落語

『くっすん大黒』|声に出して読みたい小説でした

こんにちは。あさよるです。いやさっきね町田康の『くっすん大国』を読んだんですよ。これ、町田康の処女小説らしいし、芥川賞候補作にもなった作品で、代表作の一つで間違いないでしょう。あさよるは町田康を読むのが初めてで、ってか町田康ってミュージシャンだったんだと、それを知らなくてびっくりした。町田康初心者ですわ。

そんで、町田康初心者は処女作を読むに限るだろうて『くっすん大黒』を選んだのでしたが、なんじゃこれ。まず出だしの1行目から「読みにくっ」と声に出しそうになったのでした。声に出してないけれど。しかし「これもなにかの縁だろう」と1ページは読もうと頑張ったのでした。そして、「これって声に出して読むといいんじゃないか」と思いつき、朗々と朗読会が始まったのでした。

「声に出して読みたいなんとか」とかいうのが昔流行ったけれども、まさにこの『くっすん大黒』は声に出して読みたい、いや、声に出して読むべき小説ではないだろうか。

『くっすん大黒』のあらすじのようなもの

はてさて『くっすん大黒』にあらすじなんてものがあるのか謎いけれども、一応紹介してみましょう。

三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます

くっすん大黒 (文春文庫) | 町田 康 |本 | 通販 | Amazon

「働くのは嫌だな」「遊んで暮らしたいな」と思い立ち仕事を辞めて、酒を飲んでぶらぶらと暮らしていたら、酒の飲みすぎで紅顔の美少年が、まるで大黒様のようになってしまった。前夜、金目の物を全部持って出て行った妻の行動も合点がいった。こんな面白い顔を見て暮らすのはいやだもの。しかし、それにしても金がない。イライラしていると五寸ばかりの大黒様が目に入った。この大黒はバランスがわるくまったく自律せずに、すぐに後ろへ倒れてしまう。

この大黒を捨ててしまおうと思ったが、ゴミの分別に悩み、不法投棄を思い立つ。しかし、大黒をもってウロついている様子を警察に見つかり職務質問を受け、いやんなって友人の菊池に連絡する。さっそく菊池のもとへいくと、菊池がアルバイトの話を持ってきた。しかし、そのバイト先でキョーレツなオバハンたちに絡まれ、命からがら逃げだす二人。

しかし金がない。むかし映画に出演した縁で作家の軌跡を追うビデオのリポーター役に抜擢されるのだ。

と、話がどんどん二転三転してゆくのがバカバカしく可笑しい。

落語みたいな話やね

主人公の楠木と菊池は、まるで落語に出てくる喜六と清八のようで、二人の阿呆なかけあいが楽しいのですよ。落語っぽいなと思うのは、小さなおかしな話を積みあげてなにやらどんどんおかしくなっていくところとか、「その話のつなげ方無理ないか?」と突っ込みたくなる設定とか、二人の珍道紀になってるところとか。んで、なんといっても落語的〈サゲ〉とかね。サゲというのは、落語の噺のオチのこと。あ、あと、声に出したいってところもか。

よくわからない、が……

初めて町田康を読んだのですが、これは大変だ。なんて言っていいのか分からない。「面白かったか?」という問いはには「〈はい〉であり〈いいえ〉です」。そして、「また読みたいか」と聞かれても「〈はい〉であり〈いいえ〉です」としか言えないし、「他人に薦めたいか」という問いかけも「〈はい〉であり〈いいえ〉です」としか答えられない。こまった。

困ったけれども、ものすごくなんか、気になって仕方がない。町田康の他の小説ってどうなの?どうなってんの?他のも読んでみたほうがいいの?いいよね?と自問自答している。いや、きっと、絶対、近々彼の他作品も手に取ってしまうだろう。そして声に出して読んでしまうんだろう。

そもそも、秋も深まろうかという夕暮れの暗がりの中、ザンバラ頭で腹から声を出してハキハキと『くっすん大黒』を音読してるババアがこの世に存在していたという事実はなかなかのホラーである。それこそ、物語の中に出てくるどうかしているオバハンども級の気味悪さである。ああ怖。

・・・。

余談。かの松岡正剛氏の千夜千冊でも『くっすん大黒』が紹介されている。というか、725話って、最初の千夜に入ってる。

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『IKKO キレイの魔法』を読んだよ

リラックスは緊張?

