読書法

『三色ボールペン情報活用術』|読書しながらアウトプット

こんにちは。メモ魔なあさよるです。メモを忘れないためのメモとかします。うっかりさんとも言いますw

このブログも、読書の記録の備忘録的な感じでやっております。一種のメモですね。

ところで、当あさよるネットにて、齋藤孝さんの著書を数冊紹介し、その中で三色ボールペンを使った読書法にも触れてきました。が、その三色ボールペンの本はまだ紹介していなかったので、触れておきます。

あさよるも、かなり以前に一度読んで、しばらく三色ボールペン使ってました。久々に読んで新しい発見もありました。

あくまで「情報活用術」

『三色ボールペン情報活用術』は、タイトルのそのまんま。「情報活用術」を紹介する本なんです。

三色ボールペンを使った「読書法」として扱われていることが多い気がします。あさよるも、記憶の中で三色ボールペン読書術として記憶していましたw

赤・青・緑の三色ボールペンを使ってマークすることにより、情報の整理と活用をいっぺんにしてしまおうというものです。三色の使い分けは以下。

  • 赤:客観的に見て、最も需要な箇所
  • 青:客観的に見て、まあ重要な箇所
  • 緑:主観的に見て、自分がおもしろいと感じたり、興味を抱いたりした箇所

単純です。しかし、これをやり遂げるには腹をくくる必要があります。そう!ボールペンは一度線を引いてしまうと消えないのである!消えないから、「えいっ」と覚悟を決めて線を引くのだ!

この集中力と、積極的な姿勢が情報収集の質を上げてるのです。

(今便利な消えるボールペンもあるけどね…)

やっぱ紙媒体が便利

本書『三色ボールペン情報活用術』を読んでつくづく思ったのは、まだまだ紙は使いやすいなぁということ。

あさよるは一時期、Evernoteに入れ込んで「今後はすべてのメモを電子化しよう!」と張り切っていましたが、やっぱり紙とペンが便利だなぁとw

手元でササッと手早く操作するなら、紙が便利。しかし、長期保存や情報の検索にはデジタルデータが便利。今後は両方のいいとこ取りをしてくのかなぁと、そっち方面の準備をしています。

とまぁ、三色ボールペンを使った情報活用術も、紙とペンの便利なところを存分に発揮しています。シンプルだからこそ分かりやすいというのもいい。

デジタルデータや電子書籍も三色で管理できる?と一瞬思いましたが、なんかそれは違う気がしますw 活字にて情報の触れ方も、紙の本と電書では違うのですね。

三色で線を引くこと=アウトプット?

赤・青・緑で線を引き分けることで、本や情報に触れる深さが変わります。

多分それは、ただ単に「読む」という受け身な状態から、「線を引く」という積極的な態勢に変わるからではないかと思います。

これまで情報の羅列だった文章に「自分が手を加える」という一手間を加えることで、一方的なインプットからアウトプットへと変貌しているのでは?

線を引く。たったそれだけのことなのに、インプットからアウトプットへと変わるなんて、面白い!そして、すごい!

自分だけの一冊を作る

赤・青・緑の内、すんごく重要な働きをするのは「緑」で線を引いた部分。

赤と青は、あくまで本や文章の情報を、客観的に精査した結果です。しかし、緑は違う。

緑は、自分が興味を持ち、好奇心が掻き立てられ、面白い!と感じた部分です。自分の興味の欠片を、緑のボールペンで浮き上がらせることができるんです!

自分が興味を持った分野については、誰もが積極的に情報を収集し始めます。反対に、興味のないことは、いくら重大な情報でも消極的ですよね。

消極的な情報を集めるよりも、すごい!面白い!と積極的に情報に向き合える欠片をたくさん集めましょう。それは、一つ二つだと力はないかもしれませんが、たくさんの緑の線を引いている内に、どんどん情報との向き合い方が変わってくるのです。

『三色ボールペン情報活用術』は、“本を汚して読む派”の読書術です。そして、読書だけにはとどまらず、資料や文書を読む時全般に使える「情報活用術」です。

著者の齋藤孝さんによれば、三色の使い分けに慣れてくると、人の話を聞いていても三色に分けて聞けるようになるそうです。「本当かなぁ?」と思いますね(・∀・) 確かめるためにも、チャレンジしてみたいです。

