは人間を超える!?

本書『図解でわかる14歳から知っておきたいAI』は、その名の通り中学生以上なら誰でもわかるAIのお話。昔でいう「サルでもわかる」系でしょうか。

AIの歴史はまだ60年ほどのもので、90年代にはAIの冬の時代がありました。そして2000年代に入って「ディープラーニング」というコンピュータの学習方法が確立され、現在注目を集めています。そのAIは、あと30年もすれば人間の頭脳を超えると多くの知識人が予測しています。

さてこれは「もう30年で」なのか「まだ30年で」なのか微妙です。なぜなら、1965年アメリカの大学で科学者たちが「このままコンピュータのプログラム高度化すれば人間の頭脳を持つようなコンピュータが登場する!」と楽観的な予測をしたのですが、なかなか実現しない!

科学者は、人間の頭脳が持つ世界理解という無限の知識量の前に、茫然と立ち尽くすことになります。(p.9)

たとえば人間は、乳児でも「ねこ」を認識し、それが生き物で、どういうものなのか知り、猫についての概念を学んでゆきます。

同じことをコンピュータにさせたとします。「ねこ」という名称は記号化できても、それは実際の猫と関係ありません。コンピュータにネコという生物の概念をもたせるためには、生物としての猫に関するあらゆる属性を記憶させる必要があります。それは、この世界の全ての知識を与えることでもあります。そこには連綿とした知の網の目があり、枠(フレーム)がありません。それに対し、AIは枠名でしか処理できないため、これをAIの「フレーム問題」と呼ぶようになりました。人間なら乳児でも簡単にできることが、コンピュータには果てしなく困難であることを、AI研究者の名にちなんで「モラベックのパラドックス」とも呼び、現在にまで続くAI研究の難問として、いまだ解決していません。

p.8-9

1956年科学者たちの楽観的な空想から始まったAIの開発は、早々から暗礁に乗り上げます。AIの苦節60年の歴史を知り、これからのAIの展望を考えるのが、本書『14歳から知っておきたいAI』のテーマです。

AI苦節60年……冬の時代……

AIの歴史は順風満帆とは程遠いものです。「人間の知能を持たせるには道は長い……」判断され、まず、70年代にはコンピュータが得意な専門分野を伸ばそうと試みられました。それをエキスパートシステムと言います。コンピュータが得意なこと、それは「推論」と「計算」。

1980年代は、このエキスパートシステムの大ブームが起きます。全世界でエキスパートシステムを開発するベンチャー企業が誕生し、何千ものシステムが開発されました。事務計算、販売支援、建設管理、物流、天気予報、工場生産設備などなど、その応用も産業界全体に広がりました。
しかし、ここでも同じ問題が生じました。コンピュータはルール化された情報しか処理できないというAIの二度目のつまずきです。(中略)

人間の思考は、無数の例外の集積ともいえます。厳密なルールの外側に存在する多様な質問に、このシステムは有効な答えを返すことができません。産業界の期待が大きかった分、その失望も大きく、AI研究への反動も深刻なものでした。

p.10-11

コンピュータが産業業界での活躍を大きく期待されていたにも関わらず、人間のニーズに応えるコンピュータが思ったように作られず、失望されていしまいます。その後、1990年代はコンピュータの冬の時代を迎えます。1980年代後半から90年代にかけて、コンピュータ研究の実績をとにかく作ろうと、専門分野に徹して課題研究が始まります。このとき、画像認識、機械翻訳、ロボット工学、音声認識など、技術が進歩します。

パーソナルコンピュータが登場し、CPUの性能向上、低価格化により、個人がコンピュータを所持できるようになりました。1995年インターネットと接続できるWindows95がリリースされ、インターネットの利用者が増えることで、より多くの情報をコンピュータ開発に使えるようになりました。

AIの研究者たちは、それぞれの現場でAIの推論ロジックの高度化を模索していました。彼らを導いたのは、アメリカの計算機科学者ジューディア・パールが提唱した確率論的AI推論ロジックでした。極めて大雑把にいえば、正しい結論に至るために論理的に思考するのではなく、確率的なグループ分けを繰り返し、その分類の課程で正解に最も確率的に近い結論に絞り込んでいこう、というものです。
このAIの推論ロジックは「機械学習」と呼ばれています。

p.12-13

ついに機械学習をするAIの登場します。医療、株式、銀行、音声認識、財務管理など、コンピュータは活躍しています。そして「ディープラーニング」の登場により、AIが再び社会の注目を集めます。人間の脳のネットワークが発見され、脳細胞のニューロンを模したネットワークをコンピュータでつくられました。

ディープラーニングの研究が促進される頃、爆発的にインターネット上にビッグデータが集積されはじめました。ついに2012年GoogleのAIがYouTubeの動画から「ネコ」の認識に成功します。2014年にはGoogleが独自開発した自動運転車が実用段階に入ります。2017年にはFacebookのAI同士が会話を始めました。

日本では静かにロボット革新が起こっていた

一方、日本では70年代から静かに変革が起こっていました。1970年代から、産業用ロボットとともに、人間型のヒューマノイドロボットの開発が進んでいたのです。日本では1980年代には、物作りロボットの最盛期を迎えます。2000年には二足歩行ができるロボットASIMOをHONDAが発表し世界を驚かせました。

それを受け欧米では、人間型の「二足歩行ロボットでは日本に敵わないだろう」と、別の道を模索され始めます。欧米ではソフトウェアの開発に重点が置かれました。こうして、日本の人間型ロボットと欧米のソフトウェアが合わさって、新しい技術の到来が待たれます。

ディープラーニングの研究はアメリカ発でした。これから日本が世界でどんな活躍をするのでしょうか。

鉄腕アトムとターミネーター

『図解でわかる 14歳から知っておきたいAI』イメージ画像

日本では人間の形をしたヒューマノイド型ロボットの研究がなされて。2000年HONDAが二足歩行ができるロボットASIMOを世界に発表します。ASIMOの開発はたった一言「アトムをつくれ」というものだったそうです。1986年に下半身のみの歩行ロボが完成し、1996年にやっと人間の形になります。そして2000年にASIMOが登場し、その後も精度は上がっています。しかし、ASIMOはAIロボットではありません。

日本ではASIMOのモデルにもなった手塚治虫『鉄腕アトム』を筆頭として、ロボットは人類の友だち、仲間として描かれます。藤子・F・不二雄『ドラえもん』もそうですね。しかし、欧米では「ロボットは敵」に描かれることが多かったっそうです。その典型が『ターミネーター』。ターミネーターは、未来の世界でロボットたちが人類をしようと反乱を起こし、過去の歴史改ざんのために送り込まれるのがアーノルド・シュワルツェネッガー演じる「T-800」なのです。ということで、欧米のロボットはメカが剥き出しでおどろおどろしい姿をしてることも多いのです。

日本と欧米の違いは、信仰の違いによってもたらされているのではないかと紹介されています。

アメリカの研究者が、危険な作業を行うロボットが開発なされますが、アメリカでは導入が進みませんでした。が、日本では大歓迎されます。この違いは何でしょうか。

 アメリカの人々が産業用ロボットに拒否感を露わにしたのは、欧米社会の規定にあるキリスト教の影響がありました。神を絶対の善とし、この世の全ては神に創られた被造物であり、人間は神との契約との中でこの地上の主人として、他の生物を管理する役割をもつ。このような世界観をもつ人々にとって、被造物である人間が、命に等しいものをつくことは最大の罪悪です。この世界観は、欧米社会に古くから、人間とロボットが敵対する物語を生み出しました。

p.36

古くはフランケンシュタイン、近年ではターミネーターが欧米のそれでした。人は、この世の主人としてロボットと戦う使命があると考えるのです。

一方で、東洋的な思想では、この宇宙には様々な命があり、それらに優劣はありません。命は等しく尊いので、ロボットも大切にされるのが、東洋的ロボットの描かれ方です。

西洋と東洋の思想の違いが、ロボットの姿かたちや役割まで変えているとは、面白いですね。

未来はこれから作られる

さて、人工知能、AIの技術の展望は明るいのでしょうか。あさよるの感想は「想像よりも難しそうだなあ」というものです。現在、人工知能が持て囃されていますが、流行はその内忘れ去られてしまうでしょう。しかし、一歩一歩着実に技術革新が起こっているのは事実です。

本書は『14歳から知っておきたいAI』とタイトル通り、10代の人が読んで、自分の進むべき道を知るきっかけになる本だと思います。コンピュータの技術は、意外過ぎるくらいに歴史は浅く、冬の時代も長く、実用化されたのは意外と最近。コンピュータがなかった時代、人々がどうやって生きていたのか知ることも、また未来を考えるヒントかもしれません。

以下余談ですが、あさよるが子どものころ、NINTENDOの初代ファミコンのその名も「ロボット」という玩具で遊んでいた記憶があるのですが、これはAIだったの? なんともレトロな風貌だなあw

これ!これ!アマゾンで売られてたwあさよるの初ロボット体験は、この任天堂のロボットでした。

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『できない脳ほど自信過剰』|「自称・嘘つき」は本当に嘘つく正直者

『できない脳ほど自信過剰』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。池谷裕二さんの本が立て続けに面白かったので、またもや手に取ってしまいました。ちなみに、今まで読んだ中で一番面白かったのは『単純な脳、複雑な「私」』でした。

池谷裕二さんはヒトの脳の特徴や、人の行動・思考のクセについての本を複数出版されています。脳の話は、知れば知るほど不思議で、頭の中が「?」でいっぱいになってゆく面白さがたまりません。

今回手に取った『できない脳ほど自信過剰』は脳に関するコラム集で「ほうほう」と、「知らなかった!」と「やっぱりそうか!」の繰り返しの読書でした。

脳はやたら上から目線!?

