『仁義なき宅配: ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』

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Amazon……ポチッちゃった(・∀・)

ダジャレっすか!w

『仁義なき宅配』……ダジャレっすか!「仁義なき戦い」っすかwww と、タイトルがとても気になっていた一冊。

ずっと読みたい本リスト入りしておりました。すみませぬwあさよるの“読みたい本”って、こんな理由で選ばれておりますw

宅配便って、お世話になっていない人はいないんじゃないでしょうか。ネットが普及して、通販の利用が日常になりましたね……。

『仁義なき宅配』すごいところ!

ヤマト、佐川にバイト潜入!

『仁義なき宅配』は二つの要素からなっています。一つは宅配業界の体質や問題を整理すること。そのために創業者の横顔にも触れる。

そして、なんといっても著者・横田増生さん自身がヤマト運輸の巨大仕分けセンターにアルバイトとして雇用され、潜入取材!また、佐川の下請け配送業者に密着。家庭へ宅配業務や、東京=大阪間の長距離業務に横乗り!

それぞれ業務によって“大変さ”の質は違うみたい。

体当たりのルポルタージュ要素もあって、読み応えありました。

創業者はやっぱスゴイ

ヤマト運輸と佐川急便。同じような業務のようにも見えますが、企業の体質、業務の体系は全く異なります。その“違い”は、創業者の性格の違いにも現れています。

「人たらし」で人を動かし法の目をかいくぐりのし上がった佐川清。ヤマト運輸の創業者・小倉昌男は、父から受け継いだ会社の立て直しを図り宅急便のコンセプトに至ります。

一代でのし上がった佐川清と、後継ぎの小倉昌男ってところでしょうか。

しかし、いずれにしても大企業の創業者。やっぱすごい人でした……。もちろん、表の顔だけでなく、裏の……というか、シビアで冷酷な面もある人です。その“冷酷な面”というのも、凡人には持ち合わせていない資質でしょう。そう意味でも、「やっぱスゴイ」。

小倉昌男さんの著書も読んでみたくなりました。

なくてはならない宅配業。うれしい「送料無料」の話

宅配便はなくてはならない存在です。インターネットの普及で通販を利用することも、以前にも増して増えました。

そう「通販」が現在の宅配業の語る上で欠かせない存在です。

まず、ネット通販の普及で物流そのものが増えたこと。また、Amazonを始めとする通販企業が、「送料無料」を謳ったことです。

もちろん、無料で発送できるなんてことはありません。一つ一つの荷物は人の手から手へ運ばれるのですから。ですから、コストカットとして、宅配料金が安く買い叩かれ、結果的に宅配企業を圧迫することになりました。

記憶にあたらしいのは、Amazonの宅配業者が佐川急便からヤマト運輸へ変更になったことでしょう。Amazonの送料の値引きは商売にならないんですね……あさよるもAmazonで買い物すると、送料無料を血眼になって探していたので、冷や汗(^_^;)

「送料無料」がもたらすこと

送料が通販企業によって値引かれ、価格破壊が起こっているんですね。

すると、企業の業績も伸び悩み、そのしわ寄せは社員、とくに現場に向かいます。また下請けも“しんどい”条件を飲まざるを得ません。

現代の日本社会になくてはならない業務でありながら、その雇用形態は「悪い」と言って良いでしょう。実際にアルバイトとして業務の現場に潜入したルポルタージュを読む限り、かなり雇用状態は悪い。

現在のままでは、高額な物品や、希少なものは「送ってはいけない」としか言わざるをえない(^_^;) これって、社会全体にとっても良い状態ではありません。

『仁義なき宅配』はこんな内容

バイトとして潜入ルポ!

『仁義なき宅配』のポイントは著者・横田増生さんの潜入ルポルタージュでしょう。

ヤマト運輸の下請けの軽トラに横乗りし、都内の住宅地を回った話。佐川急便の下請け業者に横乗りし関東=関西の往復便に横乗り。宅配業務の大変さと、下請け業務の状況を知れました。

また、大変な仕事だけに、新人を雇ってもすぐに辞めてしまうそう。

そして、ヤマトの広報も労組もインタビューが不可だったため、「羽田クロノゲート」という、ヤマト運輸の大規模な仕分けセンターには1ヶ月間のアルバイトとして潜入取材。読んでるだけで大変な業務です…。

さらに、本書ではページは割かれていませんが、佐川急便のセンターでもアルバイト潜入をなさったそう。

カリスマ創業者たち

佐川急便とヤマト運輸の創業者、佐川清と小倉昌男の横顔にも迫ります。生い立ちや創業に至るまでの経緯。

なぜ宅配業に参入したのか。それに際し、どのような妨げがあり、どうやってクリアしてきたのか。

創業者の考えや経緯は、現在の二社の企業のシステムにも大きな影響を与えています。

アマゾン、オイシックス、ケンコーコム、ロハコ

通販企業についてあまりページ数は割かれていませんが、我々の生活はもはや「NO 通販,NO LIFE!」と言えるでしょう。

あさよるは、衝動買いを防止するためにも、通販の利用は控えめに~~!と気をつけていますが、それでも月に何度も通販を利用しています。

ネット普及に伴い、通信販売の物量も激増。宅配の量も大きく変わりました。

現在の宅配を語るに、通販の存在は切っても切れません。

現在の宅配業界の雇用状態

潜入ルポで顕著ですが、宅配業の雇用状態は悪い。著者が潜入取材したセンターでは、全体を束ねるようなマニュアルもなく、みながそれぞれ勝手に業務をしている様子。

また、業務内容もその日出勤してみないとわからない。また、雇用形態も不明瞭で、給与明細を請求してやっと「日雇い」契約だったことが判明していた。

そして一方で、著者が本書内で繰り返しているのが、同じルートは二つとない、同じ業務はないということ。宅配はその地域によって何もかもが違うんだそう。

ですから、あくまで著者が潜入取材したセンターの雇用形態です。が、中にはいってみないとわからないこともあります。

『仁義なき宅配』を読んだ感想

宅配業はすごい!

