こんにちは。寒さに身も心もかじかむ あさよるです。こんな日は毛布にくるまって読書に限る。ということで、『頭がよくなる必殺!読書術』という、よくある自己啓発本っぽいタイトルですが、子ども向けの「読書論」を解く本を読みました。
子ども向けですが、内容自体は大人への読書指南と変わりません。文体が小学生向けになっているだけです。さすが教育学者の斎藤孝先生だけある。よくできた良い本でした。
ということで、以下ザックリと本書の内容をまとめました。
読書は錬金術だ!
読書とは錬金術なのだ。錬金術とは、その辺の石ころを金塊に変えてしまうヤツである。そう、その辺の石ころ人間が、本を読むと黄金人間になっちゃうってワケだ。カッコいいだろう?
ここで問題!
〔問題〕本を読むと、どんな「いいこと」があるでしょうか?
みんな答えを読む前に、考えてみてください!
〔答え〕知らなかったことを知ることができる。知らない人の気持ちを感じ取ることができる。行ったことのない場所を想像することができる。その本を書いた人と一対一で会話している気持ちになれる。ひとりでも楽しい時間を過ごすことができる。友だちとの話題ができる……。p.8-9
本を読むのはいいこと尽くめ。いいことしかないのかもしれない。損はないしコスパも最高だし、だから本を読もう!
まずは本を読むコツ!
- 読書術その1 まずは十冊、読んでみようよ
本を読む技術を身にをつけましょう。スラスラ読める人は本を十冊以上読んでいます。
- 読書術その2 大切なのはスピードだ!
内容は簡単なのでいいから、どんどん読もう。おすすめは『ズッコケ三人組』『三毛猫ホームズ』『かいぞくポケット』『はれときどきぶた』。読み切ったときの「読破感」を味わおう!
- 読書術その3 自分だけの本棚を持とう!
読書好きは自慢の本棚を持っている。自分の本棚を用意して、読破した本をチラチラ見よう。そのたびに気持ちよくなるよ。
- 読書術その4 新しい本をどうやってゲットするか
ズバリ「親に買ってもらう」! ソシャゲ課金させてくれないパパママも、本なら買ってくれるぞ。
- 読書術その5 “チラ読み”で本を選ぼう
パパママとお出かけするときは、必ず本屋に寄ってもらう。本屋さんは何も買わなくても収穫がある。本屋さんで本を眺めているだけで本に詳しくなれるのだ! 「与えられる」のではなく「選ぶ」力が身につくぞ。
- 読書術その6 “芋づる式”で本と出合おう!
本を読んだら、その本を書いた人を調べよう。同じ人の本を続けて読むと読みやすいぞ! ある本が面白かったら、同じジャンルの本をどんどん読んでもいい。作者やジャンルを芋づる式で読もう!
黄金人間になろう!
- 錬金術その1 想像力をつけろ!
紙に文字が書いてあるだけなのに、本を読むと頭の中に映像が浮かんでくる。これが想像力だ! 動物は本を読んでも感動しない。本を読んで想像して、感動するのは人間だけだ。想像力がある人は、人の気持ちも想像できる。ジコチューにならずに済む、「人間らしい」力なんだ。
- 錬金術その2 映画監督になりながら本を読む
他人が作った映画を見てハマってるだけじゃダメ。自分も頭の中で映画監督になれるんだ。本を読んでいるだけで映像が見えてくる。
- 錬金術その3 読書で人生を十倍楽しもう
自分はこの世にたった一人しかいないけど、本を読むとほかのたくさんの人生が待ち受けている! 本を読むだけで人生が十倍にも二十倍にもなるのだ! これはかなりコスパよし。トクしかしない。
- 錬金術その4 使える言葉を増やせ!
本を読む量は、言葉遣いでわかる! 本を読んで言葉をたくさん知ると、とっても気持ちがラクになる。自分の気持ちをうまく言葉にして伝えることができるからだ。会話の中に熟語や四文字熟語を取り入れると、かなり時短にもなるし、ちょっとカッコいいよね。
本を読むと頭がよくなる!
本を読むと、「文脈」がわかるようになる。
文脈について説明しよう。脈というのは“つながり”です。山脈という言葉を聞いたことがあるでしょう? 山と山のつながりを山脈といいます。同じように文と文のつながりを文脈といいます。
「前にこう言ったから、いま、この話をしている」
というのが文脈です。
そして、この文脈をキャッチして、わかる力が“文脈力”。その力のある人は、文脈力のある人。そして、じつは“頭がいい”というのは、文脈力があるということなんです。p.67
文脈がわかるようになると、人の言葉を誤解することが少なくなります。文脈について説明するのはカンタンですが、大人でも文脈がわからない人はたくさんいます。本の場合はわからなくなったらページを読み返せばいいでトレーニングにぴったり。ガンバレ!