本書『できない脳ほど自信過剰』は、ピリッと皮肉の効いたタイトルです。それは「能力が低い人ほど、自分の能力を客観的に判断できないから、自信過剰になりがち」というこの世の心理を端的に表してるからです—―(>_<→ グサッ

ドライバーに「あなたは車の運転が上手い方ですか」と質問すると、70%の人が「はい」と答えるそうです。20%の人が、自分を過剰に評価していることになります。こわいですね~……と、他人事のように言っておこう。サーセンサーセンm(__)m

これは、あなたの〈人が悪い〉わけではありません。ヒトの脳は、見えない相手、よくわからない相手を低く評価する〈クセ〉があるようです。

例えば「オーパーツ」という言葉があります。

オーパーツは、それらが発見された場所や時代とはまったくそぐわないと考えられる物品を指す。英語の「out-of-place artifacts」を略して「OOPARTS」とした語で、つまり「場違いな工芸品」という意味である。

オーパーツ – Wikipedia

オーパーツの代表であるナスカの地上絵は、航空技術が発達してから地上に絵が描かれていることが発見されました。航空機がなかった時代、古代人がこのような絵を描くことは不可能ですから、「宇宙人が描いたんだ」なんて話が登場します。……これ、現代人の「思い上がり」ですよね。「古代人は現代人よりも劣っているハズ」という先入観があって「劣等な古代人が高等なことができるわけがない」と考え、そこから「古代人にはムリだから、人知を超える存在が作ったんだ」→宇宙人、という発想に結びついてゆきます。しかし、古代人であれ、我々と同じホモサピエンスです。我々と同じことを古代人が考え、実行していてもおかしくありません。

また、人間以外の動物を低く見てしまうという傾向もあります。当然ですが、ヒトが得意なこともあれば、ネズミが得意なこともあり、哺乳類より虫のほうが長けていることもあります。なのに、ヒトは高等だと、つい考えています。

同じような話で、どうしても私たちは機械、ロボットを下に見てしまいます。ヒトの方が優秀であると思っているし、そうであって欲しいと願っているのかもしれません。

ヒトの脳は本来的に自信過剰にできていて、なかなか冷静に判断ができないようです。本書のタイトルは『できない脳ほど自信過剰』ですが、さながら「ヒトはやたらと上から目線だなあ」という感じ。

脳や人の行動に関するコラム集

紹介が遅れました。本書『できない脳ほど自信過剰』は、著者の池谷裕二さんが「週刊朝日」に連載されていたコラム集です。ですので、テーマは毎回違っていて、脳や人の行動に関するコラムが雑多に集まっている印象です。雑学や話のネタにどうぞ。

以下、あさよるが気になった、面白かった話を少し取り上げます。

  • 自己評価が伴わない

先に述べました、ヒトはどうやら自己評価が伴わない存在のようですw 〈自信過剰〉だけでなく、自己評価が低い人ほど、他人のユーモアに敏感だったりと、自己評価のできなさは〈自身過少〉にも働くようです。

面白いことに「自称ウソツキ」の人は、実際にウソツキだそうです。ということは、ウソツキほど正直者であるということ!?

  • 思い込みが強い

〈自信過剰〉と繋がりますが、ヒトの脳は思い込みが強いw 例えば、しつけは、厳しくするよりも、褒めて伸ばす方が効率的だそうです。しかし、やっぱり感覚的に「しかし厳しい方が効くんじゃないか」と思ってしまう自分もいます。

同じような話で〈我慢〉はするほど忍耐力が落ちてゆくという話に触れられています。たぶん、実際にそうなんだと思いますが、これもやはり体感としては「我慢した方が良いんじゃないか」と自分で思い込んでしまいそうです。

あと、ビジネス書にもよくありますが「おとり商品」に騙されてしまう話。松竹梅の3つの商品があった場合、買わせたいのは竹で、竹を買わすためのおとりとして松をメニューに加えると、みんなまんまと竹を買ってしまうというお話。これも、「自分でメニューを選んでいる」と思い込んでいるのに、実際には商売上手にノセられているのです。

  • 一目ぼれせよ!

恋愛結婚した夫婦より、お見合い結婚する方が離婚率が低いという話は聞いたことがあります。恋は盲目ですから、相手の欠点も見えなくなって結婚するのですが、恋が冷めてしまうと……というワケ。

しかし「一目ぼれ」で結婚するカップルは意外にも長続きするそうです。なんでも、「一目ぼれ」とは、その人の収入や職業、家柄や社会的な立場や、なにもかもを度外視して、パッと見て潜在的に「好印象」の相手だからです。次第に相手の欠点が見えてきても、そもそも「好印象」を抱いている相手だから、悪い部分には目をつぶることができるんだそう。これは意外。

  • 三途の川が!

死の直前〈三途の川〉が見えるという話は、オカルトではなく、ホントらしい。といっても「川が見える」のか分からないけれども、瀕死の状態から一命を取り留めた人の中に、臨死体験をする人は多く、現実よりもリアルに感じるそうです。実際に死にゆくマウスの脳派を調べると、死の直前に独特な脳の変化が起こるそうです。

ここから、あさよるの余談ですが、日本人は臨死体験で川辺で大切な人を見るそうですが、文化が変わると見えるものが変わるそうです。「川のほとりで」というのは、日本人の心象風景なのでしょうか。関係ないけど、日本人の子どもは昔(今も?)「川で拾ってきた」というのが定番です。「コウノトリが」「キャベツ畑の」の日本版ですね。どうでもいい話だな。

  • 気合でどうもならないことがある

体内で水分が不足すると記憶力が下がるそうです。特に子どもは、学校に登校してきた時点で水分不足になっているそうで、テスト前に水分を取らすといいらしい。大人も、小まめに水分を取って体調管理を密にした方が、能率が良いってことでことですね。「気合」「根性」ではどうにもならないことがある。

あと、よく寝た方が学習効率が上がるとか、散歩がいいとか、「いわずもがな」な話ですが、脳科学的に見ても、はやりそうであるという裏取りができた気分。

ちょっと発見、ちょっと反省

『できない脳ほど自信過剰』挿絵イラスト

本書『できない脳ほど自信過剰』はコラム集ですから、ちっちゃな面白い小ネタが詰まっています。一節ずつ小さな発見と、ちょこっと自分に反省しつつ、自分のことを棚に上げて楽しめる、好奇心を刺激するエンタメ本ってとことでしょうか。

脳の働きや、ヒトの認知って、意外と自分の体感・実感とは齟齬があるようで、知れば知るほど不思議な世界です。また、ネズミの生態や、虫の能力を知ると、ヒトの脳を知ることは「生命とは」を考えることになるようです。なにもヒトだけが特別な存在ではないんですね。わかっちゃいるけど、つい「特別」な感じに考えてしまいます。

よく、数学的な確率と、実感としての確率が乖離する話があります。23人集まれば、50%の確立で同じ誕生日の人がいる、とか、やっぱ実感として信じがたい。ヒトは感覚的に選択すると、分が悪い選択をしてしまいます。「わたし、間違えるんで」と開き直って対策を考えた方がよさ気。

池谷裕二さんの本はどれも面白かったので、また違う本も読んでみたいです(^^♪

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『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』|大事なのはストレッチと深部体温

おはようございます。眠れぬ あさよるです……。あさよるは眠るのが下手です。最近、あんまり寝れないので睡眠導入剤を処方してもらいましたが、なんか逆に体がダルイし……。季節の変わり目で、そんな時なんでしょうか。上手く寝れないので、昼間もボーっとしてしまいがちです。これは、マジでなんとかしたいと、『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』を手に取りました。

本書の著者、白濱龍太郎さんは医師で、睡眠に関する治療や指導をなさっている方です。タイトルに「誰でも簡単に」とあるように、難しい医学的な話ではなく、誰でも実践できる事柄が易しく書かれています。大事なのは主に二つ。睡眠のためのストレッチ、そして「深部体温」のコントロール。

上手に寝るためのコツがどの本よりコンパクトにまとめられていて、今すべきこともわかりやすい睡眠本です。

「睡眠」に関する知識をライトに

当あさよるネットでも、これまで「睡眠」に関する書籍を紹介してきました。その中でも本書『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』は、かなりライトでまさに「誰でも簡単に」が相応しい一冊です。眠れぬ夜に、お布団の中でうんうん苦しむよりも、本書をサクっと参照して、眠るためのメソッドを仕入れるのが賢いやり方でしょう。

書籍の中にも、情報がどわーっと書かれていて勉強になる本もあれば、咄嗟に簡単に見返したい本もあります。本書は後者です。節ごとに大きな見出しで内容がズバリまとめられているのが素晴らしい。夜な夜な読み返しやすいです。

