科学・テクノロジー

『寄生虫博士のおさらい生物学』|理科の知識が必要なワケ

こんにちは。生物学を勉強している あさよるです。

……化学、生物、苦手だったんですよね~(;’∀’)

しかし、生きる上でとても大事な知識なんだと、自分が歳を取るほど思うようになりました。

だって、医師の言うことを理解するにも、健康のためになにをするにも、理科の知識、化学、生物学が必要なんだもん( ノД`)

いい歳して、もう一回理科の勉強しようと重い腰を上げたところ、『おさらい生物学』というドンピシャのタイトルの本を見つけました。

著者は“寄生虫博士”の藤田紘一郎さん。以前に同著者の『脳はバカ、腸はかしこい』はとても面白く役立ったので、本書も間違いないと読み始めました。

( ´∀`)bグッ!

『脳はバカ、腸はかしこい』|脳はすぐに勘違い、間違っちゃう?

「生物」の授業をおもしろく!

本書の『おさらい生物学』の“ねらい”は、あとがきにて紹介されます。

 今、日本の高校や大学で行われている「生物学講義」はいかにもおもしろくない。生物をギザギザに切り込んでおいて、その断面だけを見せるからだろう。骨と皮だけの「身のない」生物学講義で学生をおもしろがらせたり、イメージを描かせたりするとはとうてい無理な話だと思うのだ。
(中略)
生物学は、自分自身の健康や広く環境問題を考えるための基礎知識でもある。本書はこれから生物学を学ぼうとする学生はもちろんのこと、現代に生きている一般の人たちにもぜひ読んでもらいたい内容になっていることを最後に強調したい。

p.298-299

生物学は現代を生きるに必要な知識であるにも関わらず、高校や大学の「生物学講義」も、中高の「理科の教科書」もおしろくない。

そこで、“寄生虫博士”が「おもしろい理科の教科書」を作ろうじゃないかと乗り出した。それが本書『おさらい生物学』なのです。

“生物学”だからね、むずかしいよね……

タイトル『おさらい生物学』ですから、内容のほとんどは中学高校の理科の時間に習った事柄ばかりです。

生物ってなに?細菌は?ウイルスは?プリオンは?生きものなの?クローン技術やDNA、ABOの血液型。知ってるようで、説明は難しいですよね。

ウイルスや細菌、アレルギーや がん、私たちが気になるのは自分の「健康」のこと。現在、アンチエイジングがトレンドですが、知っておきたいのは人間の体の機能です。

『おさらい生物学』は、生物学に関する話題の全般を扱いますから、範囲も広い。先に述べたように、確かに中高で習った内容ですから「知っている」ことなのですが……。

理科の科目が得意だった方はいざ知らず、あさよるのような人にとっては、なかなかに読むのはボリュームのある内容でした(;’∀’)>

「自分のこと」だから

あさよるは「生物」が苦手でした>< 苦手だからこそ、「しかし生物の知識が乏しいのはつらい……」と痛感していました。

それは、食品を選ぶ時にも、病院へかかったときにも、体の変化を感じたときにも、「理科で習った気がするが……」と思い出せない記憶に戸惑っておりました。

生物学って、生きてゆくために必要な知識であり、ズバリ「自分」を知るための手段でもあるのです。

我々はみな動物であり、生命であり、アミノ酸の塊なのです。

「自分」について考えるとき、「人間」について考えるとき、「いのち」について考えるとき、不可欠なのは「生物学」の知識です。

『おさらい生物学』はあくまで入門の入門書のような存在。この一冊の本から生物学にちょっと興味がわいたなら、少しだけ一歩踏み出しましょう。

著者の藤田紘一郎さんの他著書も楽しいです。

生物学をおさらいしよう

生物学を勉強したのは何年前ですか?

科学は年々進歩してゆきます。そして、記憶はだんだん薄れてゆきます(;’∀’)>

正直ね、面倒な本ですよ、『おさらいの生物学』。著者は「おもしろい理科の教科書」と仰りますが、教科書であることには変わりなく、勉強はワクワクするばかりでもありません。

でもね、生物学を通じて、自分のことを知る。生きることを知る。

それは、哲学や芸術や文学や道徳やなんやかんやと、他の学問とはまた違ったアプローチです。

著者の藤田紘一郎さんの語り口は軽妙で、著者自身が楽しんで書いておられるのが伝わってきます。挿絵もたくさん挿入され、“教科書にしては”かなり楽しい内容。

気楽な読書のともには……ちょっと読むの大変だけどね(by 生物学苦手マン)

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『コンピュータが小説を書く日 』|ショートショートで星新一賞チャレンジ!