読書感想文対策も!
- 必勝法その1 読んだら人に話す!
本を読んだら「聞いて!」といろんなひとに話そう。
- 必勝法その2 “らくがき読書術”を使おう!
本を読むとき、本に色ペンで線を引きながら読もう! 斎藤孝先生は、絶対に大事なところは赤、まあまあ大事なのは青、おもしろいところは緑にしています。で、読書感想文で大事なのは、緑のおもしろいところ!読書後、緑のところを集めれば読書感想文ができたも同然なのです。 ※ただし、くれぐれも自分の本にしかしちゃだめだぞ!
- 必勝法その3 本の文章を写そう!(引用)
一冊の長い本の中から、面白い部分を切り取れる力が大切だ! 本をちゃんと読んだって証拠にもなるしね。引用はプロもやっていいんだよ。
最初は、自分がなにか気になるなと思うところ、ここではなにか一言、言ってみたいなと思うところを引用するのがいいでしょう。そうすると、
「~~(引用部分)~~とありますが、ぼくは……と思います」
というふうに文章を書くことができる。p.96-67
以上、引用の仕方を引用してみた(^^♪
- 必勝法その4 “名場面ベスト3”を見つけだせ!
自分で名場面だと思ったところベスト3を選んで、どうしてそこが名場面だと思ったのかを口に出して言ってみる。よかった理由があるはずだ! それを「キーワード」といいます。
- 必勝法その5 “かど折り読書術”を使おう!
あとからキーワードを探しやすいように、本のページの角を折って印をつけておこう! 絶対引用するところはデッカク赤ペンかなんかで囲っておこう。だから本は買って読むのがおすすめだ!
- 読書感想文の書き方 まとめ
大人になっても役立つ読書感想文の書き方がまとめられているのですが、これは本書を読む人のお楽しみってことにしておきます。先に挙げた必勝法1~5をまとめてあるだけなのですが、コンパクトにまとまっていて役立つでしょう~。
子ども向けを侮るなかれ!
本書『頭がよくなる必殺!読書術』の読了後の感想は……「ふつうにええ本やなあ」。子ども向けの内容ですが、書かれていることは大人にも当てはまります。日ごろから読書習慣がある人だって、読書がどんな風に人の成長に関わっているのか、簡単に説明するのは難しいはずです。また、文脈を扱う力も、意識しないと身につかないでしょう。
そして、秀逸なのは読書感想文必勝法です。めっちゃコンパクトで簡単に書かれているだけなんですが、これなら感想文を軽いノリで書きこなせそうです。あさよるネットでもこれまで、読書感想文の書き方の本を紹介していますが、どれも「読書感想文という特別なもの」という感じでしたが、本書ではブログ記事を書くようなノリです。
あさよるも読書ブログなどを運営していますので、斎藤孝先生のいう「読書感想文必勝法」は知らずに実践している部分が多かったです。
子ども向けだけれども、それだけに率直でマジメなことを、軽いノリで書いてある良書でした。
読書感想文の書き方の本
備忘録的個人メモ…φ(‘ω’)ノ
以下、『頭がよくなる必殺!読書術』に収録されていた斎藤孝先生のおすすめ本。みなさんは何冊読んだことがあるだろうか。
まずは、このあたりから読んでみよう
- 『こくごであそぼ』/齋藤孝
- 「大どろぼうホッチェンプロッツ」シリーズ/プロイスラー
- 『きまぐれロボット』/星新一
- 『フランダースの犬』/ウィーダ
- 『あばれはっちゃく』/山中恒
- 「イソップ」の童話/イソップ
一気に読めるものシリーズもの
- 「はれときどきぶた」シリーズ/矢玉四郎
- 「かいぞくポケット」シリーズ/寺村輝夫
- 「クレヨン王国」シリーズ/福永令三
- 「ムーミン」シリーズ/トーベ・ヤンソン
- 「大草原の小さな家」シリーズ/ローラ・インガルス・ワイルダー
冒険もの・探偵もの
- 「ドリトル先生」シリーズ/ヒュー・ロフティング
- シュール・ヴェルヌのSF(『海底2万マイル』『十五少年漂流記』ほか)
- 「ゲド戦記」シリーズ/アーシュラ・K.ル=グウィン
- 『タイムマシン』/H.G.ウェルズ
- 「シャーロック・ホームズ」シリーズ/コナン・ドイル
- 「怪盗ルパン」シリーズ/モーリス・ルブラン
