歴史・地理

ビジネス書としての『西洋美術史』|美術史は世界史を知ることだったりして

こんにちは。あさよるです。あさよるは一応、美術科出身でして(自分でも忘れがちですが)、ちょこちょこ美術関連の本は読んでいます。今日読んだのは『西洋美術史』という、タイトルはすごく平凡。だけど副題が「世界のビジネスエリートが身につける教養」とあり、ビジネス書になってるんです。

最近はこういう教養本の話題本が多いですね。本書『西洋美術史』も話題になってたので、手に取ってみました。

内容は、真面目な西洋美術史入門編って感じなのですが、取り上げられている美術作品は近年日本で話題になった美術展の作品も多く「実際に美術館で見た!」って人も多いかも。ブリューゲル「バベルの塔」(バベル展)や、「レディー・ジェーン・グレイの処刑」(怖い絵展)って、昨年でしたっけ。

「バベル展」@国立国際美術館(大阪)2017/09/14

↑あさよるも足を運びまして、感想を書こうと思いつつ放置してた(;^ω^)

教養としての美術史

『西洋美術史』は「世界のビジネスエリートが身につける教養」と副題がついているのが面白いところです。内容自体は普通に西洋美術史を紹介する本なんですが、この副題によってビジネス書になっているのですね。なるほど。今のグローバルな時代、これくらいの西洋美術史は知っていてもムダにはならないでしょう。というか、一般教養の範疇かなぁと思います。

本書『西洋美術史』で知られることはまず、「美術作品はただ見た目がキレイで、気持ちよくさせてくれるもの」ではないということ。美術作品を自分の「感性」のみで観賞しようとする人がいますが、実はそういう代物じゃない。「どうしてその作品は創られたのか」「創った人はどんな人か」「当時の人たちはその作品をどう扱ったのか」なんかを読み解いてゆくと、時代背景や、宗教観、歴史的出来事、科学や医学、哲学など他の分野の進歩など、絡み合ってその作品が存在しているのがわかります。

本書『西洋美術史』も、古代ギリシャから話が始まります。ギリシャ人たちは、

人間の姿は神から授かったものであり、美しい人間の姿は神々が喜ぶもの(p.16-17)

と考えていました。だからギリシャ彫刻はあんなに均整がとれて美しいのです。また、無表情なのも、感情を露にするのは慎んだ方がいいと考えられていたからだそうです。ギリシャ彫刻をモデルにした石膏像って、学校の美術室なんかに据えられていましたが、あの石膏像の元ネタを知るのも面白いですね。

で、そのギリシャ人たちが作った彫刻をコピーし、商品化したのがローマ人でした。コピーがつくられたことで、後世までギリシャ彫刻が伝えられもいます。それが古典となり、今に至る西洋美術の原点になっているのです。

思想・宗教、歴史を押える

美術・芸術を知るとき、同時に知ることになるのがギリシャ神話だったりキリスト教思想だったり、多くの日本人にとっては異文化の思想です。本書『西洋美術史』でも、ギリシャ人たちの思想がローマ帝国へ広がり、そしてアジアからキリスト教が入ってきて国教となり、キリスト教の宗教画や、キリスト教の思想に沿った作品が創られます。またその歴史の中では、伝染病が流行ったり、王様の時代から貴族の時代、市民の時代へと移り変わったり、社会もダイナミックに変化し続けます。

西洋美術史を知ることは、ヨーロッパの歴史、世界史を知ることでもあります。

また、近代の画家たちは日本の浮世絵に影響を受けたという話がありますが、日本の絵師たちも西洋絵画を学んでいます。江戸時代の鎖国中にも西洋絵画の技法がじわじわっと入ってきていて、文化と文化は常に交じり合い、影響しあい、変化し続けているんです。

「子ども向け」を読めない大人へ

本書『西洋美術史』の内容って、普通の西洋美術の歴史なのですが(つまり、奇をてらったり話題先行のものではなく、真面目な内容です)、「ビジネスエリートが」と副題をついていることが面白いと紹介しました。

この手の本は、中高生向けに書かれた本が秀逸で、わかりやすく良い本が多いんです。あさよるネットでも、10代向けの教養本をたまに紹介しています。美術史を扱ったものだと、池上英洋さんの『西洋美術史入門』なんか。

あさよる自身も「はじめて触れる知識は、子ども向けの本から読もう」と思っていて、小学生向けに書かれた本から中高生向けと、だんだん対象年齢を上げながら勉強することが多いです。子ども向けの本、オススメです。さらに、書店よりも、図書館のほうが探しやすくてオススメです。

なんですが、子ども向けの本を読む習慣がない方や、抵抗がある方もいらっしゃるようで、本書のような大人の教養本も必要なのかなぁと思います。そして、本書のような切り口は面白いとも感じました。

子ども時代に美術に触れる機会がなくても、大人になってから興味がわくこともあります。そんなとき、こんな導入本があるのは便利です。

知識が増えると感性も磨かれる

あさよるは、知識が増えることは、より多くの情報を入力できるようになり、結果的に自分の感性がより刺激され、磨かれてゆくことだと思っています。もし、なんの知識もない方が感受性が豊かなのだとしたら、生まれたばかりの赤ちゃんが一番感性豊かなことになります。だけど、自分自身の経験でも、周りの人を見ていても、赤ちゃんの頃よりも、言葉を覚えた子どものほうがより多くの刺激を感じているだろうし、さらに肉体も精神も成長した思春期の方が、強い刺激にさらされているように思います。

大人はロマンチストです。他人の話や、作り話に触れて涙したり感動したり、友人や仲間、伴侶や恋人など、他人をまるで自分の一部のように想い、怒ったり喜んだりもします。こういうの、子どもの頃にはなかった感覚じゃないかなぁと思います。

だから恐れず知識を吸収しても、好奇心は尽きないんじゃないかなぁ。知れば知るほど面白い世界。美術の沼へいらっしゃい。

美術関連の本で定番は『カラー版 西洋美術史』あたりでしょうか。

カラー版 西洋美術史

この本は、有史以前、人類が登場した氷河期から始まります。とにかくたくさんの作品がカラーで詰め込まれています。最初の一冊にはしんどいかもしれませんが、入門編として早い時期に読んでおきたい。

テレビでもおなじみの山田五郎さんの『知識ゼロからの西洋絵画史入門』も西洋美術史の面白がり方を知れる内容でした。

知識ゼロからの西洋絵画史入門

あと、面白かったのが『知識ゼロからの名画入門』 。著者は「なんでも鑑定団」の鑑定家でもある永井龍之介さんで、「もしあの名画を買うならいくらか?」という本。

知識ゼロからの名画入門

当然のことながら、とんでもない値段がつきまくるんですが「なぜその値段なのか」「どんなところに価値をつけるのか」というのが面白かったです。美術品はその作品自体が宝物や、世界に一つしかない物ですから、お金には換算できない。それをあえて「○億円」と鑑定して、その理由がくっついてるのが新鮮に思えました。

以上3冊はブログでも紹介したいなぁと思いながら放置していたので、ここでかわりに挙げておきますw

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池上彰『高校生からわかるイスラム世界』|今を知るには歴史が必要

池上彰先生のイスラムの授業

本書『高校生からわかるイスラム世界』は、テレビでおなじみの池上彰さんが、イスラム教やイスラムの歴史、イスラム世界にまつわる現在の国際問題までを解説するものです。「高校生からわかる」とあるように、10代の人向けで、社会科の教科書だけでは扱いきれていない話や「世界史」「現代社会」などと教科別ではなく、「イスラム世界」というテーマで話題が扱われます。教科を超えて、より広い視点で世界を眺めることができるでしょう。

日本にもイスラム教徒はいますが、あまり身近ではない存在の人も多いのではないでしょうか。あさよるも、キリスト教徒の人は知り合いにもいますが、イスラム教徒の人はいないんで、「知識としては知っているけど……」という存在だったりします。

しかし、世界的には、イスラム教徒の数はどんどん増えていて、近い将来、キリスト教徒の数を上回るそうです。また、アジアの国々でも、ヨーロッパでもイスラム教徒はたくさんいますから、日本が例外的な立地なのかもしれません。

で、池上彰さんといえば「わかりやすい解説」ですよね。もちろん本書『高校生からわかるイスラム世界』でも、やさしく話しかけるような文体で、とてもわかりやすい!

イスラム教は怖い?

