
こんにちは。いつも“真反対の読書”をしようと心がけている あさよるです。
“間反対の読書”とは、なにかハマっていることや、調べ物をしないといけないときって、同じジャンルの本ばっかり続けて読まないといけないことがあります。そんな時はあえて、自分が思いつく限り、全然違う、まったく接点もなにもない本を手に取る、という遊び(?)です。
大学生の頃は、芸術系の学校に通っていたこともあり、数学や幾何学、歴史の本など、芸術やデザインと何の関係もなさそうな本を選んで読んでいました。
ご察しの通り、“全然関係のない事柄”というものは存在しないので、どんな本を読んでも自分の勉強している分野にリンクしていて驚くばかりでした。
本書『フェルマーの最終定理』もその頃、“真反対の読書”で読んだ本です。約十年ぶりに読み返しました。
数学嫌いもバッチコイ!
まず、最初に宣言しておきます。数学が嫌いな人でも大丈夫です!
ちょっと分厚めの本なので、読むのは時間がかかる部類だとは思いますが、数式を理解する必要はないのでご安心を。
とある数式をめぐる数百年間の物語、ヒストリーとして楽しめます。
「フェルマーの最終定理」とは
「フェルマーの最終定理」という、長年解けない数学の難問がありました。
フェルマーとは、17世紀に生きた数学者です。彼が、「この問題の答えが分かったけど、紙が足りないからここには書かない(意訳)」と残し、死にました。
その問題とは……ジャーン!
xn + yn = zn
nが3以上の自然数のときに、x、y、zが成り立つ組み合わせはあるか?というもの。
nが2のときは、我々はよーく知っています。
x2 + y2 = z2
ピタゴラスの定理ですね。
…あ、数学ムリって思わないでください!ね。なんか、パズルゲームに熱中している人たちの話だと思いましょう……(-_-;)
この式が、2以外の数字で成り立つのか?という問いは、ピタゴラスの時代からあったそうで、フェルマーが思わせぶりな言葉を残して死んだことでブームになりました。
そして……「この問題の答えがわかった!」と発表されたのは、1995年。つい最近!
めっちゃ壮大な話ではありませんか。
深い話ではなく、エッセンスを
フェルマーの最終定理が、360年の月日をかけ、数学者をどう突き動かし、そして照明に至ったのか。
その人間模様や物語を知るために『フェルマーの最終定理』は最適です。
しかし、実際にどんな証明がなされたのか知りたい方には、物足りないものでしょう。あくまで、照明に至る経緯を知れるものです。
普段、数学や数式のことを考えずに生活をしている人がほとんどだと思うのですが(あさよるもですw)、そんな人にとっては、初めて触れる知識や考え方などたくさんあると思います。
もし、数学が無味無臭の人間味のない学問だと感じておられる方がいれば、そうではないということが分かりますし、想像以上にパズルゲームのように感じる人もいるかもしれません。
あさよるは、学校の数学の授業は、言われたことを言われた通りパチパチ当てはめてやってただけでした。テストで出題される問題は、必ず何かしらかの答えがある前提です。ですから、答えがわからない問題に挑むということがあるのか…!という、発見と面白さを感じました。
散りばめられた知識のかけら
フェルマーの最終定理が証明されるまでを追うドキュメンタリーのような内容なのですが、そこに散りばめられた知識のかけらを拾ってゆくだけでも、ちっと賢くなった気がしますw
フェルマーはルネサンスの時代の数学者です。フェルマーという人物を知るには、当時の時代背景にも触れる必要があります。
「答えはわかったけどここには書かない」なんて思わせぶりなメッセージを残したフェルマーは、生前からあまり好感をもたれる人物ではなかったようです。あたり前のことなのですが、いつの時代のどんな職業の人同士でも、今と同じような人間関係があるんだなぁと思いました。
また、フェルマーの最終定理は、ピタゴラスの時代から話を始めねばなりません。ピタゴラスの秘密結社や、秘密を守るために弟子が暗殺されたり、血なまぐさい話まで。数学の歴史って結構ハード!
数学の決闘や、第二次大戦時に活躍したドイツの暗号機“エニグマ”と、イギリスの“ウルトラ”の戦いなど、ハラハラドキドキ。
数学っておもしろいなぁ
『フェルマーの最終定理』を読んでいると、登場する逸話の多くは非常に人間臭い人間の物語です。
嫌われ者のフェルマーも、自分の定理を守るためなら弟子も殺めるピタゴラス。解けない難問に挑み、道半ばで倒れてゆくものたち。
フェルマーの最終定理が証明される足掛かりを作ったのは日本人です。彼らの運命もなんともドラマチック。
数列に人間味を感じないのは、あくまで自分自身がそこに人間味を見出さなかったからだと気づきます。
もし、数学苦手!大嫌い!という方がおりましたら、ぜひこれを。
苦手であることと、嫌うことは別の話だなぁと感じました。
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