投資・金融・会社経営

『お金を稼ぐ人は何を学んでいるのか?』|自分の弱みが強みになる

こんにちは。あさよるです。

本を読む目的って複数あります。まずは、ダイレクトに「知識」を得たいとき。ほかには、好奇心やワクワクドキドキを感じたいとき。困ったときに解決策を探すこともあれば、話題作が気になって手を伸ばすこともあります。

今日紹介する『お金を稼ぐ人は何を学んでいるか』は、「お金を稼ぐ」ことに話題を絞り、頭の中の「モヤモヤ」「引っかかり」を取ってくれるような内容です。そもそも「お金を稼ぐ」って、大事なことなのに大っぴらに話せない感じって未だにありますよね~。だからこそ、読書で「あ、そっか」と気づきがあれば上々!

「決めつけ」と取っ払う

本書を読んでいると、「ああ、あさよるも〈思いこみ〉〈決めつけ〉」をたくさんしてるなぁと再認識し、反省しました。たとえば、著者の稲村徹也さんは高卒で、20歳くらいのころにホームレスの経験をしたり、30歳になる頃には億単位の借金を背負っていたそうで……ここだけ話を聞くと「成功している」ような感じはしないですよね。特にあさよる自身、大学進学に失敗し苦い思いをしたせいなのか、「高卒」という肩書が気になっていて、改めて「あさよるには学歴コンプがあるんだ」と認識しましたorz

コンプレックスがあると、それは「やらない言い訳」に変身します。あさよるの場合だと「学歴がないからアノ仕事はムリ」「どうせダメだ」と、そもそも「やりたい!」って意欲すらなくなってしまいます。実際にはチャンスがあるかもしれないし、なければ「自分で何とかできる」ことかもしれないのに、最初っから「できない」「やらない」なんですよね。自分への「決めつけ」「思いこみ」によって、自分自身の道を閉ざしてしまっています……。

「再就職を考えるならブラック企業が狙い目?」という話も、これだけ聞くととんでもない話に聞こえますw しかも、来年倒産する会社を選べ!と、超カゲキ。学習はやはり「実学」あってこそ。ということで、なんでも、まずこの来年倒産しそうな会社で5年勤められたら、あなたは成功できるw

引用しますw

実地の学びということで、私がセミナーなどで強調しているのは「再就職を考えているならブラック企業を選べ!」ということです。
それも、
「来年には倒産すると噂されている会社に勤めなさい」
とつけ加えます。
この会社が仮に倒産せず、あなたが5年間勤め上げることができたとしたら、あなたは間違いなく「成功」できます。
なぜならブラック企業は、長時間労働に給与未払い、売り上げ低下に大赤字、ついには借金地獄や不渡りもあり、おまけに社内紛争にも出会えるからです。
どれもこれも避けて通りたいマイナス面だらけですが、私にとっては楽しいこと満載の、毎日ワクワクして過ごせる環境です。

p.110-111

レベル高すぎww これは経営者向けの指南ですね。著者自身も、マイナス要素を抱える会社を経営していた経験から、「どうやって切り抜けようか」と知恵を絞っていることが毎日ナチュラルハイ状態だったと回想しておられますw

確かに、これから自分が経営者になる人は、会社経営の「終焉」に立ち会ってみるって、「実学」かもね。

「学ぶ」ことをやめない

本書のタイトルは『お金を稼ぐ人は何を学んでいるのか?』とあるように、何を「学ぶ」のかが語られています。「学ぶ」といったら、スクールに通ったり、誰かに指南したり、テキストを解くことを想像してしまいがちですが、違います。先ほどの「ブラック企業で学ぶ」もそうですが、自分が「学ぼう」と思えば、どんな環境からでも学べるのです。例え、勤務先が来年には倒産しそうでも、そこから「学ぶ」たくましい人もいるんだなぁ。

