『未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告―』|すごすぎる図書館!

こんにちは。図書館の常連になりつつある あさよるです。こんな読書ブログを書いていますし、一応学生業もやっておるので、ちょこちょこと調べごとに足を運びます。今現在の図書館もすごく充実していて便利だし「世の中にはすごいものがあるなぁ」なんて感じ入っていたのですが、どうやら世界の図書館事情は違う!?

本書『未来をつくる図書館』は、もちろん図書館で見つけた本ですw 本書を読んで、図書館のイメージがガラリと変わりました。少し、図書館司書や学芸員の仕事についても知りたいなぁと、新たな興味も生まれました。

ニューヨークのすごい図書館を知る

本書『未来をつくる図書館』では、ニューヨークにある図書館を複数見てゆきます。これ、すごいんです!あさよるは日本の図書館しか知りませんから、マジぶったまげ~!!\(◎o◎)/ すごい、世界にはこんなすごい図書館があるんだー! っていうか、図書館の理念ってこういうのなの?マジすごいし。

ビジネスをスタートさせる場所

マンハッタンの五番街にあるのがニューヨーク公共図書館本館です。

 この本館にあたる人文社会科学図書館には、グーテンベルクの聖書やトーマス・ジェファーソン自筆の「アメリカ独立宣言」の草稿、コロンブスの手紙など歴史的価値のある資料をはじめ、膨大な数の写真、版画、地図なども収められている。図書館の全所蔵品は、五〇〇〇年前から現在までにわたる約五三〇〇万点。世界には約七〇〇〇の言語があると言われるが、そのうちの三〇〇〇言語で記録された資料を持つ。(中略)
この図書がユニークなのは世界有数のコレクションを誇りながらも、「敷居の低さ」でも世界一という点だ。使用目的はもとより、社会的地位や国籍など問われずに、誰もが無料でアクセスできる。

p.4-5

めっちゃすごい資料がたんまり所蔵されているのに、それを〈誰でも〉閲覧できるとな。それは、あさよるがフラッとニューヨークを散歩途中に、コロンブスの手紙が読めるってこと……すごー!

っと、この図書館ではネット環境やパソコンも使えるので、お金がない中でチャンスを掴もうとする人たちで毎日にぎわいます。ニューヨークを知的リーダーにするためには、図書館が不可欠です。誰もがそれぞれ、毎日学び続ける場としての図書館であり、自らを高めるため、自由に学べる場が必要です。

芸術、舞台を育ててゆく

ニューヨーク公共図書館は芸術も支えています。

演劇・音楽・舞踏などの檜舞台となる劇場が集まるリンカーン・センターには、舞台芸術の特化した研究図書館の舞台芸術図書館がある。ベートーベンやバッハ、モーツァルトの自筆の楽譜も所蔵し、ジャンルも、音楽、舞踏、演劇からミュージカルとさまざまだ。こうした幅広く実践的な資料は現役のプロの俳優、ダンサー、振付師などに活用されている。

p.10

ここでは、芸術に関する資料……とくに舞台芸術の資料が集まっています。本の形態をしたものだけでなく、舞台のセットや衣装、テープやビデオがたくさんあり、舞台芸術に関わる人や、アパレル関係の人も閲覧に訪れます。

生きているアーティストの情報や資料もどんどん蓄積されてゆき、年齢を経て考えや主張の変遷を折ったり、構想を知ることも可能です。

市民が必要な情報を提供する

メディア・センターには、デジタル資料もふんだんに蓄積され最先端です。また、情報を扱うための人と人のネットワークも重視されます。

地区会館では健康維持や治療のさい、最善の選択ができるよう資料が用意されています。また、就職やスキルアップも図書館がバックアップするんだそう。

お金がかかるんじゃないの?と思いますが、街が失業者を抱えるよりも、図書館を充実させて早く自立できる環境を整える方がリーズナブルと考えます。

図書館の仕事って?

