『平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学』

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こんにちは。「読書っていいですよね(#^^#)」ってしみじみ言いたい あさよるですが、やっぱね、たまにね、嫌な気持ちになる読書ってのもありまして。

この『平気でうそをつく人たち』もその類だったなぁ、と。

本書が悪い本って訳ではなくって、自分の過去の嫌な記憶を呼び覚ますものでした。

それは自分自身に起こったこともあるし、仲の良かった友人や仲間が苦しむ、嫌な話でもあります。

自分のどうにもならない話。友人がどうもしようとしない苛立ち。「どこに持って言っていいかわからない気持ち」とでも言いましょうか。

こういう人いるよね~

本書『平気でうそとつく人たち』では、欺瞞に満ちたうそつき達が次々登場します。

長男が拳銃自殺で使った銃を、次男へクリスマスプレゼントする両親。

息子を追い詰め、パフォーマンスとして息子を精神科医に見せる親。うそをついているのは親なのに、うそを認めるくらいなら、息子を生まれながらの障害を負っていると主張する。

母親からプライバシーを奪われ、口を閉ざす娘。

性に奔放な女性が、自分のコピーとして娘も奔放に振る舞わせる母。そして、その母から離れられない娘。

自信のないだらしない夫と、夫からすべての自信を奪ってゆく妻。

すべての話はセンセーショナルな話題ですが、でも、そういう人っているよね……と感じます。

共依存している夫婦や親子、よその家族感の人間模様は理解しがたいものがあります。

目に見える暴力や窃盗等は起こらずとも、「あれ?なんか変だぞ?」とゾッとすることありませんか?

 邪悪な人間とは、こんな人である――

●どんな町にも住んでいる、ごく普通の人。
●自分には欠点がないと思い込んでいる。
●異常に意志が強い。
●罪悪感や自責の念に耐えることを絶対的に拒否する。
●他者をスケープゴートにして、責任を転嫁する。
●体面や世間体のためには人並み以上に努力する。
●他人に善人だと思われることを強く望む。

『平気でうそをつく人たち』カバー

話が、わかりにくっ!

精神科の開業医である著者が、自身の経験の具体例を紹介しつつ、話は進みます。

「ああ、こういうのあるよね~」とか「いや、さすがにこれはないやろ」と突っ込みながら、読むのは楽しいのですが……うーん。

アメリカの開業医である著者の話ですから、キリスト教の考えが話の前提としてあるんですね。

絶対的な「真理」が存在していて、人々はそこから外れた行いを繰り返している。欺瞞のためにうそをつく邪悪な人々。

邪悪で悪魔に魅入られた人々を、科学的にアプローチできないのかと模索がなされているようです。しかし……

“悪魔”に付け込まれた人々の、“悔い改め”は宗教者の仕事では?という素朴な疑問。

医学的アプローチと、心理学の話、そして信仰の話がごちゃごちゃと入り混じっており、ヒジョーにややこしい!

人情?欺瞞?悪魔?

平気でうそをつく人たちは、ナルシズムを守るためにうそをつきます。そのためには、我が子を病院送りにしたり、不道徳な行いに手を染めるまで追い詰めます。

中には、読んでいるだけで胸糞悪い話もあるものの、概ね、誰もが出合ったことのあるような話でもあります。

むしろ、自らの欺瞞のために他者を悪者にする行為は誰もがやっていることかもしれません。少なくとも あさよるは自分のためにうそをつくことがあったと思います。

ただ、厄介なのは、この手の人々(あさよる含む)は、うそをついていることに、本人が気づいていない。むしろ、自分のことを、正しい行いをする品行方正な人物だと信じている。

あるいは、可哀想な境遇に置かれているのが自分であって、悪いのは他者や社会だと思っている。そして、助かる気がない。

……こんな話、誰だってあると思いませんか?多かれ少なかれ。

一体だれが悪いんだ!?

『平気でうそをつく人たち』は悩ましい書物です。

一見、善人に見える人物の“悪”を見ぬき、科学的に悔い改めさせようという試み。それは一見、正しい行いに思えます。

本書内では、著書は根気強く辛抱強くクライアントに向き合います。

しかし、また著書だって不完全な人間である以上、自分のためのうそをつくでしょう、真理の名のもとに。

じゃあ、一体誰が悪なんだ!?

…「全員悪だ」というのがオチなのかなぁと思いつつ、日本人でかつ関西人である あさよる的には「人情ですなぁ」と言いたいところですが、いかがでしょう。

でもなー、ほんとにこんな話を見聞きすることがあるし、どうにもならないことが歯がゆく思う。アメリカでは一応でも、家族が精神科にかかるんだから、すごいなぁ。

平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学

目次情報

はじめに――取り扱いに注意

第1章 悪魔と取引した男

ある脅迫神経症患者の場合

第2章 悪の心理学を求めて

モデルと神秘について
生と死の問題
ボビーとその両親
邪悪と罪悪
ナルシズムと意思

第3章 身近に見られる人間の悪

ロージャーとその両親
ハートレーとサラ
精神病と人間の悪
ブードゥー教の夢
クモ恐怖症

第4章 悲しい人間

はじめに混乱ありき
子供か大人か
自分だけのやり方
素敵な機械の夢
勝利なき戦い
邪悪と権力

第5章 集団の悪について

ソンミ村虐殺事件
個人の悪と集団の悪
集団の責任

第6章 危険と希望

悪の心理学の危険性
愛の方法論

訳者あとがき

M・スコット・ペック [M.Scott Peck, M.D.]

ハーバード大学で社会関係学修士号、ケース・ウェスタン・リザーブ大学で医学博士号を取得。ベトナム戦争当時の米軍に精神科医として9年間勤務後、1972年にコネチカット州ニュープレストンで心理療法カウンセラーを開業。同州ニューミルフォード病院精神神経科クリニック所長も務める。
1978年、ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー・リスト連続掲載13年を記録する超ベストセラー、The Road Less Traveled(邦題役『愛と心理療法』氏原寛/矢野隆子訳、創元社刊)を発表後、コミュニティーと世界の平和・理解を促進するための非営利団体「コミュニティー・エンカレッジメント財団」を設立 全米各地で講演、ワークショップなどの活動をおこないながら、文筆活動を続けている。
死後の世界を語る大人のファンタジー、In Heaven as on Earth(邦題訳『死後の世界へ』森英明訳、集英社刊)など、十数冊の著書がある。

森 英明(もり・ひであき)

翻訳家。1961年、上智大学外国語学部卒業。おもな訳書に、ヒューゴー・コーンウォール著『産業スパイ・ハンドブック』(プレジデント社)、ポール・アンドマン著『ゼロクーポンを買い戻せ』(新潮社)、M・スコット・ペック著『死後の世界へ』(集英社)などがある。

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