日本の政治

『ごみ収集という仕事』|衛生・治安・財産・情報を守る仕事

こんにちは。あさよるです。図書館で何気なく目に留まって読み始めた『ごみ収集という仕事』が、とても良い本でした。図書館はこういう出会いがあるから、書店、古書店とは違った魅力がありますね。

本書は、大学教授である藤井誠一郎さんが、約1年近く、実際に新宿区のごみ収集の仕事を経験し、その経験や職員への聞き取りなどをまとめたものです。ごみ収集って、ものすごーく身近で見慣れた風景でしたが、実際にどんな仕事をしているのか知らないことばかりでした。

また、10代の人でも読める内容で、自由研究のお手本にも良い本だと思います。

ごみ収集こそ行政サービスなのかも

『ごみ収集という仕事』は、大学教授である藤井誠一郎さんが、実際に新宿区のごみ収集の仕事を9か月間、働きながらごみ収集の仕事や、そこで働く人へインタビューしたレポートです。

本書を読んで一番に思うことは「ごみの分別は大事すぎる」ということと、ごみ収集の仕事に従事する人たちがマジ神対応すぎること。そして、あまりに臨機応変な対応ばかりを求められるようで、ごみ収集は民間への業務委託していると、そのうち破綻してしまうサービスだと感じました。

ごみの処分は、行政じゃないとできない仕事でしょう。個人で全てのごみを処理することは現実的ではないし、ごみはその町の衛生状態や治安にも関わることだからです。

業務委託じゃダメな理由

本書『ごみ収集という仕事』を読むと、ごみ収集の仕事は民間委託だとサービスの質がいつまで維持できるのかわからない、危ういものだと感じます。ですが昨今、民間委託されている場合も増えており、また忙しい時期だけ期間限定で人が増員されるそうですが、それが原因で現場が混乱し、公共の衛生がかなりギリギリで保たれていることがわかりました。

ごみには個人情報が詰まっている

まず、ごみには個人情報が詰まりまくっています。ごみ袋を手に持って、ごみ収集車に投げ入れる際、瞬時に中身を判断し、安全に収集をしなければなりません。ときにはその場でごみ袋を開け、中身を確認し、ごみ出しのルール違反しているならシールを貼ってその場に置いておきます。一人暮らしが多いマンション。ファミリーがたくさん住む住宅街。年末年始など季節の行事があると、出るごみも変わります。人々の暮らしが如実に現れるのです。

ごみを収集車に積み込んで、収集したごみは後で中身を開け、焼却できないものを抜き取り作業をします。

ごみってかなり繊細な情報を含んでいますから、民間委託ではなく、行政が人を雇って仕事をしてほしいなぁと思いました。

また、違法行為が想像されるようなごみというのもあるそうで(病院がないはずの場所で、医療器具が捨てられる等)、警察との連携についても触れられていました。

ごみを集めるだけが仕事じゃない

ごみ収集の仕事って、ごみ袋を町で集めて、焼却場へ運んで修了ではないんですね。ごみを持ち帰った後も、ごみ袋を開け、焼却できないごみを取り除く作業が続きます。

不燃ごみの場合も、中身を取り出しハンマーで叩いて体積を減らしてから次の工程へ移されるそうです。

だから、どこで集めたごみに、どんな中身が入っているかは、紐づけすることも可能でしょう。すごく情報の取り扱いが繊細な作業であろうと感じます。

とにかく危険

ごみ収集の仕事をするために、破傷風予防の注射を打っているそうです。

ごみ収集の際、スピーディーにごみ袋をつかんで収集車へ投げ入れるハードな業務なのですが、そのごみ袋から爪楊枝や竹串が飛び出していたり、時には注射器の針が出ていることもあるそうです。

また、ごみ収集車は、ごみをプレスして嵩を減らすのですが、そこへタイミングよくごみを投げ入れるのも大変な作業のようで、見ているとヒョイヒョイと軽々と作業されれているように思っていましたが、かなり危険と隣り合わせで、高い集中力と、チームプレーが必要とされる難しい仕事です。

