[書評]テレビリサーチャーという仕事

60 産業

「テレビリサーチャー」という仕事があるらしい。

簡単に言っちゃえば、テレビ制作にあたり、番組のネタの裏取りをするのが主な仕事だ。

テレビという華やかな世界を支える、地味だけど大事な裏方の仕事なのだった。

「調べる」ことが仕事

バラエティー番組で、タレントがちょこっと口にするネタも、本当かどうかの裏取りが必要だ。

クイズ番組や教養番組では、知識そのものがネタになるため、事前のリサーチがとても大切になる。

そのために、あらゆることを「調べる」のがテレビリサーチャーの仕事だ。

番組会議で、その場のノリで誰かが口走っただけのことでも、その裏を取らなきゃならないらしい。

正直、大変な仕事だろう。

しかし正直、ちょっと気になる仕事である。

なぜかって?

だって、図書館にこもって、コピーにとった資料を読み込むことが仕事になるだなんて、面白そうじゃないか。

図書館(書籍)で調べ倒して、WEBは基本信頼しない

ちょこっと(というか、かなり)耳が痛いのは、「調べる」ためにはまずは書籍の資料を読み込む。

とことん読み込む。

ほとんどこの作業が中心みたいだ。

わたしたちは、ついうっかりWikipediaでまずは下調べをしたくなってしまうが、それは最後の最後らしい。

というか、WEBの情報はほとんどアテにならないと思った方がいいのかもしれない。

確かに、ある程度のネットリテラシーのある人なら、著者の言う真意が汲めるんじゃないかと思う。

今後、YouTubeやWEBにも登場する仕事かも

情報の裏取り。

それを専門にする仕事。

今回はテレビの裏取りのプロ「テレビリサーチャー」の仕事を知ったけれども、この仕事って今後WEBの世界でも登場して広まるのかもしれない。

たとえばYouTuber。

視聴数が多く影響力のあるYouTuberになればなるほど、発信する情報の裏取りも必須なんじゃないだろうか。

情報ブログみたいなのももちろん。

今は野放しな状態だけれども、今後どうなってゆくのか。

「調べる」ことを仕事とする人は、今後増えるのかも?

テレビリサーチャーという仕事

  • 高橋直子
  • 青弓社
  • 2020/9/29

目次情報

はじめに

第1章 テレビリサーチャーって何?

1 テレビのリサーチとは
2 リサーチ会社の種類
3 雇用形態と賃金・報酬
4 リサーチャーになるには

第2章 テレビリサーチャーの仕事とは?

1 リサーチの依頼を受ける
2 リサーチ資料の作り方・使われ方――『世界遺産』の場合
3 リサーチャーの仕事――インタビュー:菅將仁さん
コラム インタビューこぼれ話――上の人は見ているもの

第3章 テレビリサーチャー史

1 テレビリサーチャーの始まり
2 “日本初”のリサーチャーは?――インタビュー:成田慈子さん
3 テレビ視聴の変化、テレビ業界の変化
4 テレビ×リサーチャー――座談会:成田慈子さん・高村敬一さん
コラム 座談会こぼれ話――高村敬一さんの手土産

第4章 テレビリサーチャーの育成と就職――インタビュー:喜多あおい

1 テレビリサーチャーの適性診断
2 リサーチ力を生かす!――リサーチ会社の選び方
3 敵はAI⁉――リサーチャーの育成
4 テレビリサーチャーのいまとこれから
コラム 著書紹介――喜多あおい『必要な情報を手に入れるプロのコツ』

第5章 テレビリサーチャーがなぜ必要なのか

1 〈情報〉とは何か
2 マスメディアのコミュニケーション
3 テレビ批判とメディア不信
4 テレビのためにリサーチャーができること

補論 「善良な風俗」って何だろう?――放送法からコミュニケーション政策を知る

1 放送法「番組準則」
2 なぜ「削除したほうがいい」原則があるのか
3 なぜ「及び善良な風俗」が追加されたのか
4 日本のコミュニケーション政策の傾向

主要参考文献

おわりに

高橋 直子(たかはし・なおこ)

1972年、秋田県生まれ。
國學院大學大学院文学研究博士課程後期終了。博士(宗教学)。
明治学院大学国際学部付属研究所研究員、テレビ番組リサーチャー。
専攻は宗教学。
著書に『オカルト番組はなぜ消えたのか――超能力からスピリチュアルまでのメディア分析』(青弓社)、共著に『媒介物の宗教史』(リトン)、『神道はどこへいくか』(ペリカン社)など

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