本書の冒頭では、高校生の前で講義をする際、池上彰さんが生徒たちにイスラム教のイメージを訪ねた話題から始まります。生徒たちは「怖い」「暗い」「他の宗教より激しい」という答えだったそうです。高校生に限らず、大人たちも同じようなイメージを抱いている人は多いんじゃないでしょうか。

イスラム教について知識が乏しければ「自分の知らない存在」ですから、得体が知れなく「怖い」と感じてもおかしくないでしょう。その上に、ニュースではイスラム世界で起こっている紛争やテロの報道が続いています。そりゃあ「怖い」「暗い」「他の宗教より激しい」と思う人もいるでしょう。

しかし、イスラム教は世界三大宗教であり、ほとんどの圧倒的多数の人は「普通の人」なんだろうなぁと想像します。それは、日本人の中にも悪い奴も時々いますが、まぁ概ねほとんどの人は「普通の人」であるのと同じじゃないでしょうか(「普通の人」というのは「聖人君子なわけでもないけど、極悪人でもない」という感じで)。

まずは「得体の知れない存在」から「知っている存在」に変えることは、自力でできます。その入り口に本書『高校生からわかるイスラム世界』にいいんじゃないでしょうか。

10代へ世界の常識を

本書『高校生からわかるイスラム世界』で扱われる話題は、

  • イスラム教とは。コーランとは
  • ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の関係
  • イスラム教徒の戒律や習慣
  • イスラム「原理主義」とは
  • イスラム教を取り巻く国際問題(中東問題や、ユダヤ世界、エルサレム、湾岸戦争など)
  • イスラム世界のこれから

ざっとこんな感じ。

大人も、ややこしい話はわからないor忘れちゃってる部分があるでしょうから、「高校生からわかる」シリーズですが、本書は大人こそオススメだったりします。というか、「高校生からわかる」ってネーミングいいですね。昔は「サルでもわかる」とか、最近だと「中学生からの」みたいなタイトルの本が多いですが「高校生からわかる」というのは、サルでも中学生にもわからない、難しい話を扱っている感じがしますw

なんで歴史を学ぶのか?

夏休み中帰省していた親戚と「子どもの頃、なんで歴史なんか勉強しないといけないのかと思っていた」という話をしました。「大人になると義務教育で習ったことは知ってないといけないんだとわかった」という話です。

「歴史をなぜ学ぶのか」というのは、「お母さんはなぜ起こっているのか」という話と同じだろうと思います(笑)。お母さんは別に、今日、我が子が生まれて初めて部屋を散らかしっぱなしでゲームをしているから怒っているわけではないでしょう。たぶん、過去にも同じようなできごとが散見されていた結果として、今、怒っているんだろうと想像されます。

「今、なにかできごとが起こる」のは、過去になんらかの理由や原因が複数あって、それらが絡み合い、重なり合い、なにがなんだかわからなくなりながら、「今」がある。その瞬間瞬間はランダムに起こるできごとでしょうが、それらを振り返ると軌跡となっていて、それが「歴史」になっているんじゃないかと思っています。

現在の国際問題について知るには、モーゼやノアの時代の話題が飛び出すというのは、「歴史は必要なんだ」というのをよく表していますね。よく「歴史から学ぶ」という言い回しがありますが、あんまりそれは的確じゃなくって、「今を知るために、過去を知る」という感じじゃないかなぁと思います。

あと、世界の戦争や紛争のニュースは、キリスト教やユダヤ教の問題でもあるのに、イスラム教ばかり「怖い」と思われてしまうのは偏った話だなぁと思いました。

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池上彰さんの本

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『池上彰の世界から見る平成史』|池上さんが解説し続けたニュースたち

『池上彰の世界から見る平成史』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。あさよるは昭和の人なので、「前時代の古い人間だなあ……(遠い目)」なんて思いつつ生きておりましたが、来年、昭和はさらにもう一つ古い時代になってしまいます。この夏は平成最後の夏なんだなあ(遠い目)。思えばあさよるも、平成の荒波に呑まれ続けた半生でしたねえ……。

また、池上彰さんは平成史をテレビでわかりやすく解説し続けてきたとも言えますね。ここ30年の出来事を振り返るとともに、そういえばこのニュース池上さんの説明で聞いたな~なんて思いながら読了いたしました。

長ぁ~い「平成史」

本書『池上彰の世界から見る平成史』というタイトルでもっとも感慨深いのは「平成史」という言葉でしょう。2019年4月30日で平成が終わるということは、そうか、「平成」という時代が歴史になることなんですね。平成の前の時代、昭和は64年もありましたから、昭和と比べると平成は「短い」感じがしますが、今回改めて平成の国内外のニュースや災害の年表を見ると、いやいやとても「平成は短かった」とは言えません。

平成は、戦後高度成長期の絶頂から始まります。平成元年(1989年)12月は日経平均株価が最高値を記録します。そして翌年1990年(平成2年)3月、裁量規制が始まり、その後バブル経済が終わります。世界では第二次大戦後続いた冷戦が終わります。冷戦時代はアメリカとソ連の2チームに世界の国々が分かれ緊張状態が続いていましたが、今となれば冷戦終結によって世界の親分がいなくなったことで、世界中の混沌が始まる時代でもありました。

また、平成は大災害が相次いだ時代でもあります。1990年(平成2年)の雲仙普賢岳噴火、1993年(平成5年)の北海道南西沖地震が起こります。そして1995年(平成7年)の阪神大震災以降、日本国内の地震や火山活動が増え、2000年(平成12年)三宅島噴火、2004年(平成16年)新潟中越地震、2007年(平成19年)能登半島地震、新潟中越沖地震、そして2011年(平成23年)東日本大震災があり、その後も2014年(平成26年)御岳山噴火、2016年(平成28年)熊本地震と、地震・火山活動は続いています。平成は災害の時代でした。

また、世界がテロと対峙する時代でもありました。2001年(平成13年)の9.11テロ以来、世界中でテロが広がっています。日本でも1995年(平成7年)地下鉄サリン事件の無差別テロが起こります。オウム真理教はこの以前にも1994年(平成6年)「松本サリン事件」を起こしています。日本は昭和のころからテロが何度も起こっています。

池上彰さんが解説し続けたニュースたち

本書『池上彰の世界から見る平成史』は、池上彰さんがこれまで解説しされてきた世界のニュースでもあります。池上彰さんが出演されていたNHK「週刊こどもニュース」がスタートしたのは1994年(平成6年)です。池上彰さんが「お父さん」役で、子どもたちに一週間のニュースを教えるという番組でした。あさよるも東欧やイスラム世界について、池上彰さんの「お父さん」のわかりやすい解説を見ていた記憶があります。

平成30年ですから、平成生まれの先頭グループはもうアラサーです。平成の初めのころのニュースやブーム、文化について知らない人もたくさんいます。もうこうやって「平成史」を歴史として書籍で学ぶ世代もいるのです。

『池上彰の世界から見る平成史』挿絵イラスト

「昭和」の本をよく読んだなあ

そういえばあさよるも、古書店なんかで「昭和」を扱う本や雑誌をよく手に取って見ました。多くは平成になってから「昭和という時代」を振り返るもので、戦後から高度経済期へと何冊にもカラーグラビア満載で紹介されている雑誌をよく読んだけど、あれはなんの雑誌だったんだろう(「別冊太陽」かなあ)。家電や万博、新幹線など技術の進歩が紹介されているのが面白かった。

「一区切り」ごとに時代は変わる

昭和はまさに「激動の時代」だったけれども、こうやって「平成史」を一覧してみると平成もなかなかハードな展開だったのだなあ。日本経済・世界経済に翻弄されたり、一気にグローバルな時代が到来し、世界が小さくなった時代でもあります。

どの本に書いてあったのか忘れましたが、10年ごととか、何か区切りのいいところで時代を一まとめにすることで、人は過去を少しずつ俯瞰することができるようになるそうです。そして不思議なもので、その区切りに合わせて世情も変化していくんだそう。西暦なら10年刻み、100年刻みの変化もありますし、日本の元号のように、その国固有の区切りを持っている国もあります。

別にその区切りに合わせて我々は生きているわけではないけれど、のちの時代に振り返ってみると、時代ごとのカラーがあるのかもしれませんね。なるほど、昔の人たちがことあるごとに元号をコロコロと変えていたのも、それなりに理由があったのかもしれません。

これまで時代の波に呑まれるばかりだった時間を、俯瞰できるようになる日が来るのはなんだか不思議。

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歴史の本

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『地図趣味。』|地図に萌えっ!等高線を愛でよ!海図も月面地図も

『地図趣味。』挿絵イラスト

こんにちは。あさよるです。あさよるは幼いころより地図をつくるのが好きでして、大学生になってもせっせと地図を作っていました。最近、地図作りができてませんから、息抜きが足りてないのかもしれませんね。と言いつつ、目下ブログのサイトマップの構想を毎日考えてるんですが(苦笑)。

「地図」って、その目的によってバリバリ情報が偏るから、すごく面白い。昔、ノラ猫がうちに居ついた頃、ネコの後をつけて、ネコの道の地図を作ったこともあります。それは人間の地図とは全然違っています(やつらは塀の上や屋根の上も歩くから、立体的に表現しないといけないし)。

「子どもの地図」も、大人にとっては道じゃない、子どもだけの道がありますから、やっぱり特別な地図になります。あさよるは過去の自分の創作物はどんどん捨てちゃうんですが(いちいち取っておけないし)、この「ネコの地図」と「子どもの地図」は置いときゃよかったとちょっと後悔しています。

『地図趣味。』挿絵イラスト

「地図に萌えっ!」それだけ!

