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ハッカーにあなたは利用されている?『サイバー犯罪入門』

こんにちは。あさよるです。あさよるは自宅のネットワークを構築したいのですが、よくわからなくて頭を悩ませております。接続が不安定なのも困っていますし、セキュリティが弱いので、なんとかしたいのですが、なにがなんやらなのです。ちゃんと勉強しなきゃなあということで、とりあえず簡単に読めそうな『サイバー犯罪入門』を手に取りました。

本書はサイバー犯罪について啓蒙する内容で、読了後、あさよるもしっかり啓蒙されて「ネットワークのセキュリティちゃんと設定しなきゃ!」と焦り始めています(苦笑)。内容も、多くの人に理解できる文章で書かれており、「すでにもう被害に遭ってるかもしれない」サイバー犯罪につて意識を高める良書でした。

まず、本書ではサイバー犯罪を行う人々を「ブラックハッカー」とし、「ハッカー」と呼ぶとき、この「ブラックハッカー」を指しています。ここでも本書に倣ってサイバー犯罪を行う「ハッカー」と呼ぶことにします。

まずはサイバー犯罪への意識を

本書『サイバー犯罪入門』は、サイバー犯罪への対策を講じるものではありません。なぜなら、そんなことをしてもあっという間に情報は古くなり、「使えない情報」になるからです。そこで、本書は「サイバー犯罪への意識を高める」ことが目的とされています。

まず知っておくべきは、誰もがサイバー犯罪の標的になりえること。そして、残念ながら今の日本はサイバー犯罪の対策はとても万全とは言えません。2020年の東京オリンピックに向けて、東京の街では公衆Wi-Fiの設置が急がれているようですが、それはサイバー犯罪を企てる人々にとっても都合のよい整備になるかもしれません。

わからないまま報道するマスコミ

サイバー犯罪がテレビや新聞のニュースになることもありますが、マスコミもサイバー犯罪について熟知しているとはいいがたく、よくわからないまま報道しているのが現状です。

 多くの報道内容を確認していくなかで、プレスリリースをインターネット翻訳しただけのような、どの角度から読んでも全く理解できない文章を多々見かけることとなった。用語が混同されていたり、製品名とプロトコルの名称が混同されていたり……というのが主な要因だと思われるが、残念なことに、大手報道機関の文章にも、そういった誤りが散見されたのである。
だが、これも仕方ないと言えなくもない。というのも、もはや、単に「ITに詳しいだけ」ではサイバー犯罪やセキュリティについて読み解き、説明をしていくことは難しい、というのが実情だからだ。

p.27

例として、自動車のハッキングについて理解するためには、

自動車に関する基礎的な知識、自動車のIT化に関する知識に加え、ハッキングに関する知識やネットワークに関する知識なども総合的に必要となる。そのため、いずれかの領域の専門家であったとしても、全体像を正確に理解することは容易ではない。(p.27-28)

その事件について理解すること自体に時間がかかり、またそれを一般に向けてわかりやすく説明することは難題です。報道がサイバー犯罪について正しく扱いきれていないのも納得です。

盗まれていも気づかない!?

本書では紹介されているサイバー犯罪の例が紹介されているのですが、印象的なのは被害者たちは「サイバー犯罪に巻き込まれていることに気づかない」とうことです。

預金残高が1億円以上ある銀行口座から、3%を上限にこっそり抜き取る手口が紹介されていました。

日本円換算でおよそ1億円以上の預金残高がある銀行口座から、最大で3%(1億円の預金残高がある場合、300万円)ずつを上限に、こっそりと抜き取ってしまうという方法を取った。しかも被害者のブラウザには「抜き取られる前の残高」が表示されるようにハッカーが細工した偽画面が表示されるため、すぐには被害に遭ったことに気付けない。

p.46

「3%だけ」というのが巧妙で、何かの拍子に少しだけ残高が減っていることに気付いたとしても、「何かの手数料を差し引かれたのか」程度にしか考えず、発覚に時間がかかります。

また、「マルウェア」と呼ばれる、不正にコンピュータやシステムをハッキングするためのソフトウエアが、自分のパソコンに侵入していたとしても、なかなかそれに気付かないそうです。また、ハッキングの対象はパソコンやスマホのみならず、冷蔵庫や自動車、街中の監視カメラがハッキングされているかもしれません。

サイバー犯罪において日本はとても魅力的

サイバー犯罪はもはやSF映画の世界のではなく、スパイ映画さながらのハッキングが日常で起こっています。ある人にとってはそれは寝耳に水のような話であり、別の人にとってはもはや常識かもしれません。サイバー犯罪に対してのリテラシーには人によってかなりの差があります。

残念ながら、日本は国も大企業もとてもサイバー犯罪への対策ができているとは言えません。ハッカーたちは強固なシステムを狙いません。彼らは、どこか〈弱い〉ところを探し当て、弱点を突いてシステムに侵入します。日本はサイバー犯罪への対策が広まっていないため、弱点だらけということです。

たとえ大企業が、自分たちの持っている情報を守ろうと強固なセキュリティを作っても、その企業へ出入りする下請け企業のどこかに弱点があれば、そこからハッカーがシステムに侵入することも十分考えられます。

映画のような、建物を爆破したり、自動車をハッキングし遠隔操作することも、フィクションではなくなります。

「わたしは狙われない」はない。その理由

「ハッカーにとって日本は魅力的な市場である」と聞いても、「わたしのスマホorパソコンは大丈夫、だって大したデータが入ってないし」と考える人がいれば、それは間違いです。ハッカーは、あなたに興味がなくても、あなたの知り合いに興味があるかもしれません。あるいは、あなたの知り合いの知り合いの知り合いの……と、あなたを踏み台にして、他の人の情報を欲しがっていることがあります。

誰もが狙われる理由として「六次の隔たり(six Degrees Separation)」というものが紹介されていました。

「人は自分の知り合いを6人以上介すと、世界中の人々と間接的な知り合いになることができる」という仮説のことであり、知り合いの知り合いを6回たどれば世界中の人とつながることができるという。(中略)
試しに計算してみよう。
あなたの知り合い44人から、さらにそれぞれの知り合いの44人と言う具合にたどっていくことを数式に表すと「44人の6乗」となる。44人の6乗は、7,256,313,856人。すなわち世界の人口(国連による2013年の統計で約72億人)と同じくらいの人数がそこには存在することが分かる(ただしこの場合、理論上では、最初の44人と次の44人、そしてその先に繰り返している44人ずつはそれぞれが互いに重複してはならない)。
つまり、あなた自身が重要な情報を持っていなかったとしても、あなたの友人やそのまた友人を何人かたどってゆくことができれば、重要な情報を持った人物にたどり着ける可能性が極めて高いということだ。
もしあなたに情報的な「価値」がなかったとしても、あなたには「利用価値」があるのだ。

p.39-40

ハッカーはシステムの弱い部分から狙います。もしあなたが、サイバー犯罪へのリテラシーが極めて低いなら、ハッカーにとって「利用価値」があると判断されかねません。

正直、どうしていいかわからない……

本書『サイバー犯罪入門』を読んで、サイバー犯罪は他人事ではなく、自分も狙われるかもしれない……というか、すでに被害に遭っているのかもしれないと知り、冷や汗をかきました。何が恐ろしいって、「それを知ったところで、どう対策していいかわからない」というのが正直な感想だからです。

本書は先に述べたように、具体的な対策を指南するものではく、サイバー犯罪について啓蒙することが目的の本です。とても平易な表現を使い、多くの人が理解できる言葉や例を挙げながら、今、われわれが晒されているサイバー犯罪について紹介されています。セキュリティ、ハッキングについて右も左もわからない、全くの素人にとって、本書は良書でした。

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『高速回転仕事術』|「とりあえず最後までやってみよう」ガパワーになる

こんにちは。あさよるです。真面目に頑張っているつもりでも、自分の手には負えないような難題が目の前に現れると「もう嫌、できない!」と投げ出したい気持ちになります。実際に投げ出すこともあります(苦笑)。そういう時っていつも、「どこから手を付けていいのか分からない」「なにがわからないのかわかなない」気がします。

本書『高速回転仕事術』は、ピタッと手が止まってしまう人に向けて書かれた本です。「わからない」「できない」と思い詰めてしまうより先に、「ま、いっかい最後までやってみよう」と前進するためのパワーが詰め込まれています。といっても、別に難しいことじゃないし、しんどいことでもありません。「ま、とりまやってみるわ」でOK。停止せずに肩の力を抜いて動き続けましょう。

「とりあえずやってみる」仕事術

本書『高速回転仕事術』の内容を超ザックリ言っちゃうと〈「とりあえず最後までやってみる」仕事術〉と言ってもいいかもしれません。例えば読書をしていて、難しい内容でなにを書いてあるのか理解できないとき、まあとりあえずそのことは置いといて、「一度最後まで通して読んでみる」。人の話を聞くときは、相手の話にいちいちツッコむ前に「一度最後まで話を聞いてみる」。最初の一回は細部まで目が届かなくても、疑問があっても、「とりあえず最後までやってみる」こと。細部に気を配るのは二回目以降に回しちゃいましょう。それが「高速回転仕事術」です。

委縮して「どうしていいかわからない」人に

本書『高速回転仕事術』は、なんでも器用にこなしちゃえる人を読者として想定していません。本書では、細かなディテールやクオリティーが気になって「なかなか上手くいかないことが多い」と感じている人に向いています。最初から完璧に、細かいところまで気になる人は、仕事がどうしても「低速回転」になってしまいます。上手くいかないたびに手が止まってしまい、それが続けばモチベーションも維持しにくいためです。

もし「上手くやらなきゃ」って頑張っているのに、上手く成果につながらず、原因も不明ならば『高速回転仕事術』に一度目を通してみても良いでしょう。初回から上手くやる必要はないし、躓いたり疑問を抱えながら、少しずつ精度を上げてゆけばいいのです。そう思うと肩の荷が下りるようです。

大きくとらえて、俯瞰する

本書『高速回転仕事術』では、大雑把に全体図を捉えて、そこから細部を作り込んでゆくような思考を身につけることが指南されます。

アイデアを出すときは、最初から「それらしい」ものを提示しようとせず、荒唐無稽でも、つまらなくても、とりあえずどんどん案を出しまくります。アイデアは質より量です。アイデアマンはとんでもない数のアイデアを出す人です。量の中に、質の高いものが混じっているのですね。委縮せず、カッコつけず、まずは思いついたアイデアを出し切りましょう。

「他人の話を聞く」というのは、簡単なようでいてとても難しい。ほとんどの人は他人の話に十分に耳を傾けられません。部下や仲間の話を聞くとき、いちいち細かなツッコミを入れるよりも前に、「まず一通り最後まで花牛を聞いてみる」ことが推奨されています。相槌は「それでどうした?」「それはなぜ?」と、相手の話を次へ進めるものにします。小さな疑問があっても、まずは最後まで聞いて、話の全体像を捉えましょう。

本を読むのが苦手な人は、わからないことがあると、そこでお手上げ。読書が前へ進めなくなってしまいます。読書をどんどんする人ほど、多少わからないことがあっても、とりあえず最後まで読み切ります。そしてその本の全体像を捉えてから、細かな部分を読み込んでゆくのです。

小さな部分にこだわらず「大きくとらえる」「全体を俯瞰する」という視点を持つことが、仕事を高速回転させるコツなのです。

とりあえず身体を動かそう

本書『高速回転仕事術』を超大雑把に「とりあえずやってみる」と紹介しましたが、それはつまり「とりあえず体を動かしてみる」とも言い換えられます。頭で考えて、なにもできずに委縮するのではなく、とりあえずやってみるという〈行動〉を起こすことで、次のステップが見えてくるのです。反対に仕事が低速にしか回転しないのは、上手く行動に結びついていない状態とも言えるでしょう。

部下と円滑なコミュニケーションを持つために、部下一人ひとりのノートを用意して、各人のプロフィールでノートを埋め尽くしましょう。「良い関係を築きたい」を頭で考えていても、実際に行動に移すこと……ここでは「部下の人数分のノートを用意して、部下の情報を書き留めてゆく」という〈具体的な行動〉が伴わない限り、進展は難しいでしょう。

どんなに思い悩み続けるても、〈具体的に行動してみる〉には叶いません。また、最初の一発大成功することなんて滅多にありません。何度も失敗しながらトライアンドエラーをくり返し、精度が上がってゆくことを忘れてはならないでしょう。つまり、最初の一回は「高速回転」でやってしまい、次の行動に移るからこそ、次の結果につながります。

『高速回転仕事術』は、小さな失敗を恐れず、一回で完璧にやりとげようと思わず、まずは一回やってみることの重要性が説かれています。

苦手なことが多いなら

『太らない間食』挿絵イラスト

きっと本書『高速回転仕事術』は大きな励ましになるはずです。仕事が速い人も、別に最初っからなにもかも上手にやっているわけではありません。むしろ、最初は大雑把に、わからないことや疑問を抱えたまま、「とりあえず」やってみて、二回三回と繰り返しチャレンジすることで精度を上げているのです。「最初から上手にやらなくていい」と思ったら、気楽になりませんか?

