『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』|ノリで会話を転がせ!

こんにちは。人とのコミュニケーションが上手くいっているのか確信が持てない あさよるです。あさよる的には「よくできた」という日もありますが、夜な夜な「ああ、あんなこと言わなきゃよかった」と後悔しちゃうことの方が多い目。コミュニケーションってなくなると困るけど、あっても悩みの種になるという、悩ましい存在です。

『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』は、まずタイトルに魅かれました。「こんな風に人から思われたい」って感じたんですね。んで、表紙もアニメちっくなイラストで可愛らしくって、ひと目で決めました。

コミュ障?恥ずかしがり屋?今から変われる!

本書『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』は、ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さんが、ニコニコ生放送で話した内容で構成されています。ですから、ニコ生視聴者のコメントが反映されていて、親しみやすいです。また、生放送中ですから、話し言葉で書かれています。著者の吉田尚記さん自身、自分のことをコミュ障だと思っていたそうなんです。しかし、アナウンサーという人前で話す職業に就いてらっしゃる。

著者は、「コミュニケーションが得意な人なんていない」と想定し、コミュニケーションのコツと、怖がらなくても、失敗しても構わないというお話をしている印象です。

本書では「コミュ障」をこんな風に設定していました。「」内はニコニコ大百科を引用しているそうです。

「必要以上に空気を読み、自分の発言がその場を悪くするのではないかと不安に思ってしまう。その結果として、人に嫌われるのではないかと考え言葉に詰まる」。ホント、そのとおり。先にも触れましたが、コミュニケーションに悩みを抱いている人というのは、基本的に人見知りで、自分がいることで相手に嫌な思いをさせたくないって気持ちが強いんです。

p.32-33

「コミュ障」と自称していても、その実、恥ずかしがり屋や、コミュニケーションが苦手なだけならば、練習すればいいし。誰だってコミュニケーションが苦手だし、チャレンジしているんですね。そして、本書の終盤では、相手とのノリが合って話が円滑にコロコロ転がる気持ちよさを感じました。

話し上手、聞き上手なんて言葉がありますが、今は「コミュニケーション上手」が大事な時代なのね。

イマドキのコミュニケーション術?

本書で語られるコミュニケーション法って、めっちゃイマドキな感じだなぁ~と驚きました。テレビ的とでも言いましょうか。ニコ生視聴者って若い人が多いのかな?あくまで友達同士とか、対等な相手と楽しくノリ良く付き合うためのレクチャーって感じですね。ビジネスシーンには応用できそうですが、あまり意識されてなさそうです。

空気を読む、ノリを合わせる、誤解されてもいい、話を引き出す

「空気を読む」という言葉はすっかり普通の言葉になってしまいましたが、本書では「空気も読む」とは、相手とテンションを合わせると紹介されています。その場のムードを更に盛り上げるようなテンションで接するのです。要は「ノリがイイ」ってヤツですね。例え不毛な内容のないトークでも、ノリとテンションを合わせればOK!

んで、自分の発言を誤解されても構わない。意図が通じなくてもいいじゃん、トークが弾めば。どんどん会話を転がしていって、どんどんその場のテンションが盛り上がってゆく一体感を感じようってことですね。

さらに、相手の話を引き出す能力。といっても、難しいことではありません。最強のひと言はタモリさんの「髪切った?」です。どうでもいい質問でありながら、相手に興味を示していることは伝わる、よくできたひと言なんですね。初対面の人とでも、出身地を聞いて、そこから連想ゲームのように話を転がしてゆくことができます。

「誤解されてもいい」「話が転がればいい」って割り切ってしまうと、案外他人との会話は気楽なのかもしれません。

キャラを獲得する

「キャラ化する」という話も、語られるようになって久しいですね。

キャラクターとは、質問をするときの自分側の足場、もしくは相手側に「この話はきっとあの人に振るといいんじゃないか」と思ってもらえる目論見を引き出す、とても重要なファクターです。

p.159

もう全く、テレビで芸人さんたちがポンポンポンとテンポよく受け答えを繰り返しているようですね。あれを素人が再現しようなんて無謀じゃないか!?と思いつつ、だけど、テレビ的な受け答えが求められる社会になりつつあるのやもしれません。お昼の情報番組とか、お昼休憩中に見てる人多いだろうし、ああいうイメージ?レベル高いなぁ。

その「キャラ」は自己申告してでも、なにがなんでも獲得したい。もう、芸人さんやアイドルのような世界観。自分の長所よりも、短所を探す方がキャラ立ちしやすいとアドバイスされています。いつものメンバーがキャラ化されることで「お約束」のパターンが作られるんですね。

悩める若者には良いかもしれない、が

テレビで芸人さんたちが軽くキャッチボールするかのように繰り広げる一連のやりとり。あれを再現したい若い人には、本書はガイドになるんじゃないかと思います。特に、なんとなく友だちとの会話がしっくりこないなら、本書を読んで肩の力を抜くといいかも。