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茂木健一郎『頭は「本の読み方」で磨かれる: 見えてくるものが変わる70冊』

こんにちは。本を読むからブログを書くのか、ブログを書くから本を読むのか、そろそろ分からなくなっている あさよるです。

最近「本をたくさん読む」モードで稼働中です。読書をするにはまず、手元に本を用意しなければなりません。はてさて、読みたい本がたくさん溜まっているときは、それを消化してゆけば良いのですが、読み尽くしてしまったときなかなか困ります。

なんか、おすすめの本をリストアップしてくれている本がないかなぁと思いつめること多く、ある日バッタリと茂木健一郎先生の『頭は「本の読み方」で磨かれる』に出会いました(本の最後に、本書内で取りあげられた本のリストがあるのですv)。

本って、こうやって読む!

『頭は「本の読み方」で磨かれる』は「本をどう読めばよいのか」を知らせる指南書です。ですから、読者の対象は、普段本を読む習慣がない人 or 中学生や高校生向け。要するに「これから本を読むぞ!」って人向けです。

例えば「最初から最後まで読むのは大変だったら読みたいところだけ読んでもいいよ」とか「じっくり読んでもいいし、飛ばして読んでもいいよ」と助言します。そう「本をたくさん読む人って、見切りをつけるのも早い」と、あさよるも10代の頃アドバスをもらいました。

また読書を「かっこいい」という切り口で紹介されているのも、なんだかいいなぁとw というのも、あさよるが高校生の頃「ブンガクとか読むとかっこいいカモ」と思い、高校の図書室へ足繁く通った過去があったからです。

そして、『頭は「本の読み方」で磨かれる』では「乱読」が推奨されています。乱読とは、手当たり次第に本を読むことです。系統立った学習ではなく、目についたものすべてを飲み込み血肉にしてしまう。その「好奇心」こそが、頭脳を磨くことです。

もちろん、ジャンルをランダムに読むのですから、雑誌やマンガもどんどん読みます。「手当たり次第」ですから。

ターゲットは誰だ!?

本書『頭は「本の読み方」で磨かれる』の、難点があるとすれば、この本を読むのは誰だ?ということです。

本書のターゲットは「これから本を読むぞ!」って人向けですが、その人たちは『頭は「本の読み方」で磨かれる』を手にとるのか?と疑問に思うからです。初っ端に“本の読み方の本を読む”って起こるのかなぁ?

そして、普段から本を読む人たちにとって、本書で紹介されている内容は既に実践済みかも。だから真新しさは少ない?

間を取って「たまに本を読む」人が読むのでしょうか。

そこで あさよるが考えたのは、“読書の習慣がある人”が、“これから読書習慣を身に着けようと燃えている人を”に、投入する燃料ではないか?という仮説です。好奇心の世界をチラ見せして、さらに好奇心をあおる戦法!

茂木先生をお手本にさり気なくプレゼンしたら大丈夫!?

自分の読書体験にニンマリ

といいつつ、あさよるが本書『頭は「本の読み方」で磨かれる』を読んでも、とてもおもしろかったです。自らの読書経験と重なる部分もたくさんあり、また「あさよるはこう思う」と持論を打ち出してみたり、本と対話しているような読書でした。

幼い頃、夢中で読んだ本たちの存在を思い出し、「ああ、子供の頃からショーモナイ本ばっかり読んでたなぁ」と思い出し笑い。

あさよるはオカルトやオーパーツや世界七不思議なんかの「謎」の本を好んで読んでいました。先程“ショーモナイ”と書いてしまいましたが、それらのロマン溢れる眉唾話を熱心に読んでホントに良かったと思います。だって、ロマン!生きてゆくのにロマンは必要です。あさよるは今でも、それらの話を他人に教えようとしてしまいますw