「時間がないから」「家族がいるから」「忙しいから」と学びを先送りする必要はなく、今すぐ今の環境から学べるって、これに気づけると強い。著者はホームレス経験で出会った年配のホームレスが、最初のメンター的存在だったと回想しておられます。

「時間がないから」「家族がいるから」「忙しいから」勉強できないって、逆に言えば「時間があって余裕があるとき勉強する」って意味になっちゃいますが、むしろ逆境の中でこそ「学び」があるのかもしれません。そこから抜け出すって、強烈な目標がありますしね(;’∀’)

「人生」のスケールで考える

忙しいと目の前の事柄で頭がいっぱいになってしまいます。しかし「お金を稼ぐ人は何を学んでいるのか」というならば、「人生をどう生きるのか」というスケールから、目前の問題を考える視点が必要なのかな?と思います。著者の稲村徹也さんも波瀾万丈な半生を送って来られたようですが、諦めたり腐ったりしないのは「人生」って尺度を持ってるからじゃないかしら。

今「欲しい」とか今「したい」って、今の欲求に流されがちですが、人生のスケールで「欲しい」「したい」を考えると、選択が変わり……ますよね?

あさよるも、ずっと今の衝動を抑えられなくて、お金をどんどん使っちゃったり、思いつきで行動して自分自身が疲弊している時期があったんですが、その時って「刹那主義的」で「何にも考えられない」ような心境だったかも。今思うとヤバイ(;’∀’)

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『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』|銀行より確実な預け場所?

こんにちは。お金を貯めたい あさよるです。先月、先々月もお金使い過ぎだったので、今月は絞っていきましょう……。あさよるは以前に「お金を増やしたい!」と思い立ちw、そのためには先立つお金が必要だと、お小遣いから少しずつ、2年くらいかけて目標額10万円を貯めました。そろそろ目標達成しそうなので、これをどうしようか?と、考えるだけでグフフと一人毛布にくるまって夢が膨らんでいました(ちなみに2年かけて10万円って、ほんとに子どもの小遣いくらいw)。

ということで、いろんな意味で全くお金に無頓着だった あさよるですが、お小遣いの良い使い道はないもんかと、Amazonで人気だった『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』という、あさよるの心の声がタイトルになった本を読み始めました。

本書は経済評論家の山崎元先生に、お金の増やし方の初歩の初歩を教わる内容です。多くの方も、想定される読者にあてはまるのではなかろうか。

お金を〈持っておく〉にも頭を使う?

本書は著者の大橋弘祐さんと山崎元さんの会話形式で話が進んでゆきます。

大橋弘祐さんは、昨年転職し、前の会社の退職金の500万円の貯金があります。誰しも明日はどうなるかわかりませんし、アベノミクスでインフレが起これば貯金の価値が減るでしょう。、大橋さんはこの500万円をどう使うのが賢い使い方なのでしょうか。どうやら「運用するのがいい」って聞いたけど、素人には「運用」って恐ろしいですよね。

そこで、経済評論家の山崎元先生に教えを乞いにやってきた大橋さん。山崎先生の淡々とちょっぴり辛口トークに巻き込まれつつ、少しずつお金の運用を始めるみたいです。というのが、本書のあらすじ。

本書では、貯金500万円、年収600万円、独身、アラフォー、男性がモデルとして扱われています。

お金を安全に持っておくには?

さて、お金ってないと困りますが、あったらあったで「どうやって持っておくか」を考えないといけません。本書では、倒産するかもしれない銀行に預けるよりも、国債を買おうと提案されます。なんでも、銀行が潰れるのと、国が潰れるのだったら、銀行の方が先に潰れるでしょ、と。言われてみればその通り。