「要領よく仕事ができる人が羨ましい」「頭を柔らかくしてアイデアを出したい」「質の高い仕事ができる人になりたい」と思いながら、具体的にどんな行動をして良いのか迷っている方がいたら、本書『高速回転仕事術』はオススメです。

あさよる的「とりあえず最後までやってみる」やり方

最後にめっちゃ個人的な「とりまやっておく」方法についてw あさよるは分からない本、難しい本は、最後のページから逆順に読むことがあります。「逆に読むんだから内容がわからなくて当然」ですから、「わからない」「難しい」「私ってバカなんじゃないか……」と落ち込みません。内容がわからないので、見出しと、図解やイラスト、ページの構成、本の構成に注目するしかありません。これが意外と、後々、その本の全体像を把握するときに役立ちます。

参考書や教科書も、わからなくてもとりあえず全てのページをめくり、すべての文字列に「目を通す」というところから始まります。最初の一回から理解しようという気はなく「まず全てに目を通す」ことが目的です。

理解は、三回四回と読み込んでゆく過程で理解度を上げてゆきます。「最初の一回からすべて理解しようとしない」ということは、「何度も同じことを繰り返すこと」です。逆に言うと「一回ですべて上手くやりたい」と考えていると、緊張し、委縮してしまい、「できない」「わからない」の沼にハマってしまうんだと思います。

「一回しかしない」から「何回もチャレンジする」に考え方が変われば、失敗が怖くなくなります。『高速回転仕事術』とは、失敗を恐れず、小さくまとまらず、大きな視点で、のびのびと仕事をする術のように思いました。

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『なくなりそうな世界のことば』|言葉のカケラが詰まった絵本

こんにちは。あさよるです。今日手に取った『なくなりそうな世界のことば』はラジオで紹介がなされていて気になっていました。難しい本かと思いきや絵本のような美しい本で、見ているだけでうっとりしてしまいます。

世界の中の小さな言葉の中に、その土地、その風土らしいカケラが詰まっているようです。本書は、見開き2ページに、イラストと、簡単な解説からなる、ポカポカお昼休みに一ページずつ味わって読めるような構成です。

言葉には文化がつまってる

本書『なくなりそうな世界のことば』は、世界のグローバル化の中で消えゆく言語を扱ったものです。

今、世界で最も多く話されているのは中国語普通話で9億人、英語は世界第3位で3億7000万人だそうです。これから言語を習得しようとするなら、どうせならより多くの人が使う言葉を勉強したいと思いますよね。すると、より多くの人とコミュニケーションが可能になるのですから。

一方で、そのような合理的な取捨選択によって「小さな」ことばが消えていっているそうです。本書『なくなりそうな世界のことば』で扱われる言語は1番多い「アヤクチョ・ケチュニア語」で90万人。一番少ない言語は「アイヌ語」で話者数は5人。一番最後に紹介される「大アンダマン混成語」は、最後の話者世代が21世紀に入ってから亡くなり、0になりました。

一度失われた言葉は二度と帰ってきません。

また、その「言葉」は、その文化、気候や風土に根ざしており、他の言語にうまく訳せないニュアンスのものもあります。グローバル化の中で、われわれは小さな、だけど大切なものを失っていることも自覚したうえで、今の時代を生きるべきなのかもしれません。

美しいイラストとことば

本書『なくなりそうな世界のことば』は、なんといっても西淑さんの美しいイラストが目印です。ひとつの単語と、その単語の説明は簡単になされるのみ。ことばが持っているニュアンスを理解するには、言語による説明のみならず、目で見てわかるイラストも力を発揮しています。

『なくなりそうな世界の言葉』イメージ画像

『なくなりそうな世界のことば』イメージ画像

なくなりそうな世界のことば | 吉岡 乾, 西 淑 |本 | 通販 | Amazon

絵本のようにパラパラとページをめくって、気になるページで手を止めて、世界のどこかの地域に思いをはせてみるのも楽しい読書です。言語の名前すらも聞いたことがなかったり、多くの地域は日本で生きるわれわれとは遠く隔たった場所だったりします。だけど、その土地に根差した言葉を一つ知ると、少しだけ近くなった気がします。

「小さな旅」というには小さすぎる旅だけれど、ページをめくるだけでどこか遠いところへ思いをはせられる読書の作用がつまったステキな本でした。

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『人間は9タイプ』|みんなの長所・弱みがわかったら

こんにちは。あさよるです。人と仲良くやるのは苦手なので、こうやって毎日ブログをコソコソと交信するのは楽しくやってるのが性に合っており、一人楽しんでいます。だけど、違う人から見れば、「群れから外れて孤独にブログを更新している」と解釈されて「かわいそうに」と憐れまれてるのかもしれません(苦笑)。現に、「みんなと仲良くしたいのにできない人」「本当は目立ちたいのに目立てない人」と解釈され、苦心した経験があります(;’∀’)

今回手に取った『人間は9タイプ』では、人とのすれ違いや、人間関係のコジれの原因になってそうな項目が見つかる読書でした。たぶん自分の価値観や、自分の好き嫌いを他人にも当てはめて考えちゃうせいで齟齬が出て、そこからどんどん関係性が綻んでゆくのかなあなんて。

9タイプの取扱説明書

本書『人間は9タイプ』の著者は「ビリギャル」がヒットした坪井信貴さんです。坪井さんは「坪井塾」という塾を主催されており、起業家としての顔も持っておられます。

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話[文庫特別版] (角川文庫)

今回紹介する「人間は9タイプ」は仕事編。仕事での得意不得意や、人間関係をスムーズにするコツが紹介されています。企業家サイド本ですね。同じタイトルの子育て編もあります。

人間は9タイプ 子どもとあなたの伸ばし方説明書

こちらは塾の先生として、子どもたちと関わるからこその本ですね。

まずは〈9タイプ診断テスト〉でタイプ分け

本書は人間を「完璧主義者」「献身家」「達成者」「芸術家」「研究者」「堅実家」「楽天家」「統率者」「調停者」の9つのタイプ分けをし、各タイプごとの特徴、向き不向き、好きな仕事、接し方などが紹介されています。ということで、とにもかくにもまずは「タイプ分け」をしないと始まりません。本書の巻頭に診断テストが添付されているのですが、ネットで簡単にテストができるので、そっちをオススメします。

子育て編とあわせた特設サイトはこちら↓。

自分自身がテストを受けるのはもちろんですが、周りの人にも診断を受けてもらいましょう。診断を受けるのを嫌がる人は、とりあえず「芸術家タイプ」にしておくように書かれていました。

人間関係を円滑に

本書『人間は9タイプ』では、自分のタイプを判明することで自分自身の特性に気づくだけでなく、周りの人との関係性を円滑にするために使われます。「完璧主義者」「献身家」「達成者」「芸術家」「研究者」「堅実家」「楽天家」「統率者」「調停者」の各タイプを、以下の13項目を見てゆきます。

  • プラス面と弱点
  • これをすごく嫌う!
  • 向かない・したがらない行動
  • リーダーになったら……
  • 部下になったら……
  • このタイプの上司から信頼されるためには……
  • このタイプの部下から信頼されるためには……
  • このタイプの会社の仲間(同性)と親密になる法
  • このタイプの会社の仲間(異性)と親密になる法
  • このタイプの取引先から信頼を得るには……
  • このタイプと仕事をする際に気をつけると良い点
  • “自分の取扱説明書”
  • 恋愛体質になる自分の変え方

職場の特定のタイプさんとの付き合い方や、取引先とのやりとり、そして自分自身の取扱説明書と大きく3つの要素に分かれています。

あさよるの場合……

ちなみに診断の結果、あさよるは「研究者タイプ」でした。

研究者タイプは合理的に仕事を進め、データ分析する能力などが高い。冷静で、他人の失敗を責めません。一方で、進行中の作業を他人の都合で中断させられるのを嫌います。自分の趣味をバカにされるのも嫌です。他のメンバーと歩調を合わせて動くのを面倒がり、「みんな」の前で上手くやれません。研究者タイプがリーダーになったら、感情や情緒よりもデータをもとにして合理的に動きます。部下に仕事を任せることができます。

研究者が部下なると、得意なことに集中し、不得意なことをは諦めが早いです。チームプレーが苦手。研究者タイプの部下から信頼されるには、彼の「強み」を活かしましょう。チームではなく個人で働ける仕事を割り振り、説明は論理的に行いましょう。一つの仕事に専念できる環境を提供しましょう。

研究者タイプの上司に信頼されるには、ホウレンソウは一度にまとめて行う。電話よりメールやメモを使う。スピーチをお願いしない。大げさにほめず、たまに信頼していることを伝えましょう。

研究者タイプと親密になるには、同性の場合、パーソナルスペースに入るには時間をかけて、プライベートな詮索はしません。相手が異性の場合は、距離を置かれていても他の人と同じように接し、相手が面倒くさそうにしていても、週に1、2度程度は仲間として行動するように伝えましょう。

研究者タイプの取引先から信頼を得るには、適度な距離を取り、話しは完結に。下世話な話はしない。

研究者タイプと仕事をするときは、得意な分野を認めて、認めていることをさりげなく伝えます。仕事を指示するときは、いくつかの選択肢を与えておくと勝手にやります。研究者タイプの部下はおべっかを使わないので、上司の自尊心を傷つけてくることがあります。研究者タイプは本人の興味さえ向けば、勝手にどんどんやってくれて楽です。「感情に左右されて動けない」という面倒なことも起こりません。人間関係のトラブルは大概、感情のぶつかり合いですが、研究者タイプではそのような衝突が起こりません。

研究者タイプの自分の取扱説明書としては、「みんなですること」よりも「一人で好きなことをする」方が喜びを感じます。ストレスになるのは「対人関係」。一度にたくさんの人と付き合ったり、カリキュラムがみっちり詰まっているとしんどくなるので、きちんと「ノー」と伝えましょう。職場では自分のスケジュールや「作業中」であることを周囲に知らせておく工夫を。孤立しがちの研究者タイプは、上司に「統率者タイプ」を持つと案外うまくいったりします。ズケズケと要求をしてきて、押しの強い上司や先輩は意外と「ハマる」でしょう。

研究者タイプは恋愛にあまり興味がありません。ですから、研究者タイプは自分の人生のスケジュールを逆算して考え、行動してゆくのが良いでしょう。定年の頃に5歳の孫がいる、そのためには自分が何歳の時、子どもを持つんだろう、という具合に。将来設計を逆算して「かなり前倒しに考えなくちゃ」と気づくと、アクションが早いのも研究者タイプの特徴です。

自分の長所・弱みを知る

あさよるの場合「研究者タイプ」の特徴を見ますに、肯定的に書いてくださっていますが、自分の弱点も見えてきます。「感情を優先しない」というのは、ポジティブに働くこともあるでしょうが、人間関係の中では欠点になる方が多いのではないかと思います(;’∀’)> また、一つのことに集中できる、得意なことにはのめり込めるというのも、逆に言えば、仕事が増えるとダメ、不得手なことができないわけですから、一長一短ですね。人間関係でも、本人は周囲と集団行動が嫌いで距離を置いていても、周りの人からすれば面倒くさい仲間になってしまうでしょうw

本書では各タイプを概ねポジティブな表現で書いてらっしゃいますが、逆に考えればそこが短所にもなるので、自分を客観視するには必要な目線でしょう。

人生は楽しいものだ!

本書は人間を9タイプにタイプわけをしますが、メッセージはみんなに共通しています。それは、人生は楽しく、ワクワクするものだ、ということ。

みなさんはこれまで、人生の先輩たちに「人生は甘くない」「社会に出ると苦しいことばかりだ」なんて脅されたことありませんか? その人にとって、社会は厳しく苦しいものだったのでしょう。だけど、世界にはいろんな生き方をしている人がたくさんいます。今の自分の生き方のみが存在するわけではありません。

著者の坪田さんが学習塾での経験で、「東大に行こうかな」と嘯く我が子に「東大なんか行けるわけないじゃないの」とツッコむ親御さんがいらっしゃるそうです。そこで坪井さんは「お母様は東大のご出身なんですか、東大の試験問題を解いたことがありますか」とマジレスをなさるそうです。そう、親も、やってもないのに「できない」と決めつけており、「親の自分ができないいから、この子もできないに決まっている」と思い込んでいます。

しかし、きちんと対策をして、その子に会った勉強法を指導すると、成績は伸びます。現に件の生徒さんは東大へ進学し、お母様も「あの子が東大に行けると思ってた」とスッカリご自身の言葉を忘れておられるほどだとか。

9タイプで向き不向きを知る

誰だって、自分に不向きなことを無理やりやらされていたら苦しいし、嫌だし、長続きもできないでしょう。本書『人気は9タイプ』では、自分の特性を知って、そして自分にぴったり合ったやり方を探す方が良いと言われているようです。また、人生の悩みのほとんどは「人間関係」の問題でしょう。周囲の人のタイプのことを知って、摩擦が減らされたら、ずいぶん生きやすくなりますよね。

自分の向き不向き、周りの人の性格を知れるだけでも、人生の「楽しい」「面白い」度数はグンと上がるでしょう~。

「できない」「どうせ無理」はナシ!