そんな感じで、ご自身の読書経験と照らし合わせ、「だよね~」「読書ってこれだよね~」とアルバムをめくるように、自分の読書を振り返られる本です。

“そのひと言”を本にした本

この本のターゲットは誰だ?と書きましたが、読書家の方々が嬉しい内容ではないかなぁと思います。なぜなら、著者の茂木健一郎さん自身も読書家であり、なにより本を読むことを大切にしている人だからです。

「本を読むのを愛している」と書こうとしましたが照れくさいのでやめました。茂木健一郎さんだって、そのひと言を使わずに、その思いを一冊の本に書き出されたのではないでしょうか。

食べものが自分の身体を作るように、また書物も自分を作ります。それを改めて再確認する内容でした。なにより、自分のかつて読んだ本をたくさん思い出しました。それが一番うれしい経験でした。

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速読は誰でもできる!『齋藤孝の速読塾 これで頭がグングンよくなる!』

こんにちは。夏バテから体力が戻らず、読書もはかどらない あさよるです。本を読むのも体力が必要なんですね……(^_^;)>

だから余計に、ササッとスピードアップして本を読んでしまいたい!

図書館でたまたま、齋藤孝先生の速読本を見つけたので手に取りました。速読本って数冊読みましたけど、まだどういうことなのかわかってなかったんですよね(-_-;)

結論から言うと、ズルできる速読の近道はないみたい……。

(・∀・;)デスヨネー

速読は誰でもできる!

最初に宣言します。「速読には正攻法しかないみたい」ということは、反対に言えばステップさえ踏めば「誰でも速読ができる」!

あさよるはその希望を『齋藤孝の速読塾』に見出しました。

まず、速読をする目的意識を持つ。斎藤先生は理解力を深め、知識の幅を広げるために速読を勧められています。まずはひたすら冊数を読みこなすんです。

目的は「知識の幅」を増やすこと。その手段として「速読」をする。

目的を達成するためには、まずアウトプットの大切さが説かれています。読んだ本の内容を人に話す。読書ノートをつけるのも一つの手ですね。

「著者と対談するなら何を質問するだろう」「自分が主人公だったら」自分の主観ではなく、多数の視点を意識する。

そして、齋藤孝先生といえば、ですね^^ 三色ボールペンを使った読書法も推奨されています。

音読するように読む、あるいは実際に超速で音読しちゃうとか。これは『声に出して読みたい日本語』を連想させます。

齋藤孝先生のメソッドが「速読」をキーワードに集結しているのも、読んでいて楽しかったです。知識や考え方って、どんな分野にも関連しているのですね。

「速読」vs「精読」!?

「速読」の話題に切っても切れないのは「速読派」vs「精読派」のバトルではないでしょうか。

……正直「どっちでもええやん」と思うのですが(^_^;)

あさよるは過去に複数のSNS等でこのバトルを見聞きしてきました。「どっちでもいい派」は議論に参加しないので、余計に「速読派」vs「精読派」のバトルが加熱します。

関係ないですが、「電書派」vs「紙の本」バトルや、蔵書を「保存派」vs「処分派」の戦いとかありますよね。

あさよるの経験談を交えつつ

あさよるも、「どっちでもええやん」と言いながら、長らく精読をしていました。一文字一文字きっちり読んで、しかも何度も繰り返し同じ箇所を読み返します。

その読書法が悪いとも思いません。あくまで、自分の本を読む目的によるんじゃないかなぁと思います。

ただ、あさよるの経験ですが、学生時分に気に入って何度も読んだ小説よりも、レポートを書くために何十回と繰り返し斜め読みした文学作品の方が、今となれば強く印象に残ってます。

