佐藤勝彦『眠れなくなる宇宙の話』書影

「夕波千鳥(ゆうなみちどり)」という言葉があります。この言葉の意味を知ったとき、これは面白い言葉だなぁと関心しました。
昔の人が作った和歌がたくさん集められた「万葉集」の中に、この言葉が使われた歌があります。

近江の海 夕波千鳥 汝が鳴けば 心もしのに 古へ思ほゆ

―万葉集 巻三 二二六番

「近江の海」とは琵琶湖のことです。琵琶湖の辺りに「大津宮」という宮が置かれていましたが、宮がなくなってしまいました。この歌は、大津宮があった頃のことを思い出し、寂しい気持ちになっている歌です。

ここで使われている「夕波千鳥」は、夕方、琵琶湖の水面の波があり、千鳥という鳥がいるという、そのままの意味です。
夕、波、千鳥。その風景が目に浮かぶ言葉ですよね。そして、とても面白い言葉なのです。
さて、「夕波千鳥」の風景を思い浮かべてみてください。どのよな風景が見えますか?

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