住民のQOL、衛生、治安維持に大きく関わる

ごみの処分は、その一帯の衛生状態や治安にも関わる大事なことです。市民の生活の質を担保する大切な仕事と言えるでしょう。

「時間がなくてごみが集められなかった」なんてことは許されませんから、綿密な計画と、その計画通りに仕事が実行される必要があります。また、ごみ収集をしている間、他の交通の妨げにならないよう、急いで作業しなければならない道路や、破裂して中身が飛び散った場合、道路や、汚れてしまった建物や車など、その清掃も収集員の仕事の一部だそうです。

本来、ごみ出しのマナーが悪いのは、ごみを出した人なのに、しわよせがすべて収集員に寄ってくるのはいかがなものかと感じました。しかし、そんなこといちいち交渉している時間もないようで、その場その場で臨機応変に対応し、効率よくごみを集めることが優先されているようです。マジ神対応すぎて頭が下がります。

住民への配慮がすごい

平常時のごみだけでなくシーズンごとのごみや、イベントで出るごみもあります。

年末には「家をきれいにして正月を迎えて欲しい」と、ごみの量が増えてもそれに粛々と対応するそうです。また、正月明けにはどっと大量のごみが町に出され、それを収集するのもかなり大変。

また、地域のお祭りやイベントがあると、そこへ出るごみをわざわざ別口で取りに行きます。しかし、約束の時間にごみを取りに行っても、きちんとごみ出しが終了していないことが多く、再度出向くことも少なくないそうです。こんなのも、注意すればいいと思ってしまいますが、だからと言って、ごみを放置することもできませんから、相手に振り回される形で、対応するしかない悪循環も記録されていました。

ごみ出しのルールが守られていない場合、シールを貼って注意喚起をしたり、住民に直接ごみ出しの指導をすることもあるそうです。また、ごみ収集中に住民からごみ出しについて質問されることもあるそうで、瞬時に的確にこたえる必要もあります。

ごみが破裂したり、液体が飛び散ったりした場合は、身を挺してそれを阻止し、急いで汚れを清掃するそうです。この心配りがマジですごい。ごみ出しマナーを守らない人が悪いのに、神対応し続けるごみ収集員は大変な仕事です。

作業員のコミュニケーションと気配りで成り立っている

ごみ収集の経路はかなり綿密に計算され、無駄がないようコースが考えられ、人員が配置されているそうです。また、ごみ収集にも、作業員の同士の阿吽の呼吸で、スムーズに仕事ができています。だから、作業員同士のコミュニケーションがとても大事で、収集の計画についても、密に情報交換がなされてこそ成り立っているようです。

なので、業務委託をして、数年で作業員が入れ替わったり、繁忙期だけ人を増やしたところで、それが逆にトラブルの種になり、ごみ収集の妨げになります。

しかし、「ごみを放置する」という選択はないわけで、今のところはかなりギリギリのところで、衛生状態が維持されている印象でした。これは危うい。やっぱり、「ごみを放置する」という選択は絶対ナシなんだから、常に余裕を持った人員の配置をしておいて欲しいなぁと思いました。

研究者は研究室にひきこもってるワケじゃない

本書『ごみ収集という仕事』は、大学の先生が9か月間、実際にごみ収集やってみたという本です。特に文系の研究員の場合、意外にもフィールドワークをたくさんしていて……というか、フィールドワークが仕事な人もいますし、「研究室にこもっている研究員」とは違ったイメージを持たれるでしょう。

この『ごみ収集という仕事』は、10代の方でも読める内容だろうと思います。これから自分の進路や、どんな研究をしたいのか考えるとき、本書は参考になるでしょう。「なんだか面白そうだなぁ」と思う人もいると思います。

また、自由研究をするときのお手本にもなります。勉強は机に向かってすることだけじゃなく、外へ出て自分で何かを経験をすることで知ること・分かることもたくさんあります。自分のいつもやっていることや、好きなことをの中から、実際に経験したことを、レポートとしてまとめてみるのも良いでしょう。