本書『人間は9タイプ』を読むと、人間には得意不得意、好き嫌いがあるだけであって最初っから「ムリ!」「できない!」ってのは考えなくてもいいんだと思いました。苦手なことや嫌いなことは、他の人に任せてもいいしね。一方で、得意なことは自分から引き受けるのも大事かもしれません。

あさよるは診断の結果「研究者タイプ」でしたが、一部納得しつつ、一部は「当てはまらないかも」と思いましたw 特に「感情よりも論理を優先する」というのは、あさよるとは程遠い気が……(苦笑)。あさよるは気性が激しく、いつも感情的にならないように細心の注意を払っていますが、それでも感情に任せて行動してしまいます。時間が経って、冷静になれば落ち着て判断できるんですけどね……ということで、なるべく決断は「先延ばし」にして、心を落ち着かせる時間が必要です。

しかし、頭の中では感情よりも理屈を優先してしまうのは、納得。そのせいで自分自信嫌な思いをすることもあるので、長所でもあり短所でもあるといった感じです。

得意なこと、傾向に特化せよ

学習塾の指導のお話で、試験対策は試験の出題傾向を知り、それに特化した勉強をせよと指南されていました。漫然と学校で習うすべての範囲を勉強するのではなく、目標設定して、それを達成するための戦略を立てるのです。あとは、各生徒のタイプを見極め、モチベーションを上げ、結果が出るように導くのが先生の役割です。

生まれながらの性質ではなく、戦略とモチベーションで得られる結果が変わるというのは、大人にとっても胸にとどめておくべき事柄でしょう。

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『仕掛学』|思わずやってしまう「良い仕掛け」をつくる

こんにちは。あさよるです。学生時代デザインを学んでいたんですが、社会人になってから新たに工学や生理学を学んだとき、これってデザインに必要な知識だったんだなあと気づきました。感覚的に仕事をするんじゃなく、意味があって、理由があって、言葉や図解で説明できることで、より頭の中がクリアになった気がします。

今日手に取った『仕掛学』は、デザインをやってる人ならよく見知っているデザインの成功例がたくさん紹介されています。しかし、本書はデザインからの視点ではなく、工学からのアプローチで「良い仕掛け」を紐解いてゆきます。

「仕掛学」とは

本書『仕掛学』では、「思わずしてしまう仕掛け」が多数集められ紹介されています。また、仕掛の分類がなされ、新たな仕掛けをつくる助けとなります。

「仕掛け」とはどのようなものなのか、例を挙げるとよくわります。例えば、

  • 男性用トイレに「的」をつけることで、汚れが防止される仕掛け
  • 子どものお片づけを促す仕掛けとしては、おもちゃ箱の上にバスケットゴールを設置して、ゴールにおもちゃを投げ入れると勝手に片づいてゆく仕掛け
  • エスカレーターより階段を使うように促す仕掛けでは、階段をピアノの鍵盤に見立て、白と黒の段を作り、踏むと音が鳴ります
  • ゴミ箱にゴミを入れると「ヒュー」っと物が落ちてゆく音が聞こえ、数秒後「ドーン」と地面へ落ちる仕掛け。「世界一深いゴミ箱」で動画検索してみてください。わざわざ周りのゴミを拾ってまで捨てに来る人がいたそうです

少しのアイデアを加えることで、人の行動を変えて、違う結果を引き出すデザインが「仕掛学」として紹介されているのです。

本書では「仕掛け」を3つの要素で定義しています。

本書では、問題解決につながる行動を誘うきっかけとなるもののうち、以下の3つの要件からなる「FAD要件」(それぞれの要件の英語の頭文字をつなげたもの)を全て満たすものを「仕掛け」と定義する。

・公平性(Fairness):誰も不利益を被らない。
・誘引性(Attractiveness):行動が誘われる。
・目的の二重性(Duality of purpose):仕掛ける側と仕掛けられる側の目的が異なる。

p.36-37

良い仕掛けと悪い仕掛けがあります。

「良い仕掛け」と「悪い仕掛け」の区別は簡単である。仕掛ける側と仕掛けられる側の双方の目的を知ったときに「素晴らしい、こりゃ一本取られた」と笑顔になるのが良い仕掛けであり、「だまされた、もう二度と引っかからないぞ」と不快にさせるのが悪い仕掛けである。

p.35

仕掛学では、良い仕掛けを目指します。ただし、良し悪しの境目は曖昧です。例えば商品の陳列を工夫して物を売る努力はどのお店でもなされていますが、消費者を騙して不利益を与えているわけではないし、不愉快にも感じません。

「仕掛け」の反応の強弱と、飽き

また、その仕掛けに対して、人の反応の強弱があります。それを使う人にって「得られる利便の大小」と「行動を変えるための手間・負担の大小」の兼ね合いで、仕掛けによって得られる結果が変わりません。

先の例ですと、トイレに的を作るのは、使う人の利便性は低いですが、行動する手間も小さい。階段をピアノにするアイデアは、使う人の負担の利便は小さく、負担もエレベーターを使うより大きい。

また、人々はそのうち仕掛けに飽きてしまいます。

「仕掛けもどき」に注意

地面に足跡を書くことで、人の行動を導く仕掛けはよく用いられます。しかし本書では、足跡の失敗例が紹介されていました。それは免許の更新で訪れた免許センターにて、足跡の位置で立って待つように指示されているのですが、みんなその足跡を踏みません。なぜなら、その足跡が紙に手書きされたもので、なとなく踏みつけるのに抵抗があったのかもしれません。

一見すると効果のある仕掛けのようでいて、仕掛けとして機能をしていない「仕掛けもどき」もあるので注意が必要です。

人工知能の研究から始まった

本書で「仕掛学」として取り上げられる事例は、デザインの勉強をした人なら馴染み深い例でしょう。本書の著者の松村真宏さんは人工知能の研究者であり、工学の視点から「仕掛け」が考察されています。

デザインの視点と「仕掛学」との違いは、「良い仕掛け」「悪い仕掛け」と、「良いデザイン」「悪いデザイン」の違いを見ればわかりやすいかもしれません。「良い/悪い仕掛け」は利用する人にとって利便があるか否かで分けられます。一方で「良い/悪いデザイン」はデザインをした人が狙った通りに人を行動させられるかが問われます。似ているようで、本質的に少し違います。

なぜ人工知能の研究から「仕掛け」へ?

著者は人工知能の研究から、日常空間にあふれている仕掛を集めているうちに「仕掛学」が生まれたと紹介されています。コンピュータはどんなに高性能でも、今、目の前にある事象をデータ化できない限り、扱うことができません。人間はデータがなくても鳥のさえずりや道端の花に気づきます。

必要なのはデータでもコンピュータでもなく、生活空間の魅力を魅力に気づかせる「仕掛け」である。

仕掛けは見えているのに見えていない、聞こえているのに聞いていない生活空間の魅力に気づかせるための仕組みである。仕掛けによって計算機で扱える世界の外、つまり日常の生活空間を研究対象にできるようになる。

p.11

コンピュータは目の前の事象を扱えませんが、人間は目の前の事象に「仕掛け」によって気づく仕組みを持っています。工学の視点から世界を観察し、人間の認知と行動を促す例を集めているうちに、その「仕掛け」が応用可能だと気付いたと経緯をまとめておられます。この経緯もデザインとは異なっています。

デザイン・人間工学を知りたい人に

本書『仕掛学』では「仕掛け」が分類され、それぞれの特徴について記述されていて、デザイン出身の あさよるにとっては興味深いものです。デザイナーとして仕事をしている方にも工学出身もいるし、あさよるも個人的に工学や人間工学についての本を読んだり勉強すると、「そのデザインのどこが優れているのか」と考えるとっかかりになって良いのです。

感覚的にデザインをしている人にとっても、こうやって良いデザインを分類して、それぞれを系統だてて考えることで、すでにあるデザインを認識しやすくなるし、また新しいデザインを考えるときの助けになるでしょう。

また、「良い仕掛け」「悪い仕掛け」の定義も面白いと思いました。人工知能の研究から始まっていますから、「物を売る」とか「指示を間違えない」ことではなく、使用する人にって「利便があるか」が重要なんですね。

軽く面白く読める内容で、「仕掛学」の研究テーマに触れられます。

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『QOLって何だろう』|命の質を自分で決める、そのために

こんにちは。あさよるです。あさよるはここ数年、断捨離・片づけに励んでいるのですが、「QOL」という言葉を知ってから、片づけがひとつ進むたびに「QOLが向上した!」と悦に浸るようになりました。あさよるにとっての「QOL」は、生活のクオリティー、気分よく、機嫌よく毎日を過ごすことでありました。

今回手に取った『QOLって何だろう』では、生活の質の話ではあるのですが、もっとシビアな「命」のお話です。生命倫理を一緒に考える内容です。

明快な答えが用意されているものではないので、読んだらモヤモヤとしてしまう読書になるかもしれません。だけどそのモヤモヤと向き合って生きることが、QOLを考えることにつながるんだと思います。

「幸せ」ってなんだろう

本書『QOLって何だろう』は、「幸せ」とはなんだろうかと考え込んでしまうものです。現代日本では、高度な医療に誰もがかかることができ、「人生100年時代」なんて言われるくらい長寿が叶っています。ヒトにとって、医療にかかれる、長生きができるとは、これ以上のない幸せが到来している時代だと言えるでしょう。

そこでわたしたしは「どう生きるのか」「幸せに生きるとは」と新たな課題に直面しています。本書『QOLって何だろう』は10代の若い方たち向けに、医療現場で直面する「命」や「幸せ」「意思」を問いかけるものです。若い世代ほど「老い」や「病」がまだ遠いものである方も多いでしょうから、なおさら大切な問いかけです。

「QOL」とは

「QOL」とは「Quality of Life」の略です。。

 Quality of Lifeは、その「よさ(質)」を問います。
「生命の質」と言えば、生きることの意味や価値が問われ、人間の生命の尊厳や、苦痛のない「いのちの状態」が問題となります。
「生活の質」と表現すれば、病気を抱えながらも、できるだけ普段通りの生活を送れることや、自立して生きられること(これは人間の幸福感の源です)を目指そうとし、「人生の質」と言えば、その人の「生きがい」、自分らしく生き切ること、自分の人生観に沿った生き方が実現できるかが注目されます。
つきつめれば、QOLは、そのいのちを生きる本人にとっての「幸福」や「満足」を意味しているのです。

p.9-10

「病気をしても、いつも通りに生活したい」「自分らしく生きたい」と願い、幸せに生きられる「質」の向上が求められています。「畳の上で死にたい」とか「最後は自宅で」と願う人は多いですし、延命治療をどこまで受け入れるのか、どこでやめるのかは、本人にも、また家族にとっても重大な決断になります。

同時に、医師や看護師、介護士らにとっても、クライアントのQOLは重大です。患者の願いを優先するのか、医療を施すべきなのか、悩みが生まれています。

医療の進歩が「QOL」をもたらした

かつて伝染病が蔓延し、たくさんの人々が死んでいった時代、個人のQOLよりも、患者の治療や隔離が重大でした。ことによってはパンデミックを引き起こし、国の存亡にまで関わることだからです。また、医療が十分に発達していなかった時代には、治療を受けることがリスクになることもありました。例えば麻酔がなかった時代や、抗生物質が発見される前の時代は、治療を受けない人もたくさんいました。

QOLは医療が十分に発達したことで、直ちに治療、隔離しなければ他の人の命にかかわるような環境から社会が脱したことによります。医療の進歩が、QOLの概念をもたらしたのです。

医療の進歩が「QOL」を難しくした

同時に、医療の進歩がQOLの判断を難しくしました。余命宣告をされ、手術により延命できるとき、それを受け入れるのか。認知症高齢者は、入院によって体力が落ち、寝たきりになることがあります。治療とにって食事が困難になるならば「おいしいものを食べたい」という欲求の、どちらを優先すべきなのか。