何度も読むこと、そしてアウトプット

速読で何度も読んだ本のほうが印象に残っているのは、「速読」という手法に由来しているのではありません。

それは、何度も何度も繰り返し読み込んだことと、「レポートを提出する」というアウトプットをしたからだと思います。

反対に、お気に入りだった本は、繰り返し読みはしましたが、「読み込んだか」と聞かれるとわかりません。なぜかと言うと、アウトプットが前提ではなかったからでしょう。

やっぱり「どっちでもええやん」

精読しようが速読しようが、手法よりも目的が大事です。

一文字一文字味わって読む読書も有意義であることはもちろん承知です。

そして何度も繰り返し読むために、たくさんの知識を得るために、有限の時間の中一冊でも多く書を読みたいこともあります。

よって、やっぱり「どっちでもええやん」ですw ただし、「目的による」ですね。

知識が増えると、読書スピードも上がる

前置きが長くなりました。『齋藤孝の速読塾』は、これから本をたくさん読みたい!という人の向けの指南書です。

たぶん、普段から多読・濫読をしておられる方は、「速読」の能力がないとやってられないんじゃないかと思います。いつも違うジャンルの本を読んでいるんだから、ひたすら「本を選ぶ」ということをしないといけないのでは?と想像します。

そのためには、書店や図書館でもザッザッと内容を読んでみないと選べません。

そして『齋藤孝の速読塾』では、勇気を持って「飛ばし読み」をしようと誘われます。二割くらい読めればいいじゃないか。

ただね、ここで忘れちゃいけないのは、二割で足りなかったら、また読めばいいのです。ここが速読の強いところですね。早く読めるから、何度も読める。

このとき、キーワードや、著者の言いたいことを抜き出します。アウトプットが大切ですから、紙に書き出してまとめましょう。このステップが一番大切に感じました。

知ってる話は読むのが早い

知識量も必要です。知識を広めるための読書に知識が必要って矛盾しているようですが、していません。

本を読む→知識が増える→本を読む→知識が更に増える→本を読む→知識が更に更に増える

これを繰り返してゆくと、知識が増えてゆくづつ、読むスピードも上がってゆきます。

なぜか?

知識が増えれば、本の内容を推測できる。あるいは、論の展開に予想がつくようになる。先がどうなるか分かっていると、読むのが早いものです。

「ジャンプ紙面で読んでたマンガは、単行本で読むとき早い」の法則ですな!

速読するために速読する

速読ができるようになるには、まずはたくさんの本を読み、たくさんの知識を身につけることが大切だと学びました。そのためには、速読しないとたくさん読めない!Σ(・∀・;)

人間、「必要に迫られる」というのも、動機として大事です。

まずは、「たくさん本が読みたいなぁ」「あれもこれも知りたいなぁ」と好奇心を最大にして、「そのために速読する」という目的を持ち続けたいなぁと思いました。

「なぜ?」「どうして?」を動機に本を読むって、好奇心しかなかった子どもの頃のようです。あの頃の読書、し続けたいなぁ^^

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「本なんか読んでも腹の足しにもならない」へのアンサー|『読書をお金に換える技術』

こんにちは。週末は図書館へ足を運び、ご満悦の あさよるです。

図書館、書店、古本屋……場所によって並んでいる本の雰囲気も違いますし、自分の本の選び方も変わるような気がします。シチュエーションが変われば気分も変わるのかな?

そんな、読書へのこだわりがあるのやらないのやら…の、あさよるですが、他人の「本の読み方」の本が好きだったりします。今日読んだのは千田琢哉さんの『読書をお金に換える技術』。タイトルがズバリ気になりますねw

本なんて読んでどうするの?

本を読んでいると、「なんのために本を読んでいるの?」と質問されることがあります。あさよるは読書にさほど目的がないので、その場その場で適当に答えてしまいます(;’∀’)> 本音を言うと、「暇つぶし」とか「ブログのネタに」とか、あんまり面白くない話になってしまいますw

これはとても稀ですが「本なんか読まなくてもいい」という人にもたまに出会います。その方は「困ったことがあれば、それから、それを解決するための本を読めばいい」と仰っていました。「問題を解決するために」というのも、本を読む強力な理由ですね。

「暇つぶし」も読書が得意とすることです。また「問題解決のため」も、本が持っている重要な役割ですね。

はてさて、みなさんはなんのために本を読みますか?答えは一つではないでしょう。たくさんの側面を持っているはずです。

「儲かる読書」いいじゃない!