本書『地図趣味。』は、もうタイトルそのまんま。地図が趣味。趣味が地図。地図を眺めているだけでキュンキュンしちゃうし、平面の地図から立体の情報を妄想するだけでもワクワクしちゃう。そのために資料探しもやめられないし、神保町で古地図の衝動買いもしちゃうのだ。

個人的にとても面白いと感じたのは、マンハッタンで人に道を尋ねて、メモ書きしてもらった地図を実際の位置関係に並べて表示したもの。ナプキンや紙皿にボールペンで地図が書き込まれており、それらをつなぎ合わせると街の形になっている。バラバラの要素(地図を描いた人もバラバラさし、各人も一要素を書いただけ)であっても、情報が集まると、立体的に姿が立ち現れる様子がたまらん。

地図にもいろいろありまして

一口に「地図」といっても、いろんな地図があります。そもそもこの本は、月の地図の話から始まるんです。色とりどりの月面地図から、グリーンランドの動物の皮と流木でできた地図、ミクロネシアの棒をひもで結わいて組み立てた航海地図など、見たことのない地図から始まります。

エルサレムを中心に、アジア、ヨーロッパ、アフリカと三つ葉のクローバーのように広がった地図は「確かに、ユーラシア大陸とアフリカ大陸をこんな風に解釈もできるなあ」と妙に感心してしまいました。

別に、衛星写真に写された地球の姿こそが正解というわけでもなく、地図は解釈の仕方や、なにに注目するかによって描き方が変わります。もちろん、よく目にするメルカトル図法の世界地図もかなり歪んでいますから、メルカトル図法の地図による誤解や問題もあると思います(赤道が中央横方向に走るメルカトル図法の地図では、日本列島の場合、北海道は大きく見え、沖縄諸島は小さく見えます。沖縄問題が小さく扱われるのは、地図のせいじゃないかと疑っています。あるいはヨーロッパは巨大に見え、アジアの国々は概ね小さく見えます)。

土地の形を表すものばかりでなく、川の地図もあれば、都市部の形が見える地図もあります。

地図は何を目的とするかによって、同じ場所を表示していても全く違った姿になるのです。

地図をつくるのはたまらん!

本書が面白いのは、ただ地図を愛でるだけでなく、オリジナルの地図を作ろうという試みに発展することです。しかもただ模型を作るわけじゃなくて、地層を表現した食べられるムースとか、等高線を模したクレープとか「四色定理」グミとか、なんでそうなった! という展開にw (四色定理とは、どんな地図でも4色あれば隣り合う領域と違う色で塗り分けることができるというもの)

さらに滋賀県の形をしたアクセサリーとか、どうしてそうなった\(^o^)/

あさよるも、地図をつくるのを趣味にしていた時期があったので、ものすごく心ときめきます。

凸凹、坂道、谷や川を愛でよ

あさよるは関西在住ですから、たまに東京へ行くと、東京の街のアップダウンの激しさにクラクラします。しかも、東京の街の面白さは、パッと見渡す限りはビルが立ち並び、地面の高低差が隠されており、どこまでも平たい関東平野が広がっているように錯覚してしまうところ。しかしいざ街を歩き始めると、ビルの陰に潜んでいた坂道や、突然立ち現れる崖や、エレベーターでビルの上階に上がったのに、そこが地面につながっていたりと、奇想天外。

大阪の場合、現在の市街地の多くは人工の埋め立て地ですから、一部、上町大地(大阪城や四天王寺のある南北に細長い高台)以外は海抜が低く、基本は平らかです。だからこそ、たまにアップダウンの激しい土地に行くと、情報量が多すぎて、位置情報や高さを脳内で処理するだけで頭がいっぱいになります。とても刺激的!

地図は平面の紙に印刷されたものが一般的でしたが、現在では「グーグルアース」や「グーグルストリートビュー」というすごすぎるサービスが無料で使えますから、「地図」の概念も変わっています。すごいね!

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『北欧スウェーデン式自分を大切にする生き方』|ネガティブ思考をハックせよ!

こんにちは。夜中におにぎりを食べてしまった あさよるです。そして自己嫌悪に陥り、なんかものすごい絶望的な気持になります。そんなに後悔するなら食べなきゃよかったのに! さて、あさよるも〈ネガティブ思考〉な人間ですから、今回手に取った『自分を大切にする生き方』のテーマである、〈ネガティブ思考〉からの脱却は、耳に痛くもあり、ためになる話でもありました。

本書は、著者のビルマーク夫妻が「心の病」から抜け出した経験から書かれたものですが、いわゆる精神病治療の話ではありません。〈ネガティブ思考〉から〈ポジティブ思考〉への思考の変え方。あるいは〈自己欺瞞〉から脱却する方法といったところでしょうか。医学的な話ではないのであしからず。

心の病から抜け出した夫婦の話

本書『自分を大切にする生き方』の著者であるビルマーク夫妻は、二人とも心の病に苦しみ、そこから脱却した経験がまとめられています。二人の間の娘との関係も描かれます。不調を自覚し、少しずつ生活習慣や思考を変えてゆくことに苦心した記録や、自分以外の人の存在を認識し、「今」に集中できるまでに回復します。

夫妻の住むスウェーデンは、暮らしやすい国ですが、真面目な国民性からメランコリー(うつ)を抱える人が少なくないそうです。社会的背景を元に、彼らがメランコリーを乗り越えるまでの経緯を知りましょう。

ストレス、ネガティブ思考を把握する

まずは、自分の心身に起こっている症状を自覚する必要がります。ストレスは肉体的な変化を引き起こします。肉体に起こっているストレスレベルを把握しましょう。次いで、ストレスの要因の特定です。ストレスの原因を遠ざけられれば良いですが、それが難しい場合は自分が対処するしかありません。

これまでの対処の仕方が、ストレス、不安、頭痛、睡眠障害、高血圧、潰瘍、腰痛、集中力散漫、憂鬱、自身のなさにつながっているのかもしれません。これを「ネガティブ反応」と呼びます。ネガティブに反応することを自ら選んでいるのです。

p.29

メランコリーの原因は、ネガティブな事柄に自らが集中してしまっていて、悪循環に陥っている可能性があります。悪かったことばかり注目するのではなく、良かったことにも目を向けます。

専門家への相談を!

