こんにちは。あさよるです。あさよるは幼いころより地図をつくるのが好きでして、大学生になってもせっせと地図を作っていました。最近、地図作りができてませんから、息抜きが足りてないのかもしれませんね。と言いつつ、目下ブログのサイトマップの構想を毎日考えてるんですが(苦笑)。
「地図」って、その目的によってバリバリ情報が偏るから、すごく面白い。昔、ノラ猫がうちに居ついた頃、ネコの後をつけて、ネコの道の地図を作ったこともあります。それは人間の地図とは全然違っています(やつらは塀の上や屋根の上も歩くから、立体的に表現しないといけないし)。
「子どもの地図」も、大人にとっては道じゃない、子どもだけの道がありますから、やっぱり特別な地図になります。あさよるは過去の自分の創作物はどんどん捨てちゃうんですが(いちいち取っておけないし)、この「ネコの地図」と「子どもの地図」は置いときゃよかったとちょっと後悔しています。
「地図に萌えっ!」それだけ!
本書『地図趣味。』は、もうタイトルそのまんま。地図が趣味。趣味が地図。地図を眺めているだけでキュンキュンしちゃうし、平面の地図から立体の情報を妄想するだけでもワクワクしちゃう。そのために資料探しもやめられないし、神保町で古地図の衝動買いもしちゃうのだ。
個人的にとても面白いと感じたのは、マンハッタンで人に道を尋ねて、メモ書きしてもらった地図を実際の位置関係に並べて表示したもの。ナプキンや紙皿にボールペンで地図が書き込まれており、それらをつなぎ合わせると街の形になっている。バラバラの要素(地図を描いた人もバラバラさし、各人も一要素を書いただけ)であっても、情報が集まると、立体的に姿が立ち現れる様子がたまらん。
地図にもいろいろありまして
一口に「地図」といっても、いろんな地図があります。そもそもこの本は、月の地図の話から始まるんです。色とりどりの月面地図から、グリーンランドの動物の皮と流木でできた地図、ミクロネシアの棒をひもで結わいて組み立てた航海地図など、見たことのない地図から始まります。
エルサレムを中心に、アジア、ヨーロッパ、アフリカと三つ葉のクローバーのように広がった地図は「確かに、ユーラシア大陸とアフリカ大陸をこんな風に解釈もできるなあ」と妙に感心してしまいました。
別に、衛星写真に写された地球の姿こそが正解というわけでもなく、地図は解釈の仕方や、なにに注目するかによって描き方が変わります。もちろん、よく目にするメルカトル図法の世界地図もかなり歪んでいますから、メルカトル図法の地図による誤解や問題もあると思います(赤道が中央横方向に走るメルカトル図法の地図では、日本列島の場合、北海道は大きく見え、沖縄諸島は小さく見えます。沖縄問題が小さく扱われるのは、地図のせいじゃないかと疑っています。あるいはヨーロッパは巨大に見え、アジアの国々は概ね小さく見えます)。
土地の形を表すものばかりでなく、川の地図もあれば、都市部の形が見える地図もあります。
地図は何を目的とするかによって、同じ場所を表示していても全く違った姿になるのです。
地図をつくるのはたまらん!
本書が面白いのは、ただ地図を愛でるだけでなく、オリジナルの地図を作ろうという試みに発展することです。しかもただ模型を作るわけじゃなくて、地層を表現した食べられるムースとか、等高線を模したクレープとか「四色定理」グミとか、なんでそうなった! という展開にw (四色定理とは、どんな地図でも4色あれば隣り合う領域と違う色で塗り分けることができるというもの)
さらに滋賀県の形をしたアクセサリーとか、どうしてそうなった\(^o^)/
あさよるも、地図をつくるのを趣味にしていた時期があったので、ものすごく心ときめきます。
凸凹、坂道、谷や川を愛でよ
あさよるは関西在住ですから、たまに東京へ行くと、東京の街のアップダウンの激しさにクラクラします。しかも、東京の街の面白さは、パッと見渡す限りはビルが立ち並び、地面の高低差が隠されており、どこまでも平たい関東平野が広がっているように錯覚してしまうところ。しかしいざ街を歩き始めると、ビルの陰に潜んでいた坂道や、突然立ち現れる崖や、エレベーターでビルの上階に上がったのに、そこが地面につながっていたりと、奇想天外。
大阪の場合、現在の市街地の多くは人工の埋め立て地ですから、一部、上町大地(大阪城や四天王寺のある南北に細長い高台)以外は海抜が低く、基本は平らかです。だからこそ、たまにアップダウンの激しい土地に行くと、情報量が多すぎて、位置情報や高さを脳内で処理するだけで頭がいっぱいになります。とても刺激的!
地図は平面の紙に印刷されたものが一般的でしたが、現在では「グーグルアース」や「グーグルストリートビュー」というすごすぎるサービスが無料で使えますから、「地図」の概念も変わっています。すごいね!
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地図趣味。
目次情報
まえがき
1.偏愛地図コレクション
2.地図をつくる
等高線に執着する
地下空間への煩悶
サイケデリック・カシミール
凹凸を愛でる
東京インフォグラフィックス
地形表現を模索する
そのほか、こんな地図をつくってきました3.食べられる地形、身につける地図
recipe1 地層ムース
recipe2 等高線ケーキ
recipe3 四色定理グミ
recipe4 境界アクセサリー4.地図をたずねる〈つくば編〉
part1 地図と測量の科学館
日本初、地図専門の博物館
ずっと見ていたい豪華本、ナショナルアトラス
「図形機」操作を体験
製図&印刷の歴史をさかのぼるpart2 地質標本館
46億年前へタイムスリップ
地面の下が“透けて”見える
継ぎ目なく、つながる地質図まだまだあります、地図が見られる博物館・資料館
巻末ガイド おすすめ・地図の本
コラム
1 空想の世界を描く
2 デジタル“時層”地図
3 手書き地図師に会いに行く
4 壁にひそむ地図
5 手の中の地球
6 物語に登場する地図あとがき
杉浦 貴美子(すぎうら・きみこ)
1974年、愛知県生まれ。武蔵野美術大学大学院修士課程中退。ライター/地図製作。地図に惹かれて以降、その魅力を伝えるべく、地図や地形にまつわる製作や執筆を続けている。写真家としても活動。著書に写真集『壁の本』(洋泉社)。www.heuit.com
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