リラックスと緊張することは同じ状態なのだそうです。
スポーツをしている人には常識なのかもしれませんが、私は長い間知らず、全く相反するものだと思っていました。

高校野球を題材にしたマンガ『おおきく振りかぶって』の中でも、球児たちがピンチの時にリラックスできるようトレーニングをしています。リラックス=緊張ですから、ピンチの時こそリラックスし、集中する訓練なのですね。昨年話題になった五郎丸選手のルーチンも、リラックスし集中力を高めるものなのでしょう。

2016年1月7日、桂枝雀さんのご子息が“桂りょうば”として初舞台を踏んだことがニュースになりました。

2015年の夏、桂ざこばさんの元へ入門され、たくさんの方に注目されての初舞台だったようで、初日は大入り満員。中へ入れなかった落語ファンの方もたくさんいらしたそうです。
りょうばさんの初舞台として上がられたのは、大阪市西成区にある「動楽亭」という、桂ざこばさんの持ち物の寄席会場です。ざこばさんや、そのお弟子さんのみならず、主に昼と夜の時間帯に落語や演芸の会が催されています。
私は今年は行けずじまいでしたが、毎年正月は、動楽亭で落語初めをしています。

特に元旦の会は、一番最後のトリに席亭(寄席の主人)の桂ざこばさんが勤められるのですが、なにせ“正月”ですから前日からお酒を召されており、師匠のクダを聞くのが楽しみで足を運んでいます。
桂ざこばさんは、関西ではテレビ番組にもたくさん出演されており、お馴染みの落語家さんです。テレビでも怒ったり泣いたりと、素朴で真っ直ぐな発言が印象的ですが、舞台でもお人柄がにじみます。

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『あやつられ文楽鑑賞』を読んだよ

文楽のイメージ

文楽のイメージ

落語に『寝床』という噺があります。
素人浄瑠璃を語るのが好きな旦那が、店の番頭や長屋の住民を集めては自分の浄瑠璃を聞かすのですが、下手な浄瑠璃を聞かされる方がたまったもんじゃない。みんなアレコレと理由をつけて欠席をします。旦那は、もう金も貸さん、長屋も貸さん!と立腹。それを聞いて皆、観念して浄瑠璃の会に集まってくるのですが……。

浄瑠璃が物語の肝として使われている噺として、三浦しをん『あやつられ文楽鑑賞』でもこの「寝床」が取り上げられていました。
三浦しをんさんは古今亭志ん生と三遊亭圓生のCDを聞かれたそうです。他にも、文楽、浄瑠璃を扱った落語として、「胴乱の幸助」「軒づけ」を、こちらは桂枝雀の落語を聞かれたそうです。

三浦しをんさんは東京の方で、東京の落語の方が聞きやすかったらしいのですが、私は関西人ですので反対に、上方落語は聞きやすいのですが、東京の落語は言葉を聞き取りにくく、慣れるまで時間がかかります。

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『わたしが情報について語るなら』を読んだよ

新宿末広亭の内装のイメージをコピックで描いたイラスト

新宿末広亭の内装のイメージをコピックで描いたイラスト

初めて「ココナラ」を利用しました。ココナラとは、ワンコインから知識やスキルなどを手軽に売ったり買ったりできるサービスです。

私は今回、いつもブログを読んでいたメイクアップアーティストの方がココナラにも出店されていると知り、顔分析をしてもらいました。自分の表情や顔の筋肉の使い方のクセを教えてくれるともに、メイクのアドバイスもしてくださいました。
ココナラは以前から登録だけはしていましたが、初めて利用をし、面白いサービスだと感じました。今回はサービスを買う側でしたが、自分が売る側になるなら、どんなサービスを提供するのかと思案し始めています。

インターネットが普及すれば、人類の知識はネット上に集められ、人類の財産として別け隔てなく誰もが恩恵に預かれる世界が来るのかと思っていました。今の現状は、そうはなっていないようです。ネット上の情報に無料で触れられる環境は整っていますが、実際に、自分の欲しい情報を見つけ出すには、未だ書店や図書館へ出向いて文献に当たる方が、信頼のおける情報に早く出会えます。事前にネットで”当たりをつける”ことはしますが、裏を取るのに案外手間取り、本を読んだほうが早い気がします。私はネットネイティブ世代でもありませんし、古い考え方なのかもしれませんが、「なんかインターネットって、思ってたのと違うなぁ」と感じます。

東京は、大都会のビル街の中にポッカリと寄席があったり、最新のトレンドと伝統が平然と並んでいてとても面白い都市です。東京へ上京する際は、東京の寄席にも必ず足を運びます。もちろん落語はCDでも聞けますし、NHKの演芸番組など、テレビで見ることもできます。しかし何故かテレビで見ると面白くない。不思議なもので、テレビで映像を見るくらいなら、CDで音声だけ聞くほうが面白いのです。いえ、名人と呼ばれる人の落語ほど、音声だけで聞くほどに迫力やおかしみが滲み出てきます。
この発見は、私にとって衝撃でした。私はずっと、「テレビを見ているだけで経験値が上がっている」と思っていたのです。なんでも、どんなものでもテレビで見れます。疑似体験をしているんだから、自分の経験値になっているだろうと思っていたのです。しかし、落語の例ですと、テレビで見ると落語の面白さが損なわれていて、音声で聞くほうがずっと面白いのです。もちろん言うまでもなく、一番面白いのは寄席会場で聞く落語です。

松岡正剛『わたしが情報について語るなら』では、このような情報の取り扱い方に注意を呼びかけています。インターネットが普及し、私たちが扱う情報の量は格段に増えました。スマホの普及がそれを後押ししています。しかし、その情報の質はどうでしょうか。あるいは、適切な情報は得られているでしょうか。