自分で対処が無理な場合は、専門家に相談しましょう。専門家を頼ってる人は多いですし、服薬治療をしている人も少なくありません。身体に悪影響が出ているのですから、速やかに専門窓口へ。

ネガティブ思考に対処する

ネガティブ思考を遠ざけるため、「心配タイム」を設けます。これによって、日中、心配事が起こったとき「あとで心配タイムに考えよう」と保留できます。そして、心配タイムでは、心配事を書き出し、心配事の対策を考え書き出します。そして、その対策をいつ取るのか決め、必ずそれを実行します。

心配タイム導入により、漠然とした不安ではなく、建設的に心配事に取り組めるようになります。しかも、心配事の対策を実行することで、少なくとも一つの心配事は減ります。

生活を変えてゆく

生活習慣そのものも変えてゆきましょう。マルチタスクは非効率だと割り切り、タスクを周りの人に分散し協力してもらいましょう。また、部屋を片付け、心がくつろげる環境を整えましょう。思い切って模様替えに勤しんでもOK。睡眠の質と量の改善も。寝具を奮発して良いものに変えてみるだけでも、変化があるかも。

健康的な生活に必要なのは、睡眠と、栄養と、適度な運動です。これらが確保できるよう生活習慣を変えてゆく必要があります。

毎日テレビを何時間見ていますか? 何時間スマホを見ていますか? 自分の何気ない時間が、自分の生活を圧迫しているかもしれません。時間切れになって自己嫌悪になるよりも、一日の時間の使い方を見直しましょう。

ネガティブ思考を変えてゆく

上手くいかないことがあっても、それにどう対応するかは自分で決められます。いつも元気な人なんていないし、いつでも良い人なんていません。「良きパートナー」「良き親」「ダイエットする」「学びなおす」など、責任感や約束事に思うなら、それはなぜ? 周りの人から求められているのかもしれません。

「~べき」とか「~しなければ」という思考を捨てましょう。「~したい」に変えてゆくのです。

そして、大変な時は「大変です」と言い、完璧な人のフリをするのはおしまい。自分の弱みも、人に見せられるように。

「他者」の存在を意識する

完璧な人をやめることは、他者を受け入れることにもつながります。どうしても、自分を誇大に見せようとすると、自慢話をしたり、相手に自分の価値を確認させようとしてしまいます。SNSでマウンティング投稿をやめ、他者への感謝を日記に書き留めましょう。

「今」に集中する

きちんと「ノー」を言い、お人好しをやめ、テレビやスマホに時間を奪われるのをやめて、何をするのでしょう。それは、「今」に集中しましょう。過去に何があっても、今は過去ではありません。将来にどんなに不安になっても、まだ将来は来ていません。「今」しかないのです。

頭の中のおしゃべりをやめ、雑念を取り払い、「今」に集中する。

ネガティブ思考から得ているものはなに?

ここから、あさよる的目から鱗だったお話。

ネガティブな思考に陥っているときって、自分自身が苦しんでつらいのですが、実はネガティブ思考になることで自分は「何かを得ている」のかもしれない、という指摘はショックでした。

 ネガティブ思考は、やりたくないことから逃げる方便にもなります。

p.158

まず、ネガティブ思考に陥り、体調を崩すと、「何か」から解放されることがあります。もしこれが本当ならば、自傷しているのと同じじゃないかと思い至りました。何か欲求があって、そこから解放されるために自信を苦しめているのです。矛盾しているように思えますが、実際にそのような行動を取ってしまう人は少なくないでしょう。(あさよるも、夜中にアイスクリームを食べてしまいます(^^;)

また、ネガティブ思考は自尊心を満たすこともあります。

 自尊心が低い人は、人から同意や承認を得ようとしがちです。自分はよくやっている、十分魅力的だ、特別な存在だ、と誰かに言ってもらいたいのです。

p.160

自分で自分の評価が正しくできない場合、他者に評価してもらいたくなります。「正しく評価ができない」とは、〈過大評価〉のみならず〈過小評価〉も同じです。自己評価が低い場合、他者に評価され、認められたいと願うのです。そのため、ネガティブ思考が発動します。さながら、よく女子会なんかで展開される「わたしブスだから」「もっと痩せないと」みたいな話も、同じ心理状態ですかね。

なんらかの報酬があって、ネガティブ思考をやめられない場合は、心がけで少しずつ思考を変えてゆきましょう。

ネガティブ思考を改めるためにできる心がけをいくつかあげてみましょう。

・自分に正直になる。ネガティブ思考で自分を傷つけていることを自覚する。
・ネガティブ思考は改めなければならない悪い習慣、と自覚する。
・起きている間のエネルギーのすべてを、不健全な思考パターンを経つのに費やすと決意する。
・自分の思考パターンを意識する。
・人に認めてもらおうとするのではなく、アファメーションや励ましの言葉によって、自分自身で気分を高揚させる。

p.160-161

長い年月にわたって〈ネガティブ思考〉を培ってきたのですから、〈ポジティブ思考〉に鞍替えするのも気長に暇がかかりそうですね(;’∀’)

〈ポジティブ思考〉は周囲の幸福度UP

本書のメッセージは「過去にどんな経験をしてきても、今変わることができます。遅すぎることはない」という力強く心強いものです。

そして「ポジティブな人は、周りの人を幸せにする力を持っている」と、変化の先にあるものも示されています。これって、真面目で責任感の強い人ほど〈ポジティブ思考〉に向いているってことですよね。周りの人をより幸福にする〈責任感〉は〈ポジティブ思考〉になることにより達成されるのです。

逆に言うと、〈ネガティブ思考〉に陥っているとき、本人の真面目で責任感の強い性格とは裏腹に、周りの人に悪影響を与えてしまっています。

自分だけの幸福を追求するのではなく、周囲の人たちの幸福度にちょっとだけでも貢献できるなら、それは嬉しい話カモ。

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『西洋美術史入門』|旅支度するように美術鑑賞の用意をしよう

『西洋美術史入門』挿絵イラスト

こんにちは。旅行しない あさよるです。旅行の計画を立てている内にお腹いっぱいになっちゃって「もういいや~」とお流れになるのが定番。その代わりの楽しみとして、フラッと近場の美術展で満足しています。

はじめて美術館へ行ったとき、確か兵庫県立美術館のゴッホ展へ行ったのですが、なにがなんだかわからず驚愕しました。絵って、パッと見てスゴイ、圧倒される~って感動の連続だと思ってたのですが、想像と違ったんです。今思えば、予想以上に「情報量」が多くて驚いたんだと思います。ただ「パッと一目見て感動して終わり」ではなく、絵の一枚一枚に説明があって、またゴッホの作品以外にも書簡や文字の資料も展示されていました。

「どうやら美術を鑑賞するには、なにやら事前知識が必要だぞ……」と、思い知った一日でした。知識って言っても、詳しい人に案内してもらったり、数をこなしているうちにちょっとずつ身につくでしょうが、やはり大人の遊びとしては、ガッツリやりたいじゃないですか! ということで、あさよるの中で「美術鑑賞のための下準備」は、折に触れて少しずつ進行中です。

絵はメディアだった

現在の日本で生まれ育った人は、小学校中学校と義務教育を受けていますから、文字の読み書きができて当然の社会で生きています。しかし、それは歴史の中で見ると異常な状態で、昔は文字が読めない人が大半でした。現在では書物に書き記せば他の人に情報が伝えられますが、文字が読めない人に情報を伝えるために用いられたのが「絵」でした。

教会の壁に絵が描いてあって、その絵の「絵解き」をして人々に信仰に基づく振る舞いを教えていたのです。昔の画家たちは、自分の好きな絵を描いていたわけではなく、教会や上流階級の貴族たちから「注文」されて絵を描いていました。ですから、発注者から受け取り拒否される絵画もありました。

現代の感覚だと「好きな絵を描く」「趣味で絵を描く」と考えてしまいがちですが、画家たちが思い思いに好きな絵を描くようになったのはとっても最近のお話です。多くの絵画は発注者の要望が反映されています。ですから、「なんでこの絵を注文したのか」という理由を知らなければ、今の感覚で絵画を見ても「何が書いてあるのかサッパリわからん」「何がいいのかわからない」ということになってしまいます。そこで、絵画について「学ぶ」必要が生じるのです。

絵を買う人には、欲しい理由がある

絵画を発注者がいて、受注して絵を描くのが画家だと紹介しました。その時代その時代で、描かれた絵、流行った画題には、発注者のニーズが反映されています。

例えば、ペストが流行した時代、まだウイルスが人から人へ感染していると分からず、特効薬もなかった時代です。人々は神からの罰だと解釈して当然です。そこで、聖セバスティアヌスの図像がたくさん描かれました。聖セバスティアヌス(聖セバスチャン)とは、キリスト教迫害により、殉教した人です。柱に括り付けられ、数々の矢を射られて死刑になりました。この「矢」がペストと重なります。ペストという罰を受けても、聖セバスティアヌスのように信仰を貫き続けなければ天国へ行けないと、当時の人々は考えたんですね。

絵を発注する人々は、自分が善行を重ねていることを神にアピールするために、絵画を発注しました。西洋では慈善活動や、社会的弱者を救済する文化があります。有名なミレーの「落穂拾い」では、貧しい人々が、収穫後の畑に落ちた地面に落ちた穂を拾っている様子が描かれます。