どれも答えのない問いです。本書ではたくさんの実例が紹介されています。

アメリカで起こった「リナーレス事件」では、生後7か月の子どもが風船を誤飲する事故を起こし、一命はとりとめますが、脳を損傷し自発呼吸ができず、意識も回復しないと告げれました。人工呼吸器につながれた息子を前に、父親は「息子の魂を自由にしてほしい」と人工呼吸器を外すよう頼みますが、医師は断ります。当時の考えでは、人工呼吸器を外すことは「殺人」に当たると考えられていたためです。8カ月ものあいだ父親は苦悩し、ある日ある決断をします。銃で医療者を脅し、誰も病室に近寄れないようにして、父親自らが人工呼吸器を外したのです。そして我が子を抱き、命が失われるのを確認してから、泣きながら自首をしました。

当時「延命治療がもたらした悲劇」として話題になったそうです。

本書ではこう考察されています。

 おそらく、彼は、息子のいのちが「生かされている」状況を見て、延命による生とQOLとのギャップを感じていたのではないでしょうか。それは、このような状態で生き続ける息子の「生命の質」は低いという、QOLの判断です。
その判断をもう少し抽象的にすれば、確かに生命は尊いけれど(息子の生命は自分にとってかけがえのないものだけれど)、その生命の状態によっては、生きるに値しない生命もあるということになります。

p.114-115

本来ならば、何が幸せで、何が活きるに値するかのQOLは、本人の意思によって決められるべきです。他の人が見て「あの人はQOLが低い」「あれは生きるに値しない」と決めることではありません。親であっても、我が子の命の判断をしても良いのでしょうか。

植物状態で意識もないと考えられていた人が、肉体が一切反応もなく動かないだけで、全くクリアに意識があった事例が話題になりました。その後、植物状態だと考えられていた人を検査しなおすと、同じような人がたくさん見つかったそうです。動かない肉体の中に、意識が閉じ込められた状態だったというわけ。タブレットを使って意思の疎通が取れるようになった人の話では、医師と家族とのやりとりなど、鮮明に覚えており、ずっと意識がハッキリとしていたといいます。

意識のない人や、QOLの判断ができない状態の人のQOLを、誰が決めるのかについて「生命倫理学」では統一見解がないそうです。

本人のQOL、家族のQOL

認知症で徘徊のある高齢者が骨折をしたとき、家族は「寝たきりのままでいい」と判断することも少なくないそうです。病気や怪我の本人のQOLのみならず、その人を介護する家族のQOLも絡んできます。

本書では羽田圭介さんの小説『スクラップ・アンド・ビルド』のエピソードが紹介されます。主人公は祖父が「自然死」を望んでいることから、祖父の身の回りの世話をなにもかも勝手出ます。祖父を「なにもしなくていい」状態に置き、体力を低下させ、判断力を失わせ、自然と死に導入させられると考えたからです。一方で、主人公の母は「皿は流しに持っていきなさい」「自分でなんでもやらなきゃ寝たきりになってしまうから」と、祖父に厳しく当たります。母には母の思いがあります。

祖父は自分のことを「早う死んだらよか」と言っていたのに、ある時お風呂場でバランスを崩し、主人公に助けられ「死ぬとこだった」と安堵します。その言葉を聞いて主人公はめまいを感じます。「早く死にたい」と望んでいた祖父が「死ぬとこだった」と言うからです。どちらが祖父の本音なのでしょうか? ……たぶんどちらも祖父の本音でしょう。

スクラップ・アンド・ビルド

また、家族も「自宅で自然死してほしい」と願っていても、同時に「少しでも長く生きてほしい」と願ってもいます。自宅で死を迎える準備をしていたのに、いざ親や配偶者が目の前で発作を起こすと救急車を呼んでしまう人も少なくないそうです。そして、「もう一回話がしたい」と、「もう一回」を望むのです。

若い世代には馴染みのない話題をやさしく

本書『QOLって何だろう』は、ちくまプリマ―新書で、10代の人でも読めるように構成されています。副題に「医療ケアの生命倫理」と謳われていますが、若い人ほどまだ「病気」や「老い」に縁遠い人も多いでしょうから、多くの事例や例を挙げて紹介されています。

2016年の相模原障害者施設殺傷事件では、事件が海外でも報道されました。

 私はこの事件について新聞の取材を受けた際に、記者の方といろいろとお話したのですが、そのとき、つくづく感じたのは、この事件に対する、海外の反響と日本のそれとの大きな違いでした。
欧米では、優生思想に対して、世論がとても敏感に反応します。今回の事件でも、米国ホワイトハウスやローマ教皇は、すぐに声明を出しました。
ローマ教皇・フランシスコは、同日、事件で人命が失われたことに「悲嘆」を表明し、「困難なときにおける癒し」を祈り、日本における和解と平和を祈願していました。ホワイトハウスでも、プライス報道官は「相模原で起きた憎むべき攻撃で愛する人を殺害されたご家族に、米国は最も深い哀悼の意を表する」という声明を発表しました。
しかし、日本では、障害者がターゲットにされた事件だということに対して、国民の当事者意識が低いように感じられます。精神的に問題のある一人の男性が起こした凶悪事件という認識にとどまり、彼に「障害者はいなくなればいい」と言わしめてしまった社会のあり方や、いのちの尊厳について、根本から問い直すという問題意識が、希薄なのではないかと思えてなりませんでした。

p.16-17

日本は高齢社会ですから、これからますます「どう生きるか」「どう死ぬか」「幸せとはなにか」に社会は直面するでしょう。にもかかわらず、一般にはまだQOLの考え方は広まりきっていないですし、「命は誰が決めるのか」と議論する土壌すらまだないのかもしれません。

本書は、若い世代へ向けた生命倫理について問いかけるもので、明確な「答え」は存在しません。本人の意思だけでなく、苦悩する家族や医療者にも共感してしまい、答えが見つけられない人も多いでしょう。

幸せは自分で決める

あさよるは昔、路上で気分が悪くなって救急搬送されたことがあります(;’∀’)> その時に始めて「救急車の乗り心地は悪いんだなあ」と知り、カーテンで仕切られた処置室の天井を眺めながら「ここで死ぬのは嫌だなあ」としみじみ思いました。「最期のときは自宅で」と望む人がたくさんいる理由を痛感したのでした(ちなみに、今はもう元気っす)。

誰も病気になりたくないし、怪我や事故に遭いたくはない。叶うならどうか、静かに自宅で家族と一緒に居たいと願うのはおかしなことではありません。だけど、病や事故は突然やってくるもので、願いが叶わない人もいます。

今回、記事中ではかなりギリギリな例を挙げましたが、誰もがいつか最期の瞬間を迎えます。その時自分は「どう生きるのか」「どう死ぬのか」「何が幸せなのか」と考えることは、悪いことではないでしょう。

しかし、自分で選択するとはつまり、責任は自分が持つということでもあります。これまでのように「医師にお任せ」ではなく、自分の意識を持つことが迫られているとも言えます。自分の命の行く末を家族に決めさせるのも、それはそれで酷な話だろうと思います。やっぱり、自分でよく考えて、自分でよく調べて、家族に話しておくべきことじゃないかと思いました。本書はその助けとなる、最初の一冊になるでしょう。

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つまらない人に一直線?『40代を後悔しない50のリスト』

こんにちは。そろそろ30代半ばに差し掛かる あさよるです。30代って、家族がいたり子育て中だったり独身だったり、立ち場がみんなそれぞれ違う年代だなあなんて思っていたのですが、本書『40代を後悔しない50のリスト』によると、20代30代よりも、40代こそが、その後の自分を決定する変化の年代だと言います。

本書『40代を後悔しない50のリスト』は、これから40代を迎える30代後半から、40代にかけての人たち向けの本と言えます。多くの先輩たちが「40代でああしとけばよかったなあ」という後悔から学びましょう。

先輩に聞いた「後悔してること」

本書『40代を後悔しない50のリスト』は、著者の大塚寿さんが営業先の企業の経営者や管理職の人との雑談のなかで「成功のお手本」を聞き出そうと、1万人以上の人から教えを乞うた経験が元になっています。最初の動機は「成功談」を聞くことですが、それ以上に「失敗談」が面白いことに気づき、また年配経営者の多くが「40代を後悔している」ことを発見しました。

40代の10年間をどう過ごすかによって、その後の人生の「分かれ道」になっているというのです。この10年間に「つまらない人」になってしまっているそう。

40代で「つまらない人」化する理由

多くの人にとって、40代は転機が訪れる頃です。子育てが一段落して妻が再就職をして夫婦関係や、子育てが新たなステージに移行します。未婚の場合は、出産の限界年齢を意識をします。出世の限界を感じるのもこのころです。また「親の介護」という問題も見えてきます。地方出身者ほど切実です。

40代は社会の中の稼ぎ頭で、自分の裁量で決められることが増え、一番脂の乗った時期でもあります。

 二〇代や三〇代はいい意味で成長過程なので、いくらでもやり直しが利きますし、まわりもそうしたトライアル・アンド・エラーを期待しています。
しかし四〇代は、関わる世界、守るべき世界が広がり、すでに積み上がった歴史や実績の上での局面となるので、そのときの対応次第で、仕事でも家庭でも、その後の人生を大きく左右する決断を迫られていることになるのです。判断すべきことが、二〇代や三〇代より広範囲にわたってるともいえるでしょう。

p.16

ライフステージの変化と、責任が大きくなることが合わさって、「守り」に入ってしまい「つまらない人」化してしまう人が多いのが40代だそうです。

人生のイニシアチブをとる

本書『40代を後悔しない50のリスト』では、人生の先輩の失敗談から、40代でやるべき50の事柄がリストアップされています。それらは「何より大切にしたいこと」「プレイングマネージャーとして本当に必要なこと」「忙しいだけで終わらせない時間の使い方」「人付き合い」「学ぶこと」「会社や社会と向き合い続けること」と5つの5に分けて紹介されます。

どの項目にも共通しているのは「人生のイニチアチブは自分で取る」ということでしょう。

例えば飲み会ひとつ取っても、意外にも「飲み会を断ればよかった」と後悔している人が大勢いるそうです。能動的に参加する/しないと自分で決める必要があります。

家族との時間をもっと持てばよかったと後悔している人も大勢います。時間を有効に使えず、週末はダラダラと過ごしたことを後悔しているそうです。40代は変化の時期だからこそタイムマネジメントに気を配るべきなのかもしれません。

「人付き合い」は人間の永遠のテーマでしょうが、40代は立場がより複雑になります。「上司として」もっと良い対応をすればよかったというものや、年下との関係を良好にしたかったと後悔する人がいます。また「会社」「仕事」という枠だけでなく、地域社会とのつながりを持てばよかったと考えている人も大勢います。

金銭的な問題では「副業」を持っておけばよかったというのが切実です。本書では「月7万円くらいの収入」があれば……と紹介されています。

また変化の多い時期だけに「学ぶこと」も増えるのが四〇代ですが、同時に働き盛りで多忙でもあります。「介護のことを学んでおけばよかった」や「教養を深めておけば」「もっと本が読みたかった」と後悔する人が多いようです。

若い世代も、将来の計画に

あさよるは今30代半ばですので、本書『40代を後悔しない50のリスト』に書かれていることは、まさに今から用意をすべき内容です。著者の大塚寿さんも多くの方にインタビューをした経験によって、40代になる直前で意識を大きく変えるようになったそうです。

20代30代は「まだ若い」こともあり、人生はいかようにもできる年齢なのかもしれません。そして40代は、腰を落ち着けて、自分の人生を自分で動かしていく頃合いなのかも。子育て世帯では、自分のことだけでなく、夫婦と子どものことも考え、さらに親の介護も頭を過る頃……これは多忙ですね。

社会の中の稼ぎ頭でもある世代なので、大きな働きができる世代でもあります。今30代の人に、来るべき近未来のための読書としてオススメです。

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『スマホ断食』|落ち着け!人とつながりすぎネット時代

『スマホ断食』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。あさよる家には中学生の頃Windows95がやってきて、高校生の頃から24時間ブロードバンドで常時ネット接続されるようになりました。10代の頃、朝まで友だちとチャットしてそのまま合流して遊びに繰り出したりね。ということで、あさよるは「ネット依存症」だと言われたらNOとは言えないでしょう。けど、ピークは越えていて、近場に出かけるときはモバイル端末を一切持っていないことの方が多いです。

スマホの登場によって、文字通り24時間ネットにつながりっぱなし、人とつながりっぱなしになった人も多いでしょう。寝る直前までLINEして、お布団の中でYouTubeを見て、朝一SNSチェックして。今日読んだ『スマホ断食』は、もはや当たり前になった習慣から、たまには脱却してみようとの誘いです。一人の時間、自分の思考に浸って、物思いにふける時間を取り戻しましょう。

