ちきりんさんはTwitterでもちょこちょこチェックしていて、新刊が出る度気になっている(今回読んだ『マーケット感覚を身につけよう』は2015年の本だけど)。とっつきやすくて誰にでもわかるように話が展開されていく、読みやすい本だ。だけど、書いてある内容は毎度「なるほど」と納得。
市場を間違えば価値がなくなっちゃう
本書でなるほどと思ったのは、若くてイケメンで性格も良い男性が、結婚相談所に登録したところ、年収が低いためお見合いをしてもマッチングしないというお話。女性は年収でしか男性を見ていないというよりは、彼は市場を間違えている。どうしてもマッチングサイトやお見合いサイトなんかだと、年収や年齢というわかりやすい基準で篩い分けることになる。普通に出会えば、性格がよくていい人ならば、彼を選ぶ人もいるだろう。
市場を間違えてると、価値があるはずのものだって、価値がつかなくなってしまうのだ。
インターネットが市場を変えた
インターネットの登場で、市場が大きく変わっていることも忘れてはいけない。婚活の場合だと、昔ならお見合いで「嫌な人でないなら」良かったものが、婚活サイトで何百何千もの人の中から一人の人を選ぶとなるとどうしても「一番いい人」を選ぼうとしてしまう。もちろん、それが悪いことというわけはないし、社会は変わっているのだ。
就活だって、ネットでエントリーできるから、100社応募したなんていう猛者が現れる。ネット前の就活はそういうわけにはいかなかったらしい。だから、いわゆる「コネ」も大切だった。今は、ツテがなくても情報を集められるから、より多くの企業にエントリーできる。
わたしたちはもうすでにそれが当たり前になっていて、以前がどんなだったかも忘れちゃってるんじゃないだろうか。
どこで売るか
クオリティを上げたら売れるとか、安売りすれば売れるわけではない、というのが、本書を読んでよくわかった。良い物でも売れないものもあるし、高価でも売れているものもある。つまり、どんなものを売るかより、「どこで誰に売るか」がとっても大事なのだ。
マーケット感覚を身につけるとは、「安売りすれば売れる」「良いものなら売れる」という考えからまずは脱却して、「どこでなにが売れるか」「これから何が売れるか」考えることなのかも。
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マーケット感覚を身につけよう 「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
- ちきりん
- 2015/2/19
- ダイヤモンド社
目次情報
はじめに
序 もうひとつの能力
ANAの競合を論理的に分解する
顧客の利用場面を想像する
論理思考とマーケット感覚1 市場と価値とマーケット感覚
市場を理解するための要素
価値とは何か?
価値を論理的に思考する
マーケット感覚は学べるスキル2 市場化する社会
相対取引だった昔の就職活動
相対取引から市場取引へ
婚活も市場化!
市場化を加速するネットの思想
再構築される序列とグローバルな市場統合
需給で決まる価値
需給バランスに振り回される難関資格職業
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NPOに負けているビジネス部門
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必要なのは知識ではなくマーケット感覚4 すべては「価値」から始まる
マーケティングとマーケット感覚
「価値」を見極める
非伝統的な価値の出現
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「選んでもらう」という価値
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「市場創造」があ世界を豊かにする5 マーケット感覚を鍛える5つの方法
その1 プライシング能力を身につける
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規則や罰則で問題を解決しようとしないその3 市場に評価される方法を選ぶ
すべての人にチャンスを与える市場
属人的な組織評価からの脱皮
「ふるさと納税」の画期的な意義
作り込みより「とりあえずやってみる」その4 失敗と成功の関係を理解する
学びに不可欠なふたつのステップ
フィードバックを得ることが目的
成功への標準プロセスが変わるその5 市場性の高い環境に身を置く
ニート向けの本を1700円で売る出版界
市場性が極めて低い学校
公的分野の人にも必要なマーケット感覚終 変わらなければ替えられる
「変」or「替」
市場が規制を変える
守られているほど危ない
一生ひとつの専門性は無理
親が子供に伝えるべきこととは?さいごに
参考文献
ちきりん
関西出身。バブル期に証券会社に就職。その後、米国での大学院留学、外資系企業勤務を経て2011年から文筆活動に専念。2005年開設の社会派ブログ「Chikirinの日記」は、日本有数のアクセスと読者数を誇る。11万部のベストセラー『自分の頭で考えよう』を始め、著書も多数。近著にブログの戦略的な運営方法をまとめた『「自分メディア」はこう作る!』など。
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