「神様へのアピール」って面白いですね。多くの日本人にとって、ただ知識もなく西洋絵画を見ていても「その発想はなかった」って感じじゃないでしょうか。

流行りを知ると社会背景が見える

先ほどのペストの例のように、その時代ごとに流行した画題があります。どんな絵が流行ったかを見てゆくことは、その時代の社会背景を読み取っていくことです。多くの人が文字を読めなかった時代、「絵」には今以上に「意味」が込められていました。西洋美術に触れることは、西洋の歴史に触れることなんですね。

ということは、「絵を見る」ためには勉強しなくちゃいけないなあと、新たな好奇心がうずきます( ´∀`)b

絵には「見方」があるのだ

『西洋美術史入門』挿絵イラスト

本書『西洋美術史入門』で大きな学びがあるならば、「絵画には見方がある」ということでしょう。もしかしたら、アート鑑賞を「自由に」「感じたままに」するものだと考えていた人にとっては、ビックリかもしれません。あさよるも以前は「自分がどう感じるかこそが大事だ」と思い込んでいました。

しかしこの「自由に」というのは、実はとても不自由だったりします。それは、旅行のツアーで「自由時間」という名の放置時間を、持て余してしまうのと同じです。いくら観光地だからって、右も左も分からない所に放り出されても、途方に暮れるばかり。結局、その辺をプラっと歩き回って、あとはカフェや休憩所で時間を潰すのがオチ。「自由に」というのは聞こえは良いですが、不案内な場所・事柄の場合は逆に「不自由」な結果になります。

残念ながら日本の学校教育では、西洋美術について学びはしますが「鑑賞の仕方」までは時間が割かれていません。だから美術作品を「自由に」鑑賞せよとなると、どうしていいかわからないのかも。また、一部の美術・芸術ファン以外は、美術館も博物館も馴染みのない施設かもしれません。

美術鑑賞は、旅行のように、ワクワクと事前リサーチして、よりディープに浸りましょう。楽しみのための勉強っていいね。

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『方向オンチ矯正読本』|なぜ地図が読めない?目印はどれ?

こんにちは。地図を熟読する あさよるです。年末に京都に行こうかなって計画し始めて、連日Googleマップを熟読しております。ストリートビューで歩き回っています。こんな性分なので「方向オンチ」ではありません。しかし、うっかり者ではあるので、たまにあり得ないくらい盛大に道を間違えることはあります。これは事前準備不足だと反省しつつ、間違って歩いた道程は貴重な資料として反芻しています。

こんななので、自称方向オンチな人に悩まされることが多く、彼らが何を考えているのか知りたくて『方向オンチ矯正読本』を手に入れました。ちなみに悩みとは「スケジュールを丸投げされる」「遅刻で長時間待たされる」こと。自称方向オンチさんは、一体何がひっかかって時間がかかるのか分からなかったので、良い勉強になりました。

方向オンチは治る?

本書『方向オンチ矯正読本』の著者・北村総一郎さんは「方向音痴改善レッスン」をしておられ、大阪を中心にセミナーも開催しているそうです。レッスンで方向オンチ改善って治るの?てか、そんなレッスンがあるんだ!という、これだけでも面白い。

どうやら、方向オンチは訓練で改善するようです。目で見て聞いて感じた情報を、うまく立体的に記憶ができないことで、あらぬ方向へ歩いて行ったり、地図が読めないということも起こるようですね。

ちなみに昔『話を聞かない男、地図が読めない女』という本がありましたが、方向オンチレッスンをやっていると、方向オンチに男女差がないと気づいたと紹介されています。むしろ、方向オンチであることで困ってレッスンに来る人は男性の方が多いそうです。で、遺伝も関係ないそう。

じゃあ、「方向オンチ」ってなによ? ……ズバリ、環境が方向オンチを作っている!

日本は「方向オンチ」大国だそうです。外国では方向オンチは「自分のコントロールができない」とネガティブな印象らしく、「方向オンチキャラ」としてキャラ立ちしてしまう日本とは大きく環境が違います。日本人は「方向オンチが多い」のではなく、「方向オンチを自称する人が多い」ということですね。かつ、日本ではパソコンやスマホを駆使し、狭い国土に密集して暮らしているので、環境が複雑で高層化しやすいことも原因かと。

脳内の記憶回路をつくれ!

さて、方向オンチ克服法。簡単にステップを紹介すると、「地図を〈見る〉から〈読む〉へ」「目印のつけ方」「脳内マップを構築する」「脳内マップを紙に書く」。さらに「自分で書いた地図を本物の地図に落とし込む」までできれば上々。

一つずつ要素を見てゆきましょう。

地図を読む、目印を覚える

まず「地図を〈読む〉」という概念を知る。NOT方向オンチさんは地図から情報を読み取って頭の中でイメージしているのです。言うが易しって感じですが、頭で考えるよりも感情を働かせ「体感」しましょう。

地図を見る時、地図の世界に自分が入り込んだ様子を想像して、地図の中の自分が見ている情景を思い浮かべましょう。人形の自分がマップ内を歩き回っている様子。RPGゲームの世界のキャラクターを動かしているような感じかな?

地図を読む、という行為は、次の3つのパートに分けられます。
①地図を見て、全体の中から、自分が目的地にたどり着くのに必要な情報を抽出する
②抽出した情報を、頭の中でビジュアル化(仮想化)する
③目的地にたどり着くまでの行程をシュミレートしたのち、目的地に向かう

p.86

②では、地図の情報だけで景色をイメージできるようにします。平面の記号をリアルな世界に変換する能力ですね。実際に自宅の近くなど街の中を歩きましょう。慣れてきたら知らない街でも試します。

道程の目印、ここでは〈アンカー〉と呼ばれていますが、アンカーを適切に設定します。

「自分が好きなもの」「興味のあるもの」をアンカーとします。ここでは主観が大事で、他人の価値観は不要です。自分がアンカーだと思えばアンカー。好きなこと、興味のあることは「覚えよう」としなくても、勝手に頭に入ってきます。そして、好きなこと興味のあることは何回も繰り返し考えてしまうので、脳の記憶に定着しやすいんです。

そして、道を曲がる時のアンカーが大事!帰りは、行きに打ったアンカーを確認します。

脳内マップを作る

アンカーを使いこなせるようになったら、脳内の地図を紙に書き出します。

①アンカーが反映された、脳内マップを作成する
②本物の地図と比べる
③完成したマップを携えて、答え合わせのために、もう一度同じ道を歩く
④必要、もしくは不要な情報を修正し、精度を上げて本物の地図に近づけていく

p.134

これだけ見ると「難易度たけー」と若干ビビってしまいましたが、そういえば あさよるも昔、毎日せっせと地図を書いて、本物の白地図と見比べて、再び同じ道を歩いて……という活動をしていたことがありました。あさよるが方向オンチをじゃないと自任しているのは、このへんの経験からなのかもしれません。

これ、やってみるとなかなか楽しいし、旅先なんかだと思い出になるしオススメ。

上手な道の迷い方

本書が親切な本だなぁと思うのは、最後に道に迷った時の対処法まで網羅されているところ。誰だって道に迷います。方向オンチじゃない人も、迷うんです。だから「上手な道の迷い方」。

方向オンチさんの中には、道に迷ったと気づいていても立ち止まるのが怖くてズンズン歩いてしまう人がいるそうです。だめ!アレ?と思ったら立ち止まる!落ち着いてから来た道を、記憶を巻き戻す様に思い出します。記憶法を身につけていれば大丈夫です。

そもそも、迷いやすい道は避け、わかりやすい道を選ぶことも大切です。これは事前に、地図を見て景色をイメージする力と、アンカーの設定の仕方がマスターしておれば大丈夫。

あと、便利なアプリを使おうw

自称「方向オンチ」のナゾがわかる!?

本書の面白いところは、方向オンチさん本人だけでなく、方向オンチじゃない人も役立つだろうとことです。すなわち「方向オンチはなぜ道に迷うのか」と逆説的な答えがおぼろげながら見えてくる。きっと方向オンチじゃない人からすれば「方向オンチ」という状態が存在すること自体がナゾじゃないかと思います。

正直に言うと「自称方向オンチ」ってただのズボラで無責任なだけじゃないのか?と思ってさえいました。だって、彼らの遅刻の言い訳がサッパリ意味が分からないから。

あと、ハッと気づいたのは「迂回ルートしか知らない人は、最短ルートを意識しない」という事実。だから盛大に大回りしたって、それが「その人にとっての最短ルート」なのかもしれない……!

