いずれ巣立ってゆく子へ、親ができることは少しだけ
せめて将来の仕事へ繋がる学習習慣と、自信と思いやりを
間違えて手にとったw
『一流の育て方』とタイトルだけ見て、一流になるための方法とか、一流の人がやっていることが書かれた本なのかなぁ~と勘違いして手に取りました(笑)。
読んで見ると、子どもを一流に育てるための子育て本でしたw あさよるは子育てしたことがないので、こんな機会でしか子育て本を読むこともないだろうなぁと、最後まで読み進めることにしました。
結果、これまで読んだことがない内容ですので、気付きや発見の多い読書になりました。そっか、親の仕事って、究極を言っちゃうと、教育を受けさせる以外にないのかもなぁ。あとは本人の自由だもんなぁと、改めて。
「我が子」という客観視できない人だから
『一流の育て方』は、ミセス・パンプキンさんによる子育て論です。
パンプキンさんには上の2人の女の子と、その下に2人の男の子を持つ4人のお母さんです。4人は4人とも、同じ親から生まれ同じように育てたのに、それぞれ個性的に巣立ってゆきました。
タイトル『一流の育て方』にある「一流」とは、有名大学へ入学した学生たちのことを本書では「一流」と呼んでいます。一流大学の学生のアンケート結果をもとに、パンプキンさんによる一流を育てる子育て55か条!
(ちなみに、本書でアンケート結果として取りあげられていたのは以下の学生たち。青山学院大学、大阪大学、京都大学、慶応義塾大学、サスカチュワン大学、中央大学、東京医科歯科大学、東京外国語大学、東京工業大学、東京大学、東京理科大学、東北大学、名古屋大学、一橋大学、立命館大学、早稲田大学。誰もが知っている大学がズラリですね)
一流の育て方55か条!(の一部)
一流の育て方55か条は、過保護も育児放棄もダメ!とか、本を読ませようとか、ありきたりと言えばそうですが、なかなか子どもが親の言うことを聞かない事柄を、どうやって導いてゆくか、が中心です。『一流の育て方』の最初のページはこんな列挙から始まります。
・子どもは親のどんな教育方針に感謝している?
・なぜ「頭がよくても成功しない」子どもが多いのか?
・なぜあの人は「自分で物事を決められる」のか?
・「主体性の有無」は、出身大学と無関係
・重要な決定ほど、子どもにさせる
・過保護と育児放棄のバランスが大切
・他人に迷惑をかけない人ではなく、「役立つ人」を目指させる
・ときには自分以外の全員が「間違っている」と教えよ
・子どもを「天職」につけるにいはどうしたらいいのか?
・視野を広げず「自主放任」してもダメ
・親のアドバイスは成人してから効いてくる
・「半径100メートル」で育てない――広い世界観をもたせるには
・自分の意志で挑戦させ、簡単にはやめさせない
・子どもの「強い意志」がないところに、湯水のような教育費は無駄
・相手を理解し、心を通わせる能力を育む
・親の価値観の押し付けが、子どものコミュニケーション能力を低下させる
・怒るのではなく、気づかせよ
・たいていの子どもは放任しても強制しても、勉強しない
・教育とは、「勉強の楽しさ」「何が好きで、何が得意か」に気づかせること
・なぜ子どもに「勉強しなさい」と言ってはいけないのか?
・「何が好きで、何が得意か」に気づかせることが最大の教育
・他人の子は「しつけ」ができていて初めてかわいい
・なぜ「バーベキューパーティ」の振る舞いで将来を予測できるのか?
・子どもは「優しさだけ」を求めていない
・子どもに「お金の話」はすべきか?