以前、『人工知能は人間を超えるか』という本を読み、人工知能、AIに少しだけ興味がわきました。

昨今、ニュースでもAIの話題はよく見聞きしますし、「コンピューターが人間の仕事を奪う」なんて言って、将来消滅してしまう職業の一覧など、話題になりますよね。

ほんとのところ、どうなのよ!?

『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』

この本が出版されたのは2016年。

それから7年経ち、AIに文章を書かすのは一般の私たちでも普通の行為になりましたね。

はてさて、AIの文章力はいかほど。

コンピュータは文章が読めない

コンピュータに小説を執筆させ、文芸賞・星新一賞受賞を目指す!名古屋大で人工知能のプロジェクトが始まりました。

まずは、星新一さんのショートショートを分析したり、自分たちで簡単な小説を執筆し、人はどうやって文章を作っているのか分解してゆきます。

意外なことに、コンピュータは小説を書くことよりも、小説を読むことが苦手なようです。「文脈を読む」とか、暗示を読み解くとか、ニュアンスや、人間が経験則で知っていることを理解するのがムズカシイよう。

例えば、気温が何度になったら暑い/寒いのかは、人間にとっては感覚的で説明不要の事柄も、コンピュータにはわかりません。

『コンピュータが小説を書く日』では、小説を書くための四苦八苦にページが割かれており、非常に興味深いのですが、文章を読む、理解するという、我々が何気なくやっている動作を、説明することは困難なのだと知りました。

まだまだ道半ば

名古屋大の佐藤先生のチームは、人工知能が東京大学合格を目指す「東ロボくん」の開発もしています。

人工知能に小説を執筆させる「作家ですのよグループ」と「東ロボグループ」は、どちらもまだまだ道半ば。

まさに今、なうで進行しているプロジェクトですから、『コンピュータが小説を書く日』を読んでいても、臨場感ありでワクワクします。

ただ、巷で語られるような「意思を持つロボット」「人類を凌駕するコンピュータ」みたいなイメージとはまだまだ程遠い様子。

テクノロジーを悪者に語られるときに使われる、コンピューターのテンプレって、フィクションの話なのね……。

文章を紡ぐって、どういうこと?

『コンピュータが小説を書く日』を通じて、普段自分がどうやって文章を紡いでいるんだろう?

どうやって文章を理解しているんだろう?

コンピュータにプログラムするためには、人間が人間らしい活動をどのように行っているのか、知る必要があります。人類が自らを研究対象としているんですね。

完成した小説(本書にも添付されています!)を星新一賞に応募すると、事務局から問い合わせが来ました。

1.最終的に文章を書いたのは、人間か、それともコンピューター(人工知能)か?
2.創作過程において、人工知能が果たした役割は?

どう答えればいいか、私は頭を抱えました。というのも、この質問には、いかようにも答えられるからです。

p.152

小説を出力したのはコンピュータであることは揺るぎない事実です。しかし、そのアルゴリズムを入力したのは人間です。

コンピュータが執筆したとも言えるし、アルゴリズムを人間が作ったとも言えます。

コンピュータープログラムは、無から有を作り出すことはできません。ですから、テキストを出力するためには、

・それをそのまま記憶しておくか、あるいは、
・より小さな部品から合成するか

のいずれの方法しかありません。

p.154

完成した小説を用意し、それをバラして置き換え可能な部品を用意し、文として成立するように条件付けをします。そして、部品をたくさん用意すれば、それらの組み合わせで膨大な物語を作れます。

これだと、コンピュータが小説を「書いた」とも言えるし、「書いていない」とも言えます。

細かな話は本書を読んでいただくとして、実際に文章を生成する様子が体感できるんですよ!

実際にweb上で文章を作成できます。面白いので、ぜひリンク先もご参照ください。

文章作成の様子は、YouTubeでもデモンストレーションが閲覧できます。

これらはたぶん、本書『コンピュータが小説を書く日』を読んでから見ると、胸が熱くなります。

外国語で小説を執筆できるか?

人工知能に小説を書かせるプロジェクト「作家ですのよ」。想像以上に大変なことっぽい。

こうやって、あさよるも毎日つらつらと文章を書いてネットに垂れ流しておりますが、それを「どうやってやっているのか?」を説明できぬ。

いったい、どうやって毎日ブログを書いているんだろう?そして、どうやって本を読んで文脈を理解しているんだろうか?