ただし、国債も戦争や革命など、国がなくなってしまうと、国債も帰ってきません。そうなる頃には、銀行もそれどころではないでしょうし、国債の方が安全なのやも。

ちょっとリスク……って〈リスクの考え方〉とは

国債を買った大橋さんは、さらにちょっとリスクを負って投資信託を買うことにしました。しかし、投資信託と聞いてアヤシイんじゃないかと心配する大橋さんに、山崎先生が説明します。まず「株」と聞くと素人が思い浮かべるのはトレーディングという、かなり素人がやらないニッチなゲームです。素人がやるのは投資信託だけ。それ以外はやらない。投資信託とは、株の詰め合わせみたいなもの。実際に運用するのは投資運用会社なので、自分は証券会社や銀行にお金を渡すだけです。

で、プロが運用する投資信託も、先が読めません。だから、手数料が安いものを選びましょう。とのこと。金融商品は上がるか下がるか誰にも分かりません。リスクというのは減るかもしれないし、増えるかもしれないということです。賢い人たちはリスクを計算して「投資」を選んでいるんです。宝くじや競馬は胴元の取り分が決まっていますから、割に合わない賭けです。

家を買うのは投資にならない?

家を買うのも資産にするのは難しそうです。ローンを組んでまで買う価値があるのか考えて決めなければなりません。これから人口が減少していくので、住宅の需要は減ってゆくだろうし、老朽化したマンションは価値が残りにくい。買うときも売るときも不動産屋に手数料を払わないといけないし、借家にしてもトラブルがあるかもしれない。

どうしても家が欲しいと言う大橋さんは、山崎先生から、もし家を買うなら、通勤時間が短い場所の戸建てで、ローンは繰り上げ返済するよう指導されていました。

生命保険に入るのは?

ここでは、生命保険は入らなくてよろしいというお話。大橋さんは独身ですし、病気に備えるなら保険金を払うより自分で貯金しておきましょうとのこと。ちなみに、自分の死後、貯金がなくて家族が路頭に迷う人は、掛け捨てで家族1人につき1000万円程度が下りる保険が良いでしょうとのこと。厚生年金に加入していれば、遺族年金がもらえます。

結婚って得なの?

まず、山崎先生曰く、独り暮らしより誰かと同居する方が家賃や食費などがお得になります。しかし、結婚となると……収入の多いパートナーがおススメ。そうでない場合は負債になります。また、相手の浮気のせいで離婚しても、相手が子どもを引き取ったら養育費を渡さないといけません。もちろん、男女同じです。パートナー選びは大事! ってことでw

やってみなけりゃわかんない!?

あさよるは一応、本で読んだことは一度はやってみるようにしているのです。もちろん今回も……と、あさよるはそもそもの貯蓄額がモデルケースより遥かに少ない気がするのですが……試しに国債を買ってみるのも面白いかなぁなんて。もし、何かしらか何かしたら、追記しますw

働こう……っ!

本書の終盤、大橋さんと山崎先生のこんなやりとりが収録されています。

「先生! 最後にお金を運用する上で一番大切なことを教えてください」

「ちゃんと働くことだね (中略)

労働だって立派な投資だよ。『人的資本』っていって、その人が生涯どれくらい稼ぐかを予測して、現在価値に換算する考え方があるんだけど、生涯年収が3億円と予測される健康な若者だったら、人的資本は1億円以上はあるわけ (中略)

どんな大企業だって、いつリストラされるかわからないし、その会社がなくなるかもしれない。だから、自分の能力を高めて、他の企業でもやっていけるスキルを身につけておくことは、お金を運用すること以上に大切 (中略)

働く気力とスキルさえあれば、たいていのことはなんとかなっきゃう。そういう意味でも、これからの時代、どんな状況になっても働く術を持っていることは最強の保険になる

p233-235

本書では今あるお金をどこに置いておくか、どうやって増やすかの話でしたが、自分が〈働く〉というのも、自分の資本を活かすことなんですね。この本を読みながらあぶく銭が溢れかえる様子を想像しニマニマしていたのですが、ハッと現実に戻るやりとりでした。

