音楽、舞踊、バレエ

音楽ライターになろう! 情熱と才能を活かすためのガイドブック【好きを仕事に】

自分の「好き」を言葉にして、多くの人に伝えられたら……。

きっと今よりより豊かな人生になるだろうなあなんて思います。

しかし考えてみると、今は誰もが常にインターネットに繋がっていて、SNSやブログですぐに発信できる時代。

もう準備は既にできているんですよね。

今回、好きな音楽を言葉にして伝える音楽ライターの仕事を紹介する本を読みました。

もちろん、音楽以外のライターの仕事にも通ずる話でもあります。

それに「夢を叶える」一冊としてもとても魅力的。

ぜひ一回読んでみて!

『音楽ライターになろう!』 情熱と才能を開花させる方法

今まさに夢を見ている人に読んでほしい本に出会いました。

その名も『音楽ライターになろう!』という一冊。

音楽ライター……誰もが一度は憧れたりしませんか?

好きなミュージシャンを追いかけて音楽雑誌を読んでいたあの日を思い出します。

若いあなたは、今まさに夢を見ているかもしれません。

だけど、夢を夢で終わらせるのはもったいない。

いまこの熱い気持ちを文章にして発表しちゃいましょう。

音楽ライターになるための必読書見つけちゃった!

「見つけちゃった」というのが最初の感想。

こんなに丁寧に、夢の実現のためのステップを紹介した本はないんじゃないでしょうか。

とても真摯に。

著者の妹尾みえさんも、若い頃から音楽が好きで、仲間とフリーペーパーを作りレコード屋さんに置いてもらっていたところから、ライターの人生が始まります。

最初はアマチュアなんです。

そこから始まるのです。

音楽の世界で輝くためのヒントが詰まった本!

「音楽が好き」と一口に言っても、いろんな人がいます。

演奏するのが好きな人もいれば、ライブ会場で音楽を聴くのが好きな人もいます。

情熱を「書いてしまう」あなたへ

中には、自分の思いを文章にして書きたい人もいます。

もしあなたが、情熱を文章に「書いてしまう」なら、この本を一度読んでみてください。

すべての人がプロのライターになるとは限りません。

アマチュアとして今ならネットで文章を書きまくっている人もいます。

プロ/アマどちらに進もうか悩むなら、まずは書いてみましょう。

「好き」を言葉に発信するのは、とてもクリエイティブな活動ですよ。

楽しみにしています(`・ω・´)b

  • 妹尾みえ
  • 青弓社
  • 2023/5/26

音楽ライターになろう!

目次情報

  • はじめに
  • 第1章 どうして音楽ライターになりたいの?
  • 第2章 音楽ライターの仕事って?
  • 第3章 好きな音楽だけ聴いていればいいの!?
  • 第4章 私が音楽ライターになるまで/なってから
  • 第5章 ワンランク上を目指して自分に投資しよう
  • 第6章 ライターを一生の仕事にしよう
  • おわりに

『1998年の宇多田ヒカル』|1998年にすべて出そろっていた

こんにちは。宇多田ヒカル世代のあさよるです。本書『1998年の宇多田ヒカル』は話題になっていて気になっていました。1998年にデビューした宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみの4人がどのような存在だったのか、1998年はどのような年だったのかを考察する本です。

あさよるは ヒッキーも林檎ちゃんもaikoもあゆも、まさにど真ん中世代で、今でも大好きです。カラオケでも絶対歌うし!新曲もチェックしてるし!ということで、楽しい読書でした。

若い世代の方も、「昔はありえないくらいCDみんな買っててんで」というのが、大げさではなくマジであることを知ってもらえるかと思いますw

CDが最も売れた年、何があったのか

本書『1998年の宇多田ヒカル』では、日本の音楽シーンにとって特別な年だった〈1998年〉という年に何が起こったのかを宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみの4人のアーティストを通して振り返る内容です。

この本のテーマは三つあります。一つは、1998年は日本の音楽業界史上最高のCD売り上げを記録した年であること。反対に言えばその後CDの売り上げが下がり続けている現状を考えます。二つ目は、日本の音楽シーンのトップ3の才能である宇多田ヒカル、椎名林檎、aikoが同じ1998年にデビューし、その後彼女らを凌駕する存在が現れないこと。最後は、その1998年という特別な年に、著者が出版社のロッキング・オンで音楽誌の編集をしており、間近で1998年の音楽業界を見てきた経験から、こんなに面白い時代を書き残したいという著者の思いです。