「物思いにふける時間」を

本書『スマホ断食』は、スマホやパソコンから離れ〈ネット断ち〉の必要性を説く内容です。著者の藤原智美さんご自身が正月の三が日、パソコン、ケータイ、テレビ、ラジオもシャットアウトし、活字情報のみに触れる時間を作ったことで、「情報漬け」生活から距離を置きます。そこから、情報断ちを月に1回2回と増やしてゆき、とめどもないネット依存状態から脱した経験から始まります。

藤原智美さんは作家ですから、もちろんパソコンもネットも必需品です。しかし、そのパソコンやネットによって集中力が阻害されることにも触れられています。本書も決してスマホやネットを否定しているものではありませんが、「道具に使われている」状態を自覚し、脱出する重要性が紹介されています。

枕元にスマホを置いて眠るわたしたちは、24時間人とつながりっぱなしで「一人の時間」を失ってしまいました。現代の若い人は、スマホと一人部屋のいずれが欲しいか尋ねると、スマホを選ぶそうです。今の大人世代は、かつて「一人の時間」を過ごした経験を思い出してみてください。その時間は、自分の物思いにふけったり、ボーっとしたり、何かに集中したり、自分の思いを吐き出したり、なにかしらかの時間だったはずです。

時々思い出しては「一人の時間」を持つことは、意味がある活動ではないでしょうか。本書では、ネット依存によって起こっている弊害が紹介されています。

人とつながりすぎ時代

スマホを手にしたわたしたちは、24時間ネットにつながっています。スマホを操作する時間はケータイ時代の2倍になっているそうです。そして、その時間の多くはTwitterやFacebookのSNS、LINEなどに費やされます。それらは、単に暇つぶしではなく「向こう側に人がいる」のです。そう、現代は「人とつながりっぱなし時代」なのです。

そして、単に個人と個人がつながっているだけじゃない。情報に翻弄され、なにがなんだかわからなく、自我を失っていると言っても言い過ぎじゃないかも。

祭り・炎上に翻弄される

今やネット発の祭り・炎上がテレビや新聞等メディアをにぎわします。もうマスコミもネットを無視できないし、抑え込むこともできません。

今(2018年5月)アイドルタレントのわいせつ事件から派生して、セクハラ・パワハラの話題でタイムラインは持ちきりです。先月の4月には相撲の土俵の上で倒れた舞鶴市長に救命処置をした女性を、土俵から降りるようアナウンスしたことが炎上していました。その前にはFacebookの個人情報の取り扱いや、なにより今年は冬季オリンピックの年でした。遥か昔の話のようで忘れていた……。

あまりにも目まぐるしくトレンドが移り変わり、その都度なにがあったのかよくわからないまま、なんとなくの雰囲気に自分の気分も動かされています。その炎上や祭りの勢いを誰もコントロールできていませんし、「結局のところなんだったの?」ってことが多すぎます。

例えば「STAP細胞」の話題は、正直、多くの一般人は専門知識なんて持っていないし「結局あれはなんだったのか」分かってないんじゃないでしょうか。STAP細胞の騒動も、件の論文について指摘したのは専門のネットニュースサイトだったそうです。そこから、あれよあれよと一挙に大事件となり、亡くなった方もいましたが、多くの人には「結局あれはなんだったのか」わらかないまま。

また、2020年の東京オリンピックのロゴの盗作疑惑で賑わったこともありました。で、「あれは結局なんだったのか」って感じの人も多いんじゃないでしょうか。芋づる式に他の盗作を指摘する画像もネットで持て囃され、テレビでも放送されていました。

「自分の考え」を持つ時間がない

各話題の良し悪しの話は本題ではありません。ここで重要なのはトレンドに翻弄されることによる弊害です。結局なんなのかよくわからないニュースが多く、理解しないまま次々とトレンドが移ろってゆき、「自分の考え」を持つ時間なんてありません。「本当はなにがあったのか」を知る時間も、考える時間もありませんから、反射的に「快不快」や「好き嫌い」しか持てません。

いじめ自殺があると、いじめた生徒やその家族の名前、担任教諭の名前などが探り出され公開されます。そのとき「同姓同名の別人」がとばっちりでバッシングに遭うこともあります。少し考えれば「別人かも」という可能性が多いにあると分かりますが、もはや「祭り」になっている状態を誰もコントロールできません。

「いいね!」のために行動してしまう

SNSにどっぷり浸っていると、TwitterやFacebookで「いいね」されるための行動をとり始めます。「インスタ映え」はもはや伝統芸のようになり、加工された写真映えするかしないかで消費の動向が変わります。

市民マラソンがブームになってしばらく経ちますが、かつて「孤独」だったマラソンも、今や「SNSに投稿するため」にコスプレランナーも目立ちます。コスプレといえば、ハロウィンもいつの間にか定番のお祭りになっています。

出会った景色や出来事は「いいね」されるか否かで判断し、写真を撮って投稿して終わり。そのため、一瞬一瞬の風景や心模様に焦点を合わし「感じる」「考える」機会が減っているのかもしれません。

ネットネイティブ時代

すでにインターネットが普及したあとに生まれた「ネットネイティブ世代」は社会人になり始めています。彼らに見えている世界は、ネット以前の世代とは全く違うでしょう。そして、ネット以前に生まれた世代ですら、ネットの情報、SNSの人とのつながりにより翻弄され、かつて「ネットがなかった時代」とは全く違う時間を過ごしています。

新しい感覚と、従来の教育

ネットネイティブ世代にレポートを書かせると、平然とコピペでパッチワークされた文章を提出するそうです。それが彼らの「普通」なんですね。「著作権」という概念を持っていないかのようで、ネット上にある情報は無料で勝手に使っていいと考えているようにさえ見えます。

学校教育でもタブレットが導入されたり、黒板の代わりにタッチパネルのスクリーンが導入されている学校もあるそうです。事前に用意されたデータを映し出して授業は進みます。「黒板に注目」という決まり文句もそのうちなくなるのかもしれません。そんな教育では、そもそも「学校」自体が不要になるのかもしれません。実際に「MOOC」と呼ばれる、インターネットを使った教育も世界に普及しています。

一方で、アナログな授業を頑張っている先生もいるようです。小学生に辞書をひかせ、漢字をたくさん覚え、アナログの本で調べることを徹底して教え込んでいるのです。その教育を受けた子どもたちは、中学生になっても机の上にアナログの資料を並べ、自分で調べながら勉強することに抵抗がないようです。

人格がビックデータに集約されて……いいの?

ショッピングしてポイントカードを提示すれば、ポイントがどんどん溜まってラッキー! ……だと思っていますか? 企業はポイントカードで個人と買い物の傾向をひも付けし、よりピンポイントにセールスを行うために情報を集めています。ネットで買い物すればその買い物の傾向から、表示される広告が変わります。

自分という人格ではなく、自分が情報化されているようです。

著者の藤原智美さんは「智美」という名前の男性です。通っているフィットネスクラブで会員カードを提示すると、女性用のロッカーキーを渡されることが二回や三回じゃないそうです。目の前の男性からカードを受け取ったのに、パソコン画面に映される「智美」という名前だけで女性だと判断されているようです。

すでに、生身の肉体や人格よりも、情報・データの方が大きな意味を持つ時代は来ているのかも。

『スマホ断食』挿絵イラスト

みんな、おちつけ!

芸能人の不倫とかLINE流出とかセクハラとかブログ炎上とか、もう、とりあえず落ち着け! 実際に、当事者間で何があったのかなんて到底わたしたちにはわからないんです。芸能人のスキャンダルや下世話な話がオモシロイのはよーくわかりますが、冷静に考えてみると、これってとても恐ろしいことかもしれません。

そりゃ、芸能人のスキャンダルは「見世物見物」かもしれませんが、日々炎上している話題の中には、わたしたちと同じ〈一般人〉も多くいます。別に有名人でもタレント志望でもない人が、あるとき、ある瞬間に「見世物」にされるって、恐ろしくないっすか? 当人に過失もなく、事実とは違う言説が拡散されちゃうこともあります。そして、誤報は一気に拡散されるのに、訂正はあまり拡散されないというジレンマもあります。

まあ、とりあえず落ち着け! ちょっと深呼吸して、スマホとパソコンの電源を落として、まずは「落ち着く時間」を。そして「ゆっくり、自分の頭で考える時間」を。時にはアナログの紙の情報を集める習慣も。『スマホ断食』は、誰もがネット依存症の時代だから、意識的に取り入れてもよい習慣です。

ネットネイティブ世代が知ってること

あさよるの個人的な考えでは、ともあれ「ネットネイティブ世代」の言動は、これからの新しい時代の常識なんだろうと思います。ネット上にある情報をまるで著作権フリーであるかのような振る舞いも、昭和世代の あさよるには理解しがたい一方で、インターネットの世界は今後そんな世界を目指すのかもしれません。

また、教育のあり方が変わり、学校が不要になるんじゃないかというのも、半分はそうだろうと思い、半分はそんなことはないと思います。確かに、学習はインターネットを使って遠隔で可能だし、ニーズもあるし、今後も増えるだろうと思います。しかし「教育」とは、別に読み書きそろばんを教えるだけじゃなく、「○○らしい行動」や「こんなときどうする」といった、思想や立ち振る舞いを教える場でもあります。それが良いのか悪いのかわかりませんが、「学校教育がなくなる」というのは、ホントにあるのかな? と訝しむ。

あさよるも若い頃は、もっと的確にリアルな「今」を感じていましたが、もう年を取ってしまって「常識」が邪魔をして今が見えません。インターネットは、かつてなら接点のなかったような若い人の話を知ることができるのが、最大の利点だろうと思います。

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『図解でわかる!ファシリテーション』|新人君も!会議の交通整理

『図解でわかる!ファシリテーション』挿絵イラスト

こんにちは。「ファシリテーション」の意味がよくわかってなかった あさよるです。知人でも「ファシリテーター」という肩書を持っている人がいたり、言葉は知っていましたが、意味を理解していなかった! 簡単に言えば、話し合いの交通整理役って感じの認識で良いだろうか……。

あさよるは話し合いの場でも自分の話を通そうとしてしまうことがあり、後から思い出して恥ずかしくなるから「ファシリテーション」の能力が身につけたいなあと思った。

充実した会議を自分がつくる!

本書『図解でわかる!ファシリテーション』は、会議をより充実したものにすべく、個人が取り組める改善点を教えるものです。それが「ファシリテーション」能力。

ファシリテーションとは、

会議、ミーティング等の場で、発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、組織や参加者の活性化、協働を促進させるリーダーの持つ能力の1つ。

ファシリテーション – Wikipedia

会議の交通整理係みたいな感じでしょうか。みんなが活発に発言したり、面白いアイデアを引き出したり、会議の目的を見失わず、充実した時間を作るために努めます。

本書のポイントは、大概の会議室に設置されているホワイトボードを用いて、誰もがファシリテーション役を買って出られると紹介していることでしょう。本書では、新人の「田中くん」が目的のハッキリしない会議をなんとかしようと、意を決して「ホワイトボードに書き出してもいいですか?」と申し出る様子が紹介されます。

ファシリテーション役は、場の仕切り役でもないし、司会ともちょっと違う。自分の意見を押し通すワケでもないから、新人でも買って出られるんですね。

会議の交通整理役が登場したことで、会議が盛り上がり、楽しくアイデアを出し合い、その記録がホワイトボードに残されていきます。会議が終わったらホワイトボードを写メって、それぞれの部署へ会議の結果を持ち帰ります。会議は終わった後「報告することがある」と充実感を得られます。

退屈な会議から、楽しくて生産性のある会議に変身させられる「ファシリテーション」の技術を身につけましょう。

ホワイトボードを駆使する!