本書でモデルケースになっているアラフォー世代も、それ以外のせいだいも、まずはやっぱり働くことがお金を増やすことで、そのお金を「上手に持っておく方法」も同時に少しずつ学んでいくのが良さそうですね。いずれにせよ、かなり気の長い話のようなので、ぼちぼちやってみましょう。

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『あの会社はこうして潰れた』|無倒産の時代だから知っておきたい

こんにちは。たまには刺激的な本を読みたくなる あさよるです。『あの会社はこうして潰れた』……ショッキングなタイトルです。本書の冒頭では、近年は倒産する会社が減っていること、それ故に「今後再び倒産ラッシュが起こった時、対処できるのだろうか」と心配が述べられていたのが、余計にショッキングでした。

ネガティブな教訓を知ることに意味があるのだろうか?と思っていましたが、同じことがこれからも起こると思えば、その過程やその後の処理のされ方を知っておくのも悪くないのかもしれません。

こうして会社は潰れてゆく

本書『あの会社はこうして潰れた』では、主に中小企業が倒産してゆく様子がコンパクトにまとめめて紹介されています。みんなが名前を知っている会社もありますし、順風満帆のように見える会社が実は……という企業もあります。

近年ではリーマンショック、アベノミクスや東日本大震災など時代の変化の中で取り残され経営が破たんしてゆく様子や、不正が発覚し信用を失った会社。規模が大きくなったがために潰れてしまう会社もあります。

37の企業は、それぞれが経緯は異なりながらも、最後はありがちなパターンで破綻してゆく様子がわかります。

明日は我が身

本書『あの会社はこすいて潰れた』は〈明日は我が身〉であるというのが、リアルで恐ろしい所でもあります。経営者にとっては、「気をつけて!」「ありがちよ!」って警告になるでしょうし、企業に勤めている会社員にとっては「それヤバくない?」「そろそろじゃない!?」と、やっぱり警告になりうるのではないでしょうか。

どうやら、会社が潰れてゆくパターンがあるようです。そのパターンにハ陥ってないか?ってことですね。

そもそも本書は、著者は「無倒産時代」が長く続き「地銀の店長でさえ倒産を知らない場合が増えている」という現実に触れ、倒産がどういうものなのか、陥りやすいポイントや要因がまとめられています。

経営に係る人、それ以外の人も、誰もに関係のある話です。一つ一つが短いコラムっぽくもあり、読みやすく、ちょっとすきまの時間にどうぞ。

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『PLANNING HACKS!』|企画アイデア出しをハックする

こんにちは。こまこましたハック集が結構好きなあさよるです。ライフハックとかさ、見ちゃうよね~。で「それはないw」とか「どんな状況ww」とかヘラヘラとツッコむのが好きですw その割に、真に受けて実際に試してみちゃったりもして、ムキになって検証し始めちゃったりとかね。

と、ですので、この原尻淳一さんのHACKS!シリーズも好きです。装丁もおしゃれなのも、好きなポイントです。そばに置いておきたくなりますよね。

10年前の本だけど……今でも使える!

本書『PLANNING HACKS!』は2007年に発刊された本ですので、もう10年前の本なんですね。本書は10年経った2017年に読んでも、使える!本書は「企画ハック」を扱う本なのですが、中にはテクノロジーの進歩により古くなっているものも少なからずあります。10年前って、まだスマホが普及する前ですからね。今より回線が遅くて、動画をスイスイ見れなかった頃じゃない?ですが、本書は10年経っても大丈夫な内容でした。

手書きでメモしたり、書類を紙面で管理する習慣は、かなり減っているとはいえ、まだまだ残っています。便利なツールも登場していますが、それらと併用して「使える」ハック集です。