『仁義なき宅配』の内容は問題提議なのでしょうが、一方で宅配ってスゴイ!と大興奮。

当たり前ですが、人の手で集められ仕分けされ運ばれているんですよね。マンパワーとはこのこと。しかも、ギリギリの人員でパンク寸前でありながら、持ちこたえているというのも……(と、パンクしてしまった例も紹介されています)。

あさよるも、宅配にはお世話になっていますから、興味深く読みました。

やっぱり「送料無料」を選んじゃう

消費者としては、やっぱり「送料無料」が好きです。お金はなるべく使わず置いておきたい。

そんな消費者の心を知っている企業は「送料無料」を謳います。そのために、宅配業者には熾烈な値切り交渉が行われる。

うーん。

誰が買い叩いた?どうすればいい?

宅配料金が適正価格にならないのは、一体誰が「悪い」のか……と考えると、根が深い話だなぁと思います。

消費者も企業も通販会社も、自分たちの得のために宅配料を値切りますが、また、宅配業者の体質にも、原因はあるみたい(?)。

『仁義なき宅配』オススメです!

『仁義なき宅配』。タイトルがダジャレであるように、決して堅苦しいだけの内容ではありません。

著者・横田増生さんの体験を交えつつ、前作の『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』に引き続き、我々の生活になくてはならない流通の光と闇。どちらにも目を配った内容です。

読み物として読みやすいですし、内容も興味深いもので、オススメです。

仁義なき宅配: ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン

目次情報

まえがき

第一章 迫り来る“宅配ビッグバン”

宅配の軽トラに“横乗り”
宅配ボックスの奪い合い
業界で“ビッグバン”の危機
佐川がアマゾンとの取引を打ち切り
三社で九割以上のシェア
運賃のダンピング合戦
「全品送料無料」がもたらした負荷
「ライバルに一〇〇億円のエサ」
アマゾンの荷物は「正直しんどい」
ヤマトのクール宅急便問題
「送料はただと思うな」
人件費比率は五〇%を超える
日本郵政の独り勝ちに

第二章 佐川「下請けドライバー」同乗ルポ

夜間の幹線輸送車に“横乗り”
四時間で九トンの荷物を積み上げ
幹線輸送の九割以上は下請け
下請けへの運賃値下げ
「佐川についていって大丈夫なのか」
佐川が引き起こした“パンク”

第三章 「風雲児」佐川が成り上がるまで

他者が断った荷物を集めた
企業間のドア・ツー・ドア輸送の先駆け
自分の懐に引き込む「人たらし」
田中角栄との出会い
トラック業者を乗っ取る
ナンバー2・渡辺広康の反乱
東京佐川急便事件の真相
宅急便でヤマトと“二強激突”

第四章 ヤマトはいかにして「覇者」となったか

宅急便に役員たちは反対していた
客層を家庭の主婦に絞る
小倉は佐川急便を研究していた
「危ない会社」に転落
「サービスが先で、利益は後」
企業発の宅配に進出した契機
バリュー・ネットワーキング構想

第五章 日本郵政に「佐川」のプレート

“第三の勢力”まで躍進
遅い、不便、厄介の三重苦
「ヤマト運輸がライバル」
ローソンを取り込む
ペリカン便との統合問題
ゆうパックは「奪還営業」

第六章 宅配ドライバーの過労ブルース

一日三時間のサービス残業
過労死ラインを超えていた
記録の上では残業なし
労働時間の修正欄に「**」
ドライバーが引き起こした裁判
「佐川で三時間働くと家が建つ」も今は昔
サービス残業なしに成り立たないのか

第七章 ヤマト「羽田クロノゲート」潜入記

広報も労組も取材ができない
「宅急便」の心臓に潜入
夜勤労働者の四割は外国人
クール宅急便の仕分け室は一〇℃
小指の爪が真っ黒に
クール宅急便の温度管理問題
無理やり荷物を積み込み拍手
アルバイトは二カ月限り
医療機器の洗浄から家電の修理まで
「ドライバーの皆様へ」のシール
通販企業の過度な要求
大幅な遅れに社員の金切り声
怒鳴るのがここの“流儀”
冷蔵荷物が規定の温度超え
一カ月の作業が修了

終章 宅配に“送料無料”はあり得ない

あとがき

横田 増生(よこた・ますお)

1965年福岡県生まれ。関西学院大学を卒業後、予備校講師を経て、アメリカ・アイオワ大学ジャーナリズム学部で修士号を取得。93年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務める。99年よりフリーランスとして活躍。主な著書に、『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』『ユニクロ帝国の光と影』『評伝 ナンシー関』『中学受験』など。

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