本書『図解でわかる!ファシリテーション』ではホワイトボードを駆使したファシリテーションの方法が紹介されています。ホワイトボードは大体の会議室に設置されているでしょうし、有効に使わないワケはありません。

本書は「図解でわかる!」とある通り、具体的にホワイトボードにどのように書き込んでくのかも図で紹介されています。まず、会議が始まる直前にホワイトボードに会議のテーマと、その日の会議の流れを書いておきましょう。例えば「お客様クレーム→理想の対応→今後の課題」なんて風に。

あくまで会議を充実させるためのホワイトボードですから、助手を頼んだり、みんなで立ち上がってどんどんホワイトボードに書き込んでゆく形式も良いでしょう。より活発に会議が進むよう、机やいすの配置まで工夫することもできます。退屈で形式だけの会議ではなく、楽しくて良いアイデアがどんどん飛び出す雰囲気づくりに努めましょう。

会議のタイムスケジュールを用意したり、違う意見の人や部署が歩み寄れる「余地」を用意するのもファシリテーターの役割です。ホワイトボードの右と左に違う意見を書き、真ん中に空白を残しておきます。この空白が歩み寄りの余地なのです。「お互いに歩み寄る」という抽象的な事柄が、ホワイトボード上で「見える」のはとても良いですね。

『図解でわかる!ファシリテーション』挿絵イラスト

読書とノートをつける習慣のない人へ

本書では、見開き左のページに文章、右のページが図解で、図解やイラスト満載の本です。パッと直感的に見て理解できる内容です。読書習慣がない人や、ノートをつける習慣のない人にオススメです。

特に、人の話を構造的に文章に書き起こしていくのには、訓練が必要です。本書のホワイトボードを使うワザも、慣れが必要でしょうが、具体的に図解されているので、真似をしながら進めるのが良いでしょう。

周りの人への気配りも忘れずに

本書『図解でわかる!ファシリテーション』では、会議での「振る舞い」についても触れられています。まず、本書では新人の「田中くん」がファシリテーターに名乗り出るところから始まるので、先輩や上司の顔を立てなが

「すみません。会議を見えやすくするために、ちょっとホワイトボードを使ってもいいでしょうか?」(p.9)

と発言するところから始まります。

声の大きい人の発言だけが採用されたり、最後にウヤムヤに結論付ける人の意見に偏ってはいけません。みんなの意見を引き出せるように「あなたの意見を聞いていますよ」というアピールも大事です。また、「アイツ何様?」「しゃしゃり出やがって」「仕切りたがりめ」と疎まれてもいけませんから、謙虚な姿勢が大事です。

会議の盛り上がりのための「演出」も大切です。採用された事柄に○、不採用に×とつけたり、文字の大きさや、声の抑揚をつけて、メリハリをつけましょう。クイズ形式にするのも盛り上がるかもしれません。

また、何気に大事なのが「ホワイトボードに字を書く役は、字が上手い人に任せる」というコツもw あとでスマホで写真を撮って保存するので、字が見やすい方がいいですね。会議の最後は参加者全員で集合写真を撮っておけば、会議のメンバーも一目瞭然です。

結構楽しそう!

ファシリテーション、使える

あさよるは「ファシリテーション」という言葉はよく見聞きしていたものの、どんな役割なのかわかっていませんでした。「ポストイット貼るやつでしょ?」程度の認識しかなかったデス(;’∀’)>

ファシリテーターの仕事について知ると、これは仕事や会議だけじゃなく、プライベートでも使える技術ですよね。家族での話を交通整理したり、仲間とレジャーの計画を練ったりと、役に立つスキルだと思います。

あと、反省することも多々。ファシリテーターは公平にみんなの意見をくみ上げるのが仕事ですが、同じような場面で自分の意志を曲げずに突っ張ってきたことがたくさんあったなあ……(遠い目)。ずっと「あいつが悪い!」と思っていましたが、本書を読んで「自分が人の話を聞いてなかった」と考えを改めました。フラットに、みんなの考えをくみ上げるって、難しいですね。あさよるも訓練が必要です。

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図解するシリーズ

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『失敗の科学』|失敗の数だけ、可能性のバリエーションを知る

『失敗の科学』挿絵イラスト

こんにちは。失敗の多い あさよるです。今まさに、荷物の発送の手違いをしでかしてしまってヘコんでいます。完全に当方の確認不足で、先方の方にはご迷惑をおかけしておりますm(__)m

(´・ω:;.:…

そう、あさよるはこういう、ケアレスミスを連発する人なんですよね~。だからいつもずっと緊張しっぱなしなんですが、ときどきフッと気が抜けたときにやらかします。しかも、やるときは信じられないようなミスです。裸足でかけてくサザエさん的なね。今日はホントは別の本のレビューを用意してたのですが、今の自分にタイムリーすぎるので、本書『失敗の科学』に急遽差し替えてお送りいたします(苦笑)

効率の良い学習法「失敗」

本書『失敗の科学』は、一見損害があり良いことなんてなさそうな「失敗」からこそ、多くの学びが得られることを紹介する内容です。仕事は、質にこだわることよりも、量にこだわる方がよい成果が出るそうです。質の良いものを目指すと自ずと「失敗しないように」気をつけて仕事をしてしまいます。しかし量を目指すと、「失敗を恐れず」どんどん失敗し、失敗からフィードバックを得ながら仕事をするので、全体のクオリティが上がります。

失敗から学ぶのは、とても効率のよい改善方法なのです。もちろん、その失敗に巻き込まれ損益や命を失った人の存在を忘れてはなりません。だからこそ、同じ失敗をしないためにその「失敗から学ぶ」必要があるのです。

「失敗」の良い手本、悪い手本

本書では、航空会社が取り組んでいる、エラーの扱い方が良い手本として紹介されます。旅客機は小さなミスから大事故につながり、乗員乗客の命を危険にさらす恐れと背中あわせです。そこで、小さなエラーでもどんどん報告し、それらをまとめ、常に改善に取り組み続ける体質があるようです。

一方で、悪い例として、病院での医療事故が紹介されていました。事故と言いますが、その実は医師の単純なミスで人の命が失われていることが紹介されているのです。例として、簡単な手術で麻酔を使用したところ、麻酔によって呼吸が止まり、看護師が気管切開の準備が完了したと呼び掛けているのに、医師はそれに応えず、結局患者を死なせてしまいました。医師は自分たちのミスに気付いてすらおらず、「避けようのない事故だった」と患者家族に説明しました。病院では、航空業界のような「失敗をフィードバックする仕組み」がないのです。

ウソ・失敗の隠ぺいを防げ!

わたしたちは「失敗」を犯したとき、意図的に「嘘をついて責任逃れ」しているとは限りません。むしろ、無意識のうちに「他に原因があった」「あのとき○○だったんじゃないか」と、別の事実を作り上げてしまうのです。

間違いないと「信じて」しまう

本書では、殺人犯を捕まえる警察官や、検察官の執拗な「思い込み」が紹介されています。エリートたちでさえも、一旦「これが事実だ」と信じてしまうと、突拍子もないような発言をアレコレ繰り出します。例えば、強姦事件の現場に残された体液が、容疑者のDNAが一致しないことを「容疑者はキメラだ」と決めつけたり(キメラとは、双子の胎児の片方が死んでしまい、もう片方の体の一部として残ることが、とても稀にあるそうです)、性交渉をした他の男性の体液が付着し、容疑者は避妊をして犯行に及んだ、など。あらゆる「常識では滅多に起こらない奇跡ような可能性」に執着するのですが、「真犯人は別にいる」という可能性には言及しません。

また、かつて「瀉血」と呼ばれる、今となればトンデモな治療法がありました。血液を人為的に外部に出すことで、体内の悪いものを排出させると信じられており、西洋で盛んに行われていました。現在では科学的根拠ないとされています。なのに当時は「効果がある」と信じられていました。現に「瀉血をしたら体調が良くなった」という人さえたくさんいました。

人は「効果がある」と思い込んでいる限り、それを肯定するデータばかり集めてしまします。また、アンケートを取っても、回答者は質問者の意図を組み、質問者の欲しい答えを答えてしまうことがあります。先の警察や検察の例も、彼らは被害者やその家族らを知っていて、彼らに一刻も早く事件の解決を提供したいと考えており、その結果として冤罪を作り上げてしまうこともあります。

エラーを報告できる環境が必要

航空業界が失敗をどんどん報告できる背景として、「ミスをした人を責めない」という業界全体の徹底があるからです。ミスがあったとき、個人を責めず、とことん失敗が起こった原因を探り、同じ失敗が起こらないよう改善がなされます。飛行機にはフライトデータレコーダー とコックピットボイスレコーダーが搭載されているのは周知の通り。パイロットたちは常に、ガラス張りで丸見えの状態で仕事をしていると言えます。それにより、重大事故の原因究明がなされています。

失敗すると処罰を受けるなら、誰も失敗を報告しなくなります。エラーを気軽に報告でき、それにより個人が責任を問われない体制でない限り、「失敗から学ぶ」ことは難しいでしょう。

「合理的にあきらめる」

失敗からフィードバックを得て成長する人々は、あきらめるときも「これ以上はできない」と合理的に判断するそうです。感情的に行動せず、謙虚に成長し続けたからこそ、冷静に「やめ時」を理解するのかもしれません。

為末大さんの『諦める力』でも、一流のアスリートが生涯かけて取り組んだスポーツを「やめる」ときの潔さが紹介されていました。全身全霊で向き合った事柄だからこそ、やめるときも理性的で合理的なんですね。それは第三者の目から見ると「あっけない」と映るほどに。

諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉

「失敗は成功のもと」

大事なのは「失敗に気づくこと」「失敗から学ぶこと」そして、「失敗を恐れないこと」です。

本書『失敗の科学』では、「失敗」をとても前向きにとらえています。デビッド・ベッカムは、天才サッカー少年ではなく、凡庸な少年だったといいます。しかし、ベッカムの母親は、息子の活躍を不思議がりません。なぜなら、彼が途方もなく失敗をくり返しながらサッカーの練習をし続けた事実を、実際に見て知っているからです。

失敗の数だけ別のバリエーションを知る

『失敗の科学』挿絵イラスト

あさよるは子どもの頃、水彩絵の具で「ベージュ」を作りたくて、あれこれと混色をして色を作りまくった経験があります。あるとき「茶色に白を混ぜるとベージュになる」と発見したのですが、今も絵を描き続けている理由は「混色に失敗し続けた」経験があるからだと断言できます(苦笑)。

なぜなら「混色に失敗した回数だけ、混色のバリエーションを知った」からです。絵が描くのが好きな人の中にも、絵の具を混ぜ合わせて色を作るのを面倒くさがる人がいます。慣れると、どんな色でも一発でバッチリ狙った色を作れるようになるんですよ。

失敗とは「失敗の数だけ別の可能性を見る」ことではなかろうかと思いました(`・ω・´)b

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【朗報】『太らない間食』|攻略せよ!おやつを食べるとダイエット?

『太らない間食』挿絵イラスト

こんにちは。間食が我慢できない あさよるです。『太らない間食』という、読むしかないタイトルの本を見つけてしまいました。本書によると、間食は我慢せず、適度に上手に摂ることで健康習慣につながり、ひいてはダイエットにでもなるという素晴らしい内容です。しかしながら、あさよるの寝る前の夜食を肯定するものではなかったことは言うまでもありませんでしたw

あくまで、上手に、適切に間食を取ることで、血糖値のコントロールや、必要な栄養素を補う「ごく軽い食事」としての間食を促すものです。

健康習慣のためのおやつ!

本書『太らない間食』はそのタイトル通り! 「おやつ」は上手に食べれば太らない……どころか、健康習慣にもつながるというのですから、こりゃ全面的に取り入れたい!w 「間食をしたら太る」「糖質制限してるから…」と考えている人は、この『太らない間食』を読んでみてからダイエットについて考え直しても良いかもしれません。

血糖値が下がると「お腹がすいた」と感じます。食後時間が経って、血糖値が下がって来たころに「おやつ」を食べ、血糖値を少し上げることで、昼食や夕食の「ドカ食い」を防ぎます。

大事なのは、「おやつ」を食べ過ぎないこと。おやつで太るのは、量が多すぎるか、カロリーの高い食品を選んでいるからです。

「おやつは上手に選べば大丈夫」「むしろ、ダイエットがしやすくなる」「健康習慣にもつながる」なんて嬉しいオハナシ。

太らないおやつの食べ方

空腹を我慢すると、体はより太りやすい食品を欲します。お腹ペコペコになると、満腹になるまで食べたくなるのです。適度におやつを食べることで、体の空腹状態をやわらげ、ドカ食いを防ぎましょう。だから、「おやつ食べちゃった……」と無駄な罪悪感を感じなくてもOK。

おやつで食べたい栄養素は以下。

  • ビタミンC
  • カルシウム
  • 鉄(特に女性)
  • マグネシウム・亜鉛

おやつでは、普段の食事ではとりにくい栄養素を意識して食べましょう。例えば、野菜やフルーツが食事だけでは足りない人は、ビタミンCを意識するなど。

おやつのルール

おやつを食べすぎると意味がありません。おやつのルールを守りましょう。

間食は1日200キロカロリーまで

例→リンゴ1つ、ポテチ1/3袋、クッキー4、5枚、板チョコ半分、おにぎり1つ、サンドイッチ2切れ

根性論に頼らない

例→食べすぎないように、最初に量を取り分ける。買い置きしないなど。

糖質の量をコントロールする

おやつの定番は糖質と穀類の組み合わせ。たんぱく質を一緒に食べると、エネルギーに変わりやすく脂肪になりにくい!

間食はごく軽い軽食と考えよ!