本書『読書をお金に換える技術』は、タイトルだけで見ても、一体何の本なのかわかりませんでした。しかし、ページを開いて納得。

「本を読むと、収入が上がるぞ!」「本を読むと儲かるぞ!」ってプレゼン本ですね。誰に?って、普段本を読まない人向けです。

あるいは、読書週間がある人の中にも、“閉じた読書”をしているしている人にも良いやも。“閉じた読書”とは、自己完結した、「本を読む」ことが目的で目的達成する読書です。あさよるの本の読み方もこれに近い…。

これまでただ「本を読む」という行為で完結していたものの、その向こう側を考えてみる。しかもこの本では「お金に換える」ことを目的としています。将来、出世して肩書が変わったときのために読書をする。経営者の視点を読書によって身につける。

今の自分とは違う視点から物を見れる、これも、本が持っている力です。

マンガ、自己啓発本……バカにしなくてイイ!

お金に換わる読書って、なにも難しい本を読むことではありません。

外国の名著を原書で読んだりしなくていい。翻訳されてていいし、コンパクト版でいい。マンガで書かれたエッセンシャル版でも十分です。「難しいから読まない」よりも、マンガで読んだ方がずっといい。

物語だってたくさん読みましょう。「どうせ作り話じゃん」って思わなくてもいい。マンガだって、名作はたくさんありますから、どんどん読んでおきましょう。

自分とは別の人物が、一喜一憂を知ることで、自分の現実世界での問題への取り組み方が変わるでしょう。また、たとえ話や慣用句のように使われることもしばしばあります。ボキャブラリーが増えることでコミュニケーションの幅も広がります。

さらに、読書を積み重ねることで、アイデアもぽんぽん飛び出すようになるかもしれません。アイデアが湧きやすい状態を作るための準備も紹介されます。

そう、この『読書をお金に換える技術』は、読書を啓蒙する多読のススメ。乱読の指南書なんです。

読まず嫌いは横へ置いといて、とにかく一冊、目の前の本を読んでみましょう^^

「オレの読書」を語りたくなる^^

読書を啓蒙する本にありがちですが、この手の本を読んでいると、自分の「読書論」みたいなのを語りたくなっちゃうんですよね。

「○○歳までにこれは読んでおくべき」とか「△△と※※あたりは押さえておきたいよね~」とか、言いたくないですか?w

中でも『読書をお金に換える技術』は、収入アップをキーワードに読書を推進する面白い切り口。だけど、スキルアップや、能力の向上は本が持っている重要な要素です。収入にだって影響していて当然ですね。

「本なんか読んでも腹の足しにならない」へのアンサー。みなさんだったら、なにを語るでしょうか。

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『世界を変えた10冊の本』|世界の読むべき本をわかりやすく解説

こんにちは。読書本には目がない あさよるです。「読書本」って変な言葉ですが、本を読むための本って感じでしょうか。本書『世界を変えた10冊の本』もそのタイトル通り、10冊の世界を変えた本を池上彰さんが紹介するもの。どの本も世界的超有名本で、一度は目を通しておきたいものばかりです。

世界を変えた10冊ラインナップ

本書で紹介される10冊の本は以下。

  • 『アンネの日記』
  • 『聖書』
  • 『コーラン』
  • 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
  • 『資本論』
  • 『イスラーム原理主義の「道しるべ」』
  • 『沈黙の春』
  • 『種の起源』
  • 『雇用、利子および貨幣の一般理論』
  • 『資本主義と自由』

読んだことはなくってもタイトルくらいは知っている本ズラリ。ここではザッと簡単に紹介しておきます。

書影は『世界を変えた10冊』の出典として挙げられているものです。

『アンネの日記』

第二次世界大戦時、ユダヤ人として収容され亡くなったアンネ・フランクが書き残した日記。アラブ諸国を除く国際社会がイスラエルの味方をするのは『アンネの日記』があるからだ、と紹介されています。なるほど、彼女が生き生きと〈普通の少女〉であればあるほど、彼女の運命は信じがたく、ユダヤ人弾圧がいかに惨たらしいものであったのかと感じます。「世界を変えた本」のトップバッターに相応しいものです。