と言いつつ、昭和世代のあさよるは「はたしてこれは良い世界なのか?」とちょっぴり迷う。だからあんまり「読みなさい」強く背中は押せない(苦笑)。それはなぜかと問われると、あさよる自身も本書的な意味で「コミュ障」と分類される一人であり、テレビ的なキャラ付けされたコミュニケーションが苦手だからに他ならないのでしょう。あさよるも読みながら「そ、そうか……」「これを良しとするんだな……」と言い聞かせながら読んでいる自分が居ました。

そう、「キャラ」ってすごく苦手なんですよね。反発したくなっちゃうし、全然違う振舞いをしたくなっちゃう。予定調和的な会話も苦手で、途中で飽きて、「空気を読めない」発言を敢えてしてしまう。こういう人、現代の日本社会では「コミュ障」扱いなんですよね( ノД`)

なぜ、この人と話をすると楽になるのか

目次情報

基本編

はじめに コミュ障の私よ、さようなら

知らない人に会うのが怖い/コミュニケーションの目的は、コミュニケーションである/技術としてのコミュニケーション/ウケたい、モテたい、一緒になりたい!/コミュニケーションに自己顕示欲は要らない/コミュニケーションがうまいと思っている人はほとんどいない

1 コミュニケーションとは何だろう

会話に困る場所、エレベータ/「最初はいつも他人」が基本/情報の伝達より先にあるもの/「コミュ障」とは何か?/「コミュ障」の定義/「自信を持て」って言われても/最高のコミュニケーターになる可能性/コミュニケーションは敵と味方を峻別する/ふだんの会話をモニタリングしてみよう

2 「コミュ障」だった私

コミュ障がラジオアナウンサーになった!/相手の目を見ることができない/「聞き上手」というナゾのスキル/コミュニケーションの定石/会話の盤面解説/コミュニケーションの戦術とは

3 コミュニケーションという「ゲーム」

コミュニケーションを「ゲーム」と捉える/コミュニケーション・ゲームの特徴/対戦型のゲームではなく協力プレー/敵は気まずさ/ゲームは強制スタート/ゲームのさまざまな勝利条件1/ゲームのさまざまな勝利条件2/プレイヤーとして意識すること/ゲームをより楽にプレーする基本/コミュニケーションは自己表現ではない/面接の「志望動機は?」を噛み砕いてみる/コミュニケーション・ゲームとしての面接/相手にどんどんしゃべらせよう

4 ゲーム・プレイヤーの基本姿勢

下心を持とう/先入観ま間違っていてよい/誤解ウェルカムでいこう/「伝える」ではなく「伝わる」/伝わるものはコントロールできないと思おう/最後はギャンブル

5 沈黙こそゴール

「空気を読む」とは何か?/「空気を読む」を具体的に噛み砕く/テンションを合わせる理由/ムードは人と人のあいだに醸し出される/毛繕いとコミュニケーション/ムダ話の代表格ガールズトーク/意味と無意味のハイブリット/沈黙していられる関係

技術編

6 コミュニケーション・ゲームのテクニック

コミュニケーションと時間/話題とは何か?/相手のために質問をする/相手に対して興味を持つ/興味を質問に変換するには/相手の言い分に乗っかってみる/プラスの気持ちになりたい欲求/会話で優位に立とうとしない/驚けるチャンス/ポジティブな経験を増やそう

7 質問力を身につける

日本でいちばん有名な質問/「髪切った?」は神の一手1/「髪切った?」は神の一手2/会話における「トラップ・パス・ドリブル」/トラップ――話を受け止める/相手の話を全部聞く/ベタなトラップ「ふーん」「へえ」「なるほど」/感想の増幅とダイレクトパス/パス――質問する/相手が興味のあること訊く/具体的に訊くことを心懸ける/質問の実践テクニック/会話に重曹を入れる/パスコースを見極める/インタビューのテクニック/ドリブル――自分の話をする/相手に気持ちよくドリブルさせる

8 キャラクターと愚者戦略

キャラクターとは何か?/キャラは周囲の予測から/キャラクターの見つけ方/愚者戦略/欠点を相手に懸ける/視覚障碍を強みにする人/「ナニが悪いんスカ」/子ども最強

9 コミュニケーション・ゲームの反則行為

ウソ禁止/ウソではない実例/ファクトを偽ってはいけない/黙秘権を行使する/自慢はご法度/相手の言うことを否定しない/「嫌い」「違う」は口にしない/地雷を踏まないテクニック

まとめ コミュニケーターは徹底徹尾、人のために

相手のためにしゃべろう/人はそんなに厳しくないよ/ガンバレ、私のなかの勇気/自分を許そう/逆上がりとコミュニケーション欲求

あとがき

吉田 尚記(よしだ・ひさのり)

一九七五年東京生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ニッポン放送アナウンサー。二〇一二年第四九回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞。「マンガ大賞」発起人。株式会社トーンコネクト代表。
ラジオ『ミュ~コミ+プラス』(ニッポン放送)、『ノイタミナラジオ』(フジテレビ)等のパーソナリティを務める。マンガ、アニメ、アイドル、デジタル関係に精通し、常に情報を発信し続けている。著書『ツイッターってラジオだ』(講談社)。
Twitterアカウント @yoshidahisanori

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