本書が出版されたときはまだ、塗り替えられることはないであろうCDセールスをたたき出した宇多田ヒカルは長年の活動休止中でした。アーティストらしく芸能人的ではなかった椎名林檎は近年毎年紅白歌合戦にも出演し、テレビの世界でも活躍しています。デビュー当時、aikoが今なお精力的に活動し続けていると想像した人はどれくらいいたでしょうか。そして、浜崎あゆみは実は、最も多くのオーディエンスのステージに立ち続けていることをご存知でしょうか。

個性も才能もそれぞれ違う宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみの4人を通じ、1998年というターニングポイントを紐解いていきましょう。

1998年の4人

スタジオ育ちの宇多田ヒカル

デビュー当時、宇多田ヒカルがバイリンガルであることや、ニューヨークと東京を行き来して育ったこと、そして藤圭子の娘であることが取りざたされました。しかし、彼女が他のアーティストと違うのは「スタジオ育ち」であり「スタジオが故郷」であるという点です。音楽プロデューサーの父と歌手の母の元に生まれ、小さなころからスタジオが遊び場所で、スタジオで宿題をし、スタジオが落ちつく場なのです。デビュー後はスタジオが彼女を守るシェルターの役割を果たしていたのでしょう。

宇多田ヒカルの音楽には、密閉されたような雰囲気が漂います。彼女は極端なレコーディングミュージシャンで、彼女のキャリアの中でステージに立ったのは、たったの67回(2016年時点)。そして作詞作曲だけでなく、編曲まで手がけ、音楽家・宇多田ヒカルとなってゆきます。

バンドマンの椎名林檎

椎名林檎はソロでデビューしました。今でこそエレキギターをかき鳴らす「ギター女」はたくさんいるけど、当時はちょっと珍しかった。その後〈東京事変〉として活動を始めるのですが、椎名林檎はデビュー当時からライブやレコーディングのメンバーをバンドに見立て、バンド名をつけていました。そもそも、彼女はバンドでオーディションに出場しましたが、主催者側にソロを勧められた経緯があるそうです。現在も、同年代のミュージシャンとバンドとして演奏することも少なくありません。お茶の間にも、バンドマンとして登場し続けているってことですね。

天才aiko

「最も天才なのはaikoかもしれない」という章。1998年当時、宇多田ヒカル、椎名林檎、浜崎あゆみと比べると目立たない存在で、大ヒット曲もなかったaiko。だけど、本書出版時の2016年に、1998年の頃となんら変わらず活動を続けているのがaikoです。aikoは何も変わっていない。曲の雰囲気も、彼女自身のイメージも。反対に言えば、aikoは登場時から完成していたのです。

aikoの活動は頑なで、aikoはいつもファンの方に向いている。雑誌のインタビューにほとんど答えず、テレビも出演する番組は決まっている。フェスには一切出演せず、「aikoとファン」の空間にしか彼女は立たない。

今も最も多くの観客の前に立つ浜崎あゆみ

浜崎あゆみは最も多くの観客の前に立つアーティストです。彼女の私生活やスキャンダルばかり報道されますが、数多くのステージに立ち続けているのです。テレビや雑誌メディアの出演はかつてほどではないからと言って、浜崎あゆみがダメになったわけじゃない。また、作詞作曲を手がける人物を「アーティスト」と呼ぶ風潮も疑問で、多くの観客の前で演奏し続けるのもミュージシャンじゃないか。

ただし、著者の宇野維正さんは浜崎あゆみさんは畑違いのようで、あまりページが割かれていないのが残念。

音楽CDの、終わりのはじまり

本書では〈1998年〉という音楽CDが最も売れた時期を取り上げています。ということは、1998年以降、どんどんCDが売れなくなった年でもあります。

1998年ごろに起こった出来事や風潮の考察がなされてます。

CDとCCCD、8センチCDからマキシシングルへ

そもそもCD自体が「CCCD(コピーコントロールCD)」という、違法コピー防止のためのものが登場しました。これはCDとは規格が違っており、CD再生機器での再生を補償しないというもので、CDに最初にケチをつけたのがレコード会社だったのです。

また、かつてシングルCDは直径8センチメートルのアルバム版より小さなものでしたが、1998年ごろ12センチメートルのマキシシングルへ移行してゆきます。宇多田ヒカルのデビュー曲『Automatic』は8センチ版/12センチ版両方がリリースされ、両方がヒットしました。椎名林檎もaikoも浜崎あゆみもデビュー当時は8センチ版でした。CDシングルがマキシシングルになったことで、消費者からすればCDアルバムと全く同じ代物で、2、3曲しか収録されていないのに1000円もするのは、割高に感じてしまう要因だったのかも?