質と量!今あるヒントを集めよう

企画を作るための発想法が本書の内容です。

 気になる情報というのは、わたしの感覚だといきなり「無」から「有」になるというよりは、今ある気になるヒントのような情報をまず出して、その情報から掛け合わせる感覚なのです。つまり、「アイデアの二段階抽出法」。初めはアイデアの元となる情報を引き出し、その情報をみたうえで、組み合わせてアイデアを出していくというプロセスを踏みます。

p.63

アイデアの元になる情報がまずあり、それがプールされている状態から、その情報を組み合わせてアイデアにしてゆく。その一連の工程のハック集です。

メモを取りながら、メモとメモにハイパーリンクを貼ってゆく。まずは、黒と赤のボールペンで、グループインタビューのメモを取ってゆく。このとき、誰かの発言は黒のボールペンで書き、言葉同士に、赤色のボールペンで意味を与えていく。神の平面の上でも、ペンの色に意味を持たせ立体的にしてゆくんですね。

また、脳に刺激を与える場所として、ヴィレッジヴァンガードやタワーレコードはもちろん、トイザらスが挙がっていて、驚きました。確かに!すごく刺激的かもしれない!

会議の方法も、どんどん話を広げてゆく会議と、どんどん絞り込んでゆく会議があること。また、一人で閉ざされた会議をすることなど、バリエーションがあります。

過去に出した仮のアイデアも、どんどんストックしてゆくと、それもアイデアのプールになります。

もちろん、失敗もあります。失敗を人のせいにせずに、自分で引き受けることも、一つのハックです。また、うるさい上司を封じ込めるハックも紹介されているのがオモシロイw

企画書の書き方、パワポ資料のつくり方も実際に画像付きで紹介されているので、こういうのは面白いですね。

仕事を進める小さなハック

HACKS!シリーズはみんなそうでしたが、一つのでっかいハックじゃなくって、小さなハックが細々と紹介されているのが面白いんですよね。もちろん、ふだんからバリバリ企画作ってる方は、またそれぞれの“やり方”があるでしょうし、身近な人がやってることも知りたいなぁとも思いました。

本書、どう使うかは、みなさんの業務内容によると思うのですが、結構、読んでるだけで面白く「あさよるだったら こうするな」「今はそれはないでしょ」なんてツッコみながら読むのも楽しい。んで、読みながら「自分だったらこうだな」なんて考えているから、結構頭の中がイイ感じに回転し始めるんですよねw

元気ないときとか、エンジンを徐々にかけていきたいときに好し( ´∀`)bグッ!

あさよるネットで紹介したHACK!シリーズ

『READING HACKS!』

『READING HACKS!』|いつでもアウトプットできる読書

『STUDY HACKS!』

『STUDY HACKS!』

『IDEA HACKS!』

『IDEA HACKS!』|楽しく働けないのは、なぜ?

『LIFE HACKS 勉強法』

HACKS!シリーズとは違いますが、名前も似ているし、中身も良かったので。

『LIFE HACKS 勉強法』|独学?通学?資格?理解?目標達成?好奇心?

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『「仮想通貨」の衝撃』|もうみんな使っている仮想通貨って何?

こんにちは。ビットコインが欲しい あさよるです。いや、目的がないんですけど、なんか話題になってると欲しくなるんですよね~w そして「仮想通貨」の話ってあちこちで見聞きしますが、そもそも「仮想通貨」ってなんののよ!?と本書『「仮想通貨」の衝撃』を手に取りました。

まず、〈通貨〉そのものがヴァーチャルなものだと改めて説明され衝撃w そして、すでに我々は「仮想通貨」を使いまくっている事実にも衝撃w  「仮想通貨」を考えるとき、通貨についてだけでなく、社会全体、世界全体の歴史まで視野に入れて考えてゆく様子は、読んでいるだけでワクワクしました。

通貨って、そもそもヴァーチャル!