『聖書』

世界で最も読まれた書物『聖書』。

 中東に生まれたキリスト教が、やがてヨーロッパ世界に広がり、宣教師たちによってアフリカや南米にも拡大。ヨーロッパでの迫害から逃れたキリスト教徒は、アメリカに「神の国」を建設しようとしました。
一方、ヨーロッパのキリスト教徒たちは、「十字軍」によって中東遠征を繰り返し、イスラム教徒との対立を深めました。それは、キリスト教文明とイスラム文明の対立として、いまにつながってくる歴史です。

p.41-42

聖書の物語は今も多く引用されますし、今の世界を動かしています。

『コーラン』

ユダヤ教の経典『律法』をキリスト教徒は『旧約聖書』と呼び、新たに『新約聖書』を加え聖書にしました。さらにイスラム教はここに『コーラン』を加え経典にしました。イスラム教徒にとって『コーラン』が最も重要とされます。

日本ではイスラム教徒は少ないですし、文化や慣習がふしぎに見えるかもしれません。イスラムの行動規範や考え方等、池上彰さんが分かりやすく説明してくださるのは有難い。

『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

16世紀の宗教改革により、ローマ・カトリックからプロテスタントが生まれます。カトリックとプロテスタントでは経済活動において大きな違いがありました。

カトリックの教会の支配は穏やかで形式的なものだったが、プロテスタント支配は、「家庭内の私的な生活から職業的な公的な生のすべての領域にいたるまで、考えられるかぎりでもっとも広い範囲にわたって信徒の生活のすべてを規制するものであり、限りなく厄介で真剣な規律をともなうものだった」と指摘します。つまり、このプロテスタント支配によって、子どもたちは高度な教育を受けて社会の上層を目指すようにしつけられているのではないか、というわけです。

p.101

プロテスタント支配によって、資本主義の精神が登場するのです。19世紀半ばまで労働者は生活できるだけの収入があれば、それ以上働こうとしませんでした。それに対し、仕事のために人間は存在し、働くことは生きるために不可欠であるとの考えが「資本主義の精神」です。

現代のわたしたちはこの考えの上にいるんですね。

『資本論』

マルクスはかつて、資本主義がなぜ非人間的な経済体制になるかを説きました。マルクスの理論は、ロシア革命を引き起こし、やがて社会主義体制を採用する諸国が増大しました。マルクスの『資本論』は世界を変えたのです。
ところが、東西冷戦が終わり、ソ連の崩壊に代表されるように社会主義体制の限界が明らかになって以降、マルクスの主張はすっかり見捨てられてました。それが、リーマン・ショックをきっかけに、まるで預言者のように復活する。皮肉は話です。

p.123-124

労働量は藤堂の時間で測り、貨幣が資本になる。現在の我々が当たり前思っている体制も、新しい考え方なのですね。

『イスラーム原理主義の「道しるべ」』

『道標』は“オサマ・ビンラディンの教科書になった”ことから、世界を動かした10冊に選ばれています。

 イスラムこそが、健全な発展と進歩に欠かせない価値観を保有している。その理想が失われてしまったために、世界は墜落している。いまこそイスラムの理想に帰り、イスラムの原初を思い起こすことが必要だと主張します。(中略)

現代はイスラムの理想が失われてしまったのに、イスラム教徒たちは、自分たちの世界を「イスラームの世界」などと思いこんでいる。これを正さなければならない、というのです。となれば、イスラム世界の腐敗した体制を打倒することは「神の道」であり、正義の戦いである。つまり「ジハード」(聖戦)なのだ、ということになります。(中略)

世界中が無明社会だというのです。
無明社会は暗黒社会ですから、真のイスラム教徒は、無明社会をイスラム社会をイスラム社会にしなければならないのです。ここから、無明社会に対するジハードが必要だという理論が導き出されます。この対象として、日本も例外ではありません。(中略)

日本の私たちの信仰は、「邪神を祭るために、手のこんだ礼拝儀礼の体系を創案した」ものだというのです。彼が日本のことをどれだけ詳しく知っていたのか疑問ですが、彼によれば、日本もジハードの対象になってしまいます。

p.155.156.160

『道しるべ』に日本のことが書いてあるのは知りませんでした。日本はジハードの対象にならない保証はないということでしょうか。

『沈黙の春』

アメリカのペンシルバニア州に生まれたカーソンは、連邦政府の商務省漁業局で働きながらアメリカの雑誌「ニューヨーカー」に『沈黙の春』を連載し、単行本として出版されベストセラーになりました。

