『言ってはいけない宇宙論』|1ミリも興味ない!なら読もう!

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こんにちは。あさよるです。昨日から理科系の本が続きます。個人的に、夏になると理科の本が読みたくなるのは あさよるだけでしょうか。たぶん、夏休みの理科の自由研究のイメージが未だに残ってるのかも。あと、夏休みに昆虫採集したり、天体観測をしたり、普段できないことをできるのが夏休みだったからかもしれない^^

ということで、今日は『言ってはいけない宇宙論』という、なにやら恐ろしい、あるいはインチキくさい!? タイトルの新書を手に取った次第(`・ω・́)ゝ 内容は、物理や宇宙の話についての入門書です。たぶん、物理学が好きな中学生なら読めるんじゃないかな~。面白かったです(`・ω・´)b

物理学者も答えられない質問7

本書『言ってはいけない宇宙論』は「物理学7大タブー」となにやら物々しい副題が付いていますが、物理学者に聞いても答えられない質問、つまり7分野の「今の物理学ではわからない話題」が紹介されています。新書ですから、宇宙や物理が好きな中学生なら読める感じです。入門書的な内容なので、宇宙や物理学の本を日頃から読んでいる方にとっては、物足りないかも。

本書の面白いところは、わからないことはわからないと書き、少数派意見や、現在では否定されている考えも紹介されている点です。つまり、物理学だって万能じゃないし、わからないことだらけだし、間違ったり勘違いしながら進歩してきたことがわかります。また、多くの物理学者が否定している説(つまり「トンデモ」説)を未だに主張し続ける人がいたり、今では正しいとされている定説も発表当時は冷笑されていた話題など、「人類の進歩の歴史」を軽快なノリで紹介しています。ちなみに、物理学者たちのゴシップ的な話題も(アインシュタインの女性関係とか)も触れられており、著名な物理学者たちもわたしたちと同じ人間である事が強調されているように感じました。

若い10代の方なんかにオススメですね。これらか将来、物理を専攻する方もいるだろうし、偉人伝を読むよりずっと身近に感じるんじゃないかと思います。

他世界解釈、人間原理……フィクションよりも斜め上をいく!

あさよる的に面白かったのは「他世界解釈」や「人間原理」といった話題。

他世界解釈とは、粒子の振る舞いが、Aの場合とBの場合の2パターン起こり、そこで世界が分岐してしまうというのです。どんどん世界は分岐し、枝分かれした世界がたくさんあるというのです。

AIが人間のような知性を持てない理由なんかも面白くて、

人間の知性はどこがコンピュータや機械知性とちがうのでしょうか。(中略)ペンローズ教授の大胆な推測によれば、波動関数の収束は重力の関わる物理現象であり、将来完成する量子力学理論で初めて説明されるといいます。
そしてペンローズ教授のさらに大胆に飛躍する推論だと、脳は波動関数の収束をその動作原理の一部として用いていて、それが人間の脳とコンピュータのちがいをもたらしているというのです。脳の中では波動関数の収束が絶えず起きていて、それこそが、人間の知性を実現している物理過程だということです。コンピュータやアルゴリズムが欠いているのは、波動関数の収束だというわけです。

p.212-213

ここだけ抜き出してもサッパリですが、あさよるの能力ではどんなに説明しても絶対説明できないのでお許しくださいm(__)m この↑の話題で思い出したのは、以前あさよるネットでも紹介した『単純な脳、複雑な「私」』です。

この本の中で、脳の「ゆらぎ」が紹介されています。同じ池谷裕二さんの本でズバリ『ゆらぐ脳』という本もあり(こっちはブログ未紹介です;;)、脳はコンピュータと違って、時々ランダムにブワッと揺らいでしまうそうです。

その揺らぎがあるから、例えば一列に並んでエサを運んでいるアリの中から、列を抜けて別の方向に歩きだしてしまう個体が現れます。列から離れた個体が、別のエサを見つけるかもしれません。ランダムに脳が揺らぐことで、生命は突然別の行動を取り始め、そのせいで多様に変化し、進化してきたというもの。

はい、先の「波動関数」と関係あるのかないのかすらサッパリわかりませんが、コンピュータと人間の脳の違い、という話題で、紹介してみました。繰り返しますが、よくわからんまま読んでいるので、正確性は一切保証しません!(言い切った!)

