とても難しい「動かない」お稽古

能楽師の方たちは「動かない」ということをお稽古で身につけてます。能を「静」の世界だと言われる所以かもしれません。能は演目によっては、出演者は30分とか1時間と長い時間、舞台に出ずっぱりで、その殆どの時間をじっと微動だにせずに静止しています。「動かない」ことで、反対に一挙手一投足の動き一つ一つが際立ちます。客席の私たちでさえ、その緊張感をピリピリを肌で感じ、独特の格調高い雰囲気を作っています。

「動かない」というのは、とても難しいことです。体中こわばらせたり、体に力を入れながら、長時間もじっとしていることは不可能です。能楽師の先生に極意を尋ねたことがあるのですが、返答は意外なものでした。
「どこにも力を入れていません。全身脱力しています。だから何時間でも同じ姿勢でいられますよ」
さらに、力んでしまって上手く動けない私に、
「そんなに力いっぱいすると疲れてしまいますよ。体中の力を抜いて、楽になりましょう」
とアドバイスくださいました。

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