睡眠はストレッチと深部体温

まず、良い睡眠導入としてストレッチ! これまで読んだ睡眠の本の中で、ストレッチについてページが割かれている本はなかったかな。しかも、カラーページで、巻頭にイラスト付きででーんとあります。「睡眠」は回復のための活動ですから、活動前にストレッチが必要です。肩をほぐし、足首をほぐし副交感神経を高めます。

大事なのは深部体温。深部体温とは体の奥の体温のことで、深部体温が下がると眠たくなります。だから、活動中は深部体温を上げておいて、寝る前に下げる。睡眠術で湯船への入浴が推奨されるのも、深部体温を上げるためです。

昼寝や仮眠、帰宅時電車の中でうたた寝も、寝入ってしまうと深部体温が下がってしまうので、夜の睡眠導入の妨げになります。仮眠を取るときは、なるだけ「寝にくい」体制で脳を休め、本格的に寝ちゃわないように気をつけます。カフェインの使い方も面白く取り入れたい知識です。仮眠前にコーヒーを一杯飲みます。カフェインは興奮作用がありますが、体内に吸収されるまで30分ほど時間がかかります。コーヒーをぐっと飲んで、そのまま仮眠。30分程するとカフェインの作用でスッキリ目が覚めるというワケ。

活字を読むと眠くなっちゃう……

本書、kindleで読むのがオススメです。巻頭にまとめてカラーイラストが収録されていたり、電子書籍で読みやすい構成だと思います。あと、活字を読むと眠たくなっちゃう人にもオススメですw 何を隠そう、あさよるもリラックスした体勢で本を読むとウトウトと舟をこぎ始めるタイプですw

普段本を読まない人とか、本を読む気にもなれない眠れぬ夜にどうぞ。

それにしても睡眠は大事。寝ている間に成長ホルモンの分泌が期待されるという話を聞いたことがありますが、それだけじなゃい。日中の疲れを取り、体を回復させるにも睡眠は必要です。睡眠の質が昼間の活動にダイレクトに関わっています。

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『単純な脳、複雑な「私」』|心は身体の外にある!?

『単純な脳、複雑な「私」』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。本を読む楽しみって、自分の中の常識が覆されるような事実に出会って、ワクワクする体験が待ち受けていることです。今日読んだ『単純な脳、複雑な「私」』も、自分の常識や概念が吹っ飛びました。本書の面白いところは、読む前より読了後の方が、頭の中が「???」でいっぱいになるところです。「私」とはなんだ? 自分の「意志」はどうなってるんだ? なんとなく感覚的に感じている「私」も「意志」も、科学的に見ると全く違っているだんて!

本書は高校生相手に脳についての授業をするという形式で構成されているのですが、聞き手の高校生たちは秀才ばかりだ。面白くてどんどん読み進められる内容ですが、ややこしい話の連続で、話についていくのは難儀をします。ナメてかからず、ドシッと構えて、そして好奇心全開にしてお読みください(^^)/

「私」はどこにいるの?

私とはなんだろう、心はどこにあるんだろうと考えたことは誰しもあるでしょう。「心は脳にあるんだ」と結論付ける人が多いだろうと予想しますが、どうも脳科学的には「心は脳にある」とは言えないみたいです。脳は、頭蓋骨に囲まれ閉ざされた空間にあります。脳は身体から入ってくる情報で、外部の情報を察知しています。脳が「自分」を認識するのは複雑です。脳が外部にアプローチを取り、外部から自分を俯瞰したときはじめて「自己」が認識されます。

 いったん脳から外に向かって表現して、それを観察して心の内側を理解するというのは、一見すると、ひどく面倒な手続きを踏んでいるように思えるよね。だって、自分の脳なんだから、いきなり脳の内部に、脳自身がアクセスすればいいのに、なぜ、こんな無駄と思える二度手間をわざわざ踏むのか……。
おそらく、進化の過程で、動物たちは他者の存在を意識できるようになった。そして次のステップでは、その他者の仕草や表情を観察することによって、その行動の根拠や理由を推測することができるようになった。他者の心の理解、これが社会性行動の種になっている。
しかし逆に、この他者モニターシステムを、「自分」に対しても使えば、今度は、自分の仕草や表情を観察することができるよね。すると、他者にたいしてやっていたときのように、自分の行動の理由を推測することができるようになる。これが重要なんだ。
僕は、こうした他者から自己へという観察の投影先の転換があって、はじめて自分に「心」があることに気づくようになったのではないかと想像している。

p.180-181

自分の外にあるものを観察している内に、自分を発見する。そして、自分の仕草や表情などの行動を観察していると、そこに「心」を見い出すのではないか、という想定ですね。

不思議なことに、我々は考えるよりも先に、脳は「身体が動いている状態」になって、それを観測し、「身体を動かそう」と意識するというのです。感覚的には意志があって行動に促されるように感じますが、順番が逆なのです。

同じように、行動をしてから、後から行動の理由を作り、つじつま合わせをしてしまいます。例えば、一瞬体が触れた異性に対して好意的に感じたとき、体が触れたのは一瞬ですから意識に上らず、「笑顔が素敵だ」なんてそれらしい理由をつけてしまいます。有名なのが「吊り橋効果」です。高い吊り橋の上で居るような、身体が緊張してドキドキする環境にあるとき、体は「なぜドキドキするのか」という理由を探します。そのとき、異性と一緒にいるのなら「恋をしているからドキドキするのだ」と解釈してしまうというもの。

身体的な感覚が脳に入力され、後からその理由付けが行われます。

脳を知るほどワカラナクナル……

本書『単純な脳、複雑な「私」』を読むと脳のことがよくわかる……とは真逆。脳の不思議な働きに触れて、ますます脳、ひいては「私」が一体何なのかわからなくなる読書でした。どうやら、脳は頭蓋骨の中に納まっていますが、「私」という存在は身体だけでなく、身体の外側にまで広がっているようです。

みなさんは幽体離脱を経験したことはおありでしょうか。実は、幽体離脱も脳に刺激を与えることで科学的に作り出せるそうです。あるいは、サッカー選手が試合中、サッカーフィールドを上から俯瞰したように全体を把握しているという話があります。プロサッカー選手とまではいかなくとも、似たような感覚なら思い当たるかもしれません。例えば夜中、誰もいないハズなのに背後に人の気配を感じて、自分が一歩踏み出すとその気配も一歩前進し、自分が腕を上げると気配も腕を上げ……って、コレ、自分の気配を自分が察知してしまっているのですが、「心」と「身体」が離れてしまっている例です。

どうも、「心」は「肉体」の中に宿っているとは限らないようです。

『単純な脳、複雑な「私」』挿絵イラスト

脳の仕組みは単純だが……

タイトル『単純な脳、複雑な「私」』とある通り、脳の仕組みを知ると、脳自体は外部からの刺激に反応して、単純な構造をしているようです。しかし「心」とか「私とは」と考えると、一気に複雑になります。「この世界は水槽の中に浮かんだ脳が見ているバーチャルな世界かも」という思考実験がありますが、あれを可能にするには、人為的に身体的刺激を与え、外部の情報を入力して初めて「自己」を認識するということ……なのか? ややこしくてワカラン。

よく生き物の構造を知って「生命スゴイ」モードになることがありますが、生物の構造にも結構ムダが多いそうです。人間の身体の仕組みもパーフェクトに効率化されているわけではなく、突貫工事的に手荒な部分もあるそう。だから、脳の仕組みもこれが完成形ってワケでもないし、欠陥もあって、思い違いや勘違いをたくさんします。

以前にあさよるネットでも紹介した『脳はバカ、腸はかしこい』でも、同じような記述がありました。脳はすぐに間違うし、勘違いして反応しちゃう。脳よりも腸の方がお仕事キッチリ堅実で、そして腸のコンディションが脳を動かしているという話です。

また「自由意志」という概念も否定されます。意志より先に身体が動く状態になるんですから、「自由意志」はありません。しかし「自由否定」はあります。動こうとする身体を意志により止めることができるのです。この話、夜食でカレーを食べてしまうより前に読んでおけばよかった……夜食にカレーはいかんでしょ。

ゆらぎが道を開く

あさよるが面白いと感じたのは「脳のゆらぎ」の話です。プロゴルファーが、同じ条件でボールを打っても、上手くボールが飛ぶ時と失敗するときがあります。それはなぜか。外部の条件が同じならば、脳に変化があるからです。脳の状態は常に揺らいでいて、同じ状態をキープできません。だから出力が違ってしまうのです。

脳の揺らぎは生物にとって有利に働きます。アリさんがエサを見つけて行列を作ってるとき、脳のゆらぎによって列をはみ出す個体が現れます。一見するとこんなヤツがいると群れにとって非効率な気がしますが、列を抜けるアリはフラフラと歩きまわり、エサへの最短ルートを発見するかもしれません。列から抜け出し他のルートを探し始める個体がいることは、結果的に群れに貢献します。同じようにパチンコを打っていて、突っ込んでるのになかなか出ない時、ふと「違う台へ移ってみよう」と思うのが脳のゆらぎだそうです。

「ゆらぎ」によって、別の選択肢を模索できるんですね。あさよるも、ゆらぎに従って行動しようと思いましたw

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『スタンフォード式 最高の睡眠』|充実した仕事・私生活のための

『スタンフォード式 最高の睡眠』挿絵イラスト

こんにちは。寝るのが下手な あさよるです。気を抜くとすぐに夜更かし生活に突入しちゃいます。一日の1/3もの時間、寝て過ごす私たち。それは「人生の1/3寝てる」という、途方もない話。寝るのが下手というのは、生きるのが下手なのかもしれない……。若い頃は寝なくても動けたけれども、最近「寝れない」がコンプレックスになりつつあります……。

あさよるネットでもこれまで睡眠に関する本は紹介してきました。あさよる自身も睡眠に対して意識も変わりつつあります。今回は『スタンフォード式 最高の睡眠』を手に取りました。著者はスタンフォード大学の「世界最高の睡眠研究所」の西野精治さん。日本人が日本国内向けに書かかれた書物です。

最初の90分間が勝負!