あさよるはビットコインとか、近年話題になる仮想通貨の話題を扱った本だと思ってページを開いたので、出だしから予想外の内容でした。それは、我々はすでに仮想通貨を使っているし、通貨とはそもそもがヴァーチャルな存在だということを、改めて説明されたからです。あさよるも、Amazonギフト券をもらうこともあるし、人にAmazonギフト券をプレゼントすることもある。一昔前なら、図書券やビール券やデパートの金券をもらったりあげたりしていた。これら仮想通貨で、ある特定の枠の中でお金を同じように使えます。

本書ではFacebookのポイントが例に挙げられていました。Facebookはユーザーの個人情報から顔写真まで集めた上に、仮想通貨まで持っている。この仮想通貨が通常の通貨と違うところは、ユーザーからユーザーへ渡すことができないこと。すでに世界で数億人が使っている仮想通貨です。著書は長らくFacebookを使っていなかったけれども、どうしてもFacebookに登録しないとプレイできないゲームがあったため、やむなくユーザーになったとのこと。

そう、このゲームの世界で仮想通貨は大活躍しています。不思議なことに、ゲームの世界では砂漠のモンスターも通貨を持っていて、やっつけると通貨と薬を落として行ったりします。プレイヤーはゲーム内の仮想通貨を集めてゆくことで、ゲームの世界に熱中してゆくのです。面白いのは、何もお金をプレイヤーに与えなくてもゲーム自体は成立するところです。“どんどんお金が溜まってゆく”“報酬が増えてゆく”ことに夢中になってゆくのです。

金券やお買い物ポイント、ゲーム内の通貨など、すでに我々は仮想通貨を使っています。

そして、そもそも「お金」というのはヴァーチャルなものです。そう、お金ってただの金属の塊や紙切れなんです。そこに「価値」を見出しているのは、ヴァーチャルな価値であって、マテリアルそのものではありません。通貨とは、そもそもがヴァーチャルなのです。

単一通貨がいいの?複数の通貨がいいの?

通貨の種類はたくさんあります。日本では円が採用されています。世界で流通する通貨は、一つに統一した方が良いのか、それとも多様性がある方が良いのでしょうか。

世界では統一通貨の方がメリットが大きいと考えており、通貨の統一が試みられていました。その結果生まれたのが「ユーロ」です。通貨を両替する手続きや交渉の手間が省けます。ユーロも最初の三年間はヴァーチャルな、まるでゲームの通貨のような存在でした。実際に紙幣が作られ始めたのは3年後からでした。世界最先端の通貨なんですね。

一方で、複数の通貨が流通するメリットもあります。ある国はインフレが必要で、ある国ではデフレが必要なとき、通貨が違っていれば、それぞれの都合に合わせて流通する通貨の量を調節できます。これが統一通貨だと、どうしようもありません。

すでに仮想通貨を使っている?

ビットコインのような現在話題になる仮想通貨の話を期待してページをめくり始めましたが、我々はすでに仮想通貨を使っているという事実を知りました。

しかも、仮想通貨はとても身近です。

通貨は、他者とお金と物やサービスと“交換”したときに、表に現れ課税対象になります。家の中に宝石が転がっていても課税されませんが、それを交換すると税がかかります。お金が動くと政府はそれを見つけます。しかし、仮想通貨は見つけにくい、あるいは見つけられません。通貨が統一される方がいいのか、複数存在する方がいいのかは微妙なところです。不思議なことに、ゲームコインはインフレを起こすことはあっても、デフレはほぼ起こらない。通貨と仮想通貨の間で、認識が違っているのでしょうか?

また、所持する通貨は増えていくと嬉しい。だから、ゲームでもどんどんお金を溜めてゆくのが気持ちよくって、もっとゲームがしたくなる。通貨って不思議なもので、その価値を集めることは何ともヒトにとって快感なようです。単に、「なんでも買える」「なんでもできる」から欲しいワケじゃないらしい。

仮想通貨がリアル世界に流れ込んでくるとき、世界に変化が起こるでしょう。Facebookのポイントも、他人と交換できる機能が加われば大きく変わるのかもしれません。一方で、現実の通貨と、仮想通貨では人々の扱いもちょっと違うっぽい?

「通貨とは何か」「仮想通貨とは何か」をじっくりと考えながら、バーチャルとリアルの関わりが面白い本でした。

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