方向オンチの人は、脳内で立体的に空間を把握、記憶するのが苦手で、訓練で上達するってことはわかりました。だから辛く当たらないで、じっくりとサポートする方に回った方がよさそうね。

あと、著者の北村壮一郎さんの方向オンチ克服セミナーも気になります。誰かレポよろ!

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『龍の棲む日本』|国土をぐるっと囲む龍が守り、災いを呼ぶ

こんにちは。あさよるです。『龍の棲む日本』は以前からおススメされていた本。あさよるの最近の関心事、漢方とか、鍼灸、ツボとか、風水とか、そのへんのことをゆるっと時間をかけて拾っていたのですが、『龍の棲む日本』も一つ、新しい視点を得たような読書でした。

一冊の本が論文のような構成ですので、かいつまんで説明するのは難しいのですが、Interesting なんです。その熱やテンションが伝われば~!

〈日本図〉を読む

〈国土〉とはそもそも〈大地〉であり、そこで人間は歴史を生み出してきました。国語辞書的には、国の統治が及ぶ領土、土地、ふるさと、仏語と少なくとも4つの意味があるそうです。〈国土〉といえば地図帳の測量された地図であり、科学的に日本地図を完成させたのは伊能忠敬が知られています。

んじゃ、伊能忠敬の地図が作られる以前、日本人はどんな〈国土〉を見ていたの?てのが本書のテーマです。

資料として「大日本国地震之図」と「金沢文庫〈日本図〉」という地図がカラーで掲載されています。興味のある方はググってくだされ~。どっちも面白いし、「大日本国地震之図」は目で見て超カッコいい代物。真ん中に地図らしきものがあり、その周りを龍がグルっと囲み、自分の尻尾を自分で咥えているのです。「金沢文庫〈日本図〉」は地図の半分だけ残されていて、西国の国々の地名が記されておりその周りを何やら細長い鱗のあるものがグルっと這っています。龍の胴体で、きっと失われた東国の地図の報に頭と尻尾があり、パクっと咥えていると想像できます。

龍と国土と天災と蒙古

本書は、日本の国土をグルっと取り囲む龍の図を読み解いてゆくことで、日本が『龍の棲む日本』であることを確認してゆきます。龍とは龍穴を通じて地下で繋がっており、国土を守る一方で、地震や天変地異を引き起こす存在でもあります。

蒙古襲来時「悪風」を吹かせたのは龍の姿になって現れた諏訪大明神だったという。日本の危機を救った龍。龍の棲む「龍穴」は国内にたくさんあり、「龍」のつく地名も多い。

龍という概念が見えるかも

龍とか龍穴、地脈なんて言葉を聞いたことがありますが、『龍の棲む日本』を読んで、「龍」と呼ばれる〈なにか〉の存在がおぼろげながら感じられた気がします。なにか、とてつもなく大きな〈力〉がうごめいている。しかし目には見えない、認識できない、ってところでしょうか。

あさよる的には、一年以上かけて荒俣宏さんの『帝都物語』を読んでいたので、嬉しい内容でした。『帝都物語』は東京の街は平将門の怨念を封印するために設計された街であり、封印を解いて東京を破壊しようとする加藤が、封印を解き龍神を目覚めさせようと画策するスリリングでバトルありのファンタジー。まだ最終巻に到達していませんが、なかなか面白いのでオススメ。

帝都物語 第壱番 (角川文庫)[Kindle版]

帝都物語 第壱番 (角川文庫)[Kindle版]

  • 作者:荒俣 宏
  • 出版社:KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2012-10-01

もし、東洋版「マインクラフト」があったら……

『龍の棲む日本』を読んで和製「マインクラフト」を想像してみました。「マインクラフト」とは日本では「マイクラ」と略されて呼ばれるゲームで、世界のあらゆる構成物が立方体のブロックでできており、それらを採掘したり破壊したり燃やしたり組み立てたりして自然を開拓してゆくゲームです。

常々、世界観が西洋的だなぁと思っていたのですが、もし東洋版「マインクラフト」があったら、地面を掘っていたら龍穴が開いていて気脈が通っていたり、なにがのブロックに触れると全く違う場所で水が溢れたり、順番に杭を打っていくと大地が動いたりとか、そんなことが起こるのでしょうかw

オリジナル「マインクラフト」では、どうやら災害が起こらないみたいで、どんな建築をしても大丈夫。宙に浮いていてもOKだったりするので現実味がありませんが、災害の多い場所に住んでいる身からすると「積みあげたものが崩壊しない」という世界観は、異質に思えます。

こんな「もしも」の話を空想するにも『龍の棲む日本』は面白かったです。

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『ヒルビリー・エレジー』|チャンスの掴み方を忘れてしまった人々

こんにちは。おすすめ本はなるべく読むあさよるです。本書『ヒルビリー・エレジー』もトランプ大統領の話題と一緒にゲット! アメリカでは今なにが起こっているのか?どんな人がトランプ氏を支持したの? と、考えの手助けに。著者自身が、ケンタッキー州の廃れた元工業地帯で生まれ育ち、秩序崩壊している環境での経験を詳しく綴っています。「格差」とは、どういうことなのか考えるにも、ぜひ。

取り残された白人の労働者階級

本書『ヒルビリー・エレジー』の〈ヒルビリー〉とは、「田舎者」を馬鹿にしたようなニュアンスの言葉だそうです。エレジーは「哀歌」。「田舎者の哀歌」。現在アメリカの田舎に取り残された白人たちは、かつてない格差と貧困に陥っており、著者J.D.ヴァンスさんもヒルビリーの白人家庭に生まれました。

本書が注目されているのは、そう、2016年にドナルド・トランプ大統領の出現によってです。Amazonの商品説明ではこのような紹介がなされていました。

◎アメリカ人が、もうひとつのアメリカを知るためにこぞって読んでいる一冊
◎トランプ支持者、分断されたアメリカの現状を理解するのに、最適の書。
◎タイム誌「トランプの勝利を理解するための6冊」の1冊に選定。

ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち | J.D.ヴァンス, 関根 光宏, 山田 文 |本 | 通販 | Amazon

アメリカでも、アメリカ国内で何が起こっているのか知りたい人がいるってこと?

トランプ大統領就任時、日本でもメディアで取りざたされましたが、アメリカ国内の格差が広がり、トランプ大統領は田舎の労働者階級に支持されたと見聞きされました。かつて工業地帯として栄えた田舎町。今は廃れて、貧しい人々が暮らします。ここで取り上げられているのは「アメリカの反映から取り残された白人たち」。ヒルビリーの白人たちは、富裕層の白人や、黒人、黄色人種たちよりも、未来に希望を描けない状況に陥っています。

アメリカンドリームがなくなったアメリカ

本書では「アメリカンドリーム」はアメリカよりも、現在はヨーロッパにあると語られています。

ヒルビリーで生まれた著者・J.D.ヴァンスさんは、父親違いの兄弟がたくさんおり、母親は職に就いても長く続かず、彼氏に依存しトラブルばかり繰り返します。ことあるごとに母親から虐待を受け、命からがら祖父母に頼って生きています。頼もしいお祖母さんではありますが、彼女も揉め事を“力”によって解決し、法秩序から逸脱しています。親子や恋人に依存し、薬物に依存し、お金は目先のものに使い切り、困ったことが起ると自分以外のモノのせいだと考え、悪びれず不正を働きます。労働時間は短いにも関わらず「自分たちは働き者だ」と信じています。これは著者の特別な経験ではなく、ヒルビリーの平均的な「普通」の家族の形。

こうやって要素だけ抜き出してみると、秩序が崩壊しているのがわかります。ヒルビリーの閉ざされた世界に生まれ育つと、自分の知っている世界が全てだと思い、ヒルビリーの価値観のみが行動規範になります。ヒルビリーの世界では、勉強をし良い成績を修めることよりも、男らしく喧嘩で勝てるほうがずっと価値があります。

ヒルビリーにもチャンスは平等にあるはずなのに、「チャンスに手を伸ばす」という観念が抜け落ちているようです。アメリカンドリームも今でも用意されているのかもしれませんが、そもそも「望まない」人にチャンスはありません。アメリカは「ドリーム」を失ったのでしょうか。