睡眠で肝心なのは、睡眠導入して最初のノンレム睡眠。最初のノンレム睡眠の質が、その後の睡眠の質を決めるんです。いかに深いノンレム睡眠に導入できるかが勝負。そのためには、寝る前の習慣だけでなく、覚醒時の習慣が関わってきます。

そう、睡眠の質は覚醒時の質であり、その覚醒時の質は睡眠の質なのです。「上手く眠れない」「睡眠が足りない」のをなんとかしようとすると、長い時間が必要です。「週末に寝たら治る」とか、軽い問題ではないモヨウ……。

また、「睡眠は90分単位で取ると良い」という話がありますが、今の睡眠研究的には否定されているようです。確かにレム睡眠とノンレム睡眠のリズムはありますが、人によって異なるので「90分」というのは間違いらしい。自分のリズムを見つけるのが大事なんですね。

覚醒を制せよ!

日本では睡眠に満足している人が少なく、日本人は「睡眠偏差値」が低いそうです。一方でアメリカでは睡眠に関する科学的な研究が進むとともに、睡眠の重要性が認知され、社会的なリーダーシップが必要な人や、意識の高い人たちは「睡眠の質」にまで気を配るようになっています。睡眠の質が覚醒時の質を決めるのですから、「睡眠にこだわる」のは当然ですし、睡眠に無頓着であることは、覚醒時のパフォーマンスに無頓着とも言えます。

日本でも、プロ野球球団に睡眠についてアポをとっても、はじめは門前払いだったそうです。しかし、睡眠の重要性について説明すると、納得され受け入れられた経緯があるそうです。日本でも、プロフェッショナルな世界では、理にかなっていれば受け入れられる土壌はあるようです。

もし、自分が今のパフォーマンスに納得していないなら、覚醒時の調整のみならず、「寝る」「休む」スキルこそアップさせるべきなのかもしれません。そのためにはまず、正しい知識を。

巷にあふれている睡眠に関するメソッドは、古い知識であることが多いようです。90分サイクルの話もそうですし、「ブルーライトを見ると睡眠を阻害する」というのも、厳密には「睡眠前にテレビやスマホを操作して“興奮してしまう”」ことが、良質な睡眠を妨げているそうです。

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本書『スタンフォード式最高の睡眠』は睡眠に関する考え方や、実生活と睡眠の関わりについて重きが置かれている印象。具体的な睡眠導入方法については、別の書籍を当たる方がわかりやすいでしょう。

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『スタンフォード式 最高の睡眠』挿絵イラスト

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『宇宙用語図鑑』|恒星、惑星、衛星、矮星……図鑑を熟読!

『宇宙用語図鑑』挿絵イラスト

こんにちは。月蝕見ましたか? 意外と天体ショーの話題に乗り切れない あさよるです。昔から星や宇宙のことが好きで、天体ショーもチェックしていましたが、SNSの普及でみんながショーの話題で持ちきりになると、「ふーん、興味ないし」とアマノジャクなことを申しております。強がりです。

さて、『宇宙用語図鑑』という分厚い本を見つけました。タイトルもなんだかお堅い感じ。中身も難しい宇宙や物理の話を扱っているのですが……これがまた、むちゃライトに楽しく上手いことまとめられていて、とても面白い本でした。「図鑑を熟読」しましょう。

分厚いけどカンタン!

本書『宇宙用語図鑑』は、その名の通り〈宇宙〉に関係する用語が紹介される辞書のような本なのですが、イラスト満載で簡単にわかりやすく〈図解〉されている〈図鑑〉なのです。文章少な目、目で見てビジュアルで理解する楽しい内容です。

サンプルがAmazonで紹介されていました↓。

『宇宙用語図鑑』挿絵サンプル

宇宙用語図鑑 | 二間瀬敏史, 中村俊宏, 徳丸ゆう |本 | 通販 | Amazon

ね、文字すくな目でイラスト多め。例えば、〈宇宙〉に興味のあるお子さんがいたら、本書はとても役立つでしょう。お子さんはどんどん新しい知識を仕入れてきて、いろんな用語を発するはずです。そんなとき、本書『宇宙用語図鑑』を取り出して、索引から引けばよいのです。

あさよるも天体や宇宙が好きな子どもでしたから、一人で勝手に読みかじって「宇宙のはなし」を大人に話したもんですが、聞かされる方はそんな話興味ないってなもんでね。そのとき、『宇宙用語図鑑』があれば、もうちょっと建設的な話になったかもしれません。

時折ニュースやSNSでも天体ショーが話題になります。月蝕だとか流星群だとか。

宇宙・天体・物理学用語、わかる?

『宇宙用語図鑑』の1章はこんな節からはじまります。

  • 「恒星」
  • 「惑星」
  • 「衛星」
  • 「矮星」
  • 「巨星」
  • 「超新星」
  • 「中性子星」

さて、これらの〈星〉の意味の違いわかりますか?

  • 「恒星」→自ら光を放っている星
  • 「惑星」→恒星の周りを周る星、温度が低く光らない
  • 「衛星」→惑星の周りを周る星
  • 「矮星」→「小さい星」という意味。赤色矮星、褐色矮星、白色矮星など種類がある
  • 「巨星」→直径が太陽の10倍~100倍もある巨大で明るい星
  • 「超新星」→重い星の最後に大爆発を起こすこと
  • 「中性子星」→小さくて重い高密度の星

こんな感じで、見たこと聞いたことはあるけど、意味は……なんだったっけ~?というド忘れにも効きます。

子どもゴコロを取り戻すべく「図鑑を熟読」しましょう。

『宇宙用語図鑑』挿絵イラスト

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『なぜ蚊は人を襲うのか』|蚊と人と病原体の攻防戦

『なぜ蚊は人を襲うのか』挿絵イラスト

こんにちは。冬のうちに体力をつけたい あさよるです。冬は代謝が上がっているから、筋トレするにはもってこいなのよ。夏は体もバテてるから、それまでにシェイプアップしたいのです。夏の準備は冬のうちから始まっているワケですが、夏の「虫」問題もなんとかしたい。田舎に住んでるもので、窓に寄ってくる虫の対策に毎年悩まされています。ということで、今回は「蚊」。

以前、ゴキブリ退治の本を読みましたが(名著)、蚊は不快だけれども「かゆみ」以外の実害がないし殺虫剤でなんとかなるので優先度が下でした。しかし今日『なぜ蚊は人を襲うのか』を読んで、蚊の恐ろしさと、神秘と、そして「かゆみ」の重大さを知りました。蚊は怖い!

地球どこでも蚊が待っている

本書のタイトル『なぜ蚊は人を襲うのか』という問いの答えは「繁殖するため」ということは、皆さんもご存じのとおりです。動物の血をすう蚊は、産卵前のメスだけです。動物の血液をたっぷりと吸い、そのたんぱく源で卵を産みます。

そのメスの蚊にも「好み」があるようで、人の血を好むものや、動物や家畜が好きなものもいるそうです。日本の都市部に住んでいる蚊たちは、人間をエサにしていますから、散歩中の犬と一緒にいても人がターゲットにされやすいのだそうです。反対に、農村部へ行くと犬の方がよく刺されるなんてこともあるそうな。

日本の蚊は寒くなるといなくなりますが、極寒の地でも平気な蚊もいるそうです。熱と二酸化炭素を大量に吐き出す飛行機を蚊は生き物と間違えて寄ってくるそうで、飛行場の水たまりでは蚊が発生しやすく、しかもこの蚊!飛行機の車輪かなんかにくっついて、上空の極寒の環境でもへっちゃらで、遠くへ移動してしまうんだそうです。また、蚊は冬眠をして越冬もできるので、想像以上に手ごわい相手なのです。

蚊が害虫で困った存在なのは、「かゆい」という事実もさることながら、病気を媒体する恐ろしい存在であるからです。

蚊と伝染病

2014年、東京でテング熱を発症した患者が話題になりました。日本でもテング熱の患者は毎年いますが、彼らは旅行先でテング熱にかかり、気づかずに帰国し発症する例しかありませんでした。しかし、この患者は直近に旅行歴がなく、国内でテング熱に感染したのです。その後、同じ病原体に由来すると考えられる患者が兵庫県で確認され、再度話題となりました。東京で発生したテング熱が、兵庫県まで広がっていたのです。

蚊がマラリアを媒体していると知られるようになったのは1880年のことで、意外と最近。それまでは「悪い気」が伝わるなど、オカルトチックなことが信じられていました。それまでも、ボウフラが繁殖する水たまりをなくすとマラリアが減ると認識されていた地域もあったそうですが、具体的に病原体が蚊の体内から発見されたのでした。