突然ですが、あさよるは外国語がからっきしダメです。日本語の能力は年々培われてゆきますから、相対的に外国語はますます苦手になってゆきます。

ニュアンスも読み取れないし、文化的背景もわからない。スラングや、暗に語られている含みや思考なんて絶対に読み取れません。

コンピュータは0と1のデジタルの言語を扱っています。彼らにとって、日本語で小説を書くことは、外国語で小説を執筆するのと同じです。

そりゃあ、細かなニュアンスを理解するには時間がかかるよなぁとしみじみ思いました。

(……ふぅ、あさよるも英語勉強しなきゃな)

『コンピュータが小説を書く日』を読んで、人工知能が物語を紡ぐ難しさに触れたのと同時に、なんか「これって、できるんじゃね!?」なんて、胸が高鳴りました。

あさよる、プログラミングやりたいなーと思いつつ、ずっと保留にし続けているのですが、マジでやりたい。楽しいだろうなぁ!ジタバタ。

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『血流がすべて解決する』|生理痛、更年期、不妊、ダイエット。血流を見直そう

こんにちは。冷え性になった あさよるです。

昔「女性は冷え性だから」なんて文言を聞いては、自分には無関係だと思ってたのですが……齢三十を越えまして、順調に冷え性になってしまいました。

女性の独特のトラブルや、体質ってありますよね。

本書『血流がすべて解決する』では、女性が持っている体質に関する一つの考えが示されていました。

漢方からのアプローチ

本書『血流がすべて解決する』の著者・堀江昭佳さんは、漢方薬剤師です。

出雲大社の参道にある漢方薬店を継ぎ、漢方や薬膳、心理学や風水などを用いて、クライアントの課題に取り組みます。

中でも、不妊に悩む女性を、漢方的アプローチでサポートされていて、本書『血流がすべて解決する』でも、婦人科系のトラブルに多くページが割かれていました。

現在の日本の「医療」と言えば保険治療で、対症療法です。それで上手くいけばいいですが、根本的解決がなされないまま、問題を抱え続けている人もたくさんいます。

生活習慣だったり、体質改善を怠ったり、思い込みや固定観念がネックになっていることもあるでしょう。「漢方」は、根本問題に切り込むきっかけになりうるのかな?と思いました。

健康な人なら、実行済み?

『血流がすべて解決する』では、タイトルの通り「血流」を改善することと、そして健康的な生活が大事だと説かれます。

健康志向が強く、健康状態を意識的にキープしている方なら、すでに知っている、やっている事柄かもしれません。

一方で、不健康な生活をしている人。そして、婦人科系のトラブルを抱えている方は、一読しても損はないなと思いました。

特に「生理痛はないのが正常です」という言葉……。生理や生理前後が重い人で、それが当然だと思っている方は、体質の改善に取り組んでみるべきだなぁと思いました。

……もちろん、あさよるのことです(;´`)

気虚・血虚・気滞 瘀血

『血流がすべて解決する』では、漢方の考え方が満載です。

「気虚(ききょ)」「血虚(けっきょ)」「気滞(きたい) 瘀血(おけつ)」という言葉が登場します。これらは漢方の基本的な考えだそうです。

気虚体質→血が作れない
血虚体質→血が足りない
気滞 瘀血体質→血が流れない

これらは、病気ではありませんが、病気の一歩手前の状態。病気じゃないけど健康でもない。「不健康」ってことなのかな?

血が作れない、足りない、流れない。このうちのどれか、あるいは複数の問題を抱えている人がたくさんいます。

血は体中を駆け巡り、酸素や栄養を運んでいるものですから、そもそも血が足りないのでは大変です。

女性のトラブル。よかれとやってたことも……

健康のためにマクロビダイエットや、野菜たっぷりの食事が、かえって血が足りない原因になっていることも多いそうです。

また、堀江昭佳さんの元には不妊に悩む女性もたくさん訪れます。婦人科系のトラブルは、血流のトラブルから起こっていることが多いらしいのですが……。

血流を良い状態に戻すのはもちろんです。しかし、「みんながそうだから」「そういうものだから」と思い込みが自分を苦しめていることもある。そう触れられていることも、真摯な感じがしました。

病気になる前に、健康状態を改善させるための手段。漢方ってこういう風に使うんだなぁと思いました。

漢方の考え方は知らないことばかりなので、用語も理解しきれていない部分もあります。もっと知りたいと思います。

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【感想】『ミライの授業』|世代交代が、常識を変える

こんにちは。子ども時代にあまり本を読まなかった あさよるです。

これ、10代の頃に読みたかったなぁと思った中の一冊が、瀧本哲史さんの『君に友だちはいらない』。なんてことないビジネス書なのですが、10代向けに書かれたもので、あさよるも青年時代に読んでいたら、なにか変わったかも?