貧困の中にいると、貧困の思考しかできない

貧困から抜け出したいなら、勉強をして大学へ進む道があります。しかし、子どもたちを大学へ進学させることが何を意味するのかイメージできない。実際には、大学に通う方が学費が安上がりなのに、地元のカレッジに通う方がいいと思い込んでしまう。子どもたちに初めからチャンスがありません。

家族が不正を働いても、それをみんなで隠蔽することが正解であり思いやりであると考えてしまう。そもそもの問題を取り除こうという発想がなく、恋人や薬物に依存してしまっても、周りはその場しのぎの対応をするばかりです。それが「普通」の環境ですから、良い状態が想像できなくなる。

教育の機会が奪われていますから、子どもたちも偏った世界観の中で育ってゆきます。著者も、考えが錯綜し、偏った思想に囚われたり、母からの虐待を容認することが愛情だと感じてしまう。お母さんだって、もっと適切な対応があったのかもしれないけれども、どんどん泥沼化してるし、それがヒルビリーの「普通」。

貧しいから欲しいものが買えなくて、給料日にドッと買い物をしてしまう。でも、本当はお金を使うのを控えて、貯蓄に回せば新しい生活が手に入るかもしれないのに。大きな画面のテレビや、iPadを買うよりも、もっと必要なものがあるんじゃないの? そんな発想がなくなってしまい、「貧しいのに贅沢な買い物ばかりしてしまう」という悪循環から抜け出せないのです。

〈なう〉を理解する一助に

「アメリカンドリームはなくなった」と紹介しましたが、それでもまだドリームは少なからずアメリカにあります。著者ご自身も、海兵隊に入隊したことから境遇が変化し、オハイオ州立大学を優秀な成績で卒業し、名門イェール大学に進み、現在はシリコンバレーで起業しエリートです。「手を伸ばせばチャンスが巡ってくる」環境が消滅したわけではないのです。

大事なのは「手を伸ばす」「求める」ということ。ヒルビリーの白人たちは「チャンスに手を伸ばすことを忘れてしまった」のかもしれません。そして、なんとなくスカッとする毒舌を吐いてくれるドナルド・トランプ氏は支持されたのです。「オバマが悪い」「イスラム教徒が悪い!」「メキシコに壁を作らせろ!」と〈自分以外の誰かが悪い〉と言ってくれると気持ちいいですからね。

んで、これって日本でも同じことが起こりつつあるのかもなぁとも感じました。格差が広がり、チャンスが巡ってこない人たちがいます。いや、たぶん、日本だって優秀な人には機会が与えられていますが「手を伸ばすことを忘れている」に陥ってないかなぁ?と。これは自分の思考や行動を省みて。

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『14歳からのパレスチナ問題』|「宗教紛争でしょ」って納得してない?

こんにちは。地図が好きなあさよるです。世界地図なんて見ていると、行ったことがない場所ばかりですが、聞いたことのある地名がたくさんあります。「パレスチナ」もよく見聞きはするけど、それは一体どこにあるの?なんでニュースになってるの?どんなところなの?旅行した人も少ないだろうし、「知っているけど知らない」代表格なんじゃないでしょうか。

本書『14歳からのパレスチナ問題』は、タイトルに魅かれて手に取りました。なんとなく知った気になっていましたが、実は全然知らなかったパレスチナ問題が、整理されて紹介されています。

写真や地図、注釈も多くてオススメです。

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『犬たちの明治維新 ポチの誕生』|犬もハイカラに文明開化をしていた

犬たちの明治維新感想-ポチ

こんにちは。昨日は『イノベーターたちの日本史』という近代日本を牽引したリーダーたちの本を読みました。そこから、明治ってどんな時代だったんだろう?とまたもや書棚を漁っていると、目を引くタイトルが。その名も『犬たちの明治維新』……これは、気になりすぎるでしょう!

あさよるは一応、幕末・明治維新ファンを名乗るときが時たまあるのですが、犬の明治維新を扱っている書物は見たことなかった!本書を読むと、例えば江戸へ向かう坂本龍馬の脇を犬がワンワン吠え続けていたのかなんて考えると、なんかイメージ変わるぅ!

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『イノベーターたちの日本史』|近代の日本をイノベーションしたサムライたち

こんにちは。幕末~近代史が好きな あさよるです。本書『イノベーターたちの日本史』はたまたま日本史・近代史の棚で見つけまして、次の瞬間手に取っていました。当初あさよるの予想では、戦後の本田宗一郎や松下幸之助やの伝記なのかと思って読み始めたのですが、内容が全く違って、面白い!近代の日本を動かした人々でありながら、あまり知られていないであろう人物が次々と紹介されています。昔も今も、スゴい人がいるもんだ!

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『縄文とケルト』|エンド・オブ・ユーラシアのよく似た遺跡

イギリスの遺跡を見ながら

本書『縄文とケルト』は、まずイギリスの遺跡の数々を順に見てゆきます。一番有名どころはストーンヘンジでしょう。同様にイギリスには、石で作られたサークルや道のように見えるものがあるのをご存知の方も多いかも。あさよるは、UFOのなんか、宇宙人が作った遺跡だとかいうオカルト談義で知っていましたw

それにしてもイギリスにはたくさんの石を使った遺跡が残されているんですね。石が並んでいる遺跡だけではなく、すごく立体的に組みあがった遺跡もたくさん掲載されていて驚きました。一見すると岡の様で内部が屋が並んでいる遺跡の図を見ると、まるでホビットの家だ!と驚き。あれはフィクションではなく、イギリスにはあんな石造りの複雑な遺跡があるのね。

ユーラシアの端と端

巨石文化はイギリスにあるだけではなく、日本にもあります。奈良県にある石舞台古墳や茨城県の太刀割石等々、日本中にありますね。イギリスの石造りの家のような遺跡を見ていると、沖縄県の亀甲墓に似ているなぁと思いました。

著者・松本武彦さんは、イギリスの風景を見ているとどことなく日本の遺跡と似ていると感じたそうです。

遺跡の形や、それを残した社会の隔たった地域どうしで比べてみて、両者の共通点と相似点とをあぶり出し、相互の歴史的特性を明らかにする営みを「比較考古学」という。その実践の一つとして、冒頭に述べた日本とイギリス、つまりユーラシア大陸の東西両端で相似の位置を占める二地域の歴史の歩みがみせた共通点を明らかにすることを、本書の第一の目的としたい。

p-12

共通点を多くもつ二つの地域を比べることで、似通ってるところ、全く違うところがあぶりだされます。

〈ルーツが同じ〉ではない?

あさよるも勘違いして読んでいたのですが、決して「ケルトと縄文の文化が〈同じ〉だ」という主張ではありません。むしろ逆で「ケルトと縄文は違った文化を持っているにも関わらず、似ている点がたくさんある」。人は遠く隔たった地域に住んでいても、考えることは似ていたり、あるいは大陸で興った文化が少し遅れて島へ渡って来たのかもしれない。

縄文とケルトを見ることで、普遍的な、あるいはもっと大きな人類の営みが見えてくるのかもなぁと思います。あさよるは難しいことわからないですけど、壮大でワクワクする話でした。

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『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』|地味すぎ!長すぎ!日本の大混乱!

こんにちは。とある歴史同好会に所属していた あさよるです。その同好会はかつて活発に活動していたそうですが、あさよるが入会した頃には、会員の高齢化により座学ばかりの会になっていました。講師を招き、延々と推古天皇の時代から南北朝時代くらいまでの歴史を、各時代の天皇を見ながら講義を聞きます。で、南北朝時代が終わると、また推古朝へ戻り、グルグルとひたすら同じ講義を聞き続けるものでした。

これが、面白い。不真面目な会員であるあさよるは、一回聞いてもサッパリわかりません。それを何度も何度も同じ話を聞くことで、少しずつ「あ、その話前にも聞いたなぁ」「その人知ってる」と、記憶に残っている自分に気づくのです……すぐ忘れるけどねてへぺろ(・ω<)

で、少し前から『応仁の乱』が話題なのをご存知でしょうか。あさよるはTwitterでよく話題に上っているのを見ましたし、リアル書店で平済みしているのをみて「……マジか」と驚きました。応仁の乱……さっぱりわからなくないですか?なんで売れるの?歴史クラスタ以外の人まで話題にしてるお!

これ、マジメなやつや!