日本でも『堤中納言物語』の「虫愛ずる姫」のお話の中で、も「蝶の鱗粉に触るとマラリアになる」と読める箇所があります。また、平清盛はマラリアで亡くなったと考えられているそうです。『源氏物語』でも高熱に見舞われる描写があったり、西郷隆盛の最期も、蚊の媒体によりフィラリア症を発症しており、逃げることができず自害に至ったと考えられています。歴史を動かす「蚊」の力。恐ろしい。

「かゆい」から逃れられる

現在でもマラリアによる死亡率は減少していますが、死亡者数は増えているそうです。感染する人の数が増えているということなんですね。

どうやら、日本で住んでいるわたしたちと、マラリアが蔓延するアフリカでは環境が違うようです。日本人は、蚊に咬まれるのを極度に嫌がり、蚊帳を張り、蚊取り線香を焚き、殺虫剤や虫よけスプレーを念入りに使います。それはただただ「刺されるとかゆい」からです。「かゆみ」という不快感から逃れるために最大限の対策をしているんですね。

蚊に刺された「かゆみ」の原因はアレルギーです。蚊の唾液をアレルゲンと認識し、かゆみを感じます。しかし、蚊に刺されまくると、蚊の唾液専門の抗体が生まれ、かゆみを感じなくなるそうです。アフリカの民家で寝ていると、1晩になんと200箇所も蚊に刺されるそうなのですが、かゆみを感じないから対処が後回しになってしまいます。

蚊は生き残るために人の血を吸い、人は生き残るためにアレルギー反応を起こして蚊から逃れます。しかし、あまりの大群で蚊に血を吸われると、かゆみを感じなくなり、蚊に血を吸われてもへっちゃらに……蚊は恐ろしいのです。

巷の都市伝説で「O型は蚊に刺されやすい」という話がありますが、これも科学的に「その通り」「いや、ちがう」と論争が絶えないそうです。もし、本当にO型が蚊に刺されやすいなら、人類の進化となんらかの関係していると考えられます。ヒトは蚊がたくさんいるアフリカを離れ、蚊のいなかった寒冷地へと移動していったのですから。

『なぜ蚊は人を襲うのか』挿絵イラスト

蚊もいろいろおりまして

蚊といっても種類がたくさんいるそうです。あさよるは「ヤブ蚊」と「イエ蚊」しか知りませんでしたが、田んぼの真ん中でブヲォォっと柱を作っているのも蚊の仲間だそうです。血を吸わないので、他の虫かと思っていました。

また「蚊に血くらいくれてやるけど、痒くするなよ」と怒っておりましたが、「かゆい」という不快感は人類の生き残り策なんですね。やはり蚊は遠ざける方法を苦心した方がよさそうです。最も有効なのは、水たまりにボウフラを沸かせないことです。正攻法です。

血吸い蚊でも、好みがあるという話は面白いですね。蚊の生態についても紹介されていて、知らないことばかりでした。蚊のメスは、たった一回だけオスと交尾すると何度も卵を産めるそうです。だからオスもチャンスが1度しかありません。また、交尾前のメスは動物の血に興味もないそうですが、交尾を1度すると俄然動物の血を欲するようになるそうです。どこのメンヘラ女子か!

すごく近くにいる生き物なのに、「蚊」のことなんにも知りませんでした。

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『トコトンやさしい人工知能の本』|目覚まし前にエアコンつけといて

こんにちは。Google Home が欲しい あさよるです。Amazon Echo のレビューと読み比べていて、 コンセプトの違いがあるっぽくて、あさよるの場合は今のところ Google Home が先に欲しいかな~。

音声入力の人工知能は、今は siri ちゃんに検索やアラームをセットしてもらうくらいですが、これから対応してくれることが増えると楽しいかも。「鍵持った?」とか「お風呂焚いといたよ」「今日仕事じゃないの?」とか気を利かせて欲しいですな。おっちょこちょいの あさよるは待望しております。

と、AIに夢を膨らませていますが、AI(Artificial Intelligence/人工知能)ってなんだ? というワケで『トコトンやささしい 人工知能の本』を手に取りました。この「トコトンやさしい」シリーズお気に入りです(^^♪

人工知能ってなんだ?

人工知能という言葉の定義はなく、その時代やその人によって違った使われ方をしています。概ね「コンピュータが人間のように賢い動作をする」ことを言いますが、時代によって「賢い」の基準も変わっています。昔は数式やパズルを解くだけで「すごい!」ってなもんでしたが、近年では「コンピュータが人の仕事を奪うかも!?」なんて言われてます。近年の人工知能ブームは、コンピュータのアルゴリズムでは難しいと言われていた人間の「直感」や「感覚的」なものが、克服されつつあるからです。

どうしてコンピュータが思考ができるかというと、「論理的思考」は数式で表すことが可能だからです。こんな記述もあります。

電子回路と似ているのが神経の回路です。脳では神経細胞同士が互いに結びついて信号を送り合い、その過程で「かつ」や「または」、「ではない」といった論理的な変換をしていきます。

p.14

機械、ロボットの歴史も簡単に。古代エジプト時代には、空気の熱膨張を利用した「自動ドア」「自動販売機」がありました。18世紀にエンジンの調速機構が登場し、19世紀には複雑な模様を折れる織機が登場します。20世紀にはレーダーによって敵の飛行機の位置が分かるようになりました。20世紀後半にには、コンピュータが計算機から思考する人工知能へと主題が変わりました。ロボットの歴史が古代エジプトから始まるのもビックリですが、人工知能の歴史は超浅いんですね。

1950年代が探索や推論といった人工知能の基本的なコンセプトを提示する時代だったとすれば、60年代は実際的な問題への応用をはじめた時代、さらに70年代はその成果を知識工学として確立させた時代と言えます。

p.20

人工知能の開発は順風満帆ではなく、80年代90年代は冬の時代だったそうです。「人工知能ができないこと」がクローズアップされた時代でもあります。研究が進まなくなったのは「データ不足」。しかし、この問題はインターネットの普及で解決します。インターネット上に無数の画像やデータがあるからです。

2010年代には人工知能ブームが巻き起こります。

 第1の要因は、地道な研究の進展です。冬の時代でも研究は細々と続けられていて、1997年にはチェスで人間チャンピオンに勝つといった成果がありました。デジタルカメラが人の顔を認識できるようになったという進歩も驚異的です。
第2の要因は、インターネットが巨大なデータをもたらしたことです。機械学習を成功させるには、学習の手本となるデータの数が勝負です。SNSでの文章や写真、ネットショッピングの購買履歴、電車の乗車履歴など、多種多様で膨大かつ日常生活にまつわるデータが急に出現したのです。(中略)
第3の要因は、人工知能を必要とする巨大なネット企業の出現です。(中略)直接的な商業的価値を生み出すことが人工知能に期待されるようになりました。

p.24

人工知能の研究は、意外と人間くさい要因で発展しているんですね。人工知能の研究があり、そこにネットの普及、次いでネット巨大企業登場によって、研究が大きく進んだ。現在は商業的な人工知能に突き進んでいます。ここでは、個人情報の取り扱いという倫理的な問題も絡んできます。たとえ匿名であっても、購買傾向や発言の特徴から個人特定も可能ですから、ますますナイーブな問題もはらんでいます。

人工知能のネガティブな言説としては、「人工知能の台頭で人間の仕事が奪われてしまう」というものがありますが、その点は著者の辻井潤一さんは楽観的です。コンピュータができる仕事は人工知能に任せてしまえば、あいた手でより〈人間らしい仕事〉ができます。逆にいうと、現在は煩わしい作業に労力を奪われていますから、そこから解放されるのです。

人工知能について知る!

以上がだいたい第1章の内容です。

第2章は「人工知能を体感してみよう」という章で、人工知能がどのような方法で「思考」をするのかを、図解付きで簡単に解説したものです。人間にとっては子どもできる簡単な判断が、人工知能ではなかなか判別がつかないことも多いようです。例えば、犬と猫の写真を見せて、猫を選ぶということも。

第3章では「人工知能を支える基礎技術」として、人工知能が「思考」をするための「やり方」を紹介したものです。例えば、似ている者同士を分類したり、因果関係の確立ネットワークを組んだり、類似性を見つけ出したり、ネットワークの重要性を見つけ出したり、「傾向」を読んだり。こちらも、人間が思考するときにやっている事柄を、人工知能に当てはめています。

第4章はいよいよ「人工知能はどう応用されているのか?」です。ノイズ交じりのデータから隠れたニーズを見つけ出したり、例えば料理のレシピを読んでなんの料理か判断したり、画像を解析したり、健康管理を人工知能にお願いしたり。

第5章は「ディープラーニングはなにがすごいのか?」で、ディープラーニングの考え方が紹介されます。ディープラーニングは世界をどう変えるのか。もちろん、ディープラーニングの弊害もあるでしょう。このへんは、まだまだこれからの分野っぽいので楽しみです。

大人の事情な人工知能

人工知能の変遷や、現在の人工知能の使われ方を見ると、なんだかものすごく人間くさい。人の営みに寄り添っていると言えばそう。現在の商業的に特化している様子も、その時代その時代のニーズを反映していると思います。

また、人工知能の思考法を見てゆくことは、人間がどのように思考しているのか考えることでもありそうです。電子回路と、脳神経回路のつながり方が、具体的に似ているとは知りませんでした。

また、巷で語られるような「人工知能が人間を凌駕する」というようなターミネーターの世界は、今のところはまだ来てないみたい……? 著者の辻井潤一さんの考える人工知能は、人類を滅ぼす恐ろしいコンピュータ像ではなく、「人類の良き相棒」である人工知能であって、これかの技術の発展が楽しみです。

さて、いつになったら「ガスの元栓閉めた?」「お味噌汁温めといたよ」と、あさよるの世話をしてくれる人工知能が現れるのでしょうか。むしろガスは勝手に切れる仕様になって、味噌汁は人間が作り続けるのかもしれません。

あと、繰り返しの作業は人工知能に任すとして、「人間にしかできない人間らしい仕事」ってなんだろう? 意外とハートフルなほっこり系の話だったりする?