「おやつ」というと甘いお菓子を無造作にむさぼるイメージですが、現在の栄養学的には「間食はごく軽い軽食」と考えて、積極的に食べた方がいいらしいです。先に紹介した、糖質と穀類に、たんぱく質をプラスして食べるという観点から「バターを食べるといい」と考えられるようになったそうです。すなわち、クッキーはすごく優秀なおやつということです。クッキーは4~5枚が適量です。

さらに「ごくかるい軽食」という考えから、鮭や明太子のおにぎりも推奨されています(糖質&穀物+たんぱく質)。おにぎりは1つ200キロカロリーくらいなので、1つ食べてOK。菓子パンからハムやチーズの総菜パンに変えるだけでもいいですね。

低カロリーたんぱく質が太る!

「低カロリーのたんぱく質」がダイエットの邪魔をしているという意外なお話もあります。

「ダイエット中です」という人の中には、野菜や鶏ささみ、白身魚など、カロリーの低いものばかりを食べている人がいます。でも、これらの食品が、じつはダイエット向きではないことともわかるでしょう。そう、これらの食品には、ビタミンB1もB2もあまり含まれていないからです。

 前にお伝えしたように、体に脂肪をためにくくするには、糖質・脂質の代謝に必要なビタミンB1、B2を補うことが欠かせません。にもかかわらず、「やせるため」といって選んでいるものは、じつはビタミンB群が少ない。こうして、むしろ「やせにくい体」になっている可能性が高いとは、皮肉な話です。
ダイエットするなら、糖質を少し控えめにして、ビタミンB1、B2の豊富な赤身の肉をしっかり食べるのが効果的なのです。

p.91-92

ダイエットで糖質を制限し、さらにささみなど高タンパク低カロリーな食事を心がけている人も多いのではないでしょうか。しかし、ビタミンB群をしっかり意識して食べないと、逆に太りやすい環境を作ってしまうんですね。

オススメおやつ

本書ではオススメおやつが紹介されています。ざっくりまとめます。

  • ナッツ……1日20粒程度。アーモンド、クルミ、ピーナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオなどなど
  • 乳製品……ヨーグルトやチーズはカロリーが低いから、上限の200キロカロリーまでなかなか届かない
  • フルーツ……おすすめはキウイ。フルーツはカロリーも高くないので、200キロカロリーまで結構食べれる

食べ合わせで、食べ応えのあるおやつにすることもできます。糖質+たんぱく質と脂質の組み合わせです。

  • クラッカー+チーズ
  • ジャム+ヨーグルト
  • ミニ菓子パン+ヨーグルト
  • せんべい+チーズ

200キロカロリーまで、糖質と脂質、たんぱく質の組み合わせでOKルールなら、結構満足できるまで食べられそうです。

血糖値を味方につけろ!

『太らない間食』挿絵イラスト

間食のベストタイミングは、
昼食の4時間後、
夕食の4時間前

p.118

昼食をお昼の12時に食べたら、その4時間後の16時におやつ。そして夕食は20時に食べれば、夕食の4時間前になりますね。確かにその時間帯、終業までもうひと踏ん張りで、パワーが欲しい頃合いですから、おやつチャージが効きそうです。

間食しない方がいい人もいる

しかし、間食しない方がいい人もいるそうです。それは

「昼食から6時間以内に、夕食を食べる人」(p.120)

と紹介されています。

血糖値が下がると「お腹すいた」「頭がぼんやりする」と感じるのであって、血糖値が下がりきるより先に次の食事を摂るなら間食は不要です。

逆に言えば、次の食事まで7~8時間以上空くのなら、サクっと間食という名の「ごく軽い軽食」を食べましょう。

で、「ごく軽い軽食」ですから、食事と同じです。食べるときは、おやつに集中して食べましょう。その方が満足感を得やすいからです。よく噛んで、よく味わって。

今、糖質制限ダイエットが流行っていますが、「糖質の全てを遠ざける」「低カロリーなものしか食べない」なんて極端なことをするよりも、「糖質を味方につける」と考えた方が現実的だし、なにより幸福感を得ながら健康に食事ができるのがいいですね。

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『GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」』|才能がなくても大丈夫

こんにちは。あさよるです。ゴールデンウイークはいかがお過ごしでしたか? あさよるは、家財道具をフリマアプリ「メルカリ」に出品してみて、梱包作業に追われていました。これは「いらないもの」が突然「商品」になって面白いですね。

ゴールデンウイーク明けまして、5月は予定が詰まっているので「えいやっ」と元気が出るような本を読もうと『GRIT』を手に取りました。こちら、以前に同じ『GRIT』と同じタイトルの赤い本をブログで紹介したことがありますが、違う内容です。この「GRIT」という言葉は、他の本でも使われていることがあり、意味を再確認できました。また、あさよるのような凡庸な人間にとって「GRIT」の考え方はとても励まされるものでした。

「GRIT」とは

本書『GRIT』とは英語の「Guts」「Resilience」「Initiative」「Tenacity」の頭文字をとった言葉です。ぴったり合う日本語がないのですが、

Guts[度胸]

「Guts」は日本語で「度胸」。「困難に挑み、逆境にもたじろがない勇気」(p.21)と紹介されています。

度胸とは、みずからを危険にさらし、たとえ勝利が目の前に見えなくても、必ず勝つという意思を表明することだ。(p.21-22)

「大胆不敵」になるために必要な力です。

Resilience[復元力]

「Resilience」は日本語で「復元力」と当てられています。

高いレベルのグリットの持ち主は、失敗や障害や逆境にめげることなく意欲と集中力を維持できる。(中略)チャンスがある限り、世界の果てまでそれを追いかける原動力になる。(p.22-23)

世界的な成功者も、学校を落第したり、仕事をクビになったり、挫折を経験していることがあります。だけど、「立ち直った」のです。

Initiative[自発性]

「Initiative」は「自発性」と訳されます。

自発性とはまさしく、グリットを動かし、前へ進めるものだ。リーダーは率先してものごとに取り組む能力で評価されることが多い。(p.23)

自発性はなにも、企業や戦場だけに見受けられるとは限りません。本書では、サバンナに住む少年が、家族で飼っている牛をライオンに襲われた経験から、その悲劇をどう防げばよいのか考えます。あるとき、ライオンが揺らめく懐中電灯を恐れていることに気づき、ライトをつけたフェンスを作りました。ここからわかる教訓は

「敵に勝る知恵を使えば、相手より体が小さくても足が遅くても大丈夫」(p.23)

ということです。

Tenacity[執念]

最後の「Tenacity」は「執念」と訳されます。

執念とは、どんあことがあっても目標に集中し続ける能力だ。これはたぶんグリットにかかわる性質のなかで最も見分けがつきやすい。(中略)執念(粘り強さ)に必要なのは勤勉と決意である。(p.24)

GRITを身につけるべきワケ

「GRIT」の力について、後天的に学ぶ必要があります。それは、人は「潜在的な資質を褒められると、そのことに執着する」傾向があるからです。そして「努力によって身につけたスキルを褒められても、執着が少ない」そうです。それは裏を返せば、「努力によって身につけたスキルは諦めやすい」とも言えます。

本来的に我々は「GRIT」の力を持っていないということです。だから後天的に学ばねばならないし、また子どもたち、若い人たちに教えていかなくてはならりません。

本書ではたくさんの「GRIT」によって成功を掴んだ経験が紹介されているのですが、みな逆境の中、身近な人に「諦めないこと」や「働き続けること」を教えられ、それを愚直に守り続けた人ばかりです。または、負けん気やハッタリで大成功をおさめる人もいます。しかし彼らは、根拠のない自信家ではなく、「なんとかなる」と思えるまで努力をし続けていた人々であることも注目すべきです。

「GRIT」を身につけるのは、今すぐからも始められます。もし「どうせ」「自分なんて」と思っているなら、「度胸」「復元力」「自発性」「執念」を意識し始めましょう。

凡人だから励まされる・粘り強く続けるコト

本書『GRIT』は、特に何の素質もない凡人だからこそ、とても励まされるものです。天才でなくても「やり抜く力」によって、何者かになれるかもしれないんだから。

グリットが素晴らしいのは、自分でコントロールできるという点だ。育ったコミュニティ、通ったハイスクール、両親の貯金や資産、社内政治、経済状況などと違い、もっと一生懸命働き、もっと賢く、熱心に、長くがんばるという行為は自分で制御できる。人一倍才能豊かでなくても、頭の切れる人間でなくても、私たちの誰もがグリットを身につけることができるのだ。
潜在能力を発揮するのに必要な「度胸」「復元力」「自発性」「執念」を利用できれば、じつにたくさんの人が世界的な音楽家、ベストセラー作家、プロスポーツ選手になる可能性を秘めている。あなたもそうかもしれない。

p.25

もし、自分に才能もセンスもなく、環境も整っていたとしても、大きな挫折をしても、大丈夫。きっと今まさに道半ばの人ほど、GRITに励まされるし、GRITの重要性を身を持って知っているのでしょう。

「やり抜く」ことは誰でもできる

あさよるも、そろそろ三十代仲間で辺りを見回すと「やり抜く力」を持っている人しかいなくなっていることに気づきます。十代の頃、羨ましい才能を持っている人や、センスの良い人、環境に恵まれている人、それら全てを持ち合わせている人がたくさんいました。しかし、その多くの人たちは、道半ばで諦めてしまったり、店じまいをしてしまいました。

年齢を重ねても何かに邁進している人って、「才能」や「環境」は関係なくただ「継続している」だけの人だったりします。もちろん、才能があって且つ継続し続けている人もいます。でも、意外と若い頃は平凡で目立たなかったのに、いつまでも同じことを続けていて「ひとかど」の人物になっている人もたくさんいます。

本書『GRIT』は平凡で、特に秀でたこともなく、センスもなく、目立たない「その他大勢」を鼓舞します。また挫折を味わったり、今環境的に恵まれていなくても「大丈夫」。「ここから抜け出せる」と信じられると、とても未来が楽しみに思えます。

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かずのすけ『美肌図鑑』|知ったかドヤ女子力をハイ論破!

『オトナ女子のための美肌図鑑』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。ゴールデンウイークいかがお過ごしでしょうか。今日紹介するのは、ブログでもお馴染みのかずのすけさんの『美肌図鑑』です。ブログでは化学者である かずのすけさんが、コスメの成分表を読んでコスメのたしなみ道を紹介してらっしゃって、あさよるも読んでおります。

本書『美肌図鑑』は、美意識の高い女子こそやっちゃってる、根拠のない美容法を紹介する本です。根拠がないどころか、逆に肌に悪かったりするから恐ろしいところ。なんとなくの思い込みや、販売員のセールストークはセールストークと割り切って、自分にぴったり合うものを選びましょう。

印象的なイラストは、現在炎上中『午後ティー女子』の「つぼゆり」さんです。

「ついやっちゃう」NG美容法

本書『美肌図鑑』は「自称美意識の高い女子」たちが、何の根拠もないのにドヤ顔でやっちゃってる美容法のホントノトコロを暴く内容です。

例えば、一番最初の話題は「無添加コスメ指名買い女子」。「あたし無添加なの使ってる~何入ってるかわからないの嫌~」と、人よりちゃんとしてる感を出し、ドヤ顔で人を見下していますw 特徴は「化粧品選びの基準は無添加かどうか」「目標は自然に優しいナチュラル生活」「お昼ご飯は手作り弁当」だそうですww

で、結局のところ「無添加」ってなに? それ大事なの? 答えはNO。なぜなら、「無添加化粧品」を定義する決まりがないので、言ったもん勝ちだからです。というかそもそも、ほとんどの化粧品は「無添加化粧品」と言えるそう。この世のすべての物質は化学成分でできています。水も「H2O」という化学式で表せます。「化学成分は肌に悪そう」という考え自体がおかしいのですね。

で、「無添加化粧品」についてのざっくりとしたまとめも紹介されます。

ザックリまとめると……

・旧表示指定成分などが1種類でも入っていなければ、「無添加化粧品」と表現できる。
・「天然成分」も中身あたくさんの化学物質。天然 or 合成という基準では化粧品を評価できない。
・すべての「合成成分」は天然の原料から作られている。どんな化粧品も「天然由来100%」。

p.14

まるで中学の教科書で読んだような内容ですが、今一度、化学物質について復習してみるのも良いかもしれません。お店で並ぶコスメたちは、みなそれぞれ「なんとなく肌によさそう」「理由は分からないけど肌に優しそう」な名前を名乗っています。

本書『美肌図鑑』で紹介される美容のNGの多くは、「なんとなく理由は分からないけど肌に優しそうだからやっている習慣」を指摘するものがほとんどです。他の例では「石けんは肌に優しそう」「身体をよく洗ったほうがキレイになりそう」「オーガニックは身体によさそう」「手作りコスメは安心できる」「食品を使えば安心」など、すべて誤り! という、ショックな人もいるかもしれません。

要するに、最低限のことだけやればいい

著者のかずのすけさんは、他にも『しない美容』や『オフスキンケア』という本も出版なさっていて、かずのすけ流美容法は「余計なことをしない」ことが美容につながると提唱されておられます。コスメも、美容効果の高いものを塗るというよりは、肌に悪い習慣を「やめる」ことが重要。

本書をザっと読んだ感じだと、気をつけたいのは「日焼け」。そして、セラミド入りの保湿剤を選ぶ。この二点くらい……?