早速『応仁の乱』を数ページめくり、あさよるは悟った。「これは……マジメなやつやないかー!」てっきり、なんか面白おかしくユーモアたっぷりにややこしい時代を語る切り口の本かと思い込んでいました。だって、なんか〈地味すぎる大乱がなぜかブーム!〉みたいな広告を見たぞ!そういうノリかとオモタ。

しかし、マジメな本ですが、読みやすい文体で、どなたでも読める本じゃないかと思います。

応仁の乱、もちろんご存知ですよね?え?あさよるは……名前は知ってますけど……(;’∀’)>「京都の人が〈前の戦争〉というと応仁の乱のことやから( ー`дー´)キリッ」というネタはたま聞きます。うん。それ以上の知識が全くない応仁の乱!

たぶん、多くの方があさよると同じような感じじゃないかと思います。

人間関係がややこしいし、やたら長引くし、なにより地味だし、年頃の青少年たちがワクワクする感じではないのは確かっすな。

応仁の乱が不人気の理由……

応仁の乱は応仁元年(一四六七)から文明九年(一四七七)まで一一年にわたって繰り広げられた大乱である。室町幕府の八代将軍足利義政には息子がいなかったので、弟の義視を後継者としたが、その直後に義政の妻である日野富子が男児(のちの義尚)を出産したため、富子は我が子を将軍にしようと画策、折しも幕府の実権を握ろうとして争っていた細川勝元と山名宗全の両雄がこの将軍家の御家騒動に介入したために応仁の乱が勃発した……というのが一般的な説明である。しかし、この通説に対しては批判も多く提出されており、応仁の乱の原因として他の要素も指摘されている。
応仁の乱勃発当初は京都のみが戦場であったが、やがて戦乱は地方に波及し。全国各地で合戦が行われた。これだけ大規模で長期にわたる戦乱なのに、大名たちが何のために戦ったのか見えてこないというのは不思議である。劇的で華々しいところがまるでなく、ただただ不条理。これが応仁の乱の難解さ、ひいては不人気につながっているんだろう。

p.ⅱ

応仁の乱が、知名度のわりに中身が知られていない理由。それは〈ただただ不条理〉であること。

なぜ争いが始まったの?

どうして大名たちは戦ったの?

なんでそんなに長引いたの?

ローカルないさかいが、どうして全国に広がったの?

一つ一つの要素が見えてくると、面白そうな話にも思えます。難解であることが〈応仁の乱〉の不人気であるならば、スッキリ分かっちゃえば人気になるの?

答えはNO。だって、これ、むっちゃややこしいんだもん^^

一回読んでも……わかりまへん┐(´д`)┌

最初にも書きました。こういう話は、一回読んだり聞いたくらいじゃサッパリわからないんですよ。何度も何度も繰り返し触れることで、少しずつ慣れてくる。

だってね、一族あげてモメてるとさぁ、みんな名前がよく似てんじゃん~。モメてる場所もさ、ローカルすぎてどこかわからんわ!っていう。あさよるは関西人ですから、少しは位置関係が想像できるんですが、それでもローカルやわ!

戦争の理由も、ハッキリとしない。

どうも、最初は政治的なイザコザで争いが始まったんだけど、誰もこれが大戦になるとは思っていない(予想に反してたった半日で終わっちゃった関ヶ原の戦いとは逆ですな)。すぐ終わるだろうと思ってたのに、終われなくなっちゃった。予想外の長期戦になったから、作戦なんて考えてなかっただろうし、気づけば全国に戦の火が燃え広がり、大名たちも辟易。

応仁の乱が終わった後も、大名たちは京都から国元へ帰っちゃったり、みんなお疲れちゃんです。そして、都に集中していた力が分散し、各地の武将たちが頭角を表し始める。その後の戦国の混乱が始まろうとしているのであった……。

戦国時代を知るには、応仁の乱を抑えておくべきだ!とうのはよくわかりました。しかし……確かに応仁の乱が人気ないのも、わかった(;’∀’) ローカルなわりになぜかスケールがでかくなるし、明確な理由があるというよりは個人的なすれ違いや、タイミングが悪くて泥沼戦争になっちゃった感じね。

うーん。どう解釈すればいいのだろうか。

謎いベストセラー!読んどくべし!

と言いつつ、話題作『応仁の乱』面白かったです。

まず、チンプンカンプンなあさよるでも分かるくらい、読みやすい平易な文体で書かれていたこと。そしてマジメな本なのですが、筆が軽やかで楽し気な雰囲気がどことなく漂っているのも気に入りました。著者の方は、ノリノリで書いたのかな~?なんて思います。

話題本というのは、いろんな意味で読んでおいても損はないと思っておりまして、本書も人におススメしたい本でした。「戦国時代を知るには応仁の乱を」とか「現在日本について語るなら、応仁の乱は押さえとかなきゃ~」みたいなねw

あさよるが、自分に全く知識を持っていないジャンルや内容の本を読むときは、とりあえず分からなくても最後までページをめくって視線で文字列を一通り追います。本の構成やよく登場するワードだけ把握して、二回目以降もひたすら、書いてあることが分かるまでページをめくって文字列を追い続けます。よくわからなくても、何度か読んでるとおぼろげながら「何か」が分かり始める。合間に、他の本を当たったり、調べてみたりね。

本書『応仁の乱』も、数年かけてじっくり読む(`・ω・́)ゝ

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『京大芸人式日本史』ロザン菅ちゃんと歴史のポイント押さえよう

こんにちは。実は歴史が大の苦手なあさよるです。

なぜ「実は」とつけたかと言いますと、なぜだかよく、今風に言う「歴女」だと間違われます。

中高の教科でもボーっと話を聞いているだけなら歴史は面白くも感じますが、なにせテスト対策がとても苦手でした……。

京大芸人・ロザン宇治原……を真似る

『京大芸人式日本史』はこんな本。

ある日、新聞に載っていたセンター入試問題を解いてみたロザン菅ちゃん。学生時代、得意だと思っていた日本史の科目すら残念な結果に……。

早速、高学歴芸人の相方・ロザン宇治原に日本史の勉強の仕方を尋ねたところ、「歴史は物語のように理解すればいい」とアドバイスをもらった。

さっそく素直な菅ちゃんは、宇治原に物語のように日本史を語ってもらうことにした。さらに、菅ちゃんがタイムマシーンで昔々の世界へゆく物語をリクエストする菅ちゃん。

物語の中の菅ちゃんが、実際に日本史の中の歴史的人物に会いに行き、話を聞きながら歴史を理解できるようなできないような、話が続きます。

歴史好きさんはすでにやっている?

歴史が好きな人って、歴史を物語のように捉え、理解しているんじゃないのかなぁと思います。

ですから、すでに歴史の授業が得意だった人には珍しくない勉強法やも!?

さらに、『京大芸人式日本史』の内容って、あまりに駆け足ですので(一気に縄文時代から近代まで突っ走ります)、一度日本史を学んだ生徒じゃないとしんどいかもしれません。

歴史苦手なパパ・ママが先に読んでおいて、子どもに聞かせるor一度日本史を学んだ生徒向けです。

(関西の方なら、ロザン菅ちゃんもお馴染みで楽しく読めるでしょう^^)

これで勉強はできるようになるの!?

ここまでの話なら、よくある歴史ファンの駄弁りで結構な気がしますが、「京大芸人式」がポイントです。

教科書に出てくる、「覚えておくべき」キーワードが上手いこと網羅されています。

「口分田」とか「租庸調」とかさ、習いました。が、例えば戦国武将オタクや幕末ファンの集まりでは、これらのワードは登場しないように思います。

大人になってからの歴史ファンって、それぞれ専門に分かれてゆきますから、ザックリと広い範囲をいっぺんに俯瞰できるのは、学校で習う「日本史」の面白いところ。

もちろん、これ一冊でテスト対策になるような内容でもありませんが、習ったことを総括するには、まぁまぁいいんじゃないかしら。

京大スゲーの子どもたちへ

ズバリ『京大芸人式日本史』を読んでほしいのは子どもたち。と言っても、日本史を一巡している中学生といったところでしょうか。

著者の漫才師のロザン・菅広文さんをよくご存じの方なら楽しく読めるでしょう~。

あさよるは関西人なので、菅ちゃんはいつもテレビで見ていますし、親しみを持ってこの『京大芸人式日本史』を読めました^^

で、なにより菅ちゃんの相方、京大卒のクイズ王・宇治原による「覚えておくべきポイント」がまとまっているのも、なんかオモシロイ。冗談なのか、ガチなのかなんともビミョーで、くだらなさがオモシロイ本でした。

真面目な内容を求めている方には不向きですw あさよるはこのノリ、好きですw

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