関連本

『人工知能は人間を超えるか』/松尾豊

『コンピュータが小説を書く日 』/佐藤理史

『人は感情によって進化した』/石川幹人

『トコトンやさしい染料・顔料の本』/中澄博行,福井寛

『トコトンやさしい水道管の本』/中澄博行,福井寛

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『気が遠くなる未来の宇宙のはなし』|眠るまでに落ち着てね

こんにちは。宇宙の話が好きな あさよるです。子どもの頃は天体や宇宙を扱った本ばかり読んでいたのだ。本書『気が遠くなる未来の宇宙のはなし』は『眠れなくなる宇宙のはなし』の3作目。初代『眠れなくなる宇宙のはなし』は学生時代に何度も読みふけっていたことを思い出します。ワクワク!

どこから来たのか、何者か、どこへ行くのか

本書は、話題になった『眠れなくなる宇宙のはなし』『ますます眠れなくなる宇宙のはなし』に次ぐシリーズ3作目で、宇宙の未来の話題が取り扱われます。ゴーギャンの名画のタイトル「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」と同じく、3作を通じ「我々はどこから来たのか」「我々は何者なのか」「我々はどこへ行くのか」を扱ったことになります。

宇宙の話をするとき、そのスケールに気が遠くなります。「はじめに」でオリオン座の赤い一等星「ベテルギウス」がもうすぐ爆発するというニュースを見聞きなさったことはありますか? ベテルギウスが超新星爆発を起こすと、満月の100倍もの明るさを放ち、夜空を照らすと考えられています。それが「もうすぐ」見れるとは楽しみですね。っと、ここでいう「もうすぐ」とは「100万年以内」と考えられているそうです。……絶句!

あさよるも奈良時代の歴史に軽くハマってたときは、室町時代、戦国時代は新しい時代に感じたし、幕末や明治なんて昨日のことのように感じていましたが、いやぁ宇宙のスケールはすごすぎて、気が遠くなるw なんか、命とか死とか、自分の存在とか、あまりに取るに足りな過ぎて考えるのが失せるというかw

宇宙の話をしよう

宇宙の話って、すぐに「宇宙の始まり/終わり」の話に到達します。それは自らの個としての死を超えた、なんかもうデカすぎて考えられないほどの、超絶どうにもできない、神様すらも意味をなさないような世界です。

そういえば『ムーミン谷の彗星』では、夜空の彗星が地球に落ちると噂されムーミン谷の仲間たちは怯えています。そこでムーミンたちが山の上の天文台へ話して聞きに行くと、天文学者たちは巨大彗星を観察し狂喜乱舞します。巨大彗星が間近で観測できるのです。あさよるは子どものころから、この天文学者たちに心底憧れていましたw 自分の身の上や命なんか忘れて、没頭していたいと思ったのです。

宇宙の話をするって、「生き方」「生き様」の話なんじゃないかと思うんですよね~。」「ベテルギウスが爆発しようと何も私は変わらないぜ」ってカッコいいじゃまいか。宇宙の最後をイメージしながら、お風呂に入ると半身浴が捗りそうじゃないか。

とりあえずもちつけww

何千年何万年の月日とともに、空の恒星たちが移動して星座の模様が変わってしまう。太陽さえも磁場を変え、月はどんどん遠く離れてゆく。地表の大陸も移動し続け、世界地図の形も様変わりしてします。わたしたちの天の川銀河とアンドロメダ銀河が衝突するとき、我々の子孫はそれを目撃するのでしょうか。

すべてを飲み込むブラックホールはいずれどうなってしまうのか、この宇宙はこのまま膨張し続けるのか収縮を始めるのだろうか。なんか、別にこの人生に関係ない話だし、なんの腹の足しにもならないハズなのに、ものすごく人間らしく生きるために必要な好奇心のような気がしてしまう。

巨大すぎる宇宙に絶望と興奮を感じたまま、お布団には入れないので、ここで心落ちつくラインナップを紹介しておわりますw

まず、前田京子さんの『お風呂の愉しみ』は、お風呂への並々ならぬオタク的没頭を楽しめる名著です。お風呂アイテムや、お風呂の時間を、自分が自分流にコーディネートするのです。

続いて『すごいストレッチ』。こちらは説明不要。イラスト通りにストレッチすると体がホカホカ気持ち良い。

最後に、笑い飯哲夫による有難いブッダのお話を。

関連本

『眠れなくなる宇宙の話』/佐藤勝彦

『面白くて眠れなくなる植物学』/稲垣栄洋

『面白くて眠れなくなる数学プレミアム』/桜井進

『宇宙はなぜ「暗い」のか?』/津村耕司

『ホーキング、宇宙と人間を語る』/スティーヴン・ホーキング

『宇宙は何でできているのか』/村山斉

『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』/青木薫

『宇宙のダークエネルギー』/土居守,松原隆彦

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『宇宙はなぜ「暗い」のか?』|星が無限にあるなら夜空は明るいはず

こんにちは。ぼんやり空を見上げて子ども時代を過ごした あさよるです。さすがにもう大人なので、仕事するときはカーテンを閉めて、対策していますw

なんとなく手に取って積んでいた『宇宙はなぜ「暗い」のか?』は、あさよるの長年の疑問が晴れるもので、読了後なかなか興奮冷めやらずにいます。中学生でも読める内容で、易しい文体と丁寧な説明の良書ですよ~。

「夜空はなぜ暗いのか」だと?

本書はこんなふうに始まります。

あなたは「なぜ夜は暗いのか」ということを考えたことがあるでしょうか? 夜が暗いなんてあまりに当たり前すぎて、疑問に思ったことさえない人が多いのではないかと思います。けれども、「夜が暗い」ということは実はとても不思議なことで、ただ単に「夜は太陽が沈んでいるから」という説明だけでは不十分なのです。なぜなら、もし宇宙に無数の星が存在すれば、その星からの光で夜空は明るくなってしまうと考えられます。これを「オルバースのパラドックス」と言って、昔から天文学者を悩ませてきた問題です。

p.3

さて、夜空を見て「なぜ夜は暗いんだろう!」と疑問を抱いたことのある方はいますか? どう結論しましたか? あるいは、こんな質問を子どもにされたら、どう答えるでしょうか。

夜空に輝く星たちは無数にあり、空に隙間なく星があるならば、夜空に暗い部分があるのはおかしいのです。

本書は素朴なギモンだけど、人類が何千年とかかって手に入れた知識を使ってしか答えられない、なかなか悩ましい問いなようです。

夜が暗い理由を予想する

地球にいると、宇宙が見えにくい?

私たちは地球の地面の上で生きています。さらに地表には空気が満たされていて、この空気が光を拡散したり、吸収されてします。青空が青く見えるのは、青い光が空気中で拡散され、いろんな角度から目に入ってくるからです。また、空気が太陽の光を吸収したり、地球の磁場により太陽風から守られています。

地表に届く光は限られているんですね。だから、宇宙空間から見る太陽や宇宙は見え方が変わります。

宇宙の塵が邪魔してる?

宇宙空間には「宇宙塵」が散らばっているそうです。この宇宙塵が光を遮って、宇宙が暗く見えているのでしょうか。これを検証するため、宇宙望遠鏡や、赤外線で宇宙を観測できる人工衛星が打ち上げられました。

すると、宇宙塵が密集している部分は、恒星の光で宇宙塵が温められ、赤外線で明るくなっています。あれ? 赤外線も光ですから、宇宙塵が集まる場所は光が多いってこと?

ブラックホールが光を吸い込む?

これは本命、ブラックホールが光を吸い込んでる説。だがしかし、ブラックホールに物質が吸い込まれるとき光を放つこともあり、必ずしもブラックホール=闇ではないそうです。ブラックホールもX線を放ったり、重力波が観測されたことが近年話題になりました。

それに、ブラックホールの数はそんなに多くないんだそうです。宇宙を闇にするほどの力はないってことか。

ビッグバンと星の寿命

では、どの仮説も宇宙が暗い理由になりえないとすれば、どうして宇宙は暗いの?