「アーティスト」と「アイドル」

それまで「歌手」「ミュージシャン」と呼ばれていた人たちが、「アーティスト」と「アイドル」と分けて呼ばれ始めたのもこの頃。宇多田ヒカルも椎名林檎もaikoも、デビュー当時はアイドルのように注目されていました。そういえば、宇多田ヒカルのファッションが話題になり、椎名林檎のライブには彼女のコスプレをしたファンが集まり、aikoはファッションリーダーでした。

かつて、例えば近藤真彦や松田聖子や小泉今日子たちは、歌手であり、アイドル的存在でした。しかし今現在は「アイドル」と「アーティスト」は明確にわけられて認識しています。これは、従来的な(松田聖子や小泉今日子のような)「アイドル」がいないからなのかもしれません。

しかし音楽的に圧倒的な実力がある人物がいれば、誰もが憧れて当然で、アイドルのように崇拝されてもおかしくありません。そういう意味で、2000年代以降は「アイドル」がいなったのかもしれません。

(当エントリーでも、ミュージシャン、アーティスト、歌手等の呼称が混在しています。「アーティスト」というのは収まりのよい言葉ではありそうです。それゆえ乱用されたのでしょう)

アーティストの発言こそが真実?

 日本の音楽ジャーナリズムは、長いことアーティスト自身による言葉、いわゆるオーラル・ヒストリーにあまりにも頼りすぎてきました。そのきっかけとなったのは糸井重里による矢沢永吉のベストセラー『成りあがり』かもしれないし、渋谷陽一(かつてのボスです)がロッキン・オン社の刊行物で作り上げた誘導尋問的なインタビューのスタイルかもしれません。(中略)
でも、「ミュージシャンの肉声」が唯一絶対の聖典のようになった時、音楽ジャーナリズムの役割はそこで終わりです。

p.17

ミュージシャンたちの言葉こそ聖典として語られる反面、ミュージシャンたちは本当のことばかり語るわけでもありません。意図的に事実でないことを発することもあるでしょうし、なにより人は「こうありたい」と願望を語るものです。インタビューで語られていることは事実ではありません。

宇多田ヒカルはデビュー当時から、自身のWEBページで「MESSAGE from Hikki」日記を書いており、当時話題になりました。ミュージシャン自身がネットで日記を近況報告することが珍しかったのです。また、宇多田ヒカルのTwitterアカウントも時折話題になります。

ミュージシャンたちからの言葉はテレビや雑誌からのみでなく、ミュージシャン自身がWEBで発信するようになりました。もはや「本人の発言こそ真実」の魔法も解けてしまっているのではないでしょうか。

なぜ我々はCDを大量に買ったのか

1998年が日本史上最もCDが売れた……しかし今はCDは売れません。そもそも、我々はなぜあんなにCDを買いまくったのでしょうか。本書ではその理由を二つ挙げられています。

  • CDがリスナーが手に入る最も高音質なものだった
  • CDは半永久的に劣化しないと信じられていた

「最も高音質で劣化しない」だからこそ我々はお金を出してCDを買い求めたのです。

そう考えると、コピーするたび音質が落ちるMDや、音質の保証されないCCCDの登場等、レコード会社の失策だったのではないか……ちなみに本書で「レコード会社が悪い」なんて書かれてませんよw あさよるの補足ということでw

CDの時代は終わった

本書『1998年の宇多田ヒカル』を読み、しみじみと「CDの時代は終わったのだ」と痛感しました。あさよるもズバリ宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみ世代で、未だに新譜を追っかけて聞いています。だけど、CD、持ってません^^ つまり、CDはみんなiPodに放り込んで、ディスクは処分しちゃいました。んで、新たに買うのはiTunesで。このスタイルになってすでに7、8年になります。

彼女たちはCDの最後の世代でした。だから世代交代もできません。

宇多田ヒカルの記録は破られないし、椎名林檎はバンドを組み続け、aikoはaikoのままで、浜崎あゆみはステージに立ち続けます。あさよるは彼女らのファンだったから、今だに彼女らの音楽が聴けるのは嬉しい反面、未だに彼女たちが第一線にい続けることは残念でもあります。次の宇多田ヒカル、次の椎名林檎、次のaiko、次の浜崎あゆみが見たかった。

「次世代が生まれない」というのは、さみしいものだ。

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『ゴジラ音楽と緊急地震速報~あの警報チャイムに込められた福祉工学のメッセージ~』

緊急地震速報ってゴジラの音楽ってホント?