日本では、図書館は本を読んだり、本を借りる施設です。しかし、ニューヨークの図書館は違う。図書館という〈場〉がチャンスを与える場になっています。ですから、そこに集まる人たちも、日本の利用者とは違っています。チャンスを求め、野望を持っている人や、医療や救急・緊急の情報を欲している人、インターネットの情報にアクセスしたい人などさまざま。日本の図書館の利用者もいろんな人がいるでしょうが、ここまで多様ではないでしょう。

ニューヨークの図書館は、利用者が読みたい本を勝手に読む場ではありません。チャンスを望む者には、インターネット環境やパソコン、新聞等、企業に必要な情報がどしどし提供されます。図書館で起業し、図書館で働いている人もいるそうです。主に芸術作品の保存、閲覧が可能な図書館では、所蔵されているのは本だけでなく、舞台セットや衣装の資料、音声やビデオテープなど、本の形態のものは半分より少ないそうです。そして、病気になったとき医療情報を得るためにも図書館は使われますし、緊急時の情報提供の場でもあります。

日本の「本を読む」「本を借りる」図書館とは全く趣が違います。

反対に言うと、日本では本を読まなくても医療にかかれるし、緊急時もなんとかなるとも言えます。失業しても死ぬわけじゃありません。日本の図書館サービスはニューヨークのものよりも低いかもしれないけど、それ以外の社会保障が充実しているともいえます。

失業対策や起業する人を全面サポートする図書館ってあるといいのになぁとは思いますが、ニューヨークとはそもそも社会が違うのかもしれません。また、成功した人たちが寄付をする文化があるのも、ニューヨークの図書館と日本の図書館の違いかなぁと思います。

図書館に求めるもの

ニューヨークのめっちゃスゴイ図書館を知ったなら、自ずと、日本の図書館はどうあるべきかを思案してしまいます。ニューヨークの開かれた図書館はすごいし、どんな人にでも必要な情報がもたらされる仕組みは「図書館のあるべきすがた!」って感じがします。日本の、どちらかといえば娯楽目的で使用され、「本をタダで読む・借りる」に特化した図書館は、ちょっといびつな感じもしました。一方で、日本とアメリカの社会福祉の違いを考えると、「図書館サービスは限られているかもしれないけど、それ以外の福祉は充実してるなぁ」とも考えられます。

あさよるは、もっと日本でもお金のある人が図書館に寄付をするような雰囲気があったらいいのになぁと思いました。また、学校を卒業してからもう一度勉強し直したい人や、お金がなくて進学ができない人への、学習の場があってもいいかなぁ。あと、もっとワイワイガヤガヤしてる図書館もあってもいいのに! 子どもたちが宿題やってる横で、大人も勉強したり、仕事してるような空間って、カッコいい気がする。

未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告―

目次情報

序章 図書館で夢をかなえた人々

第1章 新しいビジネスを芽吹かせる

1 最先端のビジネス図書館
2 行き届いた多才なサービス

第2章 芸術を支え、育てる

1 舞台芸術を支援する図書館
2 書簡から舞台セットまで多岐にわたる資料
3 図書館を仕事に活用する俳優や歌手

第3章 市民と地域の活動減

1 評価を高めたテロ事件への対応
2 高まる医療情報へのニーズ
3 未来を担う子どもを地域で育てる
4 高齢者・障害者に向けたサービス
5 多文化社会の活力の源
6 市民社会を支える行政情報の窓口

第4章 図書館運営の舞台裏

1 図書館のなりたち
2 資金集めとその戦略
3 未来を担う子どもを地域で育てる
4 高齢者・障害者に向けたサービス
5 多文化社会の活力の源
6 市民社会を支える行政情報の窓口

第4章 図書館運営の舞台裏

1 図書館のなりたち
2 資金集めとその戦略
3 図書館のブランド戦略

第5章 インターネット時代に問われる役割

1 デジタル化で変わる図書館
2 発信する図書館へ
3 図書館が創る学びのコミュニティ
4 情報を紡ぎ、未来の文化を作る

むすび
――日本の図書館を「進化」させるために

菅谷 明子(すがや・あきこ)

1963年 北海道に生まれる
カナダ留学などを経て,米ニュース雑誌『ニュースウィーク』の日本版スタッフとなる
1966年 ニューヨークのコロンビア大学大学院にて修士号取得(国際メディア,コミュニケーション専攻).1997年在米ジャーナリストとして,メディアと公共空間,インターネットと市民社会などをテーマに取材・執筆活動を始める.2000年東京大学,武蔵野美術大学,早稲田大学にて非常勤講師
現在―経済産業研究所(RIETI)研究員
「進化する図書館の会」運営委員会,「ビジネス支援図書館推進協議会」副会長,東京大学大学院情報学環「MELL(メディア表現,学びとりリテラシー)プロジェクト」プロジェクトリーダーなどもつとめる
主著―『メディア・リテラシー―世界の現場から』(岩波新書)

コメント

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