星には寿命がある

まず、星には寿命があります。恒星の寿命は短く、光を放っている恒星は全体の10兆分の1くらいだそうです。びっくり。そりゃ暗いわ。例えるならば、ディズニーランドを3本のローソクで灯した明るさなんだそうです。

宇宙は動いている

宇宙は膨張していますから、どんどん空間と空間の距離が広がっていきます。星と星の間の距離も、広がっていくのでいつまで経っても星で埋めつくされません。

宇宙には始まりがある

宇宙が暗い理由は、「宇宙には始まりがある」という前提が大切です。「ビッグバン」が起こって宇宙が始まったという考えは今では一般的ですが、これはここ数十年の常識です。つい最近まで「宇宙は無から始まった」という話は突拍子もなく理解しがたい話でした。

宇宙にはビッグバンで始まったとすると、宇宙が暗い理由も考えらえます。ビッグバンが起こったのは138億年前。そこからどんどん宇宙が膨張しています。ということは、宇宙には果てがあり、138億年分しか膨らんでいません。それ以上遠くには宇宙がないので、暗いのです。

好奇心と知識欲をシゲキする良書

本書『宇宙はなぜ「暗い」のか?』は中学生くらいなら十分に読みこなせる内容です。宇宙が暗い理由をただ羅列するのではなく、いくつかの仮説が間違いである説明や、ときには周辺の話題に触れたりと、知識欲や好奇心が刺激される構成です。

平易で親しみやすい文体と、丁寧な解説が良いですね~。中学生の頃のあさよるもこの本、好きだと思うw 30代のあさよるも、「天の川見てみたいな」「登山したいな」となかなかワクワクしました(^^♪

〈あさよる〉のヒミツがわかってヨカッタ

「なぜ夜は暗いのか」を考えるためには、ビッグバン宇宙論を待たなければならなかったとは驚きですね。今、あさよるがすんなりと理解できるのも「宇宙には始まりがある」「宇宙は膨張している」という常識があってこそなんだから。

あさよるも実は、幼い頃から「〈暗い〉とは何か」と不思議でした。聖書の創世記の冒頭、神が天と地を創造し「光あれ」と光を創ります。そして光と闇を分け、それぞれを昼と夜とします。神様は世界を創るとき「光と闇」「昼と夜」を創るんです。ってことは、神様が「夜」を創る前は、夜がなかったのか!? と、不思議で不思議で。

ちなみに当ブログ名の「あさよるネット」というのも、なんかそんな感じの意味があります(後付け感)。

関連本

『ホーキング、宇宙と人間を語る』/スティーヴン・ホーキング,レナード・ムロディナウ

宇宙法則のグランドデザイン!『ホーキング、宇宙と人間を語る』

『宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎』/村山斉

『宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎』を読んだよ

『眠れなくなる宇宙の話』/佐藤勝彦

『眠れなくなる宇宙の話』を読んだよ

『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』/青木薫

『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』を読んだよ

『宇宙のダークエネルギー 「未知なる力」の謎を解く』/土居守,松原隆彦

『宇宙のダークエネルギー 「未知なる力」の謎を解く』を読んだよ

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『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』|研究者はやめられない

『鳥類学者だからって、鶏が好きだと思うなよ。』 メジロのイラスト - クリップスタジオ(クリスタ)

こんにちは。鳥が好きな あさよるです。自分でも鳥が好きだと知らなかったのですが、気が付くと鳥をモチーフにした絵本を数冊作っていました。気づかんかった~。鳥の、モリモリっとした羽根の付け根の筋肉とか、背中が超タイプ♥ 博物館なんかで鳥の標本見るのも好きだなぁ~(*´ω`*)

↓このイラストは、お絵かきソフトの「CLIP STUDIO(通称・クリスタ)」のお試し版で描いてみたヤツ。やはり真っ先に鳥を描いておる……ちなみにこれはメジロです。

『鳥類学者だからって、鶏が好きだと思うなよ。』 メジロのイラスト - クリップスタジオ(クリスタ)

研究は命がけ

あなたは「命をかける」ような仕事をしたことがあるだろうか。多くの人は、さすがに命まではかけないだろう。しかし、鳥類学者は違う。鳥類学者は命がけの職業なのだ。小笠原諸島では天敵がおらず、無人島では人もいないから怖いものはない。安心して夜間観察ができると思いきや、耳の穴に蛾がホールインワン!今にも鼓膜を引きちぎり、脳内を蛾がはい回る恐怖に怯えた経験なんて、なかなかない。研究は命がけなのだ。

あさよるは以下の一文を読んで戦慄した。

外来生物は調査器具の様々な場所に潜んでいる。ウェストポーチの隅、靴の裏、マジックテープの隙間、フィールドワークを常をする研究者の道具は、外来種の宝庫でもある。

p.56

外来生物がウェストポーチや靴の裏、マジックテープの隙間に潜んでいる!?これって、つまり、我々普通の生活をしていても、カバンの隅やマジックテープの隙間や靴の裏に生物が潜んでいるというということではないか? ちなみに、あさよるネットでも紹介した『ゴキブリ取扱説明書』でも書かれていた。部屋に出没する虫は、自分が持ち込んでいるってことかい……・゚・(ノД\lll)・゚・

まんじゅう怖い的な?

『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』というタイトルは「まんじゅう怖い」的な意味だと思いきや、読んでいると「鳥好き」と言ってもペットを可愛がったり、愛でることが好きというよりは、やはり学者、研究対象としての鳥なのですな。また、「研究する」ってこと自体が、とんでもなく楽しそうだ!

こんなに学者、研究者が楽しそうだと知っていれば、あさよるも学者になったのに! もっと勉強したのに! という、ぜひ子育て中の親御さんや、子どもと関わる仕事をしている人、あと、中学生くらいの生徒たちも読むと夢が広がると思うぞ。

まじめな内容なんですよ

ちょっと面白おかしく紹介してしまいましたが、いたって真面目な内容なんですよ。「鳥類学者」という日本に1200人しかいない希少種の生態を紹介しつつ、どんなふうに「研究」がなされているのか、研究者がなにを気をつけているのかなど、一般人には未知の「鳥類学者」という存在に迫ります。そこで、先にも書いたように「研究者」になりたかった!と思うのです。

あさよるも、植物学の先生の授業を履修した時、先生が尋常じゃなく傷だらけでズタズタなのが服の上から見て取れて、「ど、どんな冒険をしてきたんだ!」と一瞬で虜になりました。あさよるには“そういう未来”は来なかったな~。

関連本

『ゴキブリ取扱説明書』/青木皐

『本当に困っている人のためのゴキブリ取扱説明書』を読んだよ

『バッタを倒しにアフリカへ』/前野ウルド浩太郎

『バッタを倒しにアフリカへ』|人類のため、バッタに食べられたい

『わたしのクマ研究』/小池伸介

『わたしのクマ研究』|クマ研究でドングリを数える

『アヘン王国潜入記』/高野秀行

『アヘン王国潜入記』|のどかな山間のアヘン栽培日記

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『わたしのクマ研究』|クマ研究でドングリを数える

こんにちは。自由研究を時たましたくなる あさよるです。本書『わたしのクマ研究』は図書館で、小学生向けの本だなで見つけた本です。著者がクマの研究を始めた経緯や、研究方法などが易しく書かれています。自由研究の資料や、お手本になる本です。

〈研究〉ってどうするの?

著者の小池伸介さんが、クマ研究を始めた経緯から。最初はクマに興味があったわけではなく、子どもの頃から昆虫が好きな昆虫少年だった小池さん。高校生の頃、「森の回廊」が富士山麓に作られるとニュースで知り、興味を持ちます。「森の回廊」とは、別々に分断されている森と森の間に、新たに森を作って繋ぐ計画です。森で生きる生きものが移動して生きるスペースを広げられます。小池さんは、森にすむ生き物について知りたいと思い、東京農工大学へ進学しました。

大学では、神奈川県の森やシカの調査の手伝いをしていると、先生のつながりで、クマの調査プロジェクトに参加するよう依頼されました。このプロジェクトこそ、小池さんが興味をもった「森の回廊」を作るための、クマの調査だったのです。

思わぬところでクマ調査を始めた小池さんは、クマの生息地を歩き回り、足跡や糞をあつめて、クマの生態を調べます。クマを捕まえて、GPSで行動を調べたり、エサのドングリの分布も調査します。

『わたしのクマ研究』を読んでわかること

本書『わたしのクマ研究』では、クマの研究にあたって、森全体を調査している様子がうかがえます。研究者は、クマのことを知っているだけでなく、山のこと、植物のこと、木の実のこと、科学的な測定方法も知っていなければなりません。調査のための道具もオリジナルで手作りするので、お裁縫や大工仕事もできないといけません。

クマは一頭ずつ性格が違う

クマを捕まえるとき、ドラム缶を二つ繋いだ特性の罠の中に、ハチミツを仕込んで待つそうです。クマを傷つけないように、麻酔銃で眠らせてから調査をします。このとき、クマの性格が一頭一頭違っていて、罠の中で怒っているクマもいれば、怯えて縮こまっているクマもいます。

クマは単独で生活しますから、他のクマとの関わりがなく、それぞれ個性的なのかもしれません。一頭一頭個性が違うって、人間みたいですね。

クマのメニューは豊富!