あと「人間原理」の話ですね。世界がどんどん分岐して他世界が創られているなら、今、人間が誕生した宇宙は「人間が生まれてくる宇宙だった」と言えるんじゃなかろうか。宗教のような話ですが、物理学者が真剣に人間原理を考えてるって面白いですね。

あさよるのように気楽に読みましょうw

先に紹介したように、本書『言ってはいけない宇宙論』は、宇宙や物理学の本を日頃から読んでいる人にとっては「なにを今更」な内容だと思います。だから、本書を楽しく読めるのは物理や宇宙の話なんてよくワカンナイ初心者です。もしあなたが「物理の話って難しそう」「素粒子って何?」「量子力学?1ミリも興味ない!」って感じなら、あなたは本書のターゲットとする読者層! 読みましょう!

大丈夫! 全然難しくない!……とは言わないけど、ややこしい話はテキトーに読み飛ばして、本書の上澄みをちょっと味わうような気楽な読書をオススメします! すると、今まで触れたことのないような、SFやアニメの設定でもなさそうなとんでもないような説を、世界を代表する秀才たちが考えているのがわかるでしょう。

そう、「こんなことクソマジメに考えてるの!?」というのが、本書が読者にもたらす驚きだろうと思います。

以前ね、音楽やアートの話をしているときに、物理や量子力学の話になり、他世界解釈とかこの宇宙は11次元あるとか、人間原理とかが話題に上ったんですよ。それは、ひょっとするとアートの世界よりも科学、物理学の世界の方がすごすぎて理解できないって話でした。そして、アートを語るなら、こういう今考えられている世界観・宇宙観を理解しなきゃいけないかもね、という結論に。確かに、本書『言ってはいけない宇宙論』を読むと、頭がクラクラするほどに、自分が生きている世界の感じ方が変わって感じます。

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関連記事

 

言ってはいけない宇宙論 物理学7大タブー

目次情報

タブー1 陽子崩壊説

素粒子界を支配するルールを探せ

究極の基本粒子の条件とは
クォーク6種とレプトン6種
5種の媒介粒子とヒッグス粒子
素粒子の大統一理論

カミオカンデの憂鬱

ノーベル賞をもたらした、かわいい「カミオカンデ」
陽子の寿命が尽きるのを見届ける装置
3000トンの水をひたすら監視
もしや大統一理論は間違ってるんじゃないか

超新星1987A

ニュートリノ天文学の誕生
うまいこと変更された「ンデ」の意味
ニュートリノ振動
ところで陽子崩壊はどうなった

タブー2 ブラック・ホール大爆発

奇妙な天体の発見

始まりは相対性理論
重力が計算できるシュヴァルツシルト解
ブラック・ホールなんてないだろう論
19歳青年の奇怪な説「星が潰れる」
ぴったりな呼び名「ブラック・ホール」
存在を裏付ける天体がぼこぼこ見つかる

エントロピーとホーキング放射

ブラック・ホールがエントロピーを持つんだって?
エントロピーとは「知ることができない情報の量」
気体分子10個が入った箱の、状態は何通り?
状態の数が無限にならないわけ
エントロピーは温度で変化する
真っ黒な宇宙の穴ぼこ……というわけではない
本もあなたも電磁波を放射している
ブラック・ホールの概念を変えた「ホーキング放射」

ブラック・ホールと宇宙、それぞれの最期

しまいには大爆発
理論物理学業界も大爆発
ブラック・ホールの熱力学
物理学の未解決問題「情報パラドックス」
宇宙の終焉はどんなものか

タブー3 エヴェレットの他世界解釈

量子力学の誕生

身近な物理法則が通じない世界
量子力学はまるで禅問答
粒子なのに波動の性質を持つとは何だ?
ふしぎなコペンハーゲン解釈
髪のサイコロとシュレーディンガーの猫
ボーア、怒りの大反論

他世界解釈があらわる

世界は無数に分裂しているんだって?
大学院生の説が次第にファンを獲得
他世界は実在するのだろうか
他世界解釈に基づく量子コンピュータ
とはいえ量子力学は大変実践的