- 「怪人二十面相」シリーズ/江戸川乱歩
日本の名作・世界の名作
- 『坊ちゃん』/夏目漱石
- 『走れメロス』/太宰治
- 芥川龍之介の短編集(『蜘蛛の糸』『羅生門』『杜子春』など)
- 宮沢賢治の童話(『セロひきのゴーシュ』『雨ニモ負ケズ』『銀河鉄道の夜』など)
- 『わらしべ長者――日本民話選』/木下順二
- 「ギルガメッシュ王」三部作/ルドミラ・ゼーマン
- 『三銃士』『モンテ・クリスト伯(巌窟王)』/アレクサンドル・デュマ
- 『レ・ミゼラブル(ああ無常)』/ビクトル・ユーゴ―
ファンタジーもの
- 『星の王子さま』/サン=テグジュペリ
- 『モモ』『はてしない物語』/ミヒャエル・エンデ
- 『ピーターパン』/J.M.バリ
女の子のための必読図書
- 「赤毛のアン」シリーズ/ルーシー・モード。モンゴメリー
- 『秘密の花園』/フランシス・ホジソン・バーネット
- 『アルプスの少女ハイジ』/ヨハンナ・スピリ
- 『若草物語』/ルイザ・メイ・オルコット
- 『あしながおじさん』/ジーン・ウェブスター
その他、ぜひ読んでほしいもの
- 『いしぶみ――広島二中一年全滅の記録』/広島テレビ放送
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- 『読書力』|社会人力とは?教養とは?
- 『ちっちゃな科学 – 好奇心がおおきくなる読書&教育論』|好奇心はどこから来るの?
- 『王様の勉強法』を読んだよ
- 『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』ソボクなギモン
- 『キミが勉強する理由』を読んだよ
頭がよくなる必殺! 読書術
目次情報
1 本を読むと「いいこと」があるぞ!
2 大事なのは読破感だ!
読書術その1 まずは十冊、読んでみようよ
読書術その2 大切なのはスピードだ!
本を読むと楽しいけれど疲れるのはなぜ?
読書術その3 自分だけの本棚を持とう!
読書術その4 新しい本をどうやってゲットするか
読書術その5 “チラ読み”で本を選ぼう
読書術その6 “芋づる式”で本を出合おう!3 読書は錬金術だ!
錬金術その1 想像力をつけろ!
錬金術その2 映画監督になりながら本を読む!
錬金術その3 読書で人生を十倍楽しもう!
錬金術その4 使える言葉を増やせ!4 「文脈力」を鍛えろ!
話と話のつながりがわかる人になろう
「むむ、怪しいな」というところを探そう
クイズを解けることが頭がいいんじゃない
「きっと、こういうことを言うぞ」と予測しよう5 読書感想文必勝法
必勝法その1 読んだら人に話す!
必勝法その2 “らくがき読書術”を使おう!
必勝法その3 本の文章を写そう!(引用)
必勝法その4 “名場面ベスト3”を見つけだせ!
必勝法その5 “かど折り読書術”を使おう!
読書感想文の書き方 まとめ斎藤孝「おすすめブックリスト」
あとがき
齋藤 孝(さいとう・たかし)
1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業、東京大学大学院教育学研究科を経て、現在は、明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション技法。ミリオンセラー『声に出して読みたい日本語』(草思社)などで、空前の日本語ブームを起こす。『会議革命』(PHP研究所)などビジネスマン向けの著作が多いが、最近はNHK教育テレビ番組『にほんごであそぼ』を企画・監修し、幼児とその母親たちからの人気も高い。『こくごであそぼ』『子どもの集中力を育てる』(以上、文芸春秋)、『ちびまる子ちゃんの音読暗誦教室』(集英社)、『齋藤孝の日本語プリント』(小学館)、『齋藤孝の音読破1 坊ちゃん』(夏目漱石・作、齋藤孝・校注/編、小学館)、絵本『おっと合点承知之助』『えんにち奇想天外』(以上、つちだのぶこ・絵、ほるぷ出版)など子ども向けの本や教育書もベストセラーに。小学生向けの塾「齋藤メソッド」を主宰。
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