クマはいろんなものを食べます、ドングリなどの木の実や、木の皮、シカなどの他の動物も食べますし、アリやサナギも食べるそうです。ヒグマが、川を登るサケを取って食べている様子が有名ですが、サケをたくさん食べるのは体が大きなオスで、メスはあんまり食べないそうです。

足尾のクマは、若いクマほど葉やアリを食べています。歳を取るほどシカを摂って食べる個体が増えます。また、初夏の頃にシカをたくさん食べます。この頃にシカが出産の時期で、捕まえやすい小ジカが増えるからだと考えらえられます。

ドングリは豊作の年と不作の年がある

ドングリは年によってたくさん実をつける年と、不作の年があります。この理由は不明ですが、有力説として豊作と不作を繰り返すことで、より多くの子孫を残そうとしているのではないか、と考えられています。

たとえばある山で毎年同じように一〇〇個のドングリが樹木に結実しているとした場合、その山には一〇〇個のドングリを食べられるだけのネズミが生息することができることになる。するとその場合、毎年一〇〇個のドングリはネズミにすべて食べつくされて、植物は子孫を残せないことになってしまうかもしれない。
そんな状況を避けるために、植物のほうは、ある年は五〇個、次の年は一〇〇個のドングリをつけつようにすることで、ある年は五〇個のドングリを食べられるネズミが生き残り、次の年を迎えることになる。さらに次の年は二〇〇個のドングリが存在したとしても、山には五〇個のドングリを食べる分のネズミしかいないため、単純に一五〇個のドングリはネズミに食べられずに残ることができて、それらのドングリは発芽する機会を得られるようになる。

p.48-49

毎年ドングリの数を変えることで、ドングリの捕食者の数をコントロールしているのではないか?ということですね。ドングリ恐るべし。

毎年あさよるを悩ます「花粉」も「今年は多い/少ない」って予報がありますが、こういうこと?

〈調べ方〉も自分で考える

ドングリの実の数を調べる方法が複数紹介されていました。正確に数えたいなら、ドングリの木を切って、一個一個手で数えれば良いですが、これは現実的ではありません。枝についているドングリを人間が一本ずつ数えていく方法。木の下に袋をセットして置き、面積に対し落ちてきたドングリの数から、全体の量を割り出すやり方。

クマの個体識別方法も、ツキノワグマの模様で判断したり、体毛や糞から個体を割り出すやり方があるそうです。クマの首にGPSをつけて、追跡調査もします。

学校の勉強って、すでに答えや調べ方が用意されている問題に取り組むものばかりです。しかし、こうやって研究の現場では、答えもなく、調べ方もないところから、自分で答えや調べ方を模索しないといけません。そもそも最初の「問い」自体を、自ら設定するのです。

クマの種類は8種類しかない!

あさよるが本書『わたしのクマ研究』を読んでびっくりしたのは、「クマの種類は8種類しかない」ってことだった。8種類のメンバーを紹介するぜ!

  1. ホッキョクグマ
  2. ヒグマ
  3. ナマケグマ
  4. メガネグマ
  5. アメリカクロクマ
  6. ツキノワグマ
  7. ジャイアントパンダ

えー!このほとんどって動物園でいるよね!「他のクマも見たいなぁ」と思ってたけれども、そもそもクマの種類自体が少なかったのか。

で、思い浮かんだのはこの本。でん!

去年から話題の『サピエンス全史』である。内容はザックリいうと、この宇宙が誕生し、地球が生まれ、地を這うもの海をゆくもの空を飛ぶものが現れ、やつらの足音が聞こえてから、現在までの記憶を、たった2冊のハードカバーで語ろうという「ムチャしやがって…」本である。あさよるも読んだけど、ブログでまだ紹介してません(;’∀’)

で、『サピエンス全史』であって、「ホモ・サピエンス全史」でなところがポイントです。本書では我々〈ヒト〉だけではなく、かつて地上に存在した他のサピエンスたちの歴史を含んでいます。

でで、我々ホモ・サピエンスには、かつて兄弟たちがいたのです。しかし現在地上に残ったサピエンスは私たちのみ。種が生き残るには多様性が不可欠です。神ならざる我々は未来を予見することができず、ただひたすら「数打ちゃ当たる」的に可能性を増やしておくしかありません。

「クマは8種類しかいない」と知り、真っ先に「え、ヤバイやん、絶滅するやん」と脳裏をよぎったのですが、「サピエンスは1種類しかいない」んすよねー。

関連本

『お父さんが教える 自由研究の書きかた』/赤木かん子

『お父さんが教える 自由研究の書きかた』|これで「知った顔」で教えよう

『ゾウの時間 ネズミの時間』/本川達雄

『ゾウの時間 ネズミの時間』|車輪を持つ生きものがいないのはなぜ?

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『バッタを倒しにアフリカへ』|人類のため、バッタに食べられたい

こんにちは。流行りものに目がないあさよるです。『バッタを倒しにアフリカへ』話題になってたじゃないですか。読むしかないですよね。それにしてもタイトルが謎だし、写真も謎だし、どう見てもふざけているようにしか見えないのですが、著者は何者!?

タイトルの意味も、緑色の出で立ちも、本書を読めば意味が分かるのですが、その意味が予想の斜め上行き過ぎているw オモロー

昆虫学者のアフリカ滞在記

本書『バッタを倒しにアフリカへ』は著者、前野ウルド浩太郎さんのエッセイです。前野さんはファーブル昆虫記を読み、ファーブルに憧れ、昆虫の研究をはじめ、バッタを追ってアフリカはモーリタニアへやってきた。ミッションはバッタの駆除。「神の罰」とも呼ばれるバッタの大発生を防ぐのだ。しかし、干ばつが続きバッタが発生せず、代わりにゴミムシダマシと、キュートすぎるハリネズミとの生活が始まった。

大人の事情も絡んでくる。研究費と生活費が保証された2年が過ぎようとし、もうすぐ無収入になる……日本へ帰るか?バッタを追うか? 一時帰国であちこちで講演をし、京都大学の白眉プロジェクトへエントリーをするのだった。京大総長とのやりとりは、読んでいて思わず目頭があつくなるものだ。はたして、彼は無事に予算を手に入れるのだろうか……ドキドキ、という展開です。

 私はバッタアレルギーのため、バッタに触られるとじんましんが出てひどい痒みに襲われる。そんなの普段の生活には支障はなさそうだが、あろうことかバッタを研究しているため、死活問題となっている。こんな奇病を患ったのも、14年間にわたりひたすらバッタを触り続けたのが原因だろう。
全身バッタまみれになったら、あまりの痒さで命を落としかねない。それでも自主的にバッタの群れに突撃したがるのは、自暴自棄になったからではない。

子どものころからの夢「バッタに食べられたい」を叶えるためなのだ。

p.3-4

ちょ、ちょっと情報量が多すぎてわからない。バッタアレルギー?そんなアレルギーあるの? 本書によれば、バッタが腕をテクテクと歩くと、その足跡にじんましんができるらしい。そんな話初めて聞いた。そしてなによりこの一文だ。「バッタに食べられたい?」?? どうやらバッタが大発生している様子を見学していた人の、緑色の服にバッタが群がり、服を食べてしまったという話が昔、科学雑誌に載っていたそうだ。それが羨ましくて「バッタに食べられたい」ということらしい。

大発生するバッタを前に、成すすべもない人類。その先陣を切って、全身緑のタイツで立ちはだかる男。それが著者なのだった。

冒険記、体験記はオモシロイ

本書はタイトルからどんな本なのか推測しづらく、読んでいても話の終着点はなんなんだ?とハラハラと読み進めました。前半はアフリカでの異国の文化や動植物のレポートが続き、旅行記のような楽しさが、そして後半は日本の研究者の微妙な立場や、日本でアフリカでの様子を講演や雑誌連載など忙しく駆け回る様子もまた、ドタバタで面白い。

学術的な話は置いといて、本書は命懸けの研究者の奮闘を知れる本だと思います。砂漠でサソリに刺されていたし……。学者、研究者って、屋内で青白い蛍光灯の下、机上の空論を並べているにあらず。

おもしろかったデス(^^)v

関連本

『アヘン王国潜入記』/高野秀行

ミャンマーにある「ゴールデントライアングル」と呼ばれる地域に、「アヘン王国」が存在する。

著者が実際に文明から離れた村に潜伏したレポート。

『アヘン王国潜入記』|のどかな山間のアヘン栽培日記

『巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災』/永幡嘉之

津波の塩害により、自然がどう破壊されているのか。

大量の写真で見てゆきます。

『巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災』|塩害による変化

『うんこがへんないきもの』/早川いくを

タイトルそのまんま。へんな生きものや、へんな習性。

『うんこがへんないきもの』|生きることは食べること。食べることは…

『LIFE<ライフ> 人間が知らない生き方』/麻生羽呂,篠原かをり

マンガとコラムで、動物から人生訓を学ぶ。

『LIFE 人間が知らない生き方』|動物は知っている、生き方を

『生きものの飼いかた』/松橋利光

こんなの飼えるの?どうやって飼うの?

そして、スーパーで買ってきた食材も、飼えるのだ。

『生きものの飼いかた』|カッコいい生きものカタログ!しかも飼える!

『ちっちゃな科学 – 好奇心がおおきくなる読書&教育論』/かこさとし,福岡伸一

ワクワク、ドキドキはどこからくるの?

好奇心を大きく育てるために。

『ちっちゃな科学 – 好奇心がおおきくなる読書&教育論』|好奇心はどこから来るの?

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