・感謝力を磨け――「小さなありがとう」を忘れない
・子どもは親の言うことを聞かないが、行動の真似はする
ムーギー・キム/ミセス・パンプキン『一流の育て方』p.1.2
あさよるは子育ての経験はありませんから、「子育てあるある」は共感することが出来ません。しかしながら、あさよるも超反抗児だったので、この列挙を見て我が事を言われているような気分になります(苦笑)。
さて、55か条もの子育て論すべてを紹介するわけにもいかないので、かいつまんで。本書『一流の育て方』が面白かったのは、ミセス・パンプキンの子育て経験が元になっているのですが、その経験は必ずしも成功談ではないことです。
パンプキンさん夫妻は、お子さんにピアノを強制的に習わせていました。もちろんお子さんの将来を思っての行動ですが、息子さんはピアノは嫌だったようです。そこで、パンプキンさんは「法律でピアノを習わないといけないと決まっている」と嘘をついて息子さんをピアノ教室へ通わせていたそう。
すると、息子さんが小学生になったある日、パンプキンさんにこう報告したそうです。「ピアノって、別に習わなくてもいいのやって!」。母親を責めるのではなく、間違っていたお母さんに“教えて”くれたんですね。
……こんなエピソード、どこのお家にも一つや二つあるんじゃないかと思いますし、笑い話になっているお家もあるでしょう。しかし……小さな不信感が募り募って、大きな埋まらない溝になってしまうこともあるでしょう。
たまたま、パンプキンさんご家族は、溝が深まる原因にはならなかったようで、笑える話になっているようですが、一歩違うとヒヤッとする話です。
「大人ではない人」という存在
子育ての難しさは、相手は子どもとはいえ、一人の人格ある人間ですが、彼らは「大人ではない」という曖昧さなのかもしれません。
大人をマネージメントするように子どもにも接するべきですが、彼らは未熟で、目的を明確に持てなかったり、放っておくとあらぬ決断をすることもあります。多干渉は以ての外ですが、放任主義も考えモノ。世間には様々な誘惑が溢れていますから、小マメな微調整は大人が加えないといけません。
その、一人の人間として扱いつつ、適度に親の監視下に置く、という微妙な立ち位置が難しいのかもしれません。また、子どもも日々成長してゆきますから、親もそれに合わせて対応を毎日変え続けないといけないことも、難しさなのだろうなぁと思いました。
正解がない、なんでも裏と表
子育てって難しいんだなぁと思います。「正解がないから」とありきたりなことを嘯いてみますが、正にそう。
学生たちのアンケートは、「もっと叱って欲しかった」と「叱らないで欲しかった」という真反対な回答が並びます。「放任主義で好きなことをさせてくれた」という答えがある一方で、「もっとサポートして欲しかった」という答えもあります。
親が子に常識や道徳を教える必要があります。一方でそれは、親の思想や偏見を子に刷り込んでゆくことと同義でしょう。
パンプキンさんも、子どもたちに弱い人の側に立つ人になるよう身を持って教えていたようですが、それも視点が変われば評価は変わるでしょう。
大人になれば、何が必要なのか見えるようになります。英会話は出来たほうが良いでしょう。音楽に親む人生は豊かになるでしょう。中学受験のために、遊ぶのを我慢し今だけ集中すれば、未来は楽になるのではないか。長く生きているからこそ、大人は子どもに無理やりにでもさせたいことがあるんです。
……はい、自分が大人になれば分かるってヤツですね。
「親」という立場になったことのない人の感想
と、あさよるは子育てをしたことがないので、親目線の話しは想像でしかわかりません。強いて言えば、自分もかつて子どもだったことと、大人として、子どもにどう接したいかというところですね。
本書『一流の育て方』は子どもに「無償の愛を注ぐ」という話で締められます。そりゃそうなのかもしれませんが、なんだか釈然としない気持ちになったのは、これは「親の心子知らず」というヤツなのでしょうか……。
本書での「一流」は、有名大学へ入学することです。その後の身の振り方が大切だと思う方もいるでしょうが、親の仕事として、大学まで入学させたら、あとは本人の勝手なのかなぁと思いました。
ということは、有名大学へ入学させることが、「一流」を育てる親の仕事ということです。親が病気や怪我で働けなくなったり、ましてや死別したり、「無償の愛」を注げなくなってしまう場合が想定されていないので、心もとなく感じました。
子育てに時間も、お金も使える、レアな人へ
夫婦とも健康で、定職に就いていて、かつ子育てに時間を割ける余裕があり、「一流」の大学へ入学するための勉強を見てやる余裕があったり、習い事に通わせたり、読みたいだけの書籍を購入したり、時間的、金銭的余裕のある夫婦にであること。それが前提に設定されているように思えます。
で、それって、現在の「子育て」のモデルになりえるのって、かなりレアケースじゃないのかなぁ?と不思議に感じました。
「子」という独立した人間を、サポートするために
子育てって、すべての人が当事者です。誰もがかつて子どもだったのだから。だからこそ、色んな人が色んな事を言うのが「子育て」です。
自分の経験談や成功例を語る人、こうして欲しかったと願望を語る人。手に入らなかった夢を子どもに見る人もいるでしょう。
「子育て」に正解と言えるものって、あるわけがありません。誰も未来はわからないのだから、有名大学へ入学したって、一流企業に就職したって、立派な肩書を手に入れたって、万々歳とは言い切れないのは難しい所。
だけど、どう生きるのかは、結局のところ本人次第。親や兄弟でさえ関与できません。そして、「子育て」と称して、親が子にできることって、勉強のサポートをし、興味や知識の幅を増やしてやったり、学費を工面するくらいしかないのかもしれません。
有名大学へ入学したからって、その先どうなるかは、もう子どもの勝手でしょう。社会人になり、成人しているのですから。だから、親のする子育って、有名大学にでも入学させてやれれば、上出来なんでしょうね。
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