タブー4 異端の宇宙

宇宙の記述に取り組む

宇宙はどんな形をしているのか
縁や端はある? 有限か無限か?
「望遠鏡で自分の高等部が見える」
アインシュタイン狼狽する

自由すぎる宇宙解の世界

奇怪な宇宙解が続出、鼻白む天才
銀河、逃げ散る
ハッブル擁護派と様子見派
ミルン宇宙、爆発する
ホイル、無から物質を創造する
アインシュタインしくじる

宇宙マイクロ波背景放射

エアコンでわかる初期宇宙の描像
宇宙物質98パーセントの由来を見事に説明
ホイル、ビッグ・バンを命名する
ペンジアスとウィルソン、鳩の糞を掃除する
宇宙マイクロ波背景放射がもたらしたもの

タブー5 ダーク・マターとダーク・エネルギー

「見えない物質」見つかる

僕らはみんな「天の川銀河人」
宇宙最大の天体・銀河団
ツヴィッキーの「冷たくて暗い物質」
驚くべき先駆性と残念過ぎる人格

ダーク・マターの正体は何か?

ダーク・マターは光らない星説
ダーク・マターはブラック・ホール説
暗くて重いが、量は足りない
ダーク・マターはニュートリノ説
思ったより軽かった
アクシオンか超対称性粒子か何らかの素粒子説
まだ見ぬ素粒子「アクシオン」
素粒子倍増! 景気のいい超対称性理論
まだまだある奇妙なダーク・マター候補

「見えないエネルギー」まで見つかる

もっと! 加速する! 宇宙膨張!!
アインシュタインが投げ捨てた宇宙項、復活
私たちは宇宙の5パーセントしか理解していない

タブー6 量子重力

量子力学の限界

何が問題なのか
量子力学の偉大な小ささを讃えよ
理論をくつがえす「プランク長」の世界
破綻の元凶は重力
できていないが名前だけである新理論

期待の量子重力理論

全てを解決してくれそうなスーパー理論
ブラック・ホールの特異点を解消しそう
情報パラドックスを解決しそう
宇宙の始まりがわかりそう
観測問題が解決されそう
人間の知性の秘密もわかるかも
チューニングの証明
なぜコンピュータには知性が持てないか
完成まであと何歩?
1回の実験に300万年以上かかる

ファンタスティックな「超ひも理論」

11次元のファンタジー
我々は押し潰されたせんべい生物らしい
布が漂う宇宙イメージ
超ひも理論の華々しい「成果」
宇宙という実験装置に期待
重力来たりて量子重力進展?

タブー7 人間原理

宇宙原理と人間原理

慎ましやかな「宇宙原理」
科学は人間を謙虚にしてきたはずが……
渡る宇宙は親切ばかり
太陽は私たち生命になんとも都合がいい
地球は特別な惑星なのか
そもそも生命は都合のいい星に発生するはず
超ひも理論による無数の宇宙
「人間原理」で侃侃諤諤
インフレーション理論の描く「マルチバース」
「生命の発生」を前提にし物理理論を考える派閥
人間原理は宇宙の加速膨張を予言していた?

ゴット推定

ゴット推定とベルリンの壁
ゴット推定と人類最期の日
ゴット推定と天の川銀河大帝国
当てずっぽうだが否定もできない

地球外生命体はいるだろうか?

前世紀に習った知識は時代遅れに
太陽系内に探査機を送ってわかったこと
太陽系外の惑星は5000個もあった
期待を集める地球型惑星の大気組成
人間原理が正しいかどうか宇宙人に聞いてみよう

注釈

小谷 太郎(こたに・たろう)

博士(理学)。専門は宇宙物理学と観測装置開発。一九八七年、東京都生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。理化学研究所、NASAゴダード宇宙飛行センター、東京工業大学、早稲田大学研究員などを経て大学教員。教鞭を執るかたわら、科学のおもしろさを一般に広く伝える著作活動を展開している。『理系あるある』『知的好奇心をくすぐる「理系」のおもしろ話』『知れば知るほど面白い、不思議な元素の話』『科学者はなぜウソをつくのは 捏造と撤回の科学史』など著作多数。

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