答えはNO。

だけど、もっと面白い制作秘話が!

シン・ゴジラが楽しみで^^

2016年夏話題の話題作『シン・ゴジラ』。見に行った人たちの感想を目に耳にするごとに「早く見たい!」と大興奮中です。近々映画館へ行きます(^^)/

すっかり頭の中が“ゴジラモード”になっているとき、SNSで『ゴジラ音楽と緊急地震速報』が紹介されているのを目にしました。

どうやら、あの緊急地震速報が作成されるまでのお話らしいのです。

wkwk

緊急地震速報は「ゴジラ」のテーマ音楽?

「チャランチャラン 緊急地震速報です。チャランチャラン」と、緊急地震速報がテレビから鳴り響く様子を何度も目にしました。あまり聞きたくはない音声ですが、なくてはならないものです。

その緊急地震速報が、ゴジラのテーマ音楽である!!とSNSで話題になりました。結論から言うと、これはデマです。

ですが、面白いのは、緊急地震速報とゴジラの音楽は、全く関係のないことではないんです。緊急地震速報を制作なさった伊福部達さんは、ゴジラのテーマを作曲なさった伊福部昭さんの甥にあたる人物。そして、緊急地震速報の製作にあたり、叔父である伊福部昭さんの楽曲をモチーフとして使用されました。

全然関係のなさそうな出来事が重なって、あの緊急地震速報が作成されてゆく様子が、『ゴジラ音楽と緊急地震速報』が紹介されています。

研究、開発というものは、一見して関連がなさそうなものごとが降り積もって、寄せ集まって、なされてゆくのだなぁと関心しました。

一人でも多くに聞こえるチャイムを!

緊急地震速報はその性質として、一人でも多くの人に「危険が近づいている」ことを知らしめなければなりません。

大人にも子どもにも緊急事態が理解でき、しかし冷静に行動に移すよう知らしめるのです。そして、一人でも多くの聴覚障害者にも届かねばなりません。

緊急地震速報のチャイム音に求められる条件として、以下の五項目を提案した。

(1)注意喚起させる音であること
(2)すぐに行動したくなるような音であること
(3)既存のいかなる警報音やチャイム音とも異なること
(4)極度に不快でも快適でもなく、あまり明るくも暗くもないこと
(5)できるだけ多くの聴覚障害者に聞こえること

『ゴジラ音楽と緊急地震速報』(伊福部達、2012)p.116

また、著作権や、公共性の高いもの故の配慮が必要です。短いチャイム音ですが、そのチャイムの持っている意味が重大ですから慎重に検証も繰り返されます。

バラバラの研究が、組み合わさって新たなものへ

『ゴジラ音楽と緊急地震速報』は緊急地震速報の制作秘話のようにも読めますし、一つの研究が実を結んでゆく様子を物語にのようにもたのしめます。また、伊福部達さんと伊福部昭さんの甥と伯父の絆の物語でもあります。

そして、アイヌ音楽の研究と、日本における西洋音楽との関わり。

「福祉工学」という、聴覚障害や視覚障害者が利用する道具の開発をめぐる、人間の五感に関する考察など、一見、緊急地震速報と関係のなさそうな話題が登場します。

しかし、バラバラであった研究と研究が、偶然やたまたまの人間関係によって結びつきあい、「緊急地震速報」という結晶となりました。研究というのは、一見して何が有益なのか、何がどんな展開を見せるのかなど分からないものだなぁと知りました。

福祉工学に興味津々!

また、「福祉工学」はまだまだ新しい分野で、今後の展開にとても期待を感じます。例えば、聴力の視力の低下は、年齢とともに誰にも起こりえますから、他人事ではないのです。

また、「気配」と呼ばれているものが、聴覚に由来するものであること。それは、魚が持っている能力であり、我々の祖先が海で住んでいた時代に持っていた能力であると推測されており、面白く思いました。

好奇心かきたてられる一冊です!

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