チームで挑め!『君に友だちはいらない』

同著者である瀧本哲史さんによる、14歳の中学生に向けた『ミライの授業』という本見つけたので、手に取ってみました。

歴史を知って、ミライを知る

本書『ミライの授業』では、たくさんの偉人たちのエピソードを交え、かつて世界中で何が起こり、今日へ至ったのか。

今、我々が「常識」「当たり前」と思っている事柄も、常識じゃなかった時代があるのです。どうやって、世界は変わっていったのか。

学校の歴史の授業ってとっても大切だと思います。一気に、客観的に、世界で起こったことをコンパクトに把握できるからです。

そして本書『ミライの授業』で扱われる“歴史”は、個人にスポットライトを当て、個人の発見や発明が世界中、そして未来の世界へ与えた影響を見てゆきます。

世紀の大発見・大発明も、それが評価されるのはずっと後の時代だったりします。時代が、社会が、新発見を受け入れる準備が必要なのです。

その準備とは、パラダイムシフト。人びとの認識が変わらなけばならない。しかし、人の認識ってそうそう簡単に変わりません。実際には、古い時代の人たちが去り、新しい世代が登場する、「世代交代」が必要です。

その時代、信仰、価値観が入り乱れる

「ミライの授業」という授業ですが、数々の過去の話が展開されます。

昔の世界は、今とは全く常識が異なる異世界でした。信仰も違います。常識も違います。価値観も、社会のしくみも違います。

異世界から、どのように今の現実世界へやってきたのか。それを知ることは、未来を考えることに繋がります。

それは、きっと「未来も異世界だ」ということです。今の常識も社会のしくみとも、全く違うものだろうと想像できます。

……しかし、それは一体どういうモノ?……その質問に答えられる大人はいません。だって大人は古い世代で、世代交代していなくなってゆく人たちです。

ミライをつくり上げる可能性があるのは、14歳の子どもたち。新しい世代が、現大人たちは見られない「ミライ」を作るのでしょう。

偉人は、何を成したのか

『ミライの授業』は、過去の偉人たちのエピソードがふんだんに紹介されており、偉人伝のようにも読むことができます。

が、通常の伝記とは性質が違います。

従来の伝記ってその人がどんな環境の中、どんな工夫や努力で発見・発明に至ったのかという過程を紹介するものですよね。

しかし、『ミライの授業』では、偉人が成し遂げた発明・発見によって“世界が変わった”。発明以前と以後、なにが変わったのか。どうやって人々に受け入れられたのか。

特定の個人のお話ではなく、世界がダイナミックに変化し続けていることを知る。これが本書の狙いなのかなぁと思います。

学校の授業では、“現在の”常識を身に着けてゆく場です。そして、待ちかまえる“ミライ”はその常識とは違う、“新たな常識”を生み出すことです。

まずは現在の常識をきちんとインストールし、それを利用しながら全く新しいミライへ進む。なんかすっごく、ワクワクします。

14歳の君たちへ

『ミライの授業』はすでに大人な あさよるが読んでも面白く感じる内容でした。

しかしやっぱり、読者の対象は14歳の中学生であり、著者の瀧本哲史さんは、彼らへ贈りたい言葉として『ミライの授業』を書かれたんだと感じます。

もし、14歳の人たちに何かを伝えることができるなら、あさよるも『ミライの授業』で扱われているようなことを伝えるのかもなぁと想像してみました。知らんけど。

こういの、学校や地域の図書館にあればいいなぁと思いました。誰でも、手に取れるようにね。

もちろん、大人も気づきや発見のある本です。少なくとも、ガチガチに凝り固まった頭には、こんな刺激が適度に必要ですw

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『なぜ皮膚はかゆくなるのか』|かゆい→掻く→気持ちいい→掻く→かゆい

こんにちは。体がかゆい あさよるです。

先週の週末、久々に軽い蕁麻疹が出て、全身掻きむしってしまいました。

痒みから気を紛らそうと、図書館に出かけ『なぜ皮膚はかゆくなるなるのか』という本に出会った。こんな今の自分にピッタリくる本なんてそうそうないぜ!w

「痒み」とはなんだ?