環境汚染という言葉がなかった時代、農薬により野鳥たちが死んでしまった例や、食物連鎖による毒物の蓄積メカニズムを広く世に知らしめたのが彼女だったのです。

現在では当たり前の環境問題も、当時はなにも知られていなかったところから、社会に浸透していったんですね。

『種の起源』

ガラパゴス諸島に上陸した経験から、生命の多様性への疑問を追求し1859年『種の起源』が世に登場します。当時は売れ行き上々だったそう。

彼の書は、「地球上の生き物は神が創造した」と信じるキリスト教徒からは批判を浴びましたが、多くの学者から支持され、その後の遺伝学、生物学の飛躍的な発展の基礎を築きました。

p.192

生物は神が創造したものか否か。現代でも議論になる事柄です。

『雇用、利子および貨幣の一般理論』

 景気が悪くなったら政府が公共事業などで支出を増やして経済を活性化させる。金利を下げて、企業の投資を活発化させる。
これらは、景気対策としての常識になっています。中学校の社会科で習う話です。しかし、かつては常識どころか、「とんでもない話」と考えられていたこともあります。それを世の中の常識にしてしまった本。それが、今回取り上げるジョン・メイナード・ケインズ『雇用、利子および貨幣の一般理論』という書物です。

p.213

1929年の世界恐慌の政府の対応を時代遅れだとし、ケインズは批判しました。本書では現代の日本社会が直面している問題を、ケインズがどう説いているのかが紹介されています。

『資本主義と自由』

フリードリヒマンは、自らの主張を一般に理解してもらうためのショック療法を用意しました。当時のアメリカで政府が行っていた事業のうち、「政府がやる理由はない」と考えた事業一四項目を列挙しているのです。(中略)

1 農産物の買い取り保証価格制度。
2 輸入関税または輸出制限。
3 農作物の作付け制限など。
4 家賃統制。物価・賃金統制。
5 最低賃金制度や価格上限統制。
6 銀行に対する詳細な規制など。
7 ラジオとテレビに対する規制。
8 現行の社会保障制度。
9 事業や職業に関する免許制度。
10 公営住宅、住宅建設の補助金。
11 平時の徴兵制。
12 国立公園。
13 営利目的の郵便事業の禁止。
14 公営の有料道路。

p.248-249

じっくり見て見ると「やめるとヤバイんじゃない?」と思う項目もありますが、彼よると大丈夫。というか逆に、国が制限をかけていることで貧しい人が苦しんだり、社会に不利益があると説いています。

未読本に色めき立ち、既読本に興味津々

池上彰さんが選ぶ「世界を変えた10冊の本」はいかがでしょう。あさよるは、タイトルは知っていても「読んだことない」とか「通読したことない」ものばっかりです。現代でも絶版になっていないどころか、流通している本ばかり。現在では電子書籍や、Kindle Unlimitedでも読めるっぽいのでありがたいです。読む本リストに加えておきますφ(..)メモメモ

「世界を変えた本」の中でも、現代のわたしたちの生活や常識そのものを作った本ばかりが紹介されていますから、興味がないわけがないラインナップです。

あさよる正直、この本「面白くなさそうだなぁ~」と思ってたのですが、嬉しい誤算で結構楽しく読めました。まだ読んだことない本は「読んでみよう」と色めきだち、既に読んだ本は「池上彰さんはどう紹介するんだろう」とwktk。

この手の本は他の人が紹介してもいいかもしれないけれども、内容的には「知っていて損ないぜ」って感じで、お馴染み池上彰さんの著者だし、人におすすめしやすい本だと思います。

あさよるネットで紹介した池上彰さんの本

『学び続ける力』/池上彰

『学び続ける力』を読んだよ

『伝える力』/池上彰

『伝える力』|子どもへニュースを伝える力

『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』/池上彰

『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』|社会、外交、世界を考える

『あした選挙へ行くまえに』/池上彰

『あした選挙へ行くまえに』|なにを投票するの?

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