東京には昔からの寄席小屋が数カ所あります。初めて上京した際、新宿末広亭へ行って驚きました。寄席とはこういうものなのか!と初めての体験だったのです。ひなびた建物の中、お弁当を食べながら、日がな一日落語を聞く。途中で入ってくる人もいますし、途中で退席する人もいます。お客さんの年齢層もさまざまです。みんなに共通するのは、落語を楽しみに聞きに集まったことです。その場の雰囲気。その空気感。肌で感じる臨場感や高揚感は、テレビ画面に映っていないのかもしれません。

テレビやネットで得た情報と、自分で経験した情報とは、圧倒的な情報量の差があります。経験や体験をすると、五感全部で身体の中に情報が入ってきます。それを、私たちは情報をより分け、言語化し、整理してゆきます。それを本書では「自己編集」と呼んでいます。情報を角度を変えて、視点を変えて、編集してゆくのです。もちろん、ネットから得た情報も、そのまま丸呑みするのではなく、自分の手で編集して、切り口や視点を変えて、扱ってゆく必要があります。

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『振袖&袴の大正ロマン着物帖』を読んだよ

アンティーク着物の古着をイメージしたレトロでポップな模様をコピックマーカーで描いたイラスト

アンティーク着物の古着をイメージしたレトロでポップな模様をコピックマーカーで描いたイラスト

私は落語が好きで、足繁く落語会へ通っていました。
当時は「落語ブーム」なんて言って、あちこちで新たな落語会が催され始めていました。
特に若手の落語家さんの仕事が増えたらしく、着替える間もなく着物姿のまま地下鉄を乗継ぎ、街中を走り回っておられました。

落語家さんは着物姿で落語をしますが、袴を履かず着流し姿のまま舞台に上がられる方が多いです。
日曜日の夕方にテレビ放送されている「笑点」でも、落語家さんたちは着流し姿で座布団に座り大喜利をしていますね。

異性の和装姿にドギマギ

女性なら、一年に一度は浴衣を着るって人も多いだろうと思います。
成人式では振り袖が定番だし、結婚式や披露宴にお呼ばれしたときも着物は選択肢に入りますよね。
さらに、ちょっと「よそ行き」のおしゃれ着として、お出かけ時に着物を着る人も増えているように思います。

それに比べると男性の着物・和服姿は、あまり目にすることが少ないように感じます。
和服姿って、女性より男性の方がレアなんですよね。

非日常感が肝?異性の着物姿にドキッ…

それが落語会へ行くと、落語家さんはもちろん着物姿。
さらに、お客さんの中でも、オシャレに着物を着こなす男性がチラホラいらっしゃいます。
一体どんな素性の方なのかと気になりますが、着物で出かける先があるっていいなぁと思いました。

洋服姿では気にならなかったのに、和装になった途端、異性の艶っぽさを発見してしまってドキッとすることもありました。
やはり着物が日本人の体にはぴったり合うのでしょうか。
それとも着物という「非日常」に時めいているのでしょうか。

着物への憧れと現実…

私自身も、浴衣や着物を着れるようになりたいと長いこと憧れ続けています。
しかし物心ついて以来、記憶にあるのは、幼いころ夏に浴衣を数度着せてもらったことと、卒業式と親戚の結婚式に振り袖を着たことくらい。

しかも、なんだか夏の浴衣も式典の振り袖も、「コスプレ」みたいに着てしまいました。
私が憧れるのはそうじゃない。
ちょっとしたお出かけの「よそ行き」のように、普段使い出来るようになりたかったのです。

なかなか実行できない理由は二つ。
・自分で着れない
・どこで着物を手に入れていいか分からない

コスプレでも着てみるべき?

それこそ、コスプレのようにとりあえず着てみたら、自ずとアンテナ感度もよくなって、情報も集まってくると思いはするのですが、段々年齢を重ねるにつれ「失敗できない……」と思いつめるようになりました……。
「若気の至り」で済むような年齢の内に、着たいものの袖を通しておけばよかったと思います。

実は、ロリータ衣装も着たいと望みながら「ダイエット成功したら……」「今はお金がないから……」と先延ばしにしている内に今に至ってしまいました。
未だに街で時折見かける、フリフリのとっても可愛いお洋服を着た女性を見かけると、憧れと羨ましさと、自分は実現できなかった悔しさと……フクザツな気持ちが心のなかをかき乱します……。

『振り袖&袴の大正ロマン着物帖』を読んだよ

『振り袖&袴の大正ロマン着物帖』では、アンティークの振り袖の着こなし術が紹介されていました。
私はもう、振り袖を着る機会はないだろうと思いますが、見ているだけで眼福。
巻末には、全国のアンティーク着物を扱った店舗リストがあったので、メモを取りました。

今はネットショッピングもできますが、私には着物について知識がないので、やはり最初は店舗に実際に足を伸ばすべきでしょう。
近いうちに、夢の着物ライフを実現したいものです。

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