日焼け対策はしっかりするのが、かずのすけ流美容です。そのために日焼け止めクリームの正しい知識を身につけて、〈必要最低限の日焼け防止〉につとめます。

あと、あまりに安すぎる化粧品は、材料のクオリティが低い場合があるそうです。500円~5000円くらいの価格層の化粧品は、値段とクオリティが比例している場合が多いと紹介されています。それ以外の値段になると、差が少なくなるそう。

じゃ、何をするの?が、わかりにくい?

本書『美肌図鑑』は、やっちゃいがちなNG美容法を紹介するものであって、正解の美容法を教えるものではないので、「結局のところ何をすればいいの?」がわかりにくいですね。

あくまで「自分が良かれと思ってやっている美容法」が、本当に効果があるのか。メーカーの謳い文句に乗せられているだけじゃないのかをジャッジするのには向いています。

また、巷では様々な美容法とともに「これは危ない」「これはダメ」「これは毒」など、過激な言葉で人を怖がらせ、商品を売ろうとする人もいます。その人たちの言葉を聞いて不安を掻き立てられてしまっているなら、とりあえず本書を読んで「そんなことはない」と落ち着いてみるのも良いでしょう。

中途半端な知識がアダとなる……

『オトナ女子のための美肌図鑑』挿絵イラスト

本書『美肌図鑑』は、あさよるもかつてやってた美容法がいくつも紹介されていました。

具体的には「石けん使用オンリー女子」。あさよるは肌トラブルが多く、洗剤を使うのも疑心暗鬼になってて「無添加の石けんだったら安心できる」と信じていたことがありましたw 本書でも紹介されていますが、石けんは洗浄力がとても高く、またアルカリ性の性質を持っているので、肌の弱い人が使うとますますトラブルを起こしてしまいます。

「恐怖!手作り化粧品プレゼント女子」もw 肌が弱いあさよるのために、手作りコスメを作ってくれる人がいましたw これも「無添加だから」と使ってた記憶があります。ユズの種が入っていて、今思うとあんなのよく使ってたなあと思うw これは「食品でスキンケア女子」に通じます。

「泥や火山灰に頼るテカリ女子」もあるあるですねw 鼻の黒住が気になって、ずっと炭や火山灰の洗顔料、使ってましたw

「化粧水で顔面ズブ濡れ女子」も、あさよるのことかとw 数年前までやってました。ハトムギ化粧水流行ったころね。安い化粧水でバシャバシャやるのですw

「30代から肌断食女子」は今まさに あさよるがやってるヤツじゃんw 肌断食ね~。乾燥してるときはクリームやジェルを使いますが、乾燥してなければなにもしません><

「365日“SPF50”女子」も、これ あさよるですねw SPF50もいらないそうです。30もあれば十分なんだって。

やってるやってるw

“オトナ女子のための~”のシリーズのノリについてこれるか?

本書『オトナ女子のための美肌図鑑』は「オトナ女子のための~」と銘打たれたシリーズもので、あさよるネットでも以前『糖質をやめられない オトナ女子のための ヤセ方図鑑』を紹介しました。

このシリーズ、すっごいバカな美容法に没頭している女性をバカにしきったイラストが魅力のシリーズなんですw

こんな感じ↓

『糖質をやめられないオトナ女子のためのヤセ方図鑑』ビジュアル資料

糖質をやめられない オトナ女子のための ヤセ方図鑑 (美人開花シリーズ) | 森 拓郎 |本 | 通販 | Amazon

女性が読む場合は、要は「自虐」ネタでケラケラ笑っちゃうんですが、このノリが苦手な方にはオススメしません(苦笑)。自分のバカでケナゲな努力を「自虐」で笑える方は、ぜひ一度お手に取ってみてください。「ああ、こんなヤツいるなあ」と笑えるし、なにより「これ自分のことやんw」と爆笑しちゃうw

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『職場の問題地図』|仕事の問題を抱え込んでしまう人に

『職場の問題地図』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。仕事をしていて困ったなあと感じることってありますが、誰に相談していいのかわからない時もっと困ります。あさよるは幸いにも(?)困った時は「困った困った」と言いまくるタイプなので、誰彼なしにアドバイスを貰えることが多かったのですが、誰にも言えないと困ってしまいます。

今回手に取った『職場の問題地図』は、社会人歴が浅い人向けの、職場での問題解決法が紹介される本です。新社会人の人や、新人に対応する立場の方にオススメです。自分で問題を抱えてしまい誰にも相談できずにいる人は、本書を読んで「伝える」「確認する」作業を見直してみるとよいでしょう。

本書『職場の問題』の良いところは、ユーモアのあるイラストや図解がたっぷりあって、眺めているだけで面白いところです。普段、本を読む習慣のない人でもとっつきやすいよう工夫がなされています。

働き方「なんかおかしい」なら問題地図を

本書『職場の問題地図』はまだ会社員歴の浅い人に向けられた、困った時のお助け本です。困ったケース別の対応方法が紹介されています。なんとなく「やりにくい」「つらい」「苦しい」「もしかしてブラック?」と気になっている人は、本書を当たってみると良いかもしれません。

基本的に本書で紹介されているのは、自分の仕事の仕方に問題がある場合の対処法です。そもそも会社に問題があったり、パワハラ上司がいる場合は、自分ではどうもできないので、他の解決法が必要です。

本書では、例えば「資料作って」と頼まれて、完成させて持っていくと「グラフはこうしてほしい」「書式を変えてほしい」と差し戻しされて、仕事が溜まっていく場合。大事なのは、小まめに相手に相談することです。「グラフはこのデータを使いますよ」「書式の見本を作ったから見てください」と、小まめに進捗状況を報告することで、その都度相談しながら、軌道修正できなす。

以上のような、日常の業務の中で「すれ違い」「思い違い」「思い込み」によって業務を遅らせる原因を減らしていくのが『職場の問題地図』です。

結局、ホウ・レン・ソウ

本書の内容を簡単にまとめちゃうと「ホウレンソウ」は大事ということ。職場内の行き違いは、大概連絡ミス、確認不足で起こってしまいます。先に紹介した「手戻り」が起こってしまうのも、小まめな報告不足で、時間をかけて完成してから相手に見せるから、修正も大きくなってしまうのです。

上司と部下の間で、意識のズレがあることもあります。指示されたら、その指示の目的をきちんと確認しましょう。もちろん、上司の側が伝え下手な場合もあります。だから確認が大事です。完成イメージや、ゴールを明確にしましょう。また、その業務を仕上げる「期限」と「ステップ」の確認も入念に。

本書では、仕事の要素を5つにまとめていました。

まとめると、仕事は次の5つの要素で成り立っています。仕事を受ける時(あなたが上司ならば依頼する時)は、この5つを相手と意思合わせしましょう。

①目的

その仕事は何のために、だれのために行うのか?

②インプット

その仕事を進め、成果物を生むためにどんな情報・材料・ツール・スキルなどが必要か?

③成果物

生み出すべき完成物あるいは完了状態は? 期限は? 提出先は?

④関係者

巻き込むべき関係者・協力者は? インプットはだれ(どこ)から入手すべき? 生活物はだれのため?

⑤効率

その仕事のスピードは? 生産量は? コストは? 人員は? 歩留まり(不良率)は?

p.34-35

この「5つの仕事の要素」を明確にすることが、本書を通してのテーマです。

マネージメントが悪いこともある

本書『職場の問題地図』は、自分の伝え方を変えるためのものです。しかし、実際に職場でのトラブルは、そもそも管理の問題がある場合もあります。例えば、人員が適材適所に配置されていなかったり、能力に合わない業務をあてがわれた場合、業務の滞りが起こります。

また、2:6:2の法則で、どんな集団でも、優秀な2割と、普通の6割、そして仕事をサボる2割に分かれてしまいます。サボっている人の仕事を、優秀な人に押し付けていると、全体のやる気が落ちてしまいます。これも、個人ではどうしようもない問題です。ただ、黙って我慢すればよいのではなく、困っていることを言葉で伝える必要があります。

伝えなきゃ分からない

本書『職場の問題地図』は、職場で個人ができること、特に新人ができることを紹介するものです。なんとなく「嫌だな」「なんで自分ばっかり」「なんかおかしい」と感じているなら、それをきちんと「伝える」重要性が紹介されているのです。

それは、不満も言葉にして伝えないと、わからないからです。

また、本書は部下に仕事を「伝える」立場の人にも有益です。「伝え方」に問題がある場合もたくさんありますし、話がうまく伝わっていない部下に対しての対策にもなるからです。

やり方を見直そう・現場の改善は全体の利益になる

日本人の、特にベテランほど業務のマニュアル化を嫌がるそうです。その理由を3つ挙げられています。

①結果承認欲求

②行動(プロセス)承認欲求

③存在承認欲求

一つずつ紹介します。①の結果承認欲求は「自分の行動の結果を認められたい」欲求です。②の行動(プロセス)承認欲求は、自分の行動そのものを褒めてほしい欲求。③の存在承認欲求は自分の存在そのものを認めてほしい欲求です。

仕事をマニュアル化するというのは「他の人も同じ手順で業務ができる」ようにすることです。すると「自分じゃないといけない理由」がなくなってしまうようで、ベテランほど拒絶してしまうのです。

しかし、明確にマニュアル化されていない業務の引継ぎは、コストが高く無駄な業務も多いのが実情です。歴代の担当が、こだわりや好み・趣味でやっていたことまでどんどん引き継がれていくので、本当に必要な業務は少し、あとは意味の分からない手順がそのまま引き継がれていることも。過去の悪習はキッパリ断ち切って、必要な業務にスリム化するのも、大事な仕事です。

また、嫌な作業・業務ほど、マニュアル化しちゃいましょう。

過剰サービスに陥ってしまうのも同じような理由です。良かれとやったサービスが、アダとなってしまいます。「なにを」「どこまで」やるのかを明確にしましょう。

定義→測定→報告→改善サイクルを回そう

業務が上手く回っていない状態とは、

・インプットが成果物に変換されるスピードが遅い(=決められたサービスレベルを満たしていない)
・ミスや手戻りが多い
・長時間労働・業務量過多
・なんだかよくわからないけれど、インプットを与えれば、とりあえず成果物は出てくる(箱の中身が不明。いわゆる属人化)

p.208

最後の「なんだかよくわからないけれど、インプットを与えれば、とりあえず成果物は出てくる」とは、マニュアル化されておらず、どのように業務がなされているのかわからないけれど、ある人に頼むとそれなりの成果物が出てくる状態です。マニュアル化されていないので、引継ぎができず、他の人には何がどうなっているのかわかりません。

これらを改善するためにはどうすればよいのか? それは……残念ながら明確な答えはありません。なにを問題とし、どう解決したいのかはケースバイケースだからです。

しかし、目に見えないもの、定義できないものを改善することはできません。だからと言って、なんでもかんでも定量化するのは、人間関係にヒビが入ることもあります。必要項目を決めて定量化することも大切です。

結局のところ「定義→測定→報告→改善サイクル」を回すしかありません。

 業務がきちんと回り続ける状態にするには、定義→測定→報告→改善→のサイクルの構築と維持が大事です。

何を測定するのかを定義し、日々業務の測定をする。
それを上司や経営層に責任を持って報告し、改善につなげる。

この繰り返しが、あなたの職場とメンバーを仲良くします。個人の気合と根性任せの働き方から脱却するためにも、一歩踏み出し、あなたが率先してこのサイクルを回しましょう。

p.213

個人の働き方が、職場のメンバーの働き方を変えるんだというのは、大事なことですね。自分が気合と根性で、誰にも問題を報告せず背負い込んでいると、職場の雰囲気を悪くすることにもなります。自分の振る舞いに責任を持つことが求められます。

仕事をはじめたばかりの人へ

『職場の問題地図』挿絵イラスト

本書『職場の問題』は、新人で社会人を始めたばかりの人にオススメな本です。「上司と上手くいかない」「もしかしてイジワルされてる?」「これってブラック?」と思ったら、本書を読んでから判断してみてもよいでしょう。パワハラやブラックではなく、単にコミュニケーションがうまく取れていない場合もあるからです。

社会人は、子ども時代や学生時代とは違ったスキルを求められています。最初は誰もうまくできません。なるべく、わからないことを相談して、小まめにチェックを頼んで、自主的に定義→測定→報告→改善→のサイクルに努めてみましょう。

イラストや図解が多くて、上司や先輩が、新人に話をするときの資料にも役立つと思いました。

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