あさよるは幼いころから皮膚のトラブルに悩んでいました。アトピーもあったし、今もアレルギーが強い(;´Д`)

しかしそういえば「かゆみ」について何も知らないことに気が付きました。「かゆい」って感覚は、どこから来るの?

『なぜ皮膚はかゆくなるのか』では、多くのページ数を使って「かゆみ」のメカニズムが紹介されています。

かゆみとは原始的な感覚で、痛みと比べるとトロい。痛みとかゆみを同時に感じると、痛みが優先されます。時間が経って痛みが引くと、かゆみだけが残ります。

また、かゆみが伝わるスピードは痛みに比べるととても遅いのに、かゆみは周りの神経まで刺激し、どんどんかゆみは広がります。

そして、かゆみの厄介なところは、かゆみを感じ、掻くと「気持ちいい」。「かゆい」→「掻く」の動作をすると、快感が得られるので、ますます掻くことがやめられない。かゆいから掻く、掻くと気持ちいい、気持ちいいから掻く、掻くとかゆくなるの繰り返しです。

注)医学書ではない

ちなみに本書、PHP新書のシリーズですから、医学書ではありません。

もちろん、著者は皮膚科医であり、医学的見地から書かれたものですが、医療や治療のための本ではなく、教養を目的としたものです。

ですから、実例よりも「かゆみ」という感覚についてや、皮膚の内側で何が起こっているのか、詳しく紹介されていることで、好奇心がより刺激されます。

生物学的な話もたくさん登場してオモシロイのですが、適当な紹介ができないので割愛させていただきます(^_^;)>

あさよるは、「かゆみ」という独立した感覚があることを知りませんでした。また、神経伝達物質はたんぱく質なので、温めると分泌が促進されてしまいます。冷やし方がいいというのも知らなかった。

アトピー患者の中で、幹部に熱いお湯をかけるとかゆみが弱まるという人もいるそうですが、間違った対処です。熱や痛みを加えることで「かゆみ」は一時的に弱まります。しかし、かゆみの根本原因を根絶しない限り、その場しのぎにしかなりません。

掻きむしりや、熱を加える、痛みを加える行為は、まさに自傷行為であることも知りました。

医師の間でも認識はさまざま

本書の後半では、医療現場の様子も少し紹介されていました。

どうやら、「かゆみ」や特にアトピーについての知識や対応は、医師によってかなり幅があるようです。

皮膚科以外の科では不適切な処置がなされていることもあるらしい。やっぱ、皮膚のトラブルは皮膚科にかかってみなきゃなぁと痛感。

しかし、中には皮膚科医の中でも安易な治療や処置をする医師もいるらしく、著者も憤慨していました。何件か皮膚科を回ってみるというのが、現実的なところなのでしょうか。

また、アレルギーも、思ってもみないところに原因がある場合も。

例えば、歯の金属の詰め物が原因でアレルギーを起こしている場合。歯の治療からずいぶん時間が経ってから症状が現れると、歯科医に説明してもわからないこともあるっぽい。

髪を染める染料でアレルギーを起こしている人の例もありました。数十年、同じ染料を使っているのに、ある日突然アレルギーを起こすことがあるようです。

肉体は日々変化してゆきますから、「今までは大丈夫だった」はアテになりません。

適切な治療、適切な対処を

皮膚のかゆみに関するトラブルは、軽視されがちです。医師の間でも認識に差があるみたい。

すでにアレルギーやアトピーなど、症状を抱えれる方も、錯綜する情報に疲れ果てています。

本書でも、著者がアトピー患者の治療の様子が紹介されていましたが、患者の側も、治療に取り組む姿勢が様々です。医師が指導をし、処方をしても、その通りにやらなかったり、薬もちゃんと飲まなかったり。

かゆみを感じる環境を一掃するため、布のソファを処分するよう指示したり、寝具の買い替えを促しても、すぐに実行する人と、理由をつけてやらない人。

悩みや苦しみを負っている患者も、治療への姿勢に違いがあります。

ただ「かゆい」ってだけの話なのに、話は入り組み、ヒジョーに重大で悩ましい話になっているようです。

……あさよるも、まずは掃除の徹底と、寝具の変更と……畳……(←たぶんダニの温床だよね……)。

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