ぜひ読んで欲しい!良書

『ごみ収集という仕事』は、図書館でたまたま目について読み始めただけでしたが、とても良い本でした。「ごみ収集」という身近な存在ですが、どんな業務なのか知らないことばかりでした。

「ごみの分別」がうるさく言われる理由もわかりました。みんながきちんと分別すれば、作業員の仕事も減りますが、みんながルールを守らないと、どんどん仕事が増えてしまいます。

「ごみは放置できない」からこそ、その場その場で臨機応変な対応が求められており、システマチックに遂行できる仕事でないことも知りました。道幅や交通量、住民の家族構成や季節、行事などなどなど、不確定要素しかなく、画一化できません。コンピューターが一番苦手な分野の仕事でしょうから、今後も人力で、人海戦術的にやり続けるしかない業務じゃないかと思います。

かなり危険な仕事で、きつく、ごみを扱う仕事で、かつ衛生状態や治安など、その地域の安全や財産にも関わる重大な仕事です。また繊細な個人情報も扱います。ごみ収集こそ、行政しかできない仕事だろうと思いました。これはすごい仕事だ。

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『あした選挙へ行くまえに』|なにを投票するの?

こんにちは。世間のトレンドについていけてない あさよるです。選挙ですよ!今さら感はありますが、ちょいと勉強くらいしておこうと、池上彰さんの『あした選挙へ行くまえに』を手に取りましたよ。

池上彰さんと言えば、開票速報芸が風物詩になりつつありますが、池上さんがどんな感じで「選挙」を語るのかも興味がありました。ちなみにに本書は「14歳の世渡り術」という河出書房新社のシリーズで、社会人が中学生に語りかけるような内容が多く、このシリーズが好きだったので、二重に期待!

ちなみに、小中高で習った社会科のおさらいをするような内容も多いので、大人にもオススメ。自分の知識の再確認にぴったりです。

「選挙へ行こう!」投票のススメ

本書『あした選挙へ行くまえに』の「おわりに」で、本書のねらいが紹介されています。

 この本で私は、「選挙は、あなたが払った税金の使い道を決める人を選ぶのだ」と書いてきました。
あなたが苦労して払った(納めた)大事なお金。ムダ遣いされては困ります。
お金を稼ぐのに苦労し、自分や家族がお金を使うときにはうるさく言うのに、税金の使い道には無関心。こんな人がいますね。これでは、せっかくのあなたのお金(税金)が、ムダ遣いされてしまいます。
税金を有効に使うためにも、投票に行き、税金を上手に大切に使ってくれる政治家を選ぼうではありませんか。

p.189-190

選挙制度や国会の話題はいつも、ネガティブで悪い話ばかりが飛び交います。そんなのをずっと聞いていると、「選挙なんかやってもムダじゃね?」とか「どうせ政治家なんて庶民のことなんて考えてないんだよ」なんて言いたくなります。それは、もちろん事実でもあるだろうし、民衆の感情を煽っている報道に疲れているコトもあるかもしれません。

「でもねでもね……」というのが、池上彰さんの『あした選挙へ行くまえに』です。確かに、日々政治家の不祥事のニュースなんて聞いてると嫌になっちゃいますが、「それでも選挙へ行こうよ」と呼び掛けているのです。

それは、なんだかんだいいつつも日本で暴動が起きないのも、社会保障が充実しているのも、政治の力だし、また日本の選挙制度は、権力を分散し、腐敗を招かないように苦心されているんですよ、と。んで、確かに今の政治のニュースって嫌んなっちゃうけど、それでも改善改善され続けてきて今があるという。これは、今後もっと良くなるために、我々も政治に参加しないとねというお話。

なんのための選挙?

まず、日本の選挙は明治以降かなり変わり続けています。そもそも、税金の使い道を決めるために政治家を選ぶので、税金をたくさん払っている男性に選挙権が与えられていました。1890(明治23)年、金額は15円、今の金額で数千万円の税金を納めた人です。貧乏人に選挙は無縁だったんですね(;’∀’) 1925(大正)年、25歳以上の男性全員に選挙権が与えられました。女性に選挙権が与えられたのは第二次大戦後のこと。年齢も20歳に引き下げられました。選挙権持っている人の変遷を見るだけでも、選挙制度がガラリと変わっているのがわかります。

日本では20歳になれば自動的に選挙権が与えられお家に選挙のお知らせが届きますが、アメリカでは選挙前に選挙権を自分で申し出ないと投票できないそうです。こんな些細なことでも国のかたちが違うのがわかりますね。「20歳になれば選挙権があって当たり前」ってことではないんですね。

選挙では代表者を選び、わたしたちが納めた税金の使い道を決め、不正がないか見張らせるための仕事があります。だから国会が予算案を決めるんですね。

例えば、義務教育の費用は税金が使われます。みんなが読み書きでき、誰もが計算をでき、仕事ができるのは、教育の力です。社会秩序にも関わる大事なお金です。社会保障の充実も同じです。病気になっても医療にかかれるし、歳をとれば年金があるから、貯蓄を溜め込まなくていいし、不安が払拭されます。防衛費も、安心安全にかかわること。これらのことを国会議員たちが大議論するのは当たり前のことです。

で、そのお金の使い道を決める代表者を決めるのが選挙!ってことね。

アメリカの選挙制度も見ておこう

本書『あした選挙へ行くまえに』の面白いのは、アメリカの選挙制度も詳しく解説されていることです。アメリカ経済は日本にも影響があることですし、アメリカの「国のかたち」を知っていてもソンはないっしょ。

まず、〈アメリカ大統領のなり方〉から始まるのも何やら楽しい。アメリカ大統領になるにはアメリカで生まれ、アメリカ国籍を持ち、14年以上アメリカ在住の35歳以上と決まっています。……ですので、あさよるは米大統領になる資格がありません。アメリカ生まれじゃないからです。しかし、例えばアメリカ人と結婚して、アメリカで出産をすれば、子どもはアメリカ生まれのアメリカ人なので、ひょっとすると大統領になるかもしれません。「そんなことあるの?」と思いますが、現にオバマ大統領は父親がケニア人、母親がアメリカ人です。もしかしたら、自分の子どもが大統領なんてことも……?w

いや、冗談ではなく、こう考えると自分はアメリカ人じゃなくても、関係のない話ではないという気がします。

アメリカ大統領になるためには、アメリカの選挙で勝たないといけないのですがアメリカの選挙はややこしい。これはアメリカ建国当時の伝統が守られているそうです。党内で候補者争いから始まり、予備選挙がありぃの、有権者登録をさせ、大統領選挙人と選び……とややこしい! 州ごとに違っているようで、わかりまへん。詳しくは本書で学んでくださいm(__)m

結論は「選挙へ行きましょう」

本書は「選挙は行っとこう」という結論です。まず「選挙権が与えられている」というのは当たり前ではなく、長い年月をかけて手に入れたことである点。納税しているんだから自分たちのお金の使い先を自分たちで決めようということ。今の政治や選挙制度を変更するならその代表者を選挙で選ぼう。

国会で教育や社会福祉、国防、外国人の選挙権などなど、喧々諤々の議論をしているのは、それが選挙で選ばれた代表者の仕事なんですね。あまりに見苦しい誹謗等は除外するとして、白熱した議論の中で突飛な発言や、極端な言葉が出るのは当然なのかもなと思いました。今度からそういう「議論のための発言」もあるだろうと仮定して国会中継を見てみます。

あさよるは結構「選挙って知らんがな~」「めんどいな~」と、消極的なタイプだったんですが、改めて選挙制度を知ると、「ほう、おもしろいなぁ」と能動的に選挙に参加したいと思いました。

せっかくみんな義務を果たしてるんだし(国民の三大義務は教育、勤労、納税{消費税含む})、せっかく権利もあるんだから選挙は行っといてもイイよねって呼びかけですね。

あさよるネットで紹介した池上彰さんの本

『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』/池上彰

『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』|社会、外交、世界を考える

『伝える力』/池上彰

『伝える力』|子どもへニュースを伝える力

『学び続ける力』/池上